JP7287076B2 - 樹脂組成物および電子デバイス製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1の実施例には、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、メタフェニレンジアミン、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物などを原料として得られた樹脂をウェハ上に塗布し加熱してポリイミド膜を形成したこと、このポリイミド膜が犠牲層として有用であること等が記載されている。
また、犠牲層は、ドライエッチングにより容易に除去可能なものであること(具体的には、ドライエッチングの際のエッチングレートが大きいこと)が、プロセスの簡素化や短時間化などの観点から好ましい。
しかし、本発明者らの知見として、従来の犠牲層を形成するため樹脂組成物においては、耐熱性やドライエッチングによる除去のしやすさの点で、なお改善の余地があった。
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性である樹脂組成物
が提供される。
前記樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と
前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法
が提供される。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる。そして、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、かつ、非感光性である。
以下、「主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマー」を「特定ポリマー」とも表記する。
また、主鎖の非芳香族性の環状骨格は、剛直でありつつ、芳香環構造などに比べると、エッチングレートが比較的大きい傾向にある。よって、例えば特許文献1に記載の樹脂組成物(芳香環構造を含むポリイミド樹脂を含む)などに比べると、本実施形態の樹脂組成物は、エッチングレートを大きく設計しやすいものと考えられる。
特定ポリマーは、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーである限り、特に限定されない。
特定ポリマーは、例えば、環状オレフィンモノマーや、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマー(典型的には無水マレイン酸骨格を有するモノマー)などを、単独重合または共重合して得られる重合体である。換言すると、特定ポリマーは、例えば環状オレフィンモノマーに由来する構造単位、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位などのうち1または2以上を含む。
特定ポリマーがこれら構造単位の一方または両方を含むことで、特定ポリマー全体としての剛直性が適当となり、耐熱性を一層高めうる。
また、別観点として、特定ポリマーが一般式(NB)で表される構造単位を含むことにより、特に耐熱性を高めることができる。一方、式(MA)で表される構造単位の剛直性は、一般式(NB)で表される構造単位に比べるとやや小さい。しかし、その構造中に酸素原子を含むため、ドライエッチング(O2プラズマエッチング)による除去性を比較的大きくしやすい。
R1、R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
a1は0、1または2である。
アルケニル基としては、例えばアリル基、ペンテニル基、ビニル基などが挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基などが挙げられる。
アルキリデン基としては、例えばメチリデン基、エチリデン基などが挙げられる。
アリール基としては、例えばトリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。
アルカリル基としては、例えばトリル基、キシリル基などが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えばアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基などが挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えばエポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
R1、R2、R3およびR4の炭素数1~30の有機基中の水素原子は、任意の原子団により置換されていてもよい。例えば、フッ素原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基などで置換されていてもよい。より具体的には、R1、R2、R3およびR4の炭素数1~30の有機基として、フッ化アルキル基などを選択してもよい。
一般式(NB)において、a1は好ましくは0または1、より好ましくは0である。
一般式(NB-2)中、R1、R2、R3、R4およびa1の定義および具体的態様は、一般式(NB)と同様である。
特定ポリマーの全構造単位中の、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位の割合は、例えば10~50モル%、好ましくは20~50モル%、より好ましくは40~50モル%である。
なお、特定ポリマー中の、環状オレフィンモノマーに由来する構造単位の割合、炭素-炭素二重結合を有する環状酸無水物モノマーに由来する構造単位の割合、これら構造単位の比率などを適宜調整することで、耐熱性をより高めたり、エッチング除去性をより高めたり、といった調整をすることもできる。
この構造単位は、例えば、本実施形態の樹脂組成物が後述の架橋剤を含むとき、架橋剤との反応に寄与すると考えられる。よって、特定ポリマーがこの構造単位を含むことで、耐熱性の更なる向上効果などを得られる傾向にある。
一般式(a2-1)および一般式(a2-2)中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1~30の有機基である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
特定ポリマーは、一般式(a2-1)、(a2-2)または(a2-3)により示される構造単位のうち、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
(i)まず、前掲の式(MA)で表される構造単位を特定ポリマー中に導入する。
(ii)その後、その構造単位を適当な手段・条件で開環させる。
特定ポリマーが、カルボキシ基またはエステル基を有する構造単位を含む場合、その含有比率は、ポリマー中の全構造単位を基準として、例えば10~80mol%、好ましくは20~60mol%である。
ただし、主鎖に非芳香族性の環状骨格を有することの効果を最大限に得る観点から、特定ポリマーは、芳香族構造を含まないか、含むとしても少量であることが好ましい。具体的には、特定ポリマー中の芳香族構造を含む構造単位の割合は、例えば50モル%以下、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、特に好ましくは0である。
特定ポリマーは、公知の高分子合成技術、具体的には公知のラジカル重合や触媒重合に関する技術を適用して製造することができる。より具体的には、例えば特開2017-9915号公報の記載や特許第5618537号公報に記載の合成例などを参考とすることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは架橋剤を含む。これにより、例えば、熱硬化性の更なる向上を図ることができる。かつ/または、硬化による寸法収縮を小さくすることもできる。硬化による寸法収縮が小さいということは、特に、犠牲層により空隙を形成する場合に好ましい性質である。
架橋剤が1分子中に含む架橋性基の数は、通常2~8、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。この数を適切に選択することで、架橋構造を制御することができ、各種性能を高め得る。
架橋性基としては、アルコキシメチル基、メチロール基、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、マレイミド基などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができる。エポキシ樹脂の分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂(例えばフルオレン骨格を有する多官能エポキシ樹脂など)、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α-2,3-エポキシプロポキシフェニル-ω-ヒドロポリ(n=1~7){2-(2,3-エポキシプロポキシ)ベンジリデン-2,3-エポキシプロポキシフェニレン}、1-クロロ-2,3-エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7-ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
例えば、1,4-ビス{[(3-エチルー3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'-ビス(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3-ビス[(3-エチルオキセタンー3-イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
ポリオール化合物は、例えば、以下一般式(PO)で表される化合物を含むことができる。
nは、2以上であり、
複数のR5は、それぞれ独立に、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、
複数のXは、それぞれ独立に、カーボネート基(-O-(C=O)-O-)、エステル基(-COO-または-OCO-)およびエーテル基(-O-)からなる群より選ばれるいずれかであり、
R6は、炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基である。
化合物の入手の容易性や、適度な柔軟性などの観点からは、R5の炭素数は、好ましくは4~7、より好ましくは5~6である。R6の炭素数も同様である。
炭素数2~8の直鎖状または分岐状のアルキレン基としては、例えば、-(CH2)2-、-(CH2)3-、-(CH2)4-、-(CH2)5-、-(CH2)6-、-C(CH3)2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH2-CH(CH3)-CH2-、-CH2-C(CH3)2-CH2-などを挙げることができる。
特に好ましくは、R1は、-(CH2)5-または-(CH2)6-である。R2についても同様である。
一例として、宇部興産社より販売されているETERNACOLL(登録商標)UH-50、UH-100、UH-200、UH-300、PH-50、PH-100、PH-200、PH-300などを挙げることができる(これらはポリカーボネートジオールである)。
別の例として、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラノールシリーズ(ポリカーボネートジオール)、三菱ケミカル社製の商品名BENEBiOLシリーズ(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の商品名クラレポリオール(ポリカーボネートジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
さらに別の例として、AGC社の商品名エクセノール(ポリエーテルジオール)、DIC社の商品名ポリライトシリーズ(ポリエーテルジオール)、ADEKA社製の商品名アデカポリエーテル(ポリエーテルジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物中、架橋剤の量は、特定ポリマー100質量部に対し、好ましくは25~150質量部、より好ましくは30~120質量部、さらに好ましくは40~100質量部である。適度な量の架橋剤を用いることで、硬化収縮率をより小さくできる等のメリットを得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、界面活性剤を含んでもよい。これにより、樹脂組成物を基板上に塗布した際の厚みの均一性を向上させうる。
界面活性剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F-251、F-253、F-281、F-430、F-477、F-551、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-562、F-563、F-565、F-568、F-569、F-570、F-572、F-574、F-575、F-576、R-40、R-40-LM、R-41、R-94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、その量は、特定ポリマー100質量部に対し、0.005~1質量部であることが好ましく、0.02~0.5質量部であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは溶剤を含む。換言すると、本実施形態の樹脂組成物は、好ましくは、各成分を溶剤に溶解または分散したものである。溶剤により、樹脂組成物を樹脂膜に形成しやすくなる。
本実施形態の樹脂組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されないが、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば樹脂組成物を基板上に塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、良好な耐熱性やエッチング除去性が得られる限りにおいて、上記以外の各種成分を含んでもよい。そのような成分としては、例えば酸化防止剤、フィラー等を挙げることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤等の密着助剤を含んでもよい。しかしながら、エッチング後の残渣の低減の観点からは、本実施形態の樹脂組成物は、シランカップリング剤のような、Siを含む化合物を含まないか、または含むとしても少量であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、非感光性である。換言すると、本実施形態の樹脂組成物で形成した樹脂膜に、紫外線等を露光したとしても、アルカリ水溶液に対する溶解性が実質的に変化することはない。
別観点として、本実施形態の樹脂組成物は、通常、キノンジアジド化合物や感光性オニウム塩などの感光剤、すなわち、紫外線等の光が照射されることで酸、アルカリ、ラジカル等の化学種を発生する化合物を含まない。
前述のように、本実施形態の樹脂組成物は、電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物として、高い耐熱性を有するものである。この耐熱性については、樹脂組成物を熱で硬化させた硬化物のガラス転移温度により定量化することができる。
換言すると、上記手順により求められるガラス転移温度が150℃以上となるように樹脂組成物を設計することで、より良好な耐熱性を有する犠牲層形成用の樹脂組成物を得ることができる。これは、犠牲層で形成される空隙の寸法精度の向上などにつながる。
本実施形態の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、その樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、を含む工程により、電子デバイスを製造することができる。例えば、特開2011-005600号公報の図3等に示されているデバイスの製造において、本実施形態の樹脂組成物により犠牲層としての樹脂膜を形成し、そしてその後犠牲層をエッチングして除去するなどして、内部空間を有する構造のデバイスを製造することができる。
製膜の際の膜厚は特に限定されず、最終的に得ようとする電子デバイスの構造等により適宜調整される。製膜の際の膜厚は、一例として5~50μm程度である。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性である樹脂組成物。
2.
1.に記載の樹脂組成物であって、
さらに架橋剤を含む樹脂組成物。
3.
2.に記載の樹脂組成物であって、
前記架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。
4.
2.または3.に記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマー100質量部に対する前記架橋剤の量が25~150質量部である樹脂組成物。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマーが、前掲の一般式(NB)で表される構造単位および/または前掲の式(MA)で表される構造単位を含む樹脂組成物。
一般式(NB)中、
R 1 、R 2 、R 3 およびR 4 は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~30の有機基であり、
a 1 は0、1または2である。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマーが、さらに、カルボキシ基を有する構造単位を含む樹脂組成物。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
さらに溶剤を含む樹脂組成物。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
感光剤を含まない樹脂組成物。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物を200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、
前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法。
[合成例1:ポリマー1の合成]
撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、無水マレイン酸(122.4g、1.25mol)、2-ノルボルネン(117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を投入した。これに対してメチルエチルケトン(150.8g)およびトルエン(77.7g)を加えて溶解し、溶解液を得た。
この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。
その後、この溶解液に対して、メチルエチルケトン(320g)を加え、さらにその後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol)、ブタノール(463.1g、6.25mol)、トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88質量%水溶液、49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加を行った。
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)測定によると、重量平均分子量Mwは13,700、数平均分子量Mnは7,400であった。
特許第5618537号公報の記載を参考にして、以下にポリマー2として示される化学構造のポリマーを得た。重量平均分子量Mwは191500、数平均分子量Mnは78700であった。
後掲の表に示される配合に従って各成分を均一に攪拌・混合し、その後、孔径0.2μmのフィルターでろ過することにより、樹脂組成物を調製した。
後掲の表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・ポリマー1:合成例1で合成されたポリマー
・ポリマー2:合成例2で合成されたポリマー
・エポキシ1:大阪ガスケミカル社製、CG-500(フルオレン系エポキシ樹脂)
・エポキシ2:ダイセル社製、EHPE3150(化学構造は以下に示されるとおり)
・エポキシ3:プリンテック社製、VG3101L(化学構造は以下に示されるとおり)
・エポキシ4:三菱ケミカル社製、YED-216D(化学構造は以下に示されるとおり)
・ポリオール1:宇部興産社製、Eternacoll PH-100(化学構造は以下に示されるとおり)
・シランカップリング剤:信越化学工業社製、KBM-403E(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
・フッ素含有界面活性剤:DIC社製、R-41(含フッ素基・親油性基含有オリゴマー、ノニオン性)
[耐熱性:硬化膜のガラス転移温度Tg]
以下手順により評価した。
(1)樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコートした。回転数などについては、硬化後の膜厚が10μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)上記樹脂膜を、N2雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷して硬化膜を得た。
(3)上記硬化膜をシリコンウェハごと4mm幅にダイシングし、それを1質量%フッ酸水溶液に浸漬することで、硬化膜をシリコンウェハから剥離した。
(4)剥離した硬化膜を、空気雰囲気のオーブンにて、60℃、10時間の条件で乾燥処理した。
(5)乾燥処理後の硬化膜を、20mm×4mmサイズにカットした。これをTg測定用サンプルとした。
サンプルに引張荷重30mNをかけつつ、昇温速度5℃/分で10℃から400℃まで昇温して、横軸:温度、縦軸:伸び量のグラフを描いた。このグラフにおける高温側の直線部分と低温側の直線部分の延長線の交点を、Tgとした。
Tgが大きいほど、高耐熱性であることを表す。
以下手順により評価した。
(1)樹脂組成物をシリコンウェハにスピンコートした。回転数などについては、硬化後の膜厚が25μmとなるように適宜調整した。その後、100℃で3分乾燥し、そして室温(23℃)まで冷却した。これによりシリコンウェハ上に樹脂膜を形成した。
(2)上記樹脂膜を、N2雰囲気のオーブン内で、200℃、90分間加熱し、その後室温まで放冷して硬化膜を得た。
(3)上記硬化膜に対し、以下の装置および条件で、1分間、プラズマエッチング(プラズマの照射)を行い、エッチング前後での膜厚変化量からエッチング速度を算出した。膜厚の測定には、オリンパス社の光干渉式膜厚系VM-1030を用いた。
・装置:Samco社製、RIE-200iP
・エッチング条件:O2ガス、出力900W(ICP)、450W(Bias)、流量550sccm、圧力4.0Pa
シリコンウェハをCuウェハに変えた以外は、上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]の(1)および(2)と同様の手順により、硬化膜を得た。
上記硬化膜に対し、上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]と同様の装置および条件で、15分間、プラズマエッチング(プラズマの照射)を行った。
〇(良好):Si由来の残渣面積が全面積に対して0%
△(普通):Si由来の残渣面積が全面積に対して0.01~3%
×(悪い):Si由来の残渣面積が全面積に対して3%超
上記[ドライエッチングによる除去性:エッチングレート]の(1)および(2)の工程において、硬化前の樹脂膜の厚みと、硬化膜の厚みとを測定し、以下式より硬化収縮率(%)を求めた。
式:{(硬化前の樹脂膜の厚み-硬化膜の厚み)/硬化前の樹脂膜の厚み}×100
一方、比較例1および2の樹脂組成物の評価では、耐熱性とドライエッチングによる除去性の少なくとも一方が悪い結果であった。
Claims (12)
- 電子デバイス製造における犠牲層を形成するために用いられる樹脂組成物であって、
主鎖に非芳香族性の環状骨格を有するポリマーを含み、非感光性であり、
さらに架橋剤を含み、前記架橋剤は、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。 - 請求項2に記載の樹脂組成物であって、
さらに架橋剤を含む樹脂組成物。 - 請求項3に記載の樹脂組成物であって、
前記架橋剤が、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびポリオール化合物からなる群より選ばれる少なくともいずれかの化合物を含む樹脂組成物。 - 請求項1、3または4に記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマー100質量部に対する前記架橋剤の量が25~150質量部である樹脂組成物。 - 請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
前記ポリマーが、さらに、カルボキシ基を有する構造単位を含む樹脂組成物。 - 請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
さらに溶剤を含む樹脂組成物。 - 請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物の固形分全体中のシランカップリング剤の量が5質量%以下である樹脂組成物。 - 請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
感光剤を含まない樹脂組成物。 - 請求項1~10のいずれか1項に記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物を200℃で90分間加熱して得られる硬化膜の、熱機械分析により求められるガラス転移温度が150℃以上である樹脂組成物。 - 請求項1~11のいずれか1項に記載の樹脂組成物により基板上に樹脂膜を形成する製膜工程と、
前記樹脂膜をドライエッチングするドライエッチング工程と、
を含む電子デバイス製造方法。
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