JPH08173528A - 血液処理システム - Google Patents

血液処理システム

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JPH08173528A
JPH08173528A JP6321083A JP32108394A JPH08173528A JP H08173528 A JPH08173528 A JP H08173528A JP 6321083 A JP6321083 A JP 6321083A JP 32108394 A JP32108394 A JP 32108394A JP H08173528 A JPH08173528 A JP H08173528A
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JP
Japan
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blood
plasma
porous membrane
processing system
hiv
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Application number
JP6321083A
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English (en)
Inventor
Tadahiro Motomura
忠広 本村
Hiroko Miyashita
裕子 宮下
Takashi Owada
尚 大和田
Masato Onishi
誠人 大西
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】血液中より有害物質、病因物質、病因細胞、ウ
イルス、ウイルス感染細胞などを吸着除去もしくは不活
化する簡便で効率的な血液処理システムを提供する。 【構成】採血手段と返血手段との間に血液処理部を設け
た血液処理システムにおいて、該血液処理部が標的物質
に対して親和性を有する化合物を多孔質膜表面に保持し
てなる平均孔径0.1〜1μの多孔質膜からなる血漿処
理器と、標的物質に対して親和性を有する化合物を多孔
質膜表面に保持してなる平均孔径1〜50μの多孔質膜
からなる血球処理器と、該血漿処理器で処理された血液
と該血球処理器で処理された血液を混合する手段とを有
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中の有害物質、病
因物質、病因細胞、ウイルス、ウイルス感染細胞などを
吸着除去する血液処理システムや治療システムに関す
る。
【0002】また、近年世界的に問題となっている後天
性免疫不全症候群(以下AIDSと記載する)に対し
て、予防及び治療を目的とした血液中や血液製剤中より
人免疫不全症候群ウイルス(以下HIVと記載する)や
その関連物質、あるいはHIV感染細胞などを除去する
血液処理システムに関する。
【0003】
【従来の技術】従来の血液処理システムは、特開昭61
−113463号、特公平5−50302号、特公平5
−50303号、特公平5−50301号等に記載され
ているように、血漿分離膜や遠心分離器により、血漿成
分と血球成分とを分離した後、血漿成分を免疫吸着材や
低密度蛋白吸着材と接触させ、標的物質を吸着除去する
システムであった。これらの方法は、血漿分離手段と血
液浄化手段が別々の装置により行われているため、操作
が煩雑であるとかプライミングボリュームが大きいなど
の問題点を有していた。
【0004】また、特公平5−50301号には、平均
直径3μm未満の繊維からなる白血球除去材を内蔵した
白血球除去手段を有する血液浄化装置が開示されてい
る。本装置は、白血球と血漿中の免疫グロブリン及び免
疫グロブリン複合体等の悪性物質を除去する装置であ
る。この装置に使用されている白血球除去材は、白血球
を非特異的に吸着するフィルターであるため、除去不要
なリンパ球まで血液中より取り除くこととなる。従っ
て、自己抗体を産生するような病原性リンパ球を除去で
きるものの、患者にとって有益なリンパ球を除去するこ
とで外敵に対する免疫機能を低下させる恐れがある。
【0005】さらには、ウイルスやウイルス感染細胞を
殺傷する治療システムとしては、体外循環光化学療法
(例えば、The Yale Journal of
Biology and Medicine、62号、
1989年、p565〜577)が研究されており、A
IDSや成人T細胞白血病などでの治療が試みられてい
る。
【0006】近年、HIVの感染によるAIDSの発症
により多くの生命が失われているが、いまだ、完全な治
療薬は開発されていない。
【0007】多くのウイルス粒子の等電点(pI)は3
〜6であり、中性領域では負電荷を有している。従っ
て、イオン強度が低く不純物の少ない水や緩衝液などか
らは、静電相互作用によりウイルスを吸着することが可
能であり、そのようなウイルス除去材料としては、特開
平3−123630号に記載されているように、ポリビ
ニルピリジニウム構造を表面に有する材料や多孔質膜が
ある。しかしながら、この多孔質膜は、血漿や血液など
に代表される高蛋白濃度の液体中では、蛋白質の非特異
的吸着が強いため、ウイルスを選択的に除去することは
できない。
【0008】特開平2−167232号に、体液や蛋白
溶液などからウイルスを除去する再生セルロース膜が記
載されている。この膜は、孔径がHIVウイルス粒子よ
り小さいため、HIVは透過できない。また、孔径が小
さいため、透過速度が小さく目詰まりが生じやすいとい
った問題点を有している。HIVの病原性は、HIV粒
子以外にもその外皮タンパク質(gp120やgp16
0あるいはそれらの免疫複合体)にもあるとの報告が多
く存在する。例えば、Microbiologycal
Reviews,Mar.1993、p183−28
9「Pathogenesis of HIV inf
ection」(マイクロバイオロジカルレビュー、3
月号(1993年)p183−289「パソジェネシス
オブヒューマン イミュノデフィシェンシーウイルス
インフェクション」)である。しかし、残念ながらこ
の膜では、gp120は小さすぎて捕捉することができ
ない。
【0009】生物学的親和性を利用して血液や血漿など
からウイルスを分離する材料として、細胞表層に存在す
るウイルスとの結合部位(リセプター)を材料表面に固
定化した材料が、WO89/01813に記載されてい
る。しかしながら、この方法は、細胞からリセプターを
精製するプロセスやそのリセプターを基材に結合させる
プロセスが煩雑であり、また生体由来成分を用いている
ため、コストや性能の安定化などが問題となる。
【0010】特開平2−36878号(USP5,04
1,079)には、表面が弱酸性または弱塩基性を示す
固体物質からなる「HIVそれ自体および/または該H
IVの関連物質を除去するための除去剤」が開示されて
いる。この除去剤は、表面に−COOHや−SO3Hを
有し、表面のpHが2.5〜6.9の弱酸性を示すこと
が特徴とである。しかしながら、体液やタンパク溶液が
除去剤と接触するとイオン交換反応により局所的にpH
が変化し、体液やタンパク溶液中のHIVが不活化する
ものの、体液やタンパク溶液の蛋白成分が吸着または変
性し、必ずしも血液等にとって好ましい条件ではなかっ
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、血液中より
有害物質、病因物質、病因細胞、ウイルス、ウイルス感
染細胞などを吸着除去もしくは不活化する簡便で効率的
な血液処理システムを提供することを目的とする。ま
た、HIV感染者の治療や血液製剤からのHIV除去に
適用できる血液処理システムを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記構成の
血液処理システムによって達成される。 (1)採血手段と返血手段との間に血液処理部を設けた
血液処理システムにおいて、該血液処理部が標的物質に
対して親和性を有する化合物を多孔質膜表面に保持して
なる平均孔径0.1〜1μの多孔質膜からなる血漿処理
器と、標的物質に対して親和性を有する化合物を多孔質
膜表面に保持してなる平均孔径1〜50μの多孔質膜か
らなる血球処理器と該血漿処理器で処理された血液と該
血球処理器で処理された血液を混合する血液混合手段と
を有することを特徴とする血液処理システム。 (2)前記採血手段が前記返血手段の一部であることを
特徴とする請求項1記載の血液処理システム。 (3)前記血球処理器の白血球除去率が80%以上であ
ることを特徴とする請求項1または2に記載の血液処理
システム。 (4)標的物質に対して親和性を有する前記化合物が、
ポリ硫酸化合物であることを特徴とする請求項1〜3に
記載の血液処理システム。 (5)前記ポリ硫酸化合物が、硫酸基が実質的に塩の形
で、多孔質膜表面に存在していることを特徴とする請求
項4の血液処理システム。 (6)前記標的物質が抗体成分であり、標的物質に対し
て親和性を有する前記化合物が、抗原または該抗体成分
の認識部位である請求項1または2の血液処理システ
ム。
【0013】本発明の血液処理システムについて、図1
〜3を用いて説明する。本発明の血液処理システム1
は、採血手段2、返血手段3および採血手段2と返血手
段3の間に配置された血液処理部4、血液混合手段5
a、5b、5cから構成され、さらに血液処理部4は血
漿処理器6、血球処理器7および血液混合手段5a、5
b、5cから構成されている。採血手段2は採血針8と
送血管9からなり、送血管9の先端には採血針8が取り
付けられ、他端は血漿処理器6または血球処理器7に連
結している。同様に返血手段3は返血針10と返血管1
1からなり、返血管11の先端には返血針10が取り付
けられ、他端は血球処理器7または血漿処理器6に連結
し、より好ましくは採血管9の途中に採血ポンプ12を
設ける。さらに血漿処理器6と血球処理器7は血液混合
手段5a、5b、5cを介して連結している。
【0014】また、図4〜6に示すように、一時的貯血
容器13を採血手段2と血漿処理器6の間に設け、採血
手段2と返血手段3を合流させ、採血針8を返血針10
として使用する血液処理システム1でも良い。さらに
は、一時的貯血容器13への血液の採血または一時的貯
血容器13から血液の排出の効率化のために、一時的貯
血容器13を加圧減圧装置(図示せず)内に装着しても
良い。
【0015】本発明の血液処理システムに用いられる採
血針8および返血針10は、公知の金属針、または合成
樹脂製の針が用いられる。送血管9、返血管11および
血液混合手段5a、5b、5cは、塩化ビニル樹脂、シ
リコーンゴム等の透明性を有する可撓性合成樹脂製管が
用いられる。一時的貯血容器13は軟質合成樹脂(例え
ば塩化ビニル樹脂)、硬質合成樹脂(例えばポリカーボ
ネイト、硬質塩化ビニル樹脂)により形成された密封型
容器、あるいは開放型容器であり、菌不透過性の疎水フ
ィルターを有する容器でも良い。また一時的貯血容器1
3内に抗凝固剤としてACD液、CPD液、クエン酸ナ
トリウム、ヘパリン等を予め注入しておいても良い。
【0016】本発明の血漿処理器6および血球処理器7
は、血液の流入口、流出口を有するポリプロピレン、ポ
リカーボネイト、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメ
タクリレート等の合成樹脂、ガラスあるいはステンレス
等の金属等のハウジング内に、平膜、中空糸膜、不織
布、織布などの多孔質膜を内蔵したモジュールであり、
特に平膜の積層型モジュールやプリーツ型モジュールあ
るいは中空糸型モジュール等の公知の処理モジュールを
内蔵したものである。さらに、該多孔質膜表面には標的
物質に対して親和性を有する化合物を保持した多孔質膜
である。
【0017】本発明において、標的物質とは血液中の有
害物質、病因物質、病因細胞、ウイルス、ウイルス感染
細胞などであり、詳しくは、AIDSやエイズ関連症候
群(以下ARCと記載する)の原因及び進行と係わりの
ある血液中のHIV、HIV感染細胞およびHIV関連
物質と、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、
重症筋無力症などの免疫系疾患の原因及び進行と係わり
のある血液中の白血球と免疫グロブリン及び免疫グロブ
リン複合体等である。
【0018】さらに詳細に説明すると、HIV関連物質
とは、HIVを構成する糖蛋白質で病原性があるといわ
れているgp120やgp160、あるいはそれらと生
体成分との複合体、例えば免疫複合体などであり、アポ
トーシスの誘導や神経毒、HIVの増殖促進などに関連
する。また白血球と免疫グロブリン及び免疫グロブリン
複合体等とは、細胞性免疫物質としてのリンパ球の亜群
であるB細胞、T細胞、K細胞、NK細胞、マクロフア
ージ、好中球、好酸球、好塩基球等であり、体液性免疫
物質としてのイムノグロブリン、リウマチ因子、抗核抗
体、抗DNA抗体、抗リンパ球抗体、抗赤血球抗体、抗
血小板抗体、アセチルコリンレセプター抗体、血清脱髄
抗体、抗サイログロブリン抗体、抗マイクロゾーム抗
体、抗大腸抗体等の自己抗体を含むイムノグロブリン、
イムノグロブリンの還元生成物、化学修飾生成物等のイ
ムノグロブリン誘導体、イムノグロブリン間またはイム
ノグロブリンと他の物質、特に抗原および抗原様物質と
の複合体等である。
【0019】標的物質に対して親和性を有する化合物と
しては、ポリ硫酸化合物が好ましく、特に硫酸基が実質
的に塩の形で存在している化合物がより好ましい、すな
わち、プロトン型(−SO3H)でなく、カリウム塩
(−SO3K)やナトリウム塩(−SO3Na)で存在し
ていることが有効である。多孔質膜表面の硫酸基が予め
硫酸塩として存在すると、蛋白成分の非特異的吸着も少
なくなり、標的物質の除去率が向上することとなる。ま
たポリ硫酸化合物とは、分子内に複数の硫酸基を有する
化合物であればよく特に限定されないが、硫酸化デキス
トラン、硫酸化セルロース、カードラン硫酸などの硫酸
化多糖類、スルホエチルアクリレート、ビニル硫酸、ス
チレンスルホン酸などのスルホン化モノマーの重合体及
び共重合体などを例示することができる。
【0020】硫酸基を多孔質膜表面に保持させる方法と
しては、種々の公知の方法が適用可能である。保持する
とは、水や血液中に溶出しないように膜の表面に存在さ
せることであり、例えば、グラフト重合法、コーティン
グ法、化学修飾法、酸化法などにより、エポキシ基、ア
ミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、ヒドロキシル
基、酸クロライド基などの官能基を基材表面に導入した
後、ポリ硫酸化合物と直接もしくはカップリング剤やス
ペーサーを介して基材表面に結合する方法、基材表面を
硫酸や亜硫酸塩等の硫酸化剤を用いて硫酸化する方法、
ポリ硫酸構造を有する高分子をコーティングする方法や
架橋不溶化する方法などを例示できる。好ましくは、高
分子材料表面に反応性官能基を有する表面グラフト鎖を
導入する工程と、該反応性官能基にポリ硫酸化合物を固
定化する工程とを有する方法である。また、反応性官能
基を有するグラフト鎖は、グリシジルアクリレートもし
くはグリシジルメタクリレートなどのエポキシ基を有す
る単量体を構成成分とするグラフト鎖が好ましい。さら
に好ましくは、ガラス転移点(Tg)が300K以下の
グラフト鎖を形成させた後、反応性官能基を有する表面
グラフト鎖を導入する工程と、該反応性官能基にポリ硫
酸化合物を固定化する工程とを有する方法である。
【0021】本発明に使用する多孔質膜は平膜、中空糸
膜、不織布、織布などを好適に例示でき、その孔径は、
血漿等の液状成分から標的物質を除去する場合には、平
均孔径が0.1μ〜1μの範囲が好ましく、また、標的
物質が感染細胞等の細胞成分である場合には、白血球除
去率が80%以上の平均孔径1μ〜50μの範囲が好ま
しい。また、不織布状の場合、多孔質膜を形成するフィ
ラメントは、モノフィラメントであってもマルチフィラ
メントであってもよいが、平均直径が100μ以下、好
ましくは、50μ以下であると、膜の表面積が大きくな
り吸着部位が増加することとなるため好ましい。フィラ
メント直径は、走査型電子顕微鏡で観察したフィラメン
トの長径と短径の平均値のことであり、異形フィラメン
トであっても多孔質フィラメントであっても良い。さら
に、その通水量が10ml/min/m2/mmHg以
上、好ましくは100ml/min/m2/mmHg以
上であると濾過圧を低くできるため好ましく、その空孔
部の割合(空孔率)は、20%以上、好ましくは50%
以上である。また、多孔質膜の材質は、特に限定され
ず、セルロースやその誘導体などの天然高分子、あるい
はポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレ
タン、ポリエステル、ポリサルホン、ポリアクリルニト
リルなどの高分子材料を例示できるが、好ましくは、寸
法安定性に優れ水に対して低膨潤性の材料、たとえばポ
リプロピレンやポリフッ化ビニリデンなどの疎水性高分
子材料が好ましく、さらには、表面処理により親水性多
孔質膜に表面改質されているものが好ましい。
【0022】本発明の多孔質膜の標的物質の除去率は、
例えば、HIV除去率として、平均孔径0.1〜1μの
多孔質膜の場合、φ25mmのディスク状フィルターを
用いて、HIV感染価が数十〜数百(50%培養細胞ウ
イルス感染量:TCID50/ml)の血漿を2mlを
通過させた時(膜面積0.5m2のモジュールで10リ
ットルの血漿、20リットル以上の血液の処理に相当す
る)、少なくとも80%、好ましくは90%以上である
ことが望ましい。また、HIV感染細胞を除去する場合
においても、平均孔径1〜50μの多孔質膜の場合、φ
25mmのディスク状フィルターを用いて感染細胞を混
入したリンパ球浮遊液を濾過した時、感染細胞の除去率
は、少なくとも80%、好ましくは90%以上であるこ
とが望ましい。
【0023】
【作用】本発明の血液処理システムの作用を図1、図
7、図8を参照して説明する。人体の静脈(図示せず)
に採血手段2である採血針8を穿刺し送血管9を通って
血液が採取され血漿分離器6内に血液流入口61から流
入する。場合によっては採血ポンプ12を使用しても良
い。流入した血液は血漿分離器6内の多孔質膜64によ
り血球成分と血漿成分に分離され、血球成分は血液流出
口63を通って血液混合手段5bに流出され、また血漿
成分は多孔質膜64表面に保持されたポリ硫酸化合物等
により血漿成分中の標的物質(例えばHIV)が除去さ
れ、浄化された血漿成分は血液流出口62を通って血液
混合手段5aに流出される。血液混合手段5cで血球成
分と浄化血漿成分が混合され、血球分離器7の血液流入
口71を通って血球分離器7内に流入する。血球分離器
7内の血液は多孔質膜73表面に保持されたポリ硫酸化
合物等により細胞状の標的物質(例えばHIV感染細
胞)が除去される。浄化血液は血液流出口72を通って
返血管11に流出され、返血針10によって人体内に戻
される。その結果、血液中の病因物質(標的物質であり
例えばHIV)が除去(浄化)された血液が体内に戻さ
れるので、病因物質(標的物質)に対応した病気(例え
ばAIDS)の治療に効果がある。
【0024】
【実施例】本発明を以下のAIDSを対象とした血液処
理システムを例に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。尚、多孔質膜の特性についてはいかの
方法で測定する。 (1)通水量 0.7kg/cm2の圧力下で、25℃±2℃で測定し
た値である。 (2)空孔率は下式Aで表される値である。 [空孔部の体積/(空孔部+フィルター実質部)の体
積]×100 (A) (3)平均孔径 パームポロメーター(ポーラスマテリアル社製)を用い
てASTM−F316に従った方法で求めた値である。
【0025】(実施例1)図1に示す構成で血液処理シ
ステムを作成した。
【0026】1)採血手段 採血針として合成樹脂性の瓶針、送血管として塩化ビニ
ル樹脂製の内径3mmのチューブを用いた。
【0027】2)血漿分離器 多孔質膜の製造 平均孔径0.5μ、空孔率61%、膜厚80μのポリプ
ロピレン膜に、アルゴンプラズマ(100W、0.1T
orr、15秒間)を照射した後、2−メトキシエチル
アクリレートガス(1.0Torr)に3分間、グリシ
ジルアクリレートガス(0.7Torr)に5分間接触
させて表面グラフト重合を行い、表面にエポキシ基を有
する親水性多孔質膜を得た。続いて、濃アンモニア水
中、40℃で48時間反応させ、エポキシ基をアミノ基
へ変換した。デキストラン硫酸(シグマ社製、分子量5
000、硫酸化度2.2)は、所定濃度の過ヨウ素酸ナ
トリウムにより酸化させアルデヒド化を行った後、アミ
ノ化した多孔質膜と水中で反応させ、さらに還元操作を
行うことで膜に結合させた。
【0028】多孔質膜の評価 この膜を、ニュークリポア製スウインロックフィルター
ホルダー(φ25mm)にセットし、HIVを含む人血
漿5mlを濾過し、濾過前後でのHIV感染価を測定し
たところ、本膜を通過させることで感染価は、97%失
われていた。但し、HIV含有血漿は、HIV(HTL
V−3.B)持続感染細胞、Molt−4/HIVを1
0%FCS含有RPMI1640培地中で培養し、遠心
分離によりHIV溶液を採取した後、人血漿を添加して
調整した。HIV感染価は、細胞変性効果を肉眼観察及
び蛍光抗体法によって行い50%培養細胞ウイルス感染
量(TCID50/ml)として算出した。
【0029】血漿分離器の製造 得られた膜は、1.7mm幅でプリーツ状に折った後、
幅5cm長さ8cm,高さ12.5cmの長方形のポリ
カーボネイト製ハウジングに密封した。有効膜面積は
0.18m2(6cm×3m)のモジュールとなる。
【0030】3)血液混合手段 塩化ビニル樹脂製の内径3mmのチューブを用いた。
【0031】4)血球分離器 多孔質膜の製造 平均孔径3.2μ、膜厚300μのポリウレタン製スポ
ンジに、アルゴンプラズマ(100W、0.1Tor
r、20秒間)を照射した後、グリシジルメタクリレー
トガス(0.7Torr)を7分間接触させて表面グラ
フト重合を行い、フィルター表面にエポキシ基を導入し
た。続いて、濃アンモニア水中、40℃で48時間反応
させ、エポキシ基をアミノ基へ変換した。デキストラン
硫酸(シグマ社製、分子量5000、硫酸化度2.2)
は、所定濃度の過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化させア
ルデヒド化を行った後、アミノ化したフィルターと水中
で反応させ、さらに還元操作を行うことで膜に結合させ
た。
【0032】多孔質膜の評価 この膜を、ニュークリポア製スウインロックフィルター
ホルダー(φ25mm)に2枚積層してセットした後、
HIV(HTLV−3.B)持続感染細胞を含む人血液
5mlを濾過し、濾過前後でのHIV(HTLV−3.
B)持続感染細胞の感染価を測定したところ、本フィル
ターを通過させることで感染価は、93%失われてい
た。但し、感染価は細胞変性効果を肉眼観察及び蛍光抗
体法によって行い50%培養細胞ウイルス感染量(TC
ID50/ml)として産出した。
【0033】血球分離器の製造 得られた膜を外径70mmにカットし、ポリカーボネイ
ト製ハウジング(形状寸法?)に2枚積層して密封し
た。有効膜面積は34cm2のモジュールとなる。
【0034】5)採血手段 採血針として合成樹脂性の瓶針、送血管として塩化ビニ
ル樹脂製の内径3mmのチューブを用いた。
【0035】上記血液処理システムにより、血液中より
HIVおよびHIV感染細胞が80%以上除去されてい
ることが確認された。
【0036】
【発明の効果】本発明の血液処理システムは、、採血手
段と返血手段との間に血液処理部を設け、該血液処理部
が標的物質に対して親和性を有する化合物を多孔質膜表
面に保持してなる平均孔径0.1〜1μの多孔質膜から
なる血漿処理器と、標的物質に対して親和性を有する化
合物を多孔質膜表面に保持してなる平均孔径1〜50μ
の多孔質膜からなる血球処理器と、該血漿処理器で処理
された血液と該血球処理器で処理された血液を混合する
手段とを有するため、例えば、HIVに感染した患者の
血液を処理した場合には、血漿処理器で標的物質を含む
液状成分、すなわちHIVやその関連物質を含む血漿中
よりHIVやその関連物質を除去し、同時に、血球処理
器でHIVに感染した白血球等の細胞を全血中より除去
することができる。従って、血液中の病因物質となる標
的物質を含む血球(細胞)成分および血漿(液状)成分
を同時に処理できるシステムのため、血液中より効率的
にHIVやその関連物質、HIV感染細胞等を除去する
ことができる。
【0037】さらに、エイズ治療には、ウイルスの拡散
阻止、ウイルス負荷の低減、ウイルスの複製阻害が重要
とされている。従って、HIV血症となった患者の体液
よりHIVやHIV関連物質、あるいはHIV感染細胞
を除去することは、QOL(クフォリティ・オブ・ライ
フ)の改善や病状進行の抑制に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である二針式血液処理システ
ムを示す図である。
【図2】本発明の他の実施例である二針式血液処理シス
テムを示す図である。
【図3】本発明の他の実施例である二針式血液処理シス
テムを示す図である。
【図4】本発明の他の実施例である単針式血液処理シス
テムを示す図である。
【図5】本発明の他の実施例である単針式血液処理シス
テムを示す図である。
【図6】本発明の他の実施例である単針式血液処理シス
テムを示す図である。
【図7】図1の血漿処理器の斜視図である。
【図8】図7のA−A’線に沿った断面図である。
【図9】図1の血球処理器の断面図である。
【符号の説明】
1 血液処理システム 2 採血手段 3 返血手段 4 血液処理部 5a 血液混合手段 5b 血液混合手段 5c 血液混合手段 6 血漿処理器 7 血球処理器 8 採血針 9 送血管 10 返血針 11 返血管 12 採血ポンプ 13 一時的貯血容器 14、15、16、17、18 回路閉塞手段 61 血液流入口 62、63 血液流出口 64 多孔質膜 65 ハウジング 71 血液流入口 72 血液流出口 73 多孔質膜 74 ハウジング 75 多孔質膜支持体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大西 誠人 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500番地 テルモ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】採血手段と返血手段との間に血液処理部を
    設けた血液処理システムにおいて、該血液処理部が標的
    物質に対して親和性を有する化合物を多孔質膜表面に保
    持してなる平均孔径0.1〜1μの多孔質膜からなる血
    漿処理器と、標的物質に対して親和性を有する化合物を
    多孔質膜表面に保持してなる平均孔径1〜50μの多孔
    質膜からなる血球処理器と該血漿処理器で処理された血
    液と該血球処理器で処理された血液を混合する手段とを
    有することを特徴とする血液処理システム。
  2. 【請求項2】前記採血手段が前記返血手段の一部である
    ことを特徴とする請求項1記載の血液処理システム。
  3. 【請求項3】前記血球処理器の白血球除去率が80%以
    上であることを特徴とする請求項1または2に記載の血
    液処理システム。
  4. 【請求項4】標的物質に対して親和性を有する前記化合
    物が、ポリ硫酸化合物であることを特徴とする請求項1
    〜3に記載の血液処理システム。
  5. 【請求項5】前記ポリ硫酸化合物が、硫酸基が実質的に
    塩の形で、多孔質膜表面に存在していることを特徴とす
    る請求項4の血液処理システム。
  6. 【請求項6】前記標的物質が抗体成分であり、標的物質
    に対して親和性を有する前記化合物が、抗原または該抗
    体成分の認識部位である請求項1または2の血液処理シ
    ステム。
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