JPH10296548A - 包丁の製造方法 - Google Patents

包丁の製造方法

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JPH10296548A
JPH10296548A JP10748897A JP10748897A JPH10296548A JP H10296548 A JPH10296548 A JP H10296548A JP 10748897 A JP10748897 A JP 10748897A JP 10748897 A JP10748897 A JP 10748897A JP H10296548 A JPH10296548 A JP H10296548A
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blade
kitchen knife
ground
quenching
soil
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JP10748897A
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Minoru Hakui
實 伯井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃部および地の両方共に鏡面光沢を得るよう
に研磨した包丁について、刃文が肉眼で識別できるよう
にして、包丁の特質や商品的価値が見分け易い高品質の
包丁を製造することである。 【解決手段】 鍛造された鋼製の包丁素材に、耐火性粘
土を含む焼き刃土を刃部1に薄く地3に厚く塗布して焼
入れし、これを研磨して刃付けを行なう包丁の製造方法
おいて、刃部1および地3の表面を鏡面研磨し、次いで
刃部1と地3の境界部分に塩化第二鉄水溶液などの鉄系
金属の腐食液を塗布して刃文7を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は包丁の製造方法に
関し、特に研磨工程を含めた包丁の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】料理や儀式などに使用する薄刃の刃物を
一般に包丁といい、例えば、刺し身包丁(正武または柳
刃包丁)、出刃包丁、薄刃包丁(菜切包丁)、肉切包丁
など用途に応じて種々の形態のものがある。
【0003】包丁の各部の呼び名を図1に示す包丁(刺
し身包丁)を用いて説明すると、硬質の刃部1の刃先2
に近い部分を除いたあとの部分は地3と呼ばれ、長手方
向に延びる直線状の稜線を鎬(しのぎ)4と称し、これ
より棟5に近い平坦な部分を平6と呼んでいる。
【0004】このような包丁は用途に応じた形態で製造
されるが、特に料理専門に使用されるような良質の包丁
を製造する場合には、鍛造された鋼製(本焼)の包丁素
材の表面に、焼き刃土と呼ばれる泥状の耐火性粘土類を
刃部1に薄く地3に厚く塗布し、これを焼入れした後、
熟練した研師が丁寧に研磨して刃付を行なう製造工程が
採用されている。
【0005】図1に示すように、このような高級品の包
丁には、焼入れおよび通常の研磨工程の後に、包丁の刃
部1と地3の境界に波形の刃文(刃紋)7が現れる。
【0006】このような刃文の成因については以下の通
りである。すなわち、製造工程の1つとして、鍛造され
た鋼製の包丁素材に、耐火性粘土、松炭および砥石の粉
末等を含む泥状の「焼き刃土」を刃部1に薄く地3に厚
く塗布するが、その際に「焼き刃土」の厚みの境界を波
形などの所定形状にする。次いで、これを乾かして炉に
入れて加熱した後、油または水で急冷すると、刃部1は
急冷されて非常に硬いマルテンサイト組織になり、焼き
刃土を厚く塗った地3の部分は徐冷されて、焼入れの効
果が不充分な比較的柔らかい組織になる。
【0007】次いで、このように軟硬両組織を研磨して
通常の刃付けを行なうと、組織の結晶構造や硬さの違い
から凹凸が生じ、その境目が乱反射して刃文が見えるよ
うになると考えられている。
【0008】このように刃文7は、鉄系金属の硬度差に
よって形成されるものであり、刃文7の刃先側にある硬
質で脆い刃部1は、比較的軟質の地3の部分と波状の境
界で入り交じって柔軟に支持され、刃部を折れ難くして
いると共に、そのような微妙な柔軟性が包丁の使い勝手
にクッション性などの良い影響を与えるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、包丁の刃部
および地の両方を鏡面に研磨すると、切れ味の向上と共
に、鏡面からなる包丁表面に細菌が付着し難くなって清
潔であるという利点があり、料理用包丁としては、特に
賞用されるものになる。
【0010】しかし、包丁の刃部および地の両方を鏡面
に形成すると、刃文が見えなくなり、これでは包丁の最
高級の商品的価値を外観から識別できず、また料理人等
の専門家が包丁の微妙な性質を見分け難くなるという問
題点がある。
【0011】そこで、この発明の課題は、上記した問題
点を解決して、刃部および地の両方共に鏡面光沢を得る
ように研磨した包丁について、刃文が肉眼で良く識別で
きるようにして、1本ずつ異なる包丁の特質や、優れた
商品的価値を視覚的に判別できる包丁を製造することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、この発明は、鍛造された鋼製の包丁素材に、耐火性
粘土を含む焼き刃土を刃部に薄く地に厚く塗布して焼入
れし、これを研磨して刃付けを行なう包丁の製造方法お
いて、刃部および地の表面を鏡面研磨し、次いで刃部と
地の境界部分に沿って鉄系金属の腐食液を塗布して刃文
を形成する方法を採用したのである。
【0013】この発明の包丁の製造方法は、焼き刃土を
刃部に薄く地に厚く塗布して焼入れし、その際に薄く焼
き刃土が塗布された部分はマルテンサイト組織(結晶構
造は体心正方晶系)を多く含むようになり、厚く焼き刃
土が塗布された部分はオーステナイト組織(結晶構造は
面心立方晶系)を多く含むようになる。
【0014】このように異なる金属組織の境界部分に通
常の研磨後に形成される刃文は、刃部および地の表面を
鏡面研磨した後で、肉眼では殆ど識別できない状態にな
る。
【0015】しかし、次の工程で刃部と地の境界部分に
沿って鉄系金属の腐食液を塗布すると、異なる金属組織
の表面が各結晶構造に応じて適度に腐食(エッチング)
されて、各組織の結晶面に特有の微細な窪みができた
り、微細な突起が残ったりするようになり、各結晶が入
り交じって分布する刃部と地の境界部分には特有の乱反
射が生じて艶消し面が現れ、鏡面研磨を行なう以前の状
態と同様に刃文が再現され、これにより刃文が鏡面に浮
かび上がって見えるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明に用いる鍛造された鋼製
の包丁素材は、切れ味のよい包丁を製造するために、そ
の全部が鋼からなる本焼包丁の素材を使用することが好
ましいが、用途に応じて、刃などの要部を鋼製とし、そ
の他の部分は地金(軟鉄)を採用した地付包丁の素材な
どを採用することもできる。
【0017】この発明に用いる耐火性粘土を含む焼き刃
土は、塗布する層の厚さに応じて焼入れ(例えば、75
0〜850℃程度に加熱し、常温または微温の油または
水に漬けて急冷する)による効果に差が生じるように、
耐火性および断熱効果のある泥状の無機物質を主成分と
するものである。焼き刃土の一般的な組成は、焼き土
(耐火性粘土)と松炭と砥石の粉が主成分であり、これ
を乳鉢等でよくすり、水または油を加えて練って使用す
る。
【0018】このような焼き刃土を塗布する包丁の部分
は、図1に示す刃部1および地3であり、通常は包丁素
材の表裏両面に塗布するが、塗布層の厚さは、刃部1に
薄く地3に厚くなるようにし、その境界は一定の大きさ
の波形に形成することが好ましい。なお、必要に応じて
日本刀の刃文に準じて包丁の刃文を直線状(直刃)、緩
やかな波状(のたれ)、複雑な波形(丁字乱れ、互の目
乱れ、三本杉)に形成する場合も考えられるが、その場
合には、焼き刃土の塗布厚の境界線を前記模様に対応す
るように形成する。
【0019】この発明に用いる鉄系金属の腐食液は、鋼
などの鉄系金属に対して腐食性のある酸またはアルカリ
の溶液であって、例えば塩化第二鉄(無水)1gに対し
て水10〜19gを加えた溶液(FeCl3 の5〜10
重量%水溶液)を使用して好ましい結果を得ている。な
お、一般的な鉄系金属の腐食液として知られる塩酸、硫
酸、希硝酸等の酸を適当な濃度に希釈して使用するか、
または酸素雰囲気中でアルカリを作用させることも有効
であると考えられる。
【0020】そして、このような腐食液を塗布する以前
には、包丁素材の表面の油分を有機溶剤で洗浄除去して
おくことが好ましいのは勿論であり、さらに腐食液の塗
布後は、速やかに水洗して腐食液を除去し、必要以上に
腐食作用が進まないようにする。
【0021】
【実施例】鋼を鍛造して包丁状の素材を形成し、やすり
で粗仕上げをし、粗砥(あらと)で研ぎ、洗浄した後、
その表面に焼き刃土(耐火性粘土と松炭と砥石の粉を乳
鉢等でよくすり、水または油を加えて練ったもの)を刃
部に一面に塗布した後、刃部に薄く地に厚く塗布するな
るように削り、その厚さの境界を連続した曲線状の波形
になるようにした。これを乾燥し、さらに例えば750
〜850℃程度に加熱し、常温の油に浸漬して急冷する
焼入れを行なった。
【0022】これを包丁素材として、以下のような工程
で研磨して刃付けを行なった。すなわち、焼入れされた
包丁素材を温めながら、タガネで叩いて縦方向の歪みを
取り(歪み打ち)および表面上の凹凸(ムラ)を取り、
各工程毎に歪み打ちを繰り返しながら粗研ぎ、裏研ぎ、
平研ぎなどを行なった。そして、0.1〜0.3mm程
度の厚みに刃先を整えるように、回転砥石で本研ぎを行
ない、さらに平の部分のタガネの目を取って、鎬(しの
ぎ)を直線状に整えた。次に、金剛砂(粒径の例:15
0メッシュ)を膠で固めて円盤周面を被覆したバフで表
面を研磨し、次に歪み取りを適宜に行ないながら裏面を
研削して、刃先を半紙の厚さ程度に形成した。
【0023】そして、包丁の表面または裏面を天然砥石
製の回転砥石やバフでもって研磨して刃を付け、また適
宜に歪み取りを行なった。その棟に適当なアールが付く
ように研削し、金剛砂(300、250メッシュ)を用
いたバフで刃部および地の表面を鏡面研磨し、さらに平
の部分をコルクバフで研磨した。
【0024】その後、仕上げ砥石を用いて艶だしを行な
って、鏡面をさらに滑らかに仕上げた。次に、シンナー
等の有機溶剤で包丁の全面を洗浄して油分を取り去り、
刃部と地の境界部分に沿って塩化第二鉄(無水)3gに
対して42gの水を加えた水溶液を刷毛で塗布した。そ
の直後に、包丁の表面を水洗し、乾燥させた後、バフ当
てを行なって仕上げた。
【0025】このようにして得られた包丁は、刃部およ
び地の両方共に鏡面光沢があり、しかも鎬に沿って波形
に刃文が美しく形成されており、このような刃文は肉眼
で良く識別できるものであった。
【0026】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、包丁
の所定部分に鉄系金属の腐食液を塗布して刃文を食像と
して再現したので、鏡面光沢を得るように研磨したもの
についても、刃文が肉眼で識別できるようになり、1本
ずつ異なる包丁の特質や、商品的価値が見分け易い高品
質の包丁を製造できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態で製造された包丁の全体を示す平面図
【符号の説明】
1 刃部 2 刃先 3 地 4 鎬 5 棟 6 平 7 刃文

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍛造された鋼製の包丁素材に、耐火性粘
    土を含む焼き刃土を刃部に薄く地に厚く塗布して焼入れ
    し、これを研磨して刃付けを行なう包丁の製造方法おい
    て、 刃部および地の表面を鏡面研磨し、次いで刃部と地の境
    界部分に鉄系金属の腐食液を塗布して刃文を形成するこ
    とを特徴とする包丁の製造方法。
  2. 【請求項2】 鉄系金属の腐食液が、塩化第二鉄水溶液
    である請求項1記載の包丁の製造方法。
JP10748897A 1997-04-24 1997-04-24 包丁の製造方法 Pending JPH10296548A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019231058A1 (ko) * 2018-05-31 2019-12-05 공주대학교 산학협력단 다층소재를 이용한 칼의 제조방법 및 이에 의해 제조된 주방용 칼
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