JP2000014794A - ステント - Google Patents

ステント

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JP2000014794A
JP2000014794A JP18948898A JP18948898A JP2000014794A JP 2000014794 A JP2000014794 A JP 2000014794A JP 18948898 A JP18948898 A JP 18948898A JP 18948898 A JP18948898 A JP 18948898A JP 2000014794 A JP2000014794 A JP 2000014794A
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stent
copper
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based alloy
rigidity
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Kiyohito Ishida
清仁 石田
Yoshiichi Ishii
芳一 石井
Ryosuke Kainuma
亮介 貝沼
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、弾性を任意の部位に設定できるととも
に、加工性に優れたステントを提供する。 【解決手段】 本発明のステントは組成がMn5〜20
重量%、Al3〜10重量%、残部Cu及び不可避不純
物である銅基合金からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半径方向に縮小、
拡張可能で、血管、体腔内に埋設可能で狭窄部の治療に
使用される医療用ステントに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】血管を
主体として体腔、管腔などの狭窄部の治療目的で、種々
のステントが使用されている。ステントは一般に処置部
位に留置されるべく小型化され、体内の所望の部位にカ
テーテルによって運ばれる。処置部位に到達した後、カ
テーテルからステントを突き出して、応力を開放してや
れば、収縮前の形態で拡張して血管、体腔内で固定され
る。
【0003】ステントは留置方法によってバルーンエキ
スパンダブルステント、セルフエキスパンダブル(自己
拡張型)ステントに分類される。バルーンエキスパンダ
ブルタイプは、ステント自体に拡張機能がなく、ステン
トを体内の処置部位に導入した後、ステントの内側に配
置されたバルーンを拡張させ、バルーンの拡張力で、ス
テントを密着固定させる方式である。一方、セルフエキ
スパンダブルタイプは、ステントを体内に導入する際、
カテーテル内に縮小、小型化され、応力のかかった状態
で処置部位に導入した後、カテーテルから押し出され、
応力が開放されて収縮前の形状まで復元(自己拡張)す
ることによって、処置部位の脈管内に留まる方式であ
る。セルフエキスパンダブルタイプはバルーンエキスパ
ンダブルタイプと異なり、バルーンを使用した拡張作業
を脈管内で行う必要が無く、操作が容易である等の利点
がある。
【0004】セルフエキスパンダブルステントとして、
各種材質及び形状のものが市場に出されている。このタ
イプのステントは、ステント自体が収縮、小型化された
後に、拡張機能を持つ必要があるため、ステントの素材
として、比較的高剛性、高弾性を有したものとして、S
US316等のステンレス鋼や、比較的低い剛性、弾性
を有したものとして、Ni−Ti合金が使用されてい
る。
【0005】これら従来のステンレス鋼及びNi−Ti
合金では、高い径方向強度の力を必要とするセルフエキ
スパンダブルステントには不向きである。また、ステン
ト自体が単一の物性を持っているため、処置部位の状態
や形状によって要求される複合的な物性を形成できない
問題がある。さらに、カテーテル内への装填がしにくい
ことや、Ni−Ti合金自体加工性が悪い等の問題があ
る。
【0006】従って、本発明の目的は、剛性、弾性を任
意な部位に設定できるとともに、加工性に優れたステン
トを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らはCu−Al−Mn基形状記憶合金
を用い、Cu−Al−Mn基合金の特性が徐々に変化す
る傾斜機能の性質を利用することにより、ステントの剛
性を徐々に変化させることができ、設計自由度の高いス
テントが得られることを発見し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明のステントは、組成がM
n5〜20重量%、Al3〜10重量%、残部Cu及び
不可避不純物である銅基合金からなることを特徴とす
る。
【0009】本発明のステントにおいて、前記銅基合金
はさらにNi、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、N
b、Mo、Sn、Ag、W、Mg、P、Zr、Zn、B
及びミッシュメタルからなる群より選ばれた1種又は2
種以上を合計で0.001〜10重量%含有することが
できる。
【0010】本発明のステントの第一の形態は、前記組
成の銅基合金を熱間加工及び/又は冷間加工により成形
し、500℃以上の温度で保持した後急冷し、200℃
以下の温度で時効処理して得られ、形状記憶特性及び超
弾性を有する。
【0011】本発明のステントの第二の形態は、少なく
とも一つの剛性部と、少なくとも一つの弾性部と、それ
らの間に剛性が連続的又は段階的に変化する一つ以上の
中間部とを有する。第二形態のステントは前記組成の銅
基合金を熱間加工及び/又は冷間加工により成形し、5
00℃以上の温度で保持した後急冷し、さらに前記ステ
ントの剛性部より弾性部の方向へ加熱温度が連続的又は
段階的に減少する温度分布で時効処理して得られ、前記
温度分布の最高温度は250〜350℃で、前記温度分
布の最低温度は250℃未満である。
【0012】
【発明の実施の形態】[1] 銅基合金 (1) 銅基合金の組成 本発明で用いる銅基合金は、Al3〜10重量%、Mn
5〜20重量%を含み、残部Cuと不可避的不純物から
なる。この銅基合金は高温でβ(bcc構造)単相、低
温でマルテンサイト(無拡散)変態を生じる。また、こ
のβ単相の組織は300℃前後の加熱処理でα相(fc
c構造)とホイスラー相(規則bcc構造)の二相組織
に変化する。
【0013】Al元素の含有量が3重量%未満ではβ単
相を形成できず、また10重量%を超えると極めて脆く
なる。Al元素の含有量はMn元素の組成によって変化
するが、好ましいAl元素の含有量は6〜10重量%であ
る。
【0014】Mn元素を含有することによりβ相の存在
範囲を低Al側へと広げ、冷間加工性を著しく高め、製
造が容易になる。Mn元素の添加量が5重量%未満では
満足な加工性が得られず、かつβ単相の領域を形成する
ことができなくなる。Mn元素の添加量が20重量%を
超えると、超弾性が得られないので好ましくない。好ま
しいMnの含有量は8〜12重量%である。
【0015】上記組成のCu基合金は熱間加工及び冷間
加工性に富み、冷間で20%〜90%、又はそれ以上の
加工率が可能であり、パイプ、線状、リボン状等に容易
に成形することができる。
【0016】上記成分以外に、本発明の銅基合金はさら
に、Ni、Co、Fe、Ti、V、Cr、Si、Nb、
Mo、W、Sn、Ag、Mg、P、Zr、Zn、B及び
ミッシュメタルからなる群より選ばれた一種又は二種以
上を含有することができる。これらの元素の含有量は合
計で0. 001〜10重量%であるのが好ましく、特に
0.001 〜2重量%が好ましい。これらの元素は、冷間加
工性を維持したまま、結晶粒を微細化して銅基合金の強
度を上げる効果を発揮する。しかし、これら元素の含有
量が10重量%を超えるとマルテンサイト変態温度を低
下させ、β単相組織が不安定になる。
【0017】Ni、Co、Fe、Sn、Agは基地組織
の強化に有効な元素である。Ni、Fe、Agの好まし
い含有量はそれぞれ0.001 〜3重量%である。Coはま
たCoAlの形成により結晶粒を微細化するが、過剰に
なると靭性を低下させる。Coの好ましい含有量は0.00
1 〜2重量%である。Snの好ましい含有量は0.001〜
1重量%である。
【0018】Tiは阻害元素であるN及びOと結合し酸
窒化物を形成する。また、Bとの複合添加によってボラ
イドを形成し、結晶粒を微細化し、形状回復率を向上さ
せる。Tiの好ましい含有量は0.001 〜2重量%であ
る。
【0019】V、Nb、Mo、Zrは硬さを高める効果
を有し、耐摩耗性を向上させるとともに、これらの元素
はほとんど基地に固溶しないので、bcc結晶として析
出し、結晶粒の微細化に有効な元素である。V、Nb、
Mo、Zrの好ましい含有量はそれぞれ0.001 〜1重量
%である。
【0020】Crは耐摩耗性及び耐食性を維持するのに
有効な元素である。Crの好ましい含有量は0.001 〜2
重量%である。
【0021】Siは耐食性を向上させる効果を有する。
Siの好ましい含有量は0.001 〜2重量%である。
【0022】Wは基地にほとんど固溶しないので、析出
強化の効果がある。Wの好ましい含有量は0.001 〜1重
量%である。
【0023】Mgは阻害元素であるN及びOを除去する
とともに、阻害元素であるSを硫化物として固定し、熱
間加工性や靭性の向上に効果があるが、多量の添加は粒
界偏析を招き、脆化の原因となる。Mgの好ましい含有
量は0.001 〜0.5 重量%である。
【0024】Pは脱酸剤として用いられ、靭性向上の効
果を有する。Pの好ましい含有量は0.01〜0.5 重量%で
ある。
【0025】Znは形状記憶処理温度を低下させる効果
を有する。Znの好ましい含有量は0.001 〜5重量%で
ある。
【0026】Bは結晶組織を微細化する効果がある。特
にTi、Zrとの複合添加が好ましい。Bの好ましい含
有量は0.01〜0.5 重量%である。
【0027】ミッシュメタルは結晶粒を微細化する効果
を有する。ミッシュメタルの好ましい含有量は0.001 〜
2重量%である。
【0028】(2)銅基合金の製造方法 (a) 銅基合金の成形 上記組成の銅基合金を溶解鋳造し、熱間圧延、冷間圧
延、引き抜き等の加工で所望サイズの管状、線状、リボ
ン状等に成形する。本発明の組成を有する銅基合金は熱
間加工及び冷間加工性に富み、冷間で20%〜90%、
又はそれ以上の加工率が可能であり、極細線等に容易に
成形することができる。
【0029】(b) 溶体化処理 次に、500℃以上、好ましくは600〜900℃の温
度で加熱し、結晶組織をβ単相に変態させる。加熱処理
後、50℃/秒以上の速度で急冷して、β単相状態を凍
結させる。急冷は水などの冷媒に入れるか、強制空冷に
よって行う。冷却速度が50℃/秒未満であると、α相
の析出が生じてしまうので、β単相の結晶構造を維持で
きなくなり、機能の傾斜度が小さくなる。好ましい冷却
速度は200℃/秒以上である。
【0030】(c) 時効処理 本発明において、時効処理の仕方により、銅基合金を次
の二つの形態とすることができる。第一形態では、銅基
合金全体が一様に形状記憶特性及び超弾性を有する。第
二形態では、銅基合金は曲げにくい高剛性部と弾力性の
ある低剛性部を有し、高剛性部から低剛性部に向かって
剛性が連続的又は段階的に減少する。
【0031】(i) 第一形態 第一形態の場合、銅基合金を200℃以下の温度、好ま
しくは100〜200℃の温度で時効処理を行う。低剛
性部の加熱温度があまり低いと、β相の規則度は完全で
はなく、室温で放置しておくとマルテンサイト変態温度
が変化する場合がある。逆に加熱温度が200℃を超え
ると、α相の析出が起こり、剛性が高くなってしまう。
【0032】時効処理時間は銅基合金の組成により異な
るが、1〜300分間が好ましく、5〜200分間が特
に好ましい。時効処理時間が1分間未満では時効の効果
が得られず、また時効処理時間が300分間を超える
と、分解が始まり、形状記憶特性が低下する。
【0033】第一形態の銅基合金は、結晶構造が実質的
にβ単相からなり、特開平7-62472号に記載の通り、形
状記憶の特性を有し、かつ超弾性材料である。第一形態
の銅基合金の硬さは350Hv未満であり、降伏応力(す
なわち0.2%耐力)は合金組成により異なるが、40
0MPa未満である。また形状回復率は80%以上であ
る。
【0034】(ii)第二形態 第二形態は特願平10−181268号に記載の通り、
傾斜機能材料である。時効処理により、銅基合金は高剛
性部と低剛性部を有し、高剛性部から低剛性部に向かっ
て剛性が連続的又は段階的に減少するようにできる。
【0035】低剛性部の時効処理を250℃未満の温度
で行い、高剛性部の時効処理を250〜350℃の温度
で行う。低剛性部と高剛性部の間に位置する中間部分は
前記低剛性部の加熱温度から高剛性部の加熱温度まで連
続的又は段階的に変化する温度分布(温度勾配)で時効
処理を行う。
【0036】低剛性部の加熱温度があまり低いと、β相
が不安定であり、室温で放置しておくとマルテンサイト
変態温度が変化する場合がある。逆に加熱温度が250
℃以上であると、α相の析出が起こり、高剛性部との機
能特性の差が小さくなる。低剛性部の加熱温度は100
〜200℃であるのが好ましい。
【0037】高剛性部の加熱温度が250℃未満である
と、高剛性部の結晶構造がα相とホイスラー相の二相に
十分に変態できず、低剛性部との機能特性の差が小さく
なる。また加熱温度が350℃を超えると、組織が粗大
化し、降伏力や、硬さ等の機能特性が低下する。高剛性
部の加熱温度は280〜320℃であるのが好ましい。
【0038】低剛性部の加熱温度と高剛性部の加熱温度
の差は50℃以上であるのが好ましく、80℃以上が特
に好ましい。低剛性部の加熱温度と高剛性部の加熱温度
の差が50℃未満であると、両部分の剛性の差が小さく
なる。
【0039】時効処理時間は銅基合金の組成により異な
るが、1〜300分間が好ましく、5〜200分間が特
に好ましい。時効処理時間が1分間未満では時効の効果
が得られず、また時効処理時間が300分間を超える
と、組織が粗大化してしまい、材料としての機械的特性
が不充分になる。
【0040】このようにして得られた管状、線状、リボ
ン状の銅基合金は、特願平10−181268号に記載
の通り、傾斜機能合金であり、結晶構造が実質的にβ単
相からなる低剛性部と、実質的にα相とホイスラー相の
二相からなる高剛性部と、前記低剛性部と前記高剛性部
との間に位置し、前記低剛性部から高剛性部へ結晶構造
が連続的又は段階的に変化する中間部分からなる。
【0041】本発明において、「結晶構造が実質的にβ
単相からなる」とは、結晶構造がβ相のみでなく、少量
のα相とホイスラー相、及び少量のTiB、ZrB、b
cc相のV、Mo、Nb、Wや、NiAl、CoAl等
の金属間化合物を有する場合も含む。α相とホイスラー
相の割合が合計で5体積%以下であるのが好ましい。α
相とホイスラー相の割合の合計が5体積%を超えると、
低剛性部の超弾性や、形状回復性が著しく低下し、機能
特性の傾斜が小さくなるので好ましくない。
【0042】一方、「結晶構造が実質的にα相とホイス
ラー相の二相からなる」とは、結晶構造がα相及びホイ
スラー相のみからなる場合だけでなく、少量のβ相、及
び少量のTiB、ZrB、bcc相のV、Mo、Nb、
Wや、NiAl、CoAl等の金属間化合物を含有する
場合も含む。β相の割合は10体積%以下であるのが好
ましい。
【0043】また、「結晶構造が連続的又は段階的に変
化する」とは、組織中におけるβ相の占める割合と、α
相及びホイスラー相の占める割合とが連続的又は段階的
に変化することを意味する。時効処理により、β相から
徐々にα相とホイスラー相が析出し、時効処理の温度が
高いほど、また時効処理時間が長いほど、析出するα相
とホイスラー相の割合が大きくなる。結晶構造の変化が
連続的又は段階的のどちらにするかは時効処理時の温度
分布及び処理時間の設定によって決定される。段階的な
温度分布で時効処理を短時間で行えば、結晶構造は段階
的に変化する。
【0044】β単相からなる低剛性部は特開平7−62
472号に記載の通り、形状記憶の特性を有し、かつ超
弾性を有する。一方、高剛性部は曲げにくい硬質な材料
であり、低剛性部とまったく異なる機能特性を有する。
低剛性部と高剛性部との間の部分では、低剛性部の機能
特性から高剛性部の機能特性まで連続的又は段階的に変
化している。
【0045】なお、低剛性部の長さ、高剛性部の長さ、
及びその中間部分における剛性の変化パターンは、時効
処理時の加熱温度の分布により、任意に設定することが
できる。
【0046】低剛性部と高剛性部の特性を比較すると、
低剛性部の硬さ及び高剛性部の硬さは合金組成により異
なるが、低剛性部の硬さは350Hv未満であり、低剛性
部と高剛性部の硬さの差は20Hv以上である。また、低
剛性部は超弾性材料であり、その降伏応力(すなわち
0.2%耐力)は合金組成により異なるが、400MP
a未満である。低剛性部と高剛性部の降伏応力の差は5
0MPa以上である。さらに、低剛性部は形状記憶材料
であり、形状回復率は80%以上である。一方、高剛性
部の形状回復率は15%未満であり、形状記憶の特性は
ほとんどない。低剛性部と高剛性部の形状回復率の差は
70%以上である。
【0047】[2] ステント 図1は本発明のステント1の概略図である。ステント1
は半径方向に縮小、拡張可能な管状体2からなり、上記
銅基合金からなる。
【0048】管状体2として、(a)細線(フィラメン
ト)を編み込んで全体の形状を管状にしたもの、(b)
管状パイプの胴部をレーザー加工によりくり抜いて格子
状の骨格を残したもの等が挙げられるが、本発明はこれ
らに限定されず、半径方向に伸縮可能なものであれば良
い。
【0049】本発明のステントは物性の均一性から二つ
の態様に分類できる。第一の態様は剛性がほぼ均一な上
記第の形態の銅基合金からなるものである。剛性は時効
処理の加熱温度及び処理時間により、任意に設定するこ
とができる。
【0050】第二の態様は、少なくとも一つの剛性部
と、少なくとも一つの弾性部と、それらの間に剛性が連
続的又は段階的に変化する一つ以上の中間部とを有し、
上述した第二形態の銅基合金からなるものである。剛性
部及び弾性部の数と位置は所望により任意に設定でき
る。
【0051】例えば、図1の管状体2を三つの領域A、
B、Cに区分すると、領域A、Cを弾性部に、領域Bを
剛性部にすることができ、また領域A、B、Cの順に剛
性を低下させることもできる。もう一例を挙げると、例
えば図1の管状体2を二つの領域A、Bに区分すると、
領域Aを剛性部に、領域B弾性部にすることができる。
さらに、各領域内の剛性を連続的又は段階的に変化させ
ても良い。
【0052】このような剛性が傾斜した銅基合金管を、
上記時効処理時各領域にそれぞれ異なる加熱温度を付与
することによって製造することができる。例えば、剛性
部の時効処理温度は250〜350℃であるのが好まし
い。弾性部の時効処理温度は250℃未満であるのが好
ましい。なお、各領域内の剛性を傾斜させたい場合、各
領域内に上記温度範囲内の温度勾配を有する温度分布で
時効処理を行えば良い。
【0053】本発明のステントの表面をAu、Pt、T
i、Pd、TiN等でメッキ、蒸着等により被覆するの
が好ましい。
【0054】
【実施例】実施例1 図2に示すステント11を製造した。ステント11はA
l−Mn−Cu系合金よりなるフィラメント13を編み
込んで管状体12に形成し、フィラメント13が管状体
の半径方向に縮小し、拡張できるように形成されてい
る。
【0055】ステント11は次のように形成した。Al
7.5重量%、Mn9.9重量%、B0.02重量%、
Cu82.7重量%の組成からなる合金を溶解し、平均
140℃/分の冷却速度で凝固して、冷間圧延で直径
0.2mmのフィラメント13を形成した。
【0056】このフィラメント13を図2に示したよう
に編み込みで、直径約10mm、全長20mmの管状の
ステント11を形成した。このステント11を900℃
×10分の熱処理後、氷水中で焼き入れし、このステン
ト11全体を100℃×5分の条件で時効処理を行っ
た。さらにステント11に外圧を加え、図3に示したよ
うに圧縮状態(直径約2mm、全長40mm)のステン
ト11Aとした。最後にステント11Aの表面をAuで
被覆した。
【0057】本発明のステントは、熱処理条件をコント
ロールすることで、Ni−Ti合金なみの低い剛性から
ステンレス鋼以上の高い剛性まで幅広く物性の調整が行
なうことができる。ステント11は中程度の剛性を付与
したものである。
【0058】実施例2 図4に示すステント21を製造した。ステント21は、
Al−Mn−Cu系合金よりなる管状のパイプをレーザ
ー加工により所定の寸法に切断し、さらに外周面に菱形
の孔25を形成し、かつ格子状の骨格26が残るように
形成されている。ステント21もステント1と同様に半
径方向に縮小し拡張できるように形成されている。さら
にステント21は両端部と中央部に異なる温度で熱処理
を行うことにより剛性に傾斜を付与した。
【0059】ステント21は、次のように形成した。A
l8.0重量%、Mn10.2重量%、V1.0重量
%、Cu80.8重量%の組成からなる合金を溶解し、
平均140℃/分冷却速度で凝固して、直径10mm、
厚さ0.2mmの管状に冷間圧延した。これを図4に示
す形状にレーザー加工(全長20mm)し、900℃×
10分の熱処理後、氷水中で焼き入れした。そしてステ
ント21の両端部22、23を150℃×15分間で、
中央部24を300℃×15分間で時効処理を行った。
ステント21に外圧を加え、図5に示すように圧縮状態
(直径約2mm、全長40mm)のステント21Aとし
た。
【0060】実施例3 図7に示すステント31を製造した。ステント31は、
ステント21と同組成、同形状、同加工法により形成さ
れているが、両端部を異なる温度で時効処理を行うこと
により両端部の剛性に傾斜を付与した点でのみ異なって
いる。
【0061】ステント31は、次のように形成した。ス
テント21と同組成の素材を冷間圧延加工まで同じ工程
で行った後、これを図7の形状に、レーザー加工(全長
20mm)した後、900℃×10分間の熱処理後、氷
水中で焼き入れしたステント31の中央から半分を15
0℃×15分間で、逆側を300℃×15分で時効処理
を行った。さらにステント31に外圧を加え、図8に示
すような圧縮状態(直径約2mm、全長40mm)でス
テント31Aとした。
【0062】ステント31は、剛性部aと弾性部bにな
るように剛性が調製されたもので、拡張力に差を付けた
い症例に使用され得るものである。最後にステント31
Aは、表面をTiで被覆した。
【0063】実施例4 図9に示す弯曲スパイラルジグザグステント40を製造
した。図9において、簡略化のために領域Cでは、弾性
線材は手前側のもののみ表示しているが、スパイラル状
の糸は省略されていない。この弯曲型スパイラルジグザ
グステント40は、屈曲部間の線材部長さが長短の繰り
返しとなるようにジグザグ状に変形されスパイラル状に
旋回する弾性線材41と、弾性線材41の屈曲部に形成
された係止部42に結着された糸43とからなる。図中
Lは弯曲型スパイラルジグザグステント40の中心線を
示す。
【0064】弾性線材41はステント21と同組成の銅
基合金からなり、直径0.3mmであった。弾性線材4
1は、次のように形成した。ステント21と同組成の銅
基合金素材を冷間圧延加工して、図9に示す形状に成形
した後、900℃×10分の熱処理後、氷水中で焼き入
れした。そして弾性線材41の中央から半分を150℃
×15分間で、逆側を300℃×15分間の条件で時効
処理を行った。最後に表面をTiで被覆し、弾性線材4
1を得た。得られた線材41を糸43に係止しながら、
図9に示すステントに成形した。
【0065】本発明における熱処理の条件及び処理の仕
方は実施例にとどまらないことは言うまでもないこと
で、ケースバイケースによって様々な処理が行えるもの
である。
【0066】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明は、Al
−Mn−Cu系合金をステントに採用することにより、
脈管の拡張力が柔軟性を有したところから剛性の高いと
ころまで、幅広く調製可能になり、また熱処理条件を変
えることにより、ステントの物性を単一タイプから複合
タイプまで作製することが可能となる。
【0067】本発明のステントを用いれば、弱い拡張力
を必要とする症例から高い径方向強度の力を必要とする
症例まで、同様のサイズ、形状で対応することが可能と
なり、またステント内への装填が容易になる。様々な症
例への応用の可能性が広がるなど、多くの利益が生まれ
るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のステントの一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施例1のステントを示す概略図であ
る。
【図3】実施例1のステントの縮小状態を示す概略図で
ある。
【図4】本発明の実施例2のステントを示す概略図であ
る。
【図5】実施例2のステントの縮小状態を示す概略図で
ある。
【図6】ステント移送カテーテルへの装填を示す説明図
である。
【図7】本発明の実施例3のステントを示す概略図であ
る。
【図8】実施例3のステントの縮小状態を示す概略図で
ある。
【図9】実施例4の弯曲スパイラルジグザグステントを
示す概略図である。
【符号の説明】
1、11、11A、21、21A、31、31A、40
・・ステント 2、12・・・・・・・・・・管状体 13・・・・・・・・・・・・フィラメント 22、23、32、33・・・両端部 24・・・・・・・・・・・・中央部 25・・・・・・・・・・・・孔 26・・・・・・・・・・・・骨格 28・・・・・・・・・・・・ステント移送カテーテル
a剛性部b弾性部 41・・・・・・・・・・・・弾性線材 42・・・・・・・・・・・・係止部 43・・・・・・・・・・・・糸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成がMn5〜20重量%、Al3〜1
    0重量%、残部Cu及び不可避不純物である銅基合金か
    らなることを特徴とするステント。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のステントにおいて、前
    記銅基合金はさらにNi、Co、Fe、Ti、V、C
    r、Si、Nb、Mo、Sn、Ag、W、Mg、P、Z
    r、Zn、B及びミッシュメタルからなる群より選ばれ
    た1種又は2種以上を合計で0.001〜10重量%含
    有することを特徴とするステント。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載のステントにおい
    て、前記組成の銅基合金を熱間加工及び/又は冷間加工
    により成形し、500℃以上の温度で保持した後急冷
    し、200℃以下の温度で時効処理して得られ、形状記
    憶特性及び超弾性を有することを特徴とするステント。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載のステントにおい
    て、少なくとも一つの剛性部と、少なくとも一つの弾性
    部と、それらの間に剛性が連続的又は段階的に変化する
    一つ以上の中間部とを有することを特徴とするステン
    ト。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のステントにおいて、前
    記組成の銅基合金を熱間加工及び/又は冷間加工により
    成形し、500℃以上の温度で保持した後急冷し、さら
    に前記ステントの剛性部より弾性部の方向へ加熱温度が
    連続的又は段階的に減少する温度分布で時効処理して得
    られ、前記温度分布の最高温度は250〜350℃で、
    前記温度分布の最低温度は250℃未満であることを特
    徴とするステント。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のステン
    トにおいて、Au、Pt、Ti、Pd、TiNのいずれ
    かで被覆されていることを特徴とするステント。
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