JP2000069973A - 新規酵素及びその製造方法 - Google Patents

新規酵素及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規酵素及びその製造方法の提供。 【解決手段】 新規な酵素及びその製造方法。詳しく
は、還元条件下におけるSDS−PAGEによる分子量
が76±5kDa、等電点4.6〜5.2、至適pH
7.4〜7.7であり、高分子のタンパク質に作用せ
ず、アミノ酸6残基以上17残基以下のペプチドを特異
的に加水分解する活性を有する新規なヒト型酵素。ヒト
大腸癌由来培養細胞Caco2 の細胞質溶液を、硫安分画、
イオン交換クロマトグラフィー、及びアフィニティーク
ロマトグラフィーにより精製することを特徴とする、該
酵素の製造方法。 【効果】 脳腸ペプチドやペプチドホルモンの代謝研究
用試薬として、あるいはアルツハイマー病などの神経系
疾患の治療薬として有用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な酵素及びそ
の製造方法に関する。詳しくは、還元条件下におけるS
DS−PAGEによる分子量が76±5kDa、等電点
4.6〜5.2、至適pH7.4〜7.7であり、高分
子のタンパク質に作用せず、アミノ酸6残基以上17残
基以下のペプチドを特異的に加水分解する活性を有する
新規なヒト型酵素、及びヒト大腸癌由来培養細胞Caco2
の細胞質溶液を硫安分画、イオン交換クロマトグラフィ
ー、及びアフィニティークロマトグラフィーにより精製
することを特徴とする、該酵素の製造方法に関する。本
発明の酵素は、脳腸ペプチドやペプチドホルモンの代謝
研究用試薬として、あるいはアルツハイマー病などの神
経系疾患の治療薬として有用である。
【0002】
【従来の技術】種々の生理活性ペプチドは、細胞間のシ
グナル伝達物質として作用していることが明らかにされ
つつあり、ペプチドホルモンとして、内分泌型のシグナ
ル伝達に関与するものや、局所的なケミカルメディエー
ターとして機能するもの、そして神経伝達物質として神
経細胞間の伝達物質として機能するものもある。いずれ
のタイプのペプチドも、ターゲットとする細胞の機能発
現と密接に関わっていることから、ペプチドの代謝回転
も厳密に制御されていると考えられている。特に神経系
など局所での伝達の場合、伝達物質の代謝回転は迅速
で、それに関わる分解酵素の機能を整理することは重要
な課題である。ペプチドホルモンや脳腸ペプチドの分解
酵素として、プロリルオリゴペプチダーゼ (EC 3.4.21.
26) 、ネプリリシン(neprilysin:EC 3.4.24.11)、サ
イメットオリゴペプチダーゼ(thimetoligopeptidase
:EC 3.4.24.15)、ニューロリシン(neurolysin:EC
3.4.24.16)などが知られているが、体内に広く分布す
るものや、細胞内に局在するものもあり、それらの機能
についての明確な結論は出ていない。
【0003】高齢人口の増加に伴い、神経系の疾患とし
て痴呆症に関心が寄せられている。中でもアルツハイマ
ー症は最も解析の進んだ疾患の一つで、この疾患を誘引
する物質と考えられているβ−アミロイド蛋白質の産生
に、ペプチダーゼが関与している可能性が示唆されてい
る。サイメットオリゴペプチダーゼはその候補の一つで
もあり、広く体内に分布していて、主に細胞質に存在す
るメタロエンドペプチダーゼとして発見されたものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
酵素と同様の活性を有する新規な酵素を求めて鋭意探索
した結果、ヒト大腸癌由来培養細胞であるCaco2 の細胞
質に、同様の活性を有する新規な酵素を見出した。従っ
て本発明は、新規なヒト型酵素及びその製造方法を提供
することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、新規な酵素及
びその製造方法に関する。本発明の新規酵素は、ヒト大
腸癌由来培養細胞Caco2 (ATCC HTB-37) の細胞質から得
ることができる。即ち、培養したCaco2 を培養フラスコ
から常法により剥離、回収し、ホモジナイズしたものを
遠心分離する。さらに得られた上清を超遠心分離にか
け、これを細胞質溶液とする。この細胞質溶液を硫安分
画し、硫安飽和度35〜60%の沈殿画分を得、これを
透析する。透析後の粗画分を陰イオン交換樹脂で分画
し、活性画分を得る。さらに、得られた活性画分につい
て、ハイドロキシアパタイトカラム、セファクリルカラ
ム、ブルーセファロースカラム、MonoQカラムを組
み合わせて精製することにより、精製された本発明の酵
素を得ることができる。このようにして得られた本発明
の酵素はヒト型であり、還元条件下におけるSDS−P
AGEによる分子量が76±5kDa、等電点4.6〜
5.2、至適pH7.4〜7.7であり、高分子のタン
パク質に作用せず、アミノ酸6残基以上17残基以下の
ペプチドを特異的に加水分解する活性を有するものであ
る。本発明の酵素は、その活性より脳腸ペプチドやペプ
チドホルモンの代謝研究用試薬として、あるいはアルツ
ハイマー病などの神経系疾患の治療薬として有用であ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の酵素は、ヒト大腸癌由来
培養細胞Caco2 (ATCC HTB-37) の細胞質から得ることが
できる。即ち、サブコンフルエント状態まで培養したCa
co2 を培養フラスコから常法により剥離、回収し、ホモ
ジナイズしたものを遠心分離する。得られた上清を、さ
らに超遠心分離にかけ、これを細胞質溶液とする。細胞
質溶液を硫安分画し、硫安飽和度35〜60%の沈殿画
分を得、これを透析する。透析後の粗画分を陰イオン交
換樹脂で分画し、活性画分を得る。この時用いる陰イオ
ン交換樹脂としては特に限定されないが、好ましくは弱
塩基性陰イオン交換樹脂であるDEAE-Sephadex 、DEAE-T
oyopearl、DEAE- セルロファインなど、特に好ましくは
DEAE- セルロースが用いられる。さらに、得られた活性
画分について、イオン交換クロマトグラフィー、アフィ
ニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフ
ィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィ
ー、調製用電気泳動など通常用いられる手法を適宜組み
合わせて精製することにより、精製された本発明酵素を
得ることができる。この時、特にハイドロキシアパタイ
トカラム、セファクリルカラム、ブルーセファロースカ
ラム、MonoQカラムを組み合わせて精製することが
好ましい。このようにして精製された画分を回収するこ
とにより、精製された本発明の酵素を得ることができ
る。本発明の酵素は、以下の物理化学的性質により特定
される。 (1)活性1:高分子のタンパク質に作用せず、アミノ酸
6残基以上17残基以下のペプチドを特異的に加水分解
する。 (2)活性2:キレート剤の存在下で失活する。 (3)分子量:76±5kDa(SDS−PAGE;還元
条件下) (4)PAS染色:陰性 (5)等電点:4.6〜5.2 (6)至適pH:7.4〜7.7 (7)内部アミノ酸配列:配列表配列番号1及び2に示す
配列を有する。 本発明の酵素は、その活性より脳腸ペプチドやペプチド
ホルモンの代謝研究用試薬として、あるいはペプチダー
ゼが関与していると考えられている疾患、例えばアルツ
ハイマー病などの神経系疾患の治療薬として有用であ
る。
【0007】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明をより詳細に説
明する。
【0008】
【実施例1】本発明酵素の製造 (1)酵素活性測定 目的酵素の加水分解活性は、 Barrett等の方法 (Method
s in Enzymol., Vol.248, p529, 1995 )に準じて測定
した。即ち、0.01mMの7-methoxycoumarin-3-carboxyl-3
-phenylpropyl-Pro-Leu-Gly-Pro-Lys(DNP)NH2 (ノババ
イオケム社)を基質として分解、生成される7-methoxyc
oumarin-3-carboxyl-3-phenylpropyl-Pro-Leu-OHの時間
変化を測定した。生成物を1分当たりに1μmol 産生さ
せうる酵素量を1Uと定義した。
【0009】(2) 細胞培養 Caco2 細胞をT-120 フラスコに、10%FCSを含むコスメデ
ィウム(コスモバイオ社)で37℃、5% CO 2 下、コンフ
ルエント状態に達するまで培養し、1010個の細胞を出発
材料とした。(3) 細胞分画と硫安分画 コンフルエントに達した細胞表面をPBS(-)ですすいだ
後、セルスクレイパーでかき取って,少量の生理食塩水
を加え剥離細胞を集めた。次いで、細胞懸濁液に対して
4倍量の20mM Tris/HCl(pH7.8)、 250mMショ糖、 5mM
2−メルカプトエタノール、0.1mM PMSF(Phenyl methy
l sulfonyl fluoride ;和光純薬社)を加え、ポッター
型ホモジナイザーでホモジナイズした。次いで、10,000
×g、10分間遠心分離を行い、上清を回収した。回収
した上清を更に100,000 ×g、1時間の超遠心分離を行
い、その上清を回収して細胞質溶液とした。細胞質溶液
を硫安分画に付し、硫安飽和度35〜60%沈殿画分を
回収した。次に、少量の 10mM Tris-HCl(pH 7.8)、 0.1
mM ZnCl2、 5mM 2−メルカプトエタノール、 0.1mMPM
SF に溶解し、同緩衝液に対して24時間透析した。
【0010】(4)DEAE- セルロースクロマトグラフィー 透析後の粗画分を、予め10mM Tris-HCl(pH7.8)、 5mM
2−メルカプトエタノール、 0.1mM ZnCl2、 0. 05% Br
ij-35 (和光純薬社)で平衡化したDEAE- セルロース
(ワットマン社) カラム(内径16mm、高さ35cm) にロー
ドし、平衡化に用いた緩衝液でカラムを洗浄した後、流
量0.4ml/min 、NaCl濃度0〜0.3M/700mlのグラ
ディエント溶出で分画し、活性画分を回収してDEプー
ルとした。DEプールは、10mMリン酸ナトリウム(pH 6.
8)、 5mM 2−メルカプトエタノール、 0. 05% Brij-3
5 、0.1mM ZnCl2 に対してダイアフィルトレーション
し、最終的に10mlに濃縮して次の精製ステップに供
した。
【0011】(5) ハイドロキシアパタイトクロマトグラ
フィー DEプールをハイドロキシアパタイトカラム(内径10m
m、高さ40mm、バイオラッド社)にロードして、流量0.1
ml/min 、分画量0.5ml で、リン酸濃度0.01〜0.
3M/80mlのグラディエント溶出で分画した。得られ
た画分の加水分解活性を測定し、活性画分をまとめてH
Aプールとした。
【0012】(6) セファクリルS−200ゲルフィルト
レーション HAプールを限外濾過で2mlまで濃縮し、予め10mM Tri
s-HCl(pH7.8)、 5mM 2−メルカプトエタノール、 0.1mM
ZnCl2、 0.15M NaCl 、0.05% Brij-35 で平衡化したセ
ファクリルS−200カラム (ファルマシア社) にアプ
ライして、流量0.2ml/min、分画量2mlで分離、分取し
た。各画分の分解活性を測定し、活性画分を合わせてG
Fプールとした。
【0013】(7) ブルーセファロースクロマトグラフィ
GFプールを、 10mM Tris-HCl(pH7. 8)、 5mM 2−メ
ルカプトエタノール、0.1mM ZnCl2 、0.05% Brij-35 、
0.1M NaCl で平衡化した HiTrap Blueカラム (5ml、フ
ァルマシア社) にアプライして、非吸着画分を回収し
た。
【0014】(8) MonoQ FPLC ブルーカラムの非吸着画分をMonoQカラム (ファル
マシア社) でさらに分画した。分離条件は、流量0.5ml/
min 、NaCl濃度0.1〜0.2M/30分のグラディエ
ント溶出で、分画量0.5ml とした。活性画分をあわせ、
精製酵素とした。精製過程の収率を表1に示す。この結
果、最終的に比活性5.6U/mg の精製酵素が39μg 回収さ
れた。
【0015】
【表1】
【0016】
【実施例2】本発明酵素の特性 (1) 分子量と等電点 本発明酵素の最終精製物のSDS−PAGE(還元条件
下)の結果を、図1に示す。最終的にMonoQで分画
して回収した画分は単一バンドを示し、実施例1記載の
方法により、本発明酵素を単離出来ることが確認され
た。単離した酵素の分子量は、76±5kDaであっ
た。又、非還元条件下のSDS−PAGEでも、精製酵
素はほぼ同一の移動度で単一バンドを示したことから、
本酵素は単一のペプチド鎖であることが確認された。さ
らに、等電点をファーストシステム(ファルマシア社)
を用いて分析した結果、本酵素の等電点は4.6〜5.
2であった。
【0017】(2) 至適pH 10mM Tris-HCl 緩衝液及び10mMリン酸緩衝液を、pH
7.0〜8.2まで適宜調整し、本発明酵素の各pHに
おける活性を測定した。結果を図2に示す。この結果、
両緩衝液中とも至適pHは7.4〜7.7を示した。
【0018】(3) 阻害剤 本酵素に対する各種プロテアーゼ阻害剤の影響を調べ
た。即ち、実施例1−(1) に記載の方法に従って1mUの
酵素量で阻害剤無添加時の比活性を測定し、次いで同一
酵素量に対し、表2に記載の濃度で各々の阻害剤を添加
し、阻害剤添加時の比活性を測定して、阻害率[%] =
(阻害剤無添加時比活性[mU/ml] /阻害剤添加後比活性
[mU/ml] )×100 を求めた。尚、プロテアーゼ阻害剤と
してE−64(ペプチド研究所社)、PMSF、ペプスタ
チン(Pepstatin )、O−フェナントロリン(O-Phenan
throlin )、EDTA、N−エチルマレイミド(N-ethy
lmaleimid )(全て和光純薬社)を用いた。EDTAの
み添加後1時間インキュベートした後、測定した。結果
を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】この結果、単離した本発明酵素はPMS
F、ペプスタチンには全く阻害されなかったことから、
セリンプロテアーゼやアスパラギン酸プロテアーゼでは
ないことが確認された。一方、EDTAやO−フェナン
トロリン等のキレート試薬で阻害されたことから、本発
明酵素は金属プロテアーゼであることが確認された。但
し、E−64に阻害されず、N−エチルマレイミドに阻
害されたことから、本酵素に含まれるシステイン残基が
活性発現に何らかの関与をしていることが示唆された。
【0021】(4) 合成ペプチドに対するKm値とKi値 単離した本発明酵素の特性として、合成基質である 7-m
ethoxycoumarin-3-carboxyl-3-phenylpropyl-Pro-Leu-G
ly-Pro-Lys(DNP)NH2(ノババイオケム社)に対するKm値
を、Serizawaらの方法(J.Biol.Chem., Vol.270, p2092
(1995) )により測定した。その結果、Km値は22.2μM
を示した。又、同じ合成ペプチドを、ダイノルフィンA
(1-13) 及び N-[1-(RS)-carboxyl-3-phenylpropyl]-Al
a-Ala-Phe-pAb に対するKi値を測定した。その結果、Ki
値はそれぞれ 0.419μM及び 3.85 μMを示した。
【0022】(5) 基質特異性 本酵素の合成あるいは天然ペプチドに対する基質特異性
を測定した。即ち、合成あるいは天然ペプチドを基質と
し、その分解物をHPLCで分析した。尚、基質として
Dnp-Pro-Leu-Gly-Pro-Trp-D-Lys (QF01;ノババイ
オケム社)、7-methoxycoumarin-3-carboxyl-3-phenylp
ropyl-Pro-Leu-Gly-Pro-Lys(DNP)NH2 (QF02;ノバ
バイオケム社)、ブラジキニン、ニューロテンシン、黄
体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、アンジオテ
ンシンI、アンジオテンシンII、ダイノルフィンA、心
房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、グルカゴン
(全てシグマ社)を用いた。分離、分取後、アミノ酸分
析により切断位置を同定した。結果を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】この結果、本発明酵素はコラーゲン、ウシ
血清アルブミン、カゼイン、ヒツジIgG、ミオグロビ
ン、トランスフェリン、オボアルブミン等の高分子タン
パク質を、全く分解しなかった。これに対し、合成の低
分子ペプチド類や脳腸ペプチドは、本発明酵素により分
解された。これを解析した結果、基質と成り得るペプチ
ド鎖は6残基から17残基であったことから、本酵素は
オリゴエンドペプチダーゼ活性を有することが確認され
た。
【0025】(6) アミノ酸配列 単離した本発明酵素のN末端アミノ酸配列分析を、自動
アミノ酸配列分析装置(476A型、アプライドバイオ
システムズ社)を用いて実施したが、シグナルは検出さ
れず、N末端がブロックされている可能性が示された。
次に、精製した酵素の内部アミノ酸配列の分析を行っ
た。精製酵素約40μg(約500pmol 相当)を還元ピリジル
エチル化し、リジルエンドペプチダーゼ(和光純薬社)
で加水分解し、ついで逆相クロマトグラフィーで分解さ
れたペプチドを分離し、2ピークを分取し、自動アミノ
酸配列分析装置を用いて、目的酵素の内部アミノ酸配列
を解析した。得られた配列を、配列表配列番号1及び2
に示す。 各アミノ酸配列について、GeneBank、EMBL、及
びSwiss-Protデータベースに対して同一配列の検索を行
った結果、完全に一致するものは認められず、本発明で
得たヒト由来メタロエンドペプチダーゼが新規な物質で
あることが確認された。
【0026】
【発明の効果】本発明により、新規な酵素及びその製造
方法が提供される。詳しくは、還元条件下におけるSD
S−PAGEによる分子量が76±5kDa、等電点
4.6〜5.2、至適pH7.4〜7.7であり、高分
子のタンパク質に作用せず、アミノ酸6残基以上17残
基以下のペプチドを特異的に加水分解する活性を有する
新規なヒト型酵素、及びヒト大腸癌由来培養細胞Caco2
の細胞質溶液を硫安分画、イオン交換クロマトグラフィ
ー、及びアフィニティークロマトグラフィーにより精製
することを特徴とする、該酵素の製造方法が提供され
る。本発明の酵素は、脳腸ペプチドやペプチドホルモン
の代謝研究用試薬として、あるいはアルツハイマー病な
どの神経系疾患の治療薬として有用である。
【0027】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> 雪印乳業株式会社 Snow Brand Milk Products Co., Ltd. <120> 新規酵素及びその製造方法 <130> YTP98012 <160> 2 <210> 1 <211> 11 <212> PRT <213> Human <400> 1 Thr Arg Thr Glu Glu Leu Ile Val Gln Thr Lys 1 5 10 <210> 2 <211> 29 <212> PRT <213> Human <400> 2 Gln Val Tyr Asp Ala Val Gly Met Leu Gly Ile Glu Glu Val Thr Tyr 1 5 10 15 Glu Asn Cys Leu Gln Ala Leu Ala Asp Val Glu Val Lys 20 25
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明酵素の還元条件下におけるSDS−P
AGEによる泳動パターンを示す。
【符号の説明】
レーン1:分子量マーカー蛋白質 97kDa:ホスホリラーゼ 78kDa:トランスフェリン 68kDa:ウシ血清アルブミン 55kDa:グルタミン酸デヒドロゲナーゼ 35kDa:グリセルアルデヒドデヒドロゲナーゼ 29kDa:カルボニックアンヒドラーゼ 22kDa:大豆トリプシンインヒビター 12.5kDa:シトクロムC レーン2:本発明酵素
【図2】 本発明酵素の各緩衝液における至適pHを示
す。
【符号の説明】
●:10mM リン酸緩衝液 ○:10mM Tris-HCl緩衝液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) (C12N 9/48 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA01 AA20 BA14 HA03 4B050 CC01 DD07 FF04C FF11C FF14C LL01 LL10 4C084 AA06 AA07 BA01 BA05 BA18 BA19 BA44 CA18 DC01 ZA162 ZC192

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の特性を有するヒト型酵素。 (1)活性1:高分子のタンパク質に作用せず、アミノ酸
    6残基以上17残基以下のペプチドを特異的に加水分解
    する。 (2)活性2:キレート剤の存在下で失活する。 (3)分子量:76±5kDa(SDS−PAGE;還元
    条件下) (4)PAS染色:陰性 (5)等電点:4.6〜5.2 (6)至適pH:7.4〜7.7
  2. 【請求項2】 配列表配列番号1及び2に示されるアミ
    ノ酸配列を有する、請求項1記載の酵素。
  3. 【請求項3】 ヒト大腸癌由来培養細胞Caco2 (ATCC HT
    B-37) の細胞質溶液を、硫安分画、イオン交換クロマト
    グラフィー、及びアフィニティークロマトグラフィーに
    より精製することを特徴とする、請求項1又は2記載の
    酵素の製造方法。
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