JP7287076B2 - 樹脂組成物および電子デバイス製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂組成物および電子デバイス製造方法に関する。より具体的には、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物、および、その樹脂組成物を用いた電子デバイス製造方法に関する。
電子デバイス製造においては、空隙形成などのため、犠牲層を形成する工程が行われる場合がある。例えば、まず基板上の一部に犠牲層を形成し、その後、その犠牲層の部分を、ドライエッチングにより選択的に除去することで、基板の一部に空隙を設けることができる。
犠牲層を形成するため材料としては、通常、樹脂組成物が用いられる。
例えば、特許文献1の実施例には、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物などを原料として得られた樹脂をウェハ上に塗布し加熱してポリイミド膜を形成したこと、このポリイミド膜が犠牲層として有用であること等が記載されている。
特開2016-004929号公報
電子デバイスの製造は、加熱などの種々の工程を含む。よって、犠牲層を形成するため樹脂組成物は、高い耐熱性を示すものであることが好ましい。
また、犠牲層は、ドライエッチングにより容易に除去可能なものであること(具体的には、ドライエッチングの際のエッチングレートが大きいこと)が、プロセスの簡素化や短時間化などの観点から好ましい。
しかし、本発明者らの知見として、従来の犠牲層を形成するため樹脂組成物においては、耐熱性やドライエッチングによる除去のしやすさの点で、なお改善の余地があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物として、高い耐熱性を有し、かつ、ドライエッチングにより除去しやすい樹脂組成物を提供することを目的の1つとする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性である樹脂組成物
が提供される。
また、本発明によれば、
前記樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と
前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法
が提供される。
本発明によれば、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物として、高い耐熱性を有し、かつ、ドライエッチングにより除去しやすい樹脂組成物が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書における「電子デバイス」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<樹脂組成物>
本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる。そして、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、かつ、非感光性である。
以下、「主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマー」を「特定ポリマー」とも表記する。
詳細なメカニズムは不明であるが、上記の樹脂組成物により、高い耐熱性を有する犠牲層を得ることができ、かつ、その犠牲層をドライエッチングにより除去しやすい(ドライエッチングの際のエッチングレートを大きくしやすい)理由については、以下のように説明することができる。なお、以下説明は推測を含み、また、以下説明により本発明の範囲が限定されるものでもない。
特定ポリマーは、主鎖の非芳香族性の環状骨格に由来する剛直な化学構造を有する。これにより、犠牲層の耐熱性を高めることができると考えられる。
また、主鎖の非芳香族性の環状骨格は、剛直でありつつ、芳香環構造などに比べると、エッチングレートが比較的大きい傾向にある。よって、例えば特許文献1に記載の樹脂組成物(芳香環構造を含むポリイミド樹脂を含む)などに比べると、本実施形態の樹脂組成物は、エッチングレートを大きく設計しやすいものと考えられる。
本実施形態の樹脂組成物の含有成分や性状などについてより具体的に説明する。
(特定ポリマー)
特定ポリマーは、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーである限り、特に限定されない。
特定ポリマーは、例えば、環状オレフィンモノマーや、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマー(典型的には無水マレイン酸骨格を有するモノマー)などを、単独重合または共重合して得られる重合体である。換言すると、特定ポリマーは、例えば環状オレフィンモノマーに由来する構造単位、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位などのうち1または2以上を含む。
好ましくは、特定ポリマーは、非芳香族性の環状骨格を有する構造単位として、以下一般式(NB)で表される構造単位および/または以下式(MA)で表される構造単位を含む。
特定ポリマーがこれら構造単位の一方または両方を含むことで、特定ポリマー全体としての剛直性が適当となり、耐熱性を一層高めうる。
また、別観点として、特定ポリマーが一般式(NB)で表される構造単位を含むことにより、特に耐熱性を高めることができる。一方、式(MA)で表される構造単位の剛直性は、一般式(NB)で表される構造単位に比べるとやや小さい。しかし、その構造中に酸素原子を含むため、ドライエッチング(Oプラズマエッチング)による除去性を比較的大きくしやすい。
Figure 0007287076000001
Figure 0007287076000002
一般式(NB)中、
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
は0、1または2である。
一般式(NB)における、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ヘテロ環基、カルボキシル基などを挙げることができる。
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
一般式(NB)における、R、R、RおよびRとしては水素またはアルキル基が好ましく、水素がより好ましい。
、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基などで置換されていてもよい。より具体的には、R、R、RおよびRの炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
一般式(NB)において、aは好ましくは0または1、より好ましくは0である。
特定ポリマーは、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有する構造単位として、以下一般式(NB-2)で表される構造単位を含むものであってもよい。この構造単位は、一般式(NB)で表される構造単位と同様、特に耐熱性を高めることに有効である。
一般式(NB-2)中、R、R、R、Rおよびaの定義および具体的態様は、一般式(NB)と同様である。
Figure 0007287076000003
特定ポリマーの全構造単位中の、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有する構造単位の割合は、例えば10~100モル%、好ましくは30~95モル%、より好ましくは55~92モル%、さらに好ましくは60~90モル%である。
特定ポリマーの全構造単位中の、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の割合(具体的には、一般式(NB)または(NB-2)で表される構造単位の割合)は、例えば10~100モル%、好ましくは20~80モル%、より好ましくは45~55モル%である。特定ポリマーが一般式(NB)で表される構造単位と一般式(NB-2)で表される構造単位の両方を含む場合は、それらの合計が上記範囲にあることが好ましい。
特定ポリマーの全構造単位中の、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位の割合は、例えば10~50モル%、好ましくは20~50モル%、より好ましくは40~50モル%である。
なお、特定ポリマー中の、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の割合、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位の割合、これら構造単位の比率などを適宜調整することで、耐熱性をより高めたり、エッチング除去性をより高めたり、といった調整をすることもできる。
特定ポリマーは、好ましくは、カルボキシ基またはエステル基を有する構造単位を含む。
この構造単位は、例えば、本実施形態の樹脂組成物が後述の架橋剤を含むとき、架橋剤との反応に寄与すると考えられる。よって、特定ポリマーがこの構造単位を含むことで、耐熱性の更なる向上効果などを得られる傾向にある。
この構造単位として、好ましくは、下記一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位を挙げることができる。
一般式(a2-1)および一般式(a2-2)中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1~30の有機基である。
Figure 0007287076000004
14、R15およびR16を構成する炭素数1~30の有機基は、その構造中にO、N、S、P、Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。また、R14、R15およびR16を構成する有機基は、酸性官能基を含まないものとすることができる。これにより、酸価の制御を容易とすることができる。
14、R15およびR16を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基においては、1以上の水素原子は、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
特定ポリマーは、少なくとも、一般式(a2-1)および/または一般式(a2-3)で示される構造単位を含むことが好ましい。
特定ポリマーは、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位のうち、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
補足しておくと、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位は、例えば以下のようにして特定ポリマー中に導入することができる。
(i)まず、前掲の式(MA)で表される構造単位を特定ポリマー中に導入する。
(ii)その後、その構造単位を適当な手段・条件で開環させる。
上記(ii)についてより具体的には、例えば、式(MA)で表される構造単位を含む樹脂に、1価のアルコールが作用することで、式(MA)で表される構造単位の一部が、一般式(a2-1)で表される構造単位に変化する。
もちろん、特定ポリマーを重合して得る際に、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位に直接対応するモノマーを用いることで、特定ポリマー中に、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)で表される構造単位を導入してもよい。
一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位以外の、カルボキシ基またはエステル基を有する構造単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸モノマーに由来する構造単位や、一般式(NB)または(NB-2)においてR~Rのうち少なくとも1つがカルボキシ基である構造単位を挙げることができる。
特定ポリマーは、カルボキシ基またはエステル基を有する構造単位を、1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
特定ポリマーが、カルボキシ基またはエステル基を有する構造単位を含む場合、その含有比率は、ポリマー中の全構造単位を基準として、例えば10~80mol%、好ましくは20~60mol%である。
特定ポリマーは、上記で具体的に説明した構造単位以外の構造単位を含んでもよい。
ただし、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有することの効果を最大限に得る観点から、特定ポリマーは、芳香族構造を含まないか、含むとしても少量であることが好ましい。具体的には、特定ポリマー中の芳香族構造を含む構造単位の割合は、例えば50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは0である。
特定ポリマーが2種以上の構造単位を含む場合、特定ポリマーは、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
特定ポリマーは、公知の高分子合成技術、具体的には公知のラジカル重合や触媒重合に関する技術を適用して製造することができる。より具体的には、例えば特開2017-9915号公報の記載や特許第5618537号公報に記載の合成例などを参考とすることができる。
特定ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、例えば3000~30000、好ましくは6000~20000である。なお、Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)により測定することができる。
(架橋剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは架橋剤を含む。これにより、例えば、熱硬化性の更なる向上を図ることができる。かつ/または、硬化による寸法収縮を小さくすることもできる。硬化による寸法収縮が小さいということは、特に、犠牲層により空隙を形成する場合に好ましい性質である。
架橋剤は、典型的には、1分子中に2個以上の架橋性基を含む。これにより、特定ポリマー同士を連結する架橋構造が形成され、感光性樹脂組成物で形成された樹脂膜を硬化することができる。
架橋剤が1分子中に含む架橋性基の数は、通常2~8、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。この数を適切に選択することで、架橋構造を制御することができ、各種性能を高め得る。
架橋性基としては、アルコキシメチル基、メチロール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、マレイミド基などが挙げられる。
架橋剤としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかが好ましい。詳細なメカニズムは定かでないが、おそらくは、これら化合物の反応性ないし反応温度が、電子デバイス製造における硬化条件(温度条件)などとちょうど合致しており、このことがより良好な耐熱性や硬化収縮率の一層の低減につながるものと推定される。
エポキシ化合物としては、例えば、公知のエポキシ樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができる。エポキシ樹脂の分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂(例えばフルオレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂など)、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上あるもの)も挙げることができる。多官能エポキシ樹脂としては、3~20官能のものがより好ましい。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
オキセタン化合物としては、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されない。
例えば、1,4-ビス{[(3-エチルー3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
ポリオール化合物としては、1分子中に2以上のヒドロキシ基を有する化合物であれば特に限定されない。
ポリオール化合物は、例えば、以下一般式(PO)で表される化合物を含むことができる。
Figure 0007287076000005
一般式(PO)中、
nは、2以上であり、
複数のRは、それぞれ独立に、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、
複数のXは、それぞれ独立に、カーボネート基(-O-(C=O)-O-)、エステル基(-COO-または-OCO-)およびエーテル基(-O-)からなる群より選ばれるいずれかであり、
は、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基である。
nは、2以上であれば特に限定されない。上限は特にないが、上限は例えば300である。
一般式(PO)において、複数のXのうち少なくとも1つは、好ましくはカーボネート基である。より好ましくは、複数のXの全てがカーボネート基である。
およびRは、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であれば、特に限定されない。
化合物の入手の容易性や、適度な柔軟性などの観点からは、Rの炭素数は、好ましくは4~7、より好ましくは5~6である。Rの炭素数も同様である。
炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基としては、例えば、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-(CH-、-C(CH-、-CH-CH(CH)-、-CH-CH(CH)-CH-、-CH-C(CH-CH-などを挙げることができる。
特に好ましくは、Rは、-(CH-または-(CH-である。Rについても同様である。
およびRは、発明の効果を過度に損なわない範囲において、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基などを挙げることができる。もちろん、RおよびRは無置換であってもよい。
ポリオール化合物の分子量(分子量分布がある場合には重量平均分子量)は、例えば300~6000、好ましくは350~5000、より好ましくは400~4000である。
ポリオール化合物としては、市販品を用いてもよい。具体的には、「ポリカーボネートジオール」「ポリエステルポリオール」「ポリエーテルジオール」などとして市販されている化合物を用いることができる。
一例として、宇部興産社より販売されているETERNACOLL(登録商標)UH-50、UH-100、UH-200、UH-300、PH-50、PH-100、PH-200、PH-300などを挙げることができる(これらはポリカーボネートジオールである)。
別の例として、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラノールシリーズ(ポリカーボネートジオール)、三菱ケミカル社製の商品名BENEBiOLシリーズ(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の商品名クラレポリオール(ポリカーボネートジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
さらに別の例として、AGC社の商品名エクセノール(ポリエーテルジオール)、DIC社の商品名ポリライトシリーズ(ポリエーテルジオール)、ADEKA社製の商品名アデカポリエーテル(ポリエーテルジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
なお、ポリエーテルジオールとしては、いわゆるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの中から、両末端が水酸基であるものを適宜用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物中、架橋剤の量は、特定ポリマー100質量部に対し、好ましくは25~150質量部、より好ましくは30~120質量部、さらに好ましくは40~100質量部である。適度な量の架橋剤を用いることで、硬化収縮率をより小さくできる等のメリットを得ることができる。
(界面活性剤)
本実施形態の樹脂組成物は、界面活性剤を含んでもよい。これにより、樹脂組成物を基板上に塗布した際の厚みの均一性を向上させうる。
界面活性剤とは、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
界面活性剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、樹脂組成物は界面活性剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
本実施形態の樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、その量は、特定ポリマー100質量部に対し、0.005~1質量部であることが好ましく、0.02~0.5質量部であることがより好ましい。
(溶剤)
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは溶剤を含む。換言すると、本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、各成分を溶剤に溶解または分散したものである。溶剤により、樹脂組成物を樹脂膜に形成しやすくなる。
溶剤は、典型的には有機溶剤である。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などの有機溶剤を挙げることができる。
より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、デカン等の有機溶剤を挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物が溶剤を含む場合、樹脂組成物は溶剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。すなわち、溶剤は、単独溶剤であってもよいし、混合溶剤であってもよい。
本実施形態の樹脂組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されないが、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば樹脂組成物を基板上に塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
(その他成分)
本実施形態の樹脂組成物は、良好な耐熱性やエッチング除去性が得られる限りにおいて、上記以外の各種成分を含んでもよい。そのような成分としては、例えば酸化防止剤、フィラー等を挙げることができる。
(密着助剤について)
本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤等の密着助剤を含んでもよい。しかしながら、エッチング後の残渣の低減の観点からは、本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤のような、Siを含む化合物を含まないか、または含むとしても少量であることが好ましい。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下である。さらに好ましくは、本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤を含まない。
(感光性/感光剤について)
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性である。換言すると、本実施形態の樹脂組成物で形成した樹脂膜に、紫外線等を露光したとしても、アルカリ水溶液に対する溶解性が実質的に変化することはない。
別観点として、本実施形態の樹脂組成物は、通常、キノンジアジド化合物や感光性オニウム塩などの感光剤、すなわち、紫外線等の光が照射されることで酸、アルカリ、ラジカル等の化学種を発生する化合物を含まない。
(耐熱性に関する指標)
前述のように、本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物として、高い耐熱性を有するものである。この耐熱性については、樹脂組成物を熱で硬化させた硬化物のガラス転移温度により定量化することができる。
具体的には、本実施形態の樹脂組成物を200℃で90分間加熱して得られる硬化膜を、熱機械分析(Thermomechanical Analysis)することで求められるガラス転移温度は、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上である。
換言すると、上記手順により求められるガラス転移温度が150℃以上となるように樹脂組成物を設計することで、より良好な耐熱性を有する犠牲層形成用の樹脂組成物を得ることができる。これは、犠牲層で形成される空隙の寸法精度の向上などにつながる。
ガラス転移温度の測定のより具体的手順については、後述の実施例の記載を参照されたい。
<電子デバイス製造方法>
本実施形態の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、その樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、を含む工程により、電子デバイスを製造することができる。例えば、特開2011-005600号公報の図3等に示されているデバイスの製造において、本実施形態の樹脂組成物により犠牲層としての樹脂膜を形成し、そしてその後犠牲層をエッチングして除去するなどして、内部空間を有する構造のデバイスを製造することができる。
樹脂膜の製膜方法は特に限定されず、公知の方法を適宜適用することができる。電子デバイスの製造においては通常スピンコート法が適用されるが、基板面積の広さなどによってはバーコート法、スリットコート法、インクジェット法などを適用することも考えられる。
スピンコート法などによる製膜の際、加熱による乾燥を行ってもよい。乾燥は、典型的にはホットプレート、熱風、オーブン等で加熱処理することで行われる。加熱温度は、通常80~140℃、好ましくは90~120℃である。また、加熱の時間は、通常30~600秒、好ましくは30~300秒程度である。
製膜の際の膜厚は特に限定されず、最終的に得ようとする電子デバイスの構造等により適宜調整される。製膜の際の膜厚は、一例として5~50μm程度である。
形成された樹脂膜は、加熱により熱硬化されることが好ましい。熱硬化の条件は、例えば、150~350℃程度で、10分~3時間程度とすることができる。
製膜および好ましくは熱硬化された樹脂膜をドライエッチングする(樹脂膜に対してエッチングガスを当てる)などにより、樹脂膜を除去することができる。ドライエッチング(プラズマエッチング)の条件は特に限定されないが、ガスとしてはOガスを用いることが好ましい。本実施形態の樹脂組成物は、特にエッチングガスとしてOガスを用いた場合に除去性が良好である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性である樹脂組成物。
2.
1.に記載の樹脂組成物であって、
さらに架橋剤を含む樹脂組成物。
3.
2.に記載の樹脂組成物であって、
前記架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
4.
2.または3.に記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマー100質量部に対する前記架橋剤の量が25~150質量部である樹脂組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマーが、前掲の一般式(NB)で表される構造単位および/または前掲の式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
一般式(NB)中、
、R 、R およびR は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
は0、1または2である。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマーが、さらに、カルボキシ基を有する構造単位を含む樹脂組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
さらに溶剤を含む樹脂組成物。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
感光剤を含まない樹脂組成物。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物を200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、
前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
<特定ポリマーの合成>
[合成例1:ポリマー1の合成]
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(122.4g、1.25mol)、2-ノルボルネン(117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を投入した。これに対してメチルエチルケトン(150.8g)およびトルエン(77.7g)を加えて溶解し、溶解液を得た。
この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。
その後、この溶解液に対して、メチルエチルケトン(320g)を加え、さらにその後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol)、ブタノール(463.1g、6.25mol)、トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88質量%水溶液、49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加を行った。
次いで、この混合液にメチルエチルケトン(MEK)および水を加えて水層を分離する水洗工程を、アルカリ可溶性樹脂中のアルカリ金属濃度が5ppm以下となるまで繰り返した。その後、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を添加し、系内のメタノールおよびブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、以下にポリマー1として示される化学構造のポリマーを40質量%含むポリマー溶液1107.7gを得た。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)測定によると、重量平均分子量Mwは13,700、数平均分子量Mnは7,400であった。
[合成例2:ポリマー2の合成]
特許第5618537号公報の記載を参考にして、以下にポリマー2として示される化学構造のポリマーを得た。重量平均分子量Mwは191500、数平均分子量Mnは78700であった。
Figure 0007287076000006
<樹脂組成物の調製>
後掲の表に示される配合に従って各成分を均一に攪拌・混合し、その後、孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、樹脂組成物を調製した。
後掲の表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
(特定ポリマー)
・ポリマー1:合成例1で合成されたポリマー
・ポリマー2:合成例2で合成されたポリマー
比較のため、公知のポリベンゾオキサゾール系樹脂(PBO樹脂)およびポリメチルメタクリレート(PMMA)も用いた。
(架橋剤)
・エポキシ1:大阪ガスケミカル社製、CG-500(フルオレン系エポキシ樹脂)
・エポキシ2:ダイセル社製、EHPE3150(化学構造は以下に示されるとおり)
・エポキシ3:プリンテック社製、VG3101L(化学構造は以下に示されるとおり)
・エポキシ4:三菱ケミカル社製、YED-216D(化学構造は以下に示されるとおり)
・ポリオール1:宇部興産社製、Eternacoll PH-100(化学構造は以下に示されるとおり)
Figure 0007287076000007
(密着助剤)
・シランカップリング剤:信越化学工業社製、KBM-403E(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
(界面活性剤)
・フッ素含有界面活性剤:DIC社製、R-41(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性)
<性能評価>
[耐熱性:硬化膜のガラス転移温度Tg]
以下手順により評価した。
(1)樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコートした。回転数などについては、硬化後の膜厚が10μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)上記樹脂膜を、N雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷して硬化膜を得た。
(3)上記硬化膜をシリコンウェハごと4mm幅にダイシングし、それを1質量%フッ酸水溶液に浸漬することで、硬化膜をシリコンウェハから剥離した。
(4)剥離した硬化膜を、空気雰囲気のオーブンにて、60℃、10時間の条件で乾燥処理した。
(5)乾燥処理後の硬化膜を、20mm×4mmサイズにカットした。これをTg測定用サンプルとした。
Tg測定は、日立ハイテクサイエンスの熱機械分析装置TMA-6000を用いて行った。
サンプルに引張荷重30mNをかけつつ、昇温速度5℃/分で10℃から400℃まで昇温して、横軸:温度、縦軸:伸び量のグラフを描いた。このグラフにおける高温側の直線部分と低温側の直線部分の延長線の交点を、Tgとした。
Tgが大きいほど、高耐熱性であることを表す。
[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]
以下手順により評価した。
(1)樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコートした。回転数などについては、硬化後の膜厚が25μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)上記樹脂膜を、N雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷して硬化膜を得た。
(3)上記硬化膜に対し、以下の装置および条件で、1分間、プラズマエッチング(プラズマの照射)を行い、エッチング前後での膜厚変化量からエッチング速度を算出した。膜厚の測定には、オリンパス社の光干渉式膜厚系VM-1030を用いた。
・装置:Samco社製、RIE-200iP
・エッチング条件:Oガス、出力900W(ICP)、450W(Bias)、流量550sccm、圧力4.0Pa
[エッチング後残渣]
シリコンウェハをCuウェハに変えた以外は、上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]の(1)および(2)と同様の手順により、硬化膜を得た。
上記硬化膜に対し、上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]と同様の装置および条件で、15分間、プラズマエッチング(プラズマの照射)を行った。
その後、Cuウェハ表面の面積314cm分の領域を顕微鏡観察し、残渣が見られた場合には、その残渣がSi由来であるか(ケイ素化合物に由来する残渣であるか)を、エネルギー分散型X線分析(EDX分析)により分析した。そして、以下3段階で評価した。
〇(良好):Si由来の残渣面積が全面積に対して0%
△(普通):Si由来の残渣面積が全面積に対して0.01~3%
×(悪い):Si由来の残渣面積が全面積に対して3%超
[硬化収縮率]
上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]の(1)および(2)の工程において、硬化前の樹脂膜の厚みと、硬化膜の厚みとを測定し、以下式より硬化収縮率(%)を求めた。
式:{(硬化前の樹脂膜の厚み-硬化膜の厚み)/硬化前の樹脂膜の厚み}×100
樹脂組成物の配合および評価結果をまとめて下表に示す。
Figure 0007287076000008
上表に示される通り、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有する構造単位を含むポリマーを含み、非感光性である実施例1~8の樹脂組成物の評価では、耐熱性(ガラス転移温度)とドライエッチングによる除去性(エッチングレート)とはともに良好な結果であった。
一方、比較例1および2の樹脂組成物の評価では、耐熱性とドライエッチングによる除去性の少なくとも一方が悪い結果であった。
なお、例えば実施例4とその他の実施例との対比より、架橋剤を多めに用いることで、硬化収縮率をより小さくすることができる傾向が読み取れる。また、実施例7とその他の実施例との対比により、シランカップリング剤を含まない(または含有量が少ない)ことがエッチング後残渣の一層の低減につながることが読み取れる。

Claims (12)

  1. 電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
    主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性であり、
    さらに架橋剤を含み、前記架橋剤は、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
  2. 電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
    主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性であり、
    前記ポリマーが、以下一般式(NB)で表される構造単位および以下式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
    Figure 0007287076000009
    Figure 0007287076000010
    一般式(NB)中、
    、R 、R およびR は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
    は0、1または2である。
  3. 請求項に記載の樹脂組成物であって、
    さらに架橋剤を含む樹脂組成物。
  4. 請求項に記載の樹脂組成物であって、
    前記架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
  5. 請求項1、3または4に記載の樹脂組成物であって、
    前記ポリマー100質量部に対する前記架橋剤の量が25~150質量部である樹脂組成物。
  6. 請求項1に記載の樹脂組成物であって、
    前記ポリマーが、以下一般式(NB)で表される構造単位および/または以下式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
    Figure 0007287076000011
    Figure 0007287076000012
    一般式(NB)中、
    、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
    は0、1または2である。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    前記ポリマーが、さらに、カルボキシ基を有する構造単位を含む樹脂組成物。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    さらに溶剤を含む樹脂組成物。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    感光剤を含まない樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
    当該樹脂組成物を200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、
    前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
    を含む電子デバイス製造方法。
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