JP2000087269A - 海上浮体鋼構造物の陰極防止法 - Google Patents

海上浮体鋼構造物の陰極防止法

Info

Publication number
JP2000087269A
JP2000087269A JP10255289A JP25528998A JP2000087269A JP 2000087269 A JP2000087269 A JP 2000087269A JP 10255289 A JP10255289 A JP 10255289A JP 25528998 A JP25528998 A JP 25528998A JP 2000087269 A JP2000087269 A JP 2000087269A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
anode
sea
steel structure
lead wire
floating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10255289A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshio Hamada
敏男 浜田
Yukio Tanigawa
幸生 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Anti Corrosion Co Ltd
Original Assignee
Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd filed Critical Nittetsu Anti Corrosion Co Ltd
Priority to JP10255289A priority Critical patent/JP2000087269A/ja
Publication of JP2000087269A publication Critical patent/JP2000087269A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Prevention Of Electric Corrosion (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】海上空港等の大型の海洋鋼構造物に好ましい陰
極防食法を提供する。 【解決手段】陽極に連結されている5m以上のリード線
と陽極とを浮上せしめるフロートと陽極とよりなる陽極
ユニットを用いる。海洋鋼構造物の一方の側端から海水
を通り他方の側端に達して固定されているリード線に、
1または2以上の陽極ユニットを、陽極ユニットが海洋
構造物の底から〜50m下方の海中において連結され
たリード線に拘束された浮遊状態に保ち、正の電流を海
水から海洋鋼構造物に流す事により防食する。リード線
の一端あるいは両端の近傍には、ワイヤロープとの連結
治具や保護管を配する事ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】近年、例えば海上空港等の大
型の浮構造の海洋鋼構造物の建設が企画されている。本
発明は海洋に建設されるこれ等の大型の浮構造の鋼構造
物(本明細書では海上浮体鋼構造物と略記する)の防食
に関する。
【0002】
【従来の技術】海洋鋼構造物の防食方法としては、犠牲
陽極を用いる陰極防食法が知られている。即ち鋼に比べ
て腐食電池列で卑の金属、例えばアルミニウム等の犠牲
陽極を海洋鋼構造物に連結して海水中に配する。この際
には犠牲陽極が溶解する事により正の電流が海水から海
洋鋼構造物に流れ、海洋鋼構造物の腐食を防止する。し
かし海洋鋼構造物が大型になり防食する面積が広くなる
と、犠牲陽極の数が増加する。従ってこの方法は防食面
積が極めて広い本発明の海上浮体構造物の防食方法とし
ては経済的に好ましくない。
【0003】海洋鋼構造物の防食方法としては、また、
外部電源方式の陰極防食法が知られている。図4はその
模式説明図で、1は海洋鋼構造物、2は海水である。こ
の際には外部電源4から得られる直流を用いる。外部電
源4としては定電位直流電源が好ましく整流器や太陽電
池や風力発電機等を用いることができる。図中3は例え
ば金属チタンあるいはPb−Ag合金等で作成された不
溶性の陽極であり、リード線5を用いて外部電源4の+
極に連結されている。リード線5には例えば中心部に銅
線が配され、その周囲にプラスチックの絶縁層と鋼線の
補強層と防食層とが順次配された海底ケーブル等を用い
ることができる。尚外部電源4の一極は海洋鋼構造物に
連結されている。また図中6は海洋構造物の電位を測定
する照合電極であり7はその指示計である。
【0004】図4の外部電源方式の陰極防食法において
も、陽極3から流れた正の電流が海水から海洋鋼構造物
1に流れ海洋鋼構造物を防食する。尚この外部電源方式
の陰極防食法を用いると、陰極3から例えば50Å〜3
00Åの大電流を流す事ができ、犠牲陽極の場合よりも
広い面積を防食する事ができる。しかし防食する面積が
更に広い、例えば本発明の海上浮体鋼構造物等では1個
の陽極では不十分で2ヶ以上の陽極が必要となることも
ある。
【0005】従来の外部電源方式の陰極防食において
は、図4の陽極3は海底面に載置して配設され、あるい
は別途海水中に設けた固定支持枠に移動しないように固
定されて配設されている。しかしながら、海底面に載置
して配設した場合は、陽極3は海底面上を動くためにま
た砂等により埋没されるために、早期に損耗するという
問題点がある。また固定支持枠に移動しないように固定
して配設する場合は、固定支持枠が大規模な構造物とな
り、建設コストが高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】更に本発明者等の知見
によると、外部電源方式の陰極防食においては、陽極3
は海上浮体鋼構造物の底から10〜50m下方の位置に
配する事が好ましいが、海底面が海上浮体鋼構造物の底
から例えば50m超下方の場合には、海底面には陽極3
を配設するのに適当な場所がない。また本発明の海上浮
体鋼構造物の場合は2ヶ以上の陽極を用いる事がある
が、陽極を固定支持枠に移動しないように固定して配設
すると、補修・点検を行うために陽極を回収する事が難
しくなる。
【0007】本発明はこれ等の問題点を解決するもの
で、即ち海底面上を移動する事がなく且つ砂等により埋
没することがないために損耗が少なく、また大規模な固
定支持枠が不必要なために建設コストが安く、また海上
浮体鋼構造物の底から10〜50m下方の位置に容易に
配設する事ができ、また補修・点検のための回収が容易
な、海上浮体鋼構造物の陰極防食用の、陽極の提供とそ
れを用いた陰極防食法の提供を課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明は、陽極に連結されている5m以上の所望の長さ
のリード線と陽極とを浮上せしめる浮力を有するフロー
トおよび陽極よりなる陽極ユニットが、1ユニットある
いは間隔を相互に隔てて2ユニット以上連結され、一端
が外部電源の+極に接合され他端は海上浮体鋼構造物の
一方の側端から海中を通り海上浮体鋼構造物の他方の側
端に延在せしめて固定されたリード線を有する外部電源
方式の陰極防食装置を用いて、各陽極ユニットを海上浮
体鋼構造物の底から10〜50m下方の海中において連
結されたリード線に拘束された浮遊状態に保って、海上
浮体鋼構造物を陰極防食する方法である。
【0009】図1は本発明の陽極ユニットの例の説明図
である。陽極ユニットは陽極3及びフロート8を有す
る。陽極にはリード線5が連結されている。フロート8
は陽極3と陽極3に連結されている長さ5m以上の所望
の長さのリード線5とを浮上せしめる浮力を有する。リ
ード線のその他の部分は、図1の左右に更に延在してい
るが、フロート8を有するために陽極は左右に更に延在
しているリード線よりも上方に配される事となる。この
ためリード線のその他の部分が海底面上にあっても陽極
は海底面よりも高い位置に存在し、このため陽極3は海
底面上を移動することなく、砂等に埋没する事がなく、
損耗が少ない。尚フロート8は図1(A)の如く単体で
もよいが、図1(B)の如く陽極3の前後のリード線5
に配された2個あるいは2個以上で一組のものであって
もよい。
【0010】図2は本発明のリード線5の説明図であ
る。リード線5には陽極ユニット9が1ユニットあるい
は間隔を隔てて2ユニット以上連結されている。リード
線5の一端は外部電源4の+極に接続され、他端は海上
浮体鋼構造物1の一方の側端から海中2を通り海上浮体
鋼構造物1の他方の側端に延在せしめ、例えば支柱10
に固定されている。図2は別途に設けた支柱10にリー
ド線5の他端を固定する例であるが、支柱10は海上浮
体鋼構造物1に下方に延在させて設けた例えば絶縁した
支柱であってもよく、また支柱は設けないで、海上浮体
鋼構造物の他方の側端に例えば絶縁して固定してもよ
い。
【0011】図3は本発明の陰極防食装置の使用の説明
図である。本発明では各陽極ユニット9は海上浮体鋼構
造物1の底面から10〜15m下方のSの間の海中で連
結されたリード線5に拘束された浮遊状態に保つ。本発
明者等の知見によると、大規模で防食する面積が広い海
洋浮体鋼構造物においては、陽極3の出力を50Å〜3
00Åに設定して1個の陽極3で100m×100m以
上の海洋浮体鋼構造物の面積を防食する事が、経済的で
好ましい。
【0012】海上浮体鋼構造物1に流れ込む正電流の密
度が過大な場合は、例えば発生する水素ガス等により海
上浮体鋼構造物1に施されている塗装が早期に損耗する
等の問題点が発生する。陽極の出力が50〜300Å
で、陽極3の位置と海上浮体鋼構造物1の間隔が10m
未満の場合は、海上浮体鋼構造物の陽極3の直近の部分
は正電流の密度が過大となって塗装が早期に損耗する。
一方陽極3を海上浮体鋼構造物の底から50m超下方に
配すると陰極防食力が低減する。このため陽極ユニット
は海洋浮体鋼構造物1の底面から10〜50m下方に配
する事が好ましい。
【0013】防食を行っていない海水中の鋼は、表面に
カソード部分とアノード部分が発生し局部電池を形成す
るために腐食する。陰極防食では外部電流によってカソ
ードをアノードの平衡電位に分極させ、アノードとカソ
ードの電位を等しくする事により、局部電池の発生を防
止する。鋼に流れる正の電流密度が更に大きくなると正
の電流は、カソード部分及びアノード部分のすべての部
分に流入するために、鉄イオンは溶出する事がない。
【0014】本発明では陽極3は、定位置に固設しない
で、リード線に拘束された浮遊状態に保たれている。即
ち定電位の直流電源4に連結された本発明の陽極3は、
浮遊移動するために、海上浮体鋼構造物との間隔が変動
し、従って海上浮体鋼構造物に流れる電流も陽極3のこ
の浮遊移動により変化する。しかし海上浮体鋼構造物に
流れ込む正電流が、海上浮体鋼構造物を形成している鋼
のカソード部分をアノードの平衡電位に分極させるより
も大きい電流密度であれば、変動しても上記の如くに鉄
イオンは溶出する事がなく、海上浮体鋼構造物を十分に
防食する事ができる。
【0015】図3でL1はフロートがない場合のリード
線5の下端と海上浮体鋼構造物の底面との間隔である
が、L1はリード線5の全長を調整することにより所望
の値となる。L2は陽極ユニット9のフロートが、陽極
に連結された5m以上のリード線と陽極とを浮上せしめ
た高さであるが、陽極ユニット9のフロートの浮力を調
整するとL2は所望の値となる。
【0016】図3で陽極ユニットは海上浮体鋼構造物の
底からL3下方の海中にあるが、L3=L1−L2である。
この際、L1及びL2は上記の如く所望の値に設定する事
ができる。従ってL3は10〜50mの適当な値に容易
に設定する事ができる。陽極ユニット9が1個の場合を
図示したが、陽極ユニットが2個以上の場合もリード線
の全長と各フロートの浮力を調整することにより、すべ
ての陽極ユニットを海上浮体鋼構造物の底から10m〜
50m下方の海中に浮遊状態に容易に配する事ができ
る。
【0017】本発明で用いるリード線には、その一端側
のあるいは他端側のあるいは両端側の所望の位置にワイ
ヤロープとの連結治具を設けることが好ましい。陰極防
食法で用いる陽極は、例えば定期的に点検・補修を行い
必要な場合は交換する事が好ましいが、海中の定位置に
固設された従来の陽極は海中から取り出す事は容易では
なく、点検補修や交換は容易ではなかった。
【0018】本発明のリード線は両端のみが固定された
浮遊状態に保たれ、また陽極ユニットはリード線に拘束
された浮遊状態に保たれている。従って陽極ユニットが
連結されたリード線は、その一端のあるいは他端のある
いは両端の固定をほどいて自由端にする事により、海上
浮体鋼構造物の底面の海中から容易に取り出すことがで
きる。従って本発明では陽極は容易に点検・補修し、必
要に応じて交換する事ができる。
【0019】本発明で用いるリード線は、海上浮体鋼構
造物の一方の側端から海中を通り他方の側端まで延在
し、極めて長い。従ってワイヤロープを介し海中から取
り出し、また点検・補修等の後は、ワイヤロープを介し
て再度海中に配設する事が好ましい。このためリード線
の一端側あるいは他端側あるいは両端側の所望の位置に
はワイヤロープとの連結治具を配する事が好ましい。連
結治具としては公知の例えばフック等を用いる事ができ
る。
【0020】本発明で用いるリード線は、その一端ある
いは両端の、海中から立ち上げる部分や固定する部分
は、その取り出しや取付けに際して、角張った角度に曲
げられる事が多く、また堅い鋼製治具にこすりつけられ
る事が多く、このために損傷し易い。この損傷を防止す
るためには、リード線の一端側およびまたは他端側の損
傷が発生し易い所望の部分の外面に、リード線の損傷防
止用の保護管を配する事が好ましい。この損傷防止用の
保護管としては、例えばフレキシブル管等の公知のもの
を用いる事ができる。
【0021】格別ではないために本明細書には特記しな
いが、本願の陰極防食装置では、外部電源4としては図
4で述べた定電位直流電源が好ましく、また図4で述べ
た照合電極6を配して電位を測定する事は自明である。
リード線5や陽極(不溶性陽極)3も図4で述べたと同
様のものが使用できる事は、いうまでもない。
【0022】
【発明の効果】本発明は、例えば海上空港等の大型の浮
構造の海洋構造物において、外部電源方式の陰極防食を
行うに際し、陽極は海底面上を移動することがなくまた
砂等により埋没する事がないために損耗が少なく、また
陽極を固定するための大規模な固定支持枠を用いないた
めに建設コストが安く、また海洋構造物の底から10〜
50mの下方に陽極を配設する事ができるために効率的
な防食が可能であり、また陽極の補修・点検・交換が容
易であるために操業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明における陽極ユニットの説明図。
【図2】は本発明におけるリード線の説明図。
【図3】は本発明における陰極防食装置の使用の説明
図。
【図4】は外部電源方式の陰極防食法の説明図。
【符号の説明】
1:海洋構造物(海上浮体鋼構造物)、 2:海水、
3:陽極、 4:外部電源、 5:リード線、 6:照
合電極、 7:指示計、 8:フロート、 9:陽極ユ
ニット、 10:杭。
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月29日(1998.9.2
9)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】海上浮体鋼構造物の陰極防止法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】近年、例えば海上空港等の大
型の浮構造の海洋鋼構造物の建設が企画されている。本
発明は海洋に建設されるこれ等の大型の浮構造の鋼構造
物(本明細書では海上浮体鋼構造物と略記する)の防食
に関する。
【0002】
【従来の技術】海洋鋼構造物の防食方法としては、犠牲
陽極を用いる陰極防食法が知られている。即ち鋼に比べ
て腐食電池列で卑の金属、例えばアルミニウム等の犠牲
陽極を海洋鋼構造物に連結して海水中に配する。この際
には犠牲陽極が溶解する事により正の電流が海水から海
洋鋼構造物に流れ、海洋鋼構造物の腐食を防止する。し
かし海洋鋼構造物が大型になり防食する面積が広くなる
と、犠牲陽極の数が増加する。従ってこの方法は防食面
積が極めて広い本発明の海上浮体構造物の防食方法とし
ては経済的に好ましくない。
【0003】海洋鋼構造物の防食方法としては、また、
外部電源方式の陰極防食法が知られている。図4はその
模式説明図で、1は海洋鋼構造物、2は海水である。こ
の際には外部電源4から得られる直流を用いる。外部電
源4としては定電位直流電源が好ましく整流器や太陽電
池や風力発電機等を用いることができる。図中3は例え
ば金属チタンあるいはPb−Ag合金等で作成された不
溶性の陽極であり、リード線5を用いて外部電源4の+
極に連結されている。リード線5には例えば中心部に銅
線が配され、その周囲にプラスチックの絶縁層と鋼線の
補強層と防食層とが順次配された海底ケーブル等を用い
ることができる。尚外部電源4の一極は海洋鋼構造物に
連結されている。また図中6は海洋構造物の電位を測定
する照合電極であり7はその指示計である。
【0004】図4の外部電源方式の陰極防食法において
も、陽極3から流れた正の電流が海水から海洋鋼構造物
1に流れ海洋鋼構造物を防食する。尚この外部電源方式
の陰極防食法を用いると、陰極3から例えば50〜3
00の大電流を流す事ができ、犠牲陽極の場合よりも
広い面積を防食する事ができる。しかし防食する面積が
更に広い、例えば本発明の海上浮体鋼構造物等では1個
の陽極では不十分で2ヶ以上の陽極が必要となることも
ある。
【0005】従来の外部電源方式の陰極防食において
は、図4の陽極3は海底面に載置して配設され、あるい
は別途海水中に設けた固定支持枠に移動しないように固
定されて配設されている。しかしながら、海底面に載置
して配設した場合は、陽極3は海底面上を動くためにま
た砂等により埋没されるために、早期に損耗するという
問題点がある。また固定支持枠に移動しないように固定
して配設する場合は、固定支持枠が大規模な構造物とな
り、建設コストが高くなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】更に本発明者等の知見
によると、外部電源方式の陰極防食においては、陽極3
は海上浮体鋼構造物の底から〜50m下方の位置に配
する事が好ましいが、海底面が海上浮体鋼構造物の底か
ら例えば50m超下方の場合には、海底面には陽極3を
配設するのに適当な場所がない。また本発明の海上浮体
鋼構造物の場合は2ヶ以上の陽極を用いる事があるが、
陽極を固定支持枠に移動しないように固定して配設する
と、補修・点検を行うために陽極を回収する事が難しく
なる。
【0007】本発明はこれ等の問題点を解決するもの
で、即ち海底面上を移動する事がなく且つ砂等により埋
没することがないために損耗が少なく、また大規模な固
定支持枠が不必要なために建設コストが安く、また海上
浮体鋼構造物の底から〜50m下方の位置に容易に配
設する事ができ、また補修・点検のための回収が容易
な、海上浮体鋼構造物の陰極防食用の、陽極の提供とそ
れを用いた陰極防食法の提供を課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明は、陽極に連結されている5m以上の所望の長さ
のリード線と陽極とを浮上せしめる浮力を有するフロー
トおよび陽極よりなる陽極ユニットが、1ユニットある
いは間隔を相互に隔てて2ユニット以上連結され、一端
が外部電源の+極に接合され他端は海上浮体鋼構造物の
一方の側端から海中を通り海上浮体鋼構造物の他方の側
端に延在せしめて固定されたリード線を有する外部電源
方式の陰極防食装置を用いて、各陽極ユニットを海上浮
体鋼構造物の底から〜50m下方の海中において連結
されたリード線に拘束された浮遊状態に保って、海上浮
体鋼構造物を陰極防食する方法である。
【0009】図1は本発明の陽極ユニットの例の説明図
である。陽極ユニットは陽極3及びフロート8を有す
る。陽極にはリード線5が連結されている。フロート8
は陽極3と陽極3に連結されている長さ5m以上の所望
の長さのリード線5とを浮上せしめる浮力を有する。リ
ード線のその他の部分は、図1の左右に更に延在してい
るが、フロート8を有するために陽極は左右に更に延在
しているリード線よりも上方に配される事となる。この
ためリード線のその他の部分が海底面上にあっても陽極
は海底面よりも高い位置に存在し、このため陽極3は海
底面上を移動することなく、砂等に埋没する事がなく、
損耗が少ない。尚フロート8は図1(A)の如く単体で
もよいが、図1(B)の如く陽極3の前後のリード線5
に配された2個あるいは2個以上で一組のものであって
もよい。
【0010】図2は本発明のリード線5の説明図であ
る。リード線5には陽極ユニット9が1ユニットあるい
は間隔を隔てて2ユニット以上連結されている。リード
線5の一端は外部電源4の+極に接続され、他端は海上
浮体鋼構造物1の一方の側端から海中2を通り海上浮体
鋼構造物1の他方の側端に延在せしめ、例えば支柱10
に固定されている。図2は別途に設けた支柱10にリー
ド線5の他端を固定する例であるが、支柱10は海上浮
体鋼構造物1に下方に延在させて設けた例えば絶縁した
支柱であってもよく、また支柱は設けないで、海上浮体
鋼構造物の他方の側端に例えば絶縁して固定してもよ
い。
【0011】図3は本発明の陰極防食装置の使用の説明
図である。本発明では各陽極ユニット9は海上浮体鋼構
造物1の底面から10〜15m下方のSの間の海中で連
結されたリード線5に拘束された浮遊状態に保つ。本発
明者等の知見によると、大規模で防食する面積が広い重
防食塗装された海洋浮体鋼構造物においては、陽極3の
出力を50〜300に設定して1個の陽極3で10
0m×100m以上の海洋浮体鋼構造物の面積を防食す
る事が、経済的で好ましい。
【0012】海上浮体鋼構造物1に流れ込む正電流の密
度が過大な場合は、例えば発生する水素ガス等により海
上浮体鋼構造物1に施されている塗装が早期に損耗する
等の問題点が発生する。陽極の出力が50〜300
で、陽極3の位置と海上浮体鋼構造物1の間隔がm未
満の場合は、海上浮体鋼構造物の陽極3の直近の部分は
正電流の密度が過大となって塗装が早期に損耗する。一
方陽極3を海上浮体鋼構造物の底から50m超下方に配
すると陰極防食力が低減する。このため陽極ユニットは
海洋浮体鋼構造物1の底面から〜50m下方に配する
事が好ましい。
【0013】防食を行っていない海水中の鋼は、表面に
カソード部分とアノード部分が発生し局部電池を形成す
るために腐食する。陰極防食では外部電流によってカソ
ードをアノードの平衡電位に分極させ、アノードとカソ
ードの電位を等しくする事により、局部電池の発生を防
止する。鋼に流れる正の電流密度が更に大きくなると正
の電流は、カソード部分及びアノード部分のすべての部
分に流入するために、鉄イオンは溶出する事がない。
【0014】本発明では陽極3は、定位置に固設しない
で、リード線に拘束された浮遊状態に保たれている。即
ち定電位の直流電源4に連結された本発明の陽極3は、
浮遊移動するために、海上浮体鋼構造物との間隔が変動
し、従って海上浮体鋼構造物に流れる電流も陽極3のこ
の浮遊移動により変化する。しかし海上浮体鋼構造物に
流れ込む正電流が、海上浮体鋼構造物を形成している鋼
のカソード部分をアノードの平衡電位に分極させるより
も大きい電流密度であれば、変動しても上記の如くに鉄
イオンは溶出する事がなく、海上浮体鋼構造物を十分に
防食する事ができる。
【0015】図3でL1はフロートがない場合のリード
線5の下端と海上浮体鋼構造物の底面との間隔である
が、L1はリード線5の全長を調整することにより所望
の値となる。L2は陽極ユニット9のフロートが、陽極
に連結された5m以上のリード線と陽極とを浮上せしめ
た高さであるが、陽極ユニット9のフロートの浮力を調
整するとL2は所望の値となる。
【0016】図3で陽極ユニットは海上浮体鋼構造物の
底からL3下方の海中にあるが、L3=L1−L2である。
この際、L1及びL2は上記の如く所望の値に設定する事
ができる。従ってL3〜50mの適当な値に容易に
設定する事ができる。陽極ユニット9が1個の場合を図
示したが、陽極ユニットが2個以上の場合もリード線の
全長と各フロートの浮力を調整することにより、すべて
の陽極ユニットを海上浮体鋼構造物の底からm〜50
m下方の海中に浮遊状態に容易に配する事ができる。
【0017】本発明で用いるリード線には、その一端側
のあるいは他端側のあるいは両端側の所望の位置にワイ
ヤロープとの連結治具を設けることが好ましい。陰極防
食法で用いる陽極は、例えば定期的に点検・補修を行い
必要な場合は交換する事が好ましいが、海中の定位置に
固設された従来の陽極は海中から取り出す事は容易では
なく、点検補修や交換は容易ではなかった。
【0018】本発明のリード線は両端のみが固定された
浮遊状態に保たれ、また陽極ユニットはリード線に拘束
された浮遊状態に保たれている。従って陽極ユニットが
連結されたリード線は、その一端のあるいは他端のある
いは両端の固定をほどいて自由端にする事により、海上
浮体鋼構造物の底面の海中から容易に取り出すことがで
きる。従って本発明では陽極は容易に点検・補修し、必
要に応じて交換する事ができる。
【0019】本発明で用いるリード線は、海上浮体鋼構
造物の一方の側端から海中を通り他方の側端まで延在
し、極めて長い。従ってワイヤロープを介し海中から取
り出し、また点検・補修等の後は、ワイヤロープを介し
て再度海中に配設する事が好ましい。このためリード線
の一端側あるいは他端側あるいは両端側の所望の位置に
はワイヤロープとの連結治具を配する事が好ましい。連
結治具としては公知の例えばフック等を用いる事ができ
る。
【0020】本発明で用いるリード線は、その一端ある
いは両端の、海中から立ち上げる部分や固定する部分
は、その取り出しや取付けに際して、角張った角度に曲
げられる事が多く、また堅い鋼製治具にこすりつけられ
る事が多く、このために損傷し易い。この損傷を防止す
るためには、リード線の一端側およびまたは他端側の損
傷が発生し易い所望の部分の外面に、リード線の損傷防
止用の保護管を配する事が好ましい。この損傷防止用の
保護管としては、例えばフレキシブル管等の公知のもの
を用いる事ができる。
【0021】格別ではないために本明細書には特記しな
いが、本願の陰極防食装置では、外部電源4としては図
4で述べた定電位直流電源が好ましく、また図4で述べ
た照合電極6を配して電位を測定する事は自明である。
リード線5や陽極(不溶性陽極)3も図4で述べたと同
様のものが使用できる事は、いうまでもない。
【0022】
【発明の効果】本発明は、例えば海上空港等の大型の浮
構造の海洋構造物において、外部電源方式の陰極防食を
行うに際し、陽極は海底面上を移動することがなくまた
砂等により埋没する事がないために損耗が少なく、また
陽極を固定するための大規模な固定支持枠を用いないた
めに建設コストが安く、また海洋構造物の底から10〜
50mの下方に陽極を配設する事ができるために効率的
な防食が可能であり、また陽極の補修・点検・交換が容
易であるために操業性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】は本発明における陽極ユニットの説明図。
【図2】は本発明におけるリード線の説明図。
【図3】は本発明における陰極防食装置の使用の説明
図。
【図4】は外部電源方式の陰極防食法の説明図。
【符号の説明】 1:海洋構造物(海上浮体鋼構造物)、 2:海水、
3:陽極、 4:外部電源、 5:リード線、 6:照
合電極、 7:指示計、 8:フロート、 9:陽極ユ
ニット、 10:杭。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極に連結されている5m以上の所望の長
    さのリード線と陽極とを浮上せしめる浮力を有するフロ
    ートおよび陽極よりなる陽極ユニットが、1ユニットあ
    るいは間隔を相互に隔てて2ユニット以上連結され、一
    端が外部電源の+極に接合され他端は海上浮体鋼構造物
    の一方の側端から海中を通り海上浮体鋼構造物の他方の
    側端に延在せしめて固定されたリード線を有する外部電
    源方式の陰極防食装置を用いて、各陽極ユニットを海上
    浮体鋼構造物の底から10〜50m下方の海中で連結さ
    れたリード線に拘束された浮遊状態に保って、海上浮体
    鋼構造物を陰極防食することを特徴とする、海上浮体鋼
    構造物の陰極防食法。
  2. 【請求項2】リード線が、一端側およびまたは他端側の
    所望の位置にワイヤロープとの連結治具が配されたリー
    ド線であり、陽極ユニットが連結されたリード線をワイ
    ヤロープを介して海上浮体鋼構造物の下方の海中に配設
    しあるいは海上浮体鋼構造物の下方の海中から取り出す
    構造である事を特徴とする、請求項1に記載の海上浮体
    鋼構造物の陰極防食法。
  3. 【請求項3】リード線が、一端側およびまたは他端側の
    所望の部分の外面に、リード線の損傷防止用の保護管が
    配設されていることを特徴とする、請求項1または2に
    記載の海上浮体鋼構造物の陰極防食法。
JP10255289A 1998-09-09 1998-09-09 海上浮体鋼構造物の陰極防止法 Withdrawn JP2000087269A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10255289A JP2000087269A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 海上浮体鋼構造物の陰極防止法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10255289A JP2000087269A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 海上浮体鋼構造物の陰極防止法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000087269A true JP2000087269A (ja) 2000-03-28

Family

ID=17276703

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10255289A Withdrawn JP2000087269A (ja) 1998-09-09 1998-09-09 海上浮体鋼構造物の陰極防止法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000087269A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008103595A1 (en) * 2007-02-21 2008-08-28 Lenard Spears Retrievable surface installed cathodic protection for marine structures
JP2009011169A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Mitsubishi Heavy Industries Bridge & Steel Structures Engineering Co Ltd サンゴ造礁用構造物の電流計測方法及びサンゴ造礁用構造物の電流計測装置
RU2768061C1 (ru) * 2021-04-16 2022-03-23 Общество с ограниченной ответственностью "Завод нефтегазовой аппаратуры Анодъ" Способ установки подводных анодов для катодной защиты подводных объектов

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008103595A1 (en) * 2007-02-21 2008-08-28 Lenard Spears Retrievable surface installed cathodic protection for marine structures
US7635237B2 (en) 2007-02-21 2009-12-22 Lenard Spears Retrievable surface installed cathodic protection for marine structures
JP2009011169A (ja) * 2007-06-29 2009-01-22 Mitsubishi Heavy Industries Bridge & Steel Structures Engineering Co Ltd サンゴ造礁用構造物の電流計測方法及びサンゴ造礁用構造物の電流計測装置
RU2768061C1 (ru) * 2021-04-16 2022-03-23 Общество с ограниченной ответственностью "Завод нефтегазовой аппаратуры Анодъ" Способ установки подводных анодов для катодной защиты подводных объектов

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Byrne et al. State-of-the-art review of cathodic protection for reinforced concrete structures
US6346188B1 (en) Battery-powered cathodic protection system
CN103726057B (zh) 一种海上风电机组基础的防腐系统的防腐方法
US4489277A (en) Cathodic protection monitoring system
CN102277578A (zh) 张力腿式平台外加电流阴极保护方法
CN102277580A (zh) 导管架平台外加电流阴极保护方法
JP2000087269A (ja) 海上浮体鋼構造物の陰極防止法
KR101347707B1 (ko) 외부전원식 음극방식 및 희생양극식 음극방식 기술을 이용하는 해상 콘크리트 구조물의 하이브리드 음극 방식 시스템
JP4395448B2 (ja) カソード防食を含む極低温タンク試験方法
CN109338374B (zh) 阴极保护装置
CN216786261U (zh) 一种智能分布电场式阴极保护系统
KR101347705B1 (ko) 수중 희생양극과 보호자켓에 부착된 희생양극을 이용한 콘크리트구조물의 음극방식시스템
KR100643005B1 (ko) 전기 방식용 하이브리드 양극 구조
CN112048723A (zh) 一种用于深海的阴极保护装置
CN203639561U (zh) 一种海上风电机组基础的防腐系统
US20240287684A1 (en) Gravity-contact sacrificial anode
Alzetouni Impressed current cathodic protection for oil well casing and associated flow lines
KR20190113375A (ko) 빙해 운항 선박의 희생양극 매립 구조
CN218478803U (zh) 张紧式外加电流阴极保护及监测一体化装置
CN219297647U (zh) 一种海上风电用临时阴极保护系统
EP3510181B1 (en) Marine utility cast iron anode
CN220393913U (zh) 一种海上风力发电机组外加电流专用阳极装置
JPH1161460A (ja) チタン被覆された海洋構造物の電気防食方法
KR101347706B1 (ko) 해상 콘크리트 구조물의 외부전원식 음극 방식 시스템
CN102277579A (zh) 深水半潜式平台外加电流阴极保护方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060110