JP2000116170A - モータのトルク制御装置 - Google Patents

モータのトルク制御装置

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JP2000116170A
JP2000116170A JP10284106A JP28410698A JP2000116170A JP 2000116170 A JP2000116170 A JP 2000116170A JP 10284106 A JP10284106 A JP 10284106A JP 28410698 A JP28410698 A JP 28410698A JP 2000116170 A JP2000116170 A JP 2000116170A
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torque
rotor
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Hideto Hanada
秀人 花田
Yasushi Kusaka
康 日下
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 容量の小さな同期モータにおいて駆動電圧が
飽和した場合でも更にトルクを出力させ、持てる能力を
最大限に引き出すものである。 【解決手段】 容量の小さな同期モータ10のトルク制御
装置に、トルク電流指令値IQc に基いてステータコイル
19に印加する電圧Vu,Vv,Vwを算出してステータコイル19
に印加する制御回路20と、ステータコイル19に流れる実
トルク電流iu,iv,iwを制御回路20にフィードバックする
フィードバック回路30を設け、制御回路20は印加電圧V
u,Vv,Vwが飽和状態になった時に、トルク電流指令値IQc
と位相の異なる励磁電流IDc を作ってこの印加電圧Vu,
Vv,Vwを変更すると、共に、フィードバックされた実ト
ルク電流Iqがトルク電流指令値IQc に一致するように励
磁電流IDc の値を補正するように動作する。同期モータ
にはクロポールモータを使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はモータのトルク制御
装置に関し、特に、自動車のオルタネータ等に使用され
るクロポールモータのような容量の小さな同期モータの
トルク制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ロータに内蔵されたコイルに通電
してロータを電磁石とし、この電磁石となったロータを
ステータに巻かれたコイルに通電することにより回転さ
せるクロポールモータと称される同期モータがある。こ
のクロポールモータは一般に自動車の充電装置における
発電機として使用されている。
【0003】図1(a) 〜(c) は自動車のオルタネータと
して使用される従来のクロポールモータ10の一例の構
造を示すものである。(a) に示すように、クロポールモ
ータ10のハウジング9の中には、回転するロータ1と
ハウジング9に固定されたステータ2、整流回路を構成
するダイオード5、及び、出力電圧を制御するボルテー
ジ・レギュレータとしてのICレギュレータ6がある。
ロータ1はベアリング3によってハウジング9に回転支
持されており、ロータシャフト11の一端には図示しな
いエンジンによって回転させられるプーリ4が取り付け
られ、他端にはロータシャフト11に巻かれたロータコ
イル12の両端に接続するスリップリング14がある。
15はブラシ、16はブラシ15をスリップリング14
に押し付けるスプリングである。
【0004】(b) に示すように、ロータ1には、ロータ
シャフト11にロータコイル12が巻かれており、この
ロータコイル12の前後のロータシャフト11にはロー
タコイル12を囲むように2つのロータコア13が対向
して取り付けられている。2つのロータコア13は共に
櫛歯状をしており、それぞれの櫛歯は非接触状態で互い
に噛み合うように配置されている。そして、ロータコイ
ル12に直流電流を流すと、これらの櫛歯はそれぞれN
極とS極に帯磁するようになっている。
【0005】(c) に示すように、ステータ2には薄い円
環状の鉄板を複数枚重ね合わせて構成されるステータコ
ア17があり、その内側にはいくつものスロット18が
設けられていて、このスロット18の中にステータコイ
ル19が巻かれている。ステータ2には3組の独立した
ステータコイル19が巻かれており、ロータ1の回転に
伴って3相交流が発生するようになっている。
【0006】図2(a) は従来のクロポールモータ10の
電気配線を示す図である。ロータシャフト11に巻かれ
たロータコイル12の両端は、ロータシャフト11に電
気的に絶縁された状態で取り付けられた2個のスリップ
リング14にそれぞれ接続されている。スリップリング
14は、ステンレスあるいは銅合金等でできた円筒状の
リングであり、外周部にブラシ15が接触している。ブ
ラシ15は自動車に搭載されたバッテリ8の両端に接続
されており、バッテリ8からロータコイル12に電流を
流してロータ1を電磁石にするようになっている。ステ
ータコア17はロータコア13から出た磁束がステータ
コイル19と有効に交差するように作られた磁束通路で
ある。ステータコア17には3組の独立したステータコ
イル19が巻かれており、ロータ1の回転により、電圧
Vu,Vv,或いはVwの3相交流が発生する。ステー
タコイル19の接続には図2(b) ,(c) に示すようにY
結線とΔ結線があるが、一般的には低速性能に優れてい
るY結線の方が採用されている。
【0007】ところで、以上のように構成されたクロポ
ールモータ10は、ロータコイル12に通電を行ってロ
ータ1を電磁石にした状態でステータコイル19に3相
交流を通電してやれば、モータとして動作する。従っ
て、図1(a) のプーリ4とエンジンのクランクシャフト
のプーリとの間にベルトをかけ渡した状態にすれば、ク
ロポールモータ10を自動車のスタータモータとしても
使用することができる。この場合、一般にはロータコイ
ル12への通電量は一定に保持しておき、ステータコイ
ル19への通電量のみを変更することが行われる。これ
は、ロータコイル12への通電量をステータコイル19
への通電量を両方変化させると制御が複雑になるからで
ある。
【0008】そして、このようなクロポールモータ10
に、自動車のオルタネータの機能とスタータモータの機
能の両方を持たせて省スペース化、及びコストダウンを
図ることが提案されている。一方、クロポールモータ1
0に電圧を印加して回転トルクを得る場合、これまでは
3相交流電圧を飽和電圧に達しない状態で与えてトルク
を得ていた。従って、通常の電圧で制御できる範囲内で
所定のトルクを発生するモータを得ようとすると、モー
タのサイズが大きくなってしまい、重量やスペースが増
大する問題があった。そこで、モータのサイズを小型に
保ったままで更に大きなトルクを得るために、印加する
3相交流電圧を飽和電圧まで上げることが行われてい
る。更にまた、飽和電圧を印加した時のモータのトルク
よりも更に大きなトルクを得ようとする場合には、モー
タに印加する電流の位相をずらせば良いことが知られて
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、クロポ
ールモータのような同期モータにおいて、飽和電圧を印
加した状態で電流の位相をずらすことによってモータの
発生するトルクを更に増大させようとすると、どの程度
電流位相をずらすかの判断が難しく、状態変化に合わせ
た制御ができないという問題点があった。ずらす電流の
位相をマップで決める方法も考えられるが、温度や個々
の機器の誤差でずらす位相の値は一定とならず、マップ
値で電流の位相を制御しても本当に欲しいトルクを得る
ことは困難であった。
【0010】これを図3及び図4を用いて説明する。一
般に、同期モータ等のモータは固定された部分と回転す
る部分を持っており、これらを共に固定された直交座標
系あるいは回転する直交座標系に変換した座標系がd−
q座標系である。q軸はd軸に対してπ/2進んだ位相
にある。同期モータの場合、d軸は界磁の作る磁束の方
向にとるのが一般的であり、d−q座標は回転座標系で
ある。
【0011】図3(a) に示すように、同期モータが低速
で回転しており、ωφで示されるモータの駆動電圧(逆
起電力)が電圧制限円Vmax 内にある場合は、このとき
のトルク電流指令値IQcに対して、モータのステータ
コイルに流れる実電流Iqはトルク電流指令値IQcに
ほぼ追従させて制御することができる。この場合、モー
タのインダクタンスXqにトルク電流指令値IQcを掛
けて得られる電圧ベクトル−XqIQcは、モータの駆
動電圧ωφの先端からq軸に対して左に折れる。この電
圧ベクトル−XqIQcの先端に0点から伸ばした電圧
ベクトルVcが電圧指令値であり、モータを駆動するイ
ンバータのデューティ比に相当するものである。モータ
速度が低速の時は、この電圧ベクトルVcも電圧制限円
Vmax に入ることがわかる。
【0012】一方、図3(b) に示すように、同期モータ
が高速で回転しており、ωφで示されるモータの駆動電
圧が電圧制限円Vmax を越えた場合は、モータのステー
タコイルに流れる実電流Iqをトルク電流指令値IQc
に追従させて制御することができなくなる。この場合、
電圧ベクトル−XqIQcの先端に0点から伸ばした電
圧指令値のベクトルVcは電圧制限円Vmax の外側に領
域に入り、モータを駆動するインバータのデューティ比
が100%を越えてしまう。このように、モータ速度が
高速の時は、実電流Iqがトルク電流指令値IQcに追
従できなくなり、モータのトルクが不足してしまうので
ある。
【0013】このトルクの不足分を補うために、図3
(b) に示すようにd軸方向に励磁電流IDcを与えるこ
とが行われる。このように励磁電流IDcを与えると、
電圧指令値のベクトルVcに電圧ベクトル−XdIDc
が作用するので、モータの駆動電圧ωφが小さくなり、
電圧指令値のベクトルVcを回転させて得られる電圧ベ
クトルVccが電圧制限円Vmax 内に抑えられることに
なる。即ち、励磁電流IDcを与えることによって電圧
指令値のベクトルVcの位相を回転させて高いトルクが
得られるようになる。
【0014】一方、図4(a) に示すように、モータの駆
動電圧が電圧制限円Vmax を越えた場合に与える励磁電
流IDcの選び方は何通りも考えられる。ここで、モー
タに与える励磁電流の位相とトルクの関係について見る
と、実トルク電流Iqがトルク指令値IQcに一致する
点で最大トルクとなり、励磁電流の位相をこれ以上進め
てもトルクは減少することが分かる。
【0015】従来は、IQc=Iqとなる励磁電流の位
相を最適点としてマップの形で持っていたが、実際に
は、モータや機器のばらつきや、動作中の温度変化から
必ずしもこの最適点で実トルク電流Iqがトルク指令値
IQcに一致しなくなるという問題点があったのであ
る。そこで、本発明は、クロポールモータのような容量
の小さい同期モータの駆動電圧が飽和電圧になった場合
に、モータや機器のばらつきや、動作中の温度変化があ
った場合でも、必ず同期モータの出力トルクをトルク指
令値通りに制御することができ、容量の小さな同期モー
タの出力トルクを限界いっぱいまで出力させることがで
きるモータのトルク制御装置を提供することを目的とし
ている。
【0016】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する本発
明の特徴は、以下に第1から第3の発明として示され
る。第1の発明の構成上の特徴は、モータのトルク制御
装置であって、モータのトルクを制御するために与えら
れるトルク電流指令値に基いて同期モータのステータコ
イルに印加する電圧を算出し、これをステータコイルに
印加する制御回路と、ステータコイルに流れる実トルク
電流を制御回路にフィードバックするフィードバック回
路とを備え、制御回路は、印加電圧が飽和状態になった
時に、トルク電流指令値と位相の異なる励磁電流を作っ
てこの印加電圧を変更すると共に、フィードバックされ
た実トルク電流がトルク電流指令値に一致するように励
磁電流の値を補正することにある。
【0017】第2の発明の構成上の特徴は、第1の発明
において、同期モータを、ロータシャフトに巻かれたロ
ータコイルと、このロータコイルの前後のロータシャフ
トにロータコイルを囲むように対向して取り付けられた
櫛状の2つのロータコア、及び、前記ロータコイルへの
給電用に前記ロータシャフトに取り付けられたスリップ
リングとからなるロータと、このロータの外側に位置
し、3個の独立したステータコイルが巻かれたステータ
コアを備えたステータとから構成されるクロポールモー
タとして構成したことにある。
【0018】第3の発明の構成上の特徴は、第2の発明
において、ロータコイルに通電する界磁電流値を、ロー
タの回転数に応じて変化させ、ロータの回転が大きくな
った時に界磁電流値が小さくなるようにしたことにあ
る。第1の発明では、トルク指令値による同期モータへ
の印加電圧値が飽和した時に、励磁電流が与えられ、同
期モータの実トルク電流がフィードバックされて実トル
ク電流がトルク指令値になるように励磁電流が変更され
る。この結果、同期モータへの印加電圧値が飽和になっ
た後に、更に大きなトルクを得ることができる。
【0019】第2の発明では、同期モータを自動車のオ
ルタネータとして使用されているクロポールモータとし
て構成することができる。第3の発明では、クロポール
モータの回転数が高くなった時にロータへの界磁電流値
が抑えられるので、過大な逆起電力の発生が抑えられ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。図
5は本発明の第1の実施例のモータのトルク制御装置2
0の構成を示すものである。このモータのトルク制御装
置20は、同期モータ、例えば、図1,2で説明したク
ロポールモータ10のトルクを制御するものであり、ト
ルク電流指令値の入力端子21、2つの加算器22A,
22B、2つの比例、積分制御器(図ではPI制御)2
3A,23B、ベクトル演算回路24、d−q座標/3
相交流コンバータ25、インバータ26、速度・位置信
号処理回路27、及び3相交流/d−q座標コンバータ
28とから構成されている。
【0021】トルク電流指令値の入力端子21に入力さ
れたトルク電流指令値IQcは2つに分岐され、一方は
直接ベクトル演算回路24に入力され、他方は加算器2
2Aにおいて実トルク電流Iqと加算され、PI制御器
23AでPI制御された後に加算器22Bにおいて実励
磁電流Idと加算された後に、PI制御器23BでPI
制御されてから励磁電流指令値IDcとしてベクトル演
算回路24に入力される。ベクトル演算回路24は、入
力されるトルク電流指令値IQcと励磁電流指令値ID
cとから、モータの回転磁界を作るインバータ26を制
御する2相のデューティ比Vdc,Vqcをd−q座標
系で作ってd−q座標/3相交流コンバータ25に出力
する。
【0022】このd−q座標/3相交流コンバータ25
は、入力された2相のデューティ比Vdc,Vqcを3
相のデューティ比Vuc,Vvc,Vwcに変換してイ
ンバータ26に出力する。この変換は座標変換であり、
以下の式で表される。
【0023】
【数1】 インバータ26は3相のデューティ比Vuc,Vvc,
Vwcの入力によって各相のオン、オフ時間のパターン
が変わり、図6(a) に示されるように、オン、オフ時間
のパターンに応じた電圧Vu,Vv,Vw(破線)が発
生する。3相のデューティ比Vuc,Vvc,Vwcが
100%になると、図6(b) に示されるように、インバ
ータ26の出力電圧は飽和状態となる。インバータ26
からの出力電圧Vu,Vv,Vwは、クロポールモータ
10のステータコイル19の各相に印加される。また、
クロポールモータ10のロータコイル12にもインバー
タ26から界磁電流Ifが印加される。通常、インバー
タ26からロータコイル12に供給される界磁電流If
は、バッテリ8から導かれる一定の電流である。
【0024】インバータ26からクロポールモータ10
に電圧Vu,Vv,Vwを印加する各ラインはフィード
バック回路30によって3相交流/d−q座標コンバー
タ28に接続され、インバータ26からクロポールモー
タ10のステータコイル19の各相に供給される実電流
iu,iv,iwが3相交流/d−q座標コンバータ2
8によって検出される。また、クロポールモータ10の
ロータの回転速度とロータの位置は、回転センサ7によ
って検出され、速度・位置信号処理回路27に入力され
ている。そして、インバータ26からクロポールモータ
10に供給される実電流iu,iv,iwが3相交流/
d−q座標コンバータ28に入力された時点のロータの
回転速度ωreが、速度・位置信号処理回路27から3
相交流/d−q座標コンバータ28に入力される。速度
・位置信号処理回路27からのロータの回転速度ωre
は、d−q座標/3相交流コンバータ25にも入力され
ている。
【0025】d−q座標/3相交流コンバータ25は、
入力されたクロポールモータ10への実電流iu,i
v,iwの値とロータの回転速度ωreに基づいて、実
トルク電流Iqと実励磁電流Idを作る。そして、実ト
ルク電流Iqはd−q座標/3相交流コンバータ25か
ら加算器22Aに印加され、実励磁電流Idはd−q座
標/3相交流コンバータ25から加算器22Bに印加さ
れる。
【0026】なお、以上説明したモータのトルク制御装
置20におけるトルク電流指令値IQc、実トルク電流
Iq、及び実励磁電流Idには物理的な意味はなく、そ
れぞれ、電流値を指示する制御値(或いは指令値)であ
る。即ち、このトルク制御装置20で指示できる電流の
大きさが0〜100の段階(分解能)であったとする
と、トルク電流指令値IQc、実トルク電流Iq、及び
実励磁電流Idはこの段階のどの値を出力させるかを指
示するものである。
【0027】以上のように構成されたモータのトルク制
御装置20では、入力端子21に入力されるトルク電流
指令値IQcが小さい時は、クロポールモータ10の回
転速度が低く、十分にトルクを出せる状態であるので、
図3(a) で説明したように、モータ10のステータコイ
ル19に流れる実トルク電流Iqはトルク電流指令値I
Qcにほぼ追従する。その結果、トルク電流指令値IQ
cと、フィードバック回路30から3相交流/d−q座
標コンバータ28を介して加算器22Aにフィードバッ
クされる実トルク電流Iqには差がないため、励磁電流
指令値IDcは0に制御される。そして、励磁電流指令
値IDc=0がベクトル演算回路24に入力されている
ので、実励磁電流Idも0に制御される。
【0028】この状態からクロポールモータ10の回転
数が増大してくると、モータ10が発生する逆起電力が
大きくなるため、図3(b) で説明したように、モータ1
0の駆動電圧が電圧制限円Vmaxを越え、ステータコ
イル19に流れる実トルク電流Iqをトルク電流指令値
IQcに追従させて制御することができなくなる。そう
すると、トルク電流指令値IQcとフィードバック回路
30から3相交流/d−q座標コンバータ28を介して
加算器22Aにフィードバックされる実トルク電流Iq
との間に差が生じる。この差がPI制御回路23Aに入
力されて励磁電流制御値IDが作られ、加算器22Bに
おいてこの励磁電流制御値IDに実励磁電流Idが加算
され、その差に応じた励磁電流指令値IDcがPI制御
回路23Bで作られてベクトル演算回路24に入力され
る。
【0029】すると、ベクトル演算回路24においてd
軸の電圧デューティ比Vdcが変更され、図3(b) で説
明したベクトル電圧−XdIdcがモータの駆動電圧に
作用し、モータの駆動電圧が小さくなってステータコイ
ル19に流れる実トルク電流Iqとトルク電流指令値I
Qcとの差が小さくなる。ベクトル演算回路24に入力
される励磁電流指令値IDcの値は、ステータコイル1
9に流れる実トルク電流Iqとトルク電流指令値IQc
との差がなくなるまで補正され続ける。そして、ステー
タコイル19に流れる実トルク電流Iqとトルク電流指
令値IQcとの差がなくなった時点における励磁電流指
令値IDcの値が、クロポールモータ10に最大トルク
を与えるものである。
【0030】このように、図5に示した本発明のモータ
のトルク制御装置20では、トルク電流指令値IQcに
よるクロポールモータ10の駆動電圧値が飽和した時に
励磁電流指令値IDcが与えられ、クロポールモータ1
0の実トルク電流Iqがフィードバックされて実トルク
電流Iqがトルク電流指令値IQcに一致するように励
磁電流指令値IDcが変更されるので、駆動電圧値が飽
和した時でもクロポールモータ10から大きなトルクを
得ることができる。
【0031】従って、本発明のモータのトルク制御装置
20を自動車のオルタネータを構成するクロポールモー
タ10に適用した場合には、オルタネータをスタータモ
ータとして使用することができる。この実施例を図7を
用いて説明する。図7は、本発明のモータのトルク制御
装置20が備えられたクロポールモータ10を車両のエ
ンジン31のスタータとオルタネータに兼用して使用し
た構成を示すものである。なお、この実施例におけるエ
ンジン31は、車両の停止時には燃料消費量を低減する
ために、エンジン31への燃料の供給を停止し、エンジ
ン31をモータによってアイドル回転に維持させようと
するエコノミーランニング(以後エコランという)モー
ドを備えるものである。
【0032】図7において、31は車両に搭載されたエ
ンジン(図ではE/G)であり、32はオートマチック
トランスミッション(図ではA/T)である。スタータ
モータ及びオルタネータとして機能するクロポールモー
タ10は、エンジン31のクランク軸39にプーリ3
3、ベルト34、及びプーリ35を介して連結されてい
る。プーリ35とエンジン31のクランク軸39との間
には、動力の伝達/非伝達が可能な電磁クラッチ36が
設けられている。また、クロポールモータ10はオート
マチックトランスミッション32用のオイルポンプ37
と、電磁クラッチ38を介して連結されている。なお、
37Aはオイルポンプ37のオイル入口配管、37Bは
オイルポンプのオイル出口配管である。
【0033】41,42は補機類であり、例えば、41
はパワーステアリング用のポンプ(以後パワステポンプ
と略記)、42はエアコンディショナ用のコンプレッサ
(以後エアコンコンプレッサと略記)である。パワステ
ポンプ41とエアコンコンプレッサ42は、エンジン3
1のクランク軸39及びクロポールモータ10とはプー
リ43,44及びベルト34によって連結されている。
また、クロポールモータ10には図5で説明したモータ
のトルク制御装置20が接続されている。
【0034】一方、前述のエコランを行うためのエコラ
ンスイッチのオン・オフ信号や、エアコンスイッチのオ
ン・オフ信号は、コントローラ40に入力される。ま
た、コントローラ40には、エンジン31の回転数を検
出する回転数センサ45からの回転速度信号も入力され
ている。そして、コントローラ40はこれらの信号から
エンジン31の運転状況を算出し、モータのトルク制御
装置20の入力端子21にトルク電流指令値IQcを与
え、電磁クラッチ36,38に動力の伝達/非伝達を指
令する信号を与える。更に、コントローラ40は、モー
タのトルク制御装置20のインバータ26に制御信号を
出力し、クロポールモータ10にバッテリ8から電気エ
ネルギを供給してスタータや補機駆動用モータとして機
能させるのか、バッテリ8への電気エネルギの充電を行
うオルタネータとして機能させるのかを切り換える。
【0035】なお、図示はしないが、補機類としては、
前述のパワステポンプ41やエアコンコンプレッサ42
の他に、エンジンオイルポンプ、エンジンウォータポン
プ等も連結されている。以上のようにエンジン31に唯
一のクロポールモータ10と本発明のモータのトルク制
御装置20とが備えられた車両では、エンジン31の始
動時にはコントローラ40がクロポールモータ10をス
タータとして機能させてエンジン31を始動させる。エ
ンジン31の始動後はコントローラ40はクロポールモ
ータ10をオルタネータとして機能させてバッテリ8に
電気エネルギを蓄える。エンジン31の始動時にはクロ
ポールモータ10の回転速度をコントローラ40は検出
し、エンジン始動時に必要なトルクと回転数がクロポー
ルモータ10から得られるようにトルク電流指令値IQ
cをモータのトルク制御装置20に出力すると共に、モ
ータのトルク制御装置20のインバータ26への制御信
号によりクロポールモータ10をスタータとして機能さ
せる。
【0036】このとき、例えば、エンジン始動時にエア
コンスイッチの信号がオンになっていれば、エアコンが
オフの時に比べて大きなトルクがエンジン31の始動に
必要であるから、コントローラ40は大きなトルク、所
定回転数でクロポールモータ10が回転できるようにト
ルク電流指令値IQcを制御する。トルク電流指令値I
Qcは、エンジン31、オートマチックトランスミッシ
ョン32、車両の各種の状態信号をコントローラ40が
取り込み、コントローラ40内のマップメモリに照らし
合わせて決定することもできるし、また、各種の状態信
号からコントローラ40内の演算装置で演算することに
よって求めることもできる。なお、エンジン始動時には
電磁クラッチ36,38は接続状態とされている。
【0037】次に、車両が停止状態で、エコランモード
信号がオンである時には、コントローラ40はエンジン
31への燃料の供給をカットさせる信号(図示せず)を
出力し、エンジン31を停止させる。エコランモード信
号は、例えば、車内に設けられたスイッチを運転者が押
すことによって発生する。また、エコランモードでのエ
コラン動作の条件としては、車速が0、かつ、シフトレ
バーのレンジがDまたはNにあることなどがある。この
エコランモードが設定された状態では、コントローラ4
0は電磁クラッチ36を非接続状態にする一方、電磁ク
ラッチ38は接続状態にして、クロポールモータ10で
オイルポンプ37が駆動できるようにしておく。これは
エンジン停止時から再始動後に車両が速やかに発信でき
るようにオートマチックトランスミッション32内の発
進クラッチ(図示せず)を直ちに、係合できる状態にし
ておくためである。
【0038】一方、エンジン31の停止中でもエアコン
やパワステアリングは作動させておく必要があるので、
パワステポンプ41とエアコンコンプレッサ42は動作
させなければならない。従って、コントローラ40は、
オイルポンプ37、パワステポンプ41、及び、エアコ
ンコンプレッサ42の負荷に応じた回転数とトルクでク
ロポールモータ10を回転させる必要があり、この時に
図5で説明した本発明のモータのトルク制御装置20が
前述の動作を行い、クロポールモータ10の回転数が増
大しても出力トルクが大きくなるように制御するのであ
る。
【0039】このように、本発明のモータのトルク制御
装置20を適用すれば、車両のスタータモータとオルタ
ネータを1個のクロポールモータ10で済ますことがで
き、省スペース化、省コスト化を図ることができる。な
お、以上説明した実施例では、制御を簡単にするため
に、クロポールモータ10のロータコイル12に流す界
磁電流Ifを一定として説明したが、この界磁電流If
はロータの回転速度に応じて変更することもできる。
【0040】図8はクロポールモータ10のロータコイ
ル12に流す界磁電流Ifをロータの回転速度に応じて
変更する例を示すものである。この例では、ロータコイ
ル12に流す界磁電流Ifを、ロータの回転速度が高く
なるほど小さくなるように制御している。この結果、ク
ロポールモータ10の回転数が高くなった時にロータ1
への界磁電流値が抑えられるので、過大な逆起電力の発
生が抑えられる。
【0041】なお、以上の実施例では、同期モータとし
て自動車のオルタネータとして使用されるクロポールモ
ータについて説明したが、本発明のモータのトルク制御
装置は特にクロポールモータに限定されるものではな
く、小型で容量の小さな同期モータ全般について、その
トルクを最大限に引き出すことができるものである。
【0042】
【発明の効果】本発明のモータのトルク制御装置によれ
ば、以下のような効果がある。第1の発明では、トルク
電流指令値による同期モータへの駆動圧値が飽和した時
に励磁電流指令値が与えられ、同期モータの実トルク電
流がフィードバックされて実トルク電流がトルク電流指
令値に一致するように励磁電流指令値が変更されるの
で、駆動電圧が飽和したモータにおいて更に大きなトル
クを得ることができる。
【0043】第2の発明では、同期モータを自動車のオ
ルタネータとして使用されているクロポールモータとし
て構成することができ、スタータとオルタネータを1つ
のモータで兼用できる。第3の発明では、クロポールモ
ータの回転数が高くなった時にロータへの界磁電流値が
抑えられるので、過大な逆起電力の発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a) は従来のクロポールモータの構成を示す一
部切欠斜視図、(b) は(a) のロータの構成を示す斜視
図、(c) は(a) のステータの構成を示す斜視図である。
【図2】(a) は図1のクロポールモータの電気的な構成
を示す図、(b) ,(c) はステータコイルの結線方法を示
す回路図である。
【図3】(a) はモータの回転速度が低い時のd−q座標
におけるモータの駆動電圧を示す図、(b) はモータの回
転速度が高い時のd−q座標におけるモータの駆動電圧
及び励磁電流を示す図である。
【図4】(a) は図3(b) における励磁電流の与え方を説
明する図、(b) は(a) の励磁電流に対応するトルクの変
化を示す図である。
【図5】本発明のモータのトルク制御装置の一実施例の
構成を示すブロック回路図である。
【図6】(a) は図5のインバータが飽和していない時の
出力電圧を示す図、(b) は飽和している時の出力電圧を
示す図である。
【図7】本発明のトルク制御装置により駆動される同期
モータを自動車のオルタネータ兼スタータモータとして
設置した実施例の構成を示す構成図である。
【図8】図5のロータコイルに流す界磁電流をロータの
回転数に応じて変化させる場合の界磁電流とロータ回転
数との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1…ロータ 2…ステータ 4…プーリ 8…バッテリ 10…クロポールモータ 12…ロータコイル 13…ロータコア 17…ステータコア 19…ステータコイル 20…モータのトルク制御装置 21…入力端子 22A,22B…加算器 23A,23B…PI制御器 24…ベクトル演算回路 25…d−q座標/3相交流コンバータ 26…インバータ 27…速度・位置信号処理回路 28…3相交流/d−q座標コンバータ 30…フィードバック回路

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータのトルク制御装置であって、 前記モータのトルクを制御するために与えられるトルク
    電流指令値に基いて前記同期モータのステータコイルに
    印加する電圧を算出し、これを前記ステータコイルに印
    加する制御回路と、 前記ステータコイルに流れる実トルク電流を前記制御回
    路にフィードバックするフィードバック回路とを備え、 前記制御回路は、前記印加電圧が飽和状態になった時
    に、前記トルク電流指令値と位相の異なる励磁電流を作
    ってこの印加電圧を変更すると共に、フィードバックさ
    れた前記実トルク電流が前記トルク電流指令値に一致す
    るように前記励磁電流の値を補正することを特徴とする
    モータのトルク制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のモータのトルク制御装
    置であって、前記同期モータが、ロータシャフトに巻か
    れたロータコイルと、このロータコイルの前後のロータ
    シャフトにロータコイルを囲むように対向して取り付け
    られた櫛状の2つのロータコア、及び、前記ロータコイ
    ルへの給電用に前記ロータシャフトに取り付けられたス
    リップリングとからなるロータと、このロータの外側に
    位置し、3個の独立したステータコイルが巻かれたステ
    ータコアを備えたステータと、から構成されるクロポー
    ルモータであることを特徴とするモータのトルク制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のモータのトルク制御装
    置であって、前記ロータコイルに通電する界磁電流値
    を、前記ロータの回転数に応じて変化させ、前記ロータ
    の回転が大きくなった時に界磁電流値が小さくなるよう
    にしたことを特徴とするモータのトルク制御装置。
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