JP2000074755A - プラズマ温度分布測定方法および装置 - Google Patents

プラズマ温度分布測定方法および装置

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JP2000074755A
JP2000074755A JP10246314A JP24631498A JP2000074755A JP 2000074755 A JP2000074755 A JP 2000074755A JP 10246314 A JP10246314 A JP 10246314A JP 24631498 A JP24631498 A JP 24631498A JP 2000074755 A JP2000074755 A JP 2000074755A
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進 塚本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 時間変動の激しいプラズマの温度分布を二次
元および三次元的に、非常に短い時間で、且つ正確に測
定することのできる、新しいプラズマ温度分布測定方法
および装置を提供する。 【解決手段】 プラズマの温度分布を測定する方法であ
って、プラズマから発光する平行成分光のうち、プラズ
マ構成元素の励起原子またはイオンにより放射される輝
線スペクトルのみで構成された輝線スペクトル画像を結
像し、この輝線スペクトル画像の強度分布からプラズマ
の温度分布を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、プラズマ
温度分布測定方法および装置に関するものである。さら
に詳しくは、この出願の発明は、大出力レーザを用いた
加工技術やプラズマプロセシングなどの高精度、高性能
化に有用な、プラズマの二次元または三次元温度分布を
極短時間で計測することのできる、新しいプラズマ温度
分布測定方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、大出力レーザを用いた
鋼溶接などの加工技術が、高性能・高機能な新しい構造
材料の実現を図るべく、盛んに研究、開発されている。
しかしながら、図10に例示したように、レーザ(1
1)を鋼等の材料(12)に照射すると材料(12)上
の照射部分にプラズマ(10)が発生するが、このレー
ザ誘起プラズマ(10)の発生は、使用するレーザ(1
1)の大出力化に伴って非常に著しくなってきており、
このプラズマ(10)中でレーザ(11)が吸収され、
溶け込み深さが極端に減少したり、プラズマ(10)の
激しい変動によって種々の欠陥が誘発されてしまうとい
った問題があった。
【0003】したがって、プラズマの状態を計測し、溶
接現象等に及ぼす影響を把握して、加工品質の向上を図
ることが非常に重要である。特に、プラズマの温度分布
は、加工品質や加工現象に対して多大な影響を及ぼす。
プラズマの温度を計測する方法としては、従来より、プ
ローブ法、分光法、散乱法、伝搬法等が一般によく知ら
れている。
【0004】しかしながら、いずれの方法も、プラズマ
の単なる温度計測としては有用であるものの、温度の二
次元および三次元的な分布を求めるには計測位置を二次
元および三次元的に複雑に操作しなければならず、この
操作が多大な時間を要するため、時間変動の激しいプラ
ズマの温度分布を求めることが非常に困難であった。そ
こで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてな
されたものであり、従来技術の問題点を解消し、時間変
動の激しいプラズマの温度分布を二次元および三次元的
に、非常に短い時間で、且つ正確に測定することのでき
る、新しいプラズマ温度分布測定方法および装置を提供
することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、プラズマの温度分布を測
定する方法であって、プラズマから発光する平行成分光
のうち、プラズマ構成元素の励起原子またはイオンによ
り放射される輝線スペクトルのみで構成された輝線スペ
クトル画像を結像し、この輝線スペクトル画像の強度分
布からプラズマの温度分布を算出することを特徴とする
プラズマ温度分布測定方法(請求項1)を提供し、この
方法において、絶対強度法を用いて輝線スペクトル画像
の強度分布から温度分布を算出すること(請求項2)
や、プラズマから発光する平行成分光を複数に分割し、
これら平行成分光それぞれのうち、プラズマ構成元素の
励起原子またはイオンにより放射される互いに異なる波
長の輝線スペクトルそれぞれで構成された輝線スペクト
ル画像を同時に取得し、これらの輝線スペクトル画像そ
れぞれにおける各位置の強度の相対比からプラズマの温
度分布を算出すること(請求項3)や、相対強度法を用
いて強度の相対比から温度分布を算出すること(請求項
4)や、色収差補正レンズと互いに直交する一組のスリ
ットスリットまたはピンホールとを用い、色収差補正レ
ンズに入射したプラズマ像を、色収差補正レンズの焦点
に配置された互いに直交する一組のスリットまたはピン
ホールに入射させることにより、プラズマから発光する
平行成分光を取り出すこと(請求項5)や、分光器を用
いて、プラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより
放射される輝線スペクトルを取り出すこと(請求項6)
や、輝線スペクトル画像を撮像すること(請求項7)な
どをその態様として提供する。
【0006】また、この出願の発明は、プラズマの温度
分布を測定する装置であって、平行成分光取出手段、輝
線スペクトル取出手段、輝線スペクトル画像取得手段、
および演算手段が備えられており、平行成分光取出手段
によりプラズマから発光する平行成分光が取り出され、
輝線スペクトル取出手段によりプラズマ構成元素の励起
原子またはイオンにより放射される輝線スペクトルが平
行成分光から取り出され、輝線スペクトル画像取得手段
により輝線スペクトルのみで構成された輝線スペクトル
画像が求められ、演算手段により輝線スペクトル画像の
強度分布からプラズマの温度分布が算出されることを特
徴とするプラズマ温度分布測定装置(請求項8)も提供
し、この装置において、絶対強度法を用いて輝線スペク
トル画像の強度分布から温度分布が算出されること(請
求項9)や、分割手段が備えられており、この分割手段
によりプラズマから発光される平行成分光が複数に分割
され、一または複数の輝線スペクトル取出手段によりプ
ラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより放射され
る互いに異なる波長の輝線スペクトルそれぞれが各平行
成分光から別々に取り出され、一または複数の輝線スペ
クトル画像取得手段により各輝線スペクトルそれぞれで
構成される輝線スペクトル画像が同時に求められ、演算
手段により各輝線スペクトル画像それぞれにおける各位
置の強度の相対比からプラズマの温度分布が算出される
こと(請求項10)や、相対強度法を用いて強度の相対
比から温度分布が算出されること(請求項11)や、平
行成分光取出手段として色収差補正レンズと互いに直交
する一組のスリットまたはピンホールとが備えられてお
り、色収差補正レンズに入射したプラズマ像が、色収差
補正レンズの焦点に配置された互いに直交する一組のス
リットまたはピンホールに入射されて、プラズマ像の平
行成分光が取り出されること(請求項12)や、輝線ス
ペクトル取出手段として分光器が備えられていること
(請求項13)や、輝線スペクトル画像を撮像する撮像
手段が備えられていること(請求項14)などをその態
様としている。
【0007】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記のとお
り、プラズマから発光する平行成分光のうち、プラズマ
構成元素の励起原子またはイオンにより放射される輝線
スペクトルのみで構成された輝線スペクトル画像を結像
し、この輝線スペクトル画像の強度部分からプラズマの
温度分布を算出することを特徴とするものである。
【0008】より具体的には、たとえば、プラズマから
発光する平行成分光を取り出し、この平行成分光から、
プラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより放射さ
れる輝線スペクトルを取り出し、この輝線スペクトルの
みで描かれる輝線スペクトル画像を結像し、この輝線ス
ペクトル画像内の輝度分布から輝線スペクトルの強度分
布を求め、この強度分布から、たとえば公知の絶対強度
法を用いてコンピュータなどによりプラズマの二次元ま
たは三次元の温度分布を高精度、且つ高速に算出するこ
とができる。
【0009】また、たとえば、プラズマから発光する平
行成分光を複数に分割し、これら平行成分光それぞれか
ら、プラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより放
射される互いに異なる波長の輝線スペクトルを別々に取
り出し、各輝線スペクトルそれぞれで構成された輝線ス
ペクトル画像を同時に取得し、これらの輝線スペクトル
画像それぞれにおける各位置の強度の相対比からプラズ
マの温度分布を算出するようにしてもよく、この場合に
は、たとえば公知の相対強度法を用いてコンピュータな
どによりプラズマ温度分布を二次元または三次元的に優
れた精度で、且つ極短時間で算出することができる。
【0010】図1は、プラズマ像を二つに分割する場合
のこの発明の方法に従った測定構成またはこの発明の測
定装置の一例を示した要部構成図である。たとえばこの
図1に示した測定装置では、プラズマ像(1)は、平行
成分取出手段としての色収差補正レンズ(2)に入射し
た後に、分割手段として備えられたビームスプリッタ
(3)によって2方向に分けられている。
【0011】分割されたプラズマ像(1)は、各々、各
光路に配設された反射ミラー(4)を介して、二つの分
光器(5)それぞれの入射スリット(51)に入射され
る。この入射スリット(51)は、互いに直交する一組
のスリットによりなり、色収差補正レンズ(2)ととも
に平行成分取出手段を構成しており、色収差補正レンズ
(2)の焦点に配置されているため、プラズマ像(1)
から発光する平行成分光のみを取り出すことができる。
なお、このような入射スリット(51)の代わりに、た
とえばピンホールを用いても、平行成分光のみを取り出
すことができる。
【0012】次いで、各平行成分光は、輝線スペクトル
取出手段である分光器(5)内に導かれ、一方の分光器
(5)によってプラズマ構成元素である励起原子または
イオンにより放射されるある特定の波長を有する輝線ス
ペクトルが取り出され、他方の分光器(5)によってプ
ラズマ構成元素である励起原子またはイオンにより放射
されるある特定の波長を有する輝線スペクトルが取り出
される。これらの輝線スペクトルは、それぞれ励起原子
およびイオンのエネルギー準位に起因した互いに異なる
波長を有している。
【0013】この分光器(5)は、たとえば、図2に例
示したような構造を有するものとすることができる。す
なわち、図2の例では、入射スリット(51)を介して
入射されたプラズマ平行成分光は分光器(5)内に配設
された凹面鏡(53)によって平行光とされ、平面鏡
(54)を介してグレーティング(55)に照射され
る。このグレーティング(55)は平行光を波長に応じ
て分散するものであり、その角度調整によって、ある特
定な波長の光のみを選別することができる。つまり、プ
ラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより放射され
る互いに異なる固有の波長を持った輝線スペクトルをそ
れぞれ選別することができる。そして、選別された輝線
スペクトルは、凹面鏡(54)によって出射スリット
(52)に集光され、出射される。
【0014】もちろん、分光器(5)の構造は、上述し
た図2の例に限定されるものではなく、プラズマ構成元
素の励起原子またはイオンからの輝線スペクトルを取り
出す機能が実現できるものであればよい。また、図1に
示した例では分光器(5)が二つ用いられているが、平
行成分光から各輝線スペクトルを別々に分解して出射す
ることのできる分光器(5)を一つのみ用いることもで
きる。さらに、互いに異なる波長の輝線スペクトルを三
つ以上選別するなどの場合によっては三つ以上の分光器
(5)を用いる。
【0015】上述したように取り出された各々特定の波
長を有する輝線スペクトルは、輝線スペクトル画像取得
手段として各分光器(5)の出射側に配設された射出レ
ンズ(6)を通りイメージインテンシファイアー(7)
受光面に結像され、光強度が増幅されて、各々により描
かれた二次元の輝線スペクトル画像が同時に得られる。
【0016】ここで、図1に示した例では、各輝線スペ
クトル画像はCCDカメラ(8)により撮像される。こ
の二次元輝線スペクトル画像はコンピュータ(9)や別
体の記憶媒体に記憶させておくことができる。撮像手段
には、CCDカメラ(8)だけでなく、ビデオ撮影機や
フィルムカメラ等も用いられる。そして、演算手段とし
てのコンピュータ(9)により、たとえば、各輝線スペ
クトル画像の二次元輝度分布から二次元強度分布が得ら
れ、この二次元強度分布から、公知の方法、たとえば温
度分布が軸対称と仮定することができる場合にはアーベ
ル変換、または軸対称と仮定することができない場合に
はCT法などを用いて三次元の強度分布が解析されて、
この三次元プラズマ強度分布が公知の方法により三次元
のプラズマ温度分布に変換される。プラズマ像(1)を
分割した場合の図1の例では、公知の方法に従って、た
とえば各輝線スペクトル画像の三次元強度分布それぞれ
における各位置の強度の相対比からプラズマの三次元の
温度分布が算出される。この算出は、たとえば公知の相
対強度法を用いて算出することができる。
【0017】なお、プラズマ像(1)を分割しない場合
には、図1に例示した測定装置において、ビームスプリ
ッタ(3)が必要なく、分光器(5)、射出レンズ
(6)、イメージインテンシファイアー(7)、CCD
カメラ(8)はそれぞれ一つだけでよい。また、図3
は、プラズマ像(1)を分割しない、つまりプラズマか
ら発光する平行成分光を複数に分割しない場合におけ
る、この発明の一例を示した要部構成図である。
【0018】この図3に例示した測定装置では、上述し
た図1の測定装置における色収差補正レンズ(2)の代
りに、二つの色収差補正レンズ(14)とピンホール
(15)から構成される公知のテレセントリック光学系
(13)が備えられており、このテレセントリック光学
系(13)によって平行成分光が取り出されるようにな
っている。そして、取り出された平行成分光はフィール
ドレンズ(16)により入射スリット(51)に集光さ
れて分光器(5)に入射される。この分光器(5)で
は、プラズマ構成元素である励起原子またはイオンの一
方による輝線スペクトルが取り出され、次いで、この輝
線スペクトルで構成された輝線スペクトル画像が、上述
した図1の測定装置と同様にして射出レンズ(6)およ
びイメージインテンシファイアー(7)により得られ
る。
【0019】そして、この輝線スペクトル画像の強度分
布から、公知の方法に従ってプラズマ温度分布が二次元
または三次元的に算出される。ここでは、三次元強度分
布からの三次元温度分布への変換は絶対強度法が用いら
れる。なお、上述のように得られた三次元強度分布か
ら、その断面を取ることにより二次元の温度分布を得る
ことができ、また二次元強度分布から直接二次元の温度
分布を得ることもできる。
【0020】このようなこの発明は、プラズマから発光
する平行成分光のうち、プラズマ構成元素の励起原子ま
たはイオンにより放射される輝線スペクトルを二次元画
像として取得することで、輝線スペクトル強度の二次元
分布を容易に得ることができるので、後はこの強度の二
次元分布を用いてコンピュータ等により上述した各種の
公知演算方法に従った演算を行なうだけで、たとえば数
10μから数10ms程の極短時間で、且つ優れた精度
で、変動の激しいプラズマの二次元または三次元温度分
布の計測が可能となる。さらにまた、この温度分布を高
速度撮影することにより、高時間分解能で温度分布の変
化を知ることも可能である。
【0021】なお、平行成分光取出手段、輝線スペクト
ル取出手段、輝線スペクトル画像取得手段は、それぞれ
の機能を果たすことができれば、上述した例に限定され
るものではない。以下、添付した図面に沿って実施例を
示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明
する。
【0022】
【実施例】(実施例1)一般溶接構造用鋼SM490
を、レーザ出力5kW、溶接速度50cm/min、ア
シストガス流量40L/min(Ar)の条件下でCO
2 レーザ溶接を行なった際に形成されたプラズマの温度
分布を、図1に例示したこの発明によって測定した。
【0023】分割されたプラズマから発光する平行成分
光それぞれのうち、プラズマ構成元素Arの励起原子
(ArI )およびイオン(ArII)により放射される互
いに異なる波長の輝線スペクトルを取り出し、各々の輝
線スペクトルで描かれた二次元輝線スペクトル画像を、
高感度のCCDカメラ(8)により同時に撮像し、記録
した。励起原子(ArI )からの輝線スペクトルの波長
は696.5nm、イオン(ArII)からの輝線スペク
トルの波長は480.7nmであり、本実施例において
は分光器(5)によるこれら輝線スペクトルの波長分解
能は1nm以下であった。
【0024】そして、コンピュータ(9)により、アー
ベル変換を用いて各輝線スペクトル画像の二次元強度分
布から三次元強度分布を算出し、この三次元強度分布か
ら、相対強度法の一種であるArII/ArI 2線強度比
法を用いてプラズマの二次元温度分布を算出した。一
方、プラズマから発光する平行成分光を分割しない場合
についても、前述したようにプラズマ温度分布を測定し
た。励起原子(ArI )による輝線スペクトルで構成さ
れた輝線スペクトル画像を結像し、この輝線スペクトル
画像の二次元強度分布から、アーベル変換により三次元
強度分布を算出し、さらに三次元強度分布から、絶対強
度法の一種であるオフアキシス最大放射計数法を用いて
プラズマの三次元温度分布を算出した。
【0025】その結果、プラズマから発光する平行成分
光を分割し、ArII/ArI 2線強度比法を用いた場
合、およびプラズマから発光する平行成分光を分割せ
ず、オフアキシス最大放射計算法を用いた場合は共に、
互いに良く一致した高精度の三次元温度分布を極短時間
で得ることができた。 (実施例2)本実施例2では、図3に例示した測定装置
を用いてプラズマの温度分布を測定した例を示す。
【0026】図3の測定装置において、テレセントリッ
ク光学系(13)を構成するピンホール(15)は直径
3mmとし、分光器(5)は焦点距離277nmのもの
であり、波長分解能約1nmでプラズマ発光中の特定な
輝線スペクトルのみを選別できる。また、CCDカメラ
(8)は1280×1024ピクセルのものである。こ
のような装置を用いて、レーザ出力5kW、溶接速度
8.3mm/s、Arシールドガス流量40L/min
のもとで材料(12)に対してCO2 レーザ溶接を行な
い、このときに発生するプラズマの輝線スペクトル画像
を10msの高速で取り込み、プラズマの温度分布を計
測した。
【0027】図4(a)は、レーザ溶接時に形成された
プラズマ像の一例を示した図面に代わる写真である。こ
の図4(a)に例示したようなプラズマ像からの平行成
分光のうち、プラズマ構成元素Arの励起原子(ArI
)により放射される波長696.5nmの輝線スペク
トルを取り出し、この輝線スペクトルの二次元画像を結
像した。図4(b)は、この輝線スペクトル画像の一例
を示した図面に代わる写真である。
【0028】そして、本実施例2では、この輝線スペク
トル画像の強度分布から、オフアキシス最大放射計数法
を用いてプラズマの温度分布を求める。この場合では、
まず、図5に例示したようにArI輝線スペクトル強度
の積分値(図中斜線部)でスペクトル強度を評価する必
要がある。そこで、始めに、図6に例示したように、分
光器(5)の入射スリット(51)のスリット幅を0.
1mmに固定し、出射スリット(52)のスリット幅に
対するArI輝線スペクトル強度の増加率が一定となる
0.3mmを出射スリット(52)のスリット幅に設定
すると共に、この波長近辺で計測したバックグランド強
度を差し引くことにより積分強度を求めた。図7は、図
4(b)の輝線スペクトル画像から得られた材料(1
2)から高さ6mmの位置におけるArI輝線スペクト
ルの二次元強度分布を例示したものである。次いで、こ
の二次元強度分布をアーベル変換することにより局所に
おける強度分布に変換し、さらにプラズマが局所熱平衡
状態にあると仮定して二次元温度分布を求め、このよう
な二次元温度分布の取得をビーム軸方向の各位置で行な
うことにより三次元温度分布を解析した。この解析に要
した時間は約10msであった。図8および図9は、各
々、得られた二次元温度分布および三次元温度分布の一
例を示したものであり、これらからわかるように、約1
0msの極短時間でも、高精度の二次元または三次元の
温度分布を得ることができている。
【0029】そして、約10msの間隔でこのような温
度分布を高速度撮影することにより、プラズマ温度分布
の時間的変動を高時間分解能で取得することができる。
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではな
く、細部については様々な態様が可能であることは言う
までもない。
【0030】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明は、
時間変動の激しいプラズマの温度分布を二次元および三
次元的に、非常に短い時間で、且つ正確に測定すること
ができ、プラズマ形成現象の基礎的な解析に非常に有用
であるばかりでなく、高時間分解能での温度分布のモニ
ターも可能であるため、プラズマを積極的に制御するた
めの制御信号としても有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のプラズマ温度分布測定方法に従った
測定構成またはこの発明の測定装置の一例を示した要部
構成図である。
【図2】分光器の一例を示した要部構成図である、
【図3】この発明のプラズマ温度分布測定方法に従った
測定構成またはこの発明の測定装置の別の一例を示した
要部構成図である。
【図4】(a)(b)は、各々、プラズマ像および輝線
スペクトル画像の一例を示した図面に代わる写真であ
る。
【図5】波長と輝線スペクトル相対強度との関係を例示
した図である。
【図6】出射スリット幅とArI輝線スペクトル相対強
度との関係を例示した図である。
【図7】ArI輝線スペクトルの二次元強度分布の一例
を示した図である。
【図8】プラズマの二次元温度分布の一例を示した図で
ある。
【図9】プラズマの三次元温度分布の一例を示した図で
ある。
【図10】レーザ照射によるプラズマの発生例を示した
概念図である。
【符号の説明】
1 プラズマ像 2 色収差補正レンズ 3 ビームスプリッタ 4 反射ミラー 5 分光器 51 入射スリット 52 出射スリット 53 凹面鏡 54 平面鏡 55 グレーティング 56 凹面鏡 6 射出レンズ 7 イメージインテンシファイアー 8 CCDカメラ 9 コンピュータ 10 プラズマ 11 レーザ 12 材料 13 エレセントリック光学系 14 色収差補正レンズ 15 ピンホール 16 フィールドレンズ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマの温度分布を測定する方法であ
    って、プラズマから発光する平行成分光のうち、プラズ
    マ構成元素の励起原子またはイオンにより放射される輝
    線スペクトルのみで構成された輝線スペクトル画像を結
    像し、この輝線スペクトル画像の強度分布からプラズマ
    の温度分布を算出することを特徴とするプラズマ温度分
    布測定方法。
  2. 【請求項2】 絶対強度法を用いて輝線スペクトル画像
    の強度分布から温度分布を算出する請求項1のプラズマ
    温度分布測定方法。
  3. 【請求項3】 プラズマから発光する平行成分光を複数
    に分割し、これら平行成分光それぞれのうち、プラズマ
    構成元素の励起原子またはイオンにより放射される互い
    に異なる波長の輝線スペクトルそれぞれで構成された輝
    線スペクトル画像を同時に取得し、これらの輝線スペク
    トル画像それぞれにおける各位置の強度の相対比からプ
    ラズマの温度分布を算出する請求項1のプラズマ温度分
    布測定方法。
  4. 【請求項4】 相対強度法を用いて強度の相対比から温
    度分布を算出する請求項3のプラズマ温度分布測定方
    法。
  5. 【請求項5】 色収差補正レンズと互いに直交する一組
    のスリットまたはピンホールとを用い、色収差補正レン
    ズに入射したプラズマ像を、色収差補正レンズの焦点に
    配置された互いに直交する一組のスリットまたはピンホ
    ールに入射させることにより、プラズマから発光する平
    行成分光を取り出す請求項1ないし4のプラズマ温度分
    布測定方法。
  6. 【請求項6】 分光器を用いて、プラズマ構成元素の励
    起原子またはイオンにより放射される輝線スペクトルを
    取り出す請求項1ないし5のいずれかのプラズマ温度分
    布測定方法。
  7. 【請求項7】 輝線スペクトル画像を撮像する請求項1
    ないし6のいずれかのプラズマ温度分布測定方法。
  8. 【請求項8】 プラズマの温度分布を測定する装置であ
    って、平行成分光取出手段、輝線スペクトル取出手段、
    輝線スペクトル画像取得手段、および演算手段が備えら
    れており、平行成分光取出手段によりプラズマから発光
    する平行成分光が取り出され、輝線スペクトル取出手段
    によりプラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより
    放射される輝線スペクトルが平行成分光から取り出さ
    れ、輝線スペクトル画像取得手段により輝線スペクトル
    のみで構成された輝線スペクトル画像が求められ、演算
    手段により輝線スペクトル画像の強度分布からプラズマ
    の温度分布が算出されることを特徴とするプラズマ温度
    分布測定装置。
  9. 【請求項9】 絶対強度法を用いて輝線スペクトル画像
    の強度分布から温度分布が算出される請求項8のプラズ
    マ温度分布測定装置。
  10. 【請求項10】 分割手段が備えられており、この分割
    手段によりプラズマから発光される平行成分光が複数に
    分割され、一または複数の輝線スペクトル取出手段によ
    りプラズマ構成元素の励起原子またはイオンにより放射
    される互いに異なる波長の輝線スペクトルそれぞれが各
    平行成分光から別々に取り出され、一または複数の輝線
    スペクトル画像取得手段により各輝線スペクトルそれぞ
    れで構成される輝線スペクトル画像が同時に求められ、
    演算手段により各輝線スペクトル画像それぞれにおける
    各位置の強度の相対比からプラズマの温度分布が算出さ
    れる請求項8のプラズマ温度分布測定装置。
  11. 【請求項11】 相対強度法を用いて強度の相対比から
    温度分布が算出される請求項10のプラズマ温度分布測
    定装置。
  12. 【請求項12】 平行成分光取出手段として色収差補正
    レンズと互いに直交する一組のスリットまたはピンホー
    ルとが備えられており、色収差補正レンズに入射したプ
    ラズマ像が、色収差補正レンズの焦点に配置された互い
    に直交する一組のスリットまたはピンホールに入射され
    て、プラズマ像の平行成分光が取り出される請求項8な
    いし11のいずれかのプラズマ温度分布測定装置。
  13. 【請求項13】 輝線スペクトル取出手段として分光器
    が備えられている請求項8ないし12のいずれかのプラ
    ズマ温度分布測定装置。
  14. 【請求項14】 輝線スペクトル画像を撮像する撮像手
    段が備えられている請求項8ないし13のいずれかのプ
    ラズマ温度分布測定装置。
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