JP2000053517A - 植物の生理活性物質及びその使用方法 - Google Patents

植物の生理活性物質及びその使用方法

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JP2000053517A
JP2000053517A JP10233468A JP23346898A JP2000053517A JP 2000053517 A JP2000053517 A JP 2000053517A JP 10233468 A JP10233468 A JP 10233468A JP 23346898 A JP23346898 A JP 23346898A JP 2000053517 A JP2000053517 A JP 2000053517A
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Yoshinori Sasaki
義則 佐々木
Masabumi Tanaka
正文 田中
Naohiko Sato
直彦 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステビアの植物組織に由来する、植物の活力
或いは抵抗力を増進させ、発根を促進して、植物を元気
に発育させる少量で有効な植物の生理活性物質を提供す
る。 【解決手段】 成熟したステビアの植物組織の微粉砕物
を、植物が生育している土壌に散布し或いは葉面に散布
することにより、植物の日持ちを改良し、発根を促進
し、誤って過度の肥料を与えた場合でも必要量だけを吸
収して発育障害を起こさず、また土壌中に棲息する植物
に有害な微生物に対する抵抗性を付与し、果樹において
は落果を防止し、更に農作物の連作障害を防止する作用
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ステビアの茎、葉
等の植物組織に由来する、植物の活力或いは抵抗力を増
進させ、発根を促進し、植物を元気に発育させる少量で
有効な植物の生理活性物質に関する。
【0002】
【従来の技術】ステビアの葉にはステビオサイト、レバ
ディオサイト等の強力な甘味成分が含まれていることは
公知である。一方、特開昭62−108790号公報に
はステビア葉部粉末とステビアの茎部粉末とを、ステビ
アの葉部粉末10%以上40%以下の割合で混合した植
物の肥料の添加剤が開示されている。この公報には上記
物質を肥料の添加剤として使用すると、果実や作物の自
然な甘味が増加し、作物の本来の味や香りを引出す等の
効果がある旨開示されている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】特開昭62−108790号公報には、ス
テビア葉部粉末とステビアの茎部粉末の配合物が農作物
の味、香り、つや、肉付、実の大きさ等が改良される効
果が開示されている。本発明者らは更に研究を重ね、成
熟したステビアの茎の中に抗酸化活性物質が含有される
ことを見出し、ステビアの茎の粉末を土壌に施すことに
よる種々の効果を調べ、ステビアの茎の微粉末の用途の
拡大を図った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はステビアの茎、
葉等の植物組織の乾燥した微粉砕物を、植物を育成して
いる土壌に散布することにより、植物の日持ちを改良
し、誤って過度の肥料を与えた場合でも必要量だけを吸
収して発育障害を防止し、また土壌中に棲息する植物に
有害な微生物に対する抵抗性を付与し、発根を促進し、
有用な土壌微生物を増殖させ、果樹や野菜においては収
穫前の実の落下を防止し、更に農作物の連作障害を防止
することを特徴とする。
【0005】すなわち、本発明者らはステビアの植物組
織の微粉砕物の冷水抽出物、熱水抽出物、65%以下の
低級アルコール抽出物に強い抗酸化活性があることを見
出した。ステビアの茎に20重量%のステビアの葉を混
合させた微粉砕物、その冷水抽出物、熱水抽出物、65
%以下の低級アルコール抽出物の少量を土壌に散布する
のみで植物体を活性化する事実は、その機構は不明であ
るが、ステビアの植物組織に含有され、親水性の生理活
性物質に起因するものと推量する。
【0006】この生理活性物質は成熟したステビアの植
物組織を微粉砕して得られたものであり、この微粉末の
少量を土壌に散布すると単に1回散布したのみでも効果
がある。しかし、一定の間隔をおいて2〜3回繰返すこ
とにより、より顕著な効果を期待することができる。堆
肥は好ましい肥料であると共に、化学肥料の多用により
衰弱した土壌を活性化する効果を有する。しかしなが
ら、堆肥を用いるなら耕作地1m2 あたり1〜20g程
度の少量ではほとんど効果を期待することができない。
本発明はこのように少量でありながら顕著な効果を有す
るので、肥料ではなく、植物の生理活性物質であると推
測する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の原料となるステビアと
は、南米原産のキク科の多年生植物、ステビア・レバウ
ディアナ・ベルトニ(Stevia・Rebaudia
na・Bertoni)及びその類縁植物である。実験
の結果、有効成分は蕾を持つ前の植物組織全体に含有さ
れ、特に茎や葉に多く存在する。また根にも、幼弱植物
にも有効成分が茎の1/5〜1/10程度含有される。
【0008】ステビアの微粉砕物を得るためには、ステ
ビア、好ましくは蕾を持つ前のステビアの地上部を刈取
り乾燥、微粉砕する。乾燥、微粉砕する方法に限定はな
く、雨露に触れることなく乾燥できればよい。一般には
茎と葉を分離した後、茎を切断し茎と葉を別々に微粉砕
する。乾燥後微粉砕する方法が一般に効率的である。水
分12%以下、好ましくは10.5%以下に乾燥し、粒
径は100μm以下、好ましくは50μm以下である。
一般に粒径が小さい程、土壌中で有効成分の溶出が早く
速やかに効果が現れる。
【0009】本発明の有効成分は特定されていない。し
かしながら、この微粉砕物の熱湯煮沸抽出物、冷水抽出
物、10〜65%のアルコール抽出物には高度の抗酸化
活性が認められる。アルコールとしてはメチルアルコー
ル、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−
プロピルアルコール等を挙げることができる。抗酸化活
性の測定は、ステビア原草の茎、葉の他、抗酸化活性が
認められている緑茶についても行った。測定法はPV法
(ヨードメトリー法)を用い、自然乾燥した後、同一の
粒度に微粉砕して熱水抽出を行った。
【0010】図1に示す通り、抗酸化活性は葉よりも茎
に高い値が認められ、茎抽出物の抗酸化活性は緑茶抽出
物よりもはるかに強かった。なお、抗酸化指数(%)は
熱水抽出固形物を1000ppm使用し、6日後の対照
区に対する値で表示した。その他、ステビアの茎を冷水
で1日以上静置して得た抽出物、30%メタノール抽出
物、60%メタノール抽出物についても熱水抽出物とほ
ぼ同等の抗酸化活性が認められた。本発明における農作
物の日持ち増進効果、果実の落下防止効果、土壌の微生
物叢を正常に維持する効果、連作障害防止効果、発根効
果等は抗酸化活性が関与しているものと推量する。
【0011】本発明微粉砕物の使用量は農作物の種類、
土壌の状態等により異なるが、一般にステビアの茎及び
葉の混合微粉砕物として1〜20g/m2 、好ましくは
2〜15g/m2 、より好ましくは5〜10g/m2
1回に散布する。1回の散布で本発明の効果が現れる
が、更に万全を期する場合には作物の収穫までに1〜2
回以上散布する。特に植物が幼弱で大量の有害微生物が
存在する場合や、高度の連作障害の場合には12〜50
g/m2 散布することもある。
【0012】更に、植物は自己が利用できない程大量の
養分を吸収しない個体防御機構を有するが、植物に充分
な体力がない場合には肥料、特に窒素系、特に硝酸塩系
の養分を過吸収し、窒素同化ができずに生育阻害が生じ
るが、本発明のステビア茎の微粉砕物を配合すると植物
に体力がつき、過剰の栄養分があっても吸収せずに安定
して成長する。
【0013】果樹、特に柑橘類においては大量に着果さ
せると樹体が疲労し、根張りが悪くなる。根張りの良否
と果実の収量との間にはほぼ比例関係があり、根張りが
よい場合には味も向上する。特にデコポン等は根張りが
悪く、隔年に着果させても次第に収量が低下してくる。
根張りを促進させるために化学肥料、有機肥料、ワラ等
未だ有効な方法は見出されていない。本発明者らはステ
ビアの粉末を表土に散布して放水するのみで根張りを促
進できる事実を見出した。ステビア微粉末の使用量は1
0アール当たり1〜20kg、好ましくは2〜15kg
である。
【0014】すなわち、ステビア植物組織の粉末には果
樹をはじめ、種々の植物に対する根張り向上作用があ
る。その有効使用量が少量であるため、ステビア微粉末
中の有効成分が肥料として作用するのではなく、植物体
に対し何らかの生理活性を有するものと考えられる。更
に、ステビアの植物組織の熱湯抽出液を常温で放置する
と醗酵して炭酸ガスを放出する。初期は激しく醗酵し3
〜6月経過すると緩徐になるが、1年後も、5年後でも
僅かながら醗酵が継続している。ステビアの微粉末を使
用するのみでなく、この醗酵液を希釈して併用しても農
作物の日持ち増進効果、果実の落下防止効果、土壌の微
生物叢を正常に維持する効果、連作障害防止効果及び根
張り促進作用が認められる。
【0015】
【実施例】実施例1(ステビア粉末の製造) 蕾を持つ前のステビアの地上部を刈取った。これを自然
乾燥して葉と茎を分離し、茎は断裁してから更に自然乾
燥し、回転式カッター付き粉砕機に投入して粉砕した。
粉砕機による1回処理のみでは充分な微粒子に粉砕でき
ないので、本実施例では2段階の微粉砕処理を行い粒径
20〜30μmの微粉砕物を得た。葉は茎と分離後、回
転式カッター付き粉砕機により微粉砕し、茎:葉の重量
比が約8:2になるように茎及び葉の微粉砕物を混合し
た。
【0016】実施例2(ほうれん草の日持ち試験) 9月14日に各9m2 の試験区A及びBに、ほうれん草
の播種を行い、10月15日に収穫した。両試験区共通
常の施肥を行った。試験区Aには10月1日及び7日の
2回にわたって実施例1で製造したステビア粉末を5g
/m2 の割合で根張りしていると思われる表土に散布し
上から放水した。試験区Bにはステビア粉末の散布を行
わなかった。収穫したほうれん草は試験区A、B共に濃
い緑色で葉も活き活きして外観上差異は認められなかっ
た。両区のほうれん草を各別に新聞紙で包み、水分の蒸
発を防いで20℃の室に保存した。試験区Aのほうれん
草は7日後も葉がピンとして新鮮であり、8日後にはや
や葉に張りが失われた。一方、試験区Bのほうれん草は
葉に張りがあったのは2日後までで、3日後にはすでに
葉の張りが失われ、4日後には更に萎びて緑色を失った
葉が混在した。
【0017】実施例3(桃の日持ち試験) 桃の木14本が植わっている約200m2 の桃の果樹園
を2分し、一方を試験区Aとし他方を試験区Bとした。
試験区A及びBには従来通りの施肥を行い育成管理を行
った。(配合肥料10kg/100m2 の割合でほぼ隔
月に4回施肥した。) 試験区Aには開花する約10日前及び桃の実が径3cm
2 程度になった時の2回にわたり、桃の木が根張りして
いると思われる土壌の上に実施例1のステビア粉末を散
布した。散布量は1回あたり10g/m2 であった。試
験区Bにはステビア微粉砕物を散布しなかった。試験区
Aで収穫された桃は完熟した状態で収穫して12〜15
日間日持ちした。一方、試験区Bでは一部を完熟後に収
穫したが、2〜3日しか日持ちしなかった。他は従来通
り日持ちの関係上完熟前に収穫し、固いまま出荷した
が、収穫後の日持ち日数は2週間前後であった。更に、
試験区Bで収穫された桃は指で押さえた部分が間もなく
褐変したが、試験区Aで収穫された桃は指を押さえた部
分も後日褐変しなかった。
【0018】実施例4(みかんの日持ち試験) みかん150本が植わっている約2000m2 のみかん
の果樹園を2分し、一方を試験区Aとし他方を試験区B
とした。試験区A及びBには従来通りの施肥を行い育成
管理を行った。(配合肥料10kg/100m2 の割合
でほぼ隔月に4回施肥した。)試験区Aには10月6日
及び10月20日の2回にわたり、みかんの木が根張り
していると思われる土壌の上に実施例1のステビア粉末
を散布した。散布量は1回あたり7g/m2 であった。
試験区Bにはステビア微粉砕物を散布しなかった。収量
は試験区A、B共約3.5 tonであった。試験区A及び
Bのみかんを、12月に段ボール箱に詰め室温で放置し
た。試験区Bのみかんは2月に入ると白いカビが生えは
じめ、3月上旬にはすべてのみかんが一面真っ白になっ
て腐敗した。他方、試験区Aのみかんは4月になっても
カビが生えず、水分の減少が多少認められる程度であっ
た。
【0019】実施例5(桃の落下防止試験) 白桃を栽培している果樹園の広さ50m2 の1区画を試
験区とした。試験区には花芽を持つ前に、実施例1の微
粉砕物を果樹の根張りしていると思われる部分に円環状
に5g/m2 の割合で散布し充分に灌水した。すなわ
ち、50m2 に250g使用した。更に、この作業を落
花直後、結実する頃及び実が径3cm程度になったとき
にも行い、通算4回繰返した。試験区における栽培方法
はステビア微粉砕物を散布した以外は同一果樹園におけ
る他の区域と同様であった。結実後落花した果実の個数
の比率は他の区域においては17%であったが、試験区
においては5.1%であった。本実施例より、果実の自
然落下は果樹の体力を越える果樹を落下させることによ
り果樹自体を保護しようとする植物の個体防御機構の発
現と考えることができ、ステビアの茎の微粉砕物の投与
は植物体の体力を増強する効果を有する。なお、果実の
落下防止効果は桃の他、なし、リンゴ等に顕著に現れ
る。
【0020】実施例6(土壌中の微生物叢を正常に維持
する試験) クロマツの2年生実生苗(苗高約40cm、根本径約1
cm)を試供苗として4月5日に植栽した。1処理区の
大きさは長さ3.5m、幅1mで面積は3.5m2 であ
った。1区当たりマツ苗30本前後であり、3区画合計
85本とした。使用したザイセンチュウの系統は「島
原」であり、接種は8月30日にマツ苗1本あたり50
00匹接種した。実施例1のステビアの茎の微粉砕物は
試験区に6月13日に300g/区の割合で地表面に散
布し、中耕後5リットル/区の水を散布した。マツ苗の
生育は6月13日(開始時)及び11月7日(終了日)
の2回にわたり、苗高と根元径(地上高5cm部位)を
測定した。終了時の生育調査においては、正常苗(健全
ですべての針葉が緑色を示すもの)、半枯れ苗(苗高の
1/3〜1/2の部位の針葉が黄褐色を示すもの)、枯
損苗(すべての針葉が黄褐色を示すもの)の3種類に区
分した。試験結果を表1に示した。
【0021】別に、比較例として、ステビアの茎の微粉
砕物を散布せず、3区画合計87本とした以外は同様の
実験を行って表1に併記した。表1より、本発明ステビ
アの微粉砕物が土壌中にあって、土壌中の微生物叢を正
常に維持する機能を有し、植物に対する有害微生物に抵
抗力を付与していることが判明した。
【0022】
【表1】
【0023】実施例7(連作障害防止試験) 連作障害の出ている畑(24m2 )でおくら栽培を行
い、その経過を示す。 4月2日……1週間前からトンネルに被覆し保温した土
壌に播種。 4月7日……発芽が始まった。 4月13日〜18日……発芽しても成長しないため、不
発芽、成長不良の株を順次播き直しした。 5月2日〜8日……4月19日播きの補植用ポット苗で
欠株を補植した。 5月10日……これまで4〜5回の播き直しを行った
が、この日以後の播き直しを行わなかった。 5月22日……灌水。 5月27日……トンネル除去。 5月29日……実施例1のステビア微粉末を、5g/m
2 の割合で土壌散布して灌水。 6月6日……再度5月29日の作業を繰返した。おくら
の状態は連作障害で葉はほとんど落ち、茎だけが半死半
生で倒れかけていた。 6月9日……実施例1のステビア微粉末を、7g/m2
の割合で葉面散布して灌水。 6月18日……6月9日の作業を繰返した。おくらの状
態は葉に生気が現れ、立ち直りつつあることが実感され
た。 6月22日……実施例1のステビア微粉末を、4g/m
2 の割合で葉面散布して灌水。 7月8日……再度6月22日の作業を繰返した。おくら
生育は完全に回復して連作障害のなかった隣接の畑のお
くらと殆ど遜色のない状態になった。
【0024】連作障害の原因としては、(1)植物の根
から出る物質が土壌中に蓄積して直接植物に弊害を与え
る、(2)蓄積物質が乳酸菌、放線菌、光合成菌等の有
用菌の細菌フローラを貧困化させ、有害菌の付着を促進
する、(3)植物の種類により微量有効成分が不足して
くる、等の原因が考えられている。本発明のステビアの
茎の微粉砕物は土壌中において上記有用菌を活性化し
て、その菌数を100倍から1000倍に一挙に増加さ
せ、連作障害を克服することができる。
【0025】実施例8(果樹の発根試験) 九州の西南暖地において試験を行った。カラタチの種か
ら発芽させた1〜2年生の苗木にデコポンを接ぎ木して
定植し更に3年育成した。3年後、75本のデコポンの
成木を植えた10アールの果樹園から1.1トンのデコ
ポンを収穫した。これを第1年目とした。収穫後表土の
一部の掘って根の状態を調べたところ、先端に成長点を
有する細根の数が極端に減少していたため、翌年(第2
年目)は着果が極端に減少した。この状態でこの果樹園
を1〜4の試験区にほぼ4等分した。
【0026】全試験区において、施肥は有機質70%以
上、N、P、K含有量8、7、6の配合肥料20袋(1
袋20kg)を4〜5袋/10アールの割合で3月、5
月、9月、11月の4回行った。この配合肥料は通常の
市販品であって、例えば窒素分に関しては1袋あたりN
として1.6kg含有することを意味する。ステビア粉
末処理とは、実施例1で調製したステビア粉末500〜
700g/アールを果樹の根に散布し、充分に散水す
る。
【0027】ステビア液処理とは下記の方法で製造した
ステビア原液の2400倍希釈液を、ステビア粉末処理
約1月後に600リットル/アールの割合で葉面に散布
し、これと同一の作業を1週間間隔で合計3回行う処理
である。すなわち、成熟したステビアの茎及び葉を煮沸
しながら抽出し、抽出液を固形分20%程度になるまで
煮詰めて放冷した。この抽出液はステビアの茎や葉を含
む地上部1kg(天日乾燥重量換算)から約1.2リッ
トル得られた。この抽出液を常温で放置すると醗酵が始
まり炭酸ガスを放出するので間欠的に炭酸ガスを放出し
た。醗酵は初期は激しかったが次第に緩徐になった。1
年間醗酵させたステビア醗酵液を原液として使用した。
【0028】第3年目は細根の数が一応復元しており、
試験区1においては、着果させて10アール当たり1.8
トンのデコポンを収穫した。収穫後、細根の数が著しく
減少しており第4年目も着果が極端に減少した。第5年
目には5月10日にステビア粉末500〜700g/ア
ールを果樹の根の周辺に散布し、充分に散水した。年末
にデコポン1.9トン/アールを収穫した。この状態が
いわゆる隔年結果(花)であり、この果樹園は平均より
も上ランクの果樹園である(平均約700トン/10ア
ールである)。
【0029】試験区2においては、第3年目から第5年
目まで連続3年間5月中旬に、試験区1と同様のステビ
ア粉末処理を続けることにより毎年着果させることがで
き、年毎に収量が向上し、第5年目には3.1トン/ア
ールのデコポンを収穫した。試験区3においては、第3
年目から試験区2と同様のステビア粉末処理を行った以
外に、第5年目は更に、粉末処理1月後にステビア醗酵
原液の2400倍希釈液を600リットル/アールの割
合で葉面に散布し、これと同一の作業を1週間間隔で合
計3回行った。試験区4は対照区であり、ステビア処理
を全く行わなかった以外は、試験区1〜3と同様の施肥
及び管理を行った。
【0030】7月16日に表土の一部を掘って根の状態
を観察しその結果を表2に示した。年末にデコポンを収
穫し、その重量を10アール当たりの重量に換算し、第
5年目収量として表2に併記した。更に、収穫後の根の
状態を観察して表2に併記した。根の状態の評価は、表
土を掘って根の一部を切り出し、緩やかな流水で細根を
傷つけないように丁寧に洗浄し、細根の状態を次の評価
基準で評価し、一部を写真撮影した。 ◎ …… 根の先端が白く透き通ったパイオニールート
と評される細根が多数密生し、絡まり合っている。 ○ …… 細根が多数発生している。 △ …… 細根が充分ではないが、着果できる程度に発
生している。 × …… 細根が萎縮し、着果が見込めない。
【0031】
【表2】
【0032】表2から明らかなように、ステビア粉末に
は顕著な醗酵作用が認められ、ステビア処理の結果、デ
コポンの収量を飛躍的に増加させることができた。更
に、葉の発芽状態、展葉状態、葉厚、葉色が顕著に優
れ、奇形果率が極端に減少する効果が認められた。デコ
ポンを筆頭として柑橘類は特に根張りの悪い種類である
ため、デコポンの根張りを顕著に促進するステビア粉末
は少量使用して多くの植物の発根を改良できる。
【0033】
【発明の効果】成熟したステビアの茎を微粉砕物を用い
る本発明により、農作物の日持ちが改良され、果樹にお
いては落果が防止され、発根が促進され、施肥過多によ
る植物の発育障害が改善され、土壌中の植物有害微生物
に対する抵抗性を増進し、農作物の連作障害を防止して
農業の発展に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はステビア原草の葉、茎及び緑茶の抗酸化
活性を示すグラフである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有することを特徴とする植物の生理活性物質。
  2. 【請求項2】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有することを特徴とする農作物の日持ち増進剤。
  3. 【請求項3】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有する、農作物の日持ち増進剤を、ステビアの植物
    組織の微粉砕物として1〜20g/m2 の割合で、農作
    物を育成している土壌に1回以上散布することを特徴と
    する農作物の日持ち増進方法。
  4. 【請求項4】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有することを特徴とする果実の落下防止剤。
  5. 【請求項5】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有する果実の落下防止剤を、ステビアの植物組織の
    微粉砕物として1〜20g/m2 の割合で、果樹が生育
    している土壌に1回以上散布することを特徴とする果実
    の落下防止方法。
  6. 【請求項6】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有することを特徴とする土壌中の微生物叢を正常に
    維持する薬剤。
  7. 【請求項7】 乾燥したステビアの植物組織の微粉砕物
    を含有する果実の落下防止剤を、ステビアの植物組織の
    微粉砕物として1〜20g/m2 の割合で、農作物を育
    成している土壌に1回以上散布することを特徴とする土
    壌中の微生物叢を正常に維持する方法。
  8. 【請求項8】 乾燥したステビアの植物組織の微粉末を
    含有することを特徴とする植物の発根剤。
  9. 【請求項9】 乾燥したステビアの植物組織の微粉末を
    10アール当たり1〜20kgの割合で土壌に施すこと
    を特徴とする植物の発根方法。
  10. 【請求項10】 乾燥したステビアの植物組織の煮沸抽
    出液を醗酵させてなるステビア醗酵液を葉面或いは土壌
    に散布することを特徴とする請求項9記載の植物の発根
    方法。
  11. 【請求項11】 乾燥したステビアの植物組織の微粉末
    を含有することを特徴とする農作物の連作障害防止剤。
JP10233468A 1998-08-06 1998-08-06 植物の生理活性物質及びその使用方法 Pending JP2000053517A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005093042A1 (ja) * 2004-03-25 2005-10-06 B & L Corporation 新規好熱菌及びこれを含有する土壌配合材
JP2006056761A (ja) * 2004-08-23 2006-03-02 Jbb Agri System:Kk 茶の品質向上用肥料、それを用いた茶の生産方法及び茶のテアニン含有量向上方法、並びに茶の品質向上用肥料キット
JP2006527239A (ja) * 2003-06-10 2006-11-30 エス.オー.エフ.テ エスアーアールエル 植物の病原体の処理のためのフェネグリートすなわち学名トリゴネラフォエナムグラエカム(Trigonellafoenum−graecum)の抽出物由来の誘導物質、前記物質の使用ならびに製造方法
CN115399342A (zh) * 2022-08-02 2022-11-29 漳州市农业科学研究所 一种番石榴生根剂及番石榴扦插育苗的方法
CN115399342B (zh) * 2022-08-02 2024-05-14 漳州市农业科学研究所 一种番石榴生根剂及番石榴扦插育苗的方法

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