JP2000019192A - 航走体放射雑音からのドップラ周波数検出による航走体速度検出装置及びその方法 - Google Patents

航走体放射雑音からのドップラ周波数検出による航走体速度検出装置及びその方法

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JP2000019192A JP19021298A JP19021298A JP2000019192A JP 2000019192 A JP2000019192 A JP 2000019192A JP 19021298 A JP19021298 A JP 19021298A JP 19021298 A JP19021298 A JP 19021298A JP 2000019192 A JP2000019192 A JP 2000019192A
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晴和 里見
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祐司 野澤
Hiroshi Kajiwara
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 船体音響信号から航走体の速度を検出する。 【解決手段】 音響信号受波器1の船体音響信号を周波
数分析し、所定周波数帯域のスペクトラムラインの周波
数−パワースペクトラムからローファーグラムを作成す
るローファーグラム作成手段4と、ローファーグラム作
成中にエネルギーが最大となるスペクトラムラインの時
間T0 を検出する最大エネルギー発生時間検出手段5
と、パワーレベル極大値の連続性からドップラ現象発生
の極大値列を検出するパワーレベル極大値列検出手段6
と、所定刻みの時間t0 、航走体の針路方向までの所定
刻みの垂直距離Ru 及び航走体の所定刻みの速度Vt
各変数値を基に、理論ドップラ周波数値を計算するドッ
プラ周波数理論値計算手段9と、実測値と理論値とか
ら、その残差二乗和を演算する残差二乗和演算手段11
と、その最小値を求め、そのとき入力した理論値速度V
t を出力する残差二乗和最小値検出手段12とを備えて
構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、航走体が発生させ
た水中(海中を含む)を伝わる航走体放射雑音、すなわ
ち船体音響信号からその航走体固有の雑音信号について
のドップラ周波数を捕らえ、当該ドップラ周波数を基に
航走体の速度を検出するようにした航走体放射雑音から
のドップラ周波数検出による航走体速度検出装置及びそ
の方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の航走体が発生させる船体音響信号
を受信し、その音響信号から航走体の速度を検出する装
置は、航走体から発する予め周波数が既知のピンガ音の
ドップラ現象を捕らえ、これから当該航走体の速度を検
出するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ような予め周波数が既知のピンガ音を発する航走体の速
度を検出するのではなく、全く未知の航走体が発生させ
た水中を伝わる航走体放射雑音、すなわち船体音響信号
からその航走体の速度を検出することが望まれる場合が
ある。例えば、出願人が先に提案した特願平9−350
592号に記載の如く、何らかの方法で航走体の速度を
検出することが切に望まれている。
【0004】ところで、水上或いは水中を航行する船体
の雑音源は、機械雑音、プロペラ雑音そして流体力学的
雑音からなっている。例えば図11は船体が発生させる
船体音響信号の一例の周波数−パワースペクトラム解析
図を示しており、○印のイはプロペラに起因するプロペ
ラ雑音のもの、○印のロはエンジンに起因する機械雑音
のもの、○印のハは冷凍機やクーラに起因する機械雑音
のもの等である。
【0005】雑音が機械雑音やプロペラ雑音で構成さ
れ、エンジン、減速機、発電機、各種のポンプ等の回転
ムラが原因となって発生する機械雑音は、船の速度が変
化すると音圧や周波数が変わることや、プロペラ雑音は
キャビテーションによるものとプロペラの振動特性によ
るものとがあり、キャビテーション雑音は連続周波数成
分スペクトラムとなり、航走深度が浅く、速度が増すほ
ど音圧レベルが大きくなるのに対し、プロペラの形状と
材質によって定まる振動特性に起因する雑音は、特定周
波数成分スペクトラムを持ち、プロペラの回転数が増減
しても、周波数分布は変化しないことなどの既知事項に
加え、その周波数スペクトラム分布が船種によりほぼ一
定していること、そして航走速度の増減による雑音源の
変化は、雑音源音圧の増減として現れ、周波数スペクト
ラム分布における幾つかの極大値のパワースペクトラム
の増減を生じること、しかしながら周波数スペクトラム
分布における、各種雑音の周波数帯域は変化しないこと
を実験によって確認した。
【0006】本発明は、これらの事実に着目し、そして
上記の要望に鑑みなされたものであり、航走体が発生さ
せる放射雑音から、上記ピンガ音に相当する固有の周波
数を見つけ出す共に、当該固有の周波数が引き起こすド
ップラ現象を見つけ、このドップラ現象から航走体の速
度を検出するようにした航走体放射雑音からのドップラ
周波数検出による航走体速度検出装置及びその方法を提
供することを目的としている。
【0007】
【原理】水面上又は水面下を航走する航走体の固有周波
数についてのドップラ現象と航走体速度との関係は、Ja
ck R Williams : 「 A Nomogram for VELOCITY AND RAN
GE DETERMINATION FROM ACOUSTIC DOPPLER 」, INTERS
TATE ELECTRONICS CORPORATION , November 1970から数
1によって表される。
【0008】
【数1】f=〔(VP +VW −VH )/(VP +VW
t )〕f0 ここで f : 計測周波数 VP : 水中音波伝播速度 VW : 音響センサを中心とする円の半径方向水速度 VH : 音響センサを中心とする円の半径方向目標航走
体速度 Vt : 目標航走体の移動速度 f0 : 音源周波数 また
【0009】
【数2】fD =(f2 −f1 )/2=f−f0 ここで fD : ドップラ周波数 f2 : 上限ドップラ周波数 f1 : 下限ドップラ周波数 数1と数2とから
【0010】
【数3】fD =f0 〔(VP +VW −VH )/(VP
W −Vt )−1〕 ここで、音響センサを中心とする円の半径方向水速度V
W と音響センサを中心とする円の半径方向目標航走体速
度VH とは、共に音響センサが静止しているものとし
て、VW =VH =0とすると、数3は
【0011】
【数4】fD =f0 〔VP /(VP −Vt )−1〕=f
0 ・Vt /(VP −Vt ) ここで、一般にVP ≫Vt であるから
【0012】
【数5】 fD =f0 ・Vt /(VP −Vt )≒f0 ・Vt /VP 数5と数2とから
【0013】
【数6】 Vt =fD ・VP /f0 =VP (f2 −f1 )/2f0 ここで、(f2 −f1 )≪f0 であり、そして水中音波
伝播速度VP =1500m/sを数6に代入すると
【0014】
【数7】Vt =1500(f2 −f1 )/2f0 =75
0(f2 −f1 )/f0 また数4から
【0015】
【数8】fD =f0 ・Vr /(VP −Vr ) ここで Vr : 音響センサを中心とする円の半径方向の目標航
走体速度 数8から
【0016】
【数9】Vr =fD ・VP /(fD +f0 ) 数9を時間tで微分すると
【0017】
【数10】dVr /dt=(f0 ・VP ・dfD /d
t)/(fD +f0 2 ここで、最接近距離Ru (CPA)におけるドップラの
変化率dfD /dt(Hz/sec)を求める。
【0018】図9に時間tにおける半径方向と正接方向
の速度成分を示す。図9より
【0019】
【数11】Vr =Vt sinθ 数11を時間tで微分すると
【0020】
【数12】dVr /dt=Vt (dθ/dt)cosθ
+(dVt /dt)sinθ
【0021】
【数13】dVr /dt=Vt (dθ/dt)cosθ ここで、Ru を最接近距離、Vt =0、t0 =0とする
と、図9から
【0022】
【数14】θ=tan-1(Vt ・t/Ru ) 数14を時間tで微分すると
【0023】
【数15】dθ/dt=〔1+(Vt ・t/Ru 2
-1(Vt ・t/Ru
【0024】
【数16】Vr =Vt 2 cosθ/(Ru 〔1+(Vt
・t/Ru 2 2 〕)
【0025】
【数17】 Ru =Vt 2 (fD +f0 2 /(f0 ・VP ・fD ) ここで、t=0、θ=0とおき、VP ≫Vr 、f0 ≫f
D だから
【0026】
【数18】Ru =Vt 2 ・fD /(VP ・fD ) となる。
【0027】また音響センサを横切る航走体の速度とド
ップラ周波数の関係を説明するに当たり、図9のドップ
ラ効果による航走体の速度及び最接近距離(CPA)の
関係説明図において、 O : 音響センサの位置 a : 最接近距離の位置 b : 航走体の現在位置 f : 計測周波数 f2 : 上限ドップラ周波数 f1 : 下限ドップラ周波数 Ru : 最接近距離 VP : 水中音波伝播速度(1500m/s) Vt : 航走体の速度 Vr : 音響センサを中心とする円の半径方向の航走体
の速度 fD : ドップラ周波数 f0 : 音源周波数 とすると、数19が成り立つ。
【0028】
【数19】fD =(f2 −f1 )/2=f−f0 ここで数19と数8とから
【0029】
【数20】f =f0 ・VP /(VP −Vr ) 図9から
【0030】
【数21】Ob=√〔Ru 2 +Vt 2 (t−t0 2
【0031】
【数22】 Vr =−d(Ob)/dt =−Vt 2 (t−t0 2 /√〔Ru 2 +Vt 2 (t−t0 2 〕 数20、数22より任意の時間での計測周波数fが算出
される。
【0032】特に、t=−∞のとき
【0033】
【数23】 Vr =Vt 、f=f0 ・VP /(VP −Vt )=f2 また、t=T0 のとき
【0034】
【数24】Vr =0、f=f0 また、t=∞のとき
【0035】
【数25】 Vr =−Vt 、f=f0 ・VP /(VP +Vt )=f1 ここで、実測値f2 からf0 を算出する。数23より
【0036】
【数26】f0 =f2 ・(VP −Vt )/VP となる。
【0037】数22、数26より、fはt、t0
u 、Vt の関数として与えられる。
【0038】
【課題を解決するための手段】上記の目的を解決するた
めに、本発明の航走体放射雑音からのドップラ周波数検
出による航走体速度検出装置は、航走体が発生させる船
体音響信号を受信し、その音響信号から航走体の速度を
求めるためのドップラ周波数検出を行い、ドップラ周波
数検出に基づいて航走体の航走速度を検出する航走体放
射雑音からのドップラ周波数検出による航走体速度検出
装置において、船体音響信号を受信する音響センサと、
音響センサが受信した音響信号を周波数分析するFFT
処理手段と、FFT処理手段で処理された周波数分析デ
ータを格納するメモリと、メモリから予め定められた所
定周波数帯域の周波数分析データを読み出し、この所定
周波数帯域の周波数分析データから各周波数に対するパ
ワーを計算し、このスペクトラムラインの周波数−パワ
ースペクトラムを生成すると共に、当該周波数−パワー
スペクトラムを時間S毎に生成し、ローファーグラムを
作成するローファーグラム作成手段と、ローファーグラ
ム作成手段のローファーグラム作成中にスペクトラムラ
イン毎のエネルギーを求め、そのエネルギーが最大とな
るスペクトラムラインの時間(時点)T0 を検出する最
大エネルギー発生時間検出手段と、上記エネルギーが最
大となる時間T0 のスペクトラムラインを基準に、それ
より前のN番目のスペクトラムラインないし当該スペク
トラムラインの次のスペクトラムラインについて、予め
定められた条件下で上記周波数−パワースペクトラムの
パワーレベル極大値の連続性を調べ、ドップラ現象発生
の極大値列を検出するパワーレベル極大値列検出手段
と、パワーレベル極大値列検出手段で検出された実測値
のドップラ周波数について、予め定められた所定刻みの
時間t0 、音響センサから航走体の針路方向までの所定
刻みの垂直距離Ru 及び航走体の所定刻みの速度Vt
所定分解能を満たす各変数値を基に、あるべきドップラ
周波数の理論値を計算するドップラ周波数理論値計算手
段と、上記パワーレベル極大値列検出手段が上記ドップ
ラ周波数の極大値列を検出したときの各スペクトラムラ
インの実測値とドップラ周波数理論値計算手段で計算さ
れたあるべきドップラ周波数の理論値とから、その残差
二乗和を演算する残差二乗和演算手段と、残差二乗和演
算手段が演算した残差二乗和からその最小値を求め、そ
のときの上記ドップラ周波数理論値計算手段に入力され
た上記航走体の速度Vt の変数値を出力する残差二乗和
最小値検出手段とを備え、音響センサが受信した音響信
号から航走体の速度を検出するようにしたことを特徴と
している。
【0039】そして本発明の航走体放射雑音からのドッ
プラ周波数検出による航走体速度検出方法は、航走体が
発生させる船体音響信号を受信し、その音響信号から航
走体の速度を求めるためのドップラ周波数検出を行い、
ドップラ周波数検出に基づいて航走体の航走速度を検出
する航走体放射雑音からのドップラ周波数検出による航
走体速度検出方法において、音響センサが受信した音響
信号をFFT処理手段で周波数分析し、FFT処理手段
で周波数分析された予め定められた所定周波数帯域の周
波数分析データから各周波数に対するパワーを計算し、
このスペクトラムラインの周波数−パワースペクトラム
を生成すると共に、当該周波数−パワースペクトラムを
時間S毎に生成してローファーグラムを作成し、ローフ
ァーグラム作成中にスペクトラムライン毎のエネルギー
を求め、そのエネルギーが最大となるスペクトラムライ
ンの時間(時点)T0 を検出し、上記エネルギーが最大
となる時間T0 のスペクトラムラインを基準に、それよ
り前のN番目のスペクトラムラインないし当該スペクト
ラムラインの次のスペクトラムラインについて、予め定
められた条件を満足する上記周波数−パワースペクトラ
ムのパワーレベル極大値の連続性から、ドップラ現象発
生の極大値列を検出し、実測値のドップラ周波数につい
て、予め定められた所定刻みの時間t0 、音響センサか
ら航走体の針路方向までの所定刻みの垂直距離Ru 及び
航走体の所定刻みの速度Vt の所定分解能を満たす各変
数値を基に、あるべきドップラ周波数の理論値をドップ
ラ周波数理論値計算手段で計算し、上記ドップラ周波数
の極大値列を検出したときの各スペクトラムラインの実
測値とドップラ周波数理論値計算手段で計算されたある
べきドップラ周波数の理論値とから、残差二乗和演算手
段でその残差二乗和を演算し、残差二乗和演算手段が演
算した残差二乗和からその最小値を求め、そのときの上
記ドップラ周波数理論値計算手段に入力された上記航走
体の速度Vt の変数値を求め、音響センサが受信した音
響信号から航走体の速度を検出するようにしたことを特
徴としている。
【0040】最大エネルギー発生時間検出手段で、所定
周波数帯域についてのローファーグラム作成中に、エネ
ルギーが最大となるスペクトラムラインの時間(時点)
0が求められる。このスペクトラムラインの時間(時
点)T0 を基準に、予め定められた条件を満たす周波数
−パワースペクトラムのパワーレベル極大値が連続して
いる部分を検出し、ドップラ現象が生じていると推定さ
れるドップラ周波数が、パワーレベル極大値列検出手段
によって求められる。当該計測ドップラ周波数につい
て、予め定められた所定刻みの時間t0 、音響センサか
ら航走体の針路方向までの所定刻みの垂直距離Ru 及び
航走体の所定刻みの速度Vt の所定分解能を満たす各変
数値を基に、あるべきドップラ周波数の理論値がドップ
ラ周波数理論計算手段によって計算され、上記ドップラ
周波数の極大値列を検出したときの各スペクトラムライ
ンの実測値とドップラ周波数理論値計算手段で計算され
たあるべきドップラ周波数の理論値とから、残差二乗和
演算手段でその残差二乗和が演算される。残差二乗和最
小値検出手段がその残差二乗和の最小値を求めることに
より、そのときの上記ドップラ周波数理論値計算手段に
入力された上記航走体の速度Vt の変数値が求められ
る。
【0041】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係る航走体放射雑
音からのドップラ周波数検出による航走体速度検出装置
の一実施例構成を示している。
【0042】同図において、1は音響センサ、2はFF
T処理手段、3はメモリ、4はローファーグラム作成手
段、5は最大エネルギー発生時間検出手段、6はパワー
レベル極大値列検出手段、7,8はメモリ、9はドップ
ラ周波数理論値計算手段、10はメモリ、11は残差二
乗和演算手段、12は残差二乗和最小値検出手段を表し
ている。
【0043】音響センサ1は水面上又は水面下を航走す
る航走体の船体音響信号を検出するものであり、例えば
ハイドロフォン等である。FFT処理手段2は、音響セ
ンサ1で検出した図2図示の航走体の船体音響信号の時
間軸を周波数軸に変換処理するものである。
【0044】メモリ3はFFT処理手段2で処理された
航走体の船体音響信号の周波数分析データを格納するも
のである。ローファーグラム作成手段4は、メモリ3か
ら予め定められた所定周波数帯域の周波数分析データ
を、例えば低い周波数側から高い周波数の順に読み出
し、各周波数fに対するパワースペクトラムP(f)を
計算し、1スペクトラムラインについての周波数−パワ
ースペクトラムを生成する。そして時間S毎にこの様に
して1スペクトラムラインについての周波数−パワース
ペクトラムの生成を繰り返し、図3図示の如きローファ
ーグラムを作成するようになっている。このときパワー
スペクトラムP(f)のパワーレベルが予め定められた
大きさ、例えば最大パワーレベルの2%より小さい場合
は、パワースペクトラムP(f)=0と処理される。
【0045】最大エネルギー発生時間検出手段5は、ロ
ーファーグラム作成手段4で作成される図3に示された
ローファグラムの作成中に、所定周波数帯域についての
1スペクトラムライン毎の全エネルギーΣP(f)を求
め、そのエネルギーΣP(f)が最大となるスペクトラ
ムラインの時間(時点)T0 を検出する。そしてこのス
ペクトラムラインを図4に示されている様に、10c番
と番号付けをするようになっている。この時間T0 が、
音響センサ1に航走体が最も近づいている時間帯であ
る。
【0046】パワーレベル極大値列検出手段6は、最大
エネルギー発生時間検出手段5によって求められた時間
S毎の全エネルギーが最大となる時間T0 の10c番の
スペクトラムラインを基に、図4図示の如くそれより前
の10番目ないし(10c−1)番目、当該10c番及
び(10c+1)番目のスペクトラムラインを定め、図
4図示の如くこれらのスペクトラムラインにスペクトラ
ムライン番号を与え、これら0番ないし(10c+1)
番のスペクトラムラインに対し、図8に示された上限ド
ップラ周波数f2 =fciとなるパワーレベルP(fc
i)の極大値列fre(i)〔i=0〜(10c+1)〕
を、図3のローファーグラムから検索する。図3のロー
ファーグラムからの検索は、実用上(10c+1)番の
スペクトラムラインまでとする。
【0047】すなわちパワーレベル極大値列検出手段6
は、上記検索をするに当たって、ローファーグラム作成
手段4で作成されたローファーグラムを基に、時間S毎
のスペクトラムラインについてのパワーレベルP(f
c)とその周波数fcについて、次の条件を満たす組を
抽出する。
【0048】 (10c−1)番目、10c番目、
(10c+1)番目のいずれかのスペクトラムラインに
極大値がなくてはならない。すなわちドップラ現象が生
じている周波数の存否を見ている。
【0049】 隣り合うスペクトラムラインの極大周
波数の差が、航走の移動によって隣のスペクトラムライ
ンで生じる周波数のずれを表す増分上限値δf(ここで
は、例えばdfを周波数分解能としたとき、df<δf
<3df)を超えてはならない。すなわちドップラ現象
を引き起こしている当該周波数のものに属しているもの
であるかどうかを見ている。
【0050】 の増分上限値δfを超えた場合は、
データ欠損として次のスペクトラムラインに移る。この
ような処理を行うことにより、周波数−パワースペクト
ラムのパワーレベルの連続した極大値列からドップラ現
象を起こしているとされる周波数を検出することができ
る。
【0051】メモリ7は、パワーレベル極大値列検出手
段6が処理したドップラ現象を起こしていると探知した
1つのパワーレベル極大値列について、0番スペクトラ
ムラインのパワーレベル極大値の周波数f20(実測値)
を、図8に示された上限ドップラ周波数f2 と定め、こ
れを0番スペクトラムラインの時間S0 =T0 −10S
と関連付けて格納する。1番スペクトラムラインのパワ
ーレベル極大値の周波数f21(実測値)は、1番スペク
トラムラインの時間S1 =T0 −9Sと関連付けて格納
する。2番スペクトラムラインのパワーレベル極大値の
周波数f22(実測値)は、2番スペクトラムラインの時
間S2 =T0 −8Sと関連付けて、以下同様にして10
c番スペクトラムラインのパワーレベル極大値の周波数
210 (実測値)は、10c番スペクトラムラインの時
間S10=T0 −0S=T0 と関連付けて、(10c+
1)番スペクトラムラインのパワーレベル極大値の周波
数f 211 (実測値)は、(10c+1)番スペクトラム
ラインの時間S11=T0 +Sと関連付けて図6図示の如
く時間Xreに対しYreとして格納するようになってい
る。
【0052】メモリ8は、パワーレベル極大値列検出手
段6で得られた実測値の上限ドップラ周波数f2 を基
に、上述の理論方程式の数24、数28の式を数値解法
で解くため、例えば上記時間S毎のSが2秒、上記予め
定められた周波数帯域を0〜500Hzのとき、予め定
められた所定刻みの時間t0 、音響センサ1から航走体
の針路方向までの所定刻みの垂直距離Ru 及び航走体の
所定刻みの速度Vt の所望分解能を満たす各変数値とし
て、 t0 =−0.8秒,−0.6秒,−0.4秒,−0.2
秒,0,0.2秒,0.4秒,0.6秒,0.8秒 Ru =0〜100までの1m刻み Vt =0〜30までの1kt(ノット)刻み の変数値を予め格納しているものである。後に分解能を
説明する際詳しく説明するが、これらt0 、Ru 、Vt
の各値は分解能に応じて任意に設定されるもである。
【0053】ドップラ周波数理論値計算手段9は、メモ
リ7の時間0番ないし(10c+1)番のスペクトラム
ラインについてのXre=S0 ,S1 ,……,S10,S11
に対応して、メモリ8から上記t0 ,Ru ,Vt の各変
数値を総て組み合わせ、上限ドップラ周波数f2 を基に
して、理論方程式の数24、数28を数値解法で解き、
あるべき理論ドップラ周波数値fth(i)〔i=0〜1
0c+1〕を計算するようになっている。
【0054】メモリ10は、上記Xre=S0 ,S1 ,…
…,S10,S11についてドップラ周波数理論計算手段9
が計算した上記t0 ,Ru ,Vt の各変数値の総ての組
み合わせに係るあるべき理論ドップラ周波数値fthをY
thとして、上記0番ないし(10c+1)番のスペクト
ラムラインの時間Xre=S0 ,S1 ,……,S10,S 11
対応に、それぞれ9×100×30個の数値を、図7図
示の如く格納するようになっている。
【0055】残差二乗和演算手段11は、メモリ7に格
納されている実測値Yreと、ドップラ周波数理論計算手
段9が計算し、メモリ10に格納されている上限ドップ
ラ周波数f2 についての理論ドップラ周波数値fthのY
thとから残差二乗和Σ(Yre−Yth2 =WN を演算す
るようになっている。
【0056】残差二乗和最小値検出手段12は、残差二
乗和演算手段11が計算する残差二乗和Σ(Yre
th2 =WN の最小値を求め、そのときの上記ドップ
ラ周波数理論値計算手段9に入力された上記航走体の速
度Vt の変数値を出力するようになっている。
【0057】すなわち、ドップラ現象によるパワーレベ
ル極大値の連なりが最も密な実測値に最も近い理論上の
ドップラ曲線をヒッティングさせ、そのときのドップラ
曲線を作成する際入力された航走体の速度Vt の変数値
を航走体の速度として出力するよう構成されている。た
だしFFT処理手段2で決定される周波数分解能dfよ
りも高分解能で上記t0 ,Ru ,Vt の各変数値を用い
る。
【0058】このように構成されている図1の本発明の
航走体放射雑音からのドップラ周波数検出による航走体
速度検出装置及びその方法を次に説明する。水面上又は
水面下を航走する航走体の船体音響信号が、例えばハイ
ドロフォン等の音響センサ1で、図2に示されている如
く受信される。音響センサ1で受信された音響信号はA
/D変換器でディジタル化された上で、FFT処理手段
2に入力され周波数分析される。このFFT処理手段2
はディジタルで処理される従来の公知のものが用いられ
ており、その結果の周波数分析データがメモリ3に格納
される。ここではFFT処理手段2がディジタルのもの
で説明したが、音響センサ1で受信された音響信号をア
ナログのFFT処理手段2で処理し、ディジタル化して
当該メモリ3に格納するようになっていてもよい。
【0059】ローファーグラム作成手段4は、メモリ3
から予め定められた所定周波数帯域の周波数分析データ
を、低い周波数側から高い周波数の順に読み出し、各周
波数fに対するパワースペクトラムP(f)を計算し、
1スペクトラムラインについての周波数−パワースペク
トラムを生成する。そして時間S、例えば2秒毎に次の
スペクトラムラインについての周波数−パワースペクト
ラムの生成を繰り返し、図3に示されている如くローフ
ァーグラムを作成する。このとき上記説明の様に、パワ
ースペクトラムP(f)のパワーレベルが予め定められ
た最大パワーレベルの2%より小さい場合は、ローファ
ーグラム作成手段4はパワースペクトラムP(f)=0
にして処理する。
【0060】最大エネルギー発生時間検出手段5は、ロ
ーファーグラム作成手段4で作成される図3に示された
ローファグラムの作成中に、図4に示されている様に、
所定周波数帯域0〜500Hzについての1スペクトラ
ムライン毎の全エネルギーΣP(f)を求め、そのエネ
ルギーΣP(f)が最大となるスペクトラムラインの時
間(時点)T0 を検出する。そしてこのスペクトラムラ
インを図4図示の如く10c番と番号付けされる。
【0061】パワーレベル極大値列検出手段6は、最大
エネルギー発生時間検出手段5によって求められた時間
S毎の全エネルギーが最大となる時間T0 の10c番の
スペクトラムラインを基準に、図4図示の如くそれより
前の10番目ないし(10c−1)番目、当該10c番
及び(10c+1)番目のスペクトラムラインを定め、
図4図示の如くこれらのスペクトラムラインにスペクト
ラムライン番号を与える。これら0番ないし(10c+
1)番のスペクトラムラインに対し、図8に示された上
限ドップラ周波数f2 =fciとなるパワーレベルP
(fci)の極大値列fre(i)〔i=0〜(10c+
1)〕を、図3のローファーグラムから検索する。図3
のローファーグラムからの検索は、実用上(10c+
1)番のスペクトラムラインまでについて行われる。
【0062】すなわちパワーレベル極大値列検出手段6
は、上記検索をするに当たって、ローファーグラム作成
手段4で作成されたローファーグラムを基に、時間2秒
毎のスペクトラムラインについてのパワーレベルP(f
c)とその周波数fcについて、上記説明の如く、次の
条件を満たす組を抽出する。その条件を再度記載してお
く。
【0063】 (10c−1)番目、10c番目、
(10c+1)番目のいずれかのスペクトラムラインに
極大値がなくてはならない。 隣り合うスペクトラムラインの極大周波数の差が増
分上限値δf(ここでは、例えばdfを周波数分解能と
したとき、df<δf<3df)を超えてはならない。
【0064】 の増分上限値δfを超えた場合は、
データ欠損として次のスペクトラムラインに移る。 このような処理を行うことにより、図5に示された部分
拡大図の様に、周波数−パワースペクトラムのパワーレ
ベルの連続した極大値列から、ドップラ現象を起こして
いるとされる周波数を探知することができる。
【0065】このときパワーレベル極大値列検出手段6
は、処理したドップラ現象を起こしていると探知した1
つのパワーレベル極大値列について、0番スペクトラム
ラインのパワーレベル極大値の周波数f20(実測値)
を、図8に示された上限ドップラ周波数f2 と定め、こ
れを0番スペクトラムラインの時間S0 =T0 −10S
と関連付けて、メモリ7に記憶させる。また1番スペク
トラムラインのパワーレベル極大値の周波数f21(実測
値)は、1番スペクトラムラインの時間S1 =T 0 −9
Sと関連付けてメモリ7に記憶させる。また2番スペク
トラムラインのパワーレベル極大値の周波数f22(実測
値)は、2番スペクトラムラインの時間S 2 =T0 −8
Sと関連付けてメモリ7に記憶させる。以下同様にして
10c番スペクトラムラインのパワーレベル極大値の周
波数f210 (実測値)は、10c番スペクトラムライン
の時間S10=T0 −0S=T0 と関連付けて、(10c
+1)番スペクトラムラインのパワーレベル極大値の周
波数f211 (実測値)は、(10c+1)番スペクトラ
ムラインの時間S11=T0 +Sと関連付けて、図6図示
の如く時間Xreに対しYreとしてメモリ7に記憶させ
る。
【0066】メモリ8は、パワーレベル極大値列検出手
段6で得られた実測値の上限ドップラ周波数f2 、すな
わち実測値の周波数f20を基に、上述の理論方程式の数
24、数28の式を数値解法で解くため、上記説明の予
め定められた所定刻みの時間t0 、音響センサ1から航
走体の針路方向までの所定刻みの垂直距離Ru 及び航走
体の所定刻みの速度Vt の各変数値を格納している。或
いは図示されていない制御装置から入力されるようなっ
ている。
【0067】ここで、t0 ,Ru ,Vt は、FFT処理
手段2のサンプリング長のSが2秒、サンプリングレー
トが500μ秒、周波数帯域を0〜500Hzとしたの
ときの航走体検出速度が1kt(ノット)の分解能を有
する値である。すなわち、上記の各変数値を再度記載す
ると次の如くである。
【0068】t0 =−0.8秒,−0.6秒,−0.4
秒,−0.2秒,0,0.2秒,0.4秒,0.6秒,
0.8秒 Ru =0〜100までの1m刻み Vt =0〜30までの1kt刻み ドップラ周波数理論値計算手段9は、メモリ7の時間0
番ないし(10c+1)番のスペクトラムラインについ
てのXre=S0 ,S1 ,……,S10,S11に対応して、
メモリ8から上記t0 ,Ru ,Vt の各変数値を総て組
み合わせた9×100×30個の数値を用い、理論方程
式の数24、数28を数値解法で解き、あるべき理論ド
ップラ周波数値fth(i)〔i=0〜10c+1〕をそ
れぞれ計算し、その計算結果をメモリ10に記憶させ
る。すなわちメモリ10には、上記Xre=S0 ,S1
……,S10,S11についてドップラ周波数理論計算手段
9が計算した上記t0 ,Ru ,Vt の各変数値の総ての
組み合わせに係るあるべき理論ドップラ周波数値fth
thとして、上記0番ないし(10c+1)番のスペク
トラムラインの時間Xre=S0 ,S1 ,……,S10,S
11対応に、それぞれ9×100×30個の数値が、図7
図示の如く格納される。
【0069】残差二乗和演算手段11は、メモリ7に格
納されている各実測値Yreと、ドップラ周波数理論計算
手段9が計算し、メモリ10に格納されているYthの9
×100×30×12の各理論ドップラ周波数値fth
を用いて残差二乗和Σ(Yre−Yth2 =WN を演算
し、残差二乗和最小値検出手段12は、残差二乗和演算
手段11が計算した残差二乗和Σ(Yre−Yth2 =W
N の内の最小値を高速処理が可能な既知の手法を用いて
求め、そのときの上記ドップラ周波数理論値計算手段9
に入力された上記航走体の速度Vt の変数値を出力す
る。
【0070】すなわち、ドップラ現象によるパワーレベ
ル極大値の連なりが最も密な実測値に最も近い理論上の
ドップラ曲線をヒッティングさせ、そのときの誤差のな
い理論ドップラ曲線を作成する際入力された航走体の速
度Vt の変数値を残差二乗和最小値検出手段12は出力
する。
【0071】また、パワーレベル極大値列検出手段6に
よって、図5に示された周波数の他に、周波数−パワー
スペクトラムのパワーレベルの連続した極大値列から、
ドップラ現象を起こしているドップラ周波数があるとき
は、当該ドップラ周波数について、上記説明の動作が繰
り返され、同様に当該ドップラ周波数からも航走体の速
度Vt が求められことはいうまでもない。
【0072】このような速度処理を行うことにより、1
つの航走体について複数個の航走体速度Vt が求められ
得ることがあるが、当該航走体の検出航走体速度とし
て、このとき最も信頼できる上記説明のプロペラに起因
する航走体放射雑音からのドップラ周波数に基づく航走
体の速度Vt を採用する方法、或いは多数決により航走
体の速度Vt を決定する方法が用いられる。
【0073】ここで航走体の速度検出をするに当たっ
て、従来のFFT処理のドップラ周波数検出分解能と上
記説明の本発明を用いたときのドップラ周波数検出分解
能とを簡単に説明しておく。
【0074】周波数分解能dfは、df=1/(n2
A)〔Hz〕、n2 ≧N(S/A)で表される。ここで
2 はFFT処理に必要なデータ数、Nは分析データ
数、Aはデータ表示の平均間隔である。
【0075】FFT処理の分析間隔Sを、例えば2se
c、データ表示の平均間隔Aが500μsecの場合、
周波数分解能dfは0.5Hzとなる。ここで必要な航
走体の速度検出分解能を1kt(ノット)とすると、ド
ップラ現象を起こす航走体の固有周波数の信号、すなわ
ちパイロット信号が500Hzを使用する場合、数5か
らfD =f0 ・Vt /VP =500×0.514/15
00=0.17Hzとなる。従って分析間隔S、すなわ
ち分析時間S=1/0.17=5.88secとなる。
【0076】本発明の場合にも、分析間隔S、すなわち
分析時間Sをこの5.88secに近い6secに設定
して航走体の速度検出分解能を1ktとすることができ
るが、航走体が音響センサ1の直上を通過する時間に信
号を出力したいことが望まれる場合、この分析時間Sを
6secに設定していたのでは、航走体が音響センサ1
の直上を通過してしまった後に、所望の信号が出力され
役に立たないことが生じる。
【0077】そこで、航走体の速度検出分解能を1kt
を保持して、この分析時間Sを短縮するのが本発明の目
的の一つであり、その効果が奏せられるのである。すな
わち上述の如く、分析時間Sを2secとすると、デー
タ表示の平均間隔Aが500μsecとして、周波数分
解能df=0.5Hzとなる。
【0078】本発明の場合、ここで1Hzから500H
zの範囲内で、最大エネルギー時間発生検出手段5やパ
ワーレベル極大値列検出手段6などの一連の手段で、ド
ップラ現象を生じているパイロット信号を実測値から周
波数分解能dfの幅で探し出すようにしている。そのた
めの探し出す条件は、既に説明した様に、 (イ) 2secのエネルギーΣP(f)が最大となる
時間T0 のスペクトラムラインを10c番としたとき、
当該スペクトラムライン10c番と当該スペクトラムラ
イン10c番の前後のスペクトラムライン(10c−
1)番,(10c+1)番の3つのスペクトラムライン
(10c−1)番,10c番,(10c+1)番のいず
れかにパワーレベルの極大値が存在すること。 (ロ) 隣り合うスペクトラムラインの極大値周波数の
差が増分上限値δf(dfを周波数分解能としたとき、
df<δf<3df)を超えてはならない。 (ハ)(ロ)の増分上限値δfを超えた場合は、データ
欠損として次のスペクトラムラインに移る。 (ニ) 極大値周波数が検出された場合は、次のスペク
トラムライン(ti →t i-1 )に移る。
【0079】ここまでの処理により、検出されるパワー
レベルの極大値列実測値fre(i)とti とは、数組に
絞られる。そこで当該パワーレベルの極大値列実測値f
re(i)に対して、理論式からあるべきパワーレベルの
極大値列理論値fth(i)を算出する。そのとき理論値
を解くために代入する上述のt0 ,Ru ,Vt の各値は
上記周波数分解能dfの分解能より高精度にする。理論
式上の分解能をdf´とすると、例えば Vt :1〜30ktまで1kt刻み、このときdf´=
0.17Hz t0 :−0.8〜0〜0.8secまで0.2sec刻
み、t0 は縦軸だからdf´とは無関係 Ru :0〜100mまで1m刻み、1mの分解能があれ
ば十分な精度である場合 の如きである。
【0080】このようなt0 ,Ru ,Vt の各値を用い
れば、残差二乗和演算手段11と残差二乗和最小値検出
手段12とから求められる航走体の検出速度は1ktの
分解能を持つ。
【0081】なお、上記説明から分かるように、航走体
の検出速度の分解能を上げるには、t0 ,Ru ,Vt
各値を更に細かくとることにより、航走体の検出速度の
分解能を上げることができる。
【0082】図10は本発明のドップラ周波数検出分解
能説明図を示している。同図において、○は実測値、実
線(I)、破線(II)は、上記説明の理論ドップラ周
波数曲線、dfは従来の分解能、df´は理論式上の分
解能、δfは隣り合うスペクトラムラインの極大値周波
数の差の増分上限値を表している。そして時間t0 の○
の実測値は、上述の(イ)で確定するものである。
【0083】本発明は航走体の速度を検出することがで
きるので、港湾における船舶の速度監視に応用できる。
【0084】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、航
走体が発生させた水中を伝わる航走体放射雑音の船体音
響信号を、1個の音響センサで検出し、この1個の音響
センサで検出した音響信号からその航走体固有の雑音信
号についてのドップラ周波数を捕らえ、当該航走体固有
の周波数についての実際に計測されるドップラ周波数と
あるべき理論上のドップラ周波数とから、両者の残差二
乗和が最小となるカーブフィティング数理解析手法を用
い、すなわちドップラ現象によるパワーレベル極大値の
連なりが最も密な実測値に最も近い理論上のドップラ曲
線をヒッティングさせ、そのときのドップラ曲線を作成
する際入力された航走体の速度Vt の変数値を出力する
よう構成しているので、航走体の速度検出ができ、しか
も分解能を保持した上で、従来不可能であったFFT処
理手段の分析時間Sを短縮することができる。
【0085】従って、本発明に係る航走体放射雑音から
のドップラ周波数検出による航走体速度検出装置及びそ
の方法を備えた装置を予め水中に設置しておけば、当該
装置に対し、その接近してくる未知の航走体の速度を検
出でき、航走体が音響センサ1の直上を通過する時間に
信号を出力したいことが望まれる場合、航走体の音響セ
ンサ1の直上通過直後に当該出力信号を発生させること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る航走体放射雑音からのドップラ周
波数検出による航走体速度検出装置の一実施例構成であ
る。
【図2】音響センサが検出する航走体放射雑音の一例図
である。
【図3】ローファーグラムの一例図である。
【図4】最大エネルギー発生時間T0 の検出説明図であ
る。
【図5】ドップラ現象が生じている周波数部分の一例拡
大図である。
【図6】メモリに格納されている計測データの内容説明
図である。
【図7】メモリに格納されている理論データの内容説明
図である。
【図8】ドップラ周波数特性説明図である。
【図9】ドップラ効果による航走体の速度及び最接近距
離(CPA)の関係説明図である。
【図10】本発明のドップラ周波数検出分解能説明図で
ある。
【図11】船体が発生させる船体音響信号の一例の周波
数−パワースペクトラム解析図である。
【符号の説明】
1 音響センサ 2 FFT処理手段 3 メモリ 4 ローファーグラム作成手段 5 最大エネルギー発生時間検出手段 6 パワーレベル極大値列検出手段 7、8、10 メモリ 9 ドップラ周波数理論値計算手段 11 残差二乗和演算手段 12 残差二乗和最小値検出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 里見 晴和 神奈川県横浜市神奈川区大野町1−8− 403 (72)発明者 野澤 祐司 神奈川県横浜市鶴見区平安町2丁目29番地 の1 株式会社京三製作所内 (72)発明者 梶原 浩 神奈川県横浜市鶴見区平安町2丁目29番地 の1 株式会社京三製作所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航走体が発生させる船体音響信号を受信
    し、その音響信号から航走体の速度を求めるためのドッ
    プラ周波数検出を行い、ドップラ周波数検出に基づいて
    航走体の航走速度を検出する航走体放射雑音からのドッ
    プラ周波数検出による航走体速度検出装置において、 船体音響信号を受信する音響センサと、 音響センサが受信した音響信号を周波数分析するFFT
    処理手段と、 FFT処理手段で処理された周波数分析データを格納す
    るメモリと、 メモリから予め定められた所定周波数帯域の周波数分析
    データを読み出し、この所定周波数帯域の周波数分析デ
    ータから各周波数に対するパワーを計算し、このスペク
    トラムラインの周波数−パワースペクトラムを生成する
    と共に、当該周波数−パワースペクトラムを時間S毎に
    生成し、ローファーグラムを作成するローファーグラム
    作成手段と、 ローファーグラム作成手段のローファーグラム作成中に
    スペクトラムライン毎のエネルギーを求め、そのエネル
    ギーが最大となるスペクトラムラインの時間(時点)T
    0 を検出する最大エネルギー発生時間検出手段と、 上記エネルギーが最大となる時間T0 のスペクトラムラ
    インを基準に、それより前のN番目のスペクトラムライ
    ンないし当該スペクトラムラインの次のスペクトラムラ
    インについて、予め定められた条件下で上記周波数−パ
    ワースペクトラムのパワーレベル極大値の連続性を調
    べ、ドップラ現象発生の極大値列を検出するパワーレベ
    ル極大値列検出手段と、 パワーレベル極大値列検出手段で検出された実測値のド
    ップラ周波数について、予め定められた所定刻みの時間
    0 、音響センサから航走体の針路方向までの所定刻み
    の垂直距離Ru 及び航走体の所定刻みの速度Vt の所定
    分解能を満たす各変数値を基に、あるべきドップラ周波
    数の理論値を計算するドップラ周波数理論値計算手段
    と、上記パワーレベル極大値列検出手段が上記ドップラ
    周波数の極大値列を検出したときの各スペクトラムライ
    ンの実測値とドップラ周波数理論値計算手段で計算され
    たあるべきドップラ周波数の理論値とから、その残差二
    乗和を演算する残差二乗和演算手段と、 残差二乗和演算手段が演算した残差二乗和からその最小
    値を求め、そのときの上記ドップラ周波数理論値計算手
    段に入力された上記航走体の速度Vt の変数値を出力す
    る残差二乗和最小値検出手段とを備え、音響センサが受
    信した音響信号から航走体の速度を検出するようにした
    ことを特徴とする航走体放射雑音からのドップラ周波数
    検出による航走体速度検出装置。
  2. 【請求項2】 航走体が発生させる船体音響信号を受信
    し、その音響信号から航走体の速度を求めるためのドッ
    プラ周波数検出を行い、ドップラ周波数検出に基づいて
    航走体の航走速度を検出する航走体放射雑音からのドッ
    プラ周波数検出による航走体速度検出方法において、 音響センサが受信した音響信号をFFT処理手段で周波
    数分析し、 FFT処理手段で周波数分析された予め定められた所定
    周波数帯域の周波数分析データから各周波数に対するパ
    ワーを計算し、このスペクトラムラインの周波数−パワ
    ースペクトラムを生成すると共に、当該周波数−パワー
    スペクトラムを時間S毎に生成してローファーグラムを
    作成し、 ローファーグラム作成中にスペクトラムライン毎のエネ
    ルギーを求め、そのエネルギーが最大となるスペクトラ
    ムラインの時間(時点)T0 を検出し、 上記エネルギーが最大となる時間T0 のスペクトラムラ
    インを基準に、それより前のN番目のスペクトラムライ
    ンないし当該スペクトラムラインの次のスペクトラムラ
    インについて、予め定められた条件を満たす上記周波数
    −パワースペクトラムのパワーレベル極大値の連続性か
    ら、ドップラ現象発生の極大値列を検出し、 実測値のドップラ周波数について、予め定められた所定
    刻みの時間t0 、音響センサから航走体の針路方向まで
    の所定刻みの垂直距離Ru 及び航走体の所定刻みの速度
    t の所定分解能を満たす各変数値を基に、あるべきド
    ップラ周波数の理論値をドップラ周波数理論値計算手段
    で計算し、 上記ドップラ周波数の極大値列を検出したときの各スペ
    クトラムラインの実測値とドップラ周波数理論値計算手
    段で計算されたあるべきドップラ周波数の理論値とか
    ら、残差二乗和演算手段でその残差二乗和を演算し、 残差二乗和演算手段が演算した残差二乗和からその最小
    値を求め、そのときの上記ドップラ周波数理論値計算手
    段に入力された上記航走体の速度Vt の変数値を求め、 音響センサが受信した音響信号から航走体の速度を検出
    するようにしたことを特徴とする航走体放射雑音からの
    ドップラ周波数検出による航走体速度検出方法。
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