JP2000122521A - 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体 - Google Patents

拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体

Info

Publication number
JP2000122521A
JP2000122521A JP29163798A JP29163798A JP2000122521A JP 2000122521 A JP2000122521 A JP 2000122521A JP 29163798 A JP29163798 A JP 29163798A JP 29163798 A JP29163798 A JP 29163798A JP 2000122521 A JP2000122521 A JP 2000122521A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cell
particles
state quantity
diffusion
movement
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP29163798A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Morishita
信 森下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP29163798A priority Critical patent/JP2000122521A/ja
Publication of JP2000122521A publication Critical patent/JP2000122521A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複雑な処理や複雑な方程式の解法を用いるこ
となく、短時間で精度良く拡散現象を解析するシミュレ
ーションシステムを提供する。 【解決手段】 拡散シミュレータは、入力されたデータ
などを下に、解析対象となる空間を複数に分割してセル
を生成し、各セルに対応して、当該セルに対応する領域
に含まれる粒子の量を示す第1の状態量を定義するセル
状態量設定部36、セル管理部32と、単位時間ごと
の、セルの周囲に位置する局所近傍を構成する他のセル
への第1の状態量の移動を定義するシミュレーション条
件設定/記憶部38と、定義された他のセルへの状態量
の移動に基づき、セルごとに、定義された第1の状態量
を変更することにより、粒子の移動を実現するシミュレ
ーション実行部40とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子や微粒子が熱
エネルギーにより移動する現象である拡散をシミュレー
トする拡散解析シミュレータに関し、特に、海、河川、
湖沼などの水圏に物質が投入されたときの拡散状況をシ
ミュレートするのに好適な拡散解析シミュレーション手
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、粒子などの拡散をシミュレートお
よび解析するために数多くの手法が提案されている。こ
れらは、基本的には、拡散方程式の近似解を求めること
により、シミュレーションを実現している。たとえば、
特開平6−283458号公報には、半導体の製造プロ
セスにおける不純物の拡散をシミュレートする技術が開
示されている。また、特開平9−79899号公報に
は、熱および流体の運動方程式に基づき所定の位置にお
ける流速および圧力を求めるシミュレーション技術が開
示されている。
【0003】また、拡散現象の一例として、海上でのタ
ンカーの座礁、老朽化による船舶の破損などが原因とな
って流出した油や、河川や湖沼に廃棄された汚染物質の
拡散が知られている。これらの現象において、その拡散
状況、拡散過程を短時間で精度良く予測し、その対策を
立案することは環境保全の観点から重要となっている。
たとえば、流出した油の拡散過程に関する従来の研究と
して、海面拡散モデルに関して、ある時点で放出された
油が同心円状に広がることを前提に次元解析により導出
されたフェイ(Fay)の式、初期の流出油の形状がある半
径を有する円筒と仮定して、エネルギー保存則から拡散
半径をもとめた元良の式、ナビエ・ストークス方程式お
よび拡散方程式を連立させて水中の質量拡散を考慮する
手法、油を平板上に広がる流体とみなして浅水方程式を
用いる手法、ランダムウォークモデルを用いた手法など
が提案されている。
【0004】近年のコンピュータシミュレーションにお
いては、ランダムウォークモデルを用いて油の拡散過程
を解析する場合が多いが、特に、解析平面上に汚染物質
の量に相当する粒子を配置し、その粒子をすべての方向
に満遍なく、かつ、統計的分布にしたがって連続的な距
離を飛ばす方法が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ラ
ンダムウォークモデルを用いた場合には、解析領域の大
きさ或いはその解析精度によっては、計算量が著しく膨
大なものとなり、多大の計算時間が必要となる。したが
って、現実に汚染が生じている場合に、汚染現場(たと
えば、海上で汚染を監視する船舶)と、陸上の施設(た
とえば、研究施設)に設置された大型コンピュータシス
テムとの通信を確保し、情報の授受を行うことが不可避
となる。その一方、ナビエ・ストークス方程式および拡
散方程式を連立させる手法も、巨大なメモリ空間を有す
る大型スーパーコンピュータを用いる必要があり、か
つ、このようなコンピュータを用いても著しく多大な計
算時間を要する。
【0006】本発明は、複雑な処理や複雑な方程式の解
法を用いることなく、短時間で精度良く拡散現象を解析
するシミュレーションシステムを提供することを目的と
する。特に、小型コンピュータを用いて、短時間でかつ
高精度に油、汚染物質などの拡散シミュレーションを実
行するシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、解析対
象となる空間を複数に分割してセルを生成するセル生成
手段と、各セルに対応して、当該セルに対応する領域に
含まれる粒子の量を示す第1の状態量を定義する状態量
定義手段と、単位時間ごとの、セルの周囲に位置する局
所近傍を構成する他のセルへの第1の状態量の移動を定
義する移動量定義手段と、前記定義された他のセルへの
状態量の移動に基づき、前記セルごとに、前記定義され
た第1の状態量を変更することにより、粒子の移動を実
現するシミュレーション手段とを備えたことを特徴とす
る拡散現象シミュレータにより達成される。本発明によ
れば、局所近傍系を形成するセルに粒子を移動させるこ
とによりシミュレーションが実現できる。したがって、
方程式の解析解を求めるための複雑な処理を行うことな
く、短時間にて解析現象をシミュレートすることが可能
となる。
【0008】本発明の好ましい実施態様においては、前
記第1の状態量が、対応するセルの領域に含まれる粒子
の数にて表わされる。すなわち、所定の領域に含まれる
粒子の数により、粒子の濃度を表わしている。
【0009】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記シミュレーション手段が、単位時間ごとに、セ
ル中の粒子を、当該セルに隣接する局所近傍を構成する
セルに移動させるように構成され、前記セルの大きさお
よび前記単位時間により、拡散係数が決定される。すな
わち、セルの大きさおよび単位時間を変更することによ
り、所望の等価な拡散係数を設定することが可能とな
り、より精度よく拡散現象をシミュレートすることが可
能となる。
【0010】また、本発明のさらに好ましい実施態様に
おいては、前記状態量定義手段が、前記セルに対応し
て、粒子が通過し得るか否かを示す第2の状態量を定義
している。これにより、たとえば、海面や空間と、陸地
や障害物などを定義することが可能となる。前記移動量
定義手段は、前記第2の状態量に基づき、局所近傍を構
成するセルのうち、粒子を移動させることが可能なセル
を選択するように構成されていても良い。また、前記シ
ミュレーション手段が、前記第2の状態量が障害物であ
ることを示すセルにおいて、粒子を蓄積させるように作
動しても良い。
【0011】さらに、本発明の好ましい実施態様におい
ては、前記移動量定義手段が、前記局所近傍を構成する
セルの各々に粒子を移動させる移動確率を決定する。ま
た、移動確率は、移流速度を考慮して決定されるのが更
に好ましい。たとえば、移動確率は、移流方向に向かう
粒子の移動確率と、その反対方向に向かう粒子の移動確
率との差が、前記移流速度と比例するように決定するこ
とができる。
【0012】また、本発明の目的は、上記構成の拡散現
象シミュレータと、風力および風向を示すデータに基づ
き、移流速度を算出する速度算出手段とを備え、前記速
度算出手段にて算出された移流速度に基づき、移動確率
が決定されるように構成された拡散現象解析システムに
よっても達成される。この発明によれば、風力および風
向の観測値に基づき移流速度が算出されるため、現場な
どにて、或いは、現場からの情報に基づき、極めて精度
良く、拡散状況を予測ないし推定することが可能とな
る。
【0013】上記拡散現象解析システムは、さらに、前
記速度算出手段が、前記風力および風向を示すデータ
と、潮流の大きさおよび向きを示す潮流データとに基づ
き、海上に浮遊する粒子の移流速度を算出するように構
成されていても良い。これは、特に、海上を浮遊する粒
子の拡散の状況を予測ないし推定するのに好ましい。
【0014】なお、上記セル生成手段などは、図1に示
すCPUにより実現される。より詳細には、セル生成手
段および状態量定義手段は、主として、図2に示すセル
状態量設定部およびセル管理部により、移動量定義手段
は、主として、シミュレーション条件設定/記憶部によ
り、シミュレーション手段は、シミュレーション実行部
により実現することが可能である。
【0015】また、本発明の目的は、上記シミュレータ
にて実現する処理ステップを備えた方法、および、上記
処理ステップからなるプログラムを格納した記憶媒体に
よっても達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明の実施の形態につき説明を加える。図1は、本発明の
第1の実施の形態にかかる拡散現象シミュレータのハー
ドウェア構成を示すブロックダイヤグラム、図2は、こ
の拡散現象シミュレータの機能を示すブロックダイヤグ
ラムである。
【0017】図1に示すように、 拡散現象シミュレー
タ10は、CPU12と、メモリ14と、外部記憶装置
16と、インタフェース(I/F)18と、マウス、キ
ーボードなどの入力装置20と、CRTディスプレイや
LCDからなる表示装置22と、プリンタ24とから構
成されている。CPU12、メモリ14およびI/F1
8は、データバス26を介して接続されている。また、
外部記憶装置16、入力装置20、表示装置22および
入力装置24は、I/F18を介してデータバス24と
接続でき、これにより、CPU12との間で、データの
授受が可能となっている。
【0018】メモリ14は、シミュレーション中のデー
タや、作動中のシミュレーションプログラムを一時的に
記憶する主記憶を有している。また、外部記憶装置16
には、本実施の形態にかかる拡散現象シミュレータ10
を作動させるのに必要なプログラムが記憶されている。
上記プログラムは、CD−ROMやフロッピーディスク
に格納され、CD−ROM駆動装置やフロッピーディス
ク駆動装置(図示せず)により読み出され、メモリ14
の主記憶に記憶され、これにより、必要な処理が実行さ
れるように構成しても良い。
【0019】この拡散現象シミュレータは、図2に示す
ような機能を有すると考えることができる。すなわち、
拡散現象シミュレータ10は、後述するセルを管理する
セル管理部32と、セルごとの状態量を記憶するセル状
態量記憶部34と、セルに対応する状態量を設定する状
態量設定部36と、シミュレーション条件を設定すると
ともに、この条件を記憶するシミュレーション条件設定
/記憶部38と、所定のシミュレーション条件に基づい
てシミュレーションを実行するシミュレーション実行部
40と、当該シミュレーション結果を記憶するシミュレ
ーション結果記憶部42とを備えている。
【0020】図2の構成部分のうち、セル管理部32、
セル状態量設定部36、シミュレーション実行部40の
機能は、主として、CPU12により実現され、シミュ
レーション条件設定/記憶部38の機能は、CPU12
およびメモリ14により実現される。さらに、セル状態
量記憶部34およびシミュレーション結果記憶部42の
機能は、メモリ14および外部記憶装置16により実現
される。
【0021】以下に、本実施の形態にかかる拡散現象シ
ミュレータの動作原理を説明する。本実施の形態におい
ては、セルラオートマトン(Cellular Automata; C
A)を用いてモデル化を行っている。すなわち、解析領
域をセルと称する区分領域に分割し、各セル上の内部状
態を表わす離散的状態量を定義し、近傍のセル同志の相
互作用を定める局所近傍則を用いて状態量を離散時間の
経過に沿って遷移させている。
【0022】まず、一次元の拡散現象のシミュレーショ
ンにつき説明する。一般に、一次元の移流拡散現象を表
わす微分方程式は、一次元座標をx、時間をtとすれ
ば、以下の(1)式にて与えられることが知られてい
る。
【0023】
【数1】 ここで、uは濃度、Dは拡散係数、vは移流速度を表わ
す。
【0024】このような微分方程式で表わされる一次元
の移流拡散現象を、本実施の形態においては、以下のよ
うな二次元CAを用いて解析している。まず、図3に示
すようにy方向に単位幅を有する解析平面を考え、この
解析平面を所定の数のセル(たとえば、20×2000
個のセル)に分割する。各座標(x,y)に対応して、
図4に示すように、壁面/水面を示す状態量(以下、便
宜上「第2の状態量」と称する)(符号401参照)お
よび粒子数を示す第1の状態量(符号402参照)(以
下、便宜上「第1の状態量」と称する。が与えられる。
図3の例では、y=0および20の位置に対応する第2
の状態量は壁面を示し、その一方、他の位置に対応する
第2の状態量は水面を示す。また、あるセルに対応する
第2の状態量が水面を示す場合には、このセルに含まれ
る粒子数(第1の状態量)が割り当てられる。この実施
の形態では、粒子数がセルの領域に存在する粒子の濃度
と考えた。図3の例において、各セルに割り当てられた
第2の状態量から、このモデルは、単位幅を有する容器
と考えることができる。すなわち、第2の状態量が壁面
を示すセルが、溶媒(粒子)を入れた容器の内壁と考え
ることができる。
【0025】さて、図3に示すモデルにおいて、x=0
の位置では、常に最大濃度(=1)の溶媒(粒子)が供
給され、x=2000の位置では、常に溶媒の濃度が0
となると考える。すなわち、溶媒の濃度uは、以下の
(2)式にて u(0,t)=1、u(2000,t)=0 ・ ・ ・ ・ (2) 本実施の形態では、(2)式に対応するように、平面の
左端(x=0の位置)においては、各セルに粒子が常に
最大値(1000)だけ存在し、その一方、平面の右端
(x=2000の位置)では、各セルに粒子が存在しな
いように、セルの第2の状態量を設定している。
【0026】次に、局所近傍則につき説明を加える。こ
の実施の形態においては、一つのセル上の粒子を、単位
時間経過後に他のセルに振り分けるように定義した。こ
こで、図5に示すように、あるセルに定義された1個の
粒子は、第2の状態量が壁でないセル(すなわち、第2
の状態量が水面を示すセル)に、単位時間経過後、すな
わち、次の時間ステップで、等しい確率で必ず移動する
ものとし、また、ある粒子の運動は、他の粒子の運動に
影響されないと考えた。
【0027】たとえば、図5(a)に示すように、ある
セルの粒子501に隣接する四方のセルの第2の状態量
が、すべて水面を示す(符号502〜505参照)であ
る場合には、当該粒子は、次の時間ステップで、1/4
の確率で、符号502〜505の位置のセルの何れかに
移動する。その一方、図5(b)に示すように、あるセ
ルの粒子506に隣接する一つのセルの第2の状態量の
みが壁面を示す(符号507参照)場合には、当該粒子
は、次の時間ステップで、1/3の確率で、符号508
〜510の位置のセルの何れかに移動する。同様に、図
5(c)および(d)に示すように、あるセル511、
512の隣接する2つおよび3つのセルの第2の移動量
が壁面を示す場合には、当該粒子は、1/2、1/1の
確率で、それぞれ、残りの位置のセルに移動する。
【0028】また、単位セル幅(セル間の距離)および
時間ステップ(シミュレーションを実行する際の単位時
間)を、実際の現象に対応するような物理量を割り当て
た。この場合、拡散係数Dは、(3)式のように表わす
ことができる。 D=(単位セル幅)/(2×(単位時間ステップ))・ ・ ・ ・ (3) たとえば、セル幅を0.001、時間ステップを0.0
005として、セル上の粒子数を濃度に相当する量とし
て、粒子1個あたり0.001の濃度が与えられる。
【0029】このようにセルの状態量の初期値(境界条
件)、局所近傍系を決定してシミュレーションを実行す
ることにより、単位時間ごとの各セルの濃度(粒子数)
を得ることが可能となる。たとえば、後述するような入
力手順および処理手順にて、一次元の拡散現象のシミュ
レーションを実行した結果を図6に示す。図6において
も、セル幅を0.001、時間ステップを0.0005
としている。四角にてプロットされた点(たとえば符号
601参照)は、500ステップだけ(つまり、t=
0.025)シミュレーションした結果、白丸にてプロ
ットされた点(たとえば符号602参照)は、3000
ステップだけ(つまりt=0.15)シミュレーション
した結果、黒丸にてプロットされた点(たとえば符号5
03参照)は、30000ステップだけシミュレーショ
ンした結果を示す。また、図中の実線は、(1)式に示
した拡散方程式の解析解を示している。図6から、拡散
方程式の解析解と、本実施の形態にかかるCAによるシ
ミュレーション結果とは良く一致していることが理解で
きる。すなわち、CAは一つの物理モデルであり、拡散
方程式で表現される数学モデルがもつ矛盾点を回避しな
がら、巨視的には簡単な規則を用いて現象を再現できる
という特徴を備えている。
【0030】上述したような動作原理を有する拡散現象
シミュレータ10の作動につき以下に説明する。図7
は、本実施の形態にかかる拡散現象シミュレータの必要
な設定処理を示すフローチャートである。操作者は、ま
ず、入力装置20を操作して、解析空間となるセルの配
置を決定する(ステップ701)。入力装置20からの
データが与えられるとセル状態量設定部36は、セルの
配置を示すデータをセル管理部32に与える。セル管理
部32は、これに応答して、セル状態量記憶部34中に
必要な領域を確保する。たとえば、上述した例では、操
作者が入力装置20を操作することにより、20×20
00のセルの配置が決定される。
【0031】次いで、操作者が入力装置20を操作する
ことにより、各セルの状態量が与えられる(ステップ7
02)。これに応答して、セル状態量設定部36および
セル管理部32が作動し、入力されたデータにしたがっ
て、各セルの第2の状態量および必要な場合には第1の
状態量が、セル状態量記憶部34に、各セルに対応する
ように記憶される(ステップ702)。上述した例で
は、y=0およびy=1のセルの第2の状態量が、壁面
を示すものに設定され、或いは、x=0およびx=20
00のセルにおける濃度(第1の状態量)も所定の値に
設定される。
【0032】このようにして状態量が設定/記憶された
後に、シミュレーションに必要な経時的要素が入力され
る(ステップ704)。この経時的要素には、シミュレ
ーション時間、単位時間(ステップ)、粒子の供給条件
などを含む境界条件、図5を参照して説明した粒子の移
動確率などが含まれる。さらに、この経時的要素には、
後述するような粒子の速度(移流速度)vが含まれる。
この実施の形態において、粒子の移動確率および粒子の
速度(移流速度)などを、時間にしたがって変更するよ
うにしても良いし、固定値としても良い。
【0033】ステップ704にて与えられたデータは、
シミュレーション条件設定/記憶部38に伝達され、シ
ミュレーション条件設定/記憶部38中のメモリ(図示
せず)に記憶され(ステップ705)、シミュレーショ
ン実行中に必要に応じてシミュレーション実行部40に
出力される。このようにして、シミュレーション実行に
必要なセルの設定および各種要素の設定が終了する。
【0034】次に、本実施の形態にかかる拡散現象シミ
ュレータにおけるシミュレーション処理につき、図8を
参照して説明を加える。操作者が入力装置20を操作し
て、シミュレーションの開始を指示すると、これに応答
してシミュレーション実行部40が起動されて、シミュ
レーションを開始する。シミュレーション実行部40
は、セルを選択して、セル管理部32を介して、セル状
態量記憶部34から、対応する状態量などを示すデータ
を取得する(ステップ801)。次いで、シミュレーシ
ョン実行部40は、図7のステップ704にて与えられ
た移流速度に基づいて、粒子の移動確率を算出する(ス
テップ802)。本実施の形態においては、単位時間ス
テップに1セルしか移動しないものと考えている。した
がって、移流速度vは、以下の(4)式にて与えられ
る。 v=(単位セル幅)×ε/(単位時間ステップ) ・ ・ ・ ・ (4)
【0035】ここで、εは、移動確率の差である。たと
えば、図9に示すように、矢印方向に速度vにて粒子が
流れると考える。この場合に、図9(a)のように、粒
子901が、四方(符号902〜905)に移動可能で
ある場合には、移動確率の差εは、 ε=(P+P)−(P+P) ・ ・ ・ ・ (5) となる。図5に示すように、本来は(すなわち、速度が
ない場合には)、P=P=P=P=1/4であ
ったのが、移流速度vを考慮することで、εが算出さ
れ、これにより、P〜Pが移流速度を考慮した値に
変更される。
【0036】たとえば、単位セル幅が0.05、単位時
間ステップが5×10−4であった場合に、移流速度v
が10と設定されていると、ε=0.5となり、その結
果、P=P=1/8、P=P=3/8となる。
【0037】また、図9(b)に示すように、粒子90
6が、三方(符号907〜909)に移動可能である場
合には、 ε=P−(P+P) ・ ・ ・ ・ (6)
【0038】図9(c)に示すように、粒子910が二
方(符号911、912)に移動可能である場合には、 ε=P−P ・ ・ ・ ・ (7) と表わされる。なお、図9(d)に示すように、粒子9
13が移動可能な方向が一方向(符号914)に限定さ
れる場合には、移流速度が考慮されないことは言うまで
もない。
【0039】このように、本実施の形態においては、移
流速度に基づいて移動確率の差εが算出され、これによ
り、速度を考慮した粒子の各方向への移動確率を得るこ
とができる。
【0040】次いで、シミュレーション実行部40は、
算出した粒子の移動確率にしたがって、粒子が移動すべ
きセルを決定する。これにより、このセルの状態量が変
化する。たとえば、上述したように、単位セル幅を0.
05、単位時間ステップを5×10−4、移流速度vを
10とした場合に、図9(a)の符号901に対応する
位置に、n個の粒子が存在する、すなわち、対応するセ
ルの第2の状態量が、n個の粒子を示すと考える。この
とき、n×1/8(個)の粒子が、符号902、905
のセルにそれぞれ移動し、n×3/8(個)の粒子が、
符号903、904のセルに移動する。したがって、こ
れに応じて、セルの状態量が変化することになる(ステ
ップ903)。
【0041】このようにしてセルの状態量を変化させた
後に、シミュレーション実行部40は、セル管理部32
に、所定のセルの状態量をセル状態量記憶部34に記憶
させるように指示するとともに、このセルに関するシミ
ュレーションの結果をシミュレーション結果記憶部42
に記憶する(ステップ804)。さらに、シミュレーシ
ョン実行部40は、シミュレーション結果を表示装置2
2やプリンタ24に出力する。
【0042】すべてのセルに関してステップ801〜8
04の処理が終了すると(ステップ805でイエス(Ye
s))、シミュレーション実行部40は、シミュレーショ
ン時間が経過しているか否かを判断する(ステップ80
6)。このステップにおいてノー(No)と判断された場合
には、シミュレーション実行部40は、シミュレーショ
ン時間を単位時間ステップだけインクリメントし(ステ
ップ807)、必要な場合(たとえば、時間にしたがっ
て、経時的要素を変更する必要が有る場合)には、移流
速度や移動確率などを変更する。このようにして、シミ
ュレーション時間が経過するまで、ステップ801〜8
05の処理が繰り返される。
【0043】図10に、流れの場の中にある濃度の高い
領域が時間とともに拡散する現象をシミュレートした例
を示す。図10(a)に示すように、この例では、流れ
の下流側に固定構造物(壁面)(符号1000参照)を
設置し、構造物の後方に流れが回り込む現象の再現を試
みている。この構造物は、油が拡散する際に設置される
オイルフェンスに相当すると考えることができる。
【0044】この例においては、解析領域を120×1
10のセルに分割し、初期状態として、1000個の粒
子を、解析領域の略中央に位置する12×15のセル
(符号1001参照)に配置した。また、単位セル幅d
x=dy=0.05、単位時間ステップを5×10―4
とした。これにより、(3)式にしたがった等価な拡散
係数Dは2.5となる。さらに、矢印方向の移流速度v
を10としている。これにより、(4)式にしたがっ
て、移動確率の差εが0.5に設定されている。図10
(b)、(c)、(d)は、それぞれ、50ステップ、
100ステップ、200ステップ経過後の拡散の状態を
示している。なお、本例において、300ステップのシ
ミュレーションを実行するのに要した時間は、パーソナ
ルコンピュータ(CPU:Pentium Pro (登録商標) 200
MHz、OS:Linux (登録商標))を用いて5分程度であ
った。
【0045】さらに、本発明においては、このシミュレ
ータを用いて、平成9年1月2日に日本海で発生したナ
ホトカ号の船体折損事故に伴う流出原油の拡散シミュレ
ーションを実行した。このシミュレーションでは、図1
1に示すように、日本海の事故現場周辺約600km四
方の範囲(符号1101参照)を解析平面とした。この
平面を、一辺約5kmの正方形のセルに分割した。これ
により、解析平面は、120セル(東西方向)×110
セル(南北方向)に分割されている。また、流出原油の
量は、粒子数にて表現し、陸地を壁(すなわち、セルの
第2の状態量が壁面を示す)と考えた。本例において
は、重油に相当する粒子は、壁の前面にて堆積され、堆
積された粒子数は、海岸に打ち上げられた重油の量に相
当すると考えた。すなわち、セルの第2の状態量が壁面
を示す場合に、そのセルに対しても粒子が移動できるも
のとして、かつ、移動した粒子が、当該セルに堆積され
るように設定した。
【0046】移流として、潮流および吹送流の両者を考
慮し、(4)式に関して説明したように、粒子が隣接す
るセルに移動する確率に差を持たせることで、移流拡散
現象を計算の中で表現した。なお、潮流のデータは、海
上保安庁の日本近海海流統計図中の1〜3月の平均潮流
速度に基づき算出した。また、風向および風速は、気象
庁が日本海に設置している観測ブイ(東経134度、北
緯37度)により記録された3時間ごとのデータに基づ
き与えた。折損事故現場は、鳥取県隠岐島の沖北北東約
106kmの海上(東経133度52分、北緯37度1
0分)であったので、気象庁の観測ブイは、事故現場の
比較的近くに位置する。吹送流を計算するために用いた
風力係数は資料を参考にして10−2程度とした。な
お、事故当日以降の気象庁の天気図より事故現場付近の
風向および風速を計算することは困難なため、第1次近
似として、発生現場の海域の4セルに各々1000個の
粒子を配置し、1〜10時間ごとの拡散状況のシミュレ
ーションを実行した。今回の事故で流出した重油の拡散
係数は明らかではなく、また、拡散係数は、気温、海水
温による大きく異なることが推察されるので、シミュレ
ーションでは、風力係数と拡散係数に相当するパラメー
タを変化させて計算を行って、計算結果と公表されてい
る重油漂着のデータとを比較することとした。
【0047】図12(a)〜(d)は、風力係数を0と
して、拡散係数を、それぞれ、1.25、2.5、6.
25、12.5(km/h)として、事故から12日
後の重油の拡散をシミュレーションした結果を示す図で
ある。図13(a)〜(d)は、風力係数を0.01と
して、拡散係数を図12と同様に設定したものであり、
図14(a)〜(d)は、風力係数を0.02とした場
合のものである。図12〜図14から、風力係数を大き
くするのにしたがって、油の濃度が高い領域は、北東方
向に大きく移動し、能登半島を巻き込むように佐渡、さ
らには、新潟まで到達する可能性が有ることが理解でき
る。
【0048】図15(a)は、一般に公表された重油漂
着の範囲およびその日付を示す図である。図12ないし
図14と、図15(a)とを比較して、拡散係数を2.
5km/h、風力係数を0.01とすると、図15
(b)のようなシミュレーション結果を得ることができ
る。図15(a)と図15(b)とから、新潟方面の重
油の漂着をかなり正確に予測できたことが理解できる。
その一方、図15(b)からは、若狭湾から福井県にか
けての沿岸への重油の漂着は予測できなかったが、これ
は、風力および風向を解析領域内にて一定にしているこ
と、重油の流出箇所が事故現場一個所に限定されたこと
などによるものと思われる。なお、風の影響を考慮しな
い場合には、図15(c)に示すようなシミュレーショ
ン結果となり、若狭湾への実際の漂着と略同等の結果が
得られていることが理解できる。
【0049】折損した船首部の漂流およびそこからの流
出油を考慮したシミュレーション結果の例を図16〜図
18に示す。図16では、沈没地点において油が初期的
に流出し(すなわち、初期流出のみが生じ)、漂流する
船首部からの油の流出が次第に減少するという設定の下
でシミュレーションを実行している。図17では、沈没
地点においては油が一定量流出し続け、漂流する船首部
からの油の流出が次第に減少するという設定がなされ、
その一方、図18では、沈没地点および漂流する船首部
の双方から一定量の油が流出し続けるという設定がなさ
れている。また、各図において、それぞれ(a)は3日
後、(b)は6日後、(c)は12日後の油の拡散状況
を示している。図16〜図18に示すように、油の流出
箇所を変更(すなわち、シミュレーションにおいて油の
粒子を供給すべきセルおよび供給する油の量を経時的に
変更)することにより、重油の漂着をより正確に推定す
ることが可能となることが理解できる。
【0050】たとえば、上述したように一定の風向およ
び風速で、かつ、一定の拡散係数の下でのシミュレーシ
ョン計算は、通常のパーソナルコンピュータを用いて1
〜10分程度で実行することができる。したがって、重
油や汚染物質の流出など緊急を要する事故後の対策を立
てるために、迅速にシミュレーションを実行することが
可能である。また、本発明においては、局所近傍則のみ
を用いて現象を再現しているため、従来の支配方程式を
解く手法のように境界条件に拘束されることなく、事故
周辺海域など必要な領域を取り出して解析空間として、
これを解析すれば良く、必要な領域の現象のみを再現す
ることが可能となる。
【0051】このように、本実施の形態によれば、拡散
現象を解析すべき空間を複数のセルに分割し、かつ、セ
ルに存在する一以上の粒子を局所近傍系を構成する他の
セルに移動させることにより、粒子の拡散をシミュレー
トしている。したがって、複雑な方程式の解析解を求め
ることなく、適切に、拡散現象をシミュレートすること
が可能となる。
【0052】次に、本発明の第2の実施の形態につき説
明を加える。第2の実施の形態においては、第1の実施
の形態にかかる拡散現象シミュレータに、風速、風向
や、潮流を検出する手段を付加し、重油や汚染物質の流
出現場などで、より正確に、重油や汚染物質の拡散を可
能としている。
【0053】図19は、第2の実施の形態にかかる拡散
現象解析システムの機能を示すブロックダイヤグラムで
ある。図19において、図2に示すシミュレータと同一
の構成部分には同一の符号を付し、また、この拡散現象
解析システムは、図1に示すハードウェア構成にて実現
可能である。図19に示すように、このシステム50
は、拡散現象シミュレーションを構成するセル管理部3
2、シミュレーション実行部40などの他、風向および
風速を示すデータに基づき、水面上に発生する吹送流を
算出する吹送流算出部52と、統計的な潮流の速度およ
び方向を示すデータを予め記憶した潮流データベース5
4と、吹送流および潮流に基づき、粒子の移動に偏りを
持たせるための移動確率の差を算出する速度算出部56
とを備えている。
【0054】吹送流算出部52には、操作者が入力装置
20を操作することにより、或いは、吹送流算出部52
に接続されたセンサにより、風向および風速を示す観測
値が与えられる。吹送流算出部52は、この観測値に風
力係数を乗じて流れの速度(ベクトル)を推定する。な
お、風力係数は実験値を入力装置20に入力すれば良
い。
【0055】速度算出部56は、日時や現場の位置に基
づき、潮流データベースから、必要な潮流の方向および
大きさを示すデータを読み出すとともに、吹送流算出部
からの流れの速度ベクトルを受け入れ、これらのベクト
ル和を求めて、速度vの大きさおよび方向を決定する。
このようにして、速度算出部56にて算出された速度v
は、シミュレーション条件設定/記憶部38に一時的に
記憶され、実際のシミュレーション中に、シミュレーシ
ョン実行部40にて、移動確率の差ε((4)式参照)
を求めるために用いられ、その結果、各セルの粒子の移
動確率を決定するために用いられる。なお、実際のシミ
ュレーションの処理は、図8のフローチャートに示すも
のと略同様であるため、その説明は省略する。
【0056】本実施の形態によれば、実際の風力の観測
値や潮流を加味して速度を算出し、この速度に基づき、
粒子の移動に偏りを持たせることができる。また、パー
ソナルコンピュータにて、システムを実現することがで
きる。したがって、重油や汚染物質流出の現場などで、
シミュレーションを実行することで、リアルタイムで拡
散状況を、高精度で予測ないし推定することが可能とな
る。また、現場での拡散状況の調査結果に基づき拡散の
度合いを簡単に変更することができるため、拡散状況
を、さらに高精度で予測なしし推定することが可能とな
る。
【0057】本発明は、以上の実施の形態に限定される
ことなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内
で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内
に包含されるものであることは言うまでもない。たとえ
ば、前記実施の形態においては、図4に示すように、各
セル(座標)に対して、壁面/水面を示す第2の状態量
と、粒子数を示す第の状態量とを定義したが、これに限
定されるものではなく、他の状態量を割り当てても良
い。たとえば、図20に示すように、各セルに対して、
粒子の移動確率を定義しておいても良い。この移動確率
は、セルの位置に応じて、操作者が入力装置20を操作
して設定しても良いし、図19に示す速度算出部56に
て算出された速度などに基づき、自動的に設定しても良
い。
【0058】また、前記実施の形態においては、図5に
示すように、あるセルの粒子は、最大で隣接する4方向
に移動可能なように設定されているが、粒子の移動方向
はこれに限定されるものではなく、たとえば、図21
(a)、(b)に示すように、平面上で粒子が3方向、
6方向などに移動できるようにしても良い。なお、図2
1(c)に示すように、正方形のセルにおいて、粒子が
8方向に移動できるように設定しても良いが、粒子の移
動距離を等しい方が好ましいため、図5や図21
(a)、(b)のような設定の方がより好ましい。
【0059】さらに、前記実施の形態においては、二次
元の拡散現象をシミュレートするために、平面上の解析
空間をセルにて分割しているが、本発明は、三次元の拡
散現象をシミュレートすることも可能である。たとえ
ば、この場合には、図22に示すように、三次元の解析
空間を立方体のセルにて分割し、セル(符号2201参
照)の粒子が、矢印に示す8方向に移動できるように設
定すれば良い。この場合も、セルの形状は立方体に限定
されるものではなく、また、粒子の移動方向を8方向以
外に設定しても良い。
【0060】また、前記実施の形態においては、重油や
汚染物質など液体の拡散現象を解析したが、これに限定
されるものではなく、たとえば、工場や焼却炉から排出
される煙などの拡散や、気体の拡散などにも本発明を適
用できることは言うまでもない。
【0061】さらに、本明細書において、手段とは必ず
しも物理的手段を意味するものではなく、各手段の機能
が、ソフトウェアによって実現される場合も包含する。
さらに、一つの手段の機能が、二つ以上の物理的手段に
より実現されても、若しくは、二つ以上の手段の機能
が、一つの物理的手段により実現されてもよい。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、複雑な処理や複雑な方
程式の解法を用いることなく、短時間で精度良く拡散現
象を解析するシミュレーションシステムを提供すること
が可能となる。特に、小型コンピュータを用いて、短時
間でかつ高精度に油、汚染物質などの拡散シミュレーシ
ョンを実行することができ、現場などにて観測値を入力
して、迅速に拡散状況の予測、推定をなすことが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる
拡散現象シミュレータのハードウェア構成を示すブロッ
クダイヤグラムである。
【図2】 図2は、第1の実施の形態にかかる拡散現象
シミュレータの機能を示すブロックダイヤグラムであ
る。
【図3】 図3は、第1の実施の形態にかかる解析平面
中のセルの構成を説明するための図である。
【図4】 図4は、第1の実施の形態にかかるセルに割
り当てられる種々のデータを説明するための図である。
【図5】 図5は、セル中の粒子の移動を説明するため
の図である。
【図6】 図6は、第1の実施の形態において、一次元
の拡散現象を、二次元のCAを用いてシミュレートした
結果を示すグラフである。
【図7】 図7は、第1の実施の形態にかかる拡散現象
シミュレータにおいて、シミュレーションに必要な設定
の処理を示すフローチャートである。
【図8】 図7は、第1の実施の形態にかかる拡散現象
シミュレータのシミュレーション処理を示すフローチャ
ートである。
【図9】 図9は、速度を考慮した粒子の移動確率を説
明するための図である。
【図10】 図10は、流れの場の中にある濃度の高い
領域が時間とともに拡散する現象をシミュレートした例
を示す図である。
【図11】 図11は、シミュレーションのために用い
た解析空間を示す図である。
【図12】 図12は、図11に示す解析空間におい
て、風力係数を0としてシミュレーションを実行した結
果を示す図である。
【図13】 図13は、図11に示す解析空間におい
て、風力係数を0.01としてシミュレーションを実行
した結果を示す図である。
【図14】 図14は、図11に示す解析空間におい
て、風力係数を0.02としてシミュレーションを実行
した結果を示す図である。
【図15】 図15は、実際の重油の漂着と、シミュレ
ーションによる重油の移動および漂着の予測とを比較し
た図である。
【図16】 図16は、油の流出位置および流出量の変
動を考慮してシミュレーションを実行した結果を示す図
である。
【図17】 図17は、油の流出位置および流出量の変
動を考慮してシミュレーションを実行した結果を示す図
である。
【図18】 図18は、油の流出位置および流出量の変
動を考慮してシミュレーションを実行した結果を示す図
である。
【図19】 図19は、第2の実施の形態にかかる拡散
現象解析システムの機能を示すブロックダイヤグラムで
ある。
【図20】 図20は、状態量としてセルに割り当てら
れる種々のデータの他の例を説明するための図である。
【図21】 図21は、セルおよび粒子の移動方向の他
の例を示す図である。
【図22】 図22は、セルおよび粒子の移動方向のさ
らに他の例を示す図である。
【符号の説明】
10 拡散現象シミュレータ 12 CPU 14 メモリ 16 固定記憶装置 18 インタフェース 20 入力装置 22 表示装置 24 プリンタ 32 セル管理部 34 セル状態量記憶部 36 セル状態量設定部 38 シミュレーション条件設定/記憶部 40 シミュレーション実行部 42 シミュレーション結果記憶部

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 解析対象となる空間を複数に分割してセ
    ルを生成するセル生成手段と、 各セルに対応して、当該セルに対応する領域に含まれる
    粒子の量を示す第1の状態量を定義する状態量定義手段
    と、 単位時間ごとの、セルの周囲に位置する局所近傍を構成
    する他のセルへの第1の状態量の移動を定義する移動量
    定義手段と、 前記定義された他のセルへの状態量の移動に基づき、前
    記セルごとに、前記定義された第1の状態量を変更する
    ことにより、粒子の移動を実現するシミュレーション手
    段とを備えたことを特徴とする拡散現象シミュレータ。
  2. 【請求項2】 前記第1の状態量が、対応するセルの領
    域に含まれる粒子の数にて表わされることを特徴とする
    請求項1に記載の拡散現象シミュレータ。
  3. 【請求項3】 前記シミュレーション手段が、単位時間
    ごとに、セル中の粒子を、当該セルに隣接する局所近傍
    を構成するセルに移動させるように構成され、前記セル
    の大きさおよび前記単位時間により、拡散係数が決定さ
    れることを特徴とする請求項1または2に記載の拡散現
    象シミュレータ。
  4. 【請求項4】 前記状態量定義手段が、前記セルに対応
    して、粒子が通過し得るか否かを示す第2の状態量を定
    義することを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項
    に記載の拡散現象シミュレータ。
  5. 【請求項5】 前記第2の状態量が、粒子が通過し得る
    領域であること、および、障害物であることの何れか一
    方を示すことを特徴とする請求項4に記載の拡散現象シ
    ミュレータ。
  6. 【請求項6】 前記移動量定義手段が、前記第2の状態
    量に基づき、局所近傍を構成するセルのうち、粒子を移
    動させることが可能なセルを選択することを特徴とする
    請求項4または5に記載の拡散現象シミュレータ。
  7. 【請求項7】 前記シミュレーション手段が、前記第2
    の状態量が障害物であることを示すセルにおいて、粒子
    を蓄積させるように作動することを特徴とする請求項4
    または5に記載の拡散現象シミュレータ。
  8. 【請求項8】 前記移動量定義手段が、前記局所近傍を
    構成するセルの各々に粒子を移動させる移動確率を決定
    することを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に
    記載の拡散現象シミュレータ。
  9. 【請求項9】 前記移動量定義手段が、移流速度を考慮
    して、前記移動確率を決定することを特徴とする請求項
    8に記載の拡散現象シミュレータ。
  10. 【請求項10】 前記移動量定義手段が、移流方向に向
    かう粒子の移動確率と、その反対方向に向かう粒子の移
    動確率との差が、前記移流速度と比例するように、前記
    粒子の移動確率を決定することを特徴とする請求項9に
    記載の拡散現象シミュレータ。
  11. 【請求項11】 請求項9または10に記載の拡散現象
    シミュレータと、風力および風向を示すデータに基づ
    き、移流速度を算出する速度算出手段とを備え、前記速
    度算出手段にて算出された移流速度に基づき、移動確率
    が決定されることを特徴とする拡散現象解析システム。
  12. 【請求項12】 前記速度算出手段が、前記風力および
    風向を示すデータと、潮流の大きさおよび向きを示す潮
    流データとに基づき、海上に浮遊する粒子の移流速度を
    算出するように構成されたことを特徴とする請求項11
    に記載の拡散現象解析システム。
  13. 【請求項13】 解析対象となる空間を複数に分割して
    セルを生成するステップと、 各セルに対応して、当該セルに対応する領域に含まれる
    粒子の量を示す第1の状態量を定義ステップと、 単位時間ごとの、セルの周囲に位置する局所近傍を構成
    する他のセルへの第1の状態量の移動を定義するステッ
    プと、 前記定義された他のセルへの状態量の移動に基づき、前
    記セルごとに、前記定義された第1の状態量を変更する
    ことにより、粒子の移動を実現するステップとを備えた
    ことを特徴とする拡散現象のシミュレーション方法。
  14. 【請求項14】 前記第1の状態量が、対応するセルの
    領域に含まれる粒子の数にて表わされることを特徴とす
    る請求項13に記載の拡散現象のシミュレーション方
    法。
  15. 【請求項15】 前記シミュレーションのステップが、
    単位時間ごとに、セル中の粒子を、当該セルに隣接する
    局所近傍を構成するセルに移動させるように構成され、
    前記セルの大きさおよび前記単位時間により、拡散係数
    が決定されることを特徴とする請求項13または14に
    記載の拡散現象のシミュレーション方法。
  16. 【請求項16】 前記状態量を定義するステップが、前
    記セルに対応して、粒子が通過し得るか否かを示す第2
    の状態量を定義するステップを含むことを特徴とする請
    求項13ないし15の何れか一項に記載の拡散現象のシ
    ミュレーション方法。
  17. 【請求項17】 前記移動量を定義するステップが、前
    記局所近傍を構成するセルの各々に粒子を移動させる移
    動確率を決定するステップを含むことを特徴とする請求
    項13ないし16の何れか一項に記載の拡散現象のシミ
    ュレーション方法。
  18. 【請求項18】 前記移動確率を決定するステップが、
    移流速度を考慮して、移動確率を決定することを特徴と
    する請求項17に記載の拡散現象のシミュレーション方
    法。
  19. 【請求項19】 拡散現象をシミュレートするプログラ
    ムを記憶した、コンピュータにより読出し可能な記憶媒
    体であって、 解析対象となる空間を複数に分割してセルを生成するス
    テップと、 各セルに対応して、当該セルに対応する領域に含まれる
    粒子の量を示す第1の状態量を定義ステップと、 単位時間ごとの、セルの周囲に位置する局所近傍を構成
    する他のセルへの第1の状態量の移動を定義するステッ
    プと、 前記定義された他のセルへの状態量の移動に基づき、前
    記セルごとに、前記定義された第1の状態量を変更する
    ことにより、粒子の移動を実現するステップとを備えた
    プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータに
    より読み出し可能な記憶媒体。
  20. 【請求項20】 前記第1の状態量が、対応するセルの
    領域に含まれる粒子の数にて表わされることを特徴とす
    る請求項19に記載のコンピュータにより読み出し可能
    な記憶媒体。
  21. 【請求項21】 前記シミュレーションのステップが、
    単位時間ごとに、セル中の粒子を、当該セルに隣接する
    局所近傍を構成するセルに移動させるように構成され、
    前記セルの大きさおよび前記単位時間により、拡散係数
    が決定されることを特徴とする請求項19または20に
    記載のコンピュータにより読み出し可能な記憶媒体。
  22. 【請求項22】 前記状態量を定義するステップが、前
    記セルに対応して、粒子が通過し得るか否かを示す第2
    の状態量を定義するステップを含むことを特徴とする請
    求項19ないし21の何れか一項に記載のコンピュータ
    により読み出し可能な記憶媒体。
  23. 【請求項23】 前記移動量を定義するステップが、前
    記局所近傍を構成するセルの各々に粒子を移動させる移
    動確率を決定するステップを含むことを特徴とする請求
    項19ないし24の何れか一項に記載のコンピュータに
    より読み出し可能な記憶媒体。
  24. 【請求項24】 前記移動確率を決定するステップが、
    移流速度を考慮して、移動確率を決定することを特徴と
    する請求項23に記載のコンピュータにより読み出し可
    能な記憶媒体。
JP29163798A 1998-10-14 1998-10-14 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体 Pending JP2000122521A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29163798A JP2000122521A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29163798A JP2000122521A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000122521A true JP2000122521A (ja) 2000-04-28

Family

ID=17771538

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29163798A Pending JP2000122521A (ja) 1998-10-14 1998-10-14 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000122521A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005234699A (ja) * 2004-02-17 2005-09-02 Yokohama Tlo Co Ltd セルオートマトンによるタンパク質の立体構造推定装置及び方法
JP2006293103A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Saga Univ 教育システムおよびその方法
JP2008507049A (ja) * 2004-07-15 2008-03-06 レイセオン・カンパニー 複数の分散エレメントによる自動探索システム及び方法
JP2008304267A (ja) * 2007-06-06 2008-12-18 Tokyo Univ Of Science 懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラム
JP2014018858A (ja) * 2012-07-24 2014-02-03 Murata Mach Ltd 熱切断加工機の素材熱伝播シミュレーション装置
KR102602962B1 (ko) * 2023-04-28 2023-11-16 한국해양과학기술원 수치적 추적자 기법을 이용한 해양오염 확산 시뮬레이션 시스템 및 방법

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005234699A (ja) * 2004-02-17 2005-09-02 Yokohama Tlo Co Ltd セルオートマトンによるタンパク質の立体構造推定装置及び方法
JP2008507049A (ja) * 2004-07-15 2008-03-06 レイセオン・カンパニー 複数の分散エレメントによる自動探索システム及び方法
JP4926958B2 (ja) * 2004-07-15 2012-05-09 レイセオン カンパニー 複数の分散エレメントによる自動探索システム
JP2006293103A (ja) * 2005-04-12 2006-10-26 Saga Univ 教育システムおよびその方法
JP2008304267A (ja) * 2007-06-06 2008-12-18 Tokyo Univ Of Science 懸濁物質濃度の分布解析装置及びプログラム
JP2014018858A (ja) * 2012-07-24 2014-02-03 Murata Mach Ltd 熱切断加工機の素材熱伝播シミュレーション装置
KR102602962B1 (ko) * 2023-04-28 2023-11-16 한국해양과학기술원 수치적 추적자 기법을 이용한 해양오염 확산 시뮬레이션 시스템 및 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wagner et al. An analytical model of iceberg drift
CN109284865B (zh) 一种基于围油栏的海上溢油运动轨迹预测方法
Broström et al. Usefulness of high resolution coastal models for operational oil spill forecast: the" Full City" accident
Zhang et al. Evaluation of multi-source forcing datasets for drift trajectory prediction using Lagrangian models in the South China Sea
JP2000122521A (ja) 拡散現象シミュレータ、拡散現象解析システム、拡散現象のシミュレーション方法および記憶媒体
Wang et al. Offshore petroleum leaking source detection method from remote sensing data via deep reinforcement learning with knowledge transfer
Carratelli et al. On the effects of wave-induced drift and dispersion in the Deepwater Horizon oil spill
Naoum et al. A GIS pre-processor for pollutant transport modelling
KR20200005271A (ko) 해안도시지역 내 범람 모의방법 및 그를 위한 컴퓨터 프로그램
Zhang et al. Three-dimensional waterway system for ship navigation based on integrated virtual waterway and flow simulation
Martelli et al. Holistic modeling of the global propulsion energy index in waves for small craft
CN112884310B (zh) 一种污染物扩散规律计算机辅助评估方法、系统及装置
Shi et al. Investigation of the ship–seabed interaction with a high-fidelity CFD approach
Elsersawy et al. Integrating Geographical Information System (GIS) with hydrodynamic modeling for evaluation the Nile River berths navigation conditions
Zhang et al. Flow simulation and visualization in a three-dimensional shipping information system
Boikos et al. Validating CFD modelling of ship plume dispersion in an urban environment with pollutant concentration measurements
Furnans et al. Including drag and inertia in drifter modelling
Smith et al. Autonomous passage planning for a polar vessel
Spaulding et al. COASTMAP: an integrated monitoring and modeling system to support oil spill response
Koester Experimental study of submerged single-port thermal discharges.
Nakano et al. Coastal oil pollution prediction by a tanker using cellular automata
Liu et al. Simulating and predicting offshore oil spills by using cellular automata
Barker The NOAA trajectory analysis planner: TAP 11
Mahmoodi et al. A CFD investigation of the propulsion performance of a low-speed VLCC tanker at different initial trim angles
CN118012053A (en) Unmanned ship movement planning method and device, electronic equipment and storage medium