WO2023027093A1 - 粘土状スラッジの処理方法 - Google Patents

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Abstract

粘土状スラッジに、水分吸収作用及び発熱作用をもたらす添加物として生石灰を添加する。粘土状スラッジとは、水分を20重量%前後、詳細には15重量%以上25重量%以下含有し、粘着性があり解砕が難しいスラッジである。生石灰の添加量は、少なくとも3重量%以上とする。そして、生石灰を添加した粘土状スラッジを、ロッド(3)を収納したドラム(2)を備えた振動式混錬装置(1)に装入し、ドラム(2)に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることにより、粘土状スラッジを効率的に解砕、細粒化するとともに水分を低減させて、粉粒体又は造粒物にする。

Description

粘土状スラッジの処理方法
 本発明は、粘土状スラッジの処理方法に関する。
 スラッジには、水分を20重量%前後、詳細には15重量%以上25重量%以下含有し、粘着性があり解砕が難しい粘土状スラッジがある。
 粘土状スラッジは、例えば以下に述べるようなスラリーの固相回収過程で発生する。工場や土石類採掘場・置場、汚水処理場等では、一般に大量に水を使った水処理が行われ、それに伴い大量のスラリーが発生する。また、集塵機等で収集した乾燥粉ダストが水処理される場合も、スラリーが発生する。スラリーは、搬送性を高めるために固相濃度は薄くしてあり、固相を回収するにはスラリーを沈殿ピットに入れて固相を底部に沈殿させ、固相濃度の高いスラリーと上澄み液とに分けられる。沈殿ピットは、通常ピット間にオーバーフロー堰のある隔壁が設けられ、固相は上流から順次粗粒から細粒が沈殿し、複数ピット間で粒度別の沈殿物が回収される。粗粒沈殿物は、水切りが良いので、掻き揚げて水切り場に置くだけで低水分となり、重機や運搬での取り扱いは可能になる。しかしながら、微粒沈殿物は、ピットでの沈降が遅く、長時間かけて沈降・沈殿させないと濃縮しない。また、ピットだけでは沈降しきれないままの上澄み液は、さらにシックナー、沈殿池、ラグーン等に入れて長期間静置して微粒の沈降、沈殿を促進する。これらピットやシックナー等で濃縮した高濃度微粒スラリーは、直接利用する場合にはバキュウムカー等の特殊車両で運搬されて使用される。しかしながら、直接利用の用途は限られるので、トラックやベルトコンベヤ等での移送及び再利用をするためにさらに脱水される。脱水には、フィルタープレス等の脱水機が使われる。また、脱水機を使用しない方法として、ピットや沈殿池等の底部に泥状にたまったスラッジを浚渫して、水切り用置場にかき揚げ、天日で自然乾燥(風乾)が行われる。こうして得られた脱水ケーキ及び天日乾燥したスラッジが、粘土状スラッジである。
 この粘土状スラッジは、粘着性があり解砕が難しいので、そのままトラックやベルトコンベヤで搬送する場合、粘土状スラッジが搬送機に粘着し、機体に付着するのみならず、搬送機から一部落下し、搬送経路を汚染するという課題がある。また、粘土状スラッジは、そのままでは埋め立て地の受け入れ水分基準を満たさないという課題もある。さらに、搬送後の粘土状スラッジを利用する工場においても、粘着性があるためショベル作業等のハンドリング作業を困難にし、また、処理工場の貯蔵槽の壁や切り出し口等に付着を起こす等して処理作業を困難にするという課題を抱えている。
 以上のような課題があるため、粘土状スラッジの水分を低減させることが求められている。
 一般に、迅速かつ着実に乾燥させる工業的方式として、加熱乾燥炉を用いる加熱乾燥法がある(例えば特許文献1)。しかしながら、加熱乾燥法では、設備費やエネルギー、人手を要する他、環境負荷が大きく排ガスの集塵や燃焼排ガス中NOX、炭酸ガス除去等の環境対応諸設備の装備や作業が必要となり、経済的負担が大きい。また、粘土状スラッジの発生場所は、大工場等では一箇所にとどまらず複数に分散していることがあり、複数箇所に加熱乾燥炉を設置しなければならず、経済的負担が大きくなり、設置を難しくしている。
 また、加熱乾燥法のような経済的負担や環境負荷を避けるべく、天日乾燥法が広く行われている。天日乾燥法は、処理場で、何週間何ケ月にわたり長期間放置し乾燥させる。そのため、広大な置き場を必要とする。特に冬場になると乾燥速度が遅くなり、また、季節を問わず乾燥途中で雨が降れば水分が元に戻るという課題がある。また、天日乾燥法では、堆積山の内部まで乾燥させようとすると、表層が乾きすぎ、風でダストが表層部から飛散し、粉塵発生源となるという課題も派生する。
 さらに、加熱乾燥法及び天日乾燥法のいずれでも、乾燥過程で粗大に固結しやすい。こうして得られた固結物は、用途により篩い分け、整粒して粒度別に利用される。しかしながら、塊の強度が低いためにハンドリング中に粉化し、塊としての再利用を難しくしている。また、乾燥方法によって塊の粒径が変化し、再利用に要求される粒径に応えることが難しい。塊として再利用するには、使用目的に応じた粒径のつくりわけとハンドリングに耐える強度の確保が求められる。
 また、再利用には、粉粒体を使用する場合が多いので、固結物を篩い分けて破砕機等で破砕・粉砕する必要があり、余分な手間やコストがかかるという課題がある。
 上記のような課題を改善するために、天日乾燥法の水分低減促進技術として、凝集剤を添加する改善法が提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、凝集剤によっては高価になり、この方式をもってしても、粘着性がなくなる水分レベルまで低下させるにはなお数日の天日乾燥を要し、天日乾燥法の根本的な課題は解決されていない。また、この方式では、再利用の目的によっては、固結粗大粒の生成や添加物の凝集剤成分が支障となる場合もある。
 非焼成法の他の改善技術として、酸化発熱性スラッジを活用する方式が提案されている(例えば特許文献3)。酸化発熱剤の堆積山の底部から空気又は予熱空気を吹き上げて、酸化発熱により効率的に水分を低減する方式である。しかしながら、必要となる酸化発熱性スラッジの入手が限られ、普遍的に応用できる技術とはいえない。また、吹き上げによる表層からの発塵の環境問題が派生するとともに、この方式も、乾燥品には固結粗大粒が生成し、再利用には篩い分け、破砕・粉砕を行なわねばならない課題が残る。
 また、非焼成法の他の改善技術として、スラッジに生石灰を添加して、生石灰による水分吸収と発熱蒸散の効果で水分を低減させる技術が提案されている(例えば特許文献4、5、6)。生石灰を添加することは、産業界のみならず土建業界等で広範に行われている技術であり、実際、水分の低減には有効な手段である。しかしながら、従来知られているようにショベルや混錬機械を用いて生石灰を混合する場合、なお天日乾燥で養生して水分を10重量%以下まで低減させないと、粘着性を解消するに至らない(特許文献6)。これは、従来の混合法では、粘土状スラッジの解砕、細粒化が難しく、粗粒内部は脱水しないため、ハンドリング時に塊から水が滲みでてきて粘着性が解消できないためと考えられる。そのため、粗粒内部まで乾燥させる必要があり、混合処理後も時間をかけて天日乾燥の養生や加熱乾燥炉により水分を10重量%以下まで低減させるように乾燥が行われる。また、解砕が不十分のまま追加乾燥すると、粗大に固結し、篩い分け、破砕・粉砕しないと再利用ができないといった課題が依然として残る。
 以上述べたように、粘土状スラッジの処理に、公知技術及びその改善技術を適用しようとする場合、処理の効率性、経済性及び環境負荷のみならず、乾燥品の性状に改善すべき課題が残る。
特開平11-6019号公報 特開2016-109324号公報 特開2019-98327号公報 特開平6-238299号公報 特開平9-316513号公報 特開2000-237512号公報 特開2016-141826号公報 特開平2-169080号公報 特開平4-193749号公報
 上述したように、粘土状スラッジの処理方法として、加熱乾燥法や、天日乾燥法プラス乾燥品の篩い分け及び破砕・粉砕法が行われている。しかしながら、加熱乾燥法では、設備費、加熱エネルギー消費等による経済性や環境問題の課題があるばかりか、乾燥品の破砕・篩分け等の2次処理が必要となるといった課題がある。これを改善する非焼成処理法として天日乾燥法が行われているが、乾燥時間が長く広大な場所が必要となり、また、乾燥山表面からの発塵の問題がある。さらに、この改善技術として天日乾燥期間を短縮する提案がされているが、短縮効果はあるものの、なお最終段階では天日乾燥を必要としており、また、乾燥品の篩い分け、破砕・粉砕が必要になるといった課題が残る。
 また、乾燥により得られた固結物を塊として再利用するには、使用目的に応じた粒径のつくりわけとハンドリングに耐える強度の確保が求められる。十分な強度の塊にするために、わざわざ乾燥したものを造粒に適した粒度(例えば40μm程度以下)に粉砕して、さらにバインダーを添加し、造粒にふさわしい水分を添加して造粒する技術が提案されている(特許文献8、9)。しかしながら、このような方法では、塊成するために多大の設備、作業がかかりコスト負担が大きい。
 本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、加熱乾燥法や天日乾燥法での課題を解消して、粘土状スラッジを効率的に解砕、細粒化するとともに水分を低減させて、粉粒体又は造粒物にする処理方法を提供することを目的とする。
 本発明の粘土状スラッジの処理方法は、粘土状スラッジに、水分吸収作用及び発熱作用をもたらす添加物を添加する手順と、
 前記添加物を添加した前記粘土状スラッジを、ロッド又はミルを収納したドラムを備えた振動式混錬装置に装入し、前記ドラムに振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることにより粉粒体又は造粒物にする手順とを有することを特徴とする。
 本発明によれば、加熱乾燥法や天日乾燥法での課題を解消して、粘土状スラッジを効率的に解砕、細粒化するとともに水分を低減させて、粉粒体又は造粒物にする処理方法を提供することができる。
図1は、実施形態に係る粘土状スラッジの処理方法を説明するための図である。 図2Aは、スラッジの水分量と粒子間隙における水分の存在状態の関係(ペンジュラー状態)を説明するための図である。 図2Bは、スラッジの水分量と粒子間隙における水分の存在状態の関係(ファニキュラー状態)を説明するための図である。 図2Cは、スラッジの水分量と粒子間隙における水分の存在状態の関係(キャピラリー状態)を説明するための図である。 図2Dは、スラッジの水分量と粒子間隙における水分の存在状態の関係(浸漬状態)を説明するための図である。 図3は、試験例Aの結果を示す図である。 図4は、試験例Bの結果を示す図である。 図5は、試験例Cの結果を示す図である。 図6は、試験例Dの結果を示す図である。 図7は、試験例Eの結果を示す図である。
 以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
 図1は、実施形態に係る粘土状スラッジの処理方法を説明するための図である。粘土状スラッジとは、水分を20重量%前後、詳細には15重量%以上25重量%以下含有し、粘着性があり解砕が難しいスラッジである。
 粘土状スラッジに、水分吸収作用及び発熱作用をもたらす添加物として生石灰を添加する。生石灰の添加量は、少なくとも3重量%以上とする。
 そして、生石灰を添加した粘土状スラッジを、ロッド3を収納したドラム2を備えた振動式混錬装置1に装入し、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることにより、本実施形態では粉粒体にする。
 振動式混錬装置1は、高速攪拌式ロッドミルとも呼ばれ、例えば特許文献7に開示されている。特許文献7では振動式造粒装置として記載されているが、正式には振動混錬造粒装置である。本装置は、水分を造粒に適正な範囲に高めると造粒装置にもなるが、本願においては、水分を低減させる目的で混錬機能を発揮する装置として利用するので、振動式混錬装置と呼称する。図1に示すように、振動式混錬装置1は、内部に数十本のロッド3を収納するドラム2と、ドラム2の外周に装備され、ドラム2に円振動を起こさせる、振動モータを含む加振源4と、ドラム2を支持する架台5上の懸架装置6とを備える。加振源4は、2個の回転重錘式振動機により構成され、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせる。
 粘土状スラッジ槽7から粘土状スラッジが、生石灰槽8から生石灰が取り出され、生石灰を添加した粘土状スラッジがコンベヤ9を介してドラム2に投入される。加振源4(2個の回転重錘式振動機)を作動させると、ドラム2の内部のロッド3が加振源4の回転方向と逆回りの方向に運動する。その運動は自転と公転を組み合わせたような動作となって、ドラム2に投入した生灰石を添加した粘土状スラッジを、粉砕、混錬して粉粒体とする。処理品である粉粒体はドラム2からコンベヤ10を介して置場(屋内ヤードや貯蔵槽等)に搬出されて、貯蔵される。
 このように生石灰を添加した粘土状スラッジを振動式混錬装置1に装入し、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせる本方式により、粘土状スラッジと生石灰とを解砕、細粒化しながら摺動して密接触させて、生石灰に水分を吸収させ、かつ、消石灰化反応発熱で水分を蒸散させることができ、粘土状スラッジの水分を迅速にかつ均一に低減させ、移送や再利用処理等の作業性の良い粉粒体にすることができる。
 本願発明者は、スラッジの水分量が20重量%程度になると、乾燥速度が著しく低下し、乾燥が進まないことが粘着性をもたらしていることに着目し、なぜ脱水が停滞するのかの原因を解明し、あわせて従来方法では乾燥過程で固結粗大物が生成される根本原因を解明し、その原因を解消させることが、既存技術の課題解決に必要であると考えた。
 図2A~2Dは、スラッジの水分量と粒子間隙における水分の存在状態の関係を説明するための図である。スラッジの水分量が20重量%程度になると脱水が停滞する主な原因は、スラッジの粒子間隙に挟まれた毛管水の充填構造にあると推察して検討を加えた。粉体工学の基礎知識から推察すれば、粉体充填中の水分量が約20重量%になることを境として、毛管水の連通構造(ファニキュラー状態図:図2Bを参照)が毛管水の架橋構造(ペンジュラー状態:図2Aを参照)に変わり、間隙水の連通構造がとぎれ、空気が連通するようになり、粒子間を架橋している水にメニスカスが形成し保水力が高くなり、脱水のメカニズムが変わる。粘土状スラッジを構成する粒子は、数十μm以下の微粒子であり、間隙水の移動は難しくなり、また、蒸発し難くなる。因みに、間隙水が浸漬状態(図2Dを参照)にある場合がスラリー状態であり、脱水機や天日乾燥等で脱水が比較的順調に進むのはキャピラリー状態(図2Cを参照)にあるためと考えられ、これらの状態では、毛管水が連通して自由水表面と同じ蒸発状態にあり、一般の水面からの蒸発速度に等しいからである。したがって、水分量が20重量%程度になると、粒子間の毛管水が架橋構造となることを境として、特に微粒子のスラッジは急激に蒸発が難しくなり、乾燥速度が急激に低下し、天日乾燥を停滞させる原因となっていると考えられる。
 加熱乾燥法は、ペンジュラー状態で乾燥停滞を起こしているのを、加熱による温度上昇により間隙水の飽和蒸気圧を上げることにより蒸発を促進する技術であるが、経済的でなくエネルギー消費・環境問題が多いといった課題がある。したがって、非焼成法が望ましいが、天日乾燥法では、常温では脱水停滞により蒸発に長時間を要する。
 上記の考察に基づき、既存技術の脱水停滞要因と効率的に脱水停滞を解消するための実験を行った。
 生石灰は、水分吸収剤として有効な手段となることは知られていることで、スラッジ脱水に適用した技術が特許文献4、5、6に示されており、有効な手段と考えられる。しかしながら、特許文献4、5、6の方法等でも、脱水停滞を完全に解決できずに、なお天日乾燥を完全になくすことはできていない。その原因を検討するため、まず広く行われているショベル法の生石灰混合での脱水過程の間隙水の充填構造の変化を検討した。その結果は、粘土状スラッジの解砕、細粒化が十分にできていなくて、粗大粒が多く残り、粗大粒はその表面に生石灰が接触しているものの内部には生石灰は含まれず、粗大粒の表面からの吸い上げはあるものの限られ、元の高水分の近い状態で残っていることが観察された。このような乾燥状態では、ハンドリングすると粗大粒内部まで乾燥が進んでないために、粗大粒から水が滲みでてきて粘着性が解消しない。したがって、混合処理後もなお長期の天日乾燥の養生を必要とする一因となっていることがわかった。実際、その粗大粒を移植ゴテで丁寧に解砕すると、乾燥が早まり、また粘着性の解消は平均水分量が10重量%以上であっても解消することも確認できた。粘土状スラッジでは、解砕、細粒化を高めることが肝心で、粗大粒を残さないように生石灰を混合すると、乾燥が均一に進み、粘結性の解消が効率的に進められ、同時に、乾燥品中の固結粗大粒もなくせると考えられる。
 上述したような検討結果に基づいて、粘土状スラッジを解砕、細粒化しながら、生石灰を均一に混合できる手段を検討した。ショベルは最も経済的で実用的であるが、上述したように解砕、細粒化機能が低く、いくら丁寧に繰り返し混合をしても、細分割化に限度があり、粗大粒が残ってしまう。
 そこで、粘土状スラッジの解砕力、細粒にする力を高める方式を検討した。
 機械混合法には、軸圧縮混錬機等がある。軸圧縮混錬機は、ショベルに比べて押圧力はあるが、解砕力・細粒化力に限度があり、しかも電力を多く必要とする。
 強い押圧力と同時に摺動による解砕力があることが知られている振動式混錬装置1を用いて実験した。種々実験をした結果、ドラムに振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせると、既知の混合方法とは異なる優れた解砕、細粒化機能を発揮し、水分を格段に均一に低減でき、処理後そのままで粘着性が解消し、使用できる状態になることを見出した。これは、振動式混錬装置1は、1000rpm前後の高速回転の遠心力に基づく加振力で、従来の混合機にない押圧力で、ロッド間及びドラム壁面に粘土状スラッジ及び生石灰を高加速度で押し付けて圧砕するとともに、回転による強い摺動力による混合接触作用が加わり、さらにスラッジ構成の微粒子間に形成されるメニスカスの毛管水の架橋構造を壊して、生石灰への接触機会を高める効果があると考えられる。結果として、生石灰粒とスラッジ粒との接触機会が従来になく密接になり、効率化する効果が発揮する。また、ロッドの運動の自由度が高いので、軸圧縮混錬機等のような過負荷がかからず電力消費を低減でき、経済性にも優れる。
 次に、本方式の場合に、上述した特有の作用力が働く他に、粘土状スラッジと生石灰に、さらに他の添加物を混合することにより、均一に混錬できる著しい作用力があることを見出した。
 例えば乾燥粉を粘土状スラッジに混合混錬しようとすると、粘土状スラッジは羊羹状で可塑性があるので、添加しても均一混合がなかなか進まなかった。乾燥粉は添加量に比例して水分低減負荷が減少するので、スラッジの脱水を促進する効果が高められるが、混合が均一にできることで得られる効果である。本方式を適用すれば、乾燥粉が均一に粘土状スラッジに分散しつつ混合混錬することができる。なお、乾燥粉は、水分が低いほうが良く、高すぎると水分低減効果がその分なくなる。廉価な乾燥粉が容易に入手しやすい場所等では、本方式を適用してより効率的に水分低減ができ、あわせて乾燥粉のダスト処理にもなる。
 また、発熱剤の添加は、粘土状スラッジの脱水に効果があることが想定されるが、発熱剤の添加は従来の混合法では均一混合が難しかった。本方式を適用すれば、添加物が均一に分散して、発熱効果が効率よく発揮できる。
 粘土状スラッジの中でも、油を含むものは粘着性が強く、特に脱水が難しくなるという傾向がある。本方式を適用すれば、油を含む粘土状スラッジも、一般スラッジと同様の処理効果が得られるものの、一般のスラッジよりも脱水効率が悪くなる傾向があり、それは油の存在が水分の低減を遅らせる作用があるからと考えられる。
 そこで、その改善策を検討した。油を含む粘土状スラッジに生石灰を添加した場合、生石灰本来の吸水作用と発熱蒸発促進効果が発揮される他に、生石灰は脱水作用のみならず、油の分解や粒子を覆っている油膜の破壊をする作用がある。
 本方式は高速混錬方式であり、処理時間が数分から十数分と非常に短く、生石灰が油と反応するには短時間すぎる。そこで、生石灰と油を含む粘土状スラッジが反応する時間を事前にとり、養生する時間が必要と考えられる。実際、ショベル等で事前混合して所定の期間だけ放置し、事前養生した後に、振動式混錬装置1を用いた処理を行うと、事前養生をしない場合と比べ、水分の低減がより効率的に進むことがわかった。
 事前養生の上に、さらに油にアルカリ剤を添加すると、アルカリと生石灰との反応はさらに促進されることも特許文献5等で知られている。ただし、アルカリ剤は生石灰と違い反応時間が短いので、事前養生時に添加する必要がなく、振動式混錬装置1に装入するときに直接添加すればよいことがわかった。本方式を適用すれば、混錬力が従来方法より強いので、アルカリ添加の脱油効果は従来法よりも強く発揮される。
 このように、さらに粘着性の強いスラッジ、例えば製鉄工場で発生する油を含む粘土状スラッジも処理可能である。製鉄所の連鋳工場、熱延工場、冷延工場等の鋼材の冷却や洗浄、設備の冷却に使う水の排水処理から発生するもので、油を数重量%から十数重量%含み、スラッジの水分量が同じでも、粘着性がさらに高くなる。このような特に粘着性が強い粘土状スラッジの処理にも、本方式は有効である。なお、油の分解を促進する技術と組合せて行えば、さらに効率的に脱水は進められる。油を含む粘土状スラッジを処理対象にする場合は、事前にショベルで事前混合し、一旦養生したものを処理すると水分低減効果が促進される。なお、事前養生時間は、生石灰が油を分解させる反応時間に左右され、通常数時間乃至1日で十分である。さらに、油を含む粘土状スラッジにアルカリ金属を添加すると、油の分解及び反応熱で水分が蒸発する効果が加わり、水分の低減速度が加速できる。アルカリ剤の添加量は含油量にほぼ比例するが、油種等で変わる。
 以上述べたように、粘土状スラッジを、加熱乾燥法を行うことなく、また天日乾燥を行うことなく、迅速に、かつ効率的、経済的に水分を低減させて、粘着性がなく作業性の良い粉粒体にすることができる。これにより、移送運搬時の汚染問題や再利用工場におけるショベル作業や原料槽内の壁付着や切り出し困難等の課題を解消することができ、処理直後にスラッジの取り扱いが可能になる。同時に、処理品には従来の加熱乾燥法、天日乾燥法では粗大固結したものが含まれやすいといった課題を解消し、処理品を篩い分け、破砕・粉砕することなく、直接利用できる利点がある。また、場合によっては、乾燥後のスラッジを埋め立てする場合の受け入れ規制をクリアすることも可能になる効果がある。あわせて、処理品の水分の低減到達レベルを自由に調整できる利点がある。生石灰等の水分低減促進剤の添加量や振動式混錬装置1の処理時間等の操作条件の調整をすれば、容易に処理品の最終到達水分量を調整できる。乾燥処理後の水分が乾燥しすぎると発塵するが、水分を数重量%にとどめ、発塵しないようにすることができる。
 なお、以上のように、粘土状スラッジのように粘着性が強く解砕し難いスラッジは、長期間に自然放置し天日乾燥すると部分的に固結したものが生成することが多いが、乾燥途中の粘土状スラッジも本技術の処理対象にできる。粘土状スラッジを構成する粒子の粒度等の物理性状も特に限定しないが、脱水が難しい粘着性のある塊スラッジの粒子は、微粒で構成されるので、粗粒を含まれていても、振動式混錬装置1は破砕力があるので問題ない。
 また、粘土状スラッジの化学成分は、利用上の有害成分を含まない限り制限がない。
 以上述べたように、振動式混錬装置1を用いて、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることによる特有の効果を見出した。粘土状スラッジを解砕する細粒化機能と、ロッド3間及びドラム壁面で粘土状スラッジに強力な押圧力摺動作用力が加えられる性能があれば、機種を問わない。また、混錬媒体も、ロッドに限らず、ボール等の媒体形状でもよい。加振条件は、振動加速度3G以下では、従来混合法に近い効果しか発揮しないことを見出した。したがって、振動加速度は3G以上にする必要がある。最適振動加速度は、粘土状スラッジを構成する微粒子の粒径分布、粒子形態、含有油等に応じて定めればよい。そして、油を含む粘土状スラッジでは、振動加速度6G以上に高めないと効果が出にくい傾向が認められる。これは、毛管水の架橋構造の破壊に振動加速度を高めることが作用していると考えられる。なお、振動加速度8G以上にすると、装置の仕様や機械の耐久性消耗性、運転費が問題になり、経済的実用性が低下する。
 生石灰の化学成分は、生石灰濃度が高いほど、使用効果が高くなり、添加量は低減できるが、費用対使用効果で使用生石灰の選択がされる。市販生石灰以外にも、生石灰工場で発生する副次産物や集塵ダスト等の生石灰を含有するものであれば、費用対効果で使用可能である。また、生石灰よりも使用効果は低くなるが、ドロマイト焼成粉等、水分吸収作用及び発熱作用をもたらすものであれば、再利用用途の制限成分でないことを条件として、成分を問わず、代替使用が可能である。
 生石灰の添加量は、少なくとも3重量%以上なければ本方式の効果はでてこない。生石灰添加必要量は、概略スラッジの水分量に比例するが、粘土状スラッジの構成粒子の粒度、粒度分布、粒径、及び粘土状スラッジの発熱性や蒸気揮発のしやすさ、粘土状スラッジの比熱等に左右され、また、最終乾燥品の到達水分目標値やハンドリング性改善目標等によって変わり、処理対象の粘土状スラッジの種類に応じて生石灰の添加適量は適宜定めればよい。生石灰の粒度は、通常販売されている細粒生石灰が使用できる。生石灰粒を微細にするほど水分低減効果は高まる。ただ、振動式混錬装置1自体の粉砕力が強く、振動式混錬装置1の作動中に細粒化が行えるので、高価な微粉より粒度の粗い廉価な生石灰粉を使用しても生石灰の効果は十分に発揮できるのが本技術の利点である。
 以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
(試験例A)
 比較方式として、粘土状スラッジと生石灰をショベルで混合したものを、そのまま置き場で天日乾燥した。また、本発明を適用した本方式として、生石灰を添加した粘土状スラッジを振動式混錬装置に装入し、加振して粉粒体にした。図3に、試験例Aの結果を示す。振動式混錬装置として、株式会社阿部鐵工所製のバイブロエクスプローラを使用した。生石灰の添加量は、15重量%、20重量%、25重量%とし、ドラムに振動加速度6Gの円振動を起こさせるように運転した。なお、処理前の粘土状スラッジの水分量は、23.5重量%であった。
 粘土状スラッジに生石灰を添加混合するとき、ショベルで混合した場合と、本方式で処理した場合とでは、処理直後の水分%は、ショベル混合の方が高めである。ショベル混合では、処理品の山の中の水分バラツキには大きな差があるためで、本方式で処理すると均一に水分が低減しているといえる。そして、処理品の粒度分布にも顕著な差がある。本方式では粘土状スラッジの解砕、細粒化ができ、この細粒化は、水分分布、粒度分布のばらつき減少をもたらしたと考えられる。
 処理品をハンドリングすると、同程度の水分量レベルであっても、本方式で処理した粉粒体は流動性がよく粘着は起こさないが、ショベル混合だけのものはバケットにスラッジが粘着することが確認された。ショベル混合では、処理直後にハンドリングすると、塊内部の水分がにじみ出てきて粘着性が解消しないと考えられる。したがって、その塊内部まで乾燥するには、全体の水分が10重量%以下にする必要があると考えられる。この違いは、解砕、細粒化の違いと生石灰の混合分散度の違いに基づくと考えられる。処理直後の堆積山表面を見ると、明らかにスラッジ構成の粒度差が大きく、また白色の生石灰の分散状態に差がみられ、ショベル混合では比較的粗い生石灰が目立つが、本方式で処理したものは全体に鼠色がかって均一に分散していることが確認された。以上のように、本発明を適用することにより、粘土状スラッジを効率的に作業性の良い粉粒体にできる。
(試験例B)
 粘土状スラッジの中でも、油を含むものは粘着性が強く、特に脱水がし難しくなるという傾向がある。試験例Bは、粘土状スラッジが油を含有する場合に、さらなる改善を図るための試験例である。図4に、試験例Bの結果を示す。油を含む粘土状スラッジも、振動式混錬装置を用いて適正な運転条件で操作すれば、粘着性がなく作業性が良い粉粒体に処理ができるものの、脱水効率が悪くなる傾向がある。これは、油の存在が、水分の低減を遅らせている影響が考えられる。含油率が数重量%から十数重量%と高くなると、粘着性がさらに高くなり、処理が難しくなり、例えば生石灰の添加量を多く必要とすることになる。振動式混錬装置は、その通過時間は通常数分と短時間で、そのこと自体は作業効率が優れていることを示すものの、生石灰と油が反応するには短すぎることが考えられる。生石灰は油と反応すると一部油を分解する作用があり、また、生石灰と水との反応で水蒸気を発生させ油を蒸散させることが一般に知られているが、振動式混錬装置の処理時間が短いため、反応が進み難いことが考えられた。そこで、反応時間を延ばす実際的な方法として、事前にショベルで油を含羞する粘土状スラッジと生石灰と混合して養生し、反応時間を稼ぐことをし、その改善効果を検討した。さらに、油の分解にはアルカリ添加が有効なこと、そして、この反応時間は短いことが知られており、これは養生時間が必要なく、振動式混錬装置の処理時間でも十分な反応時間と考えられるので、これもあわせた試験をした。
 試験例Bでは、油7重量%を含有する粘土状スラッジ1tに生石灰を20重量%添加して処理を行った。比較方式として、従来から行われているショベル混合しただけのものとした。また、本発明を適用した本方式として、生石灰を添加した粘土状スラッジを振動式混錬装置に装入し、加振して粉粒体にした。振動式混錬装置として、株式会社阿部鐵工所製のバイブロエクスプローラ(VMP200型)を使用し、ドラム2に振動加速度7Gの円振動を起こさせるように運転した。本方式として、3条件で実施した。養生なしで、粘土状スラッジと生石灰を振動式混錬装置で混合処理する方法、事前にショベルで混合して1日養生した後に振動式混錬装置で処理する方法、事前にショベルで混合して1日養生したものを振動式混錬装置で処理する時にアルカリ剤を添加する方法である。アルカリ剤としては、苛性ソーダの48%濃度液を全試料に対して2重量%添加した。
 図4に示すように、粘土状スラッジと生石灰の事前混合養生することにより、さらにアルカリ剤の添加により、油はいずれにしろ部分的にしか分解できないものの分解が促進され、粘着性が効率的に解消でき、脱水が促進される改善効果が認められた。
[第2の実施形態]
 第1の実施形態では、粉粒体を生成する例を述べた。図3に示すように、粘土状スラッジを効率的に解砕、細粒化するとともに、粘土状スラッジの種類に左右されるが、含まれる水分を10重量%前後まで低減させることにより、粉粒体を生成することができる。これにより、流動性の高い粉粒体が得られ、例えば製鋼のインジェクション材等に再利用することができる。
 それに対して、第2の実施形態では、造粒物を生成する例を述べる。以下では、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態との共通点についてはその説明を省略する。
 図1は、実施形態に係る粘土状スラッジの処理方法を説明するための図である。
 粘土状スラッジに、水分吸収作用及び発熱作用をもたらす添加物として生石灰を添加する。生石灰の添加量は、少なくとも3重量%以上とする。
 そして、生石灰を添加した粘土状スラッジを、ロッド3を収納したドラム2を備えた振動式混錬装置1に装入し、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることにより、本実施形態では造粒物にする。
 本願発明者は、粘土状スラッジの粘着性に着目し、粘着性を活かして、目的粒径の造粒物を生成することができないか検討した。まず、スラッジの水分と粘着性との関係を予め調べた。その結果、基本的には、水分の低減、すなわち乾燥が進むと、スラッジの粘着性が低減する傾向が認められた。乾燥が進むにつれ全体が粉粒になる傾向があるものの、粘着性があるために塊が一部生成するところもある。この粉粒と塊の生成原因差を調べたところ、一つの原因は場所による乾燥速度の違いによることが判明した。そこで、第1の実施形態で述べた、粘土状スラッジの水分低下を均一に効率的に進められる技術を活かして、造粒原料の水分を均一化して、粒径が揃いかつ実用に耐える強度の造粒物ができないかを種々検討した。
 生石灰を添加した粘土状スラッジを振動式混錬装置1に装入し、ドラム2に振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせる本方式で、生石灰の添加量を変化させる試験を行った。図5に、生石灰の添加量と造粒物の平均粒径との関係の例を示す。生石灰の添加量を増加させると、粘着性が順次減少し、粒径が漸次小さくなり、粒径は、造粒物に含まれる水分である造粒水分に略比例することが判明した。そして、生石灰の添加量に応じた造粒水分の変化は、生石灰の発熱反応による水分揮発量差が反映しているものと考えた。すなわち、造粒水分と造粒粒径の関係は、造粒水分量による水の粉体結合力が変化し、粘着力を変えた結果と考えられる。本試験で生石灰の添加量を変化させたが、生石灰の添加量と造粒水分とは逆比例するので、ペンジュラー域で水分を増加させる方向での試験を行ったことになる。この領域で生石灰の添加量の減少によりバイダー効果は弱くなるものの、毛管水の結合力増加の方が勝る結果、粒径が大きくなったと考えられる。毛管水の結合力の差は、粉体中の間隙水が影響を与え、粒子間隙に挟まれた自由水の表面張力の差によることが工学的によく知られている。これは、以下の理解がされている。水分ゼロから水分20重量%前後までは、徐々に水分含有率が高くなるにつれ、粉体の粒子間接点周辺に形成する毛管水の表面張力が高くなり、それが粉体結合力となって造粒が進む。造粒は粉体工学でいうペンジュラー状態(図2A)にあり、水分が多いほど結合力が高くなり、大きい造粒物が得られる。ただ、さらに水分が20重量%を超えると、空隙連通構造が途切れ毛管水の連通構造(ファニキュラー状態(図2B))が形成され、以後は水分が多くなるほどスラリー化して流動性が増して、造粒にならない。生石灰の添加による粘土状スラッジの水分低下はペンジュラー域になっているので上記結果になると考えた。このように、造粒水分を20重量%以下にすると造粒物を生成する。
 ところで、既知の実用造粒機のペレタイザーや押出成形機の造粒では、粘土状スラッジは裁断、分割がし難く、生石灰が粘土状スラッジに均一に混合しないために、原料中の水分が不均一になり粒径、強度が不均一になる。本方式のように粘土状スラッジを生石灰と一緒にペンジュラー域の範囲で加振すると、ロッド間及びミル壁面に粘土状スラッジ及び生石灰を強く押し付けにより生石灰粒とスラッジ粒が細粒化し、ロッドの回転及び摺動により水分、生石灰の均一が進むので、水分が均一になり、粘土状スラッジから粒径が揃った造粒物が得られ、かつその強い圧密力により強度の向上及び強度のばらつきも縮小される。このように本方式では、既知の生石灰の混合方法とは異なる格段に水分の均一低下が進み、かつ同時にバインダー結合力の向上ができることと、さらに生石灰の添加量を調節することにより実用に耐える強度の粒径制御造粒が行える。
 次に、造粒水分の差により造粒粒径が変化することを勘案し、粘土状スラッジと生石灰の他に乾燥粉を追加し、造粒水分を調製して粒径を変化させることが可能ではないか考えた。そこで、水分調整用に乾燥粉を使う検討を行った。図6に、乾燥粉混合なし、乾燥粉10重量%混合、乾燥粉20重量%混合それぞれの場合の、生石灰の添加量と造粒水分との関係、及び強度(圧壊強度)の例を示す。粘土状スラッジは羊羹状で可塑性があるが、本方式を適用すれば、乾燥粉が均一に粘土状スラッジに分散しつつ混合混錬することができ、強度低下を抑えながら造粒できることがわかった。ただし、乾燥粉の添加割合が増加するほど、生石灰を減らすことになるので、バインダー結合力は減少する傾向にある。したがって、造粒物の必要強度が許す範囲内で乾燥粉の混合割合は左右される。
 次に、操作要因の組み合わせを変えた実験を行った結果、振動式混錬装置1のロッド3の運動や造粒物の排出を困難にする、詰まりが生じるチョーキングと呼ばれる現象が発生する範囲があることが判明した。粘土状スラッジの性状によっても、これら適正範囲は変化し、機種によっても変わるので、定量的な範囲設定はできないが、振動式混錬装置1の例えば加振源4の重錘の重量、両振幅、振動数を調整することにより、チョーキングの発生を抑制できることを見出した。
 粘土状スラッジへの生石灰の添加量に応じて造粒物の粒径が変化し、生石灰の添加量を低減するにつれ造粒物の粒径が大きくなり、粗大な造粒物を生成することができる。ただし、粒径10mm程度以上の粗大な造粒物ができる段階になると、粘土状スラッジの粘着性が高くなりすぎて、チョーキングが発生する。
 そこで、本方式の操業範囲内において、粗大な造粒物が安定してできる操作条件を検討した。その結果、振動式混錬装置1のロッド3の運動を調整することにより、チョーキングの発生を抑制して、過負荷運転にならずに、粗大な造粒物が安定してできる操作範囲があることを見つけた。ロッド3の運動は、例えば重錘の重量、両振幅、振動数を調整することにより制御することができる。振動式混錬装置1の遠心力と回転力の与え方との違いからロッド3の運動が替わり、原料の圧密、摺動が変化し、粘稠性のあるスラッジのチクソトロピーが変化するためと考えられる。
 以上述べたように、粘土状スラッジから、粒径が揃ってかつ用途に応じて粒径が変えられ、実用に耐える強度の造粒物を製造することができる。本方式では、乾燥、粉砕、水分調整等の造粒前の事前処理が省略でき、粘土状スラッジをダイレクトに振動式混錬装置1に装入し、生石灰の添加量を調節することにより粒径を調整して、造粒物を生成することができる。
 また、一般的な造粒機は造粒物の粒度分布が大きいために造粒物を篩い分けて製品化する場合が多いが、本方式では、造粒物粒径が揃うので、篩い分けをしないで直接使用可能になる場合がある。さらに本方式では、生石灰と振動式混錬装置1との相乗効果により強い造粒物ができる効果が発揮され、一般的な造粒機よりも生石灰の結合力が効率的に発揮され、生石灰の添加量を節減できる効果もある。
 なお、造粒水分は造粒粒径によって異なるが、造粒粒径が大きいほど造粒最適水分は高くなる傾向がある。しかしながら、粒径20mm以上の粗大な造粒の最適水分でも20重量%を超えることにはならない。したがって、脱水ケーキ及び天日乾燥した粘土状スラッジであれば、水分を約20重量%含有するので、造粒に必要な水分が不足することはない。粘土状スラッジが含有する水分量だけで、造粒に必要な水分は足りる。
 なお、造粒強度が使用目的で許される範囲内であれば、乾燥粉が容易に入手できる場所等では、水分調整剤に乾燥粉を使用してもよい。その乾燥粉は、本方法を適用して、高価な生石灰が減らせるので経済的効率的に水分調整ができる。乾燥粉成分は粘土状スラッジ同様に造粒物の用途に制限されるもの以外は制約がなく、また粒度は細かいほうが良いが、多少粗めのものが含まれていても支障がない。ただし、乾燥粉添加は造粒物の強度を低下させる傾向があり、実用に耐える強度の範囲内で乾燥粉添加ができる。乾燥粉は集塵ダスト等の処理に有効な手段になる。
 また、生石灰の添加量は造粒粒径に合わせて調整されるが、粘土状スラッジの発熱性や蒸気揮発のしやすさ、粘土状スラッジの比熱等の処理対象の粘土状スラッジの種類に応じて添加適量は変わる。
 以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の試験例に限定されるものではない。
(試験例C)
 本発明を適用した本方式として、生石灰を添加した粘土状スラッジ(転炉スラッジであり、スラッジ水分は処理前25重量%)を振動式混錬装置に装入し、加振して造粒物にした。図5に、試験例Cの結果を示す。図5に示すように、生石灰の添加量と造粒物の平均粒径との関係を確認した。振動式混錬装置として、株式会社阿部鐵工所製のバイブロエクスプローラを使用した。
 生石灰の添加量を調整して、造粒水分を15重量%以上として、粒径10mm以上の粗大な造粒物を生成することができた。また、生石灰の添加量を増加すると、造粒水分が低減し、細粒の造粒物を生成することができる。また、落下強度指数も80%を超える値となり、実用に耐える強度の造粒物を生成することができた。
 粘土状スラッジは鉄成分が高く製鉄のリサイクル利用に向いているので、粗大な造粒物は製鋼用副原料に再利用し、細粒の造粒物は高炉用焼結鉱原料に再利用することが可能である。なお、どちらも、製鉄用途では石灰成分は有効に活用されるので、生石灰を使用する経済効果が発揮された。
(試験例D)
 試験例Dは、水分調整用に乾燥粉を使用する試験例である。図6に、試験例Dの結果を示す。図6に示すように、乾燥粉混合なし、乾燥粉10重量%混合、乾燥粉20重量%混合それぞれの場合の、生石灰の添加量と造粒水分との関係、及び強度(圧壊強度)を確認した。
 乾燥粉の添加量の増加とともに造粒水分が低減し、その結果、造粒粒径が変わる。また、乾燥粉を混合することにより、圧壊強度はやや低くなるが、ハンドリングに耐えられる範囲であり、生石灰を減らして乾燥粉で経済的な造粒を可能にした。
(試験例E)
 本方式では、造粒物の粒径が大きくなると振動式混錬装置でチョーキングが発生し、運転負荷が高くなり、造粒物の排出が困難になる場合があった。そこで、振動式混錬装置の両振幅を調整して、チョーキングの発生を抑制できるかを確認した。図7に、試験例Eの結果を示す。図7に示すように、振動加速度4G以上7G以下の範囲で、両振幅を変更した結果を示した。粘土状スラッジは、転炉スラッジであり、スラッジ水分は処理前21重量%である。各振動加速度において、生石灰の添加量を8重量%、11重量%、14重量%とした。例えば振動加速度を6Gに維持しながら、両振幅12mmで粗大造粒をしたとき、チョーキングが発生して排出困難となったが、振動数を50Hzから60Hzにして両振幅8mmに変えると、排出困難な状態から逃れ、排出可能となった。これは、振動式混錬装置の遠心力と回転力の与え方との違いからロッドの運動が替わり、原料の圧密、摺動が変化し、粘稠性のあるスラッジのチクソトロピーが変化するためと考えられる。なお、振動加速度5G~6Gの範囲では、両振幅を7mm~8mmの範囲とすれば、チョーキングの発生を抑制して、良好な造粒が可能であった。
 以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。

Claims (9)

  1.  粘土状スラッジに、水分吸収作用及び発熱作用をもたらす添加物を添加する手順と、
     前記添加物を添加した前記粘土状スラッジを、ロッド又はミルを収納したドラムを備えた振動式混錬装置に装入し、前記ドラムに振動加速度3G以上8G以下の円振動を起こさせることにより粉粒体又は造粒物にする手順とを有することを特徴とする粘土状スラッジの処理方法。
  2.  前記添加物は、生石灰であることを特徴とする請求項1に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  3.  前記粘土状スラッジに、さらに乾燥粉を添加することを特徴とする請求項1又は2に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  4.  前記粘土状スラッジに、さらに発熱剤を添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  5.  前記粘土状スラッジが油を含む場合に、前記油を含む前記粘土状スラッジと前記生石灰とを混合して、所定の期間だけ放置した後に、前記振動式混錬装置に装入することを特徴とする請求項2に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  6.  前記所定の期間だけ放置した後に、アルカリ剤をさらに添加することを特徴とする請求項5に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  7.  含まれる水分を20重量%以下にして前記造粒物を生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  8.  含まれる水分を15重量%以上にして、粒径10mm以上の前記造粒物を生成することを特徴とする請求項7に記載の粘土状スラッジの処理方法。
  9.  前記造粒物を生成する際に、前記振動式混錬装置の重錘の重量、両振幅、及び振動数のうちの少なくともいずれか一つを調整して、チョーキングの発生を抑制することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の粘土状スラッジの処理方法。
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