JPH0892374A - ポリシルセスキオキサン及びそのビニル重合体 - Google Patents

ポリシルセスキオキサン及びそのビニル重合体

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JPH0892374A
JPH0892374A JP6251196A JP25119694A JPH0892374A JP H0892374 A JPH0892374 A JP H0892374A JP 6251196 A JP6251196 A JP 6251196A JP 25119694 A JP25119694 A JP 25119694A JP H0892374 A JPH0892374 A JP H0892374A
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vinyl
polysilsesquioxane
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polymer
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JP6251196A
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Nobuo Uotani
信夫 魚谷
Masatoshi Murakami
正敏 村上
Yuji Ito
祐司 伊藤
Fumio Matsui
二三雄 松井
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高シロキサン含有量であってもゲル化が生じ
ることなく製造でき、かつ保存安定性に優れたポリシル
セスキオキサン及びビニルポリマーの主鎖及び/又は側
鎖に結合され耐久性、保存性に優れたポリシルセスキオ
キサン構造を有するポリマーの提供。 【構成】 一般式(1) 【化1】 [R1 、R2 はメチル基、ビニル基、アルキル基、フェ
ニル基、水酸基からなり、R3 、R4 、R5 、R6
H、アルキル基、トリ(炭化水素基)置換シリル基で、
炭化水素基は同時にメチル基ではなく、R3 〜R6 のH
又はアルキル基の合計が2個未満、nは重合度を表わ
す。]で表わされ、Mwが500〜100,000であ
るポリシルセスキオキサン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリシルセスキオキサ
ン(以下プレポリマーという。)及びポリシルセスキオ
キサン構造を有するビニル共重合体樹脂に関し、更に詳
しくはゲル化が生ずることなく製造でき、かつ保存安定
性に優れたポリシルセスキオキサン(プレポリマー)に
関するとともに、このようなプレポリマーがビニルモノ
マーの主鎖及び/又は側鎖に結合された、耐久性、保存
安定性に優れたポリシルセスキオキサン構造を有するビ
ニル共重合体樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】有機ポリマーの主鎖及び/又は側鎖にポ
リシロキサン構造を導入してポリマーの撥水性、耐水
性、耐候性、耐汚染性などの特性を改善する方法は従来
より種々知られている。例えば、特開昭60−2317
20号公報には、シロキサン含有ポリマーとエチレン性
不飽和重合性単量体又はジエン重合性単量体とをラジカ
ル共重合することにより、ポリシロキサン構造を側鎖に
有するポリシロキサングラフト共重合体の製造方法が提
案されている。このようにして得られたポリシロキサン
グラフト共重合体は、撥水性、耐汚染性、剥離性などの
表面特性及び耐久性に優れている旨記載されている。
【0003】しかしながらそれらの特性を更に向上させ
ることを目的として、ポリマー中のポリシロキサンの含
有量を高めると、ポリシロキサン自体がソフトな性状を
有するため、得られるポリシロキサングラフト共重合体
は硬度が低下し、傷つきやすく耐汚染性が低下してしま
う。
【0004】又、特開昭62−275132号公報に
は、重合性不飽和基を有し、ポリシルセスキオキサン構
造を含み、水酸基及び/又はアルコキシ基からなる官能
基を2個以上有するポリシロキサン系マクロモノマーと
重合性不飽和単量体とを共重合させることによる官能基
を2個以上有するシロキサン側鎖が導入されたビニル重
合体について開示されている。このシロキサン側鎖が導
入されたビニル重合体は、架橋性、他の樹脂との相溶性
を有し、しかも耐候性、耐光性、耐水性、耐汚染性など
の特性に優れている旨記載されている。
【0005】しかしながら、このようなシロキサン側鎖
が導入されたビニル重合体においてもさらに耐久性及び
硬度が改良されることが望まれている。従って品質安定
性等の観点から、ゲル化などが生じることなく安定性に
極めて優れ、且つ耐候性、耐光性、耐水性、撥水性、高
硬度等を有する該ポリシロキサンの出現が強く望まれて
いる。
【0006】ポリシロキサンの側鎖末端の一定割合以上
がメチル基であり、芳香族系側鎖が少なく、主鎖末端に
水酸基、アルコキシ基等を有するポリシルセスキオキサ
ンは、主鎖末端の水酸基、アルコキシ基などの官能基の
反応性が高く、極めてゲル化しやすいことが報告されて
いる(中浜精一ら、Polymer Preprint
s Japan,29,73(1980))。このため
1分子当たり側鎖末端にメチル基を一定割合以上含み、
主鎖末端に水酸基又はアルコキシ基からなる官能基を一
定割合以上含むようなポリシロキサンを、ゲル化などが
生じないように合成することは極めて困難であり、しか
もそのようなポリシロキサンを分子構造中に導入したポ
リマーは安定性に欠けるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術が問題としていたシロキサン含有量を高めようと
したときの各種の欠陥を解決使用とするものであって、
ゲル化が生じることなく製造でき、かつ保存安定性に優
れたポリシルセスキオキサンの提供及びこのようなポリ
シルセスキオキサンポリマー、詳しくはビニルポリマー
の主鎖及び/又は側鎖に結合され、耐久性、保存安定性
に優れたポリシルセスキオキサン構造を有するポリマー
を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(1)
【化4】 [式中、R1 及びR2 の50〜99.9モル%がメチル
基であり、0.1〜25モル%がビニル基又はビニル基
を置換基として有する有機基であり、残部が炭素原子数
2以上のアルキル基、置換もしくは非置換フェニル基、
水酸基又はアルコキシ基であり、R3 、R4 、R5 及び
6 が水素原子、アルキル基又は下記一般式(2)
【化5】 (式中、R7 、R8 及びR9 は炭素数が1以上の非置換
又は置換炭化水素基であり、同時にメチル基ではない)
で表わされる基であり、R3 、R4 、R5 及びR6 の水
素原子又はアルキル基の合計は平均で2個未満である。
nは重合度を表わす。]で表わされ、重合平均分子量が
500〜100,000であるポリシルセスキオキサ
ン。
【0009】一般式(3)
【化6】 [式中、R10はメチル基、ビニル基又はビニル基を置換
基として有する有機基、炭素数2以上のアルキル基、置
換もしくは非置換フェニル基、水酸基又はアルコキシ基
を表わし、OR11、OR12及びOR13は加水分解性基を
表わす。]で表わされるシラン化合物を、酸触媒の存在
下に加水分解、重縮合を行った後、シリル化剤により重
合体末端部のシリル化を行う前記ポリシルセスキオキサ
ンの製造方法、および前記ポリシルセスキオキサン及び
共重合性不飽和単量体との共重合体であって、重量平均
分子量が1,000〜500,000であるポリシルセ
スキオキサン−ビニル共重合体樹脂を開発することによ
り上記の目的を達成した。
【0010】本発明において、ポリシルセスキオキサン
の製造に用いられるシラン化合物としては加水分解・重
縮合にてアルコールを副生する一般式(3)で示される
アルコキシシランから選ぶことができる。原料シラン化
合物としては、一般式(1)で表わされるポリシルセス
キオキサンの置換基R1 及びR2 に対応するように置換
基R10を選べばよく、例えば、置換基としてメチル基な
らばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシ
ラン、メチルエトキシジメトキシシラン、メチルジエト
キシメトキシシラン、
【0011】置換基として炭素数が2以上のアルキル
基、置換もしくは非置換フェニル基であればエチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルエ
トキシジメトキシシラン、エチルジエトキシメトキシシ
ラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエト
キシシラン、プロピルエトキシジメトキシシラン、プロ
ピルジエトキシメトキシシラン、ブチルトリメトキシシ
ラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルエトキシジメ
トキシシラン、ブチルジエトキシメトキシシラン、
【0012】フェニルトリメトキシシラン、フェニルト
リエトキシシラン、フェニルエトキシジメトキシシラ
ン、フェニルジエトキシメトキシシランなどのアルコキ
シシランを、又ビニル基又はビニル基を置換基として有
する有機基に対しては、3−メタクリルオキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルト
リエトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメ
トキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエト
キシシラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピル)ト
リメトキシシラン、3−(ビニルベンジルアミノプロピ
ル)トリエトキシシラン、3−アリルアミノプロピルト
リメトキシシラン、3−アリルアミノプロピルトリエト
キシシラン、アリルアミノトリメトキシシラン、アリル
アミノトリエトキシシランなどのビニル基又はビニル基
を置換基として有する有機基を有するアルコキシシラン
などを所定量混合して用いればよい。
【0013】加水分解・重縮合に用いられる水の量は、
アルコキシシランから選ばれたポリシルセスキオキサン
製造用シラン化合物に対して、モル比で2〜4倍が好ま
しい。これより少ない量では加水分解・重縮合反応の速
度が低くなり反応が完結するのに長時間を要したり、あ
るいは反応が不充分なためにゲル化したりする。一方加
水分解・重縮合に用いられる水がアルコキシシランから
選ばれた原料シラン化合物に対して、モル比で4倍を超
えても反応完結時間は変わらない。
【0014】重縮合に用いられる触媒としては、一般に
プロトン酸が好ましく、無機酸、有機酸及び/又はそれ
らの組み合わせから選ぶことができるが、酸強度に応じ
て縮合反応時間が変化するので一般には酸強度の高い酸
が用いられる。無機酸として塩酸、硫酸、硝酸などを挙
げることができ、有機酸としては蟻酸、無水酢酸、酢酸
等を挙げることができる。
【0015】重縮合に用いられる酸触媒濃度は、一般に
アルコキシシランに対して、モル比で0.005〜0.
05倍が望ましい。酸触媒濃度がアルコキシシランに対
してモル比で0.005倍未満の場合、重縮合反応が速
やかに行われず、さらに重縮合反応により副生したアル
コールがポリシルセスキオキサンのシリル化の速度を低
下させる。一方、酸触媒濃度がモル比で0.05倍を超
えると反応が早すぎて分子量を制御することが難しくな
るため、好ましくは原料アルコキシシランに対して、
0.007〜0.04倍、さらに好ましくは0.01〜
0.03倍がよい。
【0016】加水分解・重縮合反応における温度は任意
に選ぶことができるが、反応熱の発生及びシルセスキオ
キサン構造の構築を考慮し、反応開始温度は−20〜5
0℃の低温が望ましく、反応時間の短縮化及びシルセス
キオキサン構造の構築化の点から、望ましくは−10〜
30℃、更に望ましくは−5〜15℃であることがよ
い。加水分解・重縮合反応の進行とともに溶液は2層分
離した状態から均一溶液に変化し、溶液温度は冷却して
いても上昇するが、冷却を続けていると溶液は設定した
冷却温度になる。さらに重縮合を進めるために溶液温度
を20〜100℃に上げて反応を続けることがよい。反
応時間の短縮化及びシルセスキオキサン構造の構築化の
点から、望ましくは30〜95℃、更に望ましくは50
〜90℃であることがよい。
【0017】シリル化は、ポリシルセスキオキサンが調
製された溶液にシリル化剤を添加して行う。シリル化剤
としては、ハロシランを含まずかつ加水分解に要した過
剰の水の影響を受けにくいものであればよく、あるいは
それ自体が酸性雰囲気下で加水分解されてシリル化剤と
なるものでもよい。シリル化剤としては一般式(4)
【化7】 (式中、R14、R15及びR16は同一又は異種の炭素数が
1以上の非置換又は置換炭化水素基であり、R17は水酸
基又は加水分解性基を表わす)で表わされる化合物がよ
い。
【0018】加水分解性基とは、ポリシルセスキオキサ
ンの製造に用いられるシラン化合物を加水分解・重縮合
するのに使用した過剰の水で加水分解される基を示し、
例えば水素又はメルカプト基、ハロゲン、ヒドロキシ
基、ビニル基、アミノ基、グリシジル基、カルボキシル
基、アラルキルオキシ基又はアリールオキシ基などで表
わされる非置換又は置換炭化水素オキシ基、非置換又は
置換炭化水素カルボニルオキシ基、一般式(5)
【化8】 (式中、R18、R19及びR20は同一又は異種の炭素数が
1以上の非置換又は置換炭化水素基であり、Xは酸素、
アミノ基を表わす)で表わされる化合物又は基を表わ
す。
【0019】シリル化剤の具体例としては次のような物
質がある。クロロメチルジメチルエトキシシラン、ジメ
チルエチルエトキシシラン、エトキシジメチルビニルシ
ラン、アリルオキシジメチルビニルシラン、1−クロロ
メチルエトキシジメチルビニルシラン、3−アミノプロ
ピルジメチルエトキシシラン、トリメチルペンチルオキ
シシラン、クロロメチルジメチルフェノキシシラン、ジ
メチルフルフリルオキシビニルシラン、ジメチルエチニ
ル−2,4,5−トリクロロフェノキシシラン、2,4
−ジクロロフェノキシエチニルジメチルシラン、トリメ
チルシリルベンゾエート、ベンジルオキシクロロメチル
ジメチルシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニル
シラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピル
シラン、ジメチル−2−[(2−エトキシエトキシ)エ
トキシ]ビニルシラン、メトキシトリプロピルシラン、
ジメチル−3−メチル−4−クロロフェノキシビニルシ
ラン、ジメチル−2−メチル−4−クロロフェノキシビ
ニルシラン、クロロメチルジメチル−2−フェニルエト
キシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジメチ
ル−2−ピペリジノエトキシビニルシラン、トリエチル
シリルベンゾエート、ベンジリデン−3−エトキシジメ
チルシリルプロピルアミン、ジフェニルエトキシメチル
シラン、ジフェニルエトキシビニルシラン、アセチルト
リフェニルシラン、エトキシトリフェニルシラン、トリ
フェニルシラノール、トリエチルシラノール、トリプロ
ピルシラノール、トリブチルシラノール、1,3−ジエ
チルニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、N,O−Bis(トリメチルシリル)トリフルオロ
アセトアミド、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン、1,3−Bis(アセトキシ
メチル)テトラメチルジシロキサン、1−(N,N−ジ
メチルチオカルバモイルチオメチル)−1,1,3,3
−テトラメチル−3−ビニルジシロキサン、1,3−B
is(3−クロロプロピル)テトラメチルジシロキサ
ン、1,3−Bis(3−メルカプトプロピル)テトラ
メチルジシロキサン、1,3−Bis(3−ヒドロキシ
プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサ
ン、1,3−Bis(3−アミノプロピル)テトラメチ
ルジシロキサン、1,3−Bis(2−アミノエチルア
ミノメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキ
サン、3−メチルピペリジノメチルペンタメチルジシロ
キサン、4−メチルピペリジノメチルペンタメチルジシ
ロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、1,3−ジブチ
ル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1−
(2−メチルピペリジノメチル)−1,1,3,3−テ
トラメチル−3−ビニルジシロキサン、1−(4−メチ
ルピペリジノメチル)−1,1,3,3−テトラメチル
−3−ビニルジシロキサン、1−(3−メチルピペリジ
ノメチル)−1,1,3,3−テトラメチル−3−ビニ
ルジシロキサン、1,3−Bis(3−アセトキシプロ
ピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−Bis[3
−(N−メチルカルバモイルオキシプロピル)]−1,
1,3,3−テトラメチルジシロキサン、3−(4−メ
チルピペリジノプロピル)ペンタメチルジシロキサン、
1,3−ジフェニル−1,1,3,3−テトラメチルジ
シロキサン、1,3−Bis(ジオキシアニルエチル)
−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3
−Bis(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,
3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロ
キサン、1,3−ジメチル−1,1,3,3−テトラフ
ェニルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニル
−1,3−ジビニルシロキサン、1−ピペリジノメチル
−1,1,3,3−テトラメチル−3−ビニルジシロキ
サン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチ
ルジシラン、ペンタメチルピペリジノメチルジシロキサ
ン。
【0020】本発明における一般式(1)で示されるポ
リシルセスキオキサンにおいて、R3 、R4 、R5 及び
6 における水素原子又はアルキル基は、ポリシルセス
キオキサン1分子当たり平均2個未満であることが必要
である。この数が2個を超えるとポリシルセスキオキサ
ンを製造するに際して極めてゲル化し易く、取り扱いが
困難であるばかりか、ポリシルセスキオキサン−ビニル
共重合体樹脂とした場合、樹脂自体も保存安定性に欠け
るようになり実用上不都合が生じる。
【0021】本発明におけるビニル基又はビニル基を置
換基として有する有機基を含有するポリシルセスキオキ
サン系重合体の末端及び/又は側鎖の水酸基及び/又は
アルコキシ基との合計量は次のようにして定量すること
ができる。まず酸性下で、例えばヘキサエチルジシロキ
サンを加えて70℃程度に加熱し、水酸基及び/又はア
ルコキシ基は完全に反応することがNMR解析から確認
されるので、過剰量のヘキサエチルジシロキサンを加え
て反応後の残留量を測定し、その消費量を算出する。こ
の残留量はGPCを用いて定量することができる。又こ
のポリシルセスキオキサンの数平均分子量をVPOなど
の蒸気圧測定法により測定する。
【0022】又GPCを用いて、分子量分布を測定す
る。ヘキサエチルジシロキサンの消費量に至るまでのヘ
キサエチルジシロキサン添加量を変えてシリル化を行な
い、それぞれの試料の29Si−NMRスペクトルを観察
し、シラノールに基づくピーク、シリル化されたトリメ
チルシリルに基づくピーク及び一般式(1)で表わされ
る有機基R1 及び/又はR2 を有するシリルに基づくピ
ークの積分比を求める。VPOによる数平均分子量及び
GPCによる分子量分布を考慮して、ポリシルセスキオ
キサン系重合体1分子当たりの水酸基及び/又はアルコ
キシ基の合計量が算出できる。実際的な対応としては、
シリル化剤であるヘキサエチルジシロキサン添加量とポ
リシルセスキオキサン系重合体の末端及び/又は側鎖の
水酸基との相関を求めておき、これを所定のシリル化度
になるようにシリル化反応を行うことが望ましい。
【0023】このようにして得られたポリシルセスキオ
キサンの重量平均分子量は、500〜100,000で
ある。重量平均分子量が500未満では目的とする特徴
が得られにくく、又100,000を超えると粘性が高
すぎて取り扱いにくくなり加工性においても好ましくな
い。本発明に係るポリシルセスキオキサン−ビニル共重
合体は、上述したようなポリシルセスキオキサンに含ま
れているビニル基によってビニルポリマーに結合されて
おり、このビニルポリマーは耐久性に優れており、又安
定性にも優れている。上記のようなポリシルセスキオキ
サンを、ビニルポリマーの主鎖及び/又は側鎖に結合さ
せるためには、ポリシルセスキオキサンと重合性不飽和
単量体とを共重合させればよい。
【0024】本発明におけるポリシルセスキオキサン系
重合体と共重合せしめる重合性不飽和単量体としては、
例えば(メタ)アクリル酸、メタクリル酸[以下両者を
(メタ)アクリル酸という。]、アクリル酸エステル
[例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル
酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ラウリ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル等]、スチレン類
[例えばスチレン、メチルスチレン等]、脂肪族ビニル
エステル[例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル
等]、塩化ビニル、含フッ素ビニル単量体[例えば(パ
ーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシ
ル)エチレン、(パーフルオロオクチル)エチレン、
(パーフルオロデシル)エチレン、2,2,2−トリフ
ルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,
3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2
−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレー
ト、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)
エチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシ
ル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレー
ト、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)
エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3
−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、3−
(パーフルオロ−3−メチルブチル)2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5
−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−
(パーフルオロ−9−メチルオクチル)エチル(メタ)
アクリレート、2−(パーフルオロ−9−メチルドデシ
ル)エチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テ
トラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1
H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレー
ト、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メ
タ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフル
オロノニル(メタ)アクリレート、1H,1H,11H
−イコサフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、
2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエ
チル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−
ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート等]、ケイ
素マクロモノマー[例えばX−22−164B、X−2
2−164C、X−22−5002、X−22−174
D(以上信越化学工業(株)製)のような(メタ)アク
リル酸及び/又はビニル残基を有するポリシロキサン
等]、マレイン酸又はフマル酸とC1 〜C18なる1価ア
ルコール類とのエステル類等、ラジカル重合性を有する
不飽和単量体であれば全てに適用され、なんら限定され
るものではない。
【0025】ポリシルセスキオキサン系重合体と共重合
せしめる重合性不飽和単量体の混合割合は、一般に0.
01〜50%の範囲が望ましく、樹脂の耐久性の観点か
らは混合割合が高い方が良いが樹脂溶液の安定性の観点
からも混合割合が高い方がよいため、好ましくは0.1
〜30%の範囲がよい。
【0026】ポリシルセスキオキサン及び重合性不飽和
単量体との共重合反応に用いられる重合開始剤は、一般
のラジカル重合反応開始剤として使用されるものであれ
ばあらゆるものが使用できる。例えばアゾ系重合開始剤
[例えば2,2’−アゾビス(イソブチルニトリル)、
2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシ
バレロニトリル)、2−シアノ−2−プロピルアゾ−ホ
ルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチル
プロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキ
シメチルプロピオニトリル)等]、パーオキサイド系重
合開始剤[例えばイソブチルパーオキサイド、2,4−
ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオ
キサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルキュ
ミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド等]などが挙げられ、これらを組み合わせて使用する
ことができる。
【0027】上述の共重合反応は通常有機溶媒の存在下
で行われ、使用できる有機溶剤としては、例えば炭化水
素類[例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘ
キサン等]、エステル類[酢酸エチル、酢酸ブチル、酢
酸アミル等]、ケトン類[アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等]、
エーテル類[テトラハイドロフラン、1,4−ジオキサ
ン等]、アルコール類[例えばメタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等]、
含窒素類[例えば1−メチル−2−ピロリドン、n,n
−ジメチルフォルムアミド等]などが挙げられる。
【0028】上述の共重合反応は必要に応じて分子量調
整剤として、ラウリルメルカプタン、t−ブチルメルカ
プタン、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエチル
アルコール等のごとく連鎖移動剤を用いることができ
る。反応温度は特に限定しないが、ラジカル重合反応開
始剤の使用可能温度であればよく、通常50〜180℃
が好ましく、段階的に低温から高温まで上昇させる方法
をとってもよい。反応時間は特に限定されないが、通常
1〜24時間が好ましい。このようにして得られたポリ
シルセスキオキサン−ビニル共重合体の重量平均分子量
は1,000〜500,000であり、好ましくは3,
000〜300,000であることが望ましい。
【0029】又本発明のポリシルセスキオキサン−ビニ
ル共重合体樹脂において、目的、用途に応じて3次元硬
化させるために、重合性不飽和単量体の一部に架橋性反
応基を有するものを用いることができる。架橋性反応基
を有する重合性不飽和単量体としては、例えば架橋性反
応基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリ
ル酸グリシジル等]、重合性不飽和脂肪酸[例えば(メ
タ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマル酸等]、(メタ)アクリルアミド[例えばn
−メチロール(メタ)アクリルアミド、n−メトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド、n−(イソ)ブトキシメ
チル(メタ)アクリルアミド等]などが挙げられる。
【0030】3次元硬化の方法としては、例えば重合性
不飽和単量体の一部として、メタクリル酸2−ヒドロキ
シエチルを用いたポリシルセスキオキサン構造を有する
ビニル重合体樹脂を調製し、該重合体に含まれる水酸基
に応じた量のポリイソシアネート化合物、例えば炭化水
素ジイソシアネートのビウレット及び/又はイソシアヌ
レートあるいはメチロールメラミン、ブチロールメラミ
ン等のアルキロールメラミンを該重合体に加え、ルイス
酸触媒の存在下で室温あるいは加熱下で3次元硬化体を
得ることができる。
【0031】本発明のポリシルセスキオキサン−ビニル
共重合体樹脂は、必要に応じて顔料、充填材、骨材、可
塑剤、その他の添加剤を配合し、撥水性、剥離性、耐熱
性、耐候性、耐光性等に優れたコーティング剤、接着
剤、フィルム、繊維処理剤、改質剤等として有用であ
る。
【0032】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて本発明を更に
詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるもの
ではない。 実施例1 (ポリシルセスキオキサンの製造)温度計、撹拌装置、
窒素導入管及び還流冷却管を取付けた300ccのフラ
スコに、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシ
ラン9.8g(39.5mmol)、メチルトリエトキ
シシラン77.4g(434mmol)、フェニルトリ
メトキシラン2.42g(12.2mmol)及び純水
26.3g(1460mmol)を仕込み、窒素気流下
にて撹拌しながら溶液の温度を5℃に保った。撹拌しな
がら10%の塩酸水溶液5gを30分かけて滴下した
後、溶液温度を10℃で1時間保ち、溶液の温度を70
℃に上げ3時間反応させた。次に19.1gのヘキサエ
チルジシロキサン(77.5mmol)を添加し、さら
に70℃にて3時間撹拌を続けた。溶液温度を40℃に
下げ5%の水酸化カリウムのメタノール溶液を5.5g
加えた後、室温にて12時間放置した。下層部分を抜き
出し80gの酢酸ブチルを添加後、撹拌しながら40
℃、200mmHgの減圧下で濃縮を行い、80gの液
体を留去させた後、常圧にてさらに酢酸ブチルを170
g添加し、1時間撹拌を行った。得られた溶液を濾過
後、210℃の重量平均分子量が4,000で、数平均
分子量が3,200であるポリシルセスキオキサンを得
た。
【0033】このもののGPC(Gel Permea
tion Chromatography)によるクロ
マトグラムには、原料シラン化合物に由来するピークは
検出されず、原料シラン化合物は完全に共重縮合してい
ると考えられた。 1H、13C及び29Si−NMRスペク
トルから、ポリシルセスキオキサン系重合体側鎖のモル
比は、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン及びフェニルトリメトキ
シシランのモル数は仕込みモル数に一致し、3:36:
1であった。VPO(Vapor Pressare
Osmometry)による数平均分子量は3,200
であり、GPCによる分子量分布と 1H、13C及び29
i−NMRスペクトルによるポリシルセスキオキサン系
重合体の末端及び/又は側鎖の水酸基及び/又はアルコ
キシ基との合計は1.5であった。このポリマーをポリ
マーAとする。
【0034】実施例2 (シリコーンマクロモノマーの製造)温度計、撹拌装
置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた200ccの
フラスコに、分子量3,400を有するカルビノール変
性ポリジメチルシロキサン、KF−6002(信越化学
工業(株)製)120g及びジブチルチンジラウレート
139mg添加し15℃にて撹拌した。2−イソシアネ
ートエチルメタクリレート9.0gを20分かけてゆっ
くり添加した後、溶液温度を40℃に上げ、さらに1.
5時間反応を続けた。室温まで冷却後、127gのシリ
コーンマクロモノマーを得た。このポリマーをポリマー
Bとする。
【0035】実施例3 (ポリシルセスキオキサン−ビニル共重合体の製造)温
度計、撹拌装置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた
300ccのフラスコに、24.5gのポリマーA、
1.36gのポリマーB、33.7gの2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート、17.3gのメチルメタクリレ
ート、49.1gのn−ブチルメタクリレート、15.
9gの2−エチルヘキシルアクリレート、2.18gの
アクリル酸及び2.44gのドデシルメルカプタンを加
え、窒素気流下にて30分間撹拌した。温度計、撹拌装
置、窒素導入管及び還流冷却管を取付けた300ccの
フラスコに、26.6gの該混合モノマーと55.0g
の酢酸ブチルを加え、室温窒素気流下にて30分間撹拌
した。7.9重量%の2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメ
チルの酢酸ブチル溶液12.4gを加え、窒素気流下に
て撹拌しながら昇温し、80℃に30分保った後、さら
に106gの該混合モノマーを3時間かけて添加した。
再び7.9重量%の2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチ
ルの酢酸ブチル溶液6.4gを加え、90℃にて3時間
反応を続けた。室温まで冷却後、195gの無色透明溶
液を得た。このものの重量平均分子量は25,000で
あった。
【0036】比較例1 実施例1において末端の水酸基及び/又はアルコキシ基
との合計が3.5となるように、シリル化剤のヘキサエ
チルジシロキサンを2.40g添加してポリシルセスキ
オキサン系重合体を調製した。3−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン
及びフェニルトリメトキシシランのモル数は仕込みモル
数に一致していた。このものを30℃で放置したところ
1日でゲル化した。
【0037】比較例2 実施例1において末端の水酸基及び/又はアルコキシ基
との合計が3.0となるように、シリル化剤のヘキサエ
チルジシロキサンを4.75g添加してポリシルセスキ
オキサン系重合体を調製した。3−メタクリルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン
及びフェニルトリメトキシシランのモル数は仕込みモル
数に一致していた。直ちにこのものを用いて実施例3と
同様な操作にてビニル共重合体を調製することを試みた
が、反応中にゲル化した。
【0038】実施例4 温度計、撹拌装置、窒素導入管及び還流冷却管を取付け
た300ccのフラスコに、3−メタクリルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン10.8g(43.5mmo
l)、メチルトリエトキシシラン69.7g(391m
mol)、フェニルトリメトキシシラン2.42g(1
2.2mmol)及び純水26.6g(1474mmo
l)を仕込み、窒素気流下にて撹拌しながら溶液の温度
を5℃に保った。撹拌しながら10%の塩酸水溶液5g
を30分かけて滴下した後、溶液温度を10℃で1時間
保った。次に溶液の温度を70℃に上げ3時間反応させ
た後、11.2gのトリエチルシラノール(85.0m
mol)を添加し、さらに70℃にて3時間撹拌を続け
た。溶液温度を40℃に下げ5%の水酸化カリウムのメ
タノール溶液を5.5g加えた後、室温にて12時間放
置した。下層部分を抜き出し80gの酢酸ブチルを添加
後、撹拌しながら40℃、200mmHgの減圧下で濃
縮を行い、80gの液体を留去させた後、常圧にてさら
に酢酸ブチルを170g添加し、1時間撹拌を行った。
得られた溶液を濾過後、195gの重量平均分子量が
3,800で、数平均分子量が3,000であるポリシ
ルセスキオキサン系重合体を得た。
【0039】このもののGPCによるクロマトグラムに
は原料シラン化合物に由来するピークは検出されず、完
全に共重合していると考えられた。 1H、13C及び29
Si−NMRスペクトルから、ポリシルセスキオキサン
系重合体側鎖のモル比は、3−メタクリルオキシプロピ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン及び
フェニルトリメトキシシランのモル数は仕込みモル数に
一致し、3.6:32:1であった、VPOによる数平
均分子量は3,000であり、GPCによる分子量分布
1H、13C及び29Si−NMRスペクトルによるポ
リシルセスキオキサン系重合体の末端及び/又は側鎖の
水酸基及び/又はアルコキシ基との合計は1.6であっ
た。
【0040】温度計、撹拌装置、窒素導入管及び還流冷
却管を取付けた300ccのフラスコに、73.5gの
プレポリマー、33.7gの2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、17.3gのメチルメタクリレート、2
4.5gのn−ブチルメタクリレート、31.8gの2
−エチルヘキシルアクリレート、2.18gのアクリル
酸及び2.93gのドデシルメルカプタンを加え、窒素
気流下にて30分間撹拌した。温度計、撹拌装置、窒素
導入管及び還流冷却管を取付けた300ccのフラスコ
に、26.6gの該混合モノマーと55.0gの酢酸ブ
チルを加え、室温窒素気流下にて30分間撹拌した。
7.9重量%の2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチルの
酢酸ブチル溶液12.4gを加え、窒素気流下にて撹拌
しながら昇温し、80℃に30分保った後、さらに10
6gの混合モノマーを4時間かけて添加した。再び7.
9重量%の2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチルの酢酸
ブチル溶液6.4gを加え、90℃にて3.5時間反応
を続けた。室温まで冷却後、189gの無色透明溶液を
得た。このものの重量平均分子量が20,000であっ
た。
【0041】比較例3 実施例1において、加水分解縮合を行なった後、末端の
水酸基及び/又はアルコキシ基との合計が3.0となる
ように、シリル化剤のヘキサエチルジシロキサンを4.
75g添加し、さらに70℃にて3時間撹拌を続けた。
溶液温度を40℃に下げ、5%の水酸化カリウムのメタ
ノール溶液を5.5g加えた後、室温にて12時間放置
した。下層部分を抜き出し、濃縮中に分子量が増大する
ことを避けるため、濃縮を行わずに溶液を濾過しただけ
で、実施例2と同様な操作にてビニルモノマーとの共重
合体を得た。このものの分子量は40,000であっ
た。このものを30℃にて放置したところ1時間でゲル
化した。
【0042】実施例5 実施例2で得られたポリシルセスキオキサン構造を有す
るビニル重合体溶液を55重量部、ポリイソシアネート
としてヘキサメチレンジイソシアネート系イソシアヌレ
ート、スミジュールN−3500(住友バイエルウレタ
ン(株)社製)を12重量部、酢酸ブチルを18重量部
及びキシレンを15重量部混合し、中塗り白色ウレタン
ソリッドが塗布された日本テストパネル社製アルミ板A
1050Pに、スプレー塗装を行い室温にて2日間乾燥
させた。膜厚は30μmで、塗膜の鉛筆硬度(JIS
K 5400)は3Hで、サンシャインカーボンアーク
灯式サンシャインウエザーメーターを用いた促進耐候性
試験(JIS K 5400)では、5000時間後に
おいても色差ΔEは2.8、光沢保持率は83%であっ
た。
【0043】実施例6 実施例2で得られたポリシルセスキオキサン構造を有す
るビニル重合体溶液を80重量部、ブチロールメラミ
ン、UVAN2061(三井東圧(株)社製)を25重
量部、グロックイソシアネート、デスモジュールTPL
S−2759(住友バイエルウレタン(株)社製)を1
5重量部及びソルフィット(クラレ(株)社製)を87
重量部混合し、中塗り白色ウレタンソリッドが塗布され
た日本テストパネル社製アルミ板A1050Pに、スプ
レー塗装を行い150℃にて20分間乾燥させた。膜厚
は30μmで、塗膜の鉛筆硬度(JIS K 540
0)は2Hで、サンシャインカーボンアーク灯式サンシ
ャインウエザーメーターを用いた促進耐候性試験(JI
S K 5400)では、5000時間後においても色
差ΔEは3.0、光沢保持率は80%であった。
【0044】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明により得られた
ポリシルセスキオキサン構造を有するビニル重合体は、
従来のシロキサン含有ビニル重合体に比べ、高い耐久
性、保存安定性等の性能が要求される分野において有用
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 二三雄 千葉県千葉市緑区大野台1−1−1昭和電 工株式会社総合研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 [式中、R1 及びR2 の50〜99.9モル%がメチル
    基であり、0.1〜25モル%がビニル基又はビニル基
    を置換基として有する有機基であり、残部が炭素原子数
    2以上のアルキル基、置換もしくは非置換フェニル基、
    水酸基又はアルコキシ基であり、R3 、R4 、R5 及び
    6 が水素原子、アルキル基又は下記一般式(2) 【化2】 (式中、R7 、R8 及びR9 は炭素数が1以上の非置換
    又は置換炭化水素基であり、同時にメチル基ではない)
    で表わされる基であり、R3 、R4 、R5 及びR6 の水
    素原子又はアルキル基の合計は平均で2個未満である。
    nは重合度を表わす。]で表わされ、重合平均分子量が
    500〜100,000であるポリシルセスキオキサ
    ン。
  2. 【請求項2】 一般式(3) 【化3】 [式中、R10はメチル基、ビニル基又はビニル基を置換
    基として有する有機基、炭素数2以上のアルキル基、置
    換もしくは非置換フェニル基、水酸基又はアルコキシ基
    を表わし、OR11、OR12及びOR13は加水分解性基を
    表わす。]で表わされるシラン化合物を、酸触媒の存在
    下に加水分解・重縮合を行った後、シリル化剤により重
    合体末端部のシリル化を行うことを特徴とする請求項1
    記載のポリシルセスキオキサンの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のポリシルセスキオキサン
    及び共重合性不飽和単量体との共重合体であって、重量
    平均分子量が1,000〜500,000であるポリシ
    ルセスキオキサン−ビニル共重合体樹脂。
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