本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の報知装置1は、光センサ32を収容した本体10と、光センサ32がレーザ式速度計測装置からのレーザ光を検知した場合に、所定の情報の報知を行う報知部20を有する装置である。本体10は、車両内のダッシュボードDB等の設置面に、支持部27により角度変更可能に支持される。
本体10は、図3に示すように、正面にレーザ光が入射する窓部11を有しており、窓部11から入射したレーザ光を光センサ32が検知する。報知部20は、ランプ21の発光、スピーカ22からの音声出力により、所定の情報の報知を行う。所定の情報は、レーザ式速度計測装置が存在することを報知する情報を含む。所定の情報は、レーザ式速度計測装置を検知した位置、検知した時刻等を含んでいてもよい。さらに、所定の情報は、速度制限を促す警告等も含む。これらの所定の情報は、レーザ式速度計測装置に関する情報として捉えることができる。
[レーザ式速度計測装置]
まず、本実施形態によって検知するレーザ式速度計測装置(以下、速度計測装置とする)を、図4を参照して説明する。以下の説明では、進行する車両Cが向かう側を前方側、その反対側を後方側とする。速度計測装置ОBは、主として可搬型が用いられる。つまり、速度計測装置ОBは、持ち運び可能で所望の時間、所望の位置に適宜設置される。可搬型の速度計測装置ОBとしては、車両に設置されたものもある。また、固定的に設置される速度計測装置ОBもある。
速度計測装置OBの設置位置は、例えば、車道Rの外の路肩RSとなる。この設置位置から、速度計測装置OBは、路面S、中央分離帯M、車両C等の所定の照射範囲に、レーザ光LOを走査しながら照射して、照射範囲内の各部から反射してきたレーザ光を受光することにより、照射対象との距離を求める。このような速度計測装置OBの方式は、レーザ光LOを走査して照射することから、レーザスキャン式とも呼ばれる。また、速度計測装置OBに使用されるレーザ光LOは、赤外線におけるいずれかの周波数の電磁波である。
所定の時間内において、速度計測装置OBと、移動していない中央分離帯M、路面S等との距離は変化しないが、走行している車両Cとの距離は変化する。つまり、同じ車両Cから得られた距離分布が所定の時間内に変化するため、速度計測装置OBは、変化した距離分布と時間に基づいて、車両Cの走行速度を算出する。
速度計測装置OBは、走行している車両Cの前方に向けてレーザ光LOを照射する場合、車両Cの進行方向から見て左側の路肩RSから照射することになる。このため、指向性が強いレーザ光LOの進路は、車道Rの長手方向に対して傾斜した方向となる。なお、上記のように、固定的に設置される速度計測装置ОBもあり、その設置場所は路肩RSには限られない。また、車両Cの進行方向から見て右側からレーザ光LOが照射される場合もある。
[報知装置]
(外観構成)
本実施形態の報知装置1の外観構成を、図1~図3に加えて、図5~図12を参照して説明する。報知装置1は、本体10、報知部20を有する。本体10は、窓部11、取付部12、延出部13、立設部14、操作部15、接続部16を有する。
本体10は、光センサ32を収容するケースであり、後述する延出部13と立設部14が連なって構成されている。本体10は、上記のように、正面に窓部11を有する(図7の正面図参照)。本体10の正面は、車両Cに設置された場合に、車両Cの前方に向かう面である。以下の説明では、本体10の正面と反対側を背面(図8の背面図参照)、正面から見て左の側面を左側面(図9の左側面図参照)、正面から見て右の側面を右側面(図10の右側面図参照)、設置側と反対側の面を上面(図11の平面図参照)、設置側の面を底面(図12の底面図参照)とする。また、本体10の正面から見て左右方向を幅方向、正面を前方、背面を後方として前後方向を奥行方向、底面を下、上面を上として上下方向を高さ方向とする。
窓部11は、本体10の正面に形成された開口に、レーザ光を透過する材質の部材が嵌め込まれることにより構成されている。本実施形態では、窓部11に用いられるレーザ光を透過する部材は、後述する検知部30が有するフィルタ31である(図2参照)。フィルタ31は、速度計測装置ОBからのレーザ光LOを透過させる。但し、フィルタ31は、速度計測装置ОBからのレーザ光LOを含むように、赤外線を透過させればよい。つまり、赤外線以外を排除できればよく、速度計測装置OB以外のノイズとなる光を含めて透過させてもよい。ノイズとなる光としては、VICS(登録商標)、赤外線リモコン、衝突防止システム、測量機器などからの光を含む。
取付部12は、支持部27が取り付けられる部分である。取付部12は、挿入穴121、スリット122を有する(図12の底面図参照)。挿入穴121は、本体10の底面が隆起した部分に設けられ、正面側が開口し、奥行方向に延びた直方体形状の穴である。スリット122は、挿入穴121の開口の底部から、奥行方向に延びた直線状の溝である。
この取付部12に取り付けられる支持部27は、図1及び図3に示すように、車両C内の設置面と本体10との間隔を空けて、本体10を角度変更可能に支持する。支持部27は、台座部271、連結部272を有する。台座部271は、ベース271a、受部271b、ノブ271cを有する。ベース271aは矩形の板状体であり、一方の面が設置面に設置される。設置面は車内の所望の位置とすることができる。例えば、ベース271aの底面を、両面テープ等の固定部材によって、ダッシュボードDB上に固定する。
受部271bは、ベース271aから立設され、外周にねじ溝が切られた円筒形状の部分である。受部271bは、円周等配位置に複数の縦溝が形成されることにより分割されており、半径方向の僅かな弾性変形を許容する。ノブ271cは、リング状の部材であり、その内周に受部271bのねじ溝に嵌るねじ溝が形成されている。
連結部272は、台座部271と本体10とを連結する部材である。連結部272は、支柱272a、ボール272b、装着部272cを有する。支柱272aは、円柱形状の部材である。ボール272bは、支柱272aの一端に設けられ、台座部271に取り付けられる部分である。ボール272bは、台座部271の受部271bの内周に嵌まり、ノブ271cを締め付けることにより支持固定される。ボール272bと受部271bとは、ボール272bの回動を許容することにより、支柱272aの角度変更が可能となるボールジョイントを構成している。
装着部272cは、支柱の272aの他端に設けられ、本体10の取付部12に取り付けられる部分である。装着部272cは、一対の平行な平板が、これに直交する接続面によって接続されることにより、縦断面がエの字形となった部材である。装着部272cは、取付部12の挿入穴121の底面を一対の平板で挟み、接続面がスリット122に入るように、挿入穴121に挿入することにより、取付部12に装着される。
延出部13は、図6の断面図に示すように、正面と反対側に、支持部27を超える位置まで延出した部分である。本実施形態の延出部13は、本体10の後方を形成する略直方体形状の部分である。取付部12を超える位置まで達するとは、図6の一点鎖線に示すように、支持部27の正面と反対側の端部から、白塗りの矢印に示す背面方向に向かって突出していることをいう。但し、延出部13は、支持部27を超えて突出した部分を含んでいればよく、取付部12と高さ方向に重なっている部分を有していてもよい。
立設部14は、図9の左側面図及び図10の右側面図に示すように、延出部13から立ち上げられた部分であり、正面を含んでいる。つまり、立設部14は、本体10の正面の高さを延出部13よりも拡張させるとともに、正面と反対側において、延出部13の上面に達する位置まで高さが下がっている。このため、正面は高さ方向の面積が確保され、窓部11を設けるために十分なサイズとなっている。立設部14の正面と反対側の面は、正面と平行に近い角度から曲面を介してなだらかに下降して、延出部13の上面に連続している。このため、延出部13は、立設部14よりも高さ方向が薄く形成されている。
操作部15は、延出部13に設けられている。操作部15は、報知部20の機能を操作ための部材である。本実施形態の操作部15は、延出部13の取付部12とは反対側の面、つまり、延出部13の上面に、押圧する部分が露出したボタンスイッチである。つまり、操作部15は、ON、OFFの切り替えにより報知部20を操作することができる。
接続部16は、報知装置1と外部との電気的な接続を行うための部材である(図2参照)。本実施形態の接続部16は、図10に示すように、本体10の右側面に設けられ、接続コードLの端部に設けられたプラグに接続されるソケットである。接続部16は、車両Cのシガーライターソケットに接続された接続コードLを介して電力の供給を受けることができる。なお、車両Cに他の報知装置、例えば、レーダー探知機が設置される場合に、接続部16を、接続コードLを介してレーダー探知機と接続することにより、報知装置1及びレーダー探知機との間の情報の送受信と電力の供給を行うようにしてもよい。以下、レーダー探知機等の報知装置を、本実施形態の報知装置1と区別するために、車載装置と呼ぶ。
報知部20は、第1の報知部、第2の報知部を有する。第1の報知部は、光により報知を行う部材である。本実施形態の第1の報知部は、ランプ21である(図2参照)。ランプ21は、LED等の発光部材である。図8の背面図及び図11の平面図に示すように、立設部14の正面とは反対側の面には、ランプ21からの光を出力する光出力口14aが設けられている。ランプ21と光出力口14aの間には、図示しない導光部材が設けられ、ランプ21からの光が光出力口14aに導かれる。このように、立設部14の正面と反対側の面、つまり、延出部13から立ち上がった面にランプ21が設けられているので、ユーザは、背面側から発光を認識しやすい。なお、ランプ21として、発光色を切り替えられるLEDを用いることにより、報知内容に応じて、発光色を切り替えてもよい。
第2の報知部は、音声によって報知を行う部材である。本実施形態の第2の報知部は、スピーカ22(図2参照)である。スピーカ22は、延出部13に設けられている。つまり、図5の斜視図及び図11の平面図に示すように、延出部13の上面に、音声を出力するための開口である音声出力口13aが設けられている。そして、音声出力口13aに対応する位置の延出部13の内部に、スピーカ22が設けられている。第2の報知部は、スピーカ22には限定されない。ブザー、バイブレータなどであってもよい。このため、音声は、ブザー音等の単純な警告音であっても、バイブレータによる本体10の振動音であっても、単語や文章を音声化した音であってもよい。
なお、上記の操作部15は、スピーカ22の音量を調整する機能を有する。但し、操作部15の機能としては、これに限定されず、ランプ21の発光の有無、発光色の切り替え、発光強度の調整、スピーカ22の音声の有無、音量の調整、音声の種類の切り替え、電源の入切等、種々の機能を持たせることができる。機能別に操作部15を複数設けてもよい。
(内部構成)
以上のような報知装置1の内部構成を、図2のブロック図を参照して説明する。報知装置1は、上記のようなランプ21、スピーカ22、操作部15、接続部16とともに、本体10に収容された検知部30、制御部40を有する。
検知部30は、上記のフィルタ31を含み、さらに光センサ32、変換部33を有する。光センサ32は、レーザ光を受光すると電流を出力するセンサである。光センサ32としては、受光したレーザ光の強度に応じた電流を流すセンサ、例えば、フォトトランジスタやフォトダイオードを用いる。
光センサ32は、図6の断面図に示すように、窓部11から入射したレーザ光を受光可能な位置に配置されている。光センサ32の受光面と窓部11との位置及び角度は一定となるように設けられている。例えば、窓部11の平面に対して、その受光面が平行となるように配置されている。つまり、窓部11が前方を向くと、光センサ32の受光面も前方を向く。このため、窓部11の位置及び角度は、フィルタ31の位置及び角度としても捉えることができ、外部から視認できる。変換部33は、光センサ32からの出力電流を電圧信号に変換して出力する回路である。
本実施形態では、窓部11に向かう光センサ32は、高さ方向に立設された基板S1に配置されて、立設部14に収容されている。操作部15、ランプ21、スピーカ22は、延出部13に設けられ、奥行方向に延びて配置された基板S2に接続されている。このため、正面の窓部11の面積を確保しつつ、延出部13において薄型化を実現している。また、全てを奥行方向に配置した場合には、薄型化は可能となるが、奥行方向に大型化する。本実施形態では、一部の部材を高さ方向に配置して、その他の部材を奥行方向に配置することにより、奥行方向の大型化を抑えつつ、薄型化を実現している。
制御部40は、報知装置1の各部の動作を制御する。制御部40は、中央処理装置であるプロセッサを主体に構成され、各種のメモリ、入出力インタフェース等を備えた所謂コンピュータである。プロセッサは、メインプログラムに従って、情報の入力、記憶、出力等のための演算処理及び周辺機器の制御処理を行う。
制御部40には、光センサ32がレーザ光を受光することにより、検知部30から出力された信号が入力される。制御部40は、入力された信号に基づいて、所定の情報を報知部20に報知させる報知処理を行う。
このような報知処理を行うための機能ブロックを、図13に示す。すなわち、制御部40は、判定部41、報知処理部42を有する。判定部41は、変換部33からの信号による波形に基づいて、速度計測装置OBのレーザ光LOか否かを判定する。例えば、レーザ光LO又はレーザ光LOの照射の態様の特徴量を表す信号が、検知部30からの電圧信号に含まれている場合に、レーザ光LOであると判定する。なお、判定部41による速度計測装置OBのレーザ光LOか否かの判定処理の手法は、他のノイズとなる光を排除してレーザ光LOを判定できればよく、上記で例示した態様には限定されない。
報知処理部42は、判定部41が、速度計測装置OBのレーザ光LOであると判定した場合に、これを報知部20に報知させる。つまり、ランプ21を点灯又は点滅させ、スピーカ22に報知の音声を出力させる。
[設置位置]
以上のような報知装置1の設置位置について説明する。報知装置1は、支持部27によって、速度計測装置OBからのレーザ光LOを受光可能な位置及び角度となるように設置される。まず、図3に示すように、連結部272の装着部272cを、本体10の取付部12に取り付けて、ベース271aを、両面テープ等の固定部材によって、ダッシュボードDBに固定する。
このとき、窓部11の位置や角度を目安とすることができる。例えば、図1に示すように、ダッシュボードDB上の中央のフロントガラスFGの近傍に、本体10の窓部11が車両Cの前方、つまり進行方向に向くように設置する。これにより、光センサ32の受光面が、車両Cの正面を向く。また、ダッシュボードDBの傾斜によっては、光センサ32の受光面が正面を向かない場合には、ボールジョイントを利用して、本体10の角度を変えて、窓部11が車両Cの正面を向くようにする。このとき、図6に示すように、延出部13の上下又は左右を指で挟むことにより、正面の窓部11に触れることなく、本体10の角度を調整することができる。
一方、レーダー探知機等の車載装置100は、運転席に近いダッシュボードDB上に、ディスプレイを運転席から視認しやすい角度で設置される。図14に、運転席から見て左に設置した場合の車載装置100A、運転席から見て右に設置した場合の車載装置100Bを示す。これらの車載装置100A、100Bは、ディスプレイの表示画面が運転席を向くように、進行方向に対して傾斜した方向に設置することになる。これにより、車両Cの運転者は、運転中に視線を前方から大きく外すことなく、ディスプレイに表示された情報を確認できる。
[レーザ光の検知]
次に、レーザ光の検知処理を説明する。図4に示すように、速度計測装置OBからのレーザ光LOは、路肩RSから車道Rの長手方向に対して傾斜した方向で照射される。このため、図1及び図14に示すように、報知装置1の光センサ32の受光面が正面を向いている場合、レーザ光LOを受光できる可能性が高まる。
また、本体10は、一旦設置した後であっても、支持部27によって角度変更可能に支持されているため、角度を調整できる。例えば、車道Rから比較的遠い位置に速度計測装置ОBが設置されていたり、車道Rの車線が多く、路肩RSから遠い車線を走行する場合など、進行方向に対するレーザ光LОの傾斜角度が大きくなるような場合が発生する。このような場合には、ユーザは、光センサ32の受光面が、車両Cの進行方向から見て左に傾斜して向かうように本体10の角度を変えることにより、レーザ光LOを受光できる可能性を高めてもよい。このときも、図6に示すように、延出部13を指で挟むことにより、正面の窓部11に触れることなく、本体10の角度を調整することができる。
以上のような報知装置1によるレーザ光LOの検知処理を、図15のフローチャートに沿って説明する。まず、車両Cが車道Rを走行中に、速度計測装置OBからのレーザ光LOが照射される。このレーザ光LOが、フィルタ31を介して光センサ32に入射する(ステップS101のYES)。すると、検知部30の変換部33により変換された信号が制御部40に入力される(ステップS102)。
制御部40の判定部41は、入力された信号に基づく波形と、波形記憶部41に記憶された速度計測装置OBの波形との照合により、速度計測装置ОBのレーザ光LОであるか否かを判定する(ステップS103)。速度計測装置OBのレーザ光LOであると判定された場合(ステップS104のYES)、報知処理部42は、報知部20に報知させる(ステップS105)。つまり、ランプ21を点灯又は点滅させ、スピーカ22に報知の音声を出力させる。
光センサ32が、速度計測装置OB以外のレーザ光を受光した場合(ステップS101のYES)、判定部41による判定までは、上記と同様の処理が行われる(ステップS102~S103)。但し、この場合、判定部41は、波形の照合により、速度計測装置OBのレーザ光LОでないと判定する(ステップS104のNO)。このため、報知処理は行われない。
[作用効果]
(1)以上のような本実施形態では、レーザ光を検知する光センサ32と、光センサ32を収容し、正面にレーザ光が入射する窓部11を有する本体10と、光センサ32がレーザ式速度計測装置OBからのレーザ光LOを検知した場合に、所定の情報の報知を行う報知部20と、を有する。そして、本体10は、車両C内の設置面と本体10との間隔を空けて、本体10を設置面に角度変更可能に支持する支持部27が取り付けられる取付部12と、正面と反対側に、支持部27を超える位置まで達するように延出した延出部13と、を有する。
このため、光センサ32によって、レーザ光LOを検知して、所定の情報を報知することができる。ユーザは、所望の位置と方向で本体10を設置できるので、ダッシュボードDBの中央付近など、障害物や遮蔽物がなく、受光しやすい場所に設置して、光センサ32を最適な角度に調整することにより、レーザ光LOを検知できる可能性を高めることができる。これにより、速度計測装置OBからの距離が比較的遠い位置からでも、レーザ光LOを検知できる。また、窓部11を目安にして、本体10をレーザ光LOを受光し易い位置や角度に設置することができる。例えば、光センサ32が外部から視認できないような場合であっても、本体10を容易に最適な角度で設置できる。
例えば、レーダー探知機などの車載装置100において、レーザ光LOを検知できるようにするために、車載装置100の筐体にレーザ光を検知できる光センサを固定して設けることが考えられる。しかし、レーダー波とは異なり、レーザ光LOは強い指向性を有するため、車載装置100の設置位置によっては、レーザ光LOの検知が非常に難しい。
このような車載装置100として、図14に示した車載装置100A、100Bに光センサを設けた場合の例を比較例として説明する。上記のように、車載装置100のディスプレイは、運転者が視認可能となるように、車内に向かう必要がある。一方、外部からのレーザ光LOを検知するためには、光センサ32の受光面は、車外に向かう必要がある。このため、車載装置100に光センサ32を設ける場合には、ディスプレイと光センサ32とは、相反する面に設ける必要がある。
すると、車載装置100を、運転席から見てダッシュボードDBの中央のフロントガラスFGの近傍に設置した場合、ディスプレイが運転者から遠い位置になり、視認し難くなる。これに対処するため、図14の車載装置100Aに示すように、ダッシュボードDBの中央であっても、運転席側に近づけた場合には、フロントガラスFGから遠ざかるため、レーザ光LOを受光し難くなる。
また、図14の車載装置100Bに示すように、運転者から見て右側のダッシュボードDB上に設置した場合にも、フロントガラスFGから遠い位置となるため、レーザ光LOを受光し難くなる。さらに、この場合、ディスプレイを運転者に向ける必要があるため、ディスプレイと反対側に設けられた光センサ32は、車両Cの進行方向に対して、運転者から見て右に傾斜した方向に向かうことになるとともに、ピラー等の遮蔽物の近くになる。このため、レーザ光LOを受光できる可能性がより一層低くなる。
以上のように、ディスプレイを有する車載装置100にレーザ光LОを検知する機能を備えた場合、車載装置100を、レーザ光LОを受光できる場所やユーザの好みの場所に設置できない場合がある。しかし、本実施形態では、支持部27によって、光センサ32を、車載装置100とは独立した位置と角度で設置できるので、報知装置1を設置できる場所の制約が少なく、レーザ光LOを受光しやすい。
また、本体10は、取付部12に支持部27を取り付けて設置面に設置することにより、角度変更可能に支持される。このため、設置後も、光センサ32を、レーザ光LOを受光しやすい角度にすることにより、レーザ光LOを受光できる可能性を高めることができる。つまり、設置面の角度にかかわらず、また、遮蔽物を回避するために、光センサ32の角度を、レーザ光LОを受光しやすい角度に調整できる。
本体10は、ディスプレイを設けていないため、車載装置100と比較して小型化できる。また、本体10は、ダッシュボードDB等のフロントガラスFGの近傍に設置するため、視野を阻害しないように小型であることが好ましい。このため、本体10は、ディスプレイを有する車載装置100と比較して、正面に対する窓部11の比率が大きくなる。すると、設置や角度調整のために、正面に指が触れた場合には、窓部11に触れてしまう可能性が高くなる。
本実施形態では、本体10が設置面と間隔を空けて支持され、延出部13が支持部27を超える位置まで達するように延出されているので、図6に示すように、ユーザは、延出部13を指で挟むことにより、本体10の角度変更をすることができる。このため、窓部11を指で触れることによる汚れや傷つきを防止できる。これにより、レーザ光LOを検知できる可能性の低減を防止できる。
なお、レーザ光LOを検知できる機能を備えた車載装置100は比較的高価となるために、既に車載装置100を所有しているユーザは、新たな購入をためらいがちである。本実施形態では、ディスプレイ等を備えず、レーザ式の速度計測装置ОBを検知した場合に、所定の情報の報知を行う機能のみを有しているため、安価に構成でき、既に車載装置100を所有しているユーザであっても購入しやすい。
(2)延出部13には、報知部20の機能を操作する操作部15が設けられている。このため、図6に示すように、背面側に突出した位置において、指で挟むように操作部25を操作することができるので、操作部15の操作がし易く、操作部15の操作によって角度が変わってしまうことが防止される。また、操作のために窓部11に触れることも防止される。
(3)本体10は、延出部13から立ち上げられた立設部14を有し、立設部14は正面を含む。このため、正面に窓部11を形成するスペースを確保しつつ、延出部13を薄型化することにより、全体として低背化が可能となり、視野が阻害され難い。また、内部の部材の配置を、高さ方向に配置する部分と、奥行方向に配置する部分とに分けることができるので、奥行方向に過大となることが防止され、全体として小型化が可能となる。
(4)報知部20は、光により報知を行う第1の報知部であるランプ21と、音声により報知を行う第2の報知部であるスピーカ22とを有する。ランプ21は、立設部14の正面と反対側の面に設けられ、スピーカ22は、延出部13に設けられている。このため、ランプ21の発光は、背面側に向くので視認しやすくなる。スピーカ22は、視認する必要はないため、スペースが確保しやすい延出部13に設けることができる。
[他の実施形態]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、下記に示す他の実施形態も包含する。また、本発明は、上記の実施形態及び下記の他の実施形態を全て又はいずれかを組み合わせた形態も包含する。さらに、これらの実施形態を発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができ、その変形も本発明に含まれる。
支持部27は、本体10の高さ方向の位置も変更できるように設けてもよい。これにより、例えば、ダッシュボードDBの傾斜やワイパーブレード等によるレーザ光LOの遮蔽を回避するように、高さを変更することができる。
報知装置1を、接続コードLを介して、レーダー探知機等の車載装置100と接続することもできる。これにより、車載装置100が、報知装置1から速度計測装置ОBからのレーザ光LОを検知した信号が入力された場合に、ディスプレイの表示画面で報知することができる。また、車載装置100から、接続コードLを介して、電源供給を受けることも可能となる。
報知装置1は、無線により外部と通信する通信部を有していてもよい。通信部は、外部との間で情報の送受信を行う処理部である。通信部としては、例えば、スマートフォン、タブレット端末等の情報通信端末を介して、Wi-Fi(登録商標)、Bluetооth(登録商標)、USBなどを利用したテザリングによりネットワークに接続され、速度計測装置ОBの位置情報などを送受信する通信モジュールを用いることができる。このように、通信部を設けることにより、速度計測装置OBを検知した位置情報などの各種の報知情報を、外部のサーバに送信して、他の車載装置100にて共有することができる。
なお、通信部としては、例えば、3G、4G、5G等の通信規格による基地局との接続機能を有することにより、情報通信端末を介さずに、ネットワークに接続可能な通信モジュールを用いることもできる。ネットワークは、インターネット、専用通信網等、現在又は将来において利用可能な種々の通信網を適用できる。
また、通信部は、同じ車内に設置された車載装置100との間で無線で通信することもでき、この場合にも、接続コードLを介して接続される場合と同様に、車載装置100において速度計測装置ОBからのレーザ光LОを検知した信号が入力された場合に、ディスプレイの表示画面で報知することができる。このような通信部は、接続コードLを介さずに、車載装置100との間で情報を送受信することができる。但し、報知装置1と電源との接続のための接続コードLは必要となる。
さらに、通信部は、他の車載装置100との間で通信することもできる。つまり、インフラとしての通信網を介さずに、周辺に存在する別々の車載装置100の間で、それぞれが発信した各種の報知情報を通信でリアルタイムに共有することができる。そして、車載装置100は、他の車載装置100から通信によって伝播された情報についても、自車の状況との関連性に基づいて、報知することができる。これにより、レーザ光LOが受光できないほど速度計測装置OBから離れた位置であったり、道路形状や先行車などの遮蔽物によってレーザ光LOが受光できない状況の車載装置100であっても、報知情報を報知することができる。例えば、自車位置が、通信によって取得した速度計測装置OBの位置から、所定の距離まで接近したことを検知して、警告となる情報を報知して、速度の抑制を促し、安全を図ることもできる。
車載装置100としては、自動車、自動二輪車その他の車両に取り付けられ、ディスプレイ等の報知機能を備えていればよい。車載装置100は、車両に半永続的に取り付けられ続ける装置であっても、普段は搭乗者が携帯し、車両の搭乗の際に一時的に車両に取り付けられる装置であってもよい。
このような車載装置100としては、レーダー探知機の他、ドライブレコーダー、カーナビゲーションシステム、カーオーディオシステム、車載テレビ、レーザ光の検知を報知するプログラムがインストールされた情報通信端末が挙げられる。
報知装置1は、車両Cの現在位置を検出する現在位置検出部を有していてもよい。現在位置検出部は、例えば、GPS受信部を含む。GPS受信部は、アンテナ、復調器及び演算部を含むモジュールである。GPS受信部は、アンテナによりGPS衛星の電波信号を受信して、受信した電波信号から復調器により測位信号を復調し、演算部によって緯度及び経度を計算して出力する。これにより、車両Cの現在位置を検出することができる。
報知装置1は、レーザ式の速度計測装置OBのレーザ光を検知した場合に、現在位置検出部により検出された現在位置の緯度及び経度を、速度遵守地点情報としてメモリに記憶しておく。そして、車両が走行中に、メモリ内に記憶された速度遵守地点情報が示す地点と、現在位置検出部により検出される現在位置との距離を測り、当該距離を評価し、評価結果に応じて報知部20に警告を報知させることができる。報知装置1が上記のような通信部を備える場合には、通信部を介して、外部から受信した速度遵守地点情報を用いることができる。また、メモリカードなどのリムーバブルな記憶媒体からの情報を読み取る読取部を備える場合には、あらかじめ記憶媒体に記憶された速度遵守地点情報を用いることができる。
図5の斜視図、図7の正面図、図8の背面図、図9の左側面図、図10の右側面図、図11の平面図、図12の底面図は、報知装置1の意匠を表示した図面でもある。図面中の符号、引出線は意匠を構成しない。また、意匠を構成する線のうち、途切れた細線は本体表面の稜線を表現したものである。なお、本実施形態の報知装置1は、レーザ受信機、レーザ探知機としても捉えることもできる。