JPH0576018A - ビームランデイング補正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】偏向ヨークをシャドウマスク型受像管に固定し
た状態で、電子ビームの偏向中心と、シャドウマスク型
受像管の露光点を一致させるための調整を容易にかつ正
確に行う。 【構成】水平偏向電流に同期するとともに振幅及び極性
を調整可能な鋸歯状波を発生する鋸歯状波電流発生回路
５０を設け、この鋸歯状波電流発生回路５０からの鋸歯
状波をシャドウマスク型受像管５の調整用磁石部７のフ
レーム７１の内側に設けられた速度変調コイル８に、鋸
歯状波電流発生回路５１からの鋸歯状波電流を、画質補
償用速度変調電流に重畳して流すようにしたものであ
る。鋸歯状波９１の振幅及び極性調整することにより、
電子ビームの偏向中心と、シャドウマスク型受像管の露
光点を一致させるための調整を容易にかつ正確に行うこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】カラーテレビジョン受像機やカラ
ーモニタ等に用いられるビームランディング補正装置に
係り、特に調整作業を容易にすることができるビームラ
ンディング補正装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、シャドウマスク型受像管が取付
けられたテレビジョン受像機においては、シャドウマス
クの孔を通った電子ビームが蛍光体の中心に性格にラン
ディングするように、３本の電子ビームの補正を行って
いる。

【０００３】図６はこのような電子ビームの補正を行う
従来のシャドウマスク型受像管の内部の概略を示す上方
から見た断面図である。

【０００４】図６において、シャドウマスク型受像管１
は細径のネック部１１より所定角度で拡がるファンネル
部１２を経て、所定の曲率を成すパネル面１３を構成す
る。ネック部１１にはＲ（赤），Ｇ（緑），Ｂ（青）の
３色電子銃１４Ｒ，１４Ｇ，１４Ｂが所定の配列方式に
よって配置される。

【０００５】また、ネック部１１からファンネル部１２
にかけて、その外側に色純度調整用マグネット、或い
は、偏向ヨーク等の電磁偏向部品が設けられ、前記電子
銃力１４Ｒ，１４Ｇ，１４Ｂから出射する赤色電子ビー
ム１５Ｒ，緑色電子ビーム１５Ｇ，青色電子ビーム１５
Ｂが偏向ヨークの偏向中心２１を中心として偏向され
る。

【０００６】一方、パネル面の裏面側は、３色電子ビー
ム１５Ｒ，１５Ｇ，１５Ｂに対応し３色を一組として蛍
光体１６が多数膜状に形成されている。そしてこれら蛍
光体１６の面より所定距離だけ電子銃側に、シャドウマ
スク１７がフレーム１９を介してピン２０によって取付
けられている。シャドウマスク１７は、前記蛍光体１６
に対応した数の孔１８が穿たれている。

【０００７】図７は、図１のシャドウマスク型受像管１
の外観を示す側面図である。

【０００８】図７において、偏向ヨーク３は、背面側の
開後部より所定角度で拡がる筒状のカバー３１の内側に
垂直及び水平偏向コイルを配設し、正面側の開後部から
シャドウマスク型受像管１のネック部１１を挿入するよ
うにしたものである。偏向ヨーク３の背面側には、帯状
の金属を巻回すとともに、一端及び他端側を起曲して形
成した偏向ヨーク締め付け金具３２が取付けられてい
る。この、偏向ヨーク締め付け金具３２は、一端側に偏
向ヨーク締め付けねじ３３が挿入される貫通孔が形成さ
れ、他端側に偏向ヨーク締め付けねじ３４が螺入される
捩子孔が形成されている。偏向ヨーク３は、ネック部１
１をカバー３１の正面側開口部から挿入し正面側開口部
から突出させた状態で、偏向ヨーク締め付けねじ３３を
偏向ヨーク締め付け金具３２の一端側の貫通孔に挿入
し、偏向ヨーク締め付け金具３２の他端側のねじ孔に螺
入し締め付けることによりネック部１１に取付け固定さ
れる。偏向ヨーク３１とファンネル部１２の間には複数
のくさび３４が介挿されており、偏向ヨーク３１の中心
軸３５と、ネック部１１の中心軸３６とを一致するよう
にしている。

【０００９】このようなシャドウマスク型受像管１で
は、３色電子ビーム１５Ｒ，１５Ｇ，１５Ｂが蛍光体１
６を正確にランディングするためには、偏向ヨーク３に
よる電子ビームの偏向中心２１と、シャドウマスク型受
像管１の露光点（同色でそれぞれ異なる位置の複数の蛍
光体１６とこれらにそれぞれ対応する複数のシャドウマ
スク１７の孔１８を結ぶ線が交わる点）とを一致させな
ければならない。そこで、偏向ヨーク３を最もファンネ
ル部１２に押し付けた位置よりネック部１１の中心軸３
６に沿って２．５〜３mm程度背面側に後退させた位置に
偏向ヨーク３を偏向ヨーク締め付けねじ３３で固定する
ことにより、偏向ヨークの偏向中心２１を露光点に一致
するようにしている。

【００１０】このような偏向ヨーク３の位置決めは、カ
ラー画面のピュリテイ特性に大きく異存するため、特に
偏向角、蛍光体１６のピッチ等に対応して微調整が必要
である。このような微調整を行う場合は、偏向ヨーク締
め付けねじ３３を緩め、シャドウマスク型受像管１の画
面を確認しながら調整者の手によって偏向ヨーク３をネ
ック部１１に沿って少しずつ前後させ、色むらの無くな
る位置に偏向ヨーク３を止め、偏向ヨーク締め付けねじ
３３を締めることにより、偏向ヨーク３をシャドウマス
ク型受像管１に固定する。

【００１１】しかしながらこのような調整方法では、精
密な位置調整を手動で行うために、色むらの無くなる位
置に偏向ヨーク３を正確に止めるのが困難であり、偏向
ヨーク３をネック部１１に沿って何度も前後させなけれ
ばならない。このため、調整に時間がかかり、テレビジ
ョン受像機の製造コストをアップさせていた。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来のビーム
ランディング補正方法においては、電子ビームの偏向中
心と、シャドウマスク型受像管の露光点を一致させるた
めに、偏向ヨークの位置を手動で調整しているが、この
ような調整方法においては、精密な位置調整を手動で行
うために、色むらの無くなる位置に偏向ヨークを正確に
止めるのが困難であるとともに時間がかかり、テレビジ
ョン受像機の製造コストをアップさせていた。

【００１３】本発明は前記の問題点を除去し、偏向ヨー
クをシャドウマスク型受像管に固定した状態で、電子ビ
ームの偏向中心と、シャドウマスク型受像管の露光点を
一致させるための調整を容易に行うことができるビーム
ランディング補正装置に関する。

【００１４】

【課題を解決するための手段】この発明に係るビームラ
ンディング補正装置は、シャドウマスク型受像管の偏向
ヨークの偏向電流に同期するとともに、振幅及び極性調
整可能な鋸歯状波電流を発生する鋸歯状波電流発生回路
と、前記シャドウマスク型受像管のネック部の外側にお
ける電子銃のカソードと偏向ヨークの間の位置に設けら
れ、前記鋸歯状波電流発生回路からの前記鋸歯状波電流
が流されることにより、前記カソードからの電子ビーム
の偏向の補正を行う磁界を発生するコイルとを具備した
ことを特徴とする。

【００１５】

【作用】このような構成によれば、コイルは偏向ヨーク
とは別の位置で電子ビームの偏向の補正を行う磁界を発
生しているので、鋸歯状波電流発生回路が発生する鋸歯
状波電流を調整して、前記コイルによる磁界を調整する
ことにより、偏向ヨークをシャドウマスク型受像管に固
定した状態で、電子ビームの偏向中心とシャドウマスク
型受像管の露光点とを一致させるための調整を容易に行
うことができる。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１７】図１は本発明に係るビームランディング補
正装置の一実施例をシャドウマスク型受像管に適用した
場合を示す側方から見た断面図である。

【００１８】図１において、本実施例は、水平偏向電流
に同期するとともに振幅及び極性調整可能な鋸歯状波を
発生する鋸歯状波電流発生回路５０をテレビジョン受像
機に設け、この鋸歯状波電流発生回路５０からの鋸歯状
波電流をシャドウマスク型受像管５の調整用磁石部７の
フレーム７１の内側に設けられた速度変調コイル７７
に、鋸歯状波電流発生回路５０からの鋸歯状波電流を画
質補償用速度変調電流に重畳して流すようにしたもので
ある。

【００１９】更に詳細に説明すると、シャドウマスク型
受像管５は、ネック部５１内に、３色電子銃６Ｒ，６
Ｇ，６Ｂが設けられている。３色電子銃６Ｒ，６Ｇ，６
Ｂは、３色カソード６１Ｒ，６１Ｇ，６１Ｂの前方に３
色共通の制御グリッド６２、加速電極６３、陽極６４、
収束電極６５、陽極６６を設け、３色カソード６１Ｒ，
６１Ｇ，６１Ｂから発生した電子を制御グリッド６２、
加速電極６３、陽極６４、収束電極６５、陽極６６によ
り収束、加速して３本の細い電子ビーム６７Ｒ，６７
Ｇ，６７Ｂとして、蛍光体に向け射出する。

【００２０】ネック部５１の外側には調整用磁石部７が
設けられている。調整用磁石部７は、筒状のフレーム７
１にリング状のピュリティ磁石７３、静コンバーゼンス
用４極磁石７４、静コンバーゼンス用６極磁石７５が重
ね合わされて設けられている。これら磁石７３，７４，
７５は、２枚の磁石の開き角度を調整することにより、
磁界の方向を変えて、電子ビーム６７Ｒ，６７Ｇ，６７
Ｂの通路を調整している。フレーム７１の背面側には、
帯状の金属を巻回すとともに、一端及び他端側を起曲し
て形成した調整用磁石部締め付け金具７６が設けられて
いる。

【００２１】調整用磁石部７よりも前方の、ネック部５
１からファンネル部５２にかけては、偏向ヨーク４の水
平偏向コイル４４と垂直偏向コイル４５が設けられてお
り、前記電子銃６Ｒ，６Ｂ，６Ｇから出射する電子ビー
ム６７Ｒ，６７Ｇ，６７Ｂが水平偏向コイル４４と垂直
偏向コイル４５によって偏向される。

【００２２】一方、調整用磁石部７のフレーム７１内側
には、速度変調コイル７７が設けられている。速度変調
コイル７７は、鋸歯状波発生回路５０からの水平偏向電
流に同期するとともに振幅及び極性調整可能な鋸歯状波
電流と、図示しない画質補償回路からの画質補償用速度
変調電流とが重畳した状態で流されるようになってい
る。

【００２３】尚、この場合の速度変調コイル７７及び画
質補償用速度変調電流は従来から用いられているもので
あり、本実施例で異なるのは、画質補償用速度変調電流
に鋸歯状波電流に重畳したことである。

【００２４】図２は図１のシャドウマスク型受像管５の
Ａ−Ａ線断面図である。

【００２５】図２において、ネック部５１の中部には３
色電子銃６１Ｒ，６１Ｇ，６１Ｂが横方向に並べられて
設けられている。ネック部５１とフレーム７１の間には
筒状の隙間７８が設けられて、この隙間７８に速度変調
コイル７７が設けられている。

【００２６】図３は速度変調コイル７７を示す斜視図で
ある。

【００２７】図３において、速度変調コイル７７は、上
側のループ８１及び下側のループ８２をネック部５１に
沿うように湾曲して形成している。更に詳しく説明する
と、上側のループ８１は、コイルをネック部５１の上側
を管面に沿って真上から見た場合に方形となるよう左回
りに複数回巻回して形成される。下側のループ８２は、
コイルをネック部５１の下側を管面に沿って真上から見
た場合に上側のループ８１と符合するように左回りに複
数回巻回して形成される。このような速度変調コイルに
電流を流すことにより、図２に示す中心磁界の方向が垂
直方向の糸巻状の磁界８３がネック部５１内に発生する
ようになっている。

【００２８】このようなビームランディング補正装置の
動作を図４の速度変調コイルに流れる電流の波形図及び
図５のビームランデイング位置の説明図を参照して説明
する。

【００２９】まず、電子デビームの水平方向の偏向中心
４６（図１参照）がシャドウマスク型受像管５の露光点
よりも正面寄り（蛍光体寄り）にある場合は、速度変調
コイル７７には、実線に示す電流ｉ1 を流す。この電流
ｉ1 は、鋸歯状波電流発生回路５０からの振幅及び極性
調整可能な鋸歯状波９１と、画質補償回路からの画像の
輪郭の強調を行うための画質補償用速度変調電流９２，
９３とが重畳した状態になっている。この場合の鋸歯状
波９１は、水平偏向コイル４４に流される水平偏向電流
に同期するとともに、水平電流と同様に１水平走査線期
間（以下１Ｈと呼ぶ）の内、走査期間が時間と共に直線
的に上昇し、帰線期間に短時間で低下する信号となって
いる。このような鋸歯状波９１を画質補償用速度変調電
流９２，９３に重畳して速度変調コイル７７に流すこと
により、調整用磁石部７においても水平偏向磁界が発生
することになるので、偏向中心４６が背面側に後退し、
図５に示すように、電子ビームの画面上９４でのランデ
ィング位置９５は、シャドウマスクが無いものと考える
と、図５の実線に示す矢印のように、画面を左右に分割
する中心線９６より左右に寄るにしたがって除々に外側
に大きくずれるようになる。このような鋸歯状波９１の
振幅を調整摘み等を用いて画面の色ずれがなくなるよう
に調整することにより、電子ビームの水平方向の偏向中
心４６をシャドウマスク型受像管１の露光点に一致させ
ることができる。

【００３０】次に、電子デビームの水平方向の偏向中心
４６がシャドウマスク型受像管１の露光点よりも背面寄
り（電子銃寄り）にある場合は、速度変調コイル７７に
は、実線に示す電流ｉ2 を流す。この電流ｉ2 は、鋸歯
状波電流発生回路５０からの振幅及び極性調整可能な鋸
歯状波９７と、画画質補償用速度変調電流９２，９３と
が重畳した状態になっている。この場合の鋸歯状波９７
は、電流ｉ1 と極性が反対になっており、水平偏向電流
に同期するとともに、１Ｈの内、走査期間において電流
値が直線的に下降し、帰線期間に短時間で上昇する信号
となっている。このにより、調整用磁石部７において水
平偏向磁界とは反対方向の磁界が発生することになるの
で、偏向中心４６が正面側に前進し、電子ビームの画面
上９４でのランディング位置９５は、シャドウマスクが
無いものと考えると、破線に示す矢印のように、画面を
左右に分割する中心線９６より左右に寄るにしたがって
除々に内側に大きくずれるようになる。このような電子
デビームの水平方向の偏向中心４６をシャドウマスク型
受像管１の露光点に一致させることができる。

【００３１】このような実施例によれば、偏向ヨーク４
をシャドウマスク型受像管５に固定した状態で、電子ビ
ームの水平方向の偏向中心を、調整摘み等で速度変調コ
イル７７に流す鋸歯状波電流の振幅及び極性を調整する
ことにより、シャドウマスク型受像管５の露光点を一致
させるための調整を容易かつ正確にでき、テレビジョン
受像機の製造コストを削減ときるとともに、調整精度の
高いテレビジョン受像機をユーザーに提供できる。

【００３２】尚、上記実施例においては、電子ビームの
水平方向の偏向中心に対応できるようにしたが、調整用
磁石部７のフレーム７１の内側に左右両側面に、水平方
向の磁界を発生させる水平磁界発生用コイルを設け、こ
のコイルに垂直偏向電流に同期するとともに振幅及び極
性調整可能な鋸歯状波を流すように構成することによ
り、電子ビームの垂直方向の偏向中心の調整を行うこと
ができる。

【００３３】また、水平磁界発生用コイル及び速度変調
コイル８は、カソード６１Ｒ，６１Ｇ，６１Ｂと偏向ヨ
ーク５の間の電子ビーム６７Ｒ，６７Ｇ，６７Ｂの偏向
を行える位置ならば、フレーム７１の内側以外の位置に
設けてもよい。

【００３４】

【発明の効果】本発明によれば、偏向ヨークをシャドウ
マスク型受像管に固定した状態で、偏向ヨークの偏向中
心と、シャドウマスク型受像管の露光点を一致させるた
めの調整を容易に行うことができ、テレビジョン受像機
の製造コストを削減するとともに、調整精度の高いセッ
トをユーザーに提供できる。

【００３５】

【図面の簡単な説明】

【００３６】

【図１】本発明に係るビームランディング補正装置の一
実施例を示す断面図。

【００３７】

【図２】図１のシャドウマスク型受像管のＡ−Ａ線断面
図。

【００３８】

【図３】図１の速度変調コイルを示す斜視図。

【００３９】

【図４】図１の速度変調コイルに流れる電流の波形図。

【００４０】

【図５】図１のビームランディング補正装置を用いて補
正を行った画面のビームランデイング位置の説明図。

【００４１】

【図６】従来のシャドウマスク型受像管の内部の概略を
示す断面図。

【００４２】

【図７】図６のシャドウマスク型受像管１の外観を示す
側面図。

【００４３】

【符号の説明】

４ 偏向ヨーク ５ シャドウマスク型受像管 ５０ 鋸歯状波電流発生回路 ７７ 速度変調コイル ６１Ｒ，６１Ｇ，６１Ｂ カソード ６７Ｒ，６７Ｇ，６７Ｂ 電子ビーム

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シャドウマスク型受像管の偏向ヨークの
   偏向電流に同期するとともに、振幅及び極性調整可能な
   鋸歯状波電流を発生する鋸歯状波電流発生回路と、 前記シャドウマスク型受像管のネック部の外側における
   電子銃のカソードと偏向ヨークの間の位置に設けられ、
   前記鋸歯状波電流発生回路からの前記鋸歯状波電流が流
   されることにより、前記カソードからの電子ビームの偏
   向の補正を行う磁界を発生するコイルとを具備したこと
   を特徴とするビームランディング補正装置。