JP2000116627A - ストリップ形状の電気化学センサ - Google Patents

ストリップ形状の電気化学センサ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストリップ形状の電気化学センサの取り扱い
を容易にさせること。 【解決手段】 本発明は、電気的絶縁間隙によって分離
された少なくとも二つの電流コレクタを長さの全体又は
一部に亙って有した薄いプラスチック基材を備えて小寸
のストリップ形状をなし、基材及びコレクタはプラスチ
ック被覆によって覆われており、この被覆にはコレクタ
部分が表出することを可能とするように二つの窓部が切
り開けられて、一方の端部の接続窓部と他方の端部の近
くの測定窓部とを形成し、測定窓部を越えたストリップ
の末端部分は自由部分とされている電気化学センサであ
って、末端部分は、ストリップにおける窓部が配置され
ている面に、基材の外側面の熱間変形部又は冷間変形部
によって得られた少なくとも一つのボタンを含み、この
ボタンによってセンサを平坦な表面の端縁まで滑動させ
て把握することを可能とさせる電気化学センサを提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、取り扱いが容易
な、短冊形状すなわちストリップ形状の電気化学センサ
に関し、例えば平坦な表面から把握して、生物学的パラ
メータを決定すること又は構成成分の濃度を測定するこ
とを可能とさせる電気装置へ挿入することを容易にす
る。
【0002】
【従来の技術】一般的な用語「化学センサ」又は「比色
センサ」で呼称される、化学的反応に基づいて色を変化
させる試薬ストリップは、多数の化学的又は生物学的な
測定又は計量に対して一般的に使用されており、係るセ
ンサがロール形態になっていてそのロールから一部分を
分離してその一方の端部を分析されるべき溶液中に浸漬
させるときには、取り扱いに特になんら困難を伴わな
い。このようなセンサは、一般的に、色変化反応が顕現
するまで手に保持されていてそれから廃棄されるので、
取り扱いが容易である。これらのセンサが個別のパウチ
に包装されているときには、使用者がパウチを開くのに
困難を伴うことがある。これらのセンサが個別には包装
されておらず箱の中に積層されている若しくはチューブ
中に緩やかに置かれているときには、センサが互いに付
着している可能性があるので、包装束から単一のセンサ
を取り出すことはしばしば困難となる。
【0003】しかしながら、センサが平坦な表面に置か
れていてもなお取り扱いを容易にするために、米国特許
第5008077号明細書はセンサの先端部を傾けるこ
とによって把握することを容易にした化学センサを提案
している。このセンサは長寸のプラスチック支持体から
形成されており、その一方の端部は試薬材料を有してお
り、他方の端部はそれによってセンサを把握しなくては
ならない部分であり、センサが載置されている平坦な表
面から所定の距離に位置しているが、これは、例えば曲
げ加工によりこの他方の端部を曲げることによって、若
しくは、把握されるべき端部と試薬材料との間のプラス
チック材料を変形させて幅の大部分に亙って平坦な表面
の方に向かって隆起した部分、すなわちセンサに関し試
薬材料を有した面と反対側の面に位置する隆起した部分
を形成することによって実現される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記配置は、一方の端
部に配置された接触領域とセンサ上で所定の距離をおい
て配置された少なくとも一つの測定領域とを接続する少
なくとも二つの電流コレクタを備えている点で、電気化
学センサにとって満足すべきものではない。これらのコ
レクタはプラスチック支持体の幅の極めて広い部分を占
有するものであり、金属化プラスチックフィルムを貼り
付けることによって、若しくは、導電性ペーストをスク
リーン印刷することによって上記支持体に被着させられ
た極めて薄い導電材料によって形成されている。数十マ
イクロメータのオーダの厚さを有する係るコレクタは、
プラスチック支持体の表面がその幅の非常に広い部分に
亙って何らかの曲げ又はスタンピングを受けることによ
って、損傷を受ける。
【0005】本発明の目的は、センサを平坦な表面の端
縁まで滑動させ得るようにすることで平坦な表面から把
握することが容易になっている電気化学センサを提供す
ることによって、上記従来技術の欠点を克服することに
ある。本発明は、さらに、電子装置の中へ一方の方向に
のみ挿入され得ると共に、センサのいずれの面が測定領
域や接触領域を備えているかを認識し且つ触ることなし
にその箇所を容易に識別することを視力の弱い人間に対
して可能にするタイプのセンサに関する。他の側面によ
れば、本発明に係る電気化学センサは、二つのセンサが
互いに対して貼り付く危険性を伴わず、それらセンサを
積層することによって箱の中に包装することを可能とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】したがって、本発明は、
生物学的パラメータを決定する又は溶液中の構成成分の
濃度を測定するための小寸のストリップ形状の電気化学
センサに関し、このセンサは、電気的絶縁間隙部によっ
て分離された少なくとも二つの電流コレクタを長さの全
体又は一部分に亙って有した薄いプラスチック基材を含
むものである。基材及びコレクタはプラスチック被覆で
覆われており、その被覆にはコレクタ部分が表出するこ
とを可能にする二つの窓部が切り開けられて、一方の端
部に接続窓部を形成すると共に他方の端部の近くに測定
窓部を形成し、測定窓部を越えたストリップの末端部分
はコレクタが設置されてもされなくてもよい自由部分と
されている。このセンサは、末端部分が、ストリップに
おける窓部が配置されている面に、基材の外側面を熱間
変形又は冷間変形することによって得られた少なくとも
一つのボタンを備えていることを特徴とする。
【0007】電気化学センサ、特に血糖値のような生物
学的パラメータを測定することを目的とするセンサの場
合には、そのセンサを包装束から平坦な表面の上に取り
出した後、そのセンサを測定装置へ挿入してそれから血
液のような試験溶液を滴下するために、優しくセンサを
把握できることが必要とされる。本発明によるセンサ
は、接触領域と測定領域とを備えるセンサの表面の隆起
したボタンにより、平坦な表面の端縁、例えばテーブル
の端縁までセンサを滑動させることができるようにする
ことによってこの目的を達成することを可能とさせる。
好適な実施形態によれば、この変形は、被覆の外側表面
に対するボタンの高さがポンチによって基材に作られた
変形部の周囲面の深さよりも大きくなるように成され、
ポンチによって少量のプラスチック材料を後退させてボ
タンを形成させる。本願の以下の詳細な例においては、
本発明の幾つかの実施形態が例として示されている。明
らかであるように、最も経済的な方法で係るセンサをバ
ッチで製造することを希望するのであれば、各センサは
ボタン及び対応する変形部を同じ箇所に有することにな
る。各センサが積層形態で包装されるのであれば、変形
部の形状がボタンの形状と正確に同じになるようにする
と各センサがスナップファスナーのように組みあがる危
険性がある。この好適な実施形態によれば、ボタンと変
形部とを正確に同じ箇所に有したとしても二つの積層さ
れたセンサの間にその長さの少なくとも一部分において
間隙部を配置するようにすることによってこの欠点を回
避させることを可能にしている。
【0008】コレクタが支持体の一方の端部から他方の
端部まで延びたセンサを製造するときには、把握用ボタ
ンが好適には絶縁間隙部の領域に配設される。さらに、
ボタンを末端部分に位置する絶縁間隙部の長さ上の任意
の箇所に配置することが可能である。また、コレクタが
末端部分にない若しくは末端部において完全に省略され
ているセンサをバッチで製造することが可能である。こ
の場合には、把握用ボタンを末端部分の表面の任意の箇
所に配置することが可能である。共同してセンサの幅の
全体又は一部に亙って把持用棒状体を形成し得る複数の
ボタンを配置することも等しく可能である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の他の特徴及び利点は添付
の図面に関する以下の詳細な説明により明らかとなる。
図1は、例示として、電流滴定すなわち測定技術によっ
て血糖値を測定することを可能にさせる電気化学センサ
を示している。このセンサは、例えばPET(ポリエチ
レンテレフタラート)から作られた薄いプラスチック基
材1を備えており、この基材1が小さな間隙部3によっ
て分離された二つの集電極すなわちコレクタ4、5をそ
の長さ全体に亙って有し、間隙部3が二つのコレクタ
4、5を電気的に絶縁している。これらのコレクタ4、
5の性質及びそれらを基材1に取り付ける方法は当業者
にとって周知のことである。この取り付け方法は、例え
ば、作用電極9aを形成するコレクタ5と基準電極9b
を形成するコレクタ4とに対して異なる金属を使用した
二つの金属化絶縁フィルムの層を貼り付けることからな
る。例えば、周知の組み合わせPt−Ag/AgClが
用いられる。基材1及びコレクタ/電極4、5/9a、
9bは絶縁被覆2で覆われるが、この絶縁被覆2には例
えばスタンピングによって二つの窓部8、9が切り開け
られ、これによりコレクタ部分4、5が表出するように
なる。第一窓部8はセンサの一方の端部に位置してお
り、測定装置に対してこの目的のために設けられた開口
にセンサを挿入することによってセンサを測定装置に電
気的に接続することを可能とさせる。他方の端部の近く
に配置された第二窓部9は電極9a、9bが表出するよ
うになさしめている測定窓の境界を定めている。選択さ
れた例においては、例えばグルコースオキシダーゼ(G
OD)を含む試薬組成物が、例えば米国特許第5378
628号に教示される内容に従って、測定電極たる作用
電極9aと電子を伝達することを可能にする媒介物とに
加えられる。センサ、より正確には基材1及び被覆2
は、測定窓部たる第二窓部9を越えて末端部分10まで
延設されており、この末端部分10により、センサを測
定装置に挿入するべく、接続窓部たる第一窓部8又は測
定窓部9に触れることなしにセンサを把握することが可
能となる。センサの把握を可能にする又は容易にするた
めに、この末端部分10は基材1及び被覆2の変形部1
1によって実現されるボタン12を備えており、このボ
タン12は指を押し当てることによって平坦な表面の端
縁までセンサを容易に滑働させ得るようにする。
【0010】ボタン12は様々な様態で実現することが
できるが、図2及び図3に関する本発明の他の様相によ
れば、ボタン12の高さhが変形部11の深さpよりも
大きくなるように基材1の外側面を熱間変形又は冷間変
形せしめることによってボタン12が形成される。基材
1と被覆2とがセンサの組立体に関して融合された状態
で示されている図2に示されるように、被覆の側に配置
されボタンの所望される形状に対応して窪んでいるダイ
の半径よりも大きい半径の湾曲を有した丸い端部を有す
るポンチにより変形させることによって、上記結果が得
られる。図3に示される他の実施形態によれば、使用さ
れるポンチはボタン12に対して所望されるのとほぼ同
じ半径の湾曲を有し得るが、その端部には周縁に支持冠
部14が配置された軸線方向延長部を有している。この
軸線方向延長部は例えば図4に示されるように十字形状
になっている。軸線方向延長部には、センサの裏側でも
読み取りが可能となり例えばセンサの機能を示すことが
できる英数字記号のような他の任意の形状が与えられ
る。ポンチの軸線方向延長部は、プラスチック材料を付
加的に移動させて変形部11の深さpよりも大きい高さ
hをボタン12に付与することによって、変形部11の
周囲面の底部に窪み13を生ぜしめる。したがって、変
形部11の周囲面はボタン12の周囲面よりも小さくな
る。
【0011】図2及び図3の断面図は、基本的にはバッ
チ製造の経済的要件のために、電流コレクタ4、5が基
材1の長さ全体に亙って配置されているセンサに関する
ものである。末端部分10に位置するコレクタ部分はな
んら実用上の機能を有していないが、変形部がコレクタ
を移動させるとすればセンサを短絡させかねない。ボタ
ン12は、この理由で、好適には絶縁間隙部3の領域に
配置されるが、同じ製造バッチのセンサの場合を含め
て、製造者の選択に従ってこの線に沿った任意の場所を
占有することが可能である。
【0012】図5を参照すると、例えば末端部分10の
電流コレクタ4、5を研磨することによって電流コレク
タ4、5が中絶させられたセンサの末端部分10が示さ
れている。前述された短絡の危険性はもはやなく、単数
又は複数のボタンが末端部分10の任意の場所を占有す
ることが可能となる。示されるように、幾つかのボタン
12が共同して棒状体15を形成することさえも可能で
あり、この場合には、この棒状体15は適切な形状を有
したポンチによって得られる。
【0013】上記の例は限定する例示として示されたも
のではなく、それによって製造費用をほとんど増加させ
ることなく、取り扱い及び包装するのが容易あると共
に、センサが挿入されるべき測定装置のスロットが常に
センサの断面に正確に対応するとすれば、そのボタンが
さらに「極性」機能をも有するように構成された、電気
化学センサを製造することが可能であることを示すもの
である。
【0014】上記の説明は本質的には糖値測定用電気化
学センサを参照してなされたものであるが、当業者であ
れば、本発明の範囲から逸脱することなく、電導度測
定、電解電量測定、電量測定又はポーラログラフ測定に
基づき他の化学的パラメータ又は生物学的パラメータを
決定又は測定する他の任意の電気化学センサに対して必
要な調整をなすことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気化学センサの斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿って切った把握用ボタ
ンの第一実施形態の拡大断面図である。
【図3】図1の線II−IIに沿って切った把握用ボタ
ンの第二実施形態の拡大断面図である。
【図4】図3に示される把握用ボタンを形成する変形部
の底面図である。
【図5】本発明によるセンサの他の実施形態の斜視図で
ある。
【符号の説明】
1…基材 2…被覆 3…間隙部 4…コレクタ 5…コレクタ 8…接続窓部 9…測定窓部 10…末端部分 11…変形部 12…ボタン

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気的絶縁間隙部(3)によって分離さ
    れた少なくとも二つの電流コレクタ(4、5)を長さの
    全体又は一部に亙って有した薄いプラスチック基材
    (1)を備えて小寸のストリップ形状をなし、前記基材
    (1)及び前記コレクタ(4、5)はプラスチック被覆
    (2)によって覆われており、該被覆(2)には前記コ
    レクタ部分(4、5)が表出することを可能にする二つ
    の窓部(8、9)が切り開けられて、一方の端部に接続
    窓部(8)を形成すると共に他方の端部の近くに測定窓
    部(9)を形成し、前記測定窓部を越えた前記ストリッ
    プの末端部分(10)は自由部分とされている、生物学
    的パラメータを決定する又は溶液中の構成成分の濃度を
    測定するための電気化学センサであって、 前記末端部分(10)は、前記ストリップにおいて前記
    接続窓部(8)及び前記測定窓部(9)が配置されてい
    る面に、前記基材(1)の外側面の熱間変形部又は冷間
    変形部(11)によって得られた少なくとも一つのボタ
    ン(12)を含み、該ボタン(12)によって前記セン
    サを一層容易に取り扱えるようにしたことを特徴とする
    ストリップ形状の電気化学センサ。
  2. 【請求項2】 前記ボタン(12)の前記被覆(2)か
    ら上の高さhは前記基材(1)の前記変形部(11)の
    周囲面の深さpよりも大きいことを特徴とする、請求項
    1に記載のストリップ形状の電気化学センサ。
  3. 【請求項3】 前記高さhと前記深さpの値の差は前記
    変形部(11)の前記周囲面の底部の窪みによって得ら
    れ、前記ボタン(12)及び前記変形部(11)は概略
    同じ半径の湾曲を有し得ることを特徴とする請求項2に
    記載のストリップ形状の電気化学センサ。
  4. 【請求項4】 前記高さhと前記深さpの値の差は前記
    変形部(11)が前記ボタン(12)よりも大きい半径
    の湾曲を有することによって得られることを特徴とす
    る、請求項2に記載のストリップ形状の電気化学セン
    サ。
  5. 【請求項5】 前記コレクタ(4、5)が前記センサの
    長さ全体に亙って配置されていることと、前記ボタン
    (12)が絶縁間隙部(3)の領域に配置されているこ
    ととを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれ
    か一項に記載のストリップ形状の電気化学センサ。
  6. 【請求項6】 前記コレクタ(4、5)が前記末端部分
    (10)において中絶されていることと、前記少なくと
    も一つのボタン(12)が前記末端部分(10)におけ
    る任意の箇所に形成されていることとを特徴とする、請
    求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のストリ
    ップ形状の電気化学センサ。
  7. 【請求項7】 複数のボタン(12)が共同して棒状体
    (15)を形成することを特徴とする、請求項1から請
    求項6までのいずれか一項に記載のストリップ形状の電
    気化学センサ。
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