JP2000110067A - 繊維および繊維製品 - Google Patents

繊維および繊維製品

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JP2000110067A JP10277006A JP27700698A JP2000110067A JP 2000110067 A JP2000110067 A JP 2000110067A JP 10277006 A JP10277006 A JP 10277006A JP 27700698 A JP27700698 A JP 27700698A JP 2000110067 A JP2000110067 A JP 2000110067A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血行を良くし、かぶれの抑制に効果のある繊
維および繊維製品を提供することを目的とする。 【解決手段】 繊維製造時の延伸後、あるいは通常の繊
維処理剤を付着または未処理の繊維を得たのち繊維製品
へ加工した後、トコフェロール同族体のうち、α型トコ
フェロールが、繊維100重量部に対して0.01〜
0.5重量部付着するようにスプレーおよび/または含
浸して繊維および繊維製品を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血行を良くし、か
ぶれを抑制する効果のある繊維および繊維製品に関する
ものであり、紙オムツ、生理用ナプキン、包帯、ガーゼ
等の衛生材料、使い捨て肌着、ウェットティッシュ、化
粧パフ等の対人用ワイパーなどに好適な繊維および繊維
製品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、紙オムツや生理用ナプキンな
どのように人体に接触する繊維製品において、かぶれが
重要視されており、特に、オムツかぶれの要因として
は、汚物によって発生するカンジダ菌など種々の細菌の
繁殖、オムツの通気性(汗などの蒸れ)、表面紙との摩
擦、尿、便との接触による化学反応などが考えられてい
る。中でも、細菌の繁殖が重要視され、これらの繁殖を
抑制してオムツかぶれを防止しようする試みがなされて
いる。
【0003】例えば、特開昭61−28078号公報に
は、クマザサとハトムギとその他の植物エキス油を布地
や紙製品に塗布したものが提案されている。また、特公
昭63−54013号公報、特開昭63−175117
号公報、特開平1−250413号公報には、ゼオライ
トに担持させた抗菌性金属のイオン解離により抗菌性を
付与した繊維、並びに繊維製品が提案されている。さら
に、その他にもビグアナイト誘導体、有機シリコン系第
4級アンモニウム塩を用いて抗菌性を付与したものもあ
る。そして、上記以外にも人体への影響を考え、天然物
より抽出した抗菌剤の使用例もある。特開平5−527
4号公報には、キチンの脱アセチル化物を、特開平9−
108261号公報には、グリチルリチンやフィトンチ
ドをシクロデキストリンに包接化したものを用いて、抗
菌、抗かびおよび防臭効果によってオムツかぶれを抑制
しようとしたものが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記繊
維および繊維製品には以下の問題点が挙げられる。例え
ば、特開昭61−28078号公報では、天然物より抽
出されたトコフェロール同族体の大半(約60〜80%
以上)はγ型であり、実際、生体内における生物活性を
有するα型は多くとも20%程度であり、かぶれの抑制
には十分とはいえない。さらに、油脂(リノール酸)を
含むことで光(紫外線)などにより酸化劣化が生じ、皮
膚の脂質の酸化、過酸化脂質を誘発する恐れがある。ま
た、抗菌性物質を含有する繊維製品は、細菌などの繁殖
を抑制する効果があるとしても、本質的なオムツかぶれ
の原因についての対策が講じられておらず、その効果は
十分とはいえない。
【0005】本発明はかかる実情を鑑みてなされたもの
であり、血行を良くし、かぶれに効果のある、紙オム
ツ、生理用ナプキン、包帯、ガーゼ等の衛生材料、使い
捨て肌着、ウェットティッシュ、化粧パフ等の対人用ワ
イパーなどに好適な繊維および繊維製品を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維は、単繊維
表面の少なくとも一部にトコフェロール同族体が付着し
ている繊維において、該トコフェロール同族体のうち、
α型トコフェロールが繊維100重量部に対して0.0
1〜0.5重量部付着していることを特徴とする。かか
る構成を採ることにより、外的要因でオムツかぶれを抑
制するのではなく、人体の内面すなわち血行を促進し、
かつ皮膚表面の酸化劣化を抑制することによって、内的
にオムツかぶれを抑制できることが判り、本発明に至っ
た。
【0007】本発明の繊維において、トコフェロール同
族体のうち、α型トコフェロール/残りのトコフェロー
ル同族体の重量比は、2/8〜7/3であることが望ま
しい。
【0008】本発明の繊維において、トコフェロール同
族体以外の親水性繊維処理剤は、繊維100重量部に対
して0.1〜1重量部付着していることが望ましい。
【0009】そして、本発明の繊維からなる繊維製品
は、人体の血行を促進し、かつ皮膚表面の酸化劣化が抑
制されて、オムツなどのかぶれ抑制に寄与する。以下、
本発明の内容を具体的に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の繊維とは、繊維形態を有
するものであれば、特に限定されず、例えば、レーヨン
等の再生繊維、アクリル系繊維、ナイロン6、ナイロン
66等のポリアミド系繊維、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系繊
維、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン
系繊維等の長繊維、あるいは短繊維のことを示し、繊維
形状等も特に限定されず、単一繊維、芯鞘型複合繊維、
分割型複合繊維、異形断面を有する繊維、中空繊維等を
いずれであってもよい。
【0011】例えば、本発明の繊維を衛生材料用途の表
面シートに使用する場合であれば、ポリプロピレン/ポ
リエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレ
ン、ポリプロピレン/エチレン−プロピレン共重合体、
ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共
重合体などの組合せからなる熱接着性芯鞘型複合繊維や
分割型複合繊維などが好適である。
【0012】また、本発明の繊維における繊度も特に限
定されるものではなく、用途に応じて適宜設定すれば良
いが、表面シートとして用いる場合であれば、風合いを
重視し、2〜6dtexが好ましい。
【0013】本発明における繊維製品は、不織布、網状
物、編織物など単繊維からなる形態を有するものであれ
ばいずれであってもよく、トコフェロール同族体を予め
付着させた繊維から繊維製品を得てもよいし、未処理の
単繊維を繊維製品に加工した後に、繊維製品を構成する
単繊維の少なくとも一部にトコフェロール同族体が付着
するように処理してもよい。繊維製品が例えば不織布の
場合、構成する繊維ウェブの形態としては、特に限定さ
れるものではなく、ステープル繊維からなるパラレルウ
ェブやクロスウェブ、セミランダムウェブ、連続フィラ
メントからなる長繊維ウェブ、短繊維を湿式抄紙したウ
ェブ、エアレイウェブ、あるいはメルトブロー不織布等
を任意に使用することができる。不織布の風合い、柔軟
性を重視する場合であれば、ステープル繊維からなる繊
維ウェブが好ましい。
【0014】不織布の加工法においても特に限定され
ず、熱風吹き付け法、熱ロール法などからなるサーマル
ボンド法、スパンボンド法、湿式抄紙法、ニードルパン
チ法、スパンレース法など公知の方法を採ることがで
き、任意に選択すればよい。特に、衛生材料(特に乳幼
児のオムツ)の表面シートであれば、肌との摩擦による
こすれを考慮し、風合いのよいサーマルボンド不織布が
一般的に用いられており、それに用いられる繊維は、熱
接着性芯鞘型複合繊維が好適である。また、スパンボン
ド法、湿式抄紙法、スパンレース法などにおいては、製
造工程上、不織布作製後、後加工にて調製したトコフェ
ロール同族体をスプレーまたは含浸するとよい。
【0015】繊維ウエブの目付は、特に限定されるもの
ではないが、例えば衛生材料の表面シートであれば、目
付15〜40g/m2程度が好ましい。
【0016】そして、前記繊維および繊維製品におい
て、単繊維表面の少なくとも一部に付着しているトコフ
ェロールは、一般に大豆油、菜種油より抽出、精製、濃
縮して得られるものであって、α型、β型、γ型、およ
びδ型のトコフェロール同族体によって形成される。そ
して、本発明においては、トコフェロール同族体のう
ち、α型トコフェロールが繊維100重量部に対して
0.01〜0.5重量部付着していることが好ましい。
α型トコフェロールの付着量が0.01重量部未満であ
ると、かぶれ抑制が十分とはいえず、0.5重量部を超
えても有意差は確認できず、高コストとなり、機能面と
のバランスにおいて不利となるからである。
【0017】また、残りの同族体であるβ型、γ型およ
びδ型トコフェロールも含むことで繊維処理剤の酸化を
抑制し、腐敗の防止にもつながり、繊維処理剤のランニ
ングコストの低減することができ、都合がよい。本発明
においては、トコフェロール同族体のうち、α型トコフ
ェロール/残りのトコフェロール同族体の重量比は、2
/8〜7/3であることが好ましい。より好ましくは、
3/7〜5/5である。重量比が2/8未満であると、
自然界の植物油中に含まれる一般的な割合であり、α型
トコフェロールの割合が少なくなると、生物活性が小さ
くなり、重量比が7/3を超えると、生体外すなわち繊
維処理剤などに抗酸化阻害が起きる恐れがあり、コスト
的にも割高なものとなるからである。
【0018】さらに、残りトコフェロールのうち、γ型
トコフェロールやδ型トコフェロールが繊維処理剤の酸
化抑制に特に効果があり、α型トコフェロール/{γ型
トコフェロールおよび/またはδ型トコフェロール}/
残りのトコフェロール同族体の重量比は、2/7/1〜
7/3/0であることが好ましい。
【0019】そして、ビタミンEの主成分であるトコフ
ェロール同族体以外にも、別の薬剤を添加してもよい。
例えば、ビタミンE以外のビタミンA、ビタミンCなど
のビタミン剤が挙げられ、特にビタミンAは、トコフェ
ロール同族体の吸収効率を高めることができ好適であ
る。
【0020】次に、本発明の繊維および繊維製品の製造
方法について説明する。まず、トコフェロール同族体
(α型、β型、γ型、およびδ型)を所定の割合に調製
する。そして、調製されたトコフェロール同族体は、油
状であるため、公知の乳化剤で乳化することによって通
常の繊維処理剤に添加でき、容易に溶解することができ
る。これにより、従来の化学繊維、合成繊維の製造工程
において、極めて容易に単繊維表面に所望のトコフェロ
ール同族体を付着させることができる。このとき用いら
れる繊維処理剤は、いずれであってもよいが、親水性の
繊維処理剤であると、例えば、吸収性物品の表面シート
に使用した場合、液体透過性に優れ、液体を吸収体に迅
速に移行させることができる点で優れている。親水性繊
維処理剤の付着量は、繊維100重量部に対して0.1
〜1重量部であることが好ましい。付着量が0.1重量
部未満であると、静電気が発生し易く、工程性に劣るだ
けでなく、十分な親水性能が得られない。付着量が1重
量部を超えると、カード工程での開繊不良が発生し易い
だけでなく、コスト高となる。
【0021】そして、トコフェロール同族体は、繊維製
造時の延伸後、あるいは通常の繊維処理剤を付着または
未処理の繊維を得たのち繊維製品へ加工した後、スプレ
ーおよび/または含浸させることによって付着させるこ
とができる。トコフェロール同族体は、熱安定性に優れ
ており、繊維処理剤付着後の乾燥工程や熱接着性繊維と
して用いたときの不織布加工温度領域でも安定なことか
ら、繊維製造工程内での付着処理がコスト面でも優位で
ある。
【0022】
【実施例】以下、本発明の内容について実施例を挙げて
説明する。 [実施例1]まず、仕上げ処理油剤槽に燐酸エステルカ
リウム塩を主体とする親水性繊維処理剤が純分1.5%
になるように調製した。そして、重量比でα型/β型/
γ型/δ型=50/2/45/3となるように調製、乳
化されたトコフェロール同族体を仕上げ処理油剤槽に添
加し、トコフェロール同族体の純分が0.1%になるよ
うに調製し、準備した。
【0023】次に、芯成分にポリエチレンテレフタレー
ト、鞘成分に高密度ポリエチレンを容積比で1/1の割
合で配した円形芯鞘型ノズルを用いて溶融紡糸を行い、
繊度6dtexの未延伸糸を得た。次いで、未延伸糸を80
℃の温水中で3倍に延伸し、連続して延伸糸を予め調製
した仕上げ処理油剤槽に浸漬させ、スタフィンボックス
型クリンパーにて機械捲縮を15山/25mmの割合で付
与した。これを熱風乾燥機にて110℃で15分間乾燥
し、水分を除去した後に、51mmの繊維長に切断して、
繊度2.2dtexのステープル繊維を得た。
【0024】得られたステープル繊維を100g採取
し、含まれる油分およびトコフェロール同族体をクロロ
ホルムとメタノールの1:1混合溶剤にて抽出し、液体
クロマトグラフによりトコフェロール同族体の総付着量
および各同族体の付着量を同定した。チャートのピーク
面積より算出した結果、トコフェロール同族体の単繊維
表面への総付着量は、0.05重量部であった。そし
て、各同族体の付着率はα型、γ型それぞれ0.03重
量部、0.02重量部であった。β型、δ型について
は、微量であったため検出するには至らなかった。
【0025】[実施例2]トコフェロール同族体の割合
をα型/γ型=90/10とし、さらに仕上げ処理油剤
槽でのトコフェロール同族体の純分を0.8%とした以
外は実施例1と同様の方法でステープル繊維を得た。ト
コフェロール同族体の付着量を測定した結果、α型、γ
型それぞれ、0.30重量部、0.03重量部であっ
た。
【0026】[比較例1]トコフェロール同族体を用い
ないこと以外は、実施例1と同様の方法でステープル繊
維を得た。
【0027】[比較例2]トコフェロール同族体とし
て、調製を行わずに大豆油に含まれているそのままの割
合、α型/β型/γ型/δ型=10/0/60/30と
した以外は、実施例1と同様に方法でステープル繊維を
得た。トコフェロール同族体の付着量を測定した結果、
α型、β型、γ型、およびδ型それぞれ、0.005重
量部、0、0.035重量部、0.01重量部であっ
た。
【0028】実施例、比較例で得たステープル繊維をパ
ラレルカードにて目付20g/m2の繊維ウェブを作製した
後、熱風加工機にて140℃で5秒間熱処理を施し、サ
ーマルボンド不織布となした。各不織布を紙オムツの表
面シートとして評価すると、特に実施例1、2におい
て、皮膚かぶれが起きることなく、十分な効果が得られ
た。しかも実施例1は、α型トコフェロール/γ型およ
び型トコフェロール/他のトコフェロールを50/48
/2の割合で含有することにより、繊維処理剤を長期間
保管していても、酸化が抑制されて腐敗することはなか
った。
【0029】
【発明の効果】本発明の繊維および繊維製品は、単繊維
表面の少なくとも一部に、α型トコフェロールが繊維1
00重量部に対して0.01〜0.5重量部付着してい
ることにより、人体の毛細血管を拡張し、血行促進を促
すことができ、また、抗酸化作用および過酸化脂質の抑
制により、皮膚中の脂質の酸化に伴う皮膚表面、肌荒れ
の防止を促すことができるので、紙オムツ、生理用ナプ
キンなどの衛生材料のように人体に直接接触したときの
かぶれの抑制に効果がある。そして、本発明の繊維およ
び繊維製品は、紙オムツ、生理用ナプキン、包帯、ガー
ゼ等の衛生材料、使い捨て肌着、ウェットティッシュ、
化粧パフ等の対人用ワイパーなどに好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61F 13/18 310Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単繊維表面の少なくとも一部にトコフェ
    ロール同族体が付着している繊維において、該トコフェ
    ロール同族体のうち、α型トコフェロールが繊維100
    重量部に対して0.01〜0.5重量部付着しているこ
    とを特徴とする繊維。
  2. 【請求項2】 トコフェロール同族体のうち、α型トコ
    フェロール/残りのトコフェロール同族体の重量比が、
    2/8〜7/3であることを特徴とする請求項1記載の
    繊維。
  3. 【請求項3】 トコフェロール同族体以外に親水性繊維
    処理剤が繊維100重量部に対して0.1〜1重量部付
    着していることを特徴とする請求項1または2に記載の
    繊維。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の繊維からなる繊維
    製品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1192955A3 (en) * 2000-09-28 2002-10-09 Uni-Charm Corporation Absorbent article and barrier agent for absorbent article
US6709665B2 (en) 2001-04-18 2004-03-23 Fuji Spinning Co., Ltd. Functionalized fiber material and method for manufacturing the same
KR100500115B1 (ko) * 2003-07-02 2005-07-07 주식회사 보국전자 비타민 이 및 음이온이 포함된 직물지 및 그 제조방법
JP2013515589A (ja) * 2009-12-30 2013-05-09 ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー ω−6脂肪酸を含むローション組成物を含む吸収性物品

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