以下、本発明の実施形態に係る部品実装システムについて図面に基づいて説明する。
[部品実装システムの全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る部品実装システムS0の構成を概略的に示す図である。部品実装システムSOは、作業管理システムS1と、実装機1を複数備えた実装ラインS2と、データサーバ71及び生産計画サーバ72と、作業者が携帯する端末機73と、部品を搬送する無人搬送車であるAGV(Automated Guided Vehicle)74とを含む。実装ラインS2は、複数台の実装機1がタンデムに配列され、所要の部品を基板に搭載して部品搭載基板を生産するラインである。作業管理システムS1は、実装ラインS2において、各実装機1に対して部品(例えば、後述の部品収納テープ3、部品供給スティック、部品供給トレイ等)を補給する補給作業を管理するシステムである。
[実装機の構成]
まず、図2を参照して実装機1の構成を説明する。図2は、実装機1の構成を示す平面図である。実装機1は、プリント配線基板等の基板Pに部品を搭載して部品搭載基板を生産する装置である。実装機1は、ベース部11、一対のコンベア12、移動フレーム13、ヘッドユニット14、Y軸駆動機構15、X軸駆動機構16、部品供給部20A、20B、20C、20D、表示装置7及び読み取り装置8を備えている。
ベース部11は、実装機1を構成する各部が載置される矩形の基台である。一対のコンベア12は、基板Pを搬送するコンベアであって、ベース部11上にX方向に延びるように配設されている。コンベア12は、基板Pを-X側から実装機1の機内に搬入し、所定の作業位置(図2に示す基板Pの位置)まで+X側へ搬送して一旦停止させる。この作業位置において、部品が基板Pに実装される。実装作業後、コンベア12は基板Pをさらに+X側へ搬送し、実装機1の機外へ搬出する。
移動フレーム13は、X方向に延びるフレームであって、Y方向に移動可能にベース部11に支持されている。ヘッドユニット14は、X方向に移動可能に、移動フレーム13に搭載されている。すなわち、ヘッドユニット14は、移動フレーム13の移動に伴ってY方向に移動可能であり、且つ、移動フレーム13に沿ってX方向に移動可能である。ヘッドユニット14は、基板Pに搭載する部品を吸着して保持する複数本のヘッド14Hを備える。ヘッド14Hは、後述する部品取り出し位置HT(図3)において部品を吸着保持し(部品を取り出し)、基板P上に部品を移動すると共に当該基板Pの所定の搭載位置に前記部品を実装する。
Y軸駆動機構15は、ベース部11の+X側及び-X側の端部に一対で配設され、移動フレーム13をY方向に移動させる機構である。Y軸駆動機構15は、例えばY方向に延びるボールねじ軸と、このボールねじ軸を回転駆動する駆動モータと、移動フレーム13に配設されて前記ボールねじ軸と螺合するボールナットと、を含んで構成される。X軸駆動機構16は、移動フレーム13に配設され、ヘッドユニット14を移動フレーム13に沿ってX方向に移動させる機構である。X軸駆動機構16は、Y軸駆動機構15と同様に、例えば、X方向に延びるボールねじ軸、駆動モータ及びボールナットを含んで構成される。
部品供給部20A~20Dは、基板Pに実装される部品を供給する。コンベア12を挟んで、ベース部11の-Y側の領域に2つの部品供給部20A、20Bが、+Y側の領域に2つの部品供給部20C、20Dが各々配置されている。図2では、各部品供給部20A~20Dには、X方向に配列された複数のテープフィーダー2が装着されている。
なお、部品供給部20A~20Dに装着されるのは、テープフィーダー2に限らない。例えば、複数の部品を平面上に配列された状態で保持するトレイを備えたトレイフィーダー、或いは複数の部品が直列に配列された状態で保持する筒状のスティックを備えたスティックフィーダー等も、部品供給部20A~20Dに装着され得る。
表示装置7(本発明の報知装置の一例)は、実装機1における部品実装作業の進捗状況、その他の各種情報を画像表示するもので、例えばタッチパネルなどの情報入力も可能なディスプレイ装置からなる。
読み取り装置8(本発明の第1入力装置の一例)は、部品の補給作業の際に、作業者が操作することにより、後記リール45に取り付けられた記録部46の記録情報を読み取るものである。当例では、記録部46記録部はバーコードであり、従って、読み取り装置8はバーコードリーダである。但し、記録部46および読み取り装置8の組合せはこれに限らない。例えば、記録部46は、バーコード以外の二次元コードやICタグであってもよい。
[テープフィーダー2の構成]
各テープフィーダー2は、部品収納テープ3を担体として、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等の小片状のチップ部品や集積回路部品(IC)等、この部品収納テープ3に収納されている部品を所定の部品取り出し位置HTへ供給する。テープフィーダー2は、先行する部品収納テープと、後続の部品収納テープとを装着可能で、且つ、両テープのスプライシング作業を行うことなく連続して送り出し可能な自動ローディング方式のテープフィーダーである。
図3は、テープフィーダー2と、これが装着される部品供給部20A~20Dの構成を概略的に示す側面図である。テープフィーダー2は、同図に示すように、2本の部品収納テープ3を装着可能である。すなわち、部品の供給が先行して行われる第1部品収納テープ3Aと、その後に続いて部品の供給が行われる第2部品収納テープ3Bとを、テープフィーダー2に装着することができる。
大略的にテープフィーダー2は、先行の第1部品収納テープ3Aを間欠的に繰り出して部品取り出し位置HTに部品を供給し、第1部品収納テープ3Aが部品切れとなると、後続の第2部品収納テープ3Bを自動ローディングし、当該第2部品収納テープ3Bを間欠的に繰り出して部品取り出し位置HTに部品を供給する。以降は、この第2部品収納テープ3Bが「先行の第1部品収納テープ3A」となり、次に自動ローディングされる新たな第2部品収納テープ3Bが、図外のテープ装着治具に取り付けられる。
部品供給部20A~20Dの各テープフィーダー2は、台車4によって支持されている。台車4は、リール支持部41と、その下面を支持するキャスター付きの台車ベース部42とを含む。リール支持部41には、上段側の第1リールホルダ43と、下段側の第2リールホルダ44とが備えられている。第1リールホルダ43には、先行の第1部品収納テープ3Aが巻回されたリール45(本発明の部品保持部材の一例)が回転可能に支持されている。また、第2リールホルダ44には、後続の第2部品収納テープ3Bが巻回されたリール45が回転可能に支持されている。
リール45の側面には、それぞれ、記録部46が取り付けられている。記録部46には、リール45に各々巻回された部品収納テープ3A、3Bに収納されている部品を識別する部品識別情報、部品種に関する部品種情報、1リール当たりの部品数に関する部品数情報、リールの識別情報(リールID)、リールのロットを識別するためのロット識別情報等の部品情報が記録されている。記録部46は、当例では、上記の部品情報をコード化して記録したバーコードからなる。
図3では、第1リールホルダ43に支持されたリール45から繰り出された第1部品収納テープ3Aが、テープフィーダー2で送り出される一方、第2リールホルダ44に支持されたリール45から繰り出された第2部品収納テープ3Bが、テープフィーダー2の後端部で待機されている状態を示している。
第1部品収納テープ3Aは、リール支持部41の上端に配設されたガイドローラー47にガイドされつつテープフィーダー2内に進入し、部品取り出し位置HTの近くに配置された第2、第3スプロケット23B、23Cと歯合されている。第2、第3スプロケット23B、23Cの回転により、第1部品収納テープ3Aは、部品取り出し位置HTを経由して間欠的に送り出される。なお、部品取り出し位置HTにおいて部品が取り出された第1部品収納テープ3Aは、テープフィーダー2の先端部からダクト51に送り出され、カッター53により一定寸法以下に細断されながら回収箱52に回収される。
一方、第2リールホルダ44に支持されたリール45から繰り出された第2部品収納テープ3Bは、その先端が図外のテープ装着治具によって第1スプロケット23ACと歯合する状態に保持されている。
図3の状態から第1部品収納テープ3Aの送り出しが進み、第2、第3スプロケット23B、23Cの間に配置された図外のセンサにより当該第1部品収納テープ3Aの部品切れが検出されると、自動ローディング動作が実行される。具体的には、第2、第3スプロケット23B、23Cの回転により、第1部品収納テープ3Aを、テープ終端まで送り切るテープ排出動作が実行される。その後、第1スプロケット23Aの回転により、第2部品収納テープ3Bの先端部を、部品取り出し位置HTの位置まで送り出すテープ送出動作が実行される。以降は、第2スプロケット23Bの回転駆動力により、第2部品収納テープ3Bが送り出される(第1スプロケット23Aは空転する)。
自動ローディング動作が実行されると、その後、作業者が、第1リールホルダ43に支持されている空のリール45を取り外し、第2リールホルダ44に支持されているリール45(第2部品収納テープ3Bが繰り出されているリール45)を第1リールホルダ43に移すとともに、テープ装着治具を脱着操作することにより、第2部品収納テープ3Bの第1スプロケット23Aに対する噛み合いを解除する作業を行う。この段階で、当該第2部品収納テープ3Bは、「先行する第1部品収納テープ3A」となる。
そして、新たな第2部品収納テープ3Bが巻回されたリール45を第2リールホルダ44にセットし、この新たな第2部品収納テープ3Bの先端部が第1スプロケット23ACと歯合する状態にテープ装着治具で保持し、次の自動ローディングに備える。
当例では、このように、第1リールホルダ43に支持されている空のリール45を取り外し、新たな第2部品収納テープ3Bの先端部をテープ装着治具によってテープフィーダー2に保持するまでの一連の作業が、部品の「補給作業」の一例である。この補給作業には、新たな第2部品収納テープ3Bが巻回されたリール45の記録部46に記録された部品情報を読み取り装置8によって読み取る作業も含まれる。すなわち、部品の補給作業では、作業者は、リール45に取り付けられた記録部46の部品情報を読み取り装置8で読み取る。この記録部46の読み取りにより、実装機1は、部品の補給作業が行われたテープフィーダー2の位置、すなわち部品供給部20A~20Dにおけるテープフィーダー2のセット位置(部品供給位置)と補給された部品との照合を行う。つまり、記録部46の部品情報は、テープフィーダー2について部品の補給作業を実行する際に求められる必須入力情報である。
なお、テープフィーダー2以外のフィーダー装置が部品供給部20A~20Dに装着される場合の部品の補給作業については、例えばトレイフィーダーの場合はトレイ(本発明の部品保持部材の一例)に取り付けられた記録部を読み取り装置8により読み取り、スティックフィーダーの場合はスティック(本発明の部品保持部材の一例)に取り付けられた記録部を読み取り装置8により読み取ることとなる。
[補給作業の概要]
続いて図1を参照して、部品実装システムS0における、実装ラインS2の実装機1に対する部品収納部材の補給作業の概略的な流れについて説明する。データサーバ71には基板データD1が、生産計画サーバ72には生産計画情報D2が、それぞれ格納されている。作業管理システムS1は、これら基板データD1及び生産計画情報D2を参照して、所定の処理を実行する。基板データD1は、基板に搭載される部品に関する情報が、基板品種ごとに定義されたファイルである。具体的には、ある基板品種について、搭載される部品名及び品種名、その部品の使用数や搭載位置などが、基板データD1として定義されている。生産計画情報D2は、どの実装ラインS2で、どの品種の基板を何枚生産するか、等が記述されたファイルである。
各実装機1は、当該実装機1の各種の動作を制御する実装機制御部10を備えている。各実装機制御部10は、部品の取り付け情報D3を管理している。取り付け情報D3は、部品供給部20A~20Dの各セット位置の部品残数が記述されたファイルである。例えば取り付け情報D3のファイルでは、ある品種の部品を収納した部品収納テープ3が装着されたテープフィーダー2が、部品供給部20A~20Dのいずれのセット位置に装着されているかが、部品残数と共に管理される。また、取り付け情報D3では、部品の残数が所定数よりも少なくなったことを報知する残数警告数、残数警告数よりもさらに残数が少ない数値であって部品供給を停止させる残数停止数、等の設定値も管理されている。なお、取り付け情報D3は基板の生産に応じて、また、部品の「補給作業」の実行に応じて逐次更新される。そして、例えば実装機1において1枚の基板に対する所定の処理が完了して排出するなどのイベント毎に、更新された取り付け情報D3が作業管理システムS1に発送される。
作業管理システムS1は、少なくとも各実装機1の部品供給部20A~20Dに装着されたテープフィーダー2の各々に対して、部品収納テープ3が巻回されたリール(図3に示す各リール45)の補給作業を管理するシステムである。作業管理システムS1は、作業者による補給作業の負荷を軽減するために、同一の補給タイミングで前記リールを補給可能なテープフィーダー2に対しては、前記リール45の補給作業をまとめて行う「まとめ補給」を可能とする作業用データを作成する。勿論、「まとめ補給」の対象には、テープフィーダー2以外のフィーダー、例えば上掲のトレイフィーダー及びスティックフィーダー等に補給作業も含まれる。
作業管理システムS1は、各種の処理を実行する処理部6(詳細は図4に基づき後述する)を備える。処理部6は、基板データD1及び生産計画情報D2から求められる部品の消費予測値と、取り付け情報D3から得られる現状の部品残数とから、テープフィーダー2及び他のフィーダーにおける部品切れを予測する演算を逐次行い、予測結果データD5を作成する。例えば、自動ローディング方式のテープフィーダー2では、予測結果データD5には、次に使用されるリールをプリセット(補給)可能な時刻、上記の残数警告、残数停止が発報される時刻、部品切れによって生産停止となる時刻が含まれる。
作業管理システムS1においては、管理対象となる全ての実装機1の部品供給部20A~20D(各テープフィーダー2)について求められた予測結果データD5が、マスターデータD6として管理されている。マスターデータD6は、実装ラインS2における部品搭載基板の生産の進行に応じて逐次更新される。すなわち、処理部6は、所定のインターバル(例えば30秒)をおいて最新の予測結果データD5を求める演算を行い、この最新データが逐次マスターデータD6に取り込まれるものである。
この作業管理システムS1に対して、「まとめ補給」の作業リクエストが与えられると、「まとめ補給」のための作業用データD7(本発明の作業計画に相当する)が、その時点で最新のマスターデータD6から切り出される。作業用データD7は、同一の補給タイミングで部品の補給が可能な複数のテープフィーダー2(実装機1)をマスターデータD6から抽出し、作業者が実行すべき補給作業が、実行すべき順に並べられたリストである。なお、作業用データD7は、予め定められた、作業者が補給作業時に実装機1を巡回するルート、作業標準時間等を参照して作成される。
作業用データD7は、実装ラインS2を構成する各実装機1に配信されるとともに、作業管理システムS1から各作業者が携帯している端末機73(本発明の第2入力装置の一例)に配信される。端末機73は、例えば、「まとめ補給」の作業リストを表示すると共に作業完了情報等を入力可能な表示部を備えたタブレット端末機である。作業者は、前記作業リストが表示された端末機73を携帯し、部品収納テープ3が巻回されたリール45などを搭載可能な台車75を搬送して、パーツタワー76に立ち寄る。パーツタワー76には、各種部品用のリール45が保管されており、図略のロボットが前記作業リストに記述された補給部品のリール45を台車75へ積み込む。
台車75は、AGV74を用いて無人搬送させることができる。この場合、作業用データD7に基づいて作成されたAGV用指示データがAGV74に配信される。AGV用指示データは、AGV74が停止すべき実装機1の位置、停止時間、巡回ルートなどが記述されたファイルである。
パーツタワー76で補給部品を台車75へ積載したら、作業者は台車75を伴って巡回補給のルートに沿って移動し、作業用データD7に記載された実装機1(部品供給部20A~20D)で停止すると共に、「まとめ補給」に含まれる単位補給作業を順次行う。単位補給作業を行うと、その都度、実装機1から作業管理システムS1に作業済み情報D4が送信され、作業用データD7は更新され、作業管理システムS1に繋がっている各実装機1及び端末機73でこの更新された作業用データD7が共有される。また、実装機1へのリール45の取り付け完了により、実装機制御部10は自身の取り付け情報D3を更新する。更新された取り付け情報D3は作業管理システムS1に送られ、予測結果データD5に反映されることになる。
[作業管理システムの構成]
図4は、作業管理システムS1の構成を示すブロック図である。作業管理システムS1は、例えばパーソナルコンピュータで構成され、処理部6と、この処理部6に接続された操作部601、表示部602、データ通信部603、マスターデータ記憶部681、作業用データ記憶部682及び回収データ記憶部683とを含む。
操作部601は、キーボード、タッチパネル、スタートキー及び設定キー等を備え、作業管理システムS1に対する作業者の操作や各種の設定を受付ける。表示部602は、作業管理システムS1に関する各種の情報を表示するディスプレイである。データ通信部603は、実装機1、データサーバ71、生産計画サーバ72、端末機73及びAGV74とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路である。
処理部6は、CPU、制御プログラムを記憶するROM、CPUの作業領域として使用されるRAMなどを含んで構成されている。処理部6は、前記制御プログラムが実行されることにより、機能的に通信制御部61、操作制御部62、表示制御部63、取得部64、部品補給管理部65及び作業用データ更新部66を含むように動作する。
通信制御部61は、データ通信部603による実装機1、データサーバ71、生産計画サーバ72、端末機73及びAGV74とのデータ通信を制御する。具体的には通信制御部61は、実装機1から取り付け情報D3及び作業済み情報D4を、端末機73から作業完了情報等をそれぞれ受け取り、また、データサーバ71から基板データD1を、生産計画サーバ72から生産計画情報D2を適時に読み出す。基板データD1は、上述の通り、搭載される部品名及び品種名、その部品の使用数や搭載位置、搭載順序などが、基板品種毎に記述されたファイルである。
図5は、生産計画サーバ72に格納されている生産計画情報D2の一例を示す表形式の図である。生産計画情報D2は、生産順序情報J11、基板品種情報J12、生産ロット情報J13、生産数情報J14、及び使用部品情報J15が相互に関連付けられた情報である。生産順序情報J11は、部品搭載基板の生産順序を表す情報である。基板品種情報J12は、生産される基板の品種を表す情報である。生産ロット情報J13は、基板品種ごとの生産ロットを特定するための情報である。生産数情報J14は、生産ロットごとの部品搭載基板の生産数を表す情報である。使用部品情報J15は、部品搭載基板の生産時に使用される部品に関する情報である。
使用部品情報J15は、部品を識別するための部品識別情報J151、部品を特定するための部品種特定情報J152、部品必要数情報J153及びサイクルタイム情報J154が関連付けられた情報である。部品必要数情報J153は、1枚の部品搭載基板(ここでは「基板A」)の生産に必要な部品数であり、部品識別情報J151で識別される部品ごとに設定されている。サイクルタイム情報J154は、1枚の基板Aの生産時における部品の搭載に必要な時間であり、基板品種情報J12で特定される基板品種ごとに設定されている。
図6は、作業管理システムS1に入力される取り付け情報D3の一例を示す表形式の図である。取り付け情報D3は、実装機情報J20、部品供給装置情報J21、部品識別(部品ID)情報J151、部品残数情報J22及び部品残数警告値情報J23などが関連付けられた情報である。実装機情報J20は、実装機1を識別するID番号である。部品供給装置情報J21は、部品搭載基板の生産時に使用される部品供給部20A~20D装置に関する情報であり、部品供給部20A~20Dの種類(部品供給方式の種類)を表す装置種情報J211と、部品供給部20A~20Dに装着された各フィーダー装置(テープフィーダー2(AF)、トレイフィーダー又はスティックフィーダー)を識別するための装置識別情報(装置ID)J212とを含む。
部品残数情報J22は、各フィーダー装置における部品の部品残数に関する情報であって、部品の消費に伴って逐次更新される。部品残数警告値情報J23は、各フィーダー装置において、部品切れが近い部品残数であるとして警告を報知する設定値(部品残数警告値)である。部品残数情報J22の部品残数が、部品残数警告値情報J23の設定値に至ると、実装機1は部品残数警告を発報する。図6には示していないが、各フィーダー装置からの部品供給動作を停止させる部品残数の設定値(残数停止情報)を含んでいても良い。
図4に戻って、操作制御部62は、操作部601を制御する。表示制御部63は、表示部602による情報の表示動作を制御する。
取得部64は、実装ラインS2を構成する実装機1の各々に装着された各フィーダー装置に対する、部品補給作業の管理の開始時刻を表す管理開始時刻TS(図7)を取得する。取得部64は、部品搭載基板の生産を開始する時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよいし、管理開始を指令する指令情報が操作部601を介して入力された場合に、その指令情報が入力された時刻を管理開始時刻TSとして取得してもよい。
部品補給管理部65は、各実装機1の各フィーダー装置に対する部品の補給作業の計画を管理する。部品補給作業としては、テープフィーダー2の各々に対して新たなリール45を補給する補給作業、トレイフィーダーの各々に対して新たなトレイを補給する補給作業、並びにスティックフィーダーに対して新たなスティックを補給する補給作業が含まれる。部品補給管理部65は、これら補給作業について、同一の補給タイミングで実行可能な補給作業をまとめて実行させる「まとめ補給」の作業用データD7を作成する。
図7は、「まとめ補給」の考え方を説明するための図である。ここでは、説明を簡略的に行うために、7台の自動ローディング方式のテープフィーダー2A~2Gを対象とした「まとめ補給」を説明する。図7の時刻TSは、「まとめ補給」のリクエストが有った時刻であって、上述の取得部64が取得した管理開始時刻TSである。部品補給管理部65は、操作部601からの入力情報に基づいて、管理開始時刻TSから所定の特定時間経過後の特定時刻TTまでの特定期間TW1を設定する。更に、部品補給管理部65は、特定期間TW1内において、特定時刻TTが最も遅い時刻(以下、「最遅時刻」という)となる、予め定められた管理期間TW2を設定する。
部品補給管理部65は、機能的に部品消費予測部651、補給対象特定部652及び作業計画部653を備えている。部品消費予測部651は、図1に示した予測結果データD5を導出する機能部であって、テープフィーダー2A~2Gの各々における部品の消費状況を予測する演算を行う。この予測演算に際し、部品消費予測部651は、基板データD1、生産計画情報D2及び取り付け情報D3を参照する。
補給対象特定部652は、テープフィーダー2A~2Gの各々における部品の供給情報を予測結果データD5に基づいて監視し、補給作業が実行可能な補給時間帯及びその補給作業の対象となる対象実装機1を特定する。すなわち、補給対象特定部652は、上記の予測結果データD5に基づき、テープフィーダー2A~2G毎に、新たなリールの補給が可能となる補給可能時刻を特定する。補給可能時刻は、テープフィーダー2A~2Gの各々において、リールホルダ43、44に各々装着されたリール45のうちの、部品供給が先行して行われる部品収納テープ3A又は3Bが巻回された方のリール45が部品切れとなる時刻である。先行のリール45が部品切れとなると、当該先行リール45の代替として、新たなリール45の補給が可能となる。この補給可能時刻は、図7において、テープフィーダー2A~2Gの各タイムチャート上において、「△」印で示されている。さらに、補給対象特定部652は、テープフィーダー2A~2G毎に残数警告時刻を特定する。残数警告時刻は、図7において、「▲」印で示されている。
上記補給可能時刻は、例えば次の手順で求められる。ここでは、図3の第1部品収納テープ3Aが先行テープ、第2部品収納テープ3Bが後続テープであるとする。まず、補給対象特定部652は、取り付け情報D3(図6)の部品残数情報J22にて表される部品残数から、後続の第2部品収納テープ3Bが巻回されたリール45における部品残数を減算することで、先行の第1部品収納テープ3Aが巻回されたリール45における部品残数を求める。次に、補給対象特定部652は、生産計画情報D2の部品必要数情報J153にて表される、1枚の搭載基板の生産に必要な部品の必要数を、サイクルタイム情報J154にて表される当該部品の実装時間で除算し、1秒当たりの使用部品数を求める。そして、補給対象特定部652は、先行の第1リール45における前記部品残数を、1秒当たりの前記使用部品数で除算することにより、補給可能時刻を求める。また、上記残数警告時刻は、部品残数情報J22の部品残数から、部品残数警告値情報J23の部品残数警告値を減算した部品数を、1秒当たりの前記使用部品数で除算することによって求められる。
図7の例では、テープフィーダー2Aについては補給可能時刻T1が特定されている。補給可能時刻T1は、特定時刻TTよりも早く、且つ管理期間TW2の最も早い時刻(以下、「最早時刻」という)よりも早い時刻であって、特定期間TW1内に含まれている。テープフィーダー2Aの残数警告時刻は、図7には表されておらず、特定時刻TTよりも後の時間帯TW3に含まれることになる。
テープフィーダー2B、2Cについては、それぞれ補給可能時刻T2、T3が特定されている。補給可能時刻T2、T3は、いずれも特定時刻TTよりも早く、且つ管理期間TW2の最早時刻よりも遅い時刻であって、管理期間TW2内に含まれている。テープフィーダー2B、2Cの残数警告時刻は、図7には表されておらず、特定時刻TTよりも後の時間帯TW3に含まれている。
テープフィーダー2Dの補給可能時刻は、図7には表されていない。テープフィーダー2Dの補給可能時刻は、特定時刻TTよりも早く、且つ、管理開始時刻TSよりも早い時刻ということになる。つまり、「まとめ補給」のリクエストが有る前に、既に補給可能時刻が到来している。一方、テープフィーダー2Dに対しては残数警告時刻T6が特定されている。この残数警告時刻T6は、特定時刻TTよりも遅い時間帯TW3に含まれている。
テープフィーダー2E、2F、2Gに対しては、それぞれ補給可能時刻T4、T5、T6が特定されている。補給可能時刻T4、T5、T6は、いずれも特定時刻TTよりも遅い時間帯TW3に含まれている。テープフィーダー2E、2F、2Gの残数警告時刻は、図7には表されておらず、各々の補給可能時刻T4、T5、T6よりも遅い時刻であって、特定時刻TTよりも後の時間帯TW3に含まれることになる。
作業計画部653は、補給時間帯が重複する複数の対象実装機1を抽出し、これら対象実装機を巡回して前記補給作業を実行する作業計画を作成する。作業計画部653は、図1に示した、マスターデータD6から作業用データD7を切り取る処理を行う機能部である。具体的には作業計画部653は、テープフィーダー2A~2Gのうち、補給可能時刻(補給時間帯)が特定時刻TTよりも早い時刻となるものを、特定期間TW1内の管理期間TW2での新たなリール45の補給対象となる部品補給対象として特定する。図7に示す例では、作業計画部653は、補給可能時刻が特定時刻TTよりも早い時刻となる全てのテープフィーダー2A~2Dを部品補給対象として特定し、作業者がこれらテープフィーダー2A~2Dの装着されている実装機1を巡回して補給作業を実行する作業用データD7を作成する。
作業用データD7の作成に際し、作業計画部653は、管理期間TW2において、補給対象のテープフィーダー2A~2Dに対して同じタイミングで新たなリールの補給作業を行うことができる補給時刻THを特定する。図7の例では、テープフィーダー2A~2Dのうち、補給可能時刻が最も遅いのは、テープフィーダー2Cの補給可能時刻T3である。つまり、時刻T3が到来すれば、全てのテープフィーダー2A~2Dに対し、補給作業が実行可能となる。従って、作業計画部653は、補給可能時刻T3と特定時刻TTとの間の任意の時刻を、補給時刻THとして特定する。図7の「○」印は、補給時刻THを示しており、ここでは時刻T3が選ばれている例を示している。
このように、本実施形態の作業管理システムS1では、作業計画部653によって、特定時刻TTを基準とした管理期間TW2で新たなリールの補給が可能な全てのテープフィーダー2A~2Dを、補給作業の対象として特定とする。これにより、管理期間TW2で新たなリールを補給可能なテープフィーダー2A~2Dに対しては、作業者が複数のリールの補給作業をまとめて行う「まとめ補給」が可能となる。このため、作業者は、「まとめ補給」のリクエストを出した時刻TSから、補給時刻THを補給作業の作業開始時刻の目安とし、新たなリールの「まとめ補給」を行うことができる。従って、実装ラインS2を構成する実装機1のもとに、補給作業のために作業者が出向く頻度を抑制することができ、作業負荷を軽減することができる。
図4に戻って、作業用データ更新部66(本発明のデータ更新部に相当する)は、実装機1で部品の補給作業が実行される際に、後記作業用データ記憶部682に記憶されている作業用データD7を更新するものである。各実装機1で部品の補給作業が実行されると、実装機1から作業管理システムS1に作業済み情報D4が送信される。作業用データ更新部66は、この作業済み情報D4に基づき、作業用データD7において補給作業の対象となっているテープフィーダー2のうち、作業済み情報D4に係るテープフィーダー2のデータを消去する作業用データD7の更新処理を実行するとともに、更新後の作業用データD7を、データ通信部603を介して各実装機1(実装機制御部10)、端末機73及びAGV74に送信する処理を実行する。
マスターデータ記憶部681は、前記補給作業及び前記回収作業の管理ベースとなるマスターデータD6を記憶する。作業用データ記憶部682は、マスターデータD6から所定の管理タイミングで切り出された作業用データD7を保管する記憶領域である。一旦切り出された作業用データD7は、上記の通り、作業用データ更新部66によって独自に更新される。
実装機1の実装機制御部10は、その機能構成の一部として補給作業点検部17を備えている。補給作業点検部17は、作業用データD7に基づき作業者が部品の補給作業を行う際に、全ての補給作業が適切に実行されるように、補給作業の実行状況を点検するための処理(点検処理)を実行する。
具体的には、読み取り装置8によりリール45の記録部46が読み取られて、補給作業の対象であるテープフィーダー2(セット位置)と補給された部品との照合が適正であると、すなわち、補給作業が適切に行われると、補給作業点検部17は、作業管理システムS1に作業済み情報D4を出力する。作業管理システムS1(作業用データ更新部66)は、この作業済み情報D4に基づき作業用データD7の更新処理を実行する。
また、実装機1において補給作業の対象となっているテープフィーダー2のうち、最初のテープフィーダー2の補給作業に際して、読み取り装置8により記録部46が読み取られると、補給作業点検部17は、作業用データD7を参照し、それ以前に補給作業を行う予定であった実装機1での補給作業であって未実行の補給作業が残っているか否かの判定処理を実行する。そして、未実行の補給作業が残っている場合には、後に詳述するように、補給作業が未実行のテープフィーダー2(セット位置)を特定し得る情報と共に作業用データD7を表示装置7により表示する表示処理を実行する。この判定処理および表示処理は、読み取り装置8により記録部46の読み取りが行われた実装機1において実行される。
さらに、補給作業点検部17は、自機(実装機1)が、作業用データD7に含まれる実装機1のうち作業順番が最後であるかを判定する。最後と判定した場合には、補給作業点検部17は、端末機73からの作業完了情報の送信を待って、当該実装機1(自機)について上記判定処理を実行し、自機において未実行の補給作業が残っている場合には、上記表示処理を実行する。作業用データD7のうち作業順番が最後である対象実装機1については、その後に読み取り装置8による記録部46の読み取りが行われないため、端末機73からの作業完了情報の送信を利用して上記判定処理及び表示処理を実行するようにされている。なお、端末機73から送信される作業完了情報は、作業管理システムS1を経由して各実装機1に転送される。
[補給作業点検部17による処理の具体例および作用効果]
図8は、「まとめ補給」の一例を示す図である。ここでは、実装ラインS2が、Y01、Y02、Y03、Y04、Y05及びY06の6台の実装機1にて構成されている例を示している。また、補給巡回ルートは、Y01実装機からY06実装機に向かう方向と予め定められているものとする。
そして、Y01~Y06実装機のうち、Y02実装機、Y05及びY06実装機が、部品の補給作業が必要な対象実装機1として特定されているものとする。すなわち、図7の例のようにして「まとめ補給」の対象として特定されたテープフィーダー2がY02実装機に、Y05実装機及びY06実装機に存在し、残りのY01、Y03、Y04実装機には「まとめ補給」の対象のテープフィーダー2が存在していない。この場合、作業者は、補給時刻THに、Y02実装機、Y05実装機、Y06実装機の順に巡回して、テープフィーダー2に対して補給リール45を順次装着する補給作業を実行する。
図9は、端末機73に配信され、当該端末機73が備えるディスプレイに表示される作業用データD7の一例を示す図である。作業用データD7は、補給タイミング情報J31及び補給数情報J32と、補給部品情報J33とが含まれている。補給タイミング情報J31は、作業計画部653による補給時刻THのタイミングでの特定結果を表す情報である。補給数情報J32は、一回の「まとめ補給」において、対象実装機1に対して補給される補給リール45の合計のリール本数を表す情報である。「まとめ補給」において、トレイフィーダー用の補給トレイ、スティックフィーダー用の補給スティックが含まれている場合は、これらの合計数も補給数情報J32として表示される。
補給部品情報J33は、補給対象のテープフィーダー2に補給される補給リール45に関する情報である。補給部品情報J33は、補給順番情報J34、実装機種特定情報J20、台車識別情報J35、セット位置(部品供給部位置)情報J36、部品識別情報J151、部品種特定情報J152及び作業状況情報J37が関連付けられた情報である。補給順番情報J34は、補給作業を実行する際の順番を特定するための情報である。実装機種特定情報J20は、「まとめ補給」の対象となるテープフィーダー2を含む実装機1を特定するための情報である。台車識別情報J35は、当該「まとめ補給」において使用される台車75を識別するための情報である。セット位置情報J34は、実装機1において、「まとめ補給」の対象となるテープフィーダー2が装着される部品供給部20A~20Dでの配置位置(レーン番号)を特定するための情報である。部品識別情報J151及び部品種特定情報J152は、図5に基づき説明した通りである。作業状況情報J37は、補給作業の実行の有無を特定するための情報である。なお、この作業用データD7は、Y01~Y06の各実装機にも配信されている。
作業者は、端末機73に表示される上記の作業用データD7を参照しながら、補給時刻THに、Y02実装機、Y05実装機、Y06実装機の順に巡回して、テープフィーダー2に対して補給リール45を順次装着する補給作業を実行する。
まず、Y02実装機において、作業者が、最初(補給順番情報J34が「1」)の部品、すなわち最初のリール45の補給に際して、その記録部46を読み取り装置8により読み取ると、Y02実装機(実装機制御部10)は、その読み取り情報と作業用データD7とを照合し、補給対象であるテープフィーダー2(セットの位置)と補給される部品(部品ID)とが合致するかを判定する。合致する場合には、実装機制御部10は、作業管理システムS1に作業済み情報D4を送信し、これに応じて作業管理システムS1(作業用データ更新部66)は作業用データD7を更新する。補給対象であるテープフィーダー2(セットの位置)と補給される部品(部品ID)とが合致しない場合には、Y02実装機は、表示装置7において、補給対象であるテープフィーダー2(セット位置)が間違っている、若しくは部品(リール45)が間違っている旨のエラーメッセージを表示する。
なお、Y02実装機は、作業用データD7に含まれる最初の対象実装機1であり、それ以前の対象実装機1は存在しない。そのため、Y02実装機(補給作業点検部17)は、未実行である補給作業がそれ以前に存在するか否かの判定処理においては、未実行の補給作業は存在しないと判定する。
Y02実装機における全ての補給作業が終了すると、作業者は、次の対象実装機1であるY05実装機に移動するが、ここで、作業者が、Y05実装機での補給作業を忘れてY06実装機に直接移動したと仮定する。この場合、作業者が、Y06実装機の最初のリール45の補給に際して、記録部46を読み取り装置8により読み取ると、作業用データD6に、当該Y06実装機より前のY05実装機の補給作業が未実行のまま残っていることから、Y06実装機(補給作業点検部17)は、上記判定処理において、それ以前の補給作業であって未実行のものが存在すると判定し、Y05実装機で補給作業が実行されていないテープフィーダー2(セット位置)を特定し得る情報と共に作業用データD7を当該Y06実装機の表示装置7によって表示する。
図10は、その場合に表示装置7に表示される作業用データD7の一例を示す。この作業用データD7は、既に実行された補給作業(Y02実装機の補給作業)の情報が削除された最新の作業用データD7である。この作業用データD7には、上述した各情報J31~J33に加えて注意情報J38が含まれる。注意情報J38は、補給作業が未実行のテープフィーダー2(セット位置)を特定し得る情報であってかつその補給作業を実行することを喚起するための情報である。表示される作業用データD7のうち、注意情報J38およびY05実装機の未実行の補給作業の欄(補給順番情報J34の「3」)は、作業者が注目し易いように、その他の部分と異なる態様で表示される。例えば、その他の部分と異なる色で表示され、若しくは背景部分が点滅するなどして表示される。
その後、作業者がY05実装機に移動し、未実行で残っていたリール45の補給作業を実行すると、これにより作業用データD7が更新される。これによりY06実装機(補給作業点検部17)は、表示装置7による上記表示処理を終了する。
作業用データD7に含まれる最後の対象実装機1、すなわちY06実装機の全ての補給作業が終了すると、上述した通り、作業者は端末機73から作業完了情報を入力する。この作業完了情報は、作業管理システムS1を経由してY06実装機に転送される。この作業完了情報に基づき、Y06実装機(補給作業点検部17)は、自機について上記判定処理を実行し、補給作業が未実行のテープフィーダー2が有る場合には、図10に示したのと同様の表示処理を実行する。
以上説明したように、この部品実装システムS0によれば、作業者は、作業用データD7に基づき特定された対象実装機1について補給作業を実行することにより、効率的に前記補給作業を行うことができる。すなわち、実装ラインS2を構成する実装機1のもとに、補給作業のために作業者が出向く頻度を抑制することができ、作業負荷を軽減することができる。
しかもその際、作業者が一部の補給作業をうっかり飛ばしてしまった(忘れていた)場合には、後続する対象実装機1での補給作業の際に、その旨が表示装置7により表示されることにより作業者に報知される。すなわち、上記のようにY02実装機、Y05実装機及びY06実装機が対象実装機1である場合に、Y02実装機の補給作業の後、作業者がY05実装機の補給作業を飛ばしてY06実装機の補給作業を始めると、その旨が(Y05実装機の表示装置7ではなく)Y06実装機の表示装置7によって報知される。そのため、作業者が一部の補給作業をうっかり飛ばした場合でも、表示装置7の表示内容に基づき、直ちに前の対象実装機1に戻って補給作業を実行することができ、一部の補給作業を実行し忘れたままこれが看過されることが抑制される。
特に、表示装置7には、補給作業が未実行のテープフィーダー2(セット位置)を特定し得る情報であってかつその補給作業を実行することを喚起するための注意情報J38が含まれるため、作業者は、未実施の補給作業の位置を速やかに特定して作業を行うことができる。そのため、作業者は慌てることなく未実施の補給作業を行うことが可能となる。
また、実装機1(補給作業点検部17)は、上記のように、対象実装機1の最初の補給作業の際の読み取り装置8による記録部46の読み取り作業に同期して、それより前の対象実装機1について未実行の補給作業が残っているか否かを自動的に判定する。そのため、当該判定処理のための特別な入力操作が求められることがない。従って、「まとめ補給」の作業性を著しく損なうことなく、当該「まとめ補給」における作業忘れを抑制することができる。例えば、各対象実装機1の最後の補給作業の作業終了毎に、作業者が端末機73から作業完了情報を入力し、この作業完了情報の入力に同期して上記判定処理を実行するようにしてもよい。しかしこの場合には、作業者は一度の「まとめ補給」について複数回、端末機73から作業完了情報を入力する必要があり手間である。また、対象実装機1毎に作業完了情報の入力を求めるため、その入力を忘れ易くなるおそれがあり、未実行の補給作業があった場合に作業完了情報の入力を忘れると、当該未実行の補給作業がそのまま看過されるおそれがある。この点、対象実装機1の最初の補給作業の際に、読み取り装置8による記録部46の読み取り作業に同期して自動的に上記判定処理を実行する上記実施形態の構成によれば、そのような不都合を伴うことなく、「まとめ補給」における作業忘れを抑制することができる。
しかも、作業用データD7に含まれる巡回順番が最後の対象実装機1については、全ての補給作業が終了したと認識した時点で、作業者が端末機73から入力する作業完了情報を利用して、当該実装機1についての上記判定処理を実行するようにしている。このような作業完了情報の入力は、「まとめ補給」が完了したことを作業管理システムS1に認識させるための処理として、「まとめ補給」の最後に必要な操作とされる。そのため、巡回順番が最後の対象実装機1についても、上記判定処理を実行させるためだけの特別な入力操作を伴うことなく、補給作業の作業忘れを抑制することができる。
[その他変形例等]
上述した部品実装システムS0は、本発明に係る部品実装システムの好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成を採用することもできる。
(1)補給作業点検部17は、読み取り装置8による記録部46の読み取り、および端末機73からの作業完了情報の送信に基づき、補給作業を実行すべきであったテープフィーダー2であって未実行のものがあるか否かの判定処理を実行する。しかし、これ以外の情報の入力に基づき前記判定処理を実行するようにしてもよい。例えば、実施形態中でも言及した通り、各対象実装機1の最後の補給作業の作業終了毎に、作業者が端末機73から作業完了情報を入力し、この作業完了情報の入力に同期して対象実装機1毎に上記判定処理を実行するようにしてもよい。
また、端末機73から前記判定処理を要求する専用の要求情報を送信することにより、補給作業点検部17が前記判定処理を実行するようにしてもよい。この構成によれば、作業者は、端末機73から前記要求情報を送信することにより、任意のタイミングで前記判定処理を実行して経過確認を行うことが可能となる。
(2)実施形態では、作業用データD7に含まれる対象実装機1のうち作業順番が最後のものについては、補給作業点検部17は、端末機73からの作業完了情報の送信を待って、当該実装機1(自機)について前記判定処理を実行する。しかし、この場合、自機を含む全ての対象実装機1について、補給作業が未実行のテープフィーダー2の有無について判定するようにしてもよい。
(3)読み取り装置8による記録部46の読み取り実行された判定処理で補給作業が未実行のテープフィーダー2が見つかった場合には、そのテープフィーダー2の補給作業が完了するまで次の補給作業の実行を規制するようにしてもよい。この構成によれば、作業者が一部のテープフィーダー2について補給作業を忘れていた場合に、これが看過されることを確実に防止することが可能となる。具体的には、例えば補給作業が未実行のテープフィーダー2について補給作業が実行されるまで、読み取り装置8による記録部46の読み取りが行われた実装機1において、次以降の部品の照合処理を実装機制御部10が実行しないように規制することが考えられる。
(4)実施形態では、前記判定処理で補給作業が未実行のテープフィーダー2が見つかった場合、補給作業点検部17は、その旨(図10)を表示装置7により表示させるが、表示装置7の代わりに、又は表示装置7と共に端末機73のディスプレイに同様の表示をさせるようにしてもよい。また、前記判定処理で補給作業が未実行のテープフィーダー2が見つかった場合の報知方法は、表示装置7による作業用データD7の画像表示に限定されない。例えば、表示装置7による画像表示に代えて、または当該画像表示と共に音声で報知するようにしてもよい。