JP2000089796A - 音響信号へのデータ埋め込み装置およびデータ抽出装置 - Google Patents

音響信号へのデータ埋め込み装置およびデータ抽出装置

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JP2000089796A
JP2000089796A JP10260761A JP26076198A JP2000089796A JP 2000089796 A JP2000089796 A JP 2000089796A JP 10260761 A JP10260761 A JP 10260761A JP 26076198 A JP26076198 A JP 26076198A JP 2000089796 A JP2000089796 A JP 2000089796A
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Satoru Koizumi
悟 小泉
Takashi Nishi
隆司 西
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Japan Broadcasting Corp
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Nippon Hoso Kyokai NHK
Japan Broadcasting Corp
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  • Signal Processing For Digital Recording And Reproducing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の音響信号へのデータ埋め込みでは、
(1)伝送による雑音の混入、操作に対する耐性に問題
がある、(2)埋め込みデータを埋め込んだ音響信号と
原音響信号との間に聴感上の差が生じ易い、(3)埋め
込み、抽出の処理が複雑、かつ(4)埋め込み可能なデ
ータ量が少ないなどの解決すべき課題があった。 【解決手段】 埋め込み側においては、埋め込みデータ
に応じて生成したインパルス応答関数(3)と原音響信
号との畳み込み処理(4)により埋め込みデータを埋め
込み、抽出側においては、埋め込みデータを埋め込んだ
音響信号と原音響信号とを対象にクロススペクトル法を
用いることにより埋め込みデータを抽出するようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、音響信号の識別・
コピー保護に必要な情報をディジタル音響信号に埋め込
む音響信号へのデータ埋め込み装置、およびその埋め込
み装置によって埋め込まれたデータを高い精度で音響信
号から抽出するデータ抽出装置に関する。また、本発明
により埋め込まれたデータは、電子透かしやデータベー
スのインデックス情報として使用できるものである。
【0002】
【従来の技術】音響信号への情報埋め込みに関しては、
過去に、 (1)ディジタル音響信号の下位ビットに情報を埋め込
む方法(特開平9−214636号) (2)音響信号を周波数変換した後に位相成分に情報を
埋め込む方法(“電子透かしを支えるデータ・ハイディ
ング技術(下)”日経エレクトロニクス,1997,N
o.684) (3)情報をスペクトラム拡散させて周波数変換した音
響信号に埋め込む方法(同じく、“電子透かしを支える
データ・ハイディング技術(下)”日経エレクトロニク
ス,1997,No.684) (4)インパルス応答の時間遅れパラメータを変えてエ
コーとして情報を埋め込む方法(同じく、“電子透かし
を支えるデータ・ハイディング技術(下)”日経エレク
トロニクス,1997,No.684) 等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記(1)〜
(4)の方法は、それぞれ以下のような欠点を有してい
る。すなわち、 (1)の方法は、情報が埋め込まれている位置を特定し
やすいため、改ざん等の操作に対する耐性が弱く、伝送
路の雑音の影響を受けやすいという欠点を有する。 (2)の方法は、位相を変化させることによって生ずる
歪み量がもとの音響信号の位相に依存しており、聴感上
分からないように埋め込むことが難しい。
【0004】また、 (3)の方法は、受信側で埋め込み情報を抽出するため
に、データが埋め込まれている位置を特定し、その基準
となるタイミングを合わせることが難しく、これが可能
な場合でも装置が大規模のものになるという欠点を有す
る。 (4)の方法は、1フレーム(一連のデータ埋め込み処
理を行うために分割された原信号の一部分、通常数秒〜
数十秒程度の長さ)の中にデータを1ビットしか埋め込
むことができないため、埋め込みデータ量を多くできな
いという欠点を有する。
【0005】本発明の目的は、上記各欠点を排除し、以
下の点、すなわち、(1)伝送による雑音の混入、操作
に対する耐性に優れていること、(2)データを埋め込
んだ音響信号と原音響信号との間に聴感上の差が生じに
くいこと、(3)比較的簡単な処理で情報の埋め込み、
抽出ができること、(4)埋め込め可能なデータ量が多
いこと、をすべて同時に満足することのできる音響信号
へのデータ埋め込み装置およびデータ抽出装置を提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明音響信号へのデータ埋め込み装置は、入力デ
ィジタル音響信号に埋め込みデータを埋め込む音響信号
へのデータ埋め込装置において、前記ディジタル音響信
号を一定時間長のフレームに順次分割する埋め込み側フ
レーム分割部と、前記埋め込みデータを予め設定したN
ビット毎に分割するNビット分割部と、該分割されたN
ビット毎の埋め込みデータについて、遅れ時間0で振幅
1の原ディジタル音響信号に対応した1つのインパルス
と、そのインパルスからの遅れ時間がそれぞれ予め定め
られた基本時間間隔の素数倍であって予め定められた振
幅をもつ0〜N個のパルスからなる前記Nビット毎の埋
め込みデータに対応したインパルス列とにより構成され
るインパルス応答関数を作成するインパルス応答作成部
と、前記埋め込み側フレーム分割部の出力信号である1
フレーム分のディジタル音響信号と前記インパルス応答
関数とを畳み込み演算して、前記Nビットの埋め込みデ
ータを埋め込んだ1フレーム分のディジタル音響信号を
作成する畳み込み演算部と、前記Nビットの埋め込みデ
ータを埋め込んだ1フレーム分のディジタル音響信号を
時間軸上で順次合成して、埋め込みデータを埋め込んだ
一連のディジタル音響信号を出力する埋め込み側フレー
ム合成部とを少なくとも具えたことを特徴とするもので
ある。
【0007】また、本発明音響信号へのデータ埋め込み
装置は、前記Nビットの埋め込みデータに対応したイン
パルス列に関して前記基本時間間隔の素数倍の素数は、
昇順に並べた素数を“1”から順次にN個を選択した素
数であることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明音響信号からのデータ抽出装
置は、音響信号へのデータ埋め込み装置によって埋め込
まれたデータを、音響信号から抽出するデータ抽出装置
において、前記埋め込みデータを埋め込んだ一連のディ
ジタル音響信号と原ディジタル音響信号との相互相関が
最大となるタイミングを検出する同期部と、前記検出し
たタイミングを基準として前記埋め込みデータを埋め込
んだ一連のディジタル音響信号と原ディジタル音響信号
との同期をとりながら、データ埋め込み時のフレーム分
割情報に基づきデータ埋め込み時と同一のフレーム構成
になるように、前記埋め込みデータを埋め込んだ一連の
ディジタル音響信号と原ディジタル音響信号とを各別に
予め定められた一定時間長のフレームに順次分割する抽
出側フレーム分割部と、1フレーム分の原ディジタル音
響信号およびそれに対応する1フレーム分の前記埋め込
みデータを埋め込んだディジタル音響信号を対象に、ク
ロススペクトル法を用いて前記埋め込みデータに対応す
るインパルス応答関数を抽出して、データ埋め込み時の
埋め込みデータとインパルス応答関数の対応情報に基づ
き前記抽出したインパルス応答関数を1フレーム分の埋
め込みデータに逆変換する埋め込みデータ抽出部とを少
なくとも具えたことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照し、発明の
実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。図1
は、本発明による音響信号へのデータ埋め込み装置の一
実施形態をブロック図にて示している。図1において、
1は埋め込み側フレーム分割部、2はNビット分割部、
3はインパルス応答作成部、4は畳み込み演算部、およ
び5は埋め込み側フレーム合成部である。
【0010】動作につき説明する。まず、ディジタル音
響信号を、埋め込み側フレーム分割部1で一定時間長
(例えば、後述するように、抽出側で十分なパルス列の
推定が可能となる2〜3秒)のフレームに順次分割す
る。また、埋め込みデータ列を、Nビット分割部2で予
め設定したNビット毎に分割し、次段のインパルス応答
作成部3で、分割されたNビット毎にインパルス応答関
数を作成する。このインパルス応答関数は、遅れ時間0
で振幅1の原ディジタル音響信号に対応した1つのイン
パルスと、そのインパルスからの遅れ時間がそれぞれ予
め定められた〔基本時間間隔〕×〔素数〕であって予め
定められた振幅をもつ0〜N個のパルスからなるNビッ
トの埋め込みデータに対応したインパルス列とにより構
成される。
【0011】図2(a)および(b)は、埋め込みデー
タに対応するインパルス応答関数の2つの例を示してい
る。これらにおいては、ディジタル音響信号の1フレー
ムに埋め込む埋め込みデータのビット数Nを8〔bi
t〕、基本時間間隔を1〔ms〕に設定している。基本
時間間隔が長すぎると作成したインパルス応答関数の全
体時間長が長くなり、聴感上聴き取りやすいエコーとな
り音質劣化を生じることがあるため、この程度に設定す
ることが望ましい。
【0012】図2(a)は、8ビットの埋め込みデータ
がすべて1、すなわち(1,1,1,1,1,1,1,
1)の場合に作成されるインパルス応答関数を示してい
る。この基本となるインパルス応答関数は、図示のよう
に、原音響信号に対応する遅れ時間0、振幅1のインパ
ルスと、それぞれが埋め込みデータ1ビットずつに対応
する、遅れ時間1,3,5,7,11,13,17,1
9msの位置の8個のパルスから構成される。埋め込み
データに対応するパルスの振幅は、この例では振幅を全
て等しく0.1としたが、抽出側で対応がとれてさえい
れば必ずしも等しく設定する必要はなく、それぞれを
0.01〜0.1程度の範囲から選択することもでき
る。振幅の値の範囲は、大きく設定するほど耐性が高く
埋め込みデータの抽出は容易になるが、聴感上の音質劣
化が生じやすくなるため、この程度の範囲から選択する
ことが望ましい。
【0013】図2(b)は、8ビットの埋め込みデータ
が(1,0,0,1,1,1,0,1)に対応するイン
パルス応答関数を示している。このように、図2(a)
の基本インパルス応答関数のうち、時刻1,3,5,
7,11,13,17,19msの位置の8個のパルス
について、埋め込みデータのn番目のビットの値が
“0”の場合にn番目のパルスの振幅を0とすることに
より、埋め込みデータの各ビット値とパルスの振幅とを
一対一に対応させて符号化する。ここでは埋め込みデー
タの2・3・7番目のビットの値を“0”としたため、
対応する時刻3・5・17msの位置の(2・3・7番
目の)パルスの振幅が0となっている(図2参照)。
【0014】なお、上記においては、埋め込みデータの
“1”と“0”をNRZで表してパルスの有無に対応さ
せたが、これはまた、抽出側で対応がとれてさえいれ
ば、NRZIで表してパルスの有無に対応させてもよ
く、また、パルスの有無ではなく振幅の大小に対応させ
てもよい。このように埋め込みデータとインパルス応答
関数との関係は、種々のバリエーションが可能である。
【0015】要するに、分割されたNビット毎の埋め込
みデータについて、遅れ時間0で振幅1の原ディジタル
音響信号に対応した1つのインパルスと、そのインパル
スからの遅れ時間がそれぞれ予め定められた基本時間間
隔の素数倍であって、予め定められた振幅をもつ0〜N
個のパルスからなる前記Nビットの埋め込みデータに対
応したインパルス列とにより構成されるインパルス応答
関数を作成するものであればよい。
【0016】図1に示す畳み込み演算部4においては、
インパルス応答作成部3で埋め込みデータを符号化して
作成したインパルス応答関数と、埋め込み側フレーム分
割部1で分割したフレーム毎のディジタル音響信号とを
対象に畳み込み演算を行い、埋め込みデータを埋め込ん
だ音響信号を作成して出力する。
【0017】以上のように、本発明においては、フレー
ム毎のディジタル音響信号に埋め込みデータを埋め込む
ようにしているので、それら埋め込みデータを相互に異
なるものとすることにより、全体では、フレーム数×N
ビットの独立した情報を埋め込むことができる。
【0018】最後に、畳み込み演算部4から得られるN
ビットの埋め込みデータを埋め込んだ1フレーム分のデ
ィジタル音響信号を、フレーム合成部5において、時間
軸上で順次合成して(連続信号にすること)埋め込みデ
ータを埋め込んだ一連のディジタル音響信号にして出力
する。
【0019】また、埋め込み側において埋め込みデータ
を埋め込む処理は、データ抽出側で埋め込んだデータを
抽出する確率を向上させるため、および、音響信号の一
部のみの不正使用に対する電子透かしの耐性を向上させ
るためにも繰り返し行うことが望ましい。この埋め込み
処理の繰り返しについて言えば、本発明では、例えば、
埋め込みデータの総数が80ビットでN=8とすると、
3秒/1フレームの場合、30秒間で全埋め込みデータ
を埋め込むことが可能となり、従って、原音響信号の3
0秒毎に全埋め込みデータを繰り返して埋め込むことが
可能である。しかし、この繰り返し埋め込むことについ
ては本発明の本質に関わる部分ではないので、その詳細
な説明は省略する。
【0020】次に、埋め込み側で埋め込んだデータを抽
出側で抽出する本発明による音響信号からのデータ抽出
装置について説明する。図3は、本発明による音響信号
からのデータ抽出装置の一実施形態をブロック図にて示
している。図3において、6は同期部、7は抽出側フレ
ーム分割部I、8は抽出側フレーム分割部II、および9
は埋め込みデータ抽出部である。
【0021】動作につき説明する。本発明による音響信
号からのデータ抽出装置は、埋め込みデータの抽出側に
おいて、データの埋め込みが行われた装置を特定できる
ようにするなどの目的をもって、もとの音響信号(埋め
込みデータが埋め込まれていない原音響信号)を有する
者のみが埋め込みデータの抽出を可能とするものである
から、埋め込みデータ抽出側には、原音響信号が存在す
ることが前提となっている。
【0022】図3において、同期部6は、埋め込みデー
タを埋め込んだディジタル音響信号と原ディジタル音響
信号とが供給され、それら供給された両信号間の相互相
関を求め、波形を比較して大まかなタイミングをとり、
さらに両信号の時間差を細かく変化させて求めた相互相
関の結果から両信号間の相互相関が最大となるタイミン
グを検出する。
【0023】次に、同期部6で検出したタイミングを基
準として埋め込みデータを埋め込んだ一連のディジタル
音響信号と原ディジタル音響信号との同期をとりなが
ら、データ埋め込み時のフレーム分割情報に基づきデー
タ埋め込み時と同一のフレーム構成となるように、埋め
込みデータを埋め込んだ一連のディジタル音響信号と原
ディジタル音響信号をそれぞれ符号7および8にて示す
抽出側フレーム分割部IおよびIIにおいて各別に予め定
められた一定時間長のフレームに順次分割する。
【0024】それぞれ抽出側フレーム分割部IおよびII
(7および8にて示す)から得られた、各一定時間長の
埋め込みデータを埋め込んだディジタル音響信号と原デ
ィジタル音響信号とが埋め込みデータ抽出部9に供給さ
れ、1フレーム分の原ディジタル音響信号およびそれに
対応する1フレーム分の上記埋め込みデータを埋め込ん
だディジタル音響信号を対象に、以下に説明するクロス
スペクトル法を用いて埋め込みデータに対応するインパ
ルス応答関数を抽出して、データ埋め込み時の埋め込み
データとインパルス応答関数の対応情報に基づき、抽出
したインパルス応答関数を1フレーム分の埋め込みデー
タに逆変換して出力する。
【0025】以下に、クロススペクトル法を用いて埋め
込みデータを推定する方法について述べる。フレーム内
の原音響信号x(n)と、この信号に合成パルス列(埋
め込みデータ)d(n)を畳み込んだ埋め込み音響信号
y(n)の2つの信号を用いることにより、次の(1)
〜(8)式から合成パルス列を統計的に推定する。 y(n)=d(n)*x(n) (1) xi (n)=x((i−1)L+n), n=1,2,----,M (2) yi (n)=y((i−1)L+n), n=1,2,----,M (3) Xi (k)=FFT〔w(n)xi (n)〕 (4) Yi (k)=FFT〔w(n)yi (n)〕 (5) Sxx(k)=Σi (k)i (k) (6) Sxy(k)=Σi (k)i (k) (7) h(n)=IFFT〔Sxy(k)/Sxx(k)〕 (8) 上記で*は畳み込み積分を表し、 は複素共役を表す。
【0026】また、上式においては、フレーム内に1ブ
ロックM点(ブロック長M)から構成されるブロック信
号x(n)とy(n)を定義し、そのブロック信号をフ
レーム先頭からL点ずつシフトした第i番目のブロック
の2つの信号を上記(2)、(3)式のようにx
i (n),yi (n)とする。第i番目のブロック信号
はブロック両端の回り込み現象を低減するために、
(4)、(5)式のようにハミング窓等の重み付けw
(n)を行う。
【0027】さらに、(6)式、(7)式のSxx、S
xyはそれぞれ原音響信号の平均パワースペクトル、原
音響信号と埋め込み音響信号の平均クロスパワースペク
トルを表す。また、(8)式のh(n)は原合成パルス
列d(n)を近似する推定パルス列である。ここで、平
均回数をPとすると、(8)式の推定のために必要なデ
ータ数は、((P−1)L+M)点である。
【0028】いま、一例として、音響信号が女性スピー
チの場合について、原音響信号および埋め込みデータを
埋め込んだ音響信号の波形をそれぞれ図4(a)および
(b)に示す。本例の場合、図4(b)のデータを埋め
込んだ音響信号は、図4(a)の原音響信号に図2
(b)に示す合成パルス列を畳み込んで作成したもので
ある。
【0029】図4(a)および(b)に示す信号に、ブ
ロック長M=16384点、シフト長L=1024点、
平均回数P=50回としてクロススペクトル法を適用
し、埋め込みデータを推定した結果を図5に示す。ここ
で、推定結果に対し推定誤差を評価する尺度として、抽
出された埋め込みデータの正確さの指標である次式のS
NR(Signal to Noise Ratio)
を定義する。 SNRm =10log(Σd2 (n)/Σ(d(n)−hm (n))2) (9) (9)式において、hm (n)はm番目のフレームに対
して推定されたインパルス応答関数を表している。上述
した女性スピーチの例についてシミュレーションを行っ
た結果から、抽出処理の平均繰り返し回数とSNRの関
係を図6に示す。図6から、ほぼ50回抽出処理を行っ
て平均すると安定したSNRが得られることが分かる。
【0030】従って、サンプリング周波数48kHzの
場合、安定した推定値が得られるまでに必要なデータ数
は、約1.4秒((50−1)×1024+16384
=66560点)となる。よって、2〜3秒の1フレー
ム内でパルス列の推定が十分可能である。ここで例示し
た女性スピーチ以外の音響信号を用いた場合でも、女性
スピーチを用いた場合とほぼ同等の推定精度でパルス列
の検出が可能である。
【0031】埋め込みデータ抽出部9における埋め込み
データの抽出は、抽出したインパルス応答関数の原音響
信号に対応するパルスの遅れ時間を0として、遅れ時間
が〔基本時間間隔〕×〔素数〕に設定した埋め込みデー
タに対応する遅れ時間パルスが存在するか否かを検討し
て行う。例えば、推定結果が図5に示される場合、検出
された8ビットの埋め込みデータは(1,0,0,1,
1,1,0,1)となる。そして、この検出された8ビ
ットの埋め込みデータをフレーム単位で時間軸方向に順
次に合成することにより全埋め込みデータ列を再現する
ことができる。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、埋め込み側でインパル
ス応答関数を作成するにあたって、遅れ時間が〔基本時
間間隔〕×〔素数〕となるように合成パルス列を構成す
ることにより、特定の周波数で生じる振幅のピーク、デ
ィップを軽減することができ、原音響信号と作成したイ
ンパルス応答関数を畳み込んで埋め込み信号を生成して
も、埋め込みデータを埋め込んだ音響信号を原音響信号
と聴感上差が生じにくくすることが可能となる。
【0033】また、人間の聴覚は時間軸方向に積分特性
をもつため、本発明によれば、作成したインパルス応答
関数と原音響信号とを畳み込んで作成した埋め込み音響
信号においては、聴感上エコーが聞こえにくく、原音響
信号との差が検知されにくい。また、本発明では、デー
タを埋め込む前の信号と、データを埋め込んだ信号の両
者を用いて、埋め込みデータの抽出を行っているため、
原信号を持たない第3者により埋め込みデータが抽出さ
れる可能性はほとんどなく、一方、データを埋め込んだ
権利者は比較的簡単な処理により埋め込んだデータの抽
出を行うことが可能となる。
【0034】また、本発明によれば、抽出の際に平均化
処理を行うことから、伝送中のランダムに発生する雑音
の混入等に対して耐性を有している。信号の特定のビッ
ト等に対して改ざんが加えられた場合にも、埋め込み側
で分割したフレーム単位で繰り返し処理を行うため、原
信号と比較して明らかに音質が劣化する程度の改ざんで
ない限り耐性を有しているものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による音響信号へのデータ埋め込み装置
の一実施形態をブロック図にて示している。
【図2】埋め込みデータに対応するインパルス応答関数
の2つの例を示している。
【図3】本発明による音響信号からのデータ抽出装置の
一実施形態をブロック図にて示している。
【図4】原音響信号(a)および埋め込みデータを埋め
込んだ音響信号(b)の波形の一例を示している。
【図5】図4(a)および(b)に示す信号に、クロス
スペクトル法を適用して埋め込んだデータを推定した推
定結果を示している。
【図6】抽出処理の平均繰り返し回数とSNRの関係を
示している。
【符号の説明】
1 埋め込み側フレーム分割部 2 Nビット分割部 3 インパルス応答作成部 4 畳み込み演算部 5 埋め込み側フレーム合成部 6 同期部 7 抽出側フレーム分割部I 8 抽出側フレーム分割部II 9 埋め込みデータ抽出部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力ディジタル音響信号に埋め込みデー
    タを埋め込む音響信号へのデータ埋め込装置において、 前記ディジタル音響信号を一定時間長のフレームに順次
    分割する埋め込み側フレーム分割部と、 前記埋め込みデータを予め設定したNビット毎に分割す
    るNビット分割部と、 該分割されたNビット毎の埋め込みデータについて、遅
    れ時間0で振幅1の原ディジタル音響信号に対応した1
    つのインパルスと、そのインパルスからの遅れ時間がそ
    れぞれ予め定められた基本時間間隔の素数倍であって予
    め定められた振幅をもつ0〜N個のパルスからなる前記
    Nビット毎の埋め込みデータに対応したインパルス列と
    により構成されるインパルス応答関数を作成するインパ
    ルス応答作成部と、 前記埋め込み側フレーム分割部の出力信号である1フレ
    ーム分のディジタル音響信号と前記インパルス応答関数
    とを畳み込み演算して、前記Nビットの埋め込みデータ
    を埋め込んだ1フレーム分のディジタル音響信号を作成
    する畳み込み演算部と、 前記Nビットの埋め込みデータを埋め込んだ1フレーム
    分のディジタル音響信号を時間軸上で順次合成して、埋
    め込みデータを埋め込んだ一連のディジタル音響信号を
    出力する埋め込み側フレーム合成部とを少なくとも具え
    たことを特徴とする音響信号へのデータ埋め込み装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の音響信号へのデータ埋め
    込み装置において、前記Nビットの埋め込みデータに対
    応したインパルス列に関して前記基本時間間隔の素数倍
    の素数は、昇順に並べた素数を“1”から順次にN個を
    選択した素数であることを特徴とする音響信号へのデー
    タ埋め込み装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の音響信号へのデータ埋め
    込み装置によって埋め込まれたデータを、音響信号から
    抽出するデータ抽出装置において、 前記埋め込みデータを埋め込んだ一連のディジタル音響
    信号と原ディジタル音響信号との相互相関が最大となる
    タイミングを検出する同期部と、 前記検出したタイミングを基準として前記埋め込みデー
    タを埋め込んだ一連のディジタル音響信号と原ディジタ
    ル音響信号との同期をとりながら、データ埋め込み時の
    フレーム分割情報に基づきデータ埋め込み時と同一のフ
    レーム構成になるように、前記埋め込みデータを埋め込
    んだ一連のディジタル音響信号と原ディジタル音響信号
    とを各別に予め定められた一定時間長のフレームに順次
    分割する抽出側フレーム分割部と、 1フレーム分の原ディジタル音響信号およびそれに対応
    する1フレーム分の前記埋め込みデータを埋め込んだデ
    ィジタル音響信号を対象に、クロススペクトル法を用い
    て前記埋め込みデータに対応するインパルス応答関数を
    抽出して、データ埋め込み時の埋め込みデータとインパ
    ルス応答関数の対応情報に基づき前記抽出したインパル
    ス応答関数を1フレーム分の埋め込みデータに逆変換す
    る埋め込みデータ抽出部とを少なくとも具えたことを特
    徴とする音響信号からのデータ抽出装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002054381A1 (fr) * 2000-12-28 2002-07-11 Sony Corporation Support d'enregistrement, appareil et procede d'enregistrement de support, procede de commande de sortie de signal d'information, appareil de reproduction de support d'enregistrement, procede d'emission de signal, et donnees de contenu
US6526385B1 (en) 1998-09-29 2003-02-25 International Business Machines Corporation System for embedding additional information in audio data
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