JP2000009628A - 走査型仕事関数顕微鏡 - Google Patents

走査型仕事関数顕微鏡

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JP2000009628A
JP2000009628A JP10180338A JP18033898A JP2000009628A JP 2000009628 A JP2000009628 A JP 2000009628A JP 10180338 A JP10180338 A JP 10180338A JP 18033898 A JP18033898 A JP 18033898A JP 2000009628 A JP2000009628 A JP 2000009628A
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Takashi Ide
隆 井手
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NEC Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】LSI中の微細なpn接合を観察可能とする顕
微鏡装置の提供。 【解決手段】原子間力顕微鏡を用いて非接触で振動させ
ながら導電性カンチレバーを走査し、カンチレバーと試
料の間に流れるトンネル電流をカンチレバーの振動周波
数で検波し測定することで、トンネル電流の距離の微分
を求め、その信号から試料の局所的な仕事関数を求め
る。この仕事関数の空間分布はpn接合の空間分布に相
当する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子間力顕微鏡に
関し、特にLSI(半導体集積回路)の微細なpn接合
を観察可能とした顕微鏡及びその測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体内部のpn接合を1ミクロンメー
トル以下の空間分解能で2次元的に観察あるいは測定す
ることが可能な手法として、従来より、原子間力顕微鏡
(「AFM」ともいう)を応用した走査型容量顕微鏡
(「SCM」ともいう)、ケルビン力顕微鏡(「KPF
M」ともいう)が提案されている。
【0003】このうち、SCM法では、AFMの針を用
いて、局所的なCV測定を行い、pn接合の分布を局所
的に測定する。
【0004】KPFM法では、AFMの針を用いて、局
所的なケルビン法測定を行い、局所的な接触電位差測定
からpn接合分布を測定する。
【0005】また、ドーパント濃度にエッチング速度が
依存した化学エッチングを行い、そのエッチング形状を
顕微鏡測定しドーパント濃度分布を調べる手法も研究さ
れている。この形状観察には、通常、AFMや透過型電
子顕微鏡(TEM)が利用されている。AFM観察で
は、表面の3次元形状が観察できるため、エッチングさ
れた形状を直接観察することが可能である。一方、TE
M観察では、等厚干渉縞を観察することによって試料厚
さ変化からエッチング形状を見積もる。
【0006】この他の手段として、pn接合測定ではな
いが、走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて、その
トンネル電流から、仕事関数変化を測定する試みも行わ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の測定方法においては、STMを除くいずれの方
法も、その分解能が10ナノメートル以上であることか
ら、pn接合分布測定等、現在のLSIデバイスの評価
技術として要求されているレベルには、達していない。
【0008】そして、これら従来の方法において、その
空間分解能は、上記手法の性能によって制限されている
量ではなく、原理的に目標の10ナノメートル以下とは
ならないのである。その理由を以下説明する。
【0009】まず、上記SCM及びKPFM法について
説明すると、これらの方法は、測定に長距離相互作用を
利用している。SCMでは、電圧印加による空乏層幅の
変化を検出するが、この空乏層幅は、基本的にはクーロ
ン相互作用によって変化する。またKPFMでは、接触
電位差を調べるが、これも基本的にはクーロン相互作用
を利用した測定である。
【0010】これらSCMやKPFM法で利用するクー
ロン相互作用は、その相互作用の大きさが距離に対して
反比例する。そして、このクーロン相互作用は、AFM
針の先端部だけではなく、先端周辺からも働き、しかも
AFM針の先端部に比べ、その周辺部の面積の方が広い
ため、この先端部周辺部からの影響が無視できない。つ
まり、これらSCMとKPFM法では、空間分解能は、
AFM針の先端曲率半径程度となる。
【0011】またAFMのように、試料から受ける力を
検出して行う測定では、安定した測定には、AFM針先
端の機械的な強度が必要とされており、このため、針先
端の曲率半径は10ナノメートル以上である。すなわ
ち、これらSCMやKPFM法では、10ナノメートル
以下の空間分解能を実現することは原理的に不可能であ
る。
【0012】化学エッチング法では、そのエッチング形
状観察に、AFMやTEM法が用いられるが、これらの
観察手段では、原理的に、このエッチング形状を10ナ
ノメートル以下の空間分解能で測定することは出来な
い。
【0013】AFMでエッチング形状を調べる場合、エ
ッチング形状で傾斜した部分では、AFM針の側面部が
試料から力を受けるため、エッチング領域全体では、A
FNM針の同一箇所で測定するのではなく、この結果、
空間分解能は、AFMが針先端の曲率半径程度になる。
このため、10ナノメートル以下の空間分解能を実現す
ることは不可能である。
【0014】またTEM観察で観察する等厚干渉縞の間
隔は試料厚さが約15ナノメートル変化する毎に1本現
れる。エッチング形状の傾斜が45度以下の場合、横方
向の間隔は約15ナノメートル以上であり、10ナノメ
ートル以下の分解能は達成できない。
【0015】一方、エッチング形状の傾斜が45度以上
の場合、エッチングが縦方向(試料厚さ方向)だけでな
く横方向に進む影響が大きくなるため、たとえ等厚干渉
縞の間隔が10ナノメートルより小さくなっても、これ
は真の分布ではなく、10ナノメートル以下の空間精度
を得ることは不可能である。
【0016】ところで、STM法による仕事関数変化の
測定では、原理的に1ナノメートル以下の空間分解能を
達成することはできる。しかしながら、STM測定は、
絶縁体を含む試料では測定が出来ないため、絶縁体を含
むLSI等の半導体デバイスの測定には適用できない。
【0017】したがって、本発明は、上記問題点に鑑み
てなされたものであって、その目的は、絶縁物を含むL
SI構造内でpn接合を好ましくは10ナノメートル以
下の空間分解能で測定可能とする顕微鏡装置及び方法を
提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、導電性カンチレバーを備えた原子間力顕
微鏡を用い、導電性カンチレバーと対向する試料表面の
距離を振動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を行
い、前記試料と導電性カンチレバー間に流れるトンネル
電流の前記導電性カンチレバーと前記試料間の距離に対
する微分を測定し、前記微分値から前記試料表面の仕事
関数を測定する。
【0019】本発明においては、導電性カンチレバーを
備えた原子間力顕微鏡を真空内に配設する。
【0020】また本発明においては、走査型電子顕微鏡
を組み合わせ、前記試料表面を走査電子顕微鏡観察によ
って接触電位差を測定する領域を探し出すようにしても
よい。
【0021】本発明において、試料と前記導電性カンチ
レバー間に流れるトンネル電流、および前記トンネル電
流の前記導電性カンチレバーと前記試料間の距離に対す
る微分信号とを同時に測定し、前記トンネル電流と前記
微分信号とから前記試料の局所的な導電性と前記試料表
面の仕事関数を測定する。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について以下
に説明する。本発明は、その好ましい実施の形態におい
て、導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微鏡におい
て、導電性カンチレバーと対向する試料表面の距離を振
動させながら非接触で原子間力顕微鏡の走査を行い、該
試料と導電性カンチレバー間に流れるトンネル電流を、
導電性カンチレバーの振動周波数で検波して測定するこ
とで、トンネル電流の導電性カンチレバーと試料間の距
離に関する一階微分信号を測定し、該一階微分信号から
前記試料表面の仕事関数を測定する手段を備える。
【0023】まず本発明の原理について説明する。本発
明は、非接触型の原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、
トンネル電流を測定し、そのトンネル電流の、試料とA
FM針の距離に対する微分を求め、局所的な仕事関数を
測定する。
【0024】非接触AFM法では、針を試料表面垂直方
向に微小な振幅で振動させながら行う方法が用いられ
る。本発明では、この振動によるトンネル電流の変動
を、振動と同期した成分だけを、ロックインアンプを用
いて検出することによって、トンネル電流の微分量を測
定することができる。
【0025】このトンネル電流の微分は、仕事関数の平
方根と、トンネル電流の積に比例する量である。
【0026】このため、試料と針の距離を一定に保って
走査するAFM測定では、原理的にトンネル電流は一定
であり、この微分量を測定することによって、仕事関数
の平方根に比例した量を測定できる。
【0027】この仕事関数は、pn接合部で半導体中の
バンド構造と同様に変化するため、AFM走査による仕
事関数の変化を測定することで、pn接合分布を測定す
ることができる。
【0028】本発明においては、トンネル現象を利用す
るため、クーロン相互作用と異なり、針先端の1原子で
測定することが可能であり、1ナノメートル以下の空間
分解能が実現可能である。
【0029】また、STMではなく、非接触AFMを利
用しているため、絶縁体を含むLSIのpn接合も測定
可能である。
【0030】本発明を適用した好ましい一実施の形態に
ついて説明すると、開放端側に針を有する導電性カンチ
レバーを備えた原子間力顕微鏡において、この導電性カ
ンチレバーを振動させる手段(図1の4)を備え、導電
性カンチレバーを所定周波数で振動させながら試料表面
と非接触で原子間力顕微鏡動作を行い、導電性カンチレ
バーが試料表面を走査する間、導電性カンチレバーの振
動中心と試料との距離が一定に保たれ、原子間力顕微鏡
の試料表面の走査の際に、導電性カンチレバーと試料間
に所定のバイアス電圧を印加するバイアス電圧供給手段
(図1の11)と、バイアス電圧によって、導電性カン
チレバーと試料間に流れるトンネル電流を増幅して電圧
信号に変換する手段(図1の6)と、電圧信号を入力す
るとともに、導電性カンチレバーを振動させる手段(図
1の4)に供給する交流信号を参照信号として入力し、
該トンネル電流のうち、導電性カンチレバーの振動と同
期した成分を検出して出力する手段(図1の8)と、こ
の同期成分を取り込んで2乗演算を施し、原子間力顕微
鏡の走査信号をXY成分としてマッピングすることで、
試料表面の仕事関数のマッピング情報を取得する手段
(図1の9)と、仕事関数のマッピングをpn接合分布
を表わした画像として表示する手段(図1の10)とを
備える。
【0031】
【実施例】上記した本発明の実施の形態についてさらに
詳細に説明すべく、本発明の実施例について図面を参照
して詳細に説明する。
【0032】[実施例1]本発明の第1の実施例につい
て説明する。図1は、本発明の第1の実施例の構成を示
すブロック図である。図1を参照すると、本発明の第1
の実施例は、導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
鏡において、開放端に針を有する導電性カンチレバー1
と対向する試料2の表面との距離を、導電性カンチレバ
ー1の共振周波数で振動させながら、非接触で原子間力
顕微鏡動作を行う。なお、図1において、3は試料2の
XYZ走査用の圧電素子、4は導電性カンチレバー1を
振動させるための圧電素子、5は非接触型原子間力顕微
鏡用の力センサー、6は電流増幅器(電流−電圧変換
器)、7は圧電素子4に電気信号を供給する発振器、8
はロックインアンプ、9は測定・制御コンピュータ、1
0は測定結果表示機器、である。
【0033】導電性カンチレバー1が試料表面を走査す
る間に、導電性カンチレバー1の振動の中心と試料2と
の距離が常に一定に保たれる。
【0034】この原子間力顕微鏡の走査の際に、導電性
カンチレバー1と試料2間にバイアス電圧用電源11か
ら±10ボルト以内の一定のバイアス電圧を印加し、電
流増幅器6を用いて、このバイアス電圧によって、導電
性カンチレバー1と試料2間に流れるトンネル電流を増
幅し電圧信号に変換する。
【0035】この電圧信号をロックインアンプ8に入力
する。また、ロックインアンプ8の参照信号として、針
(導電性カンチレバー1の開放端側の針)を振動させて
いる、発振器7からの交流信号を用いる。
【0036】ロックアンプ8により、トンネル電流のう
ち導電性カンチレバー1の振動と同期した成分だけが増
幅され、その振幅が出力される。
【0037】ロックアンプ8からのこの同期成分は、ト
ンネル電流の試料2−導電性カンチレバー1間隔に対す
る一階微分信号に相当する。
【0038】この信号をコンピュータ9に取り込み、例
えばディジタル信号に変換した上でコンピュータ9内で
2乗演算を行い、その量を、原子間力顕微鏡の走査信号
をXY成分としてマッピングする。これによって試料表
面の仕事関数のマッピングすることが出来る。この仕事
関数のマッピングはpn接合分布を表わした画像であ
る。
【0039】[実施例2]次に本発明の第2の実施例に
ついて説明する。図2は、本発明の第2の実施例の構成
を示す図である。図2において、図1に示した要素と同
一又は同等の要素には同一の参照符号が付されている。
図2を参照すると、本発明の第2の実施例は、真空装置
12内で、導電性カンチレバー1を備えた原子間力顕微
鏡において、導電性カンチレバー1と対向する試料2表
面の距離を、導電性カンチレバー1の共振周波数で振動
させながら、非接触で原子間力顕微鏡動作を行う。これ
により、導電性カンチレバー1が表面を走査する間に、
導電性カンチレバー1の振動の中心と試料2の距離が常
に一定に保たれる。
【0040】この原子間力顕微鏡の走査の際に、導電性
カンチレバー1と試料2間にバイアス電圧用電源11か
ら±10ボルト以内の一定のバイアス電圧を印加し、電
流増幅器6を用いてこのバイアス電圧によって、導電性
カンチレバー1と試料2間に流れるトンネル電流を増幅
し、電圧信号に変換する。この電圧信号を、ロックイン
アンプ8に入力する。
【0041】また、ロックインアンプ8の参照信号とし
て、針を振動させている、発振器7からの交流信号を用
いる。
【0042】ロックアンプ8によりトンネル電流のうち
導電性カンチレバー1の振動と同期した成分だけが増幅
され、その振幅が出力される。この同期成分は、トンネ
ル電流の試料2−導電性カンチレバー1間隔に対する一
階微分信号に相当する。
【0043】この信号をコンピュータ9に取り込み、コ
ンピュータ9内で2乗演算を行い、その量を、原子間力
顕微鏡の走査信号をXY成分としてマッピングする。こ
れによって、試料表面の仕事関数のマッピングが出来
る。この仕事関数のマッピングはpn接合分布を表わし
た画像である。
【0044】本発明の第2の実施例においては、大気中
での測定に比べ、試料表面への付着物が少ないためトン
ネル電流へのノイズが少ない。
【0045】[実施例3]次に本発明の第3の実施例に
ついて説明する。図3は、本発明の第3の実施例の構成
を示すブロック図である。図3において、図2に示した
要素と同一又は同等の要素には同一の参照符号が付され
ている。図3を参照すると、本発明の第3の実施例は、
真空装置12内で導電性カンチレバー1を備えた原子間
力顕微鏡において、走査型電子顕微鏡を複合させた装置
であり、走査電子顕微鏡の電子銃13から、電子ビーム
を照射し試料2からの2次電子を走査型電子顕微鏡用2
次電子検出器14で検出することで、試料2を原子間力
顕微鏡の観察状態に設置した状態で、同一試料2を、走
査型電子顕微鏡で観察することができ、原子間力顕微鏡
の観察視野を、走査型電子顕微鏡の視野が完全にカバー
するように設置している。
【0046】この配置により、走査型電子顕微鏡観察に
より広範囲から目的の観察場所を探すことができ、その
探した場所を、原子間力顕微鏡で測定することが可能と
なる。
【0047】原子間力顕微鏡の導電性カンチレバー1と
対向する試料2表面の距離を、導電性カンチレバー1の
共振周波数で振動させながら非接触で原子間力顕微鏡動
作を行う。これにより、導電性カンチレバー1が表面を
走査する間に、導電性カンチレバー1の振動の中心と試
料2の距離が常に一定に保たれる。この原子間力顕微鏡
の走査の際に、導電性カンチレバー1と試料2間にバイ
アス電圧用電源11から±10ボルト以内の一定のバイ
アス電圧を印加し、電流増幅器6を用いて、このバイア
ス電圧によって導電性カンチレバー1と試料2間に流れ
るトンネル電流を増幅し電圧信号に変換し、この電圧信
号をロックインアンプ8に入力する。また、ロックイン
アンプ8の参照信号として針を振動させている、発振器
7からの交流信号を用いる。ロックアンプ8によりトン
ネル電流の導電性カンチレバー1の振動と同期した成分
だけが増幅され、その振幅が出力される。この同期成分
は、トンネル電流の試料2−導電性カンチレバー2間隔
に対する一階微分信号に相当する。
【0048】この信号をコンピュータ9に取り込み、コ
ンピュータ内で2乗演算を行い、その量を原子間力顕微
鏡の走査信号をXY成分としてマッピングする。これに
よって試料表面の仕事関数のマッピングが出来る。この
仕事関数のマッピングはpn接合分布を表わした画像で
ある。
【0049】[実施例4]次に本発明の第4の実施例に
ついて説明する。図4は、本発明の第4の実施例の構成
を示すブロック図である。図4において、図3に示した
要素と同一又は同等の要素には同一の参照符号が付され
ている。図4を参照すると、本発明の第4の実施例も、
前記第3の実施例と同様、真空装置12内で導電性カン
チレバー1を備えた原子間力顕微鏡において、走査型電
子顕微鏡を複合させた装置である。
【0050】走査電子顕微鏡の電子銃13は試料2を原
子間力顕微鏡の観察状態に設置した状態で同一試料2を
走査型電子顕微鏡観察でき、原子間力顕微鏡の観察視野
を走査型電子顕微鏡の視野が完全にカバーするように設
置した。この配置により走査型電子顕微鏡観察により広
範囲から目的の観察場所を探すことができ、その探した
場所を原子間力顕微鏡測定することが可能である。
【0051】原子間力顕微鏡の導電性カンチレバー1と
対向する試料2表面の距離を導電性カンチレバー1の共
振周波数で振動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作
を行う。これにより導電性カンチレバー1が表面を走査
する間に、導電性カンチレバー1の振動の中心と試料2
の距離が常に一定に保たれる。この原子間力顕微鏡の走
査の際に、導電性カンチレバー1と試料2間に±10ボ
ルト以内のバイアス電圧用電源11から一定のバイアス
電圧を印加し、電流増幅器6を用いてこのバイアス電圧
によって導電性カンチレバー1と試料2間に流れるトン
ネル電流を増幅し電圧信号に変換し、この電圧信号をロ
ックインアンプ8に入力する。また、ロックインアンプ
8の参照信号として針を振動させている発振器7からの
交流信号を用いる。ロックインアンプ8によりトンネル
電流の導電性カンチレバー1の振動と同期した成分だけ
が増幅され、その振幅が出力される。この同期成分はト
ンネル電流の試料−カンチレバー間隔に対する一階微分
信号に相当する。
【0052】原子間力顕微鏡で流れるトンネル電流を、
トンネル電流の1階微分信号と同時に、コンピュータ9
に取り込み、トンネル電流の1階微分信号を、トンネル
電流で除し、その結果を、コンピュータ9内で2乗演算
を行い、その量を原子間力顕微鏡の走査信号をXY成分
としてマッピングする。これによって、試料1と導電性
カンチレバー1間の距離変動の影響を少なくした試料2
表面のより正確な仕事関数のマッピングが出来る。この
仕事関数のマッピングは、pn接合分布を表わした画像
である。これと同時に、トンネル電流も、別の画像に、
原子間力顕微鏡の走査信号をXY成分として、マッピン
グする。
【0053】これによって試料表面の導電性部分と絶縁
性部分を識別する高分解能画像が得られる。両者の画像
は、正確に試料の同一領域を観察したものであるため、
これら画像の比較によって試料構造とpn接合分布の対
応が可能である。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、下記記
載の効果を奏する。
【0055】本発明によれば、カンチレバーと対向する
試料表面の距離を振動させながら非接触で原子間力顕微
鏡動作を行い試料と導電性カンチレバー間に流れるトン
ネル電流の試料−カンチレバー間距離に対する一階微分
を測定し、これを2乗した値から試料表面の仕事関数を
測定することにより、pn接合分布を表わした画像を取
得することができる。本発明によれば、トンネル現象を
利用するため、クーロン相互作用と異なり、針先端の1
原子で測定することが可能であり、このため、1ナノメ
ートル以下の空間分解能を実現可能である。そして本発
明によれば、非接触AFMを利用しているため、絶縁体
を含むLSIのpn接合も測定可能である。
【0056】また本発明によれば、導電性カンチレバー
を備えた原子間力顕微鏡を真空に気密することにより、
大気中での測定に比べ、試料表面への付着物が少ないた
めトンネル電流へのノイズを低減することができる。
【0057】さらに本発明によれば、試料を原子間力顕
微鏡の観察状態に設置した状態で同一試料を走査型電子
顕微鏡で観察し、原子間力顕微鏡の観察視野を走査型電
子顕微鏡の視野が完全にカバーするように設置すること
により、走査型電子顕微鏡観察により広範囲から目的の
観察場所を探すことができ、探した場所を、原子間力顕
微鏡で測定することができる。
【0058】さらにまた本発明によれば、原子間力顕微
鏡で流れるトンネル電流を、トンネル電流の1階微分信
号とを取り込み、トンネル電流の1階微分信号を、トン
ネル電流で除し、その結果から2乗演算を行い、その量
を原子間力顕微鏡の走査信号をXY成分としてマッピン
グことにより、試料と導電性カンチレバー間の距離変動
の影響を少なくした試料表面のより正確な仕事関数のマ
ッピングが得られる、ということである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施例の装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施例の装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【図4】本発明の第4の実施例の装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 導電性カンチレバー 2 試料 3 XYZ走査用圧電素子 4 カンチレバー振動用圧電素子 5 非接触原子間力顕微鏡用力センサー 6 電流増幅器 7 発振機 8 ロックインアンプ 9 測定・制御コンピュータ 10 測定結果表示機器 11 バイアス電圧用電源 12 真空槽 13 走査型電子顕微鏡用電子銃 14 走査型電子顕微鏡用2次電子検出器

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡を用い、前記導電性カンチレバーと対向する試料表面
    の距離を振動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を
    行い、前記試料と前記導電性カンチレバー間に流れるト
    ンネル電流の前記導電性カンチレバーと前記試料間の距
    離に対する微分量を測定し、前記微分量から前記試料表
    面の仕事関数を測定する、ことを特徴とする顕微鏡測定
    方法。
  2. 【請求項2】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡を真空内に配設し、前記導電性カンチレバーと対向す
    る試料表面の距離を振動させながら非接触で原子間力顕
    微鏡動作を行い、前記試料と前記導電性カンチレバー間
    に流れるトンネル電流の前記導電性カンチレバーと前記
    試料間の距離に対する微分量を測定し、前記微分量から
    前記試料表面の仕事関数を測定する、ことを特徴とする
    顕微鏡測定方法。
  3. 【請求項3】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡を用い、前記導電性カンチレバーと対向する試料表面
    の距離を振動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を
    行い、前記試料と前記導電性カンチレバー間に流れるト
    ンネル電流、および前記トンネル電流の前記導電性カン
    チレバーと前記試料間の距離に対する微分量とを同時に
    測定し、前記トンネル電流と前記微分量とから前記試料
    の局所的な導電性と前記試料表面の仕事関数を測定す
    る、ことを特徴とする顕微鏡測定方法。
  4. 【請求項4】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡を真空中に配設し、前記導電性カンチレバーと対向す
    る試料表面の距離を振動させながら非接触で原子間力顕
    微鏡動作を行い、前記試料と前記導電性カンチレバー間
    に流れるトンネル電流、および前記トンネル電流の前記
    導電性カンチレバーと前記試料間の距離に対する微分量
    とを同時に測定し、前記トンネル電流と前記微分量とか
    ら前記試料の局所的な導電性と前記試料表面の仕事関数
    を同時に測定する、ことを特徴とする顕微鏡測定方法。
  5. 【請求項5】請求項2又は4記載の顕微鏡測定方法にお
    いて、走査型電子顕微鏡を組み合わせ、走査電子顕微鏡
    観察によって接触電位差を測定する領域を探し出す、こ
    とを可能としたことを特徴とする顕微鏡測定方法。
  6. 【請求項6】前記微分量が前記トンネル電流の前記導電
    性カンチレバーと前記試料間の距離に関する一階微分で
    ある、ことを特徴とする請求項1及至5のいずれか一に
    記載の顕微鏡測定方法。
  7. 【請求項7】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡において、 前記導電性カンチレバーと対向する試料表面の距離を振
    動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を行い、 前記試料と前記導電性カンチレバー間に流れるトンネル
    電流の、前記導電性カンチレバーと前記試料間の距離に
    対する微分量を測定する手段と、 前記測定された微分量から前記試料表面の仕事関数を測
    定する手段と、を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
  8. 【請求項8】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡を真空内に配設し、 前記導電カンチレバーと対向する試料表面の距離を振動
    させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を行い、前記試
    料と前記導電性カンチレバー間に流れるトンネル電流の
    前記導電性カンチレバーと前記試料間の距離に対する微
    分量を測定する手段と、前記測定された微分量から前記
    試料表面の仕事関数を測定する手段と、を備えたことを
    特徴とする顕微鏡装置。
  9. 【請求項9】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕微
    鏡において、 前記導電性カンチレバーと対向する試料表面の距離を振
    動させながら非接触で原子間力顕微鏡動作を行い、 前記試料と前記導電性カンチレバー間に流れるトンネル
    電流、および、前記トンネル電流の導電性カンチレバー
    と前記試料間の距離に対する微分量を測定する手段と、
    前記トンネル電流と前記測定された微分量とから、前記
    試料の局所的な導電性と前記試料表面の仕事関数を測定
    する手段と、を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
  10. 【請求項10】導電性カンチレバーを備えた原子間力顕
    微鏡を真空中に配設し、前記導電性カンチレバーと対向
    する試料表面の距離を振動させながら非接触で原子間力
    顕微鏡動作を行い、前記試料と前記導電性カンチレバー
    間に流れるトンネル電流、および前記トンネル電流の導
    電性カンチレバーと前記試料間の距離に対する微分量を
    測定する手段と、前記トンネル電流と前記測定された微
    分量とから前記試料の局所的な導電性と前記試料表面の
    仕事関数を測定する手段と、を備えたことを特徴とする
    顕微鏡装置。
  11. 【請求項11】請求項8又は10記載の顕微鏡装置にお
    いて、走査型電子顕微鏡をさらに備え、走査電子顕微鏡
    観察によって接触電位差を測定する領域を探し出すこと
    を可能としたことを特徴とする顕微鏡装置。
  12. 【請求項12】開放端側に針を有する導電性カンチレバ
    ーを備えた原子間力顕微鏡において、 前記針を試料表面法線方向に沿って振動させながら前記
    試料表面と非接触で原子間力顕微鏡で走査動作を行い、 前記試料と前記導電性カンチレバー間に流れるトンネル
    電流のうち前記針の振動周波数に同期した信号成分を検
    出し、該信号成分を、前記トンネル電流の前記針と前記
    試料間の距離に関する微分量として出力する手段と、 前記微分量、または、前記微分量及び前記トンネル電流
    から、前記試料表面の仕事関数を測定する手段と、 を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
  13. 【請求項13】開放端側に針を有する導電性カンチレバ
    ーを備えた原子間力顕微鏡において、前記導電性カンチ
    レバーを振動させる手段を備え、 前記導電性カンチレバーを所定周波数で振動させながら
    試料表面と非接触で原子間力顕微鏡動作を行い、 前記原子間力顕微鏡の前記試料表面の走査の際に、前記
    導電性カンチレバーと前記試料間に所定のバイアス電圧
    を印加するバイアス電圧供給手段と、 前記バイアス電圧によって前記導電性カンチレバーと前
    記試料間に流れるトンネル電流を電圧信号に変換して出
    力する手段と、 前記電圧信号と、前記導電性カンチレバーを振動させる
    手段に供給する信号とを入力し、前記トンネル電流のう
    ち前記導電性カンチレバーの振動と同期した信号成分を
    検出して出力する手段と、 前記トンネル電流の前記導電性カンチレバーの振動と同
    期した信号成分の2乗演算、または前記トンネル電流と
    前記トンネル電流の前記導電性カンチレバーの振動と同
    期した信号成分との比について2乗演算を施し、前記原
    子間力顕微鏡の走査信号をXY成分としてマッピングす
    ることで、前記試料表面の仕事関数のマッピングを取得
    する手段と、 前記仕事関数のマッピングを画像表示する手段と、 を備えたことを特徴とする顕微鏡装置。
  14. 【請求項14】前記導電性カンチレバーを備えた原子間
    力顕微鏡及び前記試料を真空中に気密配置したことを特
    徴とする請求項13記載の顕微鏡装置。
  15. 【請求項15】走査型電子顕微鏡用の電子銃及び走査型
    電子顕微鏡用の2次電子検出器をさらに備えたことを特
    徴とする請求項14記載の顕微鏡装置。
  16. 【請求項16】前記微分量が、前記トンネル電流の、前
    記導電性カンチレバーと前記試料間の距離に関する一階
    微分である、ことを特徴とする請求項7及至12のいず
    れか一に記載の顕微鏡装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109148312A (zh) * 2017-06-16 2019-01-04 中芯国际集成电路制造(上海)有限公司 金属层功函数的检测方法及其检测系统

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