JP2000005203A - 眼内レンズ及びその製造方法 - Google Patents

眼内レンズ及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000005203A
JP2000005203A JP10169921A JP16992198A JP2000005203A JP 2000005203 A JP2000005203 A JP 2000005203A JP 10169921 A JP10169921 A JP 10169921A JP 16992198 A JP16992198 A JP 16992198A JP 2000005203 A JP2000005203 A JP 2000005203A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
intraocular lens
lens
peripheral portion
outer peripheral
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10169921A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3801781B2 (ja
Inventor
Toshiyuki Nakajima
敏之 中島
Toshiichi Kikuchi
敏一 菊池
Kenichi Kobayashi
研一 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
STAAR Japan Inc
Original Assignee
Canon Staar Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Staar Co Inc filed Critical Canon Staar Co Inc
Priority to JP16992198A priority Critical patent/JP3801781B2/ja
Publication of JP2000005203A publication Critical patent/JP2000005203A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3801781B2 publication Critical patent/JP3801781B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Prostheses (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水晶体の代わりに挿入する眼内レンズの
術後において、増殖する水晶体上皮細胞が前記光学部内
に侵入することを阻止し、後発白内障の防止効果を高め
ることのできる眼内レンズおよびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 眼内レンズ1の光学部20とその外周部
27aを不連続な面で構成すると共に、前記外周部27
aが連続する凹面形状27となっていることで、眼内レ
ンズ1の光学部20と後嚢8aの接触面を鋭角とし、増
殖する水晶体上皮細胞9が前記光学部20内に侵入する
ことを阻止し、かつ前記光学部20と離れた方向に増殖
できる余地を残すことで、後発白内障の防止効果を高め
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、白内障で水晶体
を摘出した後に、水晶体の代わりに挿入される眼内レン
ズおよびその眼内レンズの製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】眼内レンズは、白内障手術の際に除去し
た水晶体に代用して挿入されるものである。1949年
にリドレイ(Ridley)により始めて移植に成功し
て以来、その素材、形状についてさまざまな研究がなさ
れてきた。また、素材の面でも種々の研究がなされそれ
に伴い手術方法も大きな変革を遂げてきている。最近で
は、超音波乳化吸引術等の普及もあり、混濁した水晶体
の除去等の水晶体摘出手術に必要な切開創が小さくてす
むようになり、挿入する眼内レンズに要求される特性も
変革しつつある。例えば、特開昭58―146346号
公報に開示されているように、光学部が弾性体等の変形
可能な眼内レンズが出現し、折りたたんだ形で小さな切
開創から眼内に挿入し、嚢内で開かせる手法およびそれ
ら変形可能な眼内レンズを圧縮したり、折り曲げて眼球
内に挿入するための挿入器具も開示されている。
【0003】眼内レンズの素材は、切開創6mm程度が必
要なポリメチルメタクリレート(PMMA)から、シリ
コーン、アクリル樹脂等の変形後に復元可能な樹脂に次
第に移行している。また、近年ではヒドロキシエチルメ
タクリレートとメチルメタクリレート等との共重合体や
メタクリル酸―2―ヒドロキシエチル(HEMA)等も
研究の対象となっている。眼内レンズの形状は、円形の
光学部とは別素材でループ状の支持部を持つもの、ルー
プ状の支持部が光学部と同一素材で一体化したもの、支
持部が板状のもの等さまざまなものが研究、実用化され
ている。眼内レンズの製法は、PMMA素材を機械加工
により眼内レンズ形状に切削して光学部をバフ研磨する
方法、複数の眼内レンズを砥粒溶液中で攪拌して研磨を
行うタンブリング法、さらには素材を型の中で重合また
は架橋して成形するモールド法等に移行して、大量生産
を可能にしている。
【0004】一方で眼内レンズの挿入術式は、水晶体前
嚢中央を切開し、嚢内分の水晶体実質、皮質繊維細胞を
前述の超音波乳化吸引法等により除去した後、眼内レン
ズを嚢内に挿入する方法が一般化している。このような
眼内レンズ、手術方法の改良にも関わらず、眼内レンズ
挿入後に残った水晶体上皮細胞が増殖を起こし、増殖し
た水晶体上皮細胞の一部が繊維化して、水晶体後嚢側に
向かうことがある。通常この繊維化した水晶体上皮細胞
は白濁しており、それが後嚢側を透過する光を散乱させ
て光透過率を低下させるため、視力を低下させる後発白
内障が起こる場合がある。この繊維化した水晶体上皮細
胞は水晶体嚢赤道部から次第に中心に向けて増殖するの
が一般的であり、眼内レンズ等埋植物と水晶体上皮細胞
の増殖がそれ以上進まないように阻止できると考えられ
ている。
【0005】以下、図13乃至図15を参照して眼内レ
ンズ1の従来技術について説明する。図13は水晶体摘
出前の人眼2の断面図であり、人眼2は、角膜3、虹彩
4、水晶体5、硝子体6、網膜7からなっている。
【0006】現在良く行われている超音波乳化吸引術
は、水晶体5の嚢8を残して実質を超音波で乳化吸引し
て除去するものである。水晶体5の実質を除去し終えた
時点で眼内レンズ1を挿入する。この状態を示したもの
が図14である。超音波乳化吸引術により水晶体5実質
を除去し、眼内レンズ1を挿入した後でも、前述のよう
に、水晶体上皮細胞9の増殖により後発白内障を起こす
ことがある。図15の(a)は、その状態を表わす断面
図である。この図では、特に、砥粒を含む液体中に眼内
レンズをいれて攪拌することで光学部1aを研磨するタ
ンブリング法により製造された眼内レンズ1を示してお
り、タンブリング法により製造された眼内レンズ1は表
面全体が砥粒と接触することで研磨されており、特に、
角部が砥粒により滑らかになり、光学部1aと外周部1
0が連続する面になる形状をもつのが一般的である。そ
のため、眼内レンズ1と後嚢8aとの接触角が鈍角にな
り、水晶体嚢赤道部11付近から後嚢8a側に増殖した
水晶体上皮細胞9が眼内レンズ1の光学部1a内の裏面
側に入り込み易い形状となっている。そのため、光学部
1a内に増殖した細胞により後発白内障を生ずる可能性
が高い。
【0007】上述した欠点を解消して図15の(b)に
示す断面図のように、光学部1aと外周部10が不連続
な面で構成され、光学部1aと後嚢8aの間に水晶体上
皮細胞9が増殖するのを阻止するような形状をもつもの
も開示されている。このような形状の眼内レンズ1にお
いては、光学部1a内に増殖することは妨げるものの、
眼内レンズ外周部10と後嚢8aとの接触点付近で不規
則な方向に増殖を続ける可能性があり、時間の経過とと
もに光学部1a内に侵入して上述の例と同じように後発
白内障を生ずることがある。
【0008】この考えに基づいて、水晶体上皮細胞9が
レンズ光学部1aにまで増殖することを防止するための
方法として以下のようなものが知られている。特開平8
―317943号、特開平9―173363号では眼内
レンズとは別のリング状の部材を水晶体嚢に移植し、そ
の眼内レンズを移植する方法をを示し、特開平8―25
7146号では眼内レンズ光学部周辺に突起を設け、突
起と水晶体後嚢との接触角により、繊維化細胞の増殖を
阻止するような方法を、特開平10―211号では眼内
レンズ支持部の断面形状に陵部を設けた方法を示してお
り、水晶体上皮細胞9が眼内レンズ1の光学部1aにま
で増殖することを防止するようにしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、後発白内
障を積極的に防止しようとする方法は、いずれもその目
的のために埋植物を付加する、眼内レンズ光学部に突起
部を設ける、眼内レンズ支持部に陵部を設けるなど、従
来の眼内レンズに対して付加的な埋植物体、複雑な加工
などが必要となり、従来の眼内レンズもしくは眼内レン
ズ挿入術に比べて、その手術の手間、製造コストの面か
ら術者に負荷を与えるという問題点を有していた。
【0010】本発明は、上述の事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、眼内レンズの光学部と
その外周部を不連続な面で構成すると共に、前記外周部
が周方向に沿って一様な凹面形状となっていることで、
眼内レンズの光学部と後嚢の接触面を鋭角とし、増殖す
る水晶体上皮細胞が前記光学部内に侵入することを阻止
し、かつ前記光学部と離れた方向に増殖できる余地を残
すことで、後発白内障の防止効果を高めることのできる
眼内レンズおよびその製造方法を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の眼内レ
ンズによれば、外周部により接合された2つの光学面で
構成される光学部、または前記光学部と同一材料で光学
部と一体的に構成される周辺部を有する眼内レンズにお
いて、前記光学部または前記光学部の周辺部と前記外周
部とが不連形状で接合し、かつ、前記外周部が連続する
凹面形状となったものである。前記構成によれば、増殖
してきた水晶体上皮細胞を光学部と不連続に構成された
外周部でその増殖がレンズ光学部に侵入することを防ぐ
ばかりでなく、増殖する細胞を積極的に赤道部方向に戻
すという効果も備えるので、単純に不連続な角部を有す
る形状よりさらに水晶体上皮細胞が光学部内に侵入する
可能性を低くするものであり、結果として後発白内障の
発生を防ぐことができる。
【0012】請求項2の発明は、前記請求項1に記載の
眼内レンズにおいて、前記光学部または前記光学部の周
辺部と前記外周部が接合して形成される角度が鋭角であ
ることを特徴としたものである。
【0013】請求項3の発明は、前記請求項1に記載し
た眼内レンズにおいて、前記光学部と同一材料で一体的
に構成される周辺部は、眼内の所定の位置に保持する支
持部を含むことを特徴とするものである。
【0014】請求項4の発明は、前記請求項1または請
求項3に記載した眼内レンズにおいて、前記光学部およ
び前記光学部の周辺部は弾性機能を有する材料からなる
ことを特徴とするものである。
【0015】請求項5の発明は、弾性機能を有する材料
により構成され、外周部により接合された2つの光学面
で構成される光学部、および前記光学部と同一材料で光
学部と一体的に構成される周辺部を有する眼内レンズの
製造方法において、前記光学部および、光学部と同一材
料で一体的に構成される周辺部の最終形状より大きな形
状に形成する第1工程、前記同一材料で一体化した周辺
部に対して光学部の光軸方向に略一致する方向に弾性変
形範囲内で加圧する第2工程、前記加圧状態で最終形状
に加工を行う第3工程を含むことを特徴とするもので、
前記請求項1の発明の眼内レンズを旋盤による切削加工
等の付加的な加工で最終形状に仕上げるという工程なし
に実現する製造方法であり、最終形状より大きく形成さ
れた眼内レンズを、その周辺部を加圧して生じる材料の
変形を利用し、変形状態で最終形状に加工することで、
請求項1に記載された眼内レンズを製造する方法であ
り、工数の増加によるコスト高を回避して製造する方法
を、光学部および光学部の周辺部が、弾性機能を有する
眼内レンズ特有の性質を用いて可能にしている。
【0016】請求項6の発明は、外周部により接合され
た2つの光学面で構成された光学部、または前記光学部
と同一材料で光学部と一体的に構成される周辺部を有す
る眼内レンズの製造方法において、前記2つの光学面の
うち一方を形成する第1の型部材、弾性機能を有する材
料で構成され前記外周部を形成する第2の型部材、もう
一方の光学面を形成する第3の型部材を用い、第2の型
部材を前記光学部の光軸に略一致する方向に弾性変形範
囲内で加圧する工程を含むことを特徴とするものであっ
て、請求項1の発明の眼内レンズを特に型の中に眼内レ
ンズ材料を流し込んで成形する製造方法の場合に、成形
終了後除圧することで通常の非弾性体の型では不可能な
形状の成形を可能としたものであって、この製造方法に
よれば、成形時に発生するバリをおさえることもでき、
通常発生する二次加工の工程を省略することも可能とな
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る眼内レンズの
第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明す
る。図1は、本発明の眼内レンズの側面図、図2は、図
1の正面図、図3は、本発明の眼内レンズを水晶体嚢内
に挿入した状態の設明図。図4は本発明の眼内レンズが
水晶体嚢内に挿入された状態での水晶体上皮細胞増殖の
様子を表わす説明図である。
【0018】図中、20は眼内レンズ1の光学部であっ
て、ポリ・メチル・メタクリレート(PMMA)、シリ
コーンゴム等の透明な弾性体で形成されており、この光
学部20の外周部21には、この光学部20を眼内で支
えるポリイミド、PMMA等の異種材料で形成された一
対の支持部22が対向した位置に突出して形成されてい
る。光学部20は光学面20a,20bが前記外周部2
1で結合される構成をもっている。
【0019】前記各支持部22の基端22aは支持部固
定ピン23により光学部20の外周部21近傍にそれぞ
れ固定されていると共に、各遊端22bはそれぞれ前記
光学部20側に湾曲されて形成され、弾性により変形し
て前記光学部20を水晶体嚢8内の中心に位置決めでき
るようになっている。24は、前記光学部20の外周部
21に連続し、かつ先端部20中心方向に凹む凹面形状
である。
【0020】以上のように構成された第1実施形態の眼
内レンズは、図3に示すように、水晶体嚢8内に挿入し
て使用した場合には、図4に示すように、増殖してきた
水晶体上皮細胞9が光学部20の光学面20b内に侵入
するを阻止できるだけでなく、光学部20と離れた方向
に増殖出来る余地を残すことで、後発白内障防止効果を
高めることができる。
【0021】図5,図6は、本発明の第2の実施形態を
示す眼内レンズ1で、この眼内レンズ構造では、光学部
20の同一面周辺部25aに支持部25が形成されてお
り、この支持部25によって眼内レンズ1の前記光学部
20を水晶体嚢8内の中心部に位置決めできるようにな
っている。また前記支持部25には、支持部25を上下
方向に貫通する小孔26が前記光学部20を挟んで対応
して形成されており、これらの小孔26,26は、図示
しないが水晶体の前嚢と後嚢とを接触させて早期に癒着
を促進させることで、眼内レンズ1が水晶体嚢内で回転
することを防止する機能を有する。27は前記支持部2
5の外周部27aの周方向に形成された凹面形状であ
る。
【0022】以上のように構成された本発明の第2実施
形態の眼内レンズにおいても、前述の第1実施形態の眼
内レンズ1と同様に、増殖する水晶体上皮細胞が光学部
20の光学面20b内に侵入することが防止出来、かつ
光学部20と離れた方向に増殖できる余地をのこすこと
も勿論可能であり、後発白内障防止効果を高めることが
できる。
【0023】本発明に係る眼内レンズについて、第1の
実施形態では、光学部20の成形部材と異種部材で成形
した支持部22を有する眼内レンズ1を、また第2実施
形態では、光学部20の同一面周辺部25aに形成した
支持部25を有する眼内レンズ1について説明したが、
これに限定されることなく、支持部が光学部を挟んで両
側に一体的に形成された形態を有する眼内レンズであっ
ても、光学部および支持部の外周部に凹面形状を形成し
たものであれば、前述の実施形態と同様な効果を得るこ
とができることは勿論である。
【0024】以下、本発明に使用する眼内レンズの好適
な製造方法について説明する。従来知られているような
成形により本発明の眼内レンズ1の形状を実現するには
成形型割りに工夫が必要であり、一般的な型割り方法を
用いると、眼内レンズ1の外周部が凹面形状であるた
め、成形された眼内レンズを変形させないと成形型から
容易に取り出せないという問題点が生じて好ましくな
い。また、前記外周部を凹面形状に一次加工した後に、
タンブリング研磨を行うと外周部と光学部の光学面との
結合点が連続した面になり、水晶体上皮細胞が光学部内
に増殖することを防ぐという本発明の効果を減少してし
まう。
【0025】したがって、本発明の眼内レンズを製造す
るには、従来の成形による方法、バフ研磨、タンブリン
グ研磨により光学面を研磨形成の後、機械加工等の公知
の加工法により外周部を二次加工して本発明形状に仕上
げる必要があり、それにより工数が増加する。
【0026】そこで、前記工数を増加させることなし
に、前述の図1乃至図6に示す眼内レンズを製造する方
法を以下に図7乃至図12を用いて説明する。図7,図
8は、本発明の眼内レンズ1の製造方法を示す第1の実
施形態である。この第1の実施形態においては、光学部
20が弾性体で形成された眼内レンズ1を成形する製造
方法を示す。
【0027】第1のプロセスは、既知の少なくとも光学
部20が弾性体で形成された眼内レンズの製造方法によ
り図7の破線で示されるような最終形状30よりおおき
な形状の一次加工品を製造する工程である。図7では図
6に示すような光学部20と支持部25が同一材料で一
体化した例を示している。一次加工品は光学部20と小
孔26がすでに形成されており、破線で示す最終形状3
0より大きな支持部28を持つ形状になっている。
【0028】第2のプロセスは、図8に示すように、上
型31、下型32により光学部20周辺部25aを光軸
と略垂直方向で一様に加圧する工程である。この工程で
の加圧力は少なくとも光学部20を含む弾性体が弾性変
形可能な範囲内である。また、加圧部位は光学部20の
周辺部25aを含む支持部25のみであり、弾性体の変
形により内部応力を解放するために図中矢印33に示す
ように、上下方向にのみ加圧を行い、水平方向、および
紙面垂直方向は自由に変形可能なように解放されてい
る。
【0029】このように、弾性変形範囲で一方向に圧力
をかけることにより、弾性体で構成された支持部25の
形状は圧力のかからない端部で断面形状のような凸面形
状29となるような変形を生じる。
【0030】第3のプロセスは、圧力をかけたままで最
終形状30に加工する工程である。図8では一例として
切断による加工を示している。眼内レンズ1の最終加工
形状30と同じ形状を持つ抜型34が上,下型31,3
2に沿って下方の二点鎖線の位置まで移動して眼内レン
ズ1の前記おおきな支持部28を切断する加工方法を示
している。そして、最終形状加工が終了した後、上,下
型31,32に対する上下方向からの圧力を解除する。
【0031】前述のように、加圧力は弾性体の弾性変形
可能な範囲であるため、圧力を解放することで弾性体は
もとの形状に復帰する。一方、最終形状加工時に加圧さ
れた外周部27aは圧力により型の周囲に向かって凸面
形状29に変形していたため、圧力を取除くことでもと
の形状に復帰したとき加工面は逆に凹面形状27となっ
ている。
【0032】換言すれば、除圧後の外周部27aの形状
は、図5に示すように、支持部25と不連続でかつ、周
方向に沿って一様に凹んだ凹面形状27となっている。
本実施例では、図5,図6に示すような光学部20と支
持部25が同一の弾性体で構成された眼内レンズ1の製
造方法について説明したが、特に、この形態に限定され
ず光学部20のみが弾性体で構成された図1,図2に示
すような眼内レンズの光学部20を製造する方法も同様
に可能である。
【0033】図9,図10は本発明の眼内レンズの製造
方法を示す第2の実施形態である。本製造方法は、図9
に示すように、一方の光学面20aを形成する上型3
1、もう一方の光学面20bを形成する下型32、およ
び外周部27aを形成する弾性機能を持つ素材で構成さ
れた中型35の3つ型部材を用いて製造される。図10
は、例えば合成ゴム等弾性機能を有する素材で構成され
る中型35を図9の上方から見た平面図である。このよ
うに中型35は眼内レンズ1の最終形状30に近い形状
の穴36をもっており、その厚み方向の面で眼内レンズ
の外周部27aを形成する構造になっている。また、こ
の中型35の厚みは眼内レンズ1の外周部27aの厚さ
より弾性変形可能な範囲Δdだけ厚く形成されている。
【0034】図9は、眼内レンズ1の成形中の状態を示
しており、図中の矢印33で示すように、上型31と下
型32は上下方向から所定圧力に加圧されている。図に
示されるように、中型35の端部は加圧により応力が解
放される水平および紙面垂直な方向では、一様な凸面形
状36に変形している。また、中型35が圧力により変
形することで、不図示ではあるが上,下型31,32と
中型35との間にできる微小な間隙も中型35が変形す
ることで埋めることができる。
【0035】このため本発明の製造方法によれば、金属
等の塑性体で構成される型同志では回避できないバリも
中型35が変形することで、いわゆるパッキンのような
役割をなすため、バリが生じない成形が可能となる。特
に、原料の粘性が低い眼内レンズ材料の場合、従来金属
等の塑性物で型を構成しており、精密仕上げを行っても
ほんのわずかな間隙にまで材料が回り込んでしまい、バ
リをなくすことができなかった。そのため、バリをなく
すための二次加工が必要であったが、前記中型35の開
発により前記二次加工の作業を省略できた。
【0036】そして、本発明の眼内レンズ材料は上,下
型31,32を合わせる前に所定量だけ注入される、
上,下型31,32を合わせた後に図中不図示のゲート
から型内に材料を注入するなど既知の方法により成形さ
れる。成形終了後、上型31,下型32を再び開く時に
は、中型35がもとの形状に復帰するので、成形された
眼内レンズ1の外周部27aが凹面形状27に成形され
ても中型35と干渉することなく取出すことができる。
【0037】図7乃至図10では、図5,図6に示すよ
うな光学部20と支持部25が同一材料で構成された眼
内レンズ1の製造例を示したが、特に、このような形態
に限定されるものではない。
【0038】図11,図12は、図1,図2に示すよう
な、光学部20と支持部22が別部材、別材料により構
成された眼内レンズ1の製造例である。この製造方法に
おいても、前述の図9,図10に示す方法と同様に、
上,下型31,32および弾性機能を有する中型35の
3つの型部材を用いて製造するものであって、上,下型
31,32を矢印33の上下方向に加圧することで、中
型35を押圧変形させ、前述の実施形態同様に光学部2
0の外周部21の周方向に沿って凹面形状24を容易に
形成できる。
【0039】また、本製造方法によれば、成形される眼
内レンズ1は特に弾性材料に限らず、従来からあるPM
MA等のいわゆる固い素材であっても製造が可能であ
る。さらにまた、本実施例では図5,図6または図1,
図2に示すような眼内レンズの製造方法を示したが、ル
ープ状の支持部が光学部と同一部材で構成された眼内レ
ンズにも応用可能であることは明白である。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本願第一の発明に
よる眼内レンズによれば、光学部または光学部の周辺部
が外周部と不連続形状で接合し、かつ外周部が連続する
凹面形状となった構成としたので、増殖してきた水晶体
上皮細胞を光学部と不連続に構成された外周部でその増
殖がレンズ光学部に侵入することを防止するばかりでは
なく、増殖する細胞を接極的に赤道部方向に戻すという
効果も備えるので、単純に不連続な角部を有する形状よ
りさらに水晶体上皮細胞が光学部内に侵入する可能性を
低くするものであり、結果として生じる後発白内障の発
生を防ぐことができる効果がある。
【0041】本願第二の発明による眼内レンズの製造方
法は、本願第一の発明による眼内レンズを旋盤による切
削加工等の付加的な外周部の溝付け加工なしに実現する
製造方法であり、眼内レンズ製造時に、光学部および光
学部の周辺部が弾性機能を有する眼内レンズ特有の性質
を用いて、前記周辺部を含む支持部を加圧することに起
因する材料の変形を利用した変形状態で最終形状に加工
する製造方法であるため、工数の増加によるコスト高を
回避して製造できるという効果がある。
【0042】本願第三の発明による眼内レンズの製造方
法は、本願第一の発明による眼内レンズを特に型の中に
眼内レンズ材料を流し込んで成形する製造方法の場合
に、外周部を形成する型部材を弾性体で形成し、型部材
を加圧変形した上で成形を行い、成形終了後除圧するこ
とで通常の非弾性体の型では不可能な形状の成形が行え
ると共に、成形時に発生するバリを押さえ、通常発生す
る二次加工の工程を省略できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の眼内レンズの一実施形態を示す側面
図。
【図2】図1の眼内レンズの正面図。
【図3】本発明の眼内レンズを人間の目に挿入した状態
の断面を示す説明図。
【図4】本発明の眼内レンズが水晶体嚢内に挿入された
状態での水晶体上皮細胞増殖の様子を表わした説明図。
【図5】本発明の眼内レンズの別の実施形態を表わす側
面図。
【図6】図5の眼内レンズの正面図。
【図7】本発明の眼内レンズ製造方法に係る中間工程に
より形成された眼内レンズ。
【図8】本発明の眼内レンズ製造方法の第一実施例を示
す断面図。
【図9】本発明の眼内レンズ製造方法の第二実施例を示
す断面図。
【図10】本発明の眼内レンズ製造方法の第二実施例に
用いる一部の型の平面図。
【図11】本発明の眼内レンズ製造方法の第二実施例に
係る別形態の断面図。
【図12】本発明の眼内レンズ製造方法の第二実施例に
係る別形態に用いる一部の型の平面図。
【図13】人間の目の断面を示す説明図。
【図14】従来の眼内レンズを水晶体嚢内に挿入した状
態の説明図。
【図15】(a)は従来の眼内レンズが水晶体嚢内に挿
入された状態での水晶体上皮細胞増殖の様子を表わす説
明図。(b)は従来の改良された眼内レンズが水晶体嚢
内に挿入された状態での水晶体上皮細胞増殖の様子を表
わす説明図。
【符号の説明】
1 眼内レンズ 3 角膜 4 虹彩 5 水晶体 6 硝子体 7 網膜 8 嚢 9 水晶体上皮細胞 20 光学部 21 外周部 22 支持部 24 凹面形状 25 支持部 26 小孔 27a 外周部 27 凹面形状 30 最終形状 31 上型 32 下型 34 抜き型 35 中型
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AB22 CA081 CA231 CA271 DA01 DB07 EA02 EA03 4C097 AA25 BB01 CC01 DD02 DD04 EE03 EE11 FF20 MM02 MM03 SA10

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外周部により接合された2つの光学面で
    構成される光学部、または前記光学部と同一材料で光学
    部と一体的に構成される周辺部を有する眼内レンズにお
    いて、前記光学部または前記光学部の周辺部と前記外周
    部とが不連続形状で接合し、かつ、前記外周部が連続す
    る凹面形状であることを特徴とする眼内レンズ。
  2. 【請求項2】 前記光学部または前記光学部の周辺部と
    前記外周部が接合して形成される角度が鋭角であること
    を特徴とする請求項1に記載の眼内レンズ。
  3. 【請求項3】 前記光学部と同一材料で一体的に構成さ
    れる周辺部は、眼内の所定の位置に保持する支持部を含
    むことを特徴とする請求項1に記載の眼内レンズ。
  4. 【請求項4】 前記光学部および前記光学部の周辺部は
    弾性機能を有する材料からなることを特徴とする請求項
    1または請求項3に記載の眼内レンズ。
  5. 【請求項5】 弾性機能を有する材料により構成され、
    外周部により接合された2つの光学面で構成される光学
    部、および前記光学部と同一材料で光学部と一体的に構
    成される周辺部を有する眼内レンズの製造方法におい
    て、前記光学部および、光学部と同一材料で一体的に構
    成される周辺部の最終形状より大きな形状に形成する第
    1工程、前記同一材料で一体化した周辺部に対して前記
    光学部の光軸方向に略一致する方向に弾性変形範囲内で
    加圧する第2工程、前記加圧状態で最終形状に加工を行
    う第3工程を含むことを特徴とする眼内レンズの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 外周部により接合された2つの光学面で
    構成された光学部、または前記光学部と同一材料で光学
    部と一体的に構成される周辺部を有する眼内レンズの製
    造方法において、前記2つの光学面のうち一方を形成す
    る第1の型部材、弾性機能を有する材料で構成され前記
    外周部を形成する第2の型部材、もう一方の光学面を形
    成する第3の型部材を用い、第2の型部材を前記光学部
    の光軸に略一致する方向に弾性変形範囲内で加圧する工
    程を含むことを特徴とする眼内レンズの製造方法。
JP16992198A 1998-06-17 1998-06-17 眼内レンズの製造方法 Expired - Fee Related JP3801781B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16992198A JP3801781B2 (ja) 1998-06-17 1998-06-17 眼内レンズの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16992198A JP3801781B2 (ja) 1998-06-17 1998-06-17 眼内レンズの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000005203A true JP2000005203A (ja) 2000-01-11
JP3801781B2 JP3801781B2 (ja) 2006-07-26

Family

ID=15895429

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16992198A Expired - Fee Related JP3801781B2 (ja) 1998-06-17 1998-06-17 眼内レンズの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3801781B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009104516A1 (ja) * 2008-02-20 2009-08-27 Hoya株式会社 眼内レンズ製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009104516A1 (ja) * 2008-02-20 2009-08-27 Hoya株式会社 眼内レンズ製造方法
JP2009196136A (ja) * 2008-02-20 2009-09-03 Hoya Corp 眼内レンズ製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3801781B2 (ja) 2006-07-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100438477B1 (ko) 안내 렌즈 및 일체형 안내 렌즈의 제조 방법
US6638306B2 (en) Accommodating intraocular lens having t-shaped haptics
AU2001238479B2 (en) Intraocular lens manufacturing process
US5567365A (en) Method of producing repositionable intraocular lenses
US5507806A (en) Multi-faceted intraocular lens
CN1479598A (zh) 虹膜固定的眼内透镜
KR20100040958A (ko) 개선된 후방 표면 설계를 갖는 원환체 콘택트 렌즈
US20050237481A1 (en) Contact lenses having a rounded edge form
EP1768836A2 (en) Iol and method of manufacturing an iol
JPH09507183A (ja) ソフトレンズを備えた眼内インプラントの製造法
CZ282355B6 (cs) Implantovatelná oftalmická čočka, způsob její výroby a forma k provádění tohoto způsobu
EP3230053B1 (en) Apparatus and method of manufacture of intraocular lenses
JP4974527B2 (ja) 一体型眼内レンズ及びその製造方法
EP0329598A2 (en) Flexible contact lens for enhanced movement on the eye
JP2000005203A (ja) 眼内レンズ及びその製造方法
US6431706B1 (en) Method for cast molding contact lenses with a rounded edge form
JPS6361225A (ja) 眼用レンズの製造方法
JPH0577487B2 (ja)
JP2839255B2 (ja) 眼内レンズ用バルーン体の製造方法
CN109303625B (zh) 具有防止后囊膜混浊和眩光的人工晶体及其制备方法
EP1441898B1 (en) Insert and method for cast molding contact lenses with a rounded edge form
JPH0555294B2 (ja)
JPS62170240A (ja) 眼内レンズ

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051129

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060307

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060411

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060426

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090512

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100512

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110512

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees