JP2000098162A - フィルム型高分子導波路の形成方法 - Google Patents

フィルム型高分子導波路の形成方法

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JP2000098162A
JP2000098162A JP26642098A JP26642098A JP2000098162A JP 2000098162 A JP2000098162 A JP 2000098162A JP 26642098 A JP26642098 A JP 26642098A JP 26642098 A JP26642098 A JP 26642098A JP 2000098162 A JP2000098162 A JP 2000098162A
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forming
polymer
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JP26642098A
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Inventor
Takeshi Koyano
武 小谷野
Kiminori Maeno
仁典 前野
Mitsuro Mita
充郎 見田
Katsuaki Umibe
勝晶 海部
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価に、かつ容易にフィルム型高分子導波路
を形成する。 【解決手段】 リッジ状の凸部を有する高分子フィルム
51を用意し、この高分子フィルムの表裏の表面から所
定(一定の)深さまで、重合すると高分子フィルムより
も屈折率が低くなるラジカル重合性モノマー61および
ラジカル発生剤63を拡散させる。そののち、高分子フ
ィルム51に光を照射することにより、ラジカル重合性
モノマー61を重合させてクラッド65を形成する。そ
のとき、クラッド65により囲まれる部分が必然的に高
屈折率のコア59となり、フィルム型高分子導波路67
が形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、フィルム型高分
子導波路の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通信分野においては、大容量通信を実現
するため、光を用いた通信ネットワークの構築が求めら
れている。このため、光導波路の開発が大きな課題とな
っている。
【0003】従来、光導波路の材料には、ガラスや無機
結晶材料が用いられていた。しかしながら、これらの材
料は高価で、しかも加工が困難であった。
【0004】そのため、近年、ガラスや無機結晶材料よ
りも、価格が安く加工の容易な例えばPMMA(ポリメ
チルメタクリレート)などの高分子材料(ポリマーとも
称する。)が用いられてきている。このような材料を用
いれば、従来よりも面積が広くて可撓性に優れたフィル
ム状の光導波路を形成することができる。また、機能性
化合物や官能基をこの高分子材料中に導入することによ
って機能性導波路を形成することができる。
【0005】このような光導波路を形成するためには、
高分子材料を所望のパターン形状に加工する方法が不可
欠である。そのような方法として、酸素プラズマを用い
た反応性エッチング(RIE)法が主として用いられて
いた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このR
IE法に用いる装置は高価であり、しかも高度な操作技
術が要求されるという問題点があった。また、エッチン
グ処理を行う前に、予めリソグラフィ法を用いてエッチ
ングされるポリマー上にパターン形状に対応したエッチ
ングマスクを形成しておく必要があるという問題点があ
った。以下、具体的に説明する。
【0007】RIE法を用いて高分子の光導波路を形成
するためには、例えば図5に概略的に示すような工程を
経る必要がある。なお、図5は、RIE法を用いてフィ
ルム型高分子導波路を形成するための主要な工程を順に
示している概略的な断面図である。
【0008】まず、下地101上に、下側クラッドとし
ての高分子膜103aと、コア形成用の高分子膜103
bと、エッチングマスク形成のためのフォトレジスト膜
105とを、この順に形成する(図5(A))。ただ
し、高分子膜103aを設けずに、下地101自体が下
側クラッドを兼ねる場合もある。
【0009】次に、このフォトレジスト膜105を加工
して所望のパターン形状に対応するエッチングマスクを
得るために、該パターン形状に対応するフォトマスク1
07を介してフォトレジスト膜105を選択的に露光す
る。これによりフォトレジスト膜105内にパターン潜
像109が形成される(図5(B))。露光済みのフォ
トレジスト膜を現像してレジストパターン105xを得
る(図5(C)。ここではネガ型レジストを用いた例を
示している。))。
【0010】次に、このレジストパターン105xをエ
ッチングマスク105xとして用いて、酸素をエッチン
グガスとするRIEを行って、エッチングマスク105
xから露出している高分子膜103bの部分を取り除
く。次いで、エッチングマスク105xを除去する。こ
れにより、下側クラッド103a上に高分子膜103b
の残存部分からなるコア103xが得られる(図5
(D))。
【0011】次に、コア103xの形成を終えた試料上
に、上側クラッドとなる高分子膜111を形成すること
で、光導波路113が得られる。上側クラッド111
は、例えば、試料上に、上側クラッドの材料の塗布液を
塗布してそれを乾燥させることで得られる(図5
(E))。
【0012】この図5を用いて説明した工程から明らか
なように、RIE法を用いる場合、パターンを形成する
工程数が多く、時間もかかる。
【0013】このため、安価に、かつ容易に高分子(ポ
リマー)のフィルム型導波路を形成する方法の出現が望
まれていた。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明に係る
発明者らは、高分子フィルムにラジカル重合性モノマー
およびラジカル発生剤とを所定深さまで拡散させたの
ち、この高分子フィルムに光を照射すると、モノマーが
ラジカルの部分に付加および重合してポリマーが成長す
ることに着目し、この発明を完成するに至った。
【0015】したがって、この出願に係る第一発明のフ
ィルム型高分子導波路の形成方法によれば、リッジ状の
凸部を有する高分子フィルムの少なくとも凸部が存在す
る部分の表裏から所定深さまでの領域である第1領域
に、重合するとこの高分子フィルムよりも屈折率が低く
なるラジカル重合性モノマーとラジカル発生剤とを拡散
させる工程と、その拡散済みの高分子フィルムに光を照
射することにより、前述のラジカル発生剤から発生した
ラジカルに前述のラジカル重合性モノマーを付加および
重合させて、前述した第1領域にクラッドを形成すると
同時に、第1領域以外の前記高分子フィルム内部の領域
にコアを形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0016】なお、リッジ状の凸部の平面形状は、光導
波路に要求される平面形状に応じた任意の形状とでき
る。例えば、直線導波路、曲がり導波路、分岐導波路等
に応じた任意の形状とすることができる。また、高分子
フィルムの表裏とは、リッジ状の凸部の上面、側面、お
よび、リッジ状の凸部が存在する部分の裏面とを含む、
高分子フィルムの表面のことである。また、表裏から所
定の深さまでとは、表裏での深さが同一の場合、異なる
場合のいずれの場合をも含む意味である。また、この所
定の深さと、凸部の形状および寸法とによって、コアの
形状は決定される。そのため、コアの形状は、例えば、
高分子フィルムの凸部の形状を適切に調節し、それに応
じて、拡散させる深さ(前述の所定の深さ)も適切に調
節することにより決定することができる。そして典型的
には、コアは、高分子フィルムが厚くなっているリッジ
状に延びる凸部の中心の近傍に形成される。
【0017】この第一発明の構成によると、リッジ状の
凸部を有する高分子フィルムに、ラジカル発生剤および
ラジカル重合性モノマーを、凸部の形状に応じた適切な
深さまで拡散させたのち、その拡散後の高分子フィルム
に光を照射することによりモノマーを重合固定させてク
ラッドを形成している。したがって、新規でかつ簡単な
方法でフィルム型高分子導波路を形成することができ
る。
【0018】また、この発明の実施に当たり、より好適
には、前述のクラッド形成済みの高分子フィルムから、
重合せずにこの高分子フィルム内に未反応のまま残存し
た前述のラジカル重合性モノマーを、除去する処理を実
施するのが良い。なお、このとき、未反応のラジカル重
合性モノマーを除去すると同時に、未反応のラジカル発
生剤が除去されることがあっても良い。
【0019】この構成によると、高分子フィルム内に未
反応のまま残存したラジカル重合性モノマー(未反応モ
ノマー)を除去しているため、光導波路の屈折率分布が
未反応モノマー重合によって経年的に変化してしまうの
を抑制することができる。一般的に、ラジカル重合性モ
ノマーは、その開始反応を発生させるためにラジカルを
必要とするが、ラジカル以外によるエネルギー、すなわ
ち熱や光などのエネルギーによっても少しずつ重合反応
が進行する。したがって、未反応のモノマーを除去しな
い場合、光導波路として稼働中においても、未反応モノ
マーが重合して、光導波路の屈折率分布が徐々に変化し
てしまうこととなる場合がある。
【0020】ここで、このような未反応モノマーを除去
する方法としては、例えば、高分子フィルムを減圧した
雰囲気中に設置して、熱によるポリマーの分解が生じな
い程度に加熱することにより行えばよい。
【0021】また、この発明の実施に当たり、より好適
には、前述の高分子フィルムを、フッ化ポリイミドまた
はフッ化ポリメチルメタクリレートのいずれか一方を含
むフィルムとするのが良い。この構成によると、光ファ
イバー通信で用いられている赤外領域の光に対して透過
性に優れたフィルム型高分子導波路を得ることができ
る。
【0022】また、この発明の実施に当たり、より好適
には、前述した光を紫外光とするのが良い。後述するよ
うに、この発明で用いるラジカル発生剤は紫外領域(ま
たはその近傍領域)の光に対してラジカルを発生するも
のが多いためである。
【0023】上述したフィルム型高分子導波路は、リッ
ジ状の凸部を有する高分子フィルムを用いて形成した
が、そのような凸部のない高分子フィルムを用いても、
同様の思想のもとにフィルム型高分子導波路を形成する
ことができる。
【0024】したがって、この出願に係る第二発明のフ
ィルム型高分子導波路の形成方法によれば、重合すると
高分子フィルムよりも屈折率が低くなるラジカル重合性
モノマーとラジカル発生剤とを含む当該高分子フィルム
の、コア形成予定領域を挟む少なくとも2つの領域であ
ってこの高分子フィルムの表裏に渡る領域(すなわち第
2領域)に、光を照射することにより、ラジカル発生剤
からラジカルを発生させて前述のラジカル重合性モノマ
ーを重合させ、この第2領域にクラッドを形成する工程
と、クラッド形成済みの高分子フィルムの表裏から所定
深さまでの領域である第1領域に、重合するとこの高分
子フィルムよりも屈折率が低くなるラジカル重合性モノ
マーとラジカル発生剤とを拡散させたのち、この高分子
フィルムに光を照射することにより、ラジカル発生剤か
らラジカルを発生させてラジカル重合性モノマーを重合
させ、この第1領域にクラッドを形成すると同時に、第
1および第2領域の各クラッドよりも内部の領域にコア
を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0025】また、この第二発明において、第1領域に
クラッドを形成する工程と第2領域にクラッドを形成す
る工程との手順を入れ替えても良い。
【0026】すなわち、この出願に係る第三発明のフィ
ルム型高分子導波路の形成方法によれば、高分子フィル
ムの表裏から所定深さまでの領域である第1領域に、重
合するとこの高分子フィルムよりも屈折率が低くなるラ
ジカル重合性モノマーとラジカル発生剤とを拡散させた
のち、この高分子フィルムに光を照射することにより、
ラジカル発生剤からラジカルを発生させてラジカル重合
性モノマーを重合させ、この第1領域にクラッドを形成
する工程と、クラッド形成済みの高分子フィルムの内部
に、重合するとこの高分子フィルムよりも屈折率が低く
なるラジカル重合性モノマーとラジカル発生剤とを拡散
させたのち、この高分子フィルムの、コア形成予定領域
を挟む少なくとも2つの領域であってこの高分子フィル
ムの表裏に渡る領域(すなわち第2領域)に、光を照射
することにより、ラジカル発生剤からラジカルを発生さ
せてラジカル重合性モノマーを重合させて、この第2領
域にクラッドを形成すると同時に、第1および第2領域
の各クラッドよりも内部の領域にコアを形成する工程と
を含むことを特徴とする。
【0027】なお、コア形成予定領域とは、コアを形成
する予定となっている高分子フィルム内の領域のことで
ある。また、第2領域とは、このコア形成予定領域を挟
む領域であって高分子フィルムの表裏に至る領域のこと
である。したがって、第1領域および第2領域に囲まれ
た部分がコア形成予定領域となっている。
【0028】上述の第二発明の構成によれば、ラジカル
重合性モノマーとラジカル発生剤を含む高分子フィルム
の第2領域に光を選択的に照射することにより、この第
2領域にクラッドを形成し、そして、この高分子フィル
ムの第1領域にラジカル重合性モノマーとラジカル発生
剤とを拡散させたのち、高分子フィルムに光を照射する
ことにより、この第1領域にクラッドを形成している。
【0029】なお、この第二発明において、ラジカル重
合性モノマーとラジカル発生剤を含む高分子フィルムを
得るには、高分子フィルムを形成する際に、ラジカル重
合性モノマーおよびラジカル発生剤を、液体状の高分子
材料中に混入させても良いし、高分子フィルムを形成し
たのち、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル発生剤
をそのフィルム内に液相または気相にて拡散させても良
い。
【0030】上述の第三発明の構成によれば、高分子フ
ィルムの第1領域にラジカル重合性モノマーとラジカル
発生剤とを拡散させたのち、高分子フィルムに光を照射
することにより、この第1領域にクラッドを形成し、そ
して、この高分子フィルムにラジカル重合性モノマーと
ラジカル発生剤とを拡散させたのち、第2領域に光を選
択的に照射することにより、この第2領域にクラッドを
形成している。
【0031】このように第二発明または第三発明では、
ラジカル重合性モノマーおよびラジカル発生剤を所望の
深さで拡散させたのち光を照射する工程、および、ラジ
カル重合性モノマーおよびラジカル発生剤を拡散させた
のち選択的に光を照射する工程の二つの工程を行ってい
る。したがって、新規でかつ簡単な方法でフィルム型高
分子導波路を形成することができる。更に、前述した第
一発明とは異なり、リッジ状の凸部を有する高分子フィ
ルムを用意する必要もない。
【0032】また、この第二および第三発明の実施に当
たり、より好適には、前述の第1および第2領域に拡散
させるラジカル重合性モノマーを同一としておくのが良
い。それにより、コアを囲むクラッドにおいて屈折率が
一定となるためである。
【0033】また、この第二および第三発明の実施に当
たり、より好適には、前述の第1領域にクラッドを形成
する工程および前述の第2領域にクラッドを形成する工
程の少なくとも一方の工程で、クラッド形成済みの高分
子フィルムから、重合せずにこの高分子フィルム内に残
存したラジカル重合性モノマーを除去する処理を実施す
るのが良い。なお、これらを行う際、未反応のラジカル
重合性モノマーを除去すると同時に、未反応のラジカル
発生剤が除去されることがあっても良い。
【0034】この構成によると、第一発明の好適な実施
の例にて説明したことと同様に、高分子フィルム内に未
反応のまま残存したラジカル重合性モノマーを除去でき
るため、光導波路の屈折率分布が未反応モノマーの重合
によって経年的に変化してしまうのを抑制することがで
きる。また、未反応モノマーを除去するためには、例え
ば、第一発明で説明したと同様に、高分子フィルムを減
圧した雰囲気中に設置して、熱によるポリマーの分解が
生じない程度に加熱することにより行えばよい。なお、
この処理を行うのは、第1領域にクラッドを形成したの
ちに実施しても良いし、第2領域にクラッドを形成した
のちに実施しても良いし、あるいは、第1および第2領
域にクラッドを形成したその都度に実施しても良い。
【0035】また、この第二および第三発明の実施に当
たり、より好適には、前述の高分子フィルムを、フッ化
ポリイミドまたはフッ化ポリメチルメタクリレートのい
ずれか一方を含むフィルムとするのが良い。この構成に
よると、光ファイバー通信で用いられている赤外領域の
光に対して透過性に優れたフィルム型高分子導波路を得
ることができる。
【0036】また、この第二および第三発明の実施に当
たり、より好適には、前述の光を、紫外線とするのが良
い。後述するように、この発明で用いるラジカル発生剤
は紫外領域(またはその近傍領域)の光に対してラジカ
ルを発生するものが多いためである。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して、フィルム型
高分子導波路の形成方法に関する第一、第二および第三
の発明の実施の形態について、それぞれ第1および第2
の実施の形態として説明する。なお、この説明に用いる
各図は、これらの発明を理解できる程度に各構成成分の
形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるに過
ぎない。また、各図において同様な構成成分は、同一の
番号を付して示し、その重複する説明を省略することが
ある。
【0038】1.第1の実施の形態 図1は、第一発明のフィルム型高分子導波路の形成方法
を用いて、フィルム型高分子導波路を形成する第1の実
施の形態を説明する工程図である。なお、図1は、フィ
ルム型高分子導波路の主要な形成工程を断面によって示
した図である。
【0039】このフィルム型高分子導波路の形成方法の
第1の実施の形態では、先ず、リッジ状の凸部を有する
高分子フィルム51を用意する(図1(A))。典型的
には、この高分子フィルム51内の一部がそのままコア
となるため、高分子フィルム51は、光導波路のコアと
して要求される光学的諸性質(適切な屈折率、高い光透
過性)を有していることが望ましい。
【0040】先ず、この高分子フィルム51に要求され
る形状につき説明する。既に説明したように、典型的に
は、リッジ状の凸部を有する高分子フィルム51内部の
領域であって、この高分子フィルムの表面および裏面の
それぞれから所定深さまでの領域(第1領域)によって
囲まれる部分がコアとなる。すなわち、この高分子フィ
ルム51の形状は、ラジカル発生剤およびラジカル重合
性モノマーを拡散させる深さと相俟って、コアの形状を
決定する。したがって、この高分子フィルム51は、形
成されるコアの形状が光導波層として適切な形状となる
ような形状を有している必要がある。図1では、特に、
この第1領域57を高分子フィルム51のすべての面か
ら一定の深さまでの領域として示している。
【0041】図2は、高分子フィルム51の形状と、ラ
ジカル発生剤およびラジカル重合性モノマーを拡散させ
る深さとの関係を示す模式図である。特に、リッジ状の
凸部53が矩形となっていて、かつ、リッジ状の凸部5
3以外の部分55が平坦となっているフィルム型高分子
導波路を例としている。図2(A)において、高分子フ
ィルム51の第1領域57(すなわち、拡散される領域
のこと)に囲まれている領域が、コア形成予定領域69
である。また、図2(B)は、そのリッジ状の凸部53
の部分のみを拡大して示した図である。リッジ状の凸部
53以外の部分55における高分子フィルム51の厚さ
をT、リッジ状の凸部53以外の部分55からのリッジ
状の凸部53の高さをH、リッジ状の凸部の幅をW、お
よび、拡散させる深さをdとしてある。そのとき、光導
波路のコアが形成されるためには、コア形成予定領域6
9が実効的な大きさを有している必要がある。そのた
め、次の(1)式および(2)式、すなわち、 W>2d …(1) H+T>2d …(2) で示される関係が成立しなければならない。更に、リッ
ジ状の凸部53以外の部分55を全てクラッドとするの
が望ましいため、次の(3)式、すなわち、 T<2d …(3) で示される関係が成立するのが良い。また、コア形成予
定領域69を、光導波層の断面形状として好適な対称性
を有する形状とするには、次の(4)式、すなわち、 T≦d …(4) で示される関係を有していることが望ましい。
【0042】このような高分子フィルム51を形成する
手段として、例えば、上述の凸部に対応する凹部を有す
る鋳型に液状の高分子材料をコーティングし、その高分
子材料を乾燥させてフィルム状としたのち、それを鋳型
から剥離して高分子フィルムを得る方法がある。あるい
は、平坦な基板の上に、高分子材料をコーティングし、
ゲル状としたのち、スタンパーなどで圧する方法などが
ある。
【0043】次に、以上説明したような形状の高分子フ
ィルム51の第1領域57に、ラジカル重合性モノマー
61およびラジカル発生剤63を拡散させる(図1
(B))。典型的には、図に示すように高分子フィルム
51の全表面に対して、均一に拡散が行われる。なお、
このラジカル重合性モノマー61は、重合するとこの高
分子フィルム51よりも屈折率が低くなるモノマーとし
ておく。高分子フィルム51へのこのような拡散は、液
相または気相で行えばよい。すなわち、ラジカル発生剤
およびラジカル重合性モノマーを均一に含む液相または
気相の雰囲気中に、高分子フィルムを設置して行えばよ
い。例えば、液相にて拡散を行う場合、有機溶媒などか
らなる拡散用溶媒に、ラジカル重合性モノマーおよびラ
ジカル発生剤を所定量だけ混合した拡散用溶液を調製
し、その拡散用溶液に高分子フィルムを浸漬させて行え
ばよい。また、拡散を行う際、拡散されたラジカル発生
剤から活性化したラジカルが発生しないように、活性化
する波長の光を遮断した雰囲気中で行うことが好適であ
る。また、上述した(1)式〜(4)式の関係を満たす
深さで拡散させるのが望ましい。
【0044】続いて、拡散後の高分子フィルム51に光
を照射する(図1(C))。このとき、例えば、高分子
フィルム51に均一な光を照射する。この照射は、高分
子フィルム51の片面からの照射でも良いし、両面から
の照射でも良い。このような照射を行うと、ラジカル発
生剤63からラジカルが発生し、このラジカルにラジカ
ル重合性モノマー61が付加および重合してポリマーを
形成する。このポリマーの形成により、高分子フィルム
51中に局所的に(第1領域57の部分のみに)屈折率
の低下が生じて、クラッド65が形成される。なお、こ
の光は、ラジカル発生剤からラジカルを発生させるため
の光である。ラジカル発生剤として紫外線によって励起
されてラジカルを発生するものが多く、この発明で用い
る光の波長を紫外線とするのが好適である。また、光の
照射強度および照射時間は、拡散されたラジカル発生剤
からラジカルが発生し、ラジカル重合性モノマーの重合
の進行に十分な強度および時間で、かつ、高分子フィル
ムを構成するポリマーを分解してしまわない程度の強度
および時間で行えばよい。
【0045】以上のような工程を経て、高分子フィルム
51は、その内部にクラッド65と、クラッドに囲まれ
るコア59とが形成され、フィルム型高分子導波路67
となる(図1(D))。
【0046】より好適には、上述したクラッドの形成の
のちに、フィルム型高分子導波路67から、高分子フィ
ルム51内部に残存した未反応のラジカル重合性モノマ
ー、すなわち、前述の光の照射に対しても反応を起こさ
なかったラジカル重合性モノマーを除去する処理を行う
(図1(E))。この除去処理を行うことにより、光導
波路の屈折率の分布の経年的な変化を抑制することがで
きる。例えば、この処理は、クラッド形成済みのフィル
ム型高分子導波路67を、真空手段によって減圧された
雰囲気中で、ラジカル重合性モノマーが揮発する程度の
温度に加熱して行えばよい。
【0047】2.第2の実施の形態 図3および図4は、第二発明のフィルム型高分子導波路
の形成方法を用いて、フィルム型高分子導波路を形成す
る第2の実施の形態を説明する工程図である。なお、図
3および図4は、フィルム型高分子導波路の主要な形成
工程を断面によって示した図である。なお、第三発明
は、第二発明の第1および第2領域にクラッドを形成す
る各工程の順序を入れ替えた発明であるため、この実施
の形態で併せて説明する。
【0048】このフィルム型高分子導波路の形成方法の
第2の実施の形態(第二発明および第三発明の双方の場
合)では、先ず、高分子フィルム71を用意する(図3
(A))。この高分子フィルム71は、第1の実施の形
態にて用いたリッジ状の凸部を有する高分子フィルム5
1ではなく、平坦な高分子フィルム71であっても良
い。この第2の実施の形態では、図3(A)に示すよう
に、平坦な高分子フィルム71を用いている。典型的に
は、この高分子フィルム71内の一部がそのままコアと
なるため、第1の実施の形態と同様に、高分子フィルム
71は、光導波路のコアとして要求される光学的諸性質
を有している必要がある。
【0049】このような平坦な高分子フィルム71は、
例えば、平坦な下地の上に高分子材料を塗布して、それ
を硬化させてフィルム状としたのち、剥離させることに
より得られる。
【0050】次に、第二発明の場合は、このような高分
子フィルム71内にラジカル重合性モノマー61および
ラジカル発生剤63を均一に含ませる(図3(B))。
ラジカル重合性モノマー61およびラジカル発生剤63
を高分子フィルム71に含ませるためには、例えば、気
相または液相における拡散を用いればよい。この拡散
は、一定深さへの拡散という点以外は、第1の実施の形
態にて行った拡散と同様の手段をとることにより実施で
きる。
【0051】なお、このような拡散を用いるのではな
く、高分子フィルムを形成する際に、予め、液体状の高
分子材料にラジカル重合性モノマーおよびラジカル発生
剤を均一に含ませたのち、固化させてフィルム状にする
場合があっても良い。
【0052】続いて、ラジカル重合性モノマー61およ
びラジカル発生剤63を均一に含んだ高分子フィルム7
1に対して部分的に光を照射する(図3(C))。な
お、この光は、高分子フィルム71の内部の領域である
第2領域73に対してのみ照射される。なお、既に説明
したように、この第2領域73は、コア形成予定領域6
9を挟む少なくとも2つの領域であって、この高分子フ
ィルム71の表裏に渡る領域である(図示例では3つの
第2領域73となっている。)。また、この照射は、例
えば、クラッドの形成予定部分に開口部を有するフォト
マスク75を高分子フィルム71上に設置して、露光す
ることにより行えばよい。なお、この光は高分子フィル
ム71の内部のラジカル発生剤63からラジカルを発生
させるための光である。そして、その波長、照射強度お
よび照射時間は、第1の実施の形態にて述べた条件で行
えばいよい。このような光の照射により発生したラジカ
ルにラジカル重合性モノマー61を付加および重合させ
て、第2領域73にポリマーが形成される。高分子フィ
ルム71内部の第2領域73においてポリマーが形成さ
れると、その領域73の屈折率が低下してクラッド65
となる(図3(D))。
【0053】また、好適には、第2領域73にクラッド
65を形成したのち、この高分子フィルム71から、前
述したような付加および重合に寄与せずに高分子フィル
ム71内に残存した未反応のラジカル重合性モノマー6
1を除去する処理を行う(図3(E))。この除去処理
を行うことにより、光導波路の屈折率の分布の経年的な
変化を抑制することができる。この処理は、上述の第1
の実施の形態にて説明したような手段で行えばよい。
【0054】上述したような手順で以て、第2領域73
にクラッド65を形成する工程を実施することができ
る。さらに、上述の第2領域73にクラッド65を形成
する工程を行ったのち、以下に 述べる第1領域57に
クラッド65を形成する工程を行う。
【0055】図4は、第2領域73にクラッドを形成し
た高分子フィルム71の第1領域57に、クラッドを形
成する工程を示した図である。
【0056】先ず、上述の工程で、第2領域73にクラ
ッド65が形成された高分子フィルム71の内部の領域
であって(図4(A))、第1の実施の形態と同様に、
高分子フィルム71の表面および裏面のそれぞれから一
定深さまでの領域、すなわち、第1領域57にラジカル
重合性モノマー61およびラジカル発生剤63を拡散さ
せる(図4(B))。この拡散は、第1の実施の形態に
て説明した第1領域への拡散と同様の手段をとることに
より行える。また、第1の実施の形態にて説明したよう
に、液相中の拡散を用いる場合は、有機溶媒などからな
る拡散用溶媒に、ラジカル重合性モノマーおよびラジカ
ル発生剤を所定量だけ混合した拡散用溶液を調製し、そ
の拡散用溶液に高分子フィルムを浸漬させて行えばよ
い。このような拡散により、図4(B)に示すように、
高分子フィルム71の全ての表面から一定の深さの第1
領域57にラジカル重合性モノマー61およびラジカル
発生剤63が拡散される。
【0057】ここで拡散させるラジカル重合性モノマー
61は、上述の第2領域に拡散させたラジカル重合性モ
ノマーと同じモノマーとしておくのが好適である。それ
により、コアを囲むクラッドの屈折率を均一にすること
が容易となる。
【0058】次に、上述の拡散済みの高分子フィルム7
1に光を照射する(図4(C))。この照射により、ラ
ジカル発生剤63からラジカルが発生し、このラジカル
にラジカル重合性モノマー63が付加および重合してポ
リマーを形成する。このポリマーが形成された第1領域
57がクラッド65となり、フィルム型高分子導波路6
7が形成される(図4(D))。また、この光の照射の
各条件は、上述した第1の実施の形態での条件で行うこ
とができる。
【0059】また、好適には、光を照射してラジカル重
合性モノマーを重合させて光導波路を形成したのち、未
反応のラジカル重合性モノマー61を除去する処理を行
うのが良い(図4(E))。この除去処理についても、
上述の第1の実施の形態にて説明した除去処理と同様の
手順および条件で行うことができる。
【0060】一方、第三発明の場合は、図3(A)を用
いて説明した高分子フィルムを用意したのち、先ず、こ
の高分子フィルムに対して、第1の実施の形態にて説明
したフィルム型高分子導波路の形成方法(図4(B)を
用いて説明した方法と同様の方法)と同じく、ラジカル
重合性モノマーおよびラジカル発生剤を、フィルム表面
および裏面のそれぞれから所定深さまでの領域(すなわ
ち、第1領域57)に拡散させる。次に、図4(C)を
用いて説明した方法と同様の方法で光を照射する。これ
により、第1領域にクラッドを形成できる。続いて、図
3(B)〜(D)を用いて説明した方法と同様な方法で
第2領域にもクラッドを形成することができる。
【0061】以上説明したように、第二および第三発明
を用いて、第1領域57および第2領域73にクラッド
65を形成する工程を経て、フィルム型高分子導波路6
7を形成することができる。このとき、図4(E)に示
すように、第1および第2領域に囲まれる部分が、コア
59となっている。
【0062】また、第二または第三発明のそれぞれの第
1領域にクラッドを形成する工程および第2領域にクラ
ッドを形成する工程の少なくとも一方の工程で、未反応
モノマーの除去を実施するのが好適である。この除去処
理は、第1領域にクラッドを形成した後のみ行っても良
いし、第2領域にクラッドを形成した後のみに行っても
良いし、あるいは、第1領域および第2領域にクラッド
を形成した後にその都度行っても良い。
【0063】なお、上述した第1および第2の実施の形
態の各工程に用いられる材料につき、以下に説明する。
【0064】例えば、高分子フィルムを形成するための
高分子材料としては、ポリイミド、ポリメチルメタクリ
レート(PMMA)などの光透過性に優れる材料を用い
ることができる。また、それらの重水素化物、あるい
は、それらのフッ化物などを用いるのが好適である。特
に、フッ化ポリイミドまたはフッ化PMMAは、光ファ
イバー通信に用いられる波長帯での透過率に優れている
ため、好適である。なかでも、フッ化ポリイミドは高い
耐熱性を有しているため、好適である。耐熱性は、一般
的に電子部品と同じ基板上に設けられることが多いフィ
ルム型の光導波路において、それら電子部品のはんだ付
けなどの際に生じる熱などによる光導波路の透過性が劣
化するのを低減できるためである。
【0065】また、ラジカル重合性モノマーとしては、
メチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロ
ニトリル若しくはスチレンなどのラジカル重合性を有す
るモノマーを用いることができる。ただし、光導波路の
クラッドを構成するために、重合すると高分子フィルム
よりも屈折率が低くなるような材料を用いなければなら
ない。
【0066】また、ラジカル発生剤としては、ベンゾイ
ンエチルエーテル、ジアゾ化合物、2,2−ジメチル−
2−フェニル−アセトフェノン(2,2−dimeth
yl−2−phenyl−acetophenon
e)、チタノセンクロライド(titanocenec
hloride)、ベンジル(benzil)、1−
(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン(1−(4−isoprop
ylphenyl)−2−hydroxy−2−met
hylpropan−1−on)、2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(2−hy
droxy−2−methyl−1−phenylpr
opan−1−on)、アゾイソブチルニトリル(az
oisobutylnitril)などを用いることが
できる。これら以外にも、紫外線などの光によりラジカ
ルを発生する物質であれば良い。
【0067】また、液相で拡散を行う場合において、拡
散用溶液を調製するための拡散用溶媒としては、メタノ
ール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアル
コール類、アセトンなどのケトン類、ジクロロメタンな
どの低沸点溶媒などを用いることができる。これらのよ
うに揮発性の溶媒を用いると、高分子フィルムから簡単
に溶媒を除去できるため好適である。
【0068】
【実施例】以下、この出願の各発明につき、第1および
第2の実施例を用いて、更に説明する。なお、以下の説
明で用いる使用材料、使用装置、また、使用材料の使用
量や工程中で述べる温度、圧力、膜厚、露光条件、各部
の寸法などの数値的な条件は、この発明の範囲内の一例
に過ぎない。従って、この発明はこれらの条件になんら
限定されるものではない。なお、第1および第2の実施
例において、高分子フィルムとしてフッ化ポリイミドを
用い、ラジカル重合性モノマーとしてメチルアクリレー
トを用い、ラジカル発生剤としてベンゾインエチルエー
テルを用いた例につき説明する。
【0069】1.第1の実施例 先ず、幅30μmおよび深さ26μmの溝を有するシリ
コンウェハを用意した。このシリコンウェハの上に、フ
ッ素化ポリイミド(日立化成社製:商品名OPI−N2
005)をスピンコート法によってコーティングした。
このフッ素化ポリイミドは、フッ化ポリイミドを溶媒と
してのジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解したも
のである。なお、このスピンコートは、3000rpm
の回転速度で40秒間行った。そして、コートされたフ
ッ化ポリイミドをシリコンウェハと共に、100℃で3
0分、200℃で30分および370℃で40分間、こ
の順序で焼成した。それにより、シリコンウェハ上にフ
ィルム状の高分子膜が形成され、その膜をシリコンウェ
ハより剥離して、高分子フィルムとした。そのとき、各
部のおおよその寸法は、図2(B)に示す記号を用いる
と、それぞれ、T=4μm、H=26μmおよびW=3
0μmとなっている。このようにして、リッジ状の凸部
53を有する高分子フィルム(フッ化ポリイミドフィル
ム)51を得た(図1(A))。
【0070】次に、遮光した状態で、ラジカル重合性モ
ノマーおよびラジカル発生剤を含んだ溶液によって、ラ
ジカル重合性モノマーおよびラジカル発生剤を高分子フ
ィルム内の一定の深さまで拡散させる。そこで先ず、ベ
ンゾインエチルエーテル(ラジカル発生剤)を1重量%
含むメチルアクリレート(ラジカル重合性モノマー)2
重量部と、メタノール(拡散用溶媒)8重量部とを混合
した拡散用溶液を調製した。そして、室温(約20℃)
となっている拡散用溶液に、上述の高分子フィルム51
を1時間にわたり浸漬した。それにより、高分子フィル
ム51の表面から約10μmの深さまでメチルアクリレ
ート61およびベンゾインエチルエーテル63が拡散し
た(図1(B))。
【0071】続いて、拡散済みの高分子フィルム51に
対して露光を行う(図1(C))。露光の光源として、
500Wの超高圧水銀灯を用いる。その超高圧水銀灯か
ら発生する紫外線を、高分子フィルムの片側全面に、そ
のフィルムから40cmだけ離れた位置から5分間照射
した。それにより、ベンゾインエチルエーテル63から
ラジカルが発生して、メチルアクリレート61が重合す
ることによりクラッド65が形成された(図1
(D))。
【0072】次に、重合してクラッド65が形成された
高分子フィルム51から、前述のような重合をせずに高
分子フィルム51内部に残存した未反応のメチルアクリ
レート61を除去する。この除去処理は、遮光したチャ
ンバ内に高分子フィルムを設置し、そのフィルムを約1
00℃に加熱しつつ、チャンバ内を約5mmHgに減圧
することにより行った。この除去処理により、高分子フ
ィルム51から未反応のメチルアクリレート61が除去
されて、フィルム型高分子導波路が得られた(図1
(E))。
【0073】このようにして形成されたフィルム型高分
子導波路の1330nmの光に対する透過減衰量を調べ
たところ、約0.5dBとなっており、フィルム内の複
数の導波路においてほぼ一定値を示した。
【0074】2.第2の実施例 ここでは、先ず、直径が2インチのシリコンウェハを用
意した。このシリコンウェハの上に、フッ素化ポリイミ
ド(日立化成社製:商品名OPI−N2005)をスピ
ンコート法によってコーティングした。このフッ素化ポ
リイミドは、フッ化ポリイミドを溶媒としてのジメチル
アセトアミド(DMAC)に溶解したものである。な
お、このスピンコートは、3000rpmの回転速度で
40秒間行った。このようにコートされたフッ化ポリイ
ミドをシリコンウェハと共に、100℃で30分、20
0℃で30分、370℃で40分間、この順序で焼成し
た。このとき、シリコンウェハの上に厚さ約4μmのフ
ッ化ポリイミド膜が形成された。そして更に、この手順
を、5回繰り返すことにより、シリコンウェハ上に約2
4μmの厚さのフッ化ポリイミド膜を形成した。その膜
を剥離して、高分子フィルム71を得た(図3
(A))。
【0075】次に、遮光した状態で、ラジカル重合性モ
ノマーおよびラジカル発生剤を含んだ溶液によって、ラ
ジカル重合性モノマーおよびラジカル発生剤を高分子フ
ィルム内の一定の深さまで拡散させる。そこで先ず、ベ
ンゾインエチルエーテル(ラジカル発生剤)を1重量%
含むメチルアクリレート(ラジカル重合性モノマー)2
重量部と、メタノール(拡散用溶媒)8重量部を混合し
た拡散用溶液を調製した。そして、室温(約20℃)と
なっている拡散用溶液に、上述の高分子フィルム71を
6時間にわたり浸漬した。それにより、高分子フィルム
71の内部に対して均一にメチルアクリレート61およ
びベンゾインエチルエーテル63が拡散した(図3
(B))。
【0076】続いて、拡散済みの高分子フィルム71の
第2領域73に選択的に露光する(図3(C))。この
選択的な露光は、第2領域73に対応する幅10μmの
細長い開口部を有する露光マスク75を高分子フィルム
71の上に設置して行う。露光の光源としては、500
Wの超高圧水銀灯を用いる。この超高圧水銀灯から発生
する紫外線を、高分子フィルム71の片側全面に、その
フィルムから40cm離れた位置から5分間照射した。
それにより、ベンゾインエチルエーテル63からラジカ
ルが発生して、メチルアクリレート61の重合が生じる
ことにより第2領域73にクラッド65が形成された
(図3(D))。
【0077】次に、重合させたのちの高分子フィルム7
1から、未反応のままフィルム内に残存するメチルアク
リレート61を除去する。この処理は、遮光したチャン
バ内に高分子フィルムを設置し、そのフィルムを約10
0℃に加熱しつつ、チャンバ内を約5mmHgに減圧す
ることにより行った。この除去処理により、高分子フィ
ルム71から未反応のメチルアクリレート61が除去さ
れた(図3(E))。
【0078】続いて、未反応モノマーの除去処理を施し
た高分子フィルム71に(図4(A))、メチルアクリ
レート61およびベンゾインエチルエーテル63を拡散
させる。そのため、上述した第2屈折率形成領域への拡
散と同様に、室温となっている前述の拡散用溶液に、未
反応モノマーの除去処理を行った高分子フィルム71を
40分間にわたり浸漬した。それにより、高分子フィル
ム71の表面から約10μmの深さ(すなわち、第1領
域57)まで、メチルアクリレート61およびベンゾイ
ンエチルエーテル63が拡散した(図4(B))。
【0079】次に、この拡散済みの高分子フィルム71
に対して露光を行う(図4(C))。この露光の光源と
して、500Wの超高圧水銀灯を用いる。この超高圧水
銀灯から発生する紫外線を、高分子フィルムの片側全面
に、そのフィルムから40cm離れた位置から5分間に
わたり照射した。それにより、ベンゾインエチルエーテ
ル63からラジカルが発生して、メチルアクリレート6
1が重合することにより、第1領域57にクラッド65
が形成された(図4(D))。
【0080】続いて、重合させたのちの高分子フィルム
71から、未反応のままフィルム内に残存するメチルア
クリレート61を除去する。この処理は、遮光したチャ
ンバ内に高分子フィルムを設置し、そのフィルムを約1
00℃に加熱しつつ、チャンバ内を約5mmHgに減圧
することにより行った。この除去処理により、高分子フ
ィルム71から未反応のメチルアクリレート61が除去
されて、フィルタ型高分子導波路が得られた(図4
(E))。
【0081】このようにして形成されたフィルム型高分
子導波路の1330nmの光に対する透過減衰量を調べ
たところ、約0.5dBとなっており、フィルム内の複
数の導波路においてほぼ一定値を示した。
【0082】
【発明の効果】上述した説明から明らかなように、この
第一発明のフィルム型高分子導波路の形成方法によれ
ば、リッジ状の凸部を有する高分子フィルムに、その表
面から一定の深さまでの領域に、ラジカル重合性モノマ
ーおよびラジカル発生剤を拡散させたのち、この高分子
フィルムに光を照射することにより、このラジカル発生
剤から発生したラジカルにラジカル重合性モノマーを重
合させて、クラッドを形成している。このように、この
第一発明によれば、RIE法を用いることなくフィルム
型高分子導波路を形成できるので、RIE法を用いてい
た際の様々な問題点を解決することができる。したがっ
て、従来に比べ、安価にかつ容易にフィルム型高分子導
波路を形成することができる。また、第二発明とは異な
り、二度のラジカル重合性モノマーおよびラジカル発生
剤の拡散を行うことなくフィルム型高分子導波路を形成
することができる。
【0083】また、この第二および第三発明のフィルム
型高分子導波路の形成方法によれば、ラジカル重合性モ
ノマーおよびラジカル発生剤をそれぞれ均一に含む高分
子フィルムに局所的(第2領域のみに)に光を照射する
ことにより、第2領域にクラッドの一部を形成する工程
と、高分子フィルムの表面から一定の深さまでの領域
(第1領域)に、ラジカル重合性モノマーおよびラジカ
ル発生剤を拡散させたのち、この高分子フィルムに光を
照射することにより、第1領域にクラッドの一部を形成
する工程とを含む工程を行っている。このように、この
第二および第三発明によれば、RIE法を用いることな
くフィルム型高分子導波路を形成できるので、RIE法
を用いていた際の様々な問題点を解決することができ
る。したがって、従来に比べ、安価にかつ容易にフィル
ム型高分子導波路を形成することができる。また、上述
した第一発明とは異なり、リッジ状の凸部を有する高分
子フィルムを用いることなくフィルム型高分子導波路を
形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態の説明に供する図である。
【図2】第1の実施の形態における高分子フィルムのリ
ッジ状の凸部と、拡散させる深さとの関係の説明に供す
る図である。
【図3】第2の実施の形態および第2の実施例のそれぞ
れの説明に供する図(その1)である。
【図4】第2の実施の形態および第2の実施例のそれぞ
れの説明に供する図(その2)である。
【図5】従来のフィルム型高分子導波路の形成方法の断
面図である。
【符号の説明】
51、71:高分子フィルム 53:リッジ状の凸部 55:リッジ状の凸部以外の部分 57:第1領域 59:コア 61:ラジカル重合性モノマー(メチルアクリレート) 63:ラジカル発生剤(ベンゾインエチルエーテル) 65:クラッド 67:フィルム型高分子導波路 69:コア形成予定領域 73:第2領域 75:フォトマスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 見田 充郎 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 (72)発明者 海部 勝晶 東京都港区虎ノ門1丁目7番12号 沖電気 工業株式会社内 Fターム(参考) 2H047 KA04 PA02 PA12 PA15 PA17 PA28 QA05 TA43

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リッジ状の凸部を有する高分子フィルム
    の表裏から所定深さまでの領域である第1領域に、重合
    すると前記高分子フィルムよりも屈折率が低くなるラジ
    カル重合性モノマーとラジカル発生剤とを拡散させる工
    程と、 前記拡散済みの前記高分子フィルムに光を照射すること
    により、前記ラジカル発生剤からラジカルを発生させて
    前記ラジカル重合性モノマーを重合させ、前記第1領域
    にクラッドを形成すると同時に、該クラッドよりも内部
    の領域にコアを形成する工程とを含むことを特徴とする
    フィルム型高分子導波路の形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のフィルム型高分子導波
    路の形成方法において、 前記クラッド形成済みの前記高分子フィルムから、重合
    せずに該高分子フィルム内に残存している前記ラジカル
    重合性モノマーを除去する工程をさらに含むことを特徴
    とするフィルム型高分子導波路の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のフィルム型高分子導波
    路の形成方法において、 前記高分子フィルムを、フッ化ポリイミドおよびフッ化
    ポリメチルメタクリレートのいずれか一方を含むフィル
    ムとしたことを特徴とするフィルム型高分子導波路の形
    成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のフィルム型高分子導波
    路の形成方法において、 前記光を、紫外線としたことを特徴とするフィルム型高
    分子導波路の形成方法。
  5. 【請求項5】 重合すると高分子フィルムよりも屈折率
    が低くなるラジカル重合性モノマーとラジカル発生剤と
    を含む当該高分子フィルムの、コア形成予定領域を挟む
    少なくとも2つの領域であって該高分子フィルムの表裏
    に渡る領域(第2領域)に、光を照射することにより、
    前記ラジカル発生剤からラジカルを発生させて前記ラジ
    カル重合性モノマーを重合させ、前記第2領域にクラッ
    ドを形成する工程と、 前記クラッド形成済みの高分子フィルムの表裏から所定
    深さまでの領域である第1領域に、重合すると該高分子
    フィルムよりも屈折率が低くなるラジカル重合性モノマ
    ーとラジカル発生剤とを拡散させたのち、 該高分子フィルムに光を照射することにより、前記ラジ
    カル発生剤からラジカルを発生させて前記ラジカル重合
    性モノマーを重合させ、前記第1領域にクラッドを形成
    すると同時に、前記第1および前記第2領域の各クラッ
    ドよりも内部の領域にコアを形成する工程とを含むこと
    を特徴とするフィルム型高分子導波路の形成方法。
  6. 【請求項6】 高分子フィルムの表裏から所定深さまで
    の領域である第1領域に、重合すると該高分子フィルム
    よりも屈折率が低くなるラジカル重合性モノマーとラジ
    カル発生剤とを拡散させたのち、 該高分子フィルムに光を照射することにより、前記ラジ
    カル発生剤からラジカルを発生させて前記ラジカル重合
    性モノマーを重合させ、前記第1領域にクラッドを形成
    する工程と、 前記クラッド形成済みの高分子フィルムに、重合すると
    該高分子フィルムよりも屈折率が低くなるラジカル重合
    性モノマーとラジカル発生剤とを拡散させたのち、 該高分子フィルムの、コア形成予定領域を挟む少なくと
    も2つの領域であって該高分子フィルムの表裏に渡る領
    域(第2領域)に、光を照射することにより、前記ラジ
    カル発生剤からラジカルを発生させて前記ラジカル重合
    性モノマーを重合させ、前記第2領域にクラッドを形成
    すると同時に、前記第1および第2領域の各クラッドよ
    りも内部の領域にコアを形成する工程とを含むことを特
    徴とするフィルム型高分子導波路の形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6に記載のフィル
    ム型高分子導波路の形成方法において、 前記第1領域にクラッドを形成する工程および前記第2
    領域にクラッドを形成する工程の少なくとも一方の工程
    で、 前記クラッド形成済みの高分子フィルムから、重合せず
    に該高分子フィルム内に残存した前記ラジカル重合性モ
    ノマーを除去する処理を実施することを特徴とするフィ
    ルム型高分子導波路の形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または請求項6に記載のフィル
    ム型高分子導波路の形成方法において、 前記高分子フィルムを、フッ化ポリイミドおよびフッ化
    ポリメチルメタクリレートのいずれか一方を含むフィル
    ムとしたことを特徴とするフィルム型高分子導波路の形
    成方法。
  9. 【請求項9】 請求項5または請求項6に記載のフィル
    ム型高分子導波路の形成方法において、 前記光を、紫外線としたことを特徴とするフィルム型高
    分子導波路の形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006098672A (ja) * 2004-09-29 2006-04-13 Toppan Printing Co Ltd フレキシブル光基板
KR100951174B1 (ko) 2008-03-31 2010-04-06 한울정보기술(주) 도광로가 구비된 도광필름 및 이를 구비한 발광 키패드
JP2011053723A (ja) * 2010-12-17 2011-03-17 Sumitomo Bakelite Co Ltd 光導波路およびその製造方法

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