JP2000087227A - 窒素化合物ガスクラスターイオンビームによる窒化物 もしくは窒化表面の形成方法 - Google Patents
窒素化合物ガスクラスターイオンビームによる窒化物 もしくは窒化表面の形成方法Info
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Abstract
窒化ないしは窒化物形成を可能とする。 【解決手段】 固体表面に、窒素化合物ガスクラスター
のイオンビームを照射することにより窒化物もしくは窒
化表面を形成する。
Description
ターイオンビームによる窒化物の形成方法に関するもの
である。さらに詳しくは、この出願の発明は、微細MO
Sトランジスタでのゲートからチャンネル領域への不純
物拡散抑止のためのSi基板あるいはゲート酸化膜への
Si窒化物堆積や、 III族窒化物半導体のMBE成長、
各種金属の表面窒化、材料表面の高強度化および高耐候
性化、低融点金属の表面窒化等において有用な、クラス
ターイオンビームを用いた窒化物もしくは窒化表面の新
しい形成方法に関するものである。
ための各種の方法が採用されている。たとえばその代表
的な方法として知られているものに、アンモニアガスの
表面吸着と熱分解による窒化(熱CVD法)方法や、A
r等の希ガスの放電により得られるプラズマの補助を得
て成膜する、いわゆるプラズマあるいはイオンビームア
シスト法がある。これらの方法は大面積の試料表面の処
理には好都合であることから一般に採用されている方法
である。しかしながら、これらの方法では、500〜1
000℃の高温を必要とする点が問題となる。このよう
な高温条件を保つための装置手段は特殊なものであっ
て、その作製、メンテナンスの負担が大きく、熱による
劣化や変質の観点から対象とする試料の種類にもおのず
と制約があった。またイオンビームアシスト法では高エ
ネルギーイオンによる基板表面の損傷が避けにくいとい
う欠点がある。
は、プラズマあるいはイオンビームアシスト法は、より
精密な成膜や表面窒化が可能であって、より低い温度の
採用が可能であると期待されているものの、具体的な展
開にはいまだ多くの問題をかかえているのが実情であ
る。また、近年では電子デバイスへの窒化物の利用の点
において、この窒化物形成技術の革新が求められてい
る。たとえば III族窒化物半導体は紫から紫外波長領域
の禁制帯幅をもち、紫から紫外波長域の発光素子(LE
DあるいはLD(レーザーダイオード)として注目を集
めている。現状では、この III族窒化物は、CVD法に
より1000℃程度の高温で結晶成長がなされている。
III族窒化物の成長は,従来ではこのようにCVD法が
主でるが、一方、MBE(Molecular Beam Epitaxy) 法
ではRF放電あるいはECRプラズマ等で得られたラジ
カル窒素と呼ばれる化学的にアクティブな窒素分子が用
いられている。しかしながら実情は原子状窒素、窒素イ
オン等が多量に含まれる混合物であることからどの種が
成長に寄与しているのかは明確ではなく、得られた薄膜
の結晶性もCVD法に劣っていることから、MBE法に
よる III族窒化物の形成は現実的なものになっていな
い。また窒素分子線強度も十分とはいえず成長速度等に
問題がある。
セプター種としての窒素ドーピングについても上記プラ
ズマ源がもっぱら使用されている。しかし上記同様にど
の種が実際のドーピングに寄与しているのかは明確では
ない。さらにZnSe以外の広禁制帯幅II−VI族化合物
ではp型伝導制御はできていない。以上のように、プラ
ズマあるいはイオンアシスト法、さらにはMBE法は、
精密な固体表面の加工、修飾、あるいは改質や成膜の手
段として期待され、その一部は実用的にも利用されてい
るものの、依然として多くの問題をかかえているのが実
情である。特にこれらの従来の方法においては、試料も
しくはその表面にダメージ(損傷)を与えることなし
に、より低い温度において、選択的な加工、修飾、改
質、そして成膜等のプロセスとして窒化物もしくは窒化
表面を形成することが大きな課題になっていた。
のとおりの従来技術の課題を解決するものとして、以下
の方法を提供するものである。すなわち、まず第1に
は、固体表面に、窒素化合物のガスクラスターのイオン
ビームを照射することにより窒化物もしくは窒化表面を
形成することを特徴とする窒化物もしくは窒化表面の形
成方法を提供する。
素化合物が、窒素、アンモニア、酸化窒素、有機含窒素
化合物、もしくはアンモニウムまたは有機含窒素化合物
の金属錯体である前記方法を、第3には、不活性ガスも
しくは他種元素化合物のクラスターイオンビームをとも
に照射する方法を、第4には、固体は、金属、半導体ま
たは絶縁体である方法を提供する。
いて、あらかじめ固体表面を、不活性ガスのクラスター
イオンの照射により清浄化もしくは平坦化することを特
徴とする窒化物もしくは窒化表面の形成方法を、第6に
は、ガスクラスタイオンビームを収束もしくは偏向させ
て位置選択的に窒化物もしくは窒化表面を形成すること
を特徴とする窒化物もしくは窒化表面の形成方法を、第
7には、窒素化合物ガスクラスターイオンビームととも
に元素もしくは元素化合物分子線を照射することを特徴
とする窒化物もしくは窒化表面の形成方法を、第8に
は、窒素ドーピングを行う方法も提供する。
明は、発明者らにより提案され、具体的に技術としても
展開されつつあるガスクラスターイオンビーム技術をさ
らに発展されたものである。ガスクラスターイオンビー
ム技術として窒化物もしくは窒化表面の形成を可能とし
た点においてこの発明は画期的なものと言える。
おりである。 ア)スパッタリング効果による固体表面の清浄化、平坦
化、あるいは反応性ガスクラスターイオンビームによる
選択エッチング等従来技術の表面改質に主眼がおかれて
いたガスクラスターイオンビームの利用方法に加えて、
クラスターイオンを構成する原子あるいは分子種を結晶
の構成要素とする結晶成長に応用した。つまり、窒素化
合物クラスターイオンビームを直接照射することで、蒸
着法では形成不可能なより緻密で密着性の高い高品質の
窒化膜形成が可能となる。
オンビーム形成の材料として、通常では反応性が低い、
窒素ガス以外のクラスター材料に着目し、これを用いる
ことを可能とした。ウ)数百〜数千個の分子集団を1価
にイオン化することにより低電流で高密度分子数が確保
でき、中性ビーム照射に近い状態としている。従って、
分子単体のイオンビームを用いたとき、あるいはプラズ
マアシスト法のときのような基板表面でのチャージアッ
プの問題点がほとんどなく絶縁物の窒化にも適用でき
る。
に比較してはるかに低エネルギービームである(1分子
当たり1〜10eV程度)ため、基板表面の損傷の恐れ
がほとんどない。一方1分子当たりを熱エネルギーに換
算をすれば1万〜10万度の超高温度に相当し、さらに
基板衝突時の多体効果により窒素化合物は基板を昇温す
ることなく分解し、比較的低温で窒化反応が可能であ
る。
を用いて微小面積(数10μm程度)に収束でき、また
偏向電極を用いることでビームの偏向が可能である。こ
の性質を利用することで、試料の微細構造の窒化あるい
は窒素注入が可能となる。さらにビームの指向性が良い
ことから、マスクプロジェクション法において、マスク
エッジからのビームの回り込みの少ない、つまりマスク
パターンに忠実なパターンをもつ試料の窒化あるいは窒
素注入が可能である。
示し、さらに詳しくその実施の形態について説明する。
ーイオンビーム装置を例示した。このクラスターイオン
ビーム装置は、クラスター発生部(A)とイオン化部
(B)、加速部(C)、作用部(D)とから構成され
る。クラスター発生部(A)には石英ガラス製のコニカ
ルノズルが位置調整用のマニピュレータに取り付けられ
ている。外部に接続されたガス導入パイプから導入され
た窒素化合物ガスをノズルから噴出させ、クラスターを
形成する。
種の窒素化合物であってよく、たとえばN2 ,NH3 ,
NOx ,N含有有機化合物、あるいは含N金属錯体等で
ある。これらのガスについて、たとえばアンモニアは3
00Kで約10bar、273K(0℃)で4.3ba
rの飽和蒸気圧しか持たない。いっぽうクラスター発生
用には2〜4barの圧力で供給する必要がある。この
ことは供給配管系、特にボンベ減圧弁、マスフローメー
ター(流量調整弁)およびノズル部等の気体膨張が伴う
機構をもつ部所で再液化が起り得る。また室温の変化に
伴い供給圧力が変動しかねない。供給圧力の変動はクラ
スターサイズに影響を及ぼす。したがって、ノズルには
一定温度を保つための温度調節機構を、ガスボンベを含
めた配管系には加熱機構を設ける。
(A)とイオン化部(B)との仕切に設けられたスキマ
ーを通ってイオン化部(B)、加速部(C)に入射す
る。クラスターはイオン化部(B)で、たとえばフィラ
メントで発生させた熱電子照射により1価にイオン化さ
れる。引きだし電極により引きだされた後、加速部
(C)で加速、収束される。得られたクラスターイオン
ビーム中のクラスターサイズ分布は、たとえば阻止電圧
法により測定することができる。
は成膜やイオン注入等による窒化表面の形成のための固
体表面基板はたとえばモリブンデン製の基板ホルダーに
取り付けた後、マニピュレータに固定され、背面よりた
とえば抵抗加熱される。また、装置には、クラスターイ
オンビーム以外の原材料供給のためのポートが設けられ
ており、ガス状あるいは固体の場合には抵抗加熱等で分
子線として供給する。
ゴンクラスターイオンビームで基板表面処理(平坦化、
清浄化)を行った後、窒素化合物クラスターイオンビー
ムを用いて窒化を行う。また各種金属材料分子線あるい
は有機金属をガス状で供給することで、窒化物薄膜成長
を行う。 <1>アルゴンクラスターイオンビームの発生;図2に
は、阻止電圧法により求めたアルゴンクラスターイオン
電流値の阻止電圧依存性を示した。アルゴン流量の増加
に伴い、電流値が増加する。図3にはこの結果から求め
たクラスターサイズ分布を示したものである。図3の横
軸は1個のクラスターを形成しているアルゴン原子数、
縦軸はクラスイター数である。流量が少ないときにはモ
ノマー(横軸ゼロの位置)が大部分を占める。流量増加
に伴い徐々に大きなクラスターが形成される。またその
数も増大する。この例で得られた最大クラスターサイズ
は流量0.6SLMのときに約800原子数/クラスタ
ーである。
の発生;図4および図5には、原料ガスとしてアンモニ
アを使用したときの結果を示した。図4は阻止電圧法に
より求めたアンモニアクラスターイオン電流値の阻止電
圧依存性を示したものであり、アルゴンの場合と同様の
結果が得られる。図5はこの結果から求めたクラスター
サイズ分布を示している。アルゴンの場合と同様に流量
増加に伴い徐々に大きなクラスターが形成される。注目
すべき点は、アルゴンのときと同じ流量でより大きなク
ラスターが形成されていることである。アンモニアはア
ルゴンに比べて分子間結合エネルギーが大きいので、同
一条件下でより大きなクラスターが形成されると期待さ
れるが、その通りの結果が得られた。
用いたときの窒化の例を示す。所定の基板温度下で所定
のエネルギーのアンモニアクラスターイオンビームを所
定の時間照射する。照射後、試料一旦空気中に取り出し
XPS(X-ray Photo-clcctron Spectroscopy) 装置に移
送した。XPSスペクトルの測定により窒化の有無を調
べた。以下にその結果を示す。照射条件は何れも約2μ
A/cm2 の電流値で2時間である。照射温度のみ異な
る。クラスターサイズのピーク値が1000個/クラス
ターなので、総ドーズ量は1017/cm2 弱となる。
射基板温度は室温である。照射後空気中を運搬している
ことを考え、Arイオンビームで30秒間表面をエッチ
ングした後のXPSスペクトルであり、窒素の信号が観
測されている。ちなみにクラスターイオンを照射しなか
った試料では窒素の信号は全く観測されず、空気中の窒
素が付着した結果でないことは明白である。照射基板温
度を室温以上700℃までの何点かで照射した試料でも
同様の結果が得られており、Siの窒化物が形成された
ことは明白である。アンモニア単体ガスを供給したとき
には、室温では窒化物は決して形成されないことを鑑み
ると、非常に重要な効果と言える。
照射基板温度は550℃であり、やはり窒素の信号が観
測される。GaAsでは450℃程度以下あるいは65
0℃程度以上の温度では窒素の信号は観測されなかっ
た。GaAsの窒化は基板からのAsの脱離の程度と窒
素原子の供給の割合が重要なファクターとなっているこ
とを示唆している。クラスターイオンを用いず、単純に
アンモニアガス雰囲気中で窒化をするには900〜10
00℃の高温を必要とすることを考えると、ガスクラス
ターイオン使用の有用性が明白である。
て限定されることはない。様々な態様としてこの発明は
実施される。
発明によって、窒素化合物のガスクラスターイオンビー
ムを用いた窒化物の形成や、試料表面の窒化が可能とさ
れる。ガスクラスター原料としては、窒素、アンモニ
ア、アンモニウム金属錯体等広範囲の窒素化合物が利用
可能であり、かつ被処理試料も金属、半導体、絶縁体と
様々な物に適用できる。CVD法に比べて低温で処理が
可能であり、イオンビームアシスト法よりは表面のダメ
ージが小さい等の優れた効果が奏せられる。
例示した構成図である。
イオン電流との関係を示した図である。
サイズの分布を示した図である。
電圧とイオン電流との関係を示した図である。
スターサイズ分布を示した図である。
図である。
トル図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 固体表面に、窒素化合物のガスクラスタ
ーのイオンビームを照射することにより窒化物もしくは
窒化表面を形成することを特徴とする窒化物もしくは窒
化表面の形成方法。 - 【請求項2】 窒素化合物が、窒素、アンモニア、酸化
窒素、有機含窒素化合物、もしくはアンモニウムまたは
有機含窒素化合物の金属錯体である請求項1の形成方
法。 - 【請求項3】 不活性ガスもしくは他種元素化合物のク
ラスターイオンビームをともに照射する請求項1または
2の形成方法。 - 【請求項4】 固体は、金属、半導体または絶縁体であ
る請求項1ないし3のいずれかの形成方法。 - 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかの方法にお
いて、あらかじめ固体表面を、不活性ガスのクラスター
イオンの照射により清浄化もしくは平坦化することを特
徴とする窒化物もしくは窒化表面の形成方法。 - 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの方法にお
いて、ガスクラスタイオンビームを収束もしくは偏向さ
せて位置選択的に窒化物もしくは窒化表面を形成するこ
とを特徴とする窒化物もしくは窒化表面の形成方法。 - 【請求項7】 請求項1ないし6のずれかの方法におい
て、窒素化合物ガスクラスターイオンビームとともに元
素もしくは元素化合物分子線を照射することを特徴とす
る窒化物もしくは窒化表面の形成方法。 - 【請求項8】 窒素ドーピングを行う請求項7の方法。
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JP28052598A JP3865513B2 (ja) | 1998-09-15 | 1998-09-15 | 窒素化合物ガスクラスターイオンビームによる窒化物 もしくは窒化表面の形成方法 |
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