JP2000046452A - 低温容器 - Google Patents

低温容器

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JP2000046452A
JP2000046452A JP10217684A JP21768498A JP2000046452A JP 2000046452 A JP2000046452 A JP 2000046452A JP 10217684 A JP10217684 A JP 10217684A JP 21768498 A JP21768498 A JP 21768498A JP 2000046452 A JP2000046452 A JP 2000046452A
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Takeo Nemoto
武夫 根本
Norihide Saho
典英 佐保
Masahiro Tomita
正弘 富田
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被冷却体を予め決められた温度に初期の段階
で速やかに冷却できる。 【解決手段】 寒剤容器1内に寒剤容器1の底板と平行
に隔壁板21を設けて寒剤容器1内部の下部を囲い、下
部半密閉室12を形成する。隔壁板21には、トランス
ファチューブ22からの寒剤1aが下部半密閉室12に
流れるように注入孔21aを設ける。隔壁板の縁21b
に沿って立上筒25aまたは立下筒25bを設け、寒剤
容器の内壁1bとの間に一定の間隙を有する流通路14
を設ける。寒剤容器1の底面には高熱伝導率の均熱板2
0を密着し、寒剤容器1の底部の熱交換効率を高くす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、寒剤によって冷却
される被冷却体を冷却する低温容器に係り、特に、電子
顕微鏡の試料を極低温に冷却し観察するときに使用され
る電子顕微鏡の低温容器および試料台の周りをブレード
によって冷却し汚染ガスを吸着する電子顕微鏡のアンチ
コンタミネータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、母材表面を観察するために使用さ
れていた電子顕微鏡は、最近、高温超伝導の発見が引き
金となって低温状態で母材の観察が行われるようになっ
てきている。このため、試料を冷却するホルダーの開発
も進められてきている。
【0003】また、最近では、細胞の構造を解析するた
めに、透過型電子顕微鏡を用いて細胞の試料を極低温ま
で冷却した状態で観察するようになってきた。この従来
の技術として、〔MULITIPLE SPECIMEN CRYOTRANSFER HO
LDER FOR ELECTORON MICROSCOPES〕US Patent Number
4,797,261と〔SPECIMEN COOLING HOLDER FOR ENTRY TRA
NMISSION ELECTRON MICROSCPES〕US Patent Number 4,9
50,901に記述されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、電子顕微鏡で試
料を冷却する際には、高熱伝導体の試料台と寒剤容器と
を高熱伝導体で熱的に連結する構成を取っていた。ま
た、寒剤として、液体窒素(約−200℃)を使用して
いた。このときの問題は、試料の温度が液体ヘリウム温
度より高く、使用者の希望とする温度(−269℃)を
十分満足するものではなかった。
【0005】従って、電子顕微鏡の試料を液体窒素温度
より低い液体ヘリウム温度に冷却できる装置の開発が望
まれる。従来の低温容器は伝導型冷却であり、この伝導
型冷却は、伝導体の熱伝導特性が特に重要となる。高熱
伝導体の材質として一般的なものは銅である。しかし、
銅は−260℃程度の極低温では、熱伝導率が室温時よ
り低下してしまう。また、電子顕微鏡のほぼ中心部に設
置する試料台と寒剤容器の距離は、構成上長くならざる
を得ない。従って、試料台への少ない熱量で寒剤の沸点
と試料台との温度差が大きくなってしまう欠点が生じ
る。
【0006】また、試料台を冷却するために、寒剤容器
から熱交換器へ寒剤液を直接供給する技術がある。この
技術の問題として、特に、寒剤として液体ヘリウムを使
用した場合、試料台を室温から−269℃の極低温に冷
却するための冷却時間(予冷時間)が長くなる。
【0007】本発明の課題は、被冷却体を予め決められ
た温度に初期の段階で速やかに冷却し、作業効率を上げ
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、寒剤を注入する寒剤容器と、前記寒剤によっ
て冷却される被冷却体を冷却する熱交換器と、前記寒剤
容器から前記熱交換器に前記寒剤を供給し該熱交換器か
ら前記寒剤を排出する寒剤流通管と、該寒剤を排出する
寒剤流通管に設けられ前記寒剤を排出する寒剤排出手段
とを有する低温容器において、前記寒剤容器内部の一部
空間を囲い前記寒剤を注入する注入孔を設ける隔壁を備
え、前記一部空間から該寒剤容器内部の残りの空間に前
記寒剤を流通させる流通路を形成してなることである。
【0009】隔壁は、寒剤を注入する注入孔が設けられ
るので、この注入孔から寒剤を注入することができる。
隔壁は、寒剤容器内部の一部空間を囲うので、この一部
空間に寒剤を注入することにより注入した寒剤の一部は
即座に気化するが、一部空間は寒剤容器の内部全体の空
間または寒剤容器の残りの空間に比べ小さいので短時間
のうちに寒剤で満たされ、初期冷却時間を短くする。一
部空間は、流通路によって寒剤容器内部の残りの空間に
通じるので、注入される寒剤は、一部空間を満たした
後、残りの空間を満たす。ここで、低温容器は、寒剤容
器と被冷却体を冷却する熱交換器との間および熱交換器
の排出側に寒剤流通管を有し、かつ熱交換器の排出側の
寒剤流通管に寒剤を排出する寒剤排出手段を有するの
で、一部空間の寒剤は、寒剤排出手段によって吸引さ
れ、熱交換器に供給される。被冷却体は、この熱交換器
によって冷却され、寒剤のガスは低温容器外部に排出さ
れる。
【0010】さらに、前記隔壁の注入孔に前記寒剤を注
入する抜き差し可能な抜き差し管の先端に連結または密
着する受筒を設けてなることである。隔壁の注入孔に受
筒を設けることにより、抜き差し管を寒剤容器に差し入
れると、その先端は容易に受筒に連結または密着し寒剤
を確実に注入することができる。注入が終了した際は、
抜き差し管を抜き、密閉する。
【0011】さらに、前記隔壁は、前記寒剤容器の内壁
とともに前記一部空間を囲い、前記流通路は、前記隔壁
の縁および該隔壁の縁に前記寒剤容器の内壁に沿って立
ち上がる立上筒と前記寒剤容器の内壁との間隙、または
前記隔壁の縁および該隔壁の縁に前記寒剤容器の内壁に
沿って立ち下がる立下筒と前記寒剤容器の内壁との間隙
によって形成されてなることである。隔壁の縁および立
上筒と寒剤容器の内壁との隙間、または隔壁の縁および
立下筒と寒剤容器の内壁との隙間により流通路が形成さ
れることにより、寒剤容器の一部空間に注入される寒剤
は、この流通路に沿って蒸発して高速で流れる。寒剤容
器の内壁に沿って立ち上がる立上筒は、寒剤容器の上方
からの伝導熱を寒剤の蒸発により速やかに吸収し冷却す
る。また、寒剤容器の内壁に沿って立ち下がる立下筒
は、寒剤容器の下方からの伝導熱を寒剤の蒸発により速
やかに吸収し冷却する。
【0012】さらに、前記隔壁は、該隔壁の注入孔に固
定されるとともに内側に前記寒剤を注入する抜き差し可
能な抜き差し管が挿入され、前記寒剤容器の上部を貫通
する筒に保持されてなることである。隔壁を筒によって
保持することにより、隔壁の保持構造および寒剤容器の
構造が簡単になり、部品点数を少なくできる。また、抜
き差し管の挿入も容易となる。
【0013】さらに、隔壁は、前記寒剤容器の内壁とと
もに前記一部空間を囲い、流通路は、前記隔壁の縁に沿
って設けられ前記一部空間から前記残りの空間に通ずる
複数の孔を設けて形成されてなることである。複数の孔
を隔壁の縁に沿って設け、この隔壁を寒剤容器の内壁に
固定して取り付けることにより、一部空間に注入される
寒剤は、複数の孔を通って残りの空間に流れる。また、
この構造は隔壁および流通路の形成が簡単にでき、上記
と同様に、部品点数を少なくできる。
【0014】そして、前記一部空間の底面に高熱伝導体
を設けてなることである。高熱伝導体を設けることによ
り、一部空間の底面全体が速やかに均一な温度になるの
で寒剤と高熱伝導体との温度差が大きくなり冷却時間を
短縮する。
【0015】また、観察すべき試料を設定する試料台を
冷却する電子顕微鏡の低温容器において、上記いずれか
に記載の低温容器を使用してなることである。上記いず
れかに記載の低温容器を使用する電子顕微鏡の低温容器
は、試料台を予め決められた温度に初期の段階で速やか
に冷却し、長時間にわたって試料を観察でき、電子顕微
鏡の作業効率を上げることができる。
【0016】また、観察すべき試料を設定する試料台の
周りを冷却し、汚染ガスを吸着する電子顕微鏡のアンチ
コンタミネータにおいて、上記いずれかに記載の低温容
器を使用し冷却してなることである。上記いずれかに記
載の低温容器を使用する電子顕微鏡のアンチコンタミネ
ータは、観察すべき試料を設定する試料台の周りを初期
の段階で速やかに冷却し、長時間にわたって汚れたガス
を吸着し、電子顕微鏡の作業効率を上げることができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る低温容器およ
びこれを使用してなる電子顕微鏡の低温容器並びに電子
顕微鏡のアンチコンタミネータの実施の形態を図面に基
づいて詳細に説明する。尚、図1〜6において、同一又
は同等部分には同一符号を付けて示す。 図1は、本発
明に係る低温容器の第1実施形態を示す断面図である。
第1実施形態の低温容器Hは、観察すべき試料を極低温
まで冷却して観察する電子顕微鏡の試料冷却ホルダーと
して使用される。寒剤容器1は、液体窒素または液体ヘ
リウム等の寒剤1aを注入し保持する容器である。この
寒剤容器1の外側には外部容器2が設置される。この外
部容器2は、内部を真空に保持して真空容器として使用
される。寒剤容器1は、大気圧で飽和温度が十分低い寒
剤1aを収納保持するため、寒剤容器1の外周面はアル
ミニュウムで蒸着される高分子膜で被覆され、輻射熱を
遮蔽している。
【0018】シールド3は、室温の外部容器2から寒剤
容器1に入射する輻射熱を遮蔽する。積層断熱材3a
は、シールド3に巻き付けられ、アルミニュウムを蒸着
した高分子膜を多重に積層したものである。寒剤流通管
としての冷却配管4は、寒剤容器1の底板から熱交換器
5に寒剤1aを供給するためのものである。熱交換器5
は、銅等の高熱伝導材料で形成され内部に寒剤が通るよ
うにU字形状の流路が設けられU字形状の流路の供給口
と排出口に冷却配管4が接続される。熱交換器5の排出
口に接続される冷却配管4は、シールド3および注液管
(筒)6が接合されるシールドネック3bに巻き付けら
れ、さらに外部容器2を貫通して寒剤排出手段である真
空ポンプ24に接続される。
【0019】注液管6は、抜き差し管としてのトランス
ファチューブ22を使用して寒剤1aを寒剤容器1に注
入するためのもので、寒剤が蒸発したガスを大気に放出
する配管の働きも兼ねている。シールドネック3bは、
寒剤容器1内部と熱交換器5で蒸発したガスの顕熱で冷
却されて室温と寒剤の温度の中間温度を示す。シールド
3は、シールドネック3bと接続されているのでシール
ド3の温度も上記中間温度を示す。熱交換器5には、ヒ
ータ7と温度センサー9が設けられている。被冷却体で
ある試料台8は、熱交換器5と熱的に結合されるが、熱
交換器5を兼ねて使用されても良い。コネクター48
は、温度センサー9およびヒータ7のリード線を外部容
器2の外に取り出すためのものである。
【0020】高熱伝導体としての均熱板20は、高熱伝
導特性を有する。隔壁としての隔壁板21は、寒剤容器
1の内部空間(または室)を下側の下部半密閉室(一部
空間)12と上側の上部半密閉室(残りの空間)13に
分割するためのもので、二つまたは三つ以上の支持体2
8を介して寒剤容器の底に固定される。隔壁板21の中
心には注入孔21aが設けられる。注入孔21aには受
筒23が固定され、受筒23は受け口23aを有し、そ
の受け口23aに液をデュワーから輸送するためのトラ
ンスファチューブ22の先端22aが連結または密着さ
れる。さらに、隔壁板21の円周縁21bには立上筒2
5aが寒剤容器1と同心状に設けられる。
【0021】次に、上記第1実施形態の低温容器Hの動
作につて説明する。
【0022】低温容器Hは、初期冷却時間を短くするこ
とが電子顕微鏡の作業効率を上げるうえで重要な項目の
一つとなっている。初期冷却時間を短くするための一つ
として寒剤をトランスファチューブ22から多量に流す
ことが考えられるが、無駄に寒剤を大気中に放出するの
で資源の浪費の点から見て好ましくない。本低温容器H
は、少ない液量で寒剤容器1、冷却配管4、そして試料
台8を低温にすることを目的としている。特に、ここで
は、隔壁板21と均熱板20で挟まれた下部半密閉室1
2に速く液を溜めることにある。
【0023】トランスファチューブ22から注入される
低温の寒剤液は、均熱板20に衝突する。図中の矢印
は、寒剤1aの流れの方向を表わす。ガスが衝突する均
熱板20の表面は、熱伝達特性の高い衝突噴流で冷却さ
れる。衝突噴流の熱伝達率は、流体が衝突する局所的な
部分については熱伝達が高く、そうでない部分について
は熱伝達が低下する特性がある。流体が衝突する面の材
質が低温容器として一般に利用されているステンレス鋼
のような低熱伝導率の材質では、衝突する部分のみが局
所的に低温になり、他の部分はその低温部の熱を受けて
徐々に冷却される。特に流体の衝突がない寒剤容器の底
面の端は熱が伝わりにくいので冷却速度は小さい。この
ため、寒剤容器1に寒剤液として溜まるまでの時間が長
くなる。
【0024】均熱板20は、上記問題を解消するもの
で、高熱伝導率を有する材質からなり、寒剤容器1の底
板に密着して接続されているので、寒剤容器1の底板の
隅々まで温度が均一になる。低熱伝導率の底板は、衝突
噴流にさらされている部分のみ温度が低下するのに対し
て、均熱板20を設ける場合は、寒剤容器1の底板全体
が均一の平均温度になる。このため低熱伝導率の底板を
設ける場合の衝突噴流にさらされている部分の底板温度
より高く、かつ低熱伝導率の底板の衝突噴流にさらされ
ていない部分の底板温度より低い。このため、同じ寒剤
の流量が流れる場合、寒剤と底板との温度差が均熱板2
0を設置する方が大きくなるので冷却熱量が大きくな
り、底板を冷却する時間は短くなる。
【0025】隔壁板21は、寒剤容器1の内部空間
(室)を分割することおよび隔壁板21の外周縁21b
と寒剤容器1の側壁(または内壁)で形成される流通路
(隙間)14から流れ出る流体の流速を高める働きがあ
る。隔壁板21で分割される下部半密閉室12は、トラ
ンスファチューブ22から注入される寒剤によって冷却
される。さらに、寒剤容器1の側壁と隔壁板21の外周
縁21bに沿って立ち上がった立上筒25aで形成され
る流通路14の断面積は、寒剤容器1の底の面積の1/
5以下に小さくすることにより低温の蒸発ガスの流速を
約5倍以上に大きくできる。このため、寒剤容器1の側
面上部からの伝導熱は高速の蒸発ガスで吸収できるた
め、少ない液体ヘリウム量でも隔壁板21の下部半密閉
室12は、隔壁板21がないときに比べ寒剤液が溜まり
やすくなる。なお、下部半密閉室12で蒸発する寒剤
は、流通路14から上部半密閉室13に流れ、さらに、
トランスファチューブ22と注液管6の間を通り隙間1
1に至り系外に排出される。
【0026】真空ポンプ24は、初期冷却中に使用さ
れ、寒剤容器1の底に取り付けられる冷却配管4から低
温の寒剤1a(ガスおよび液)を熱交換器5に供給し、
熱交換器5から排出する寒剤1aを吸引する。そして、
熱交換器5に連結される試料台8を速く低温にするのが
この低温容器Hの目的であるので、寒剤容器1に寒剤1
aを速く溜めることができれば、この真空ポンプ24の
働き(吸引力)によって、低温の寒剤1aは熱交換器5
に供給される。従って、試料台8の温度は、熱交換器5
と同様に急速に冷却される。
【0027】熱交換器5は、寒剤1aが供給される場
合、伝導冷却より十分高い熱伝達特性をもつ寒剤1aの
沸騰熱伝達により冷却されるので、高速に冷却される。
しかしながら、予冷時間の間は、先ず、寒剤容器1を冷
却するときに生じる蒸発するガスが熱交換器5を通る。
このため、熱交換器5の温度は、蒸発するガスの温度に
依存する。最も速く試料台8を冷却するには寒剤1aを
最も低い温度の液の状態で熱交換器5に供給することが
重要になる。なお、寒剤1aが寒剤容器1に一杯に溜ま
ればトランスファチューブ22と真空ポンプ24は取り
除かれる。
【0028】図2は、第2実施形態の要部を示す断面図
である。第2実施形態の低温容器は、第1実施形態(図
1)の立上筒25aに替えて立下筒25bを隔壁板21
の縁21bより下方に設置する。第1実施形態の低温容
器では、隔壁板21より上部の伝導熱を取り去るため
に、立上筒25aを隔壁板21から上に取り付けるが、
第2実施形態の低温容器は、立下筒25bを隔壁板21
から下に取り付けることで、立下筒25bと寒剤容器の
内壁1bで形成される流通路(隙間)を狭くできる。こ
のため、この流通路の寒剤(液またはガス)の流速を大
きくできるので、均熱板20を冷却する効果が働き、第
1実施形態の場合以上に速く寒剤(液)を溜めることが
可能となる。さらに、立下筒25bの位置が図1より下
方にあるので、外側(室温)から下部半密閉室12への
伝導熱は小さくなり冷却速度は大きくなる。
【0029】図3は、第3実施形態を示す断面図であ
る。図4は、図3の要部を示す断面図である。図1の第
1実施形態と同様に、低温容器Hを試料冷却ホルダーに
適用したものである。第3実施形態の低温容器Hは、筒
としての注液管6を寒剤容器1の内部まで延長し、その
注液管6の先端部に隔壁板21を固定して取り付ける。
図4に示すように、寒剤容器1内の上側に位置する注液
管6に孔26を設ける。孔26は、蒸発したガスを大気
中に放出するための通気口の働きをする。図3に示す矢
印は、寒剤(液またはガス)1aの流れ方向を示してお
り、トランスファーチューブ22から注入される寒剤1
aは、下部半密閉室12を満たし、ついで流通路14
(図4に表示)を通過し、孔26からトランスファーチ
ューブ22と注液管6の間隙を通り外部容器2の外側へ
排出される。図3では、延長した注液管6が図1の受け
口23aと隔壁板21の支持の働きを兼ねる。第3実施
形態の低温容器Hは、隔壁板21の支持を注液管6を利
用して支持する簡単な構造であり、少ない部品点数で下
部半密閉室12を形成でき、図1と同様に短時間に液を
溜めることができるので冷却時間を短縮することができ
る。
【0030】図5は、第4実施形態を示し、(A)は要
部の断面図、(B)は(A)の隔壁板の平面図である。
第4実施形態の低温容器における隔壁板21は、円形板
の外周縁21bに沿って複数の孔26を設け、この円形
板を寒剤容器1の内壁1bに固定することにより隔壁板
21を簡単に設けることができ、先の第1〜第3実施形
態と同様に短時間に液を溜め、冷却時間を短縮すること
ができる。
【0031】図6は、第1実施形態の低温容器を電子顕
微鏡のアンチコンタミネータに使用する実施形態の断面
図である。アンチコンタミネータCは、透過型電子顕微
鏡の試料台近傍の汚れたガスを吸着して、外乱のないき
れいな像を得るためのものである。このガス吸着は、物
体の表面を低温にすることで物理吸着が発生することを
利用している。この吸着特性は、低温にするほど高くな
る。符号50は対物レンズ用のボールピースで、低温ブ
レード51はガスを吸着する。図1における試料台8を
低温ブレード51に置き換えたものである。アンチコン
タミネータCの低温ブレード51を速やかに冷却し、低
温に長時間保持できることは、先に説明した第1〜第4
実施形態の低温容器の試料台を冷却する場合と全く同様
である。
【0032】
【発明の効果】本発明の低温容器によれば、被冷却体を
予め決められた温度に初期の段階で速やかに冷却し、か
つ予め決められた温度に長時間保持できる。
【0033】また、本発明の電子顕微鏡の低温容器によ
れば、上記低温容器を使用することにより、初期冷却時
間を短縮し長時間にわたって試料を観察でき、電子顕微
鏡の作業効率を上げることができる。
【0034】また、本発明の電子顕微鏡のアンチコンタ
ミネータによれば、上記低温容器を使用することによ
り、初期冷却時間を短縮し長時間にわたって汚れたガス
を吸着し、電子顕微鏡の作業効率を上げることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低温容器の第1実施形態を示す断
面図である。
【図2】第2実施形態の要部を示す断面図である。
【図3】第3実施形態を示す断面図である。
【図4】図3の要部を示す断面図である。
【図5】第4実施形態を示し、(A)は要部の断面図、
(B)は(A)の隔壁板の平面図である。
【図6】第1実施形態の低温容器を電子顕微鏡のアンチ
コンタミネータに使用する実施形態の断面図である。
【符号の説明】
H 低温容器 C アンチコンタミネータ 1 寒剤容器 1a 寒剤 1b 内壁 4 冷却配管(寒剤流通管) 5 熱交換器 6 注液管(筒) 8 試料台(被冷却体) 12 下部半密閉室(一部空間) 13 上部半密閉室(残りの空間) 14 流通路 20 均熱板(高熱伝導体) 21 隔壁板(隔壁) 21a 注入孔 21b 縁 22 トランスファーチューブ(抜き差し管) 22a 先端 23 受筒 24 真空ポンプ(寒剤排出手段) 25a 立上筒 25b 立下筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 富田 正弘 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地株式 会社日立製作所計測器事業部内 Fターム(参考) 3L044 AA04 BA05 CA17 DB03 FA04 FA08 FA10 HA01 JA01 KA04 5C033 KK09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 寒剤を注入する寒剤容器と、前記寒剤に
    よって冷却される被冷却体を冷却する熱交換器と、前記
    寒剤容器から前記熱交換器に前記寒剤を供給し該熱交換
    器から前記寒剤を排出する寒剤流通管と、該寒剤を排出
    する寒剤流通管に設けられ前記寒剤を排出する寒剤排出
    手段とを有する低温容器において、前記寒剤容器内部の
    一部空間を囲い前記寒剤を注入する注入孔を設ける隔壁
    を備え、前記一部空間から該寒剤容器内部の残りの空間
    に前記寒剤を流通させる流通路を形成してなる低温容
    器。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記隔壁の注入孔に
    前記寒剤を注入する抜き差し可能な抜き差し管の先端に
    連結または密着する受筒を設けてなる低温容器。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記隔壁
    は、前記寒剤容器の内壁とともに前記一部空間を囲い、
    前記流通路は、前記隔壁の縁および該隔壁の縁に前記寒
    剤容器の内壁に沿って立ち上がる立上筒と前記寒剤容器
    の内壁との間隙、または前記隔壁の縁および該隔壁の縁
    に前記寒剤容器の内壁に沿って立ち下がる立下筒と前記
    寒剤容器の内壁との間隙によって形成されてなる低温容
    器。
  4. 【請求項4】 請求項1または3において、前記隔壁
    は、該隔壁の注入孔に固定されるとともに内側に前記寒
    剤を注入する抜き差し可能な抜き差し管が挿入され、前
    記寒剤容器の上部を貫通する筒に保持されてなる低温容
    器。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記隔壁は、前記寒
    剤容器の内壁とともに前記一部空間を囲い、前記流通路
    は、前記隔壁の縁に沿って設けられ前記一部空間から前
    記残りの空間に通ずる複数の孔を設けて形成されてなる
    低温容器。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかにおいて、
    前記一部空間の底面に高熱伝導体を設けてなる低温容
    器。
  7. 【請求項7】 観察すべき試料を設定する試料台を冷却
    する電子顕微鏡の低温容器において、請求項1ないし6
    のいずれかに記載の低温容器を使用してなる電子顕微鏡
    の低温容器。
  8. 【請求項8】 観察すべき試料を設定する試料台の周り
    を冷却し、汚染ガスを吸着する電子顕微鏡のアンチコン
    タミネータにおいて、請求項1ないし6のいずれかに記
    載の低温容器を使用し冷却してなる電子顕微鏡のアンチ
    コンタミネータ。
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