以下、各実施形態について図面を用いて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るアンギオCT装置の外観を示す斜視図であり、図2は、アンギオCT装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。アンギオCT装置1は、CTガントリ2、CT用コンソール3、アンギオガントリ5、アンギオ用コンソール6及び寝台装置7を備えている。なお、CT用コンソール3及びアンギオ用コンソール6は、一体化(インテグレーション)してもよい。
CTガントリ2は、寝台装置7の天板7aが挿入される開口部2aを有し、天板7aの長軸方向に沿って床に設けられた複数のレールr1上を移動可能となっている。
アンギオガントリ5は、天板7aの長軸方向、あるいは短軸方向に沿って天井に設けられた複数のレールr2下を移動可能となっている。
アンギオガントリ5は、一端にX線管52を有し、且つ他端にX線検出器53を有するCアーム54と、Cアーム54を保持する保持部54aと、保持部54aを先端に保持する支持アーム54bとを備えている。支持アーム54bは、略円弧形状を有し、レールr2に対する移動機構に基端が取り付けられている。Cアーム54は、天板7aに垂直なZ方向と、天板7aの長軸方向に沿ったY方向との両者に直交するX方向の軸を中心に回転可能に保持部54aに保持されている。また、Cアーム54は、Y方向の軸を中心とした略円弧形状を有し、略円弧形状に沿ってスライド可能に保持部54aに保持されている。あるいは、Cアーム54は、保持部54aを中心としてX方向の軸を中心とした回転をすることができ、スライドとこの回転の組み合わせにより様々な角度方向からX線画像を観察することを可能とする。
寝台装置7は、CTガントリ2及びアンギオガントリ5に共通に用いられ、被検体が載置される天板7aを有する。天板7aは、当該天板7aの長軸方向あるいは短軸方向に沿って移動可能に保持され、また、Y方向の軸を中心として回動可能に保持されている。天板7aの移動は、撮像時には撮像範囲の移動に相当するので、パニング(panning)と呼んでもよい。このような共通の寝台装置7は、CT用コンソール3及びアンギオ用コンソール6の各々のシステム制御回路37,66から制御される。
次に、このようなアンギオCT装置の構成について具体的に説明する。
図3は、アンギオCT装置の構成を示すブロック図であり、図4は、アンギオガントリの変形例を示す模式図である。アンギオCT装置1のうち、CT装置は、CTガントリ2、CT用コンソール3及び寝台装置7を備える。CTガントリ2は、スリップリング(slip ring)21、管電圧発生装置22、X線管23、X線検出器24、データ収集回路(DAS:Data Acquisition System)25、非接触データ伝送回路26、搬送装置27及び架台制御回路28を有している。CTガントリ2は、回転リング29、被検体の体軸(Z軸)を回転軸として回転自在に回転リング29を支持するリング支持機構、及び回転リング29を回転駆動させる回転駆動装置(電動機)30等を有する。回転リング29は、CTガントリ2に収容され、開口部2aを介して互いに対向配置されたX線管23及びX線検出器24を保持する。回転リング29の開口部には、被検体Pを載置可能な天板7aが挿入される。天板7aは、回転リング29の中心軸に沿って移動可能に寝台装置7に支持される。ここで、天板7aに載置された被検体Pの体軸が回転リング29の中心軸に一致するように、天板7aが位置決めされる。回転リング29には、管電圧発生装置22、X線管23、X線検出器24、DAS25、非接触データ伝送回路26、図示しない冷却装置等が搭載される。管電圧発生装置22は、架台制御回路28を介したCT用コンソール3による制御の下で、X線管23に印加する管電圧と、X線管23に供給するフィラメント電流(Filament current)とを発生する。
X線管23は、スリップリング21を介して、管電圧発生装置22からの管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受ける。X線管23は、X線の焦点から天板7aに載置された被検体PへX線を放射する。X線管23は、管電圧発生装置22により印加される管電圧に対応するエネルギースペクトルを有するX線を発生する。X線の放射範囲は、図3の二点鎖線に示す。
X線検出器24は、回転軸を挟んでX線管23に対峙する位置及び角度で、回転リング29に取り付けられる。X線検出器24は、X線管より照射されるX線を検出するための複数の受光帯を有する。ここでは、単一の受光帯が単一のチャンネルを構成しているものとして説明する。複数のチャンネルは、回転軸に直交し、かつ放射されるX線の焦点を中心として、この中心から1チャンネル分の受光帯の中心までの距離を半径とする円弧方向(チャンネル方向)とZ方向(スライス方向)との2方向に関して二次元状に配列される。X線検出器24の出力側には、DAS25が接続される。
DAS25は、X線検出器24の各チャンネルの電流信号を電圧に変換するIV変換器と、この電圧信号をX線の曝射周期に同期して周期的に積分する積分器と、この積分器の出力信号を増幅するアンプと、このアンプの出力信号をディジタル信号変換するアナログ・ディジタル・コンバータとを、チャンネル毎に取り付けている。DAS25は、出力したデータ(純生データ(pure raw data))を磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送回路26を経由して、CT用コンソール3に伝送する。
搬送装置27は、寝台装置7に対してCTガントリ2を搬送可能な装置である。搬送装置27は、例えば、検査室の床に設けられるレールL1を用いて、CTガントリ2を搬送可能としている。
架台制御回路28は、CT用コンソール3から出力される制御信号に応じて、CTガントリ(gantry:架台)2内の管電圧発生装置22、搬送装置27及び回転駆動装置30等を制御する機能を有する。架台制御回路28は、ハードウェア資源として、CPUやMPU等の処理装置(プロセッサ)とROMやRAM等の記憶装置(メモリ)とを有する。また、架台制御回路28は、ASICやFPGA、CPLD、SPLD等により実現されても良い。当該処理装置は、当該記憶装置に保存されたプログラムを読み出して実現することで上記機能を実現する。なお、当該記憶装置にプログラムを保存する代わりに、当該処理装置の回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該処理装置は、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記機能を実現する。
CT用コンソール3は、前処理回路31、再構成回路32、入力インターフェース(I/F)回路33、通信インターフェース(I/F)回路34、表示回路35、記憶回路36及びシステム制御回路37を備える。
前処理回路31は、非接触データ伝送回路26から出力された純生データに対して前処理を施す。前処理には、例えば、純生データに対する対数変換処理、チャンネル間の感度不均一補正処理、X線強吸収体、主に金属部による極端な信号強度の低下又は信号脱落を補正する処理等が含まれる。前処理回路31は、前処理を施した再構成処理直前のデータ(生データ(raw data)又は、投影データと称される、ここでは投影データという)を、データ収集したときにビュー角を表すデータと関連付けて、再構成回路32及び記憶回路36へ伝送する。
ここで、投影データとは、被検体Pを透過したX線の強度に応じたデータ値の集合である。ここでは説明の便宜上、ワンショットで略同時に収集したビュー角が同一である全チャンネルにわたる一揃いの投影データを、投影データセットと称する。また、ビュー角は、X線管23が回転軸を中心として周回する円軌道の各位置を、回転軸から鉛直上向きにおける円軌道の最上部を0°として360°の範囲の角度で表したものである。なお、投影データセットの各チャンネルに対する投影データは、ビュー角、コーン角、チャンネル番号によって識別される。
再構成回路32は、例えば、前処理回路31から伝送された、ビュー角が360°又は180°+ファン角の範囲内の投影データセットに基づいて、フェルドカンプ法又は逐次近似再構成法等により、略円柱形のボリュームデータを再構成するものである。再構成回路32は、例えば、メモリと所定のプロセッサによって実現される。また、再構成回路32は、上記複数の投影データセットから3次元CT画像(ボリュームデータ、以降、単にCT画像という)を再構成する。フェルドカンプ法は、コーンビームのように再構成面に対して投影レイが交差する場合の再構成法である。コーン角が小さいことを前提としてファンビーム投影とみなして処理することで再構成を高速化することもできる。再構成回路32は、再構成されたCT画像を記憶回路36へ伝送する。
また、再構成回路32は、両ガントリ2,5の交差モードにおいて、CTガントリによる撮像が行われると、記憶回路36に記憶されたCT画像からガイドワイヤー画像を抽出し、当該ガイドワイヤー画像の先端部を含むMPR(Multi-Planar Reconstruction)画像を生成してもよい。再構成回路32は、当該MPR画像を記憶回路36へ伝送する。なお、MPR画像の生成及び伝送は、再構成回路32以外の画像生成回路が実行してもよい。
入力インターフェース回路33は、トラックボール、スイッチボタン、フットスイッチ、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース回路33は、システム制御回路37に接続されている。入力インターフェース回路33は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換しシステム制御回路37へ出力する。なお、本実施形態において、入力インターフェース回路33は、トラックボール、スイッチボタン、フットスイッチ、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をシステム制御回路37へ出力する電気信号の処理回路も、入力インターフェース回路33の例に含まれる。
通信インターフェース回路34は、有線、無線又はその両方にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、モダリティ、放射線部門情報管理システム(RIS:Radiological Information System)、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)及びPACS(Picture Archiving and Communication System)等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
表示回路35は、システム制御回路37による制御に従い、医用画像などを表示するディスプレイと、ディスプレイに表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。ここで、表示回路35が表示する医用画像としては、例えば、記憶回路36内のCT画像やMPR画像などがある。
記憶回路36は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。記憶回路36は、前処理回路31から伝送された投影データ、再構成回路32で再構成されたCT画像、及び再構成回路32で生成されたMPR画像を記憶する。記憶回路36は、管電圧をX線管23に印加するタイミングを制御する制御プログラムを記憶する。
なお、記憶回路36の保存領域は、アンギオCT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
システム制御回路37は、図示しないプロセッサとメモリとを備える。システム制御回路37は、CT装置の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路37は、記憶回路36に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってCT装置の各部を制御する。また、システム制御回路37は、入力インターフェース回路33から送られてくる操作者の指示に基づいて、寝台装置7を制御する。
ここで、システム制御回路37は、前述した制御に加え、以下の機能(f1−2a)を有している。なお、機能(f1−2a)は、CT用コンソール3内のシステム制御回路37に設ける場合に限らず、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66に設けてもよい。なお、本実施形態では、各機能がCT用コンソール3及びアンギオ用コンソール6に分散して実装されるため、説明の便宜上、機能に付した番号(fn)が不連続な値となっている。また、この番号(fn)は、CT用コンソール3及びアンギオ用コンソール6を一体化して設けた場合に、連続的な値に整理して述べることが可能である。また、この番号(fn)は、大まかには、出願当初の請求項の番号に対応させるように付している。
(f1−2a):後述する(f1−1)の機能において、交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を制御する撮像制御機能。具体的には、CT用コンソール3内のシステム制御回路37は、当該交差させた状態で、架台制御回路28をロックせずに、架台制御回路28による撮像制御を許可することにより、CTガントリ2による撮像を制御する。アンギオガントリ5による撮像は、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66により制御される。この場合、入力インターフェース回路33は、後述する(f1−1)の機能によって両ガントリを交差させた状態でセットさせた場合、操作者の操作に応じて、CTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を指示する撮像指示を撮像制御機能(f1−2a)に入力する共通のフットスイッチを備えてもよい。
(f16):後述する(f1−1)の機能において、両ガントリを交差させた状態でセットさせた場合、開口部2aの周囲に沿って回転リング29を常に回転状態に駆動する駆動機能。具体的には、CT用コンソール3内のシステム制御回路37は、架台制御回路28及び回転駆動装置30を介して、回転リング29を回転状態に駆動する。
次に、アンギオCT装置1のうち、アンギオ装置について説明する。アンギオ装置は、アンギオガントリ5、アンギオ用コンソール6及びCT装置と共通の寝台装置7を備える。
アンギオガントリ5は、管電圧発生装置51、X線管52、X線検出器53、Cアーム54、保持部54a、支持アーム54b、駆動装置55及び撮像制御回路56を備える。
管電圧発生装置51は、X線管52に供給する管電流と、X線管52に印加する管電圧とを発生する。管電圧発生装置51は、撮像制御回路56を介したアンギオ用コンソール6による制御の下で、X線撮像条件に従って、管電流をX線管52に供給し、管電圧をX線管52に印加する。
X線管52は、管電圧発生装置51から供給された管電流と、管電圧発生装置51により印加された管電圧とに基づいて、X線焦点においてX線を発生する。X線焦点から発生されたX線は、X線管52の前面に設けられたX線放射窓を介して、被検体Pに照射される。なお、X線焦点から発生されたX線の一部は、X線管52とX線放射窓との間に設けられたコリメータ52aにより遮蔽される。
X線検出器53は、X線管52から発生され、被検体Pを透過したX線を検出する。X線の入射に伴って複数の半導体検出素子で発生された電気信号は、図示しないアナログディジタル変換器(ADC:Analog to Digital Convertor)に出力される。ADCは、電気信号をディジタルデータに変換する。ADCは、ディジタルデータを画像発生回路61に出力する。なお、X線検出器53として、イメージインテンシファイア(Image-intensifier)が用いられてもよい。
Cアーム54、保持部54a及び支持アーム54bからなる支持機構は、X線管52とX線検出器53とを移動可能に支持する。具体的には、Cアーム54は、X線管52とX線検出器53とを、互いに向き合うように搭載する。保持部54aは、Cアーム54のC形状に沿う方向(以下、C方向と呼称する)に、Cアーム54をスライド可能に支持する。また、保持部54aを保持する支持アーム54bは、天井に設けられたレールL2に沿って移動可能に設置される。レールL2は、例えば、天板7aの長軸方向、また短軸方向に沿って天井に設けられる。保持部54aは、Cアーム54と支持アーム54bとを接続する接続部を略中心として、C方向に直交する方向(以下、C直交方向と呼称する)に回転可能にCアーム54を保持する。また、Cアーム54は、X線焦点とX線検出器53との距離(線源受像面間距離(SID:Source Image Distance)を変更可能に、X線管52とX線検出器53とを支持する。
なお、Cアーム54は、保持部54a及び支持アーム54bによる支持機構に限定されない。Cアーム54は、床面に沿って移動可能な支柱に支持されてもよい。あるいは、Cアーム54は、例えば図4に示すように、工業用ロボットの多関節アームにより、任意の方向に移動可能に支持されてもよい。この例では、台座54c上に設けられた複数の関節57及び複数のアーム58を交互に介して先端の関節59にCアーム54の保持部54aが支持されている。また例えば、台座54cから数えて1番目の関節57は、Z軸を中心に回転可能にアーム58を保持し、2〜4番目の関節57,59は、X、Y、Z軸を中心に回転可能にアーム58を保持する。但し、関節57,59の個数及び回転の自由度は、これに限らず、適宜、設計可能である。保持部54aは、前述同様に、Cアーム54をC方向にスライド可能で且つ、C直交方向に回転可能に保持する。C直交方向の回転は、X軸を回転中心にした回転に相当する。また、Cアーム54は、天井からつり下げられる構造に代えて、床に搬送可能に設けられてもよい。また、Cアーム54は、バイプレーン構造を有していてもよい。
駆動装置55は、アンギオ用コンソール6の制御の下で寝台装置7、Cアーム54、保持部54a及び支持アーム54bを駆動する。具体的には、駆動装置55は、システム制御回路66からの制御信号に応じた駆動信号を保持部54aに供給して、Cアーム54をC方向にスライド、C直交方向に回転させる。X線撮像時においては、X線管52とX線検出器53との間に、天板7aに載置された被検体Pが配置される。
駆動装置55は、システム制御回路66の制御の下で、寝台装置7を駆動することにより、天板7aを移動させる。具体的には、駆動装置55は、システム制御回路66の制御信号に基づいて、天板7aの短軸方向又は長軸方向に、天板7aをスライドさせる。また、駆動装置55は、鉛直方向に関して、天板を昇降する。加えて、駆動装置55は、長軸方向と短軸方向とのうち、少なくとも一つの方向を回転軸として、天板7aを傾けるために天板7aを回転してもよい。
撮像制御回路56は、操作者の指示、X線撮像方向、X線照射範囲、X線照射条件等に基づくシステム制御回路66からの制御に従って、管電圧発生装置51、X線検出器53、駆動装置55等を制御する。
アンギオ用コンソール6は、画像発生回路61、入力インターフェース回路62、通信インターフェース回路63、表示回路64、記憶回路65及びシステム制御回路66を備える。
画像発生回路61は、X線検出器53から出力されたディジタルデータに対して前処理を施す。前処理とは、例えば、X線検出器53におけるチャンネル間の感度不均一の補正、及び金属等のX線強吸収体による極端な信号強度の低下又はデータの脱落に関する補正等である。画像発生回路61は、前処理されたディジタルデータに基づいて、X線画像を発生する機能を有する。画像発生回路61は、発生したX線画像を、表示回路64及び記憶回路65に出力する。
ここで、画像発生回路61は、前述した機能に加え、以下の各機能(f15)を有していてもよい。なお、各機能(f15)は、アンギオ用コンソール6内の画像発生回路61に設ける場合に限らず、CT用コンソール3内の再構成回路32又はシステム制御回路37に設けてもよい。
(f15):CTガントリ2により撮像したCT画像に基づいて血管構造を表すボリュームレンダリング画像を作成し、当該ボリュームレンダリング画像とアンギオガントリ5により撮像した撮像画像とを合成して3Dロードマップを作成する3Dロードマップ作成機能。なお、作成された3Dロードマップは、少なくともアンギオ用コンソール6内の表示回路64又はCT用コンソール3内の表示回路35に表示される。
なお、3Dロードマップは、例えばCT再構成画像が造影情報を含む場合、造影情報から血管構造を抽出し、この抽出した血管情報をあたかもX線投影系で投影したかのようなボリュームレンダリング画像を作成し、そのボリュームレンダリング画像とX線撮像画像とを合成した合成画像、又は当該合成により表示する方法である。
入力インターフェース回路62は、トラックボール、スイッチボタン、フットスイッチ、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インターフェース回路62は、システム制御回路66に接続されている。入力インターフェース回路62は、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換しシステム制御回路66へ出力する。なお、本実施形態において、入力インターフェース回路62は、トラックボール、スイッチボタン、フットスイッチ、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号をシステム制御回路66へ出力する電気信号の処理回路も、入力インターフェース回路62の例に含まれる。なお、アンギオ装置において、フットスイッチはX線撮像スイッチとして使用される。フットスイッチには通常3種類のスイッチが設けられている。3種類のスイッチは、それぞれ低線量での主に観察を目的とした透視、高線量での主に観察と記録を目的とした撮影、さらに通常の透視では適切に観察できない場合の高線量透視(線量は透視<高線量透視<撮影)のように使い分けられる。
通信インターフェース回路63は、有線、無線又はその両方にて外部装置と通信するための回路である。外部装置は、例えば、モダリティ、放射線部門情報管理システム(RIS)、病院情報システム(HIS)及びPACS等のシステムに含まれるサーバ、あるいは他のワークステーション等である。
表示回路64は、システム制御回路66による制御に従い、医用画像などを表示するディスプレイと、ディスプレイに表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。
記憶回路65は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)及び画像メモリなど電気的情報を記録するメモリと、それらメモリに付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。記憶回路65は、画像発生回路61で発生されたX線画像、アンギオガントリ5の制御プログラム、撮像プロトコル、入力インターフェース回路62から入力された操作者の指示、X線撮像に関する撮像条件及び透視条件等の各種データ群、X線線量等を記憶する。
システム制御回路66は、図示しないプロセッサとメモリを備える。システム制御回路66は、入力インターフェース回路62から送られてくる操作者の指示、X線撮像位置、X線管52によるX線撮像方向、X線照射範囲、X線照射条件等の情報を、図示しないメモリに一時的に記憶する。システム制御回路66は、メモリに記憶された操作者の指示、X線撮像方向、X線照射範囲、X線照射条件等に従って、X線撮像を実行するために、撮像制御回路56を介して管電圧発生装置51、X線検出器53、駆動装置55、及び寝台装置7等を制御する。また、システム制御回路66は、表示回路64等を制御する。
ここで、システム制御回路66は、前述した制御に加え、以下の各機能(f1−1),(f1−2b)を有している。これに加え、システム制御回路66は、各機能(f1−1b)、(f2−1),…を有してもよい。なお、各機能(f1−1),(f1−1b)、(f1−2b),(f2−1),…は、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66に設ける場合に限らず、CT用コンソール3内のシステム制御回路37に設けてもよい。また、前述した通り、これらの番号(fn)は、大まかには出願当初の請求項の番号に対応させるように付しているため、不連続な番号となっている。
(f1−1):両ガントリの交差モードが選択されると、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が、被検体Pの撮像位置及び開口部2aを通過するように、CTガントリ2とアンギオガントリ5とを交差させた状態にセットする第1セット機能。なお、「交差モード」は、「同時使用モード」と呼んでもよいが、両ガントリを必ずしも同時に使用することを意味しない。「同時使用モード」はモード名の変形例である。
(f1−1b):両ガントリの交互使用モードが選択されると、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が、被検体Pの撮像位置を通過するようにアンギオガントリ5をセットし、CTガントリ2はアンギオガントリ5から一定距離離した状態にセットする第2セット機能。なお、「交互使用モード」は、「准同時使用モード」と呼んでもよい。「准同時使用モード」はモード名の変形例である。また、「第1セット機能」及び「第2セット機能」などに含まれる序数「第1」及び「第2」などは、各々のセット機能を互いに区別するための便宜的なものであり、矛盾しない範囲で、適宜、他の序数に変更してもよい。
なお、上記(f1−1b)の機能に代えて、次の(f21)又は(f22)の機能を実施してもよい。また、これら3つの機能(f1−1b),(f21),(f22)は、任意の2つ以上を組み合わせて実施してもよい。
(f21):CTガントリ2とアンギオガントリ5との交互使用モードが選択されると、CTガントリ2を使用する際にはCTガントリ2のセットとアンギオガントリ5の退避とを並行して実行し、アンギオガントリ5を使用する際にはアンギオガントリ5のセットとCTガントリ2の退避とを並行して実行するセット機能。
(f22):CTガントリ2とアンギオガントリ5との交互使用モードが選択されると、CTガントリ2を使用する際にはCTガントリ2のセットとアンギオガントリ5の退避とを単一操作で実行し、アンギオガントリ5を使用する際にはアンギオガントリ5のセットとCTガントリ2の退避とを単一操作で実行するセット機能。
なお、上記(f21)及び(f22)の各々のセット機能は、当該交互使用モードが選択されると、アンギオガントリ5を使用する際にはアンギオガントリ5を撮像位置にセットし、CTガントリ2をアンギオガントリ5から一定距離離れた位置に退避させるようにしてもよい。ここで、上記(f21)及び(f22)の各々のセット機能は、手技、部位、プロトコル、プログラムのどれか一つあるいは組み合わせに応じて、当該一定距離の値を変更するようにしてもよい。
(f1−2b):交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を制御する撮像制御機能。具体的には、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、当該交差させた状態で、撮像制御回路56をロックせずに、撮像制御回路56による撮像制御を許可することにより、アンギオガントリ5による撮像を制御する。CTガントリ2による撮像は、CT用コンソール3内のシステム制御回路37により制御される。この場合、入力インターフェース回路62は、(f1−1)の機能によって両ガントリを交差させた状態でセットさせた場合、操作者の操作に応じて、CTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を指示する撮像指示を撮像制御機能(f1−2b)に入力する共通のフットスイッチを備えてもよい。「同時使用モード」の場合、フットスイッチの3種類のスイッチはそれぞれ低線量での主に観察を目的とした透視、高線量での主に観察と記録を目的とした撮像、さらにCT撮像のように使い分けられる。
(f1−2c):「准同時使用モード」におけるCTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を制御する撮像制御機能。具体的には、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、撮像制御回路56をロックせずに、撮像制御回路56による撮像制御を許可することにより、アンギオガントリ5による撮像を制御する。CTガントリ2による撮像は、CT用コンソール3内のシステム制御回路37により制御される。この場合、アンギオガントリ5が被検体Pの撮像位置にセットされた状態から、アンギオガントリ5を一定距離退避し、CTガントリ2を被検体Pの撮像位置にセットする操作は1ボタンの操作(単一操作)で行う。なお、CT撮像完了後、CTガントリ2を一定距離退避し、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置にセットする操作も1ボタンの操作(単一操作)で行う。このような単一操作としては、1回のボタン操作に限らず、1回のレバー操作などの如き、1回の入力操作が適宜、使用可能となっている。入力インターフェース回路62は、(f1−1b)の機能によって両ガントリを一定距離離した状態でセットさせた場合、操作者の操作に応じて、撮像を指示する撮像指示を撮像制御機能(f1−2c)に入力する共通のフットスイッチを備えてもよい。「准同時使用モード」の場合、フットスイッチの3種類のスイッチはそれぞれ低線量での主に観察を目的とした透視、高線量での主に観察と記録を目的とした撮像、さらにCT撮像のように使い分けられる。なお、アンギオガントリ5の退避及びCTガントリ2のセットのトリガーとなる1ボタンの操作は、CT撮像に機能付けられたフットスイッチの押下としてもよい。さらにCTガントリ2の退避及びアンギオガントリ5のセットのトリガーとなる1ボタンの操作は、CT撮像に機能付けられたフットスイッチの解放であってもよい。
(f2−1):CTガントリ2の使用モードが選択されると、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置から退避させた状態で、CTガントリ2の開口部2aに天板7aを挿入するように、CTガントリ2をセットする第3セット機能。なお、第3セット機能は、前半のアンギオガントリ5の退避に関する機能をアンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66に設け、後半のCTガントリのセットに関する機能をCT用コンソール3内のシステム制御回路37に設けてもよい。
(f2−2):アンギオガントリ5の使用モードが選択されると、CTガントリ2を少なくとも被検体Pの撮像位置から退避させた状態で、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が被検体Pの撮像位置を通過するように、アンギオガントリ5をセットする第4セット機能。なお、第4セット機能は、前半のCTガントリ2の退避に関する機能をCT用コンソール3内のシステム制御回路37に設け、後半のアンギオガントリ5のセットに関する機能をアンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66に設けてもよい。
ここで、前述した「交差モード(同時使用モード)」、「交互使用モード(准同時使用モード)」及び「使用モード」について補足的に説明する。
交差モード(同時使用モード)は、CTガントリ2とアンギオガントリ5とを交差させた状態にセットして使用するモードである。
交互使用モード(准同時使用モード)は、CTガントリ2とアンギオガントリ5とのうち、一方を撮像位置にセットし、他方を撮像位置から退避させた状態で使用し、且つ両者を迅速に交替可能なモードである。両者を迅速に交替させる際には、例えば、単一操作に応じた交替、両者の移動を並行して行う交替、退避させる方とセットする方との間を一定距離として退避操作を簡略化した交替、のように交替時間を短縮可能な交替方法のどれか1つあるいはそれらの組み合わせが用いられる。
CTガントリ2の使用モードは、通常のモードにおいて選択されるモードであり、通常のモードでアンギオガントリ5を退避させた後、CTガントリ2を使用する際に選択される。なお、通常のモードにおいては、操作者の操作により、アンギオ装置及びCT装置の各々が順次使用される。通常のモードにおいては、交差モード、交互使用モード、及び各ガントリ2,5の使用モード等とは異なり、セット機能がないため、CTガントリ2及びアンギオガントリ5の各々が自動的にはセットされない。すなわち、通常のモードにおいては、CTガントリ2及びアンギオガントリ5の各々が、順次、操作者の手動操作に応じた位置にセットされる。
アンギオガントリ5の使用モードは、通常のモードにおいて選択されるモードであり、通常のモードでCTガントリ2を退避させた後、アンギオガントリ5を使用する際に選択される。
(f6):交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5のうち、一方のガントリに対する移動指示を受けると、当該交差させた状態で両方のガントリを移動させるように制御する移動制御機能。
(f7):交差させた状態でセットさせた場合、アンギオガントリ5による画像中心は注目領域である、ようにしてもよい。これに伴う機能として、交差させた状態でセットさせた場合、アンギオガントリ5による画像中心を注目領域であるように、アンギオガントリ5又は寝台装置7を制御する機能。なお、アンギオガントリ5を移動させると、CTガントリ2と干渉するリスクが生じる。このため、画像中心を注目領域であるように制御する機能は、X線検出器53の画像読み出し領域を変更する制御であってもよい。画像読み出し領域を変更する制御の場合、アンギオガントリ5が移動しないので、上記干渉するリスクが生じない。
(f8):上記(f7)の機能において、画像中心は、アンギオガントリ5による撮像画像又はCTガントリ2によるCT画像上で指定される、ようにしてもよい。これに伴う機能として、アンギオガントリ5による撮像画像又はCTガントリ2によるCT画像上で指定された画像中心に基づいて、上記(f7)の機能を実行する機能。
(f9):上記(f8)の機能において、画像中心を中心とした正方形あるいは長方形に接するようにコリメータ52aを制御するコリメータ制御機能。なお、コリメータ52aは、X線管52と被検体Pとの間に設けられ、X線管52から照射されるX線の一部を遮蔽する遮蔽板である。
(f10):上記(f9)のコリメータ制御機能において、コリメータの開度が、所定の最大開度を超えた場合には、コリメータの開度を前記最大開度に抑制する機能。
次に、以上のように構成されたアンギオCT装置の動作について図5及び図6のフローチャート及び図7乃至図13Cの模式図を用いて説明する。
通常、アンギオ検査又はインターベンションを開始する際に、図5及び図7に示すように、天板7a上に載置された被検体Pに対し、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置にセットする。CTガントリ2は、撮像位置から離した状態にする(ステップST1)。詳しくは、アンギオガントリ5の使用モードが選択されると、アンギオ用コンソール6のシステム制御回路66は、アンギオガントリ5の使用モードに移行する。これにより、システム制御回路66は、CTガントリ2を少なくとも被検体Pの撮像位置から退避させた状態で、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が被検体Pの撮像位置を通過するように、アンギオガントリ5をセットする。
続いて、アンギオ検査又はインターベンションが開始され、アンギオガントリ5によるX線透視又は撮影が行われる(ステップST2)。
アンギオ検査又はインターベンション中にCT撮像の必要が生じた場合(ステップST3:Yes)、図8に示すように、アンギオガントリ5を撮像位置から一定距離離し、天板7a上の被検体Pを開口部2aに挿入するように、CTガントリ2を被検体Pの撮像位置にセットする(ステップST4)。詳しくは、CTガントリ2の使用モードが選択されると、システム制御回路66は、CTガントリ2の使用モードに移行する。これにより、システム制御回路66は、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置から退避させた状態で、CTガントリ2の開口部2aに天板7aを挿入するように、CTガントリ2をセットする。
しかる後、CTガントリ2によるCT撮像を行う(ステップST5)。また、引き続いてCT撮像の必要があれば(ステップST6:Yes)、ステップST5に戻る。
CT撮像が不要であれば(ステップST6:No)、アンギオ検査又はインターベンションを継続する場合、ステップST1に戻る。これは、ステップST3でCT撮像が不要な場合も同様である。
また、アンギオ検査又はインターベンションを継続しない場合、処理を終了する。
ステップST1〜ST7は、アンギオガントリ5による撮像と、CTガントリ2による撮像とを片方ずつ行う場合を示している。
次に、アンギオガントリ5による撮像と、CTガントリ2による撮像とが同時に必要な状況の動作を図6を用いて説明する。この種の状況としては、例えば、前述した完全閉塞病変がある。完全閉塞病変では、アンギオ装置のX線透視下でカテーテルやガイドワイヤーを操作しながら、術者が懸念を感じた時に直ぐにCT撮像で血管断面を確認できることが必要となる。
始めに、アンギオCT装置1は、操作者の操作により、干渉チェックモードを起動する(ステップST11)。干渉チェックモードでは、システム制御回路66は、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の各々の幾何学的な位置及びサイズを特定する。また、システム制御回路66は、当該特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の間の干渉を判定する。なお、ステップST11は、省略してもよい。
続いて、アンギオCT装置1は、前述したステップST1,ST2と同様に、ステップST12,ST13を実行する。
次に、アンギオCT装置1では、操作者の操作により、同時使用モード(交差モード)が選択された場合(ステップST14:Yes)、CTガントリ2とアンギオガントリ5とが互い違いに撮像位置にセットされる(ステップST15)。CTガントリ2のアイソセンタと、アンギオガントリ5のアイソセンタとは一致してもよく、若干ずれてもよい。詳しくは、両ガントリの同時使用モードが選択されると、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、同時使用モードに移行する。これに伴い、システム制御回路66は、図9に示すように、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線A1が、被検体Pの撮像位置及び開口部2aを通過するように、CTガントリ2とアンギオガントリ5とを交差させた状態にセットする。なお、図9に示す交差状態に代えて、図10及び図11に示す交差状態としてもよい。また、交差状態としては、後述する図12に示すように、注目領域(ROI:Region of Interest)が若干、直線A1からズレた直線A2上に位置する場合もある。
いずれにしても、ステップST15の後、CT用コンソール3内のシステム制御回路37は、架台制御回路28及び回転駆動装置30を介して、回転リング29を回転状態に駆動して待機する(ステップST16)。これにより、CTガントリ2は、何時でも撮像可能なレディ状態を保持する。但し、CT撮像の都度、回転リング29の駆動を開始してもよいので、ステップST16は省略可能である。
続いて、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、両ガントリを交差させた状態で、アンギオ撮像が必要な場面だと(ステップST17:No)、アンギオガントリ5による撮像を制御する。これにより、アンギオガントリ5によるX線透視又は撮影が行われる(ステップST18)。例えば、図示しないフットスイッチの透視あるいは撮影スイッチを踏むことでアンギオガントリ5で低線量でのX線画像を収集しながらカテーテルやガイドワイヤーが操作されたり、高線量でのX線画像を収集しながらX線造影動画像が収集される。あるいは、必要により、アンギオ用コンソール6内の画像発生回路61は、CTガントリ2により撮像したCT画像に基づいて血管構造を表すボリュームレンダリング画像を作成し、当該ボリュームレンダリング画像とアンギオガントリ5により撮像した撮像画像とを合成して3Dロードマップを作成する。なお、作成された3Dロードマップは、例えば、アンギオ用コンソール6内の表示回路64に表示される。
また、カテーテルやガイドワイヤーの位置を確認するため、CT撮像が必要な場面になると(ステップST17:Yes)、例えば、CT撮像に機能付けられたフットスイッチが踏まれる。これにより、CT用コンソール3内のシステム制御回路37は、CTガントリ2による撮像を制御する。例えば、CTガントリ2で投影データを撮像する(ステップST19)。1ボリュームを再構成する投影データの収集が完了すると、撮像は自動的にストップする。投影データの収集が完了と同時に再構成を行い、再構成完了後、直ぐにMPR画像あるいはボリュームレンダリング画像、あるいはその両方を表示する。なお、再構成回路32は、再構成されたCT画像から閾値処理によって金属部を抽出し、抽出した金属部からガイドワイヤー画像を抽出し、ガイドワイヤー画像を含むMPR画像を生成する。ここで、再構成回路32は、ガイドワイヤー画像の先端部を検出し、ガイドワイヤー画像の先端部がMPR画像の全ての画面で確認できるようにMPR画像を生成することが望ましい。ガイドワイヤー画像の抽出処理としては、例えば、抽出した金属部に対し細線化処理を施し、細線化した結果と元の金属信号との差異が最も小さい連続する金属部をガイドワイヤーと同定する方法が使用可能となっている。この方法以外にも、例えば、細線化した線を細かく分割し、分割した線分毎に進行方向に垂直な面での金属部の面積が小さいもの、隣接する線分との面積の差異が小さいもの、さらに断面の形状が円に近いものを総合的に選択することで、当該分割した線分をガイドワイヤーと同定する方法が使用可能である。表示回路35は、生成されたMPR画像を表示する。MPR画像の表示は、アキシャル/コロナル/サジタルの直交3断面であっても良いし、あるいはガイドワイヤー先端部の進行方向を1軸とし、進行方向に垂直な面の任意の直交する2軸によって構成される斜め直交3断面であっても良い。さらに直交3断面あるいは斜め直交3断面を動画表示しても良い。具体的には同定した直交3断面あるいは斜め直交3断面に対し、小範囲で動画表示することでガイドワイヤーと血管壁との関係が分かり易くなる場合が多い。
ここで、アンギオ装置に表示されるX線画像について述べる。アンギオ用コンソールの表示回路64は、X線検出器53の検出面の中心を画像中心にして、X線画像を表示する。しかしながら、アンギオガントリ5とCTガントリ2とを交差させた状態では、アンギオガントリ5のアイソセンタとCTガントリ2のアイソセンタとは一致しないことも考えられ、通常行うようなアンギオガントリ5のアイソセンタを注目領域に持って行くような自由度はない場合もある。そこでアンギオ装置での撮像画像上、あるいはCT装置での再構成画像上で注目領域を指定し、指定後には注目領域を中心とした画像撮像・表示を行う。例えばX線検出器53の検出面が12×12インチの場合、図13Aに示すように、12×12インチ領域を表示するとコリメータ52aはこの領域にフィットするようにセットされる。具体的には、注目領域ROIを中心とした正方形あるいは長方形(図示せず)に接するように、長方形の板状のコリメータ52aが配置される。しかし、図12に示すように、注目領域ROIが、X線検出器53の検出面の中心を通る直線A1よりも上にある点(直線A2上の点)と指定されると、図13Bに示すように、コリメータ52aはこの点(A2)を中心とした12×12インチ領域にフィットするように制御される。但し、この場合、X線検出器53の検出面の少なくとも上側をX線がはみ出してしまうので、上側を絞るコリメータ52aが、X線を検出面にフィットさせるような位置にセットされる。これにより、図13Bに示すように、12×12インチでの表示は上側が欠けたような表示となる。ここでは左右は画像中心として説明しているが、左右もずれている場合は、左右もどちらかが欠けたようになる。なお、コリメータ52aの所定の最大開度は、臨床で使用する最大開度である。
また、画像表示が拡大表示モードの場合、指定された注目領域を中心に画像が拡大表示される。具体的には図13cに示すように、コリメータ52aは、注目領域ROIを中心とした6×6インチ領域に、X線をフィットさせるように制御される。
いずれにしても、ステップST18、あるいはステップST19の後、カテーテルあるいはガイドワイヤーが血管内を通過し、血管の閉塞部をバルーンで拡張して血流が正常に流れているのを確認できると、操作者が同時使用モードを解除する(ステップST20:Yes)。ここで、完全閉塞病変の治療が終了し、他に症例がなければ、処理を終了する(ステップST21:Yes)。
なお、同時使用モードが解除されても、基本的には交差させた状態を維持するが、完全閉塞病変以外に他の症例がある複合症例などで、CT撮像が不要な場合には、一旦、交差した状態を解除してアンギオガントリ5だけを用いるようにしてもよい。すなわち、操作者の操作によっては、同時使用モードが解除された後、他の症例の検査又は治療のため、ステップST1と同様のステップST11に戻ってもよい(ステップST21:No)。
以上により、ステップST11〜ST21の処理が終了する。
次に、アンギオガントリ5による撮像と、CTガントリ2による撮像とを短時間で切り替える必要がある状況の動作を図14のフローチャート及び図15の模式図を用いて説明する。この種の状況としては、例えば、前述した肝動脈塞栓術がある。肝動脈塞栓術では、アンギオ装置のX線透視下でカテーテルやガイドワイヤーを操作しながら、術者がCT撮像が必要になった時に短時間でCT撮像できることが必要となる。
始めに、アンギオCT装置1は、図14に示すように、操作者の操作により、干渉チェックモードを起動する(ステップST31)。干渉チェックモードでは、システム制御回路66は、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の各々の幾何学的な位置及びサイズを特定する。また、システム制御回路66は、当該特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の間の干渉を判定する。なお、ステップST31は、省略してもよい。
続いて、アンギオCT装置1は、前述したステップST1,ST2と同様に、ステップST32,ST33を実行する。
次に、アンギオCT装置1では、操作者の操作により、准同時使用モード(交互使用モード)が選択されたとする。この場合(ステップST34:Yes)、例えば、図15に示すように、アンギオガントリ5は被検体Pの撮像位置にセットされており、CTガントリ2は被検体Pの撮像位置から一定距離離れた位置にセットされている。但しこの関係は逆であっても良い。ここではアンギオガントリ5が被検体Pの撮像位置にセットされている場合について説明する。また、一定距離の値は、手技、部位、プロトコル、プログラムのどれか一つあるいは組み合わせに応じて、適宜、変更可能である。
准同時使用モードが選択されると、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66及びCT用コンソール3内のシステム制御回路37は、准同時使用モードに移行する。この時、CTガントリ2がアンギオガントリ5から大きく離れている場合、必要によってCTガントリ2をアンギオガントリ5に近づけてもよい(ステップST35)。また、前述した通り、CTガントリ2とアンギオガントリ5との距離は、手技や部位によって変更しても良い。具体的には肝動脈塞栓術の場合、アンギオガントリ5を頭尾方向に大きく角度付けをする必要はあまりないので、CTガントリ2とアンギオガントリ5との距離は50cmと短く、冠動脈の完全閉塞症例に対する血行再建術の場合は、アンギオガントリ5を頭尾方向に大きく角度付けをする必要があるので、CTガントリ2とアンギオガントリ5との距離は100cmあるいは120cmと長くすると良い。
アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、装置入れ替えボタンが押されなければ(ステップST36:No)、アンギオガントリ5が被検体Pの撮像位置にセットされた状態で、アンギオガントリ5による撮像を制御する。これにより、アンギオガントリ5によるX線透視又は撮影が行われる(ステップST42)。例えば、図示しないフットスイッチの透視あるいは撮影スイッチを踏むことでアンギオガントリ5で低線量でのX線画像を収集しながらカテーテルやガイドワイヤーが操作されたり、高線量でのX線画像を収集しながらX線造影動画像が収集される。あるいは、必要により、アンギオ用コンソール6内の画像発生回路61は、CTガントリ2により撮像したCT画像に基づいて血管構造を表すボリュームレンダリング画像を作成し、当該ボリュームレンダリング画像とアンギオガントリ5により撮像した撮像画像とを合成して3Dロードマップを作成する。なお、作成された3Dロードマップは、例えば、アンギオ用コンソール6内の表示回路64に表示される。
次に、CT撮像が必要な場面になり、装置入れ替えボタンが押されたとする(ステップST36:Yes)。その後、装置を駆動するトリガーボタンが押されると、当該ボタンが押されている間、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置から一定距離退避させ、この退避に並行してCTガントリ2を被検体Pの撮像位置にセットする(ステップST37)。ステップST37によるセット及び退避が完了すると、トリガーボタンが解放される。しかる後、CT用コンソール3内のシステム制御回路37は、CTガントリ2による撮像を制御する。例えば、CTガントリ2で投影データを撮像する(ステップST38)。CT用コンソール3は、投影データの収集完了と同時に再構成を行い、再構成完了後、直ぐにMPR画像あるいはボリュームレンダリング画像、あるいはその両方を表示回路35に表示する。
ステップST38のCT撮像の完了後、准同時使用モードが解除されずに(ステップST39:No)、アンギオ検査又はインターベンションを再開する場面になり、装置入れ替えボタンが押されたとする(ステップST40:Yes)。その後、装置を駆動するトリガーボタンが押されると、当該トリガーボタンが押されている間、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、CTガントリ2を被検体Pの撮像位置から一定距離退避させ、この退避に並行してアンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置にセットする(ステップST41)。ステップST41によるセット及び退避が完了すると、トリガーボタンが解放される。なお、この時、システム制御回路66は、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置に移動させるだけでなく、CT撮像の前にアンギオ検査又はインターベンションを行っていた位置、角度、X線の幾何学的拡大率が同じになるようにアンギオガントリ5を制御する。また、ステップST38の完了後、准同時使用モードが解除されると(ステップST39:Yes)、ステップST44に移行する。また、ステップST40で装置入れ替えボタンが押されなければ(ステップST40:No)、ステップST38に戻る。
なお、ステップST36,ST40の装置入れ替えボタンは共通であってもよい。あるいはステップST36,ST40の装置入れ替えボタンは、ステップST36ではCTガントリ2のセットボタンを用い、ステップST40ではアンギオガントリ5のセットボタンを用いると言うように、別々に設けてもよい。前者の場合は操作が簡単になると言うメリットがあり、後者の場合は間違いが減ると言うメリットがある。あるいは入れ替えボタンの代わりにフットスイッチのボタンを押下するようにしてもよい。
具体的にはステップST36の装置入れ替えボタンの場合には、CTガントリ2をセットするためにCT撮像に機能付けられたフットスイッチを踏むようにしてもよい。この後、装置を駆動するトリガーボタンが押されると、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、アンギオガントリ5を退避させ、この退避に並行して、CTガントリ2を撮像位置にセットする。なお、ステップST36において、間違ってCT撮像に機能付けられたフットスイッチを踏んでしまった場合には、トリガーボタンを押さずに、改めてX線透視あるいは撮像に機能付けられたフットスイッチを踏んでアンギオガントリ5を用いた手技を継続すればよい。この場合、先の装置入れ替えボタンの押下はキャンセルされる。
同様にステップST40の装置入れ替えボタンの場合には、X線透視あるいは撮影に機能付けられたフットスイッチを踏むようにしてもよい。この後、装置を駆動するトリガーボタンが押されると、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、CTガントリ2を退避させ、この退避に並行して、アンギオガントリ5を撮像位置にセットする。また同様に、ステップST40において、間違ってX線透視あるいは撮影に機能付けられたフットスイッチを踏んでしまった場合には、トリガーボタンを押さずに、改めてCT撮像に機能付けられたフットスイッチを踏んでCTガントリ2を用いた手技を継続すればよい。この場合、先の装置入れ替えボタンの押下はキャンセルされる。
ステップST41の完了後、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66は、アンギオガントリ5が被検体Pの撮像位置にセットされた状態で、アンギオガントリ5による撮像を制御する。これにより、アンギオガントリ5によるX線透視又は撮影が行われる(ステップST42)。
ここで、准同時使用モードが解除されず(ステップST43:No)、装置入れ替えボタンが押されなければ(ステップST36:No)、ステップST42に戻る。
一方、准同時使用モードが解除されると(ステップST43:Yes)、肝動脈塞栓術が終了し、他に症例がなければ、処理を終了する(ステップST44:Yes)。他に症例があれば(ステップST44:No)、ステップST31に戻る。
以上により、ステップST31〜ST44の処理が終了する。
上述したように第1の実施形態によれば、両ガントリの交差モードが選択されると、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が、被検体Pの撮像位置及び開口部2aを通過するように、CTガントリ2とアンギオガントリ5とを交差させた状態にセットする。交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を制御する。
従って、両ガントリを交差させた状態で撮像を制御するため、アンギオ装置とCT装置とを交替させるためのセット時間及び退避時間を減少させることができる。
また、両ガントリの交差モードにおいて、CTガントリ2による撮像が行われると、再構成されたCT画像からガイドワイヤー画像を抽出し、ガイドワイヤー画像の先端部を含むMPR画像を生成し、当該MPR画像を表示する。これにより、例えば、完全閉塞病変の如き、時間短縮の必要性が高い状況において、血管断面でのガイドワイヤーの先端部の位置をMPR画像から迅速に確認することができる。
また、両ガントリを交差させた状態でセットさせた際に、操作者の操作に応じて、CTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を指示する撮像指示を入力するフットスイッチを用いる場合、優れた操作性を実現することができる。
また、交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5のうち、一方のガントリに対する移動指示を受けると、当該交差させた状態で両方のガントリを移動させるように制御する場合、必要により、迅速に撮像範囲を移動させることができる。
また、交差させた状態でセットさせた場合、アンギオガントリ5による画像中心を注目領域とするとき、アンギオガントリ5による撮像画像の注目領域の視認性を向上させることができる。
このとき、画像中心がアンギオガントリ5による撮像画像又はCTガントリ2による投影データの再構成画像上で指定される場合、画像中心を容易に指定することができる。
また、画像中心を中心とした正方形あるいは長方形に接するようにコリメータ52aを制御する場合、X線の照射範囲を必要最小限に絞り、不要被曝を抑制することができる。
また、コリメータの開度が所定の最大開度を超えた場合には、コリメータの開度を最大開度に抑制するので、不要被曝を阻止し、安全性を向上させることができる。
また、両ガントリを交差させた状態でセットさせた場合、回転リング29を常に回転状態に駆動するので、必要により、直ぐにCT撮像を実行することができる。
一方、通常のモードにおいてCTガントリ2の使用モードが選択されると、アンギオガントリ5を被検体Pの撮像位置から退避させた状態でCTガントリ2をセットし、アンギオガントリ5の使用モードが選択されると、CTガントリ2を少なくとも被検体Pの撮像位置から退避させた状態で、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が被検体Pの撮像位置を通過するように、アンギオガントリ5をセットする。このため、両ガントリの交差状態に代えて、CTガントリ2又はアンギオガントリ5を単独で使用することができる。両ガントリの交差状態では装置同士の干渉が容易に起こってしまい、アンギオガントリ5を適切な観察角度に回転できないことが多い。しかし、アンギオガントリ5を単独で使用できると、そのような観察角度の制限が発生しない。また、アンギオガントリ5の使用モードにおいて、CTガントリ2を完全に寝台装置7から退避させずに、被検体Pの撮像位置から退避させた状態でCTガントリ2をセットすることにより、アンギオ装置とCT装置とを交替させるためのセット時間及び退避時間を減少させることができる。
さらに、准同時使用モードにおいて、CTガントリ2からアンギオガントリ5、あるいはアンギオガントリ5からCTガントリ2の入れ替えが単一操作(1ボタンの押下)でできる。これにより通常のモードよりもさらに短い時間でアンギオ装置とCT装置とを交替することができる。
また同様に、准同時使用モードにおいて、CTガントリ2の退避とアンギオガントリ5のセットとを並行して実行できる。あるいはアンギオガントリ5の退避とCTガントリ2のセットとを並行して実行できる。これにより通常のモードよりもさらに短い時間でアンギオ装置とCT装置とを交替することができる。
また、これらの准同時使用モードにおいて、アンギオガントリ5を使用する際には当該アンギオガントリ5を撮像位置にセットし、CTガントリ2をアンギオガントリ5から一定距離離れた位置に退避させることができる。これにより、前述同様に、CTガントリ2を完全に寝台装置7から退避させずに、アンギオ装置とCT装置とを交替させるためのセット時間及び退避時間を減少させることができる。
また、この一定距離の値を、手技、部位、プロトコル、プログラムのどれか一つあるいは組み合わせに応じて変更できるので、手技や部位などに応じた適切な距離だけ、CTガントリ2をアンギオガントリ5から退避させることができる。
ここで、本実施形態では、1ボリュームを再構成する投影データの収集が完了すると、撮像が自動的にストップすると説明しているが、これに限定されない。例えばガイドワイヤーが血管のどこにあるかを確認する場合、撮像を自動的にストップし、操作者が、撮像された画像を確認することが望ましい。これに加え、ガイドワイヤーやカテーテルの操作が難しい状況であれば、3D画像のリアルタイム動画像を観察しながら、これらを操作することが適している場合がある。この場合、1ボリュームを再構成する投影データの収集が完了しても、さらに続けて4D画像を作成するための投影データの収集を連続的に行うことが望ましい。どちらの撮像方法を選択するかは例えばプログラムに情報として登録しておいても良いし、あるいはCTの撮像画面で選択できるようにしても良い。
次に、第1の実施形態の第1乃至第3変形例について述べる。
(第1変形例)
第1変形例は、CTガントリ2の省電力化を図るものである。具体的には、CT用コンソール3内のシステム制御回路37が、前述した機能に比べ、回転リング29を常に回転状態に駆動する駆動機能(f16)を省略した構成となっている。
補足すると、ステップST16では、アンギオガントリ5とCTガントリ2とを交差させた状態において、CTガントリ2内の回転リング29を回転状態に駆動して待機する場合を述べた。
しかし、これは必須ではなく、想定されるリスクによって変化させてもよい。例えば、手技のリスクが高く、常にCT画像を常に撮像できる状態にしておく必要がある場合には回転状態を保持すればよい。逆に、手技のリスクが低く、CT装置が回転を開始し、定常状態になって撮像可能になるまでの10秒程度待てる場合には、CTガントリ2内の回転リング29を静止状態で待機すればよい。また、例えばフットスイッチのモード切替えスイッチを踏んだ時点で、静止状態から回転リング29の回転を開始しても良い。なお、回転状態及び静止状態のうち、いずれの状態の待機方法を選択するかは、例えばプログラムに情報として登録しておいても良いし、あるいはCTの撮像画面で選択できるようにしても良い。
以上のような第1変形例によれば、第1の実施形態の効果に加え、CTガントリ2を静止状態で待機させるため、回転状態で待機する場合に比べ、CTガントリ2の電力消費を大幅に抑制することができる。
(第2変形例)
第2変形例は、心臓等の動きのある臓器について、視認性の向上を図るものである。具体的には、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66が、前述した機能に加え、次の機能(f4)を有する構成となっている。この第2変形例において、システム制御回路66は、更に機能(f5)を有してもよい。
(f4):(f1−1)の第1セット機能において、被検体P内で動きのある臓器が撮像対象の場合、アンギオガントリ5によるX線動画像内での当該動きが小さくなるように、交差させた状態を決定する機能。すなわち、例えば、図16Aに示すように、動きの大きい注目領域ROIが撮像される交差状態に代えて、図16Bに示すように、動きの小さい注目領域ROIが撮像される交差状態を決定する。ここで、動きのある臓器としては、例えば、心臓が適用可能となっている。また、機能(f4)としては、例えばCT画像で異なる位相で2回撮像し、その2回の撮像画像から臓器の動きの大きさを同定してもよい。また、機能(f4)としては、CT画像で注目領域を抽出し、抽出した注目領域から臓器及び血管を認識し、認識した臓器及び血管の動きのパターンを別に登録しておいた医療情報から判断し、判断結果から動きのベクトルを同定してもよい。あるいは、機能(f4)としては、動きの方向に対応する複数の交差状態を登録し、登録した交差状態の中から術者が選択しても良い。
(f5):上記(f4)の機能に伴い、第1セット機能は、(f5−1)〜(f5−4)を含んでいてもよい。
(f5−1):当該動きのベクトルを同定する第1同定機能。
(f5−2):当該同定したベクトルを仮想的にX線検出器53に投影する投影機能。
(f5−3):当該投影したベクトルの大きさを同定する第2同定機能。
(f5−4):当該同定した大きさが最も小さくなるように交差させた状態を決定する決定機能。
補足すると、第1の実施形態では、両ガントリの交差状態(パターン)を図9又は図10等に示したが、これに限らず、例えば予め幾つかの交差状態を登録しておき、その中から最適な交差状態を決定してもよい。登録される交差状態は、例えば図9、図10に示した状態に加え、アンギオガントリ5のCアーム54を所定角度毎にC方向にスライドさせた複数の交差状態などである。
ここで、最適な交差状態を決定する際に、臓器の動きが小さくなるように交差状態を決定する旨の上述した機能(f4)が用いられる。
以上のような構成によれば、被検体P内で動きのある臓器が撮像対象の場合、アンギオガントリ5によるX線動画像内での当該動きが小さくなるように、交差させた状態を決定するので、心臓等の動きのある臓器について、視認性を向上させることができる。
また、動きのベクトルを同定し、当該同定したベクトルを仮想的にX線検出器53に投影し、当該投影したベクトルの大きさを同定し、当該同定した大きさが最も小さくなるように交差させた状態を決定する。これにより、前述同様に、心臓等の動きのある臓器について、視認性を向上させることができる。
(第3変形例)
第3変形例は、両ガントリの交差状態において、アンギオガントリ5により撮像された画像からCTガントリ2の影響を排除することにより、アンギオガントリ5による撮像画像の視認性の向上を図るものである。具体的には、アンギオ用コンソール6内の画像発生回路61が、前述した機能に加え、次の機能(f11)を有する構成となっている。この第3変形例において、画像発生回路61は、更に機能(f12)〜(f14)を有してもよい。
(f11):上記(f1−2b)の撮像制御機能を実行した後、アンギオガントリ5による第1撮像画像に基づいて、当該第1撮像画像に重畳したCTガントリ2のデータ分を排除するように補正する補正機能。
(f12):上記(f11)の補正機能において、図17に示す如き、CTガントリ2の3D構造データd_CTを有し、当該3D構造データd_CTを当該第1撮像画像の幾何学的な撮像条件に基づいて投影してCTガントリ2の投影データを作成し、当該第1撮像画像から当該投影データを排除する処理により、当該補正を実行する機能。ここで、3D構造データd_CTは、CTガントリ2の開口部2aを反映した構造データである。
(f13):上記(f12)の当該排除する処理において、CTガントリ2の位置誤差範囲及び天板7aの位置誤差範囲に基づいて、撮像条件の異なる複数の投影データを作成する処理と、第1撮像画像から各々の投影データを排除して複数の補正画像を生成する処理と、当該複数の補正画像のうち、CTガントリ2の影響が最も少ない補正画像を補正結果として選択する処理とを含む、ようにしてもよい。(f13)の機能は、上記(f12)の排除する処理を、上述したように決めた場合の補正機能に相当する。
(f14):上記(f11)の補正機能において、上記(f1)の機能により、両ガントリを交差させた状態において、アンギオガントリ5とCTガントリ2との相対的な位置関係を変える毎に、被検体P及び天板7aを開口部2aから退避させてアンギオガントリ5によりCTガントリ2を撮像して第2撮像画像を作成し、当該第2撮像画像に基づいて、補正を実行する機能。
補足すると、第1の実施形態では、アンギオガントリ5による撮像画像はそのまま表示していた。しかしながら、両ガントリの交差状態によっては、また注目領域の位置によっては、アンギオガントリ5による撮像画像にCTガントリ2の一部が写る場合がある。この場合、例えばCTガントリ2の3D構造データd_CTを保持しておき、この3D構造データd_CTをあたかもアンギオ装置で撮像したかのように投影し、その投影画像を用いて補正(影響を排除)してもよい。
具体的には例えば、画像発生回路61は、アンギオ撮像画像f(x,y)とCT投影画像NULLCT(x,y)とを用いてサブ画像g(x,y)を求める。その後、アンギオ撮像のエアー画像NULLANGIO(x,y)を用いて以下のように補正画像fc(x,y)を算出する。
ここで、CT投影画像NULLCT(x,y)には、CTガントリ2、アンギオガントリ5の角度や位置の検出誤差、寝台装置7の位置検出誤差が入っている可能性がある。そこで、誤差範囲の中の画像を幾つか作成し、サブ画像を幾つか作成して、その中から境界付近で最もエッジ情報が少ないものを最適なサブ画像として選択してもよい。
あるいは、アンギオガントリ5とCTガントリ2との相対的な位置関係が変わる度に、天板7aを移動した上で被検体Pの影響の無いアンギオ撮像画像を撮像し、その撮像画像を元にCTガントリ2の影響を消去するように補正しても良い。
以上のような構成によれば、アンギオガントリ5による第1撮像画像に基づいて、当該第1撮像画像に重畳したCTガントリ2のデータ分を排除するように補正する。
従って、第1の実施形態の効果に加え、両ガントリの交差状態において、アンギオガントリ5により撮像された画像からCTガントリ2の影響を排除することにより、アンギオガントリ5による撮像画像の視認性を向上させることができる。
ここで、CTガントリ2の3D構造データd_CTを当該第1撮像画像の幾何学的な撮像条件に基づいて投影してCTガントリ2の投影データを作成し、当該第1撮像画像から当該投影データを排除する場合、補正用にCTガントリ2を撮像する手間を省略することができる。
また、当該排除する処理において、CTガントリ2の位置誤差範囲及び天板7aの位置誤差範囲に基づいて複数の補正画像を生成し、当該複数の補正画像のうち、CTガントリ2の影響が最も少ない補正画像を補正結果として選択する場合、位置誤差範囲内で影響が最も少ない補正画像を得ることができる。
また、両ガントリの相対的な位置関係を変える毎に、被検体P及び天板7aを退避させてアンギオガントリ5によりCTガントリ2を撮像して第2撮像画像を作成し、第2撮像画像に基づいて補正を実行する。これにより、相対的な位置関係の変化に応じて、補正の精度を維持することができる。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るアンギオCT装置について説明する。
第2の実施形態は、前述した交差状態を用いない場合について、アンギオ装置とCT装置との衝突の回避を図るものである。
具体的には、第1の実施形態の構成に比べ、アンギオ用コンソール6内のシステム制御回路66が、交差状態に関する各機能に代えて、以下の機能(f18−1),(f18−2)を有している。なお、システム制御回路66は、さらに各機能(f19),(f20)を有してもよい。これら各機能(f19),(f20)は、2つのシステム制御回路37,66に設けられ、システム制御回路37によるCTガントリ2及び寝台装置7の制御と、システム制御回路66によるアンギオガントリ5及び寝台装置7の制御とにそれぞれ用いられてもよい。
(f18−1):アンギオガントリ5及びCTガントリ2の各々の幾何学的な位置及びサイズを特定する特定機能。
(f18−2)。当該特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の間の干渉を判定する判定機能。
(f19):上記判定機能において、Cアーム54の一端又は他端のいずれも開口部2aに挿入されないように、CTガントリ2のアンギオガントリ側の表面位置に壁があるとして干渉を判定する機能。なお、「CTガントリ2のアンギオガントリ側の表面位置に壁があるとして」の表現は、「Cアーム54に近い側の開口部2aの開口端に壁があるとして」又は「Cアーム54に近い側に開口部2aを塞ぐ壁があるとして」等のように、適宜、言い換えてもよい。これらの場合、「壁」は、「板」又は「フタ」と言い換えてもよい。あるいは、上記(f19)の判定機能は、CTガントリ2全体を開口部2aのない壁であるとして干渉を判定してもよい。
(f20): 上記(f18−1)の特定機能により特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2のいずれにも衝突しないように、天板7aのスライド及び回転を制限する制限機能。
なお、被検体Pが載置される天板7aを有する寝台装置7と、天板7aが挿入される開口部2aを有するCTガントリ2と、一端にX線管52を有し、且つ他端にX線検出器53を有するCアーム54を備えたアンギオガントリ5とは、第1の実施形態と同様の構成である。他の構成も第1の実施形態と同様である。
従って、以上のような構成によれば、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の各々の幾何学的な位置及びサイズを特定し、当該特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2の間の干渉を判定する。このため、アンギオ装置とCT装置との衝突を回避することができる。
また、Cアーム54の一端又は他端のいずれも開口部2aに挿入されないように、CTガントリ2のアンギオガントリ側の表面位置に壁があるとして干渉を判定するので、開口部2aを有する形状で干渉を判定する場合に比べ、干渉の判定をより容易に実行することができる。
また、特定した位置及びサイズに基づいて、アンギオガントリ5及びCTガントリ2のいずれにも衝突しないように、天板7aのスライド及び回転を制限するので、天板7aのスライド及び回転による衝突を防止することができる。
以上説明した実施形態によれば、両ガントリが干渉しないように簡易な干渉判定方法を有している。従って別々のコンソールでの制御であっても、干渉を未然に防止することができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、両ガントリの交差モードが選択されると、X線管52とX線検出器53とを結ぶ直線が、被検体Pの撮像位置及び開口部2aを通過するように、CTガントリ2とアンギオガントリ5とを交差させた状態にセットする。交差させたCTガントリ2及びアンギオガントリ5による撮像を制御する。両ガントリを交差させた状態で撮像を制御するため、アンギオ装置とCT装置とを交替させるためのセット時間及び退避時間を減少させることができる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図3における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。