以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態1)
[飛行体の概略構成]
実施の形態1の飛行体10について説明する。
図1は、実施の形態の飛行体の斜め下方から見た斜視図である。図2は、実施の形態の飛行体の平面図である。図3は、図2におけるIII−III断面を示す飛行体の断面図である。図4は、図2におけるIV−IV断面を示す飛行体の断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態の飛行体10は、緩衝体としてのバルーン20と、4つのロータユニット30と、固定部材50とを備えている。また、飛行体10はさらに、バルーン20の第1緩衝体20aの上部に配置され、所定のタイミングで、バルーン20に封入された第1ガスを排出する排出部26を備えている。
また、図3及び図4に示すように、飛行体10には、制御器41、バッテリ42、プロジェクタ43、及びカメラ44が、搭載機器として設けられている。更に、飛行体10には、発光体46(照明機器)が設けられている。
[バルーン]
次にバルーン20について説明する。
図5は、実施の形態のバルーンの平面図である。図6は、図5におけるVI−VI断面を示すバルーンの断面図である。
図3、図4及び図6に示すように、バルーン20は、柔軟なシート状の材料(例えば、塩化ビニル)によって構成され、このシート状材料によって囲まれた閉空間であるガス空間21を有する。図3、図4及び図6では、バルーン20を構成するシート状材料の断面を太線で示している。バルーン20の外側面を構成するシート状材料は、光を透過させる半透明の白色である。
ガス空間21は、飛行体10の上部に配置される第1ガス空間21aと、飛行体10の下部に配置される第2ガス空間21bとを有する。つまり、バルーン20は、第1ガス空間21aを形成している第1気室としての第1緩衝体20aと、第2ガス空間21bを形成している第2気室としての第2緩衝体20bとを含む。第1緩衝体20aと、第2緩衝体20bとは、互いに異なる緩衝体であり、第1緩衝体20aが形成している第1ガス空間21aと第2緩衝体20bが形成している第2ガス空間21bとは互いに独立しており、非連通な空間である。具体的には、第1ガス空間21aと、第2ガス空間21bとの間には、第1ガス空間21aと第2ガス空間21bとを分離する隔壁27が配置されている。隔壁27は、バルーン20と同様のシート状の材料によって形成されている。
シート状の材料によって形成されたガス空間21の第1ガス空間21aには、空気よりも密度の小さい第1ガスが封入されており、第2ガス空間21bには、第1ガスよりも密度の大きい第2ガスが封入されている。本実施の形態では、例えば、第1ガスはヘリウムガスであり、第2ガスは空気である。
図5に示すように、バルーン20は、上下方向(図5における紙面に垂直な方向)に延びる直線を対称軸とした回転対称性を有する形状に形成されている。この対称軸が、バルーン20の中心軸Pとなる。図5に示すバルーン20の形状は、90°回転対称性を有している。つまり、バルーン20は、中心軸Pまわりに90°回転する毎に、回転する前と同じ形状となる。
図6に示すように、バルーン20は、上下に扁平な形状である。また、バルーン20は、側方から見て流線形状である。バルーン20の高さは、バルーン20の中心部から周縁部へ向かって次第に低くなる。具体的に、バルーン20は、図6に示すバルーン20の中心軸Pを通る断面の形状が、長軸が水平方向となって短軸が鉛直方向となる楕円形状である。つまり、このバルーン20の断面の形状は、実質的に上下対称である。なお、このバルーン20の断面形状は、厳密な楕円である必要はなく、一見して楕円形と認識できる形状であればよい。
バルーン20には、ロータユニット30と同数(本実施の形態では4つ)の通気孔22が形成されている。図6に示すように、各通気孔22は、断面が概ね円形の通路であって、バルーン20を上下方向へ貫通している。各通気孔22の中心軸Qは、バルーン20の中心軸Pと実質的に平行である。通気孔22は、第1緩衝体20a及び第2緩衝体20bにまたがって形成されている。
また、図6に示すように、各通気孔22の中心軸Qは、バルーン20の中心軸Pと周縁の中間位置よりも、バルーン20の周縁側に配置される。具体的には、バルーン20の中心軸Pから通気孔22の中心軸Qまでの距離Sが、バルーン20の中心軸Pからバルーン20の周縁までの距離Rの半分よりも長い(S>R/2)。このように、ロータユニット30は、バルーン20の周縁寄りの部分に配置される。このようにロータユニット30を配置するのは、ロータユニット30同士の間隔を十分に確保し、飛行体10の飛行を安定させるためである。
通気孔22は、上下方向の中央部において、その断面積(中心軸Qと直交する断面の面積)が最も小さい。また、通気孔22は、上下方向の中央部から上端部へ向かって次第に断面積が拡大し、且つ上下方向の中央部から下端部へ向かって次第に断面積が拡大する形状を有する。つまり、通気孔22の形状は、高さ方向の中央部が括れた柱状である。また、上述したように、バルーン20は、バルーン20の中心部から周縁部へ向かって高さが次第に低くなる形状を有する。このため、各通気孔22は、バルーン20の周縁部寄りの高さhが、バルーン20の中心部寄りの高さHよりも低い。
図5に示すように、4つの通気孔22は、バルーン20の中心軸Pまわりに90°間隔で配置されている。また、バルーン20の中心軸Pから各通気孔22の中心軸Qまでの距離は、一定である。つまり、各通気孔22の中心軸Qは、バルーン20の中心軸Pを中心とする1つのピッチ円PCと実質的に直交する。
図5に示すように、バルーン20の上面視における周縁は、通気孔22と同数ずつ(本実施の形態では4つずつ)の基準曲線部23と小曲率半径部24とによって構成されている。バルーン20の上面視における周縁では、基準曲線部23と小曲率半径部24とが交互に配置されている。小曲率半径部24は、各通気孔22の外側(即ち、バルーン20の中心軸Pとは反対側)に1つずつ配置されている。基準曲線部23は、隣り合う2つの小曲率半径部24の間に配置されている。
基準曲線部23と小曲率半径部24とは、共に湾曲した曲線状に形成されている。各小曲率半径部24の長さ方向(周方向)の中点は、その小曲率半径部24に最も近い通気孔22の中心軸Qとバルーン20の中心軸Pの両方と直交する直線Lの上に位置している。
小曲率半径部24の曲率半径は、基準曲線部23の曲率半径よりも小さい。ただし、基準曲線部23の曲率半径は、基準曲線部23の全長に亘って一定である必要は無い。また、小曲率半径部24の曲率半径は、小曲率半径部24の全長に亘って一定である必要は無い。基準曲線部23及び小曲率半径部24の曲率半径が一定でない場合は、小曲率半径部24の曲率半径の最大値が、基準曲線部23の曲率半径の最小値よりも小さければよい。
図6に示すように、バルーン20は、筒状の連結部材25を備えている。この連結部材25は、透明なシート状の材料で構成されており、上端部と下端部の直径が若干拡大した円筒状(あるいは円管状)に形成されている。連結部材25は、その中心軸がバルーン20の中心軸Pと実質的に一致する姿勢で配置されている。この連結部材25は、バルーン20の内部において、その上端がバルーン20の上部に接合され、その下端がバルーン20の下部に接合されている。
筒状の連結部材25は、その上端面が塞がれる一方、その下端面が開口している。このため、連結部材25の内部空間は、バルーン20の外部空間と連通している。連結部材25の内部空間には空気が存在し、この内部空間の圧力は大気圧と実質的に等しい。
上述したように、バルーン20は、上下方向に延びる中心軸Pを対称軸とした回転対称性を有する形状に形成されている。また、バルーン20の第1ガス空間21aに充填されたヘリウム等の第1ガスは、第1ガス空間21aの全体に均一に存在する。同様に、バルーン20の第2ガス空間21bに充填された空気等の第2ガスは、第2ガス空間21bの全体に均一に存在する。このため、バルーン20に充填された第1ガスによって得られる浮力の作用点(浮力中心)は、実質的にバルーン20の中心軸P上に位置する。
また、飛行体10は、図2、図4及び図5に示すように、バルーン20の第1緩衝体20aの上部に配置され、所定のタイミング(例えば制御器41から排出指令を受けたとき)において、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出する排出部26を備える。排出部26は、第1ガス空間21aと外部の空間とを連通する状態に切り替える弁を有する。弁は、例えば、電磁弁である。つまり、排出部26は、所定のタイミングで弁を連通する状態に切り替えることで、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを外部の空間に排出する。
バルーン20は、複数の通気孔22を連通する複数の連通部28を有する。複数の連通部28は、具体的には、バルーン20の上面視における中央に配置される連結部材25の内方の空間と複数の通気孔22のそれぞれとを連通する。複数の連通部28の内方には、それぞれ固定部材50の一部が配置されている。つまり、複数の連通部28は、固定部材50の一部が配置されるための空間を形成している。
また、バルーン20は、連結部材25の下端が開口となっており、カメラ44を含む搭載機器を収納可能な大きさの凹部29を有する。
また、バルーン20の複数の通気孔22のそれぞれの上端部及び下端部には、通気孔22の上部及び下部に物体が接触しても当該通気孔22内に設けられたロータユニット30への接触を抑制するための保護ネット62、63がそれぞれ設けられている。
本実施の形態では、バルーン20の内容積(即ち、ガス空間21の容積)は、バルーン20に充填されたガスによって得られる浮力の大きさが、飛行体10の総重量よりも若干大きくなるように設定されている。このため、上空で複数のロータユニット30の全てが停止した場合であっても、飛行体10は、上昇する。
[ロータユニット]
次に、ロータユニット30について説明する。
図2及び図3に示すように、ロータユニット30は、プロペラ32と、モータ33とを備えている。
モータ33は、後述する固定部材50の複数のアーム部52のそれぞれに取付けられている。プロペラ32は、モータ33の出力軸に取付けられている。なお、ロータユニット30は、同一の回転軸において互いに逆回転する2枚のプロペラ32を有してもよい。つまり、ロータユニット30は、二重反転プロペラを有してもよい。
ロータユニット30は、各通気孔22に1つずつ配置されている。このロータユニット30は、プロペラ32の回転軸が実質的に鉛直方向となる姿勢で設置されている。プロペラ32の回転軸は、通気孔22の中心軸Qと実質的に一致している。ロータユニット30は、通気孔22の上下方向の中央部に配置されている。つまり、図3に示すように、ロータユニット30は、バルーン20の上下方向の中央面Mとオーバーラップするように配置される。この中央面Mは、バルーン20の上下方向の中央に位置して、バルーン20の中心軸Pと直交する平面である。ロータユニット30の外径は、通気孔22の上下方向の中央部の内径と概ね等しい。
ロータユニット30は、通気孔22の内部にロータユニット30の全高さが収まるように配置されている。つまり、複数のロータユニット30のそれぞれは、上下方向の高さに亘って、当該ロータユニット30の側方がバルーン20によって覆われている。特に、複数のロータユニット30のそれぞれは、上下方向の高さに亘って、当該ロータユニット30の側方がバルーン20の第2緩衝体20bによって覆われている。なお、上下方向とは、飛行体10が傾いていない水平な姿勢における上下方向である。つまり、上下方向は、ロータユニット30の回転軸方向に略平行である。
通気孔22は、ロータユニット30の上下方向の中心の位置から、上下方向のそれぞれにおいて、ロータユニット30の半径以上の高さを有することがより好ましい。これにより、ロータユニット30に対して衝撃が加えられたり、ロータユニット30が故障したりすることで、ロータユニット30のプロペラ32の回転軸が飛行体10に対して90度回転した状態となったとしても、ロータユニット30が通気孔22の外に飛び出すことを低減できる。よって、バルーン20は、ロータユニット30の側方を、ロータユニット30が物体に接触し難い程度に覆うことができる。
[搭載機器、発光体など]
上述したように、飛行体10には、制御器41、バッテリ42、プロジェクタ43、及びカメラ44が、搭載機器として設けられている。また、飛行体10には、発光体46が設けられている。
図3に示すように、飛行体10には、円板部材40が設けられている。この円板部材40は、連結部材25の下端と直径が概ね等しい円板状の部材であって、連結部材25の下端面を塞ぐように設置されている。円板部材40は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はABS樹脂等の樹脂材料により構成されていてもよいし、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属により構成されていてもよい。
撮影用のカメラ44は、ジンバル45を介して円板部材40の下面に取付けられている。カメラ44は、上空からの映像を撮影するためのものであって、斜め下方を向く姿勢で設置されている。カメラ44は、図3及び図4に示すように、バルーン20から所定の方向としての下方に突出して配置されている。ジンバル45は、飛行体10の姿勢が変化してもカメラ44の向きを一定に保つための部材である。
制御器41、バッテリ42、及びプロジェクタ43は、円板部材40の上に設置されている。制御器41は、複数のロータユニット30の動作を制御する装置である。本実施の形態では、制御器41は、操作者が操作している操作端末としての無線操作装置から発信された指示信号を受信する受信機41aを有する。制御器41は、受信機41aが受信した指示信号に基づいて、ロータユニット30、カメラ44、プロジェクタ43、及びLEDの制御を行う。また、制御器41は、カメラ44が撮影した映像の送信等も行う。
なお、上記機能を有する制御器41は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、通信インタフェース、及び、I/Oポート等を備えるコンピュータによって実現される。
バッテリ42は、ロータユニット30、制御器41、プロジェクタ43、及び発光体46へ電力を供給する。プロジェクタ43は、半透明の材料からなるバルーン20の内面に映像を投影する。
発光体46は、長尺状のフレキシブルプリント基板と、当該フレキシブルプリント基板に長手方向に並んで実装された多数の発光素子(例えばLED素子)とによって構成されているテープLEDである。
また、飛行体10は、プロジェクタ43、カメラ44及び発光体46のいずれか1つのみを備えてもよく、また、これらの全てを備えていなくてもよい。また、スピーカ、またはディスプレイパネルなど、他の種類の機器が飛行体10に備えられてもよい。つまり飛行体10は、ロータユニット30等の、基本的な飛行機能を実現するための機器を備えていればよく、プロジェクタ43またはカメラ44等の、実質的には飛行に関与しない機器については、例えばユーザの要望に応じて適宜備えられればよい。
[固定部材]
固定部材50は、複数のロータユニット30を、上面視における所定の位置、かつ、複数のロータユニット30の回転軸が上下方向に略平行になる姿勢で固定する部材である。固定部材50は、具体的には、本体部51と、4本のアーム部52と、2本の保持部材54とを有する。
本体部51は、連結部材25の内方の空間に設けられ、上部に底が形成された有底円筒形状の部材である。つまり本体部51は、内方に空間を有する。
4本のアーム部52は、本体部51の側面に固定されており、本体部51の側面から互いに異なる4つの方向に向かって延びる筒状部材である。ここで、異なる4つの方向とは、連結部材25の内方の空間から複数の通気孔22に向かう方向と同じ方向である。4本のアーム部52は、それぞれ、複数の連通部28の内方に配置されている。
4本のアーム部52は、それぞれ4つのロータユニット30の回転軸が上下方向に略平行な姿勢で、4つのロータユニット30を固定する先端部52aを有する。具体的には、先端部52aには、ロータユニット30のモータ33の下部が固定されている。
2本の保持部材54は、本体部51の下部に固定されており、本体部51の下方に垂れ下がるように延びており、2本の保持部材54の下端において搭載機器が支持されている円板部材40を保持している。
なお、本体部51には、4本のアーム部52が固定されている部分に内方の空間と連通する貫通孔が設けられており、本体部51の内方の空間と、4本のアーム部52の内方の空間とは、互いに連通している。4本のアーム部52の内方の空間には、バッテリ42からの電力を複数のロータユニット30に供給するための電気配線(図示せず)が収納されている。つまり、4本のアーム部52は、電気配線を収納するための配管としても機能する。
なお、固定部材50は、複数の連通部28において複数のアーム部52が第2ガス空間21Bからの圧力を受けることにより、バルーン20に支持される構成であってもよいし、本体部51が連結部材25の所定の位置で固定されている構成であってもよい。つまり、固定部材50は、バルーン20に対して所定の位置で固定されていれば、どのような方式で固定されていてもよい。
また、円板部材40は、搭載機器の他に、重りを収容する収容部55を支持している。つまり、飛行体10は、収容部55を備える。収容部55は、箱状の形状を有しており、金属製(例えば鉛、銅、合金など)の重りを収容することができる空間を有している。なお、重りは金属製に限らずに、非金属製の重り(砂など)であってもよい。重りは、所定の重量単位(例えば、1〜10gなど)で飛行体10の総重量を調整ができるようなものである。
バルーン20は、伸縮性がある素材で構成されるため、ガス空間21に充填されるガスの量(つまりガス空間21の容積)の設定が難しい。このため、バルーン20のガス空間21にガスを充填するまで、ガスによって得られる浮力の大きさを誤差なく推測することは困難である。
よって、収容部55を設けることにより、バルーン20のガス空間21にガスを充填した後に、収容部55に重りを追加したり、収容部55から重りを取り除いたりすることで飛行体10の総重量を調整することができる。これにより、実施の形態1で述べたように、バルーン20に充填されたガスによって得られる浮力の大きさが飛行体10の総重量よりも若干大きくなるように、飛行体10の総重量を調整することが容易にできる。なお、バルーン20は、充填されたガスによって得られる浮力の大きさが、バルーン20のガス空間21の容積のばらつきがあったとしても、飛行体10の重りが収容部55に収容されていない状態の総重量よりも常に大きくなるように設定されている。
また、4本のアーム部52には、それぞれ、複数の電圧調整部53が設けられている。複数の電圧調整部53のそれぞれは、対応するアーム部52に配置されたロータユニット30が有するモータ33を駆動させる電力の電圧を調整するアンプである。複数の電圧調整部53は、それぞれ、複数の通気孔22の中に配置されている。
[飛行体の飛行姿勢]
上述したように、飛行体10では、制御器41及びバッテリ42等の搭載機器が、連結部材25の内部空間の下端部に配置されている。つまり、比較的重量の大きな搭載機器が、飛行体10の下部に集中して設置されている。その結果、飛行体10全体の重心は、バルーン20に充填されたガスによって得られる浮力の作用点よりも下方に位置する。このため、ロータユニット30が停止した状態でも、飛行体10は、横転または上下反転等することなく、カメラ44が下方を向いた姿勢に維持される。
また、比較的重量の大きな搭載機器は、ロータユニット30よりも下方に配置されている。その結果、飛行体10全体の重心は、ロータユニット30の動作によって得られる浮力の作用点よりも下方に位置する。このため、ロータユニット30の作動中においても、飛行体10は、カメラ44が下方を向いた姿勢に維持される。
飛行体10は、複数のロータユニット30を備えている。このため、飛行体10を概ね水平方向へ移動させる場合は、移動方向とは反対側に位置するロータユニット30の回転速度を、移動方向に位置するロータユニット30の回転速度よりも高くすることによって、水平方向への推進力を高めることができる。
なお、「ロータユニット30の回転速度」とは、ロータユニット30が有するプロペラ32の回転速度(単位時間当たりのプロペラ32の回転数)のことを意味する。
[飛行体の動作制御例]
本実施の形態の飛行体10では、所定のタイミングで、排出部26の制御を行うことで、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出するガス排出制御を行う。
次に、飛行体10のガス排出制御について、図7〜図9を用いて、説明する。
図7は、実施の形態1の飛行体10の構成を示すブロック図である。なお、図7では、バッテリ42及びカメラ44等の他の要素の図示は省略されている。図8Aは、実施の形態1の飛行体10におけるガス排出制御の流れの一例を示すフロー図である。図8Bは、実施の形態1の飛行体10におけるガス排出制御の流れの他の一例を示すフロー図である。図9は、実施の形態1の飛行体10において、ガス排出制御が行われた時の飛行体10の様子を説明するための図である。なお、図9は、図4と同様の断面を示す図である。
飛行体10は、図7に示すように、複数(本実施の形態では4つ)のロータユニット30と、制御器41と、排出部26と、検出部80とを備えている。複数のロータユニット30は、飛行体10の飛行のための推力を発生する。
制御器41は、複数のロータユニット30それぞれのプロペラ32の回転を制御する。制御器41は、無線操作装置から発信された指示信号を受信する受信機41aを有する。制御器41は、無線操作装置から発信された飛行指示信号に応じて複数のロータユニット30それぞれのプロペラの回転を制御する。また、受信機41aは、上記の指示信号とは異なる信号も受信してもよい。
検出部80は、飛行体10の異常を検出し、検出した結果を示す異常信号を制御器41に送信する。
具体的には、検出部80は、バッテリ42の状態を監視し、例えば、バッテリ42に充電されている電力が空の状態又は空の状態に近づいている状態を飛行体10の異常として検出してもよい。なお、バッテリ42に充填されている電力が空の状態に近づいている状態とは、バッテリ42を満充電した状態を100%の充電容量としたとき、例えば10%以下の充電容量となった状態である。
また、検出部80は、受信機41aが飛行体10を下降させる指示信号を受信しても、飛行体10が下降しない状態であることを飛行体10の異常として検出してもよい。具体的には、検出部80は、ロータユニット30の動作状態を監視し、受信機41aが飛行体10を下降させる指示信号を受信しても、飛行体10を下降させる推力が生じるようにロータユニット30を回転させていない状態であることを飛行体10の異常として検出してもよい。また、検出部80は、飛行体10の高度を検出し、受信機41aが飛行体10を下降させる指示信号を受信しても、飛行体10の高度が低下しない状態であることを飛行体10の異常として検出してもよい。
制御器41は、無線操作装置から発信された排出指示信号に応じて排出部26に排出指令を送る。
なお、図7には図示されていないが、飛行体10は、上述のように、緩衝体としての機能を有するバルーン20を備えている。
上記構成を有する飛行体10では、例えば、図8Aに示す情報処理及び動作がガス排出制御として実行されてもよい。つまり、検出部80は、飛行体10の異常を検出する(S11)。制御器41は、排出部26を連通する状態に切り替えることで、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを外部の空間に排出する(S12)。つまり、図8Aに示すガス排出制御では、排出部26は、検出部80が異常を検出したときを所定のタイミングとして、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出させる。
また、上記構成を有する飛行体10では、例えば、図8Bに示す情報処理及び動作がガス排出制御として実行されてもよい。つまり、受信機41aは、無線操作装置から発信された排出指示信号を受信する(S11a)。制御器41は、排出部26を連通する状態に切り替えることで、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを外部の空間に排出する(S12)。つまり、図8Bに示すガス排出制御では、排出部26は、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出させることを示す排出指示信号を受信機41aが受信した時を所定のタイミングとして、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出させる。
図8A及び図8Bで説明したガス排出制御が行われることにより、図9に示すように、排出部26が有する弁は第1ガス空間21aと外部の空間とを連通する状態になる。これにより、第1ガス空間21aに封入されている第1ガスは、外部の空間に排出される。排出された第1ガスは空気よりも密度の小さい気体であるため、飛行体10は、第1ガスの排出が進むにつれて徐々に比重が重くなり、第1ガス空間21aに充填されたガスによって得られる浮力の大きさが、飛行体10の総重量よりも小さくなる。そして、飛行体10は、下降を始める。
[実施の形態1の効果等]
本実施の形態における飛行体10は、プロペラ32、及び、プロペラ32を駆動するモータ33をそれぞれが有する複数のロータユニット30と、空気よりも密度が小さい第1ガスが封入されている第1ガス空間21aを形成している第1緩衝体20aと、第1緩衝体20aとは異なる第2緩衝体20bとを含むバルーン20と、第1緩衝体20aに配置され、所定のタイミングで第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出する排出部26と、を備える。
この構成によれば、所定のタイミングで、排出部26から空気よりも密度が小さい第1ガスを排出することができるため、例えば、飛行体10が飛行中に制御不能な状態に陥ったときに、速やかに飛行体10を下降させることができる。また、第1ガスを排出しても、第2緩衝体20bを残したままにできるため、飛行体10が下降しているときであっても、複数のロータユニット30や飛行体10のカメラ44などの搭載機器が地上の物体又は地上に下降するまでの間に浮遊している物体に直接接触することを抑制することができる。したがって、第1ガスを排出することにより飛行体10を地上に降ろした場合であっても、複数のロータユニット30や飛行体10の搭載機器又は物体が損傷することを防ぐことができる。
また、本実施の形態において、第2緩衝体20bは、少なくとも、飛行体10の下部に配置されている。従って、第1ガスを排出することにより飛行体10を下降させた場合であっても、飛行体10の下部に配置されている第2緩衝体20bを残したままにできる。このため、飛行体10が下降しているときであっても、複数のロータユニットや飛行体のその他の搭載機器が物体に直接接触することを効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態において、第2緩衝体20bは、複数のロータユニット30の上下方向の高さに亘って、複数のロータユニット30の側方を覆っている。従って、第1ガスを排出することにより飛行体10を下降させた場合であっても、複数のロータユニット30の上下方向の高さに亘って、当該複数のロータユニット30の側方を覆う第2緩衝体20bを残したままにできる。このため、飛行体10が下降しているときであっても、複数のロータユニット30が物体に直接接触することを効果的に抑制することができる。
また、本実施の形態において、第2緩衝体20bは、第1ガスよりも密度の大きい第2ガスが封入される第2ガス空間21bを形成している。このため、第2緩衝体20bを簡単な構成で実現することができる。
また、本実施の形態において、第1緩衝体20aは、飛行体10の上部に配置されている。このため、第1緩衝体20aが形成している第1ガス空間21aに封入されている、空気よりも密度が小さい第1ガスを効率よく排出することができる。また、飛行体10の重心を飛行体10の下部にすることができ、飛行体10が上下反転することを抑制することができる。
また、本実施の形態において、排出部26は、第1ガス空間と外部の空間とを連通する状態に切り替える弁を有する。また、排出部26は、所定のタイミングで弁を連通する状態に切り替えることで、第1ガス空間に封入された第1ガスを外部の空間に排出する。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいて排出部26から第1ガスを排出させる構成を実現できる。
また、本実施の形態において、排出部26は、連通または非連通を自在に切り替え可能な電磁弁により構成されている。このため、第1ガスを排出させるガス排出制御を行った後であっても、飛行体10の第1緩衝体20aに第1ガスを封入すれば飛行体10を再利用できる。
また、本実施の形態において、飛行体10はさらに、信号を受信する受信機41aを備え、所定のタイミングは、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出させることを示す排出指示信号を受信機41aが受信した時であり、排出部26は、排出指示信号を受信機41aが受信した時に、第1ガス空間に封入された第1ガスを排出させる。このため、例えば操作者が操作端末を用いて排出指示信号を発信することで、排出部26から第1ガスを排出させることができる。これにより、操作者は、所望のタイミングで、排出部26から第1ガスを排出させることで、飛行体10を速やかに下降させることができる。
また、本実施の形態において、飛行体10はさらに、飛行体の異常を検出する検出部80を備え、所定のタイミングは、検出部が異常を検出した時であり、排出部26は、検出部80が異常を検出した時に、第1ガス空間21aに封入された第1ガスを排出させる。このため、飛行体10の異常時に排出部から第1ガスを排出させることができる。これにより、飛行体10は、異常時に自動的に下降することができる。
また、本実施の形態において、飛行体10はさらに、操作者が操作している操作端末が発信した指示信号を受信する受信機41aを備え、検出部80は、受信機41aが飛行体10を下降させる指示信号を受信しても、飛行体10が下降しない状態であることを異常として検出する。このため、飛行体10を下降させることができない異常時に排出部26から第1ガスを排出させることができる。これにより、飛行体10は、操作者が操作しても飛行体10を下降させることができない異常時に、自動的に下降することができる。
また、本実施の形態において、バルーン20は、上下に扁平である。
このため、飛行中の飛行体10がバルーン20の対称軸(中心軸P)に対して傾きにくくなり、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、ロータユニット30と、ロータユニット30が設けられた通気孔22とは、バルーン20の周縁寄りの部分に配置されている。
このため、飛行体10では、複数のロータユニット30の間隔を確保することができる。従って、本実施の形態によれば、複数のロータユニット30の間隔を確保することによって、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、バルーン20は、中心部から周縁部へ向かうに従ってバルーン20の高さが次第に低くなっている。
このため、バルーン20は、側方から見た形状が流線形状となる。従って、本実施の形態によれば、飛行体10が飛行中に受ける空気抵抗を抑えることができる。更に、バルーン20の上下方向に延びる中心軸まわりに複数の通気孔22が互いに所定の角度間隔で配置されている場合は、バルーン20の比較的高さの低い位置に通気孔22が形成されるため、通気孔22の長さを比較的短く抑えることができる。通気孔22の長さが短くなるほど、通気孔22を通過する際の空気の圧力損失は小さくなる。従って、この場合には、通気孔22を通過する空気の流量を充分に確保することができ、その結果、ロータユニット30によって得られる推進力を充分に確保することができる。
また、本実施の形態において、バルーン20の中心部には、一端がバルーン20の上部に接合され、他端がバルーン20の下部に接合される連結部材25が設けられる。
つまり、バルーン20の中心部において、バルーン20の上部と下部とが連結部材25を介して連結される。このため、バルーン20を所望の形状、例えば、扁平形状に維持しやすくなる。バルーン20の形状が安定すると、バルーン20に形成された通気孔22の形状も安定し、実際の通気孔22の形状を設計時に想定した形状に近づけることが容易にできる。このため、通気孔22を通過する空気の流量を充分に確保することができ、その結果、ロータユニット30によって得られる推進力を充分に確保することができる。また、バルーン20に形成された通気孔22の形状を安定させることによって、各通気孔22の形状を実質的に一致させ易くなる。このため、各通気孔22を通過する空気の流量の均一化が図られ、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、連結部材25は、筒状に形成されている。
このため、バルーン20の上部と下部とは、それぞれの中心部の領域(即ち、バルーン20の中心軸Pを囲う領域)が、当該中心部の領域の全周に亘って筒状の連結部材25を介して連結される。従って、本実施の形態によれば、バルーン20を、所望の形状に維持することが一層容易にできる。
また、本実施の形態において、連結部材25は、その内部空間がバルーン20の外部と連通している。
このため、連結部材25の内部空間には、ヘリウムガス等の浮力を生じさせるためのガスではなく、空気が存在する。
また、本実施の形態において、通気孔22は、上下方向の中央部から上端部へ向かうに従い次第に断面積が拡大し、且つ上下方向の中央部から下端部へ向かうに従い次第に断面積が拡大する形状とである。
通気孔22をこのような形状に形成すると、空気が通気孔22へ流入する際の圧力損失と、空気が通気孔22から流出する際の圧力損失とを低く抑えることができる。このため、ロータユニット30による風量が小さくても、通気孔22を通過する空気の流量を充分に確保することができ、その結果、ロータユニット30によって得られる推進力を充分に確保することができる。よって、同じ推進力をえるためにロータユニット30により消費されるエネルギーを低減することができる。
また、本実施の形態において、バルーン20は、中心部から周縁部へ向かうに従い高さが次第に低くなる形状であり、通気孔22は、バルーン20の周縁部寄りの高さhが、バルーン20の中心部寄りの高さHよりも低い。
このため、バルーン20の各通気孔22では、バルーン20の周縁部寄りの方向から通気孔22へ向かって空気が流入すると共に、通気孔22からバルーン20の周縁部寄りの方向へ空気が吹き出される。その結果、各通気孔22へ流入する空気の流れが互いに干渉しにくくすることができ、かつ、各通気孔22から流出した空気の流れが互いに干渉しにくくすることができる。従って、本実施の形態によれば、各通気孔22へ出入りする空気流が干渉することによる乱流の発生を抑えることができ、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、ロータユニット30は、通気孔22の上下方向の中央部に配置される。即ち、ロータユニット30は、バルーン20の上下方向の中央面とオーバーラップするように配置される。
このため、通気孔22の上端からロータユニット30へ向かう気流と、ロータユニット30から通気孔22の下端へ向かう気流とのそれぞれを安定させることができ、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、通気孔22は、バルーン20の上下方向に延びる中心軸Pまわりに互いに所定の角度間隔で配置されている。
このように、バルーン20の中心軸Pまわりに所定の角度間隔をおいて配置された複数のロータユニット30が下方へ空気を吹き出すため、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、バルーン20は、上下方向に延びる直線を対称軸とした回転対称性を有する形状に形成されている。
このため、バルーン20に充填されたガスによって得られる浮力の作用点を、バルーン20の対称軸(即ち、中心軸P)上に位置させることができる。このため、飛行中における飛行体10の傾き(バルーン20の中心軸Pの上下(鉛直)方向に対する傾き)を抑えることができ、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることが可能となる。
また、本実施の形態において、バルーン20の上面視における周縁は、通気孔22と同数ずつの基準曲線部23と基準曲線部23よりも曲率半径の小さい小曲率半径部24とが交互に配置された形状を有し、小曲率半径部24は、各通気孔22の外側に1つずつ配置されている。
ここで、バルーン20の上面視における周縁部では、通気孔22に近い領域に作用する張力が、通気孔22から離れた領域に作用する張力よりも小さくなる傾向がある。これは、バルーン20のうち通気孔22の壁面を構成する部分に張力が作用するからだと推測される。バルーン20に作用する張力が局部的に小さくなると、作用する張力の小さい部分に皺が形成され易くなる。
これに対し、本実施の形態では、バルーン20の上面視における周縁を、通気孔22に近い領域の曲率半径が通気孔22から離れた領域の曲率半径よりも小さくなる形状としている。このため、バルーン20の上面視における周縁部において、通気孔22に近い領域に作用する張力と通気孔22から離れた領域に作用する張力との差を縮小できる。従って、本実施の形態によれば、バルーン20の皺を未然に防ぐことができ、バルーン20の美観を保つことが可能となる。
また、本実施の形態において、連結部材25の内部空間には、ロータユニット30を制御する制御器41とロータユニット30へ電力を供給するバッテリ42とを少なくとも含む搭載機器が収容される。
連結部材25の内部空間は、バルーン20の外部空間と連通している。このため、ヘリウムガス等の浮力を生じさせるためのガスをバルーン20から排出することなく、連結部材25の内部空間に配置されたバッテリ42の交換等の保守作業を行うことができる。
また、本実施の形態において、搭載機器は、連結部材25の内部空間の下端部に配置されている。
このため、飛行体10の重心の位置を低くすることが可能となり、その結果、飛行体10の飛行状態を安定させることができる。
また、本実施の形態において、連結部材25は、透明であり、連結部材25の内部空間に発光体46が収容される。
本実施の形態において、発光体46が発した光は、透明な連結部材25を透過して連結部材25の外部へ放出される。このため、バルーン20の表皮を例えば半透明にしておけば、発光体46が発する光がバルーン20の内側面に当たるため、バルーン20全体の色を発光体46が発する光の色に変化させることができる。従って、本実施の形態によれば、飛行中にバルーン20の色を変化させる等の演出効果を得ることが容易にできる。
[実施の形態1の変形例]
[変形例1]
上記実施の形態1に係る飛行体10では、排出部26は、弁により構成されるとしたが、これに限らない。例えば、図10に示すように、排出部26の代わりに、第1緩衝体20Aaの所定の部分に開口を形成する開口形成部26Aaを用いた構成のバルーン20Aを採用した飛行体10Aとしてもよい。図10は、実施の形態1の変形例1の飛行体10Aにおいて、ガス排出制御が行われた時の飛行体10Aの様子を説明するための図である。図10の(a)は、ガス排出制御が行われた後の飛行体10Aの全体の様子を示す図であり、図10の(b)は、ガス排出制御が行われる前後における飛行体10の排出部26Aの部分を拡大した図である。なお、図10は、図4に対応する断面を示す図である。
図10の(b−1)に示すように、飛行体10Aは、ガス排出制御が行われていない状態では、排出部26Aが第1緩衝体20Aaの上部に配置されている。排出部26Aは、例えば、小爆発を起こすことが可能な火薬を含む開口形成部26Aaを有する。開口形成部26Aaは、所定のタイミングで制御器41から排出指令を受けて小爆発を起こすことにより(図10の(b−2))、第1ガス空間21Aaと外部の空間とを連通する開口26Acを第1緩衝体20Aaに形成する(図10の(b−3))。これにより、第1ガス空間21Aaに封入されている第1ガスは、外部の空間に排出される。排出された第1ガスは空気よりも密度の小さい気体であるため、飛行体10Aは、第1ガスの排出が進むにつれて徐々に比重が重くなり、第1ガス空間21Aaに充填されたガスによって得られる浮力の大きさが、飛行体10Aの総重量よりも小さくなる。そして、飛行体10Aは、下降を始める。
このように、実施の形態1の変形例1に係る飛行体10Aでは、排出部26Aは、第1ガス空間21Aaと外部の空間とを連通する開口26Acを第1緩衝体20Aaに形成し、所定のタイミングで、開口26Acを形成することで、第1ガス空間21Aaに封入された第1ガスを外部の空間に排出する。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいて排出部26Aから第1ガスを排出させる構成を実現できる。
なお、図10の(b−1)に示すように、第1緩衝体20Aaの開口26Acが形成される部分26Abは、第1緩衝体20Aaの他の部分よりも脆弱に構成されていることが好ましい。具体的には、開口26Acが形成される部分26Abは、第1緩衝体20Aaの他の部分よりも薄く形成されていることで脆弱に構成されていてもよいし、第1緩衝体20Aaの材料である塩化ビニルよりも脆弱な材料(例えば、ラテックス)で構成されていてもよい。これにより、第1緩衝体20Aaの開口26Acが形成される部分に、容易に開口26Acを形成することができる。
また、開口形成部は、小爆発させることにより開口を形成することに限らずに、針や鋭利な刃物を用いて開口26Acが形成される部分26Abに開口を形成する構成としてもよい。つまり、第1緩衝体20Aaに開口を形成することができる構成であれば上記で示した構成に限るものではない。
[変形例2]
また、上記実施の形態1に係る飛行体10の構成に、さらに、ガス排出制御が行われているときに第1ガスの排出を早めるために圧縮部材71を配置した飛行体10Bとしてもよい。図11は、実施の形態1の変形例2の飛行体10Bにおいて、ガス排出制御が行われた時の飛行体10Bの様子を説明するための図である。図11の(a)は、ガス排出制御が行われる前の飛行体10Bの図4に対応する断面を示す図である。図11の(b)は、ガス排出制御が行われた後の飛行体10Bの全体の様子を示す図である。
図11に示すように、飛行体10Bの第1緩衝体20aの内部には、圧縮部材71としての圧縮バネが通常時よりも引き伸ばされた状態で配置されている。圧縮部材71は、その両端が、第1緩衝体20aの上部及び下部に接続されている。つまり、圧縮部材71は、第1緩衝体20aの上部及び下部を互いに近づける方向に圧縮力を働かせている状態で、第1緩衝体20aの上部及び下部に接続されている。このように圧縮部材71は、第1緩衝体20aの上部及び下部を互いに近づける方向に圧縮力を働かせていても、第1緩衝体20aの第1ガス空間21aには第1ガスが充填されているため、圧縮力と、第1ガスの圧力とが釣り合った状態である。このため、第1緩衝体20aは、圧縮部材71によって変形されないまま断面が楕円の形状を保つことができる。
ここで、図11の(b)に示すように、ガス排出制御が行われた場合、排出部26から第1ガスが排出されるため、第1ガスの圧力が圧縮部材71と釣り合わなくなる。このため、圧縮部材71は、第1緩衝体20aの上部及び下部を互いに近づける方向に圧縮力を働かせることになる。これにより、第1ガス空間21aは、圧縮部材71によって狭められる。よって、第1ガス空間21aに封入されている第1ガスが排出される速度を速めることができる。したがって、ガス排出制御を行うことで、より速やかに飛行体10Bを下降させることができる。
[変形例3]
また、上記実施の形態1に係る飛行体10では、第1緩衝体20a、20Aaは、第2緩衝体20bと同様の塩化ビニルにより構成されているが、塩化ビニルよりも脆弱な材料(例えばラテックス)により構成されていてもよい。
[変形例4]
また、上記実施の形態1に係る飛行体10では、第2緩衝体20bは、第2ガス空間21bを形成しているバルーン20の一部であったが、この構成に限らない。例えば、第2緩衝体20bは、スポンジ、ゴムなどの中実の材料から構成されていてもよい。つまり、第2緩衝体20bは、物体に衝突したときに衝撃を吸収できる材料で構成されていれば、どのような材料を用いてもよい。
[変形例5]
また、上記実施の形態1に係る飛行体10では、複数のロータユニット30が配置されている通気孔22は、第1緩衝体20a及び第2緩衝体20bにまたがって形成されているとしたが、これに限らない。例えば、通気孔は、第2緩衝体のみに形成されていてもよい。なお、この場合、第1緩衝体は、寸法が小さく、複数の通気孔よりも中央よりに配置されていてもよいし、複数の通気孔の上方および下方を避ける領域に、複数配置されていてもよい。
[変形例6]
上記実施の形態1では、排出指示信号は、制御器41が有する受信機41aにより受信される構成としたが、これに限らずに、制御器41とは独立した別の制御器が有する受信機により受信される構成としてもよい。この場合、別の制御器は、バッテリ42とは別のバッテリにより電力が供給されるように構成されていることが好ましい。つまり、当該別の受信機は、制御器41とは制御系統が別の補助制御系統としての制御器に搭載されることで、主制御系統の制御器41、バッテリ42などに異常が発生した場合であっても、操作者が操作端末を操作することにより排出部26を制御することができる構成としてもよい。これにより、主制御系統に異常が生じて制御不能に陥った場合であっても、補助制御系統を利用することにより、排出部26を制御できるため、第1緩衝体20aに封入されている第1ガスを排出し、飛行体10を速やかに下降させることができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、飛行体10が下降したときに生じる課題を解決するためのものである。例えば、飛行体10の下降は、図12に示すように、実施の形態1で説明したようなガス排出制御が行われた時に地面100に落下したときに生じる。また、例えば、飛行体の下降は、飛行体が浮力よりも総重量の方が若干大きくなるように構成されており、かつ、例えばロータユニット30が制御不能になるなどの予期せぬ飛行状態に陥ったときに生じる。なお、図12は、実施の形態1の飛行体10がガス排出制御によって地面100に落下した時の様子を説明するための図である。
[保持部材の構成]
実施の形態2の飛行体10は、実施の形態1の飛行体10と同様であるため、詳細な説明を省略する。ここでは、実施の形態1では、その機能について詳細に説明していなかった、固定部材50が有する2本の保持部材54について、図13を用いて詳細に説明する。
図13は、飛行体10の保持部材54及びカメラ44の部分を拡大した拡大図である。図13の(a)は、飛行体10が飛行しているときの保持部材54及びカメラ44の部分を拡大した図である。図13の(b)は、飛行体10が地面100に落下したときの保持部材54及びカメラ44の部分を拡大した図である。
図13の(a)に示すように、保持部材54は、カメラ44が支持されている円板部材40を下方に突出して保持している。例えば、保持部材54は、飛行体10が飛行している状態では、全長がカメラ44を支持している円板部材40が凹部29の下端に位置しており、全長が第1の長さL1となっている。つまり、保持部材54は、飛行体10が飛行中の状態においては、カメラ44をバルーン20から下方に突出して保持することで、カメラ44が撮影する映像にバルーン20が映り込むことを低減でき、より視野の広い映像を撮影することができる。
また、図13の(b)に示すように、保持部材54は、自身の全長をカメラ44がバルーン20から突出している所定の方向(上下方向)に沿って収縮可能である。具体的には、保持部材54は、カメラ44を、凹部29に収納される位置まで、全長を収縮可能である。つまり、保持部材54は、カメラ44が凹部29に収納される位置に円板部材40が位置しているとき、全長が第2の長さL2となっている。また、保持部材54は、上下方向に伸縮する可撓性を有し、カメラ44が所定方向としての下方から押された場合に、収縮する。
例えば、保持部材54は、図13に示すように、上下方向にスライド可能な3部材から構成される3段スライドレールであってもよい。保持部材54を構成する3部材は、互いに、スライド可能に構成されており、例えば、ボールベアリングによりスライドしやすい構成となっていてもよい。なお、保持部材54は、2段や4段以上のスライドレールにより構成されていてもよい。
このように保持部材54は、収縮可能な構成であるため、カメラ44が地面100に接触した場合であっても、カメラ44をバルーン20の凹部29に収めることができるため、カメラ44に与える衝撃を軽減できる。
[実施の形態2の効果等]
本実施の形態に係る飛行体10は、プロペラ32、及び、プロペラ32を駆動するモータ33をそれぞれが有する複数のロータユニット30と、複数のロータユニット30の上下方向の高さに亘って、複数のロータユニット30の側方を覆う緩衝体としてのバルーン20と、バルーン20から所定の方向としての下方に突出して配置されるカメラ44と、カメラ44を保持し、自身の全長を上下方向に沿って収縮可能な保持部材54と、を備える。
このため、飛行体10が誤って物体に接触したとしても、搭載機器であるカメラ44をバルーン20に引っ込めることができる。これにより、飛行体10のカメラ44又は物体に与える衝撃を軽減でき、カメラ44又は物体が損傷することを低減できる。
また、本実施の形態において、バルーン20は、カメラ44を収納可能な大きさの凹部29を有し、保持部材54は、カメラ44を、凹部29に収納される位置まで、全長を収縮可能である。このため、飛行体10が誤って物体に接触したとしても、カメラ44をバルーン20の凹部29に収納することができる。つまり、飛行体10が物体に接触したとしても、カメラ44が凹部29に収納される位置まで保持部材54が収縮した場合には、バルーン20の凹部29の周囲が物体に接触するため、カメラ44又は物体に与える衝撃を効果的に軽減できる。
また、本実施の形態において、保持部材54は、可撓性を有し、カメラが下方から押された場合に、収縮する。このため、飛行体10のカメラ44が誤って物体に接触したとしても、カメラが押されることで保持部材54が収縮するため、カメラ44をバルーン20の凹部29に収納することができる。つまり、飛行体10のカメラが物体に接触したとしても、カメラ44はバルーン20の凹部29に収納されるため、次にバルーン20の凹部29の下端が物体に接触することになる。これにより、カメラ44又は物体に与える衝撃を効果的に軽減できる。
[実施の形態2の変形例]
[変形例1]
上記実施の形態2では、保持部材54は、スライドレールにより構成されているとしたが、これに限らない。例えば、図14に示すように、蛇腹状の部材により構成されている保持部材54Aを採用してもよい。図14は、実施の形態2の変形例1の飛行体において、飛行体の保持部材54A及びカメラ44の部分を拡大した拡大図である。
また、保持部材は、スライドレールや蛇腹状の部材に限らずに、一端と他端とで管径が異なるスリーブ状の部材を重ね合わせて構成した部材によって構成されていてもよいし、3本以上の針金状の部材、糸状の部材、紐状の部材、ワイヤー等によって構成されていてもよい。
[変形例2]
上記実施の形態2では、保持部材54は、カメラ44が下方から押されたときに初めて収縮する受動的な構成であったが、これに限らずに、カメラ44が物体に接触しそうな状態を検出して、保持部材を能動的に収縮する構成としてもよい。
図15は、実施の形態2の変形例2の飛行体10Cの構成を示すブロック図である。図16Aは、実施の形態2の変形例2の飛行体10Cにおける保持部材54Bの収縮制御の流れの一例を示すフロー図である。図16Bは、実施の形態2の変形例2の飛行体10Cにおける保持部材54Bの収縮制御の流れの一例を示すフロー図である。図17は、飛行体10Cの保持部材54B及びカメラ44の部分を拡大した拡大図である。
実施の形態2の変形例2の飛行体10Cは、図15に示すように、実施の形態1の飛行体10と比較して、排出部26が取り除かれ、代わりに、制御器41によって駆動される保持部材54Bを備えている点が異なる。また、実施の形態2の変形例2の飛行体10Cは、実施の形態1の飛行体10と比較して、検出部81の検出する対象が異なる。実施の形態2の変形例2の飛行体10Cは、実施の形態1の飛行体10とその他の構成は同様である。このため、以下では、実施の形態1の飛行体10と異なる点について説明し、その他の構成については説明を省略する。
保持部材54Bは、例えば、モータ駆動により全長が変化される電動シリンダである。なお、保持部材54Bは、電動シリンダに限らずに、油圧式シリンダ、空気圧式シリンダなどであってもよい。保持部材54Bは、所定のタイミングで、制御器41により保持部材54Bを駆動されることにより、その全長を収縮する。
検出部81は、飛行体10Cの状態を検出し、検出した結果を示す所定の信号を制御器41に送信する。検出部81は、具体的には、飛行体10Cにある物体との距離を計測する距離計測部である。検出部81は、例えば、発射したレーザー光または音波の物体での反射を利用して、所定距離内の物体の存在を検出することができる測距装置等によって実現されてもよい。また、検出部81は、例えば、飛行体10Cが備えるカメラ44の撮像データを解析することで、飛行体10Cの周囲に存在する物体を検出してもよい。
このように、レーザー光、音波、または撮像データを利用する検出部81を用いることで、例えば、飛行体10Cから比較的に遠い位置(例えば数十m)に存在する物体を認識することができる。また、検出部81は、当該物体が飛行体10Cから所定の距離(例えば数m)内に入ったことをトリガとして、制御器41に検出した結果を示す所定の信号を送信する。
なお、検出部81がカメラ44の撮像データを利用する場合、カメラ44が検出部81として機能してもよい。
上記構成を有する飛行体10Cでは、図16Aに示す情報処理及び動作が収縮制御として実行されてもよい。つまり、検出部81は、飛行体10Cの状態を検出する(S21)。制御器41は、検出部81による検出結果に応じて、保持部材54Bの全長を収縮させる(S22)。つまり、図16Aに示す収縮制御では、制御器41は、検出部81が検出した物体までの距離が所定の距離未満になったときを所定のタイミングとして、保持部材54Bの全長を収縮させる。
また、上記構成を有する飛行体10Cでは、例えば、図16Bに示す情報処理及び動作が収縮制御として実行されてもよい。つまり、受信機41aは、無線操作装置から発信された収縮指示信号を受信する(S21a)。制御器41は、収縮指示信号を受信機41aが受信したときを所定のタイミングとして、保持部材54Bの全長を収縮させる(S22)。つまり、図16Bに示す収縮制御では、制御器41は、保持部材54Bの全長を収縮させることを示す収縮指示信号を受信機41aが受信した時を所定のタイミングとして、保持部材54Bの全長を収縮させる。
図16A及び図16Bで説明した収縮制御が行われることにより、図17に示すように、保持部材54Bは、全長を第1の長さL1から第2の長さL2に収縮する。これにより、カメラ44を所定のタイミングで、バルーン20の凹部29に収納することができる。
このように、例えば、制御器41は、飛行体10Cが飛行体10Cの下方にある物体との距離が所定の距離未満になった時を所定のタイミングとして、保持部材54Bの全長を自動的に収縮させることができる。これにより、飛行体10Cが物体に接触する時には、カメラ44等の搭載機器がバルーン20の外部に突出しないように搭載機器をバルーン20の内方に収めることができる。これにより、搭載機器が物体に接触することを抑制でき、搭載機器又は物体が損傷することを防ぐことができる。
また、例えば、制御器41は、操作者が無線操作装置を用いて収縮指示信号を発信することで、保持部材54Bの全長を収縮させることができる。これにより、操作者は、所望のタイミングで、保持部材54Bの全長を収縮させることで、飛行体10Cが飛行中であっても、搭載機器がバルーン20の外部に突出しないように搭載機器をバルーン20の内方に収めることができる。これにより、搭載機器が物体に接触することを抑制でき、搭載機器又は物体が損傷することを防ぐことができる。
また、図17では、保持部材54Bとして例えば電動シリンダなどのシリンダ装置を用いたが、シリンダ装置に限らない。例えば、図18に示すような、複数本のリンクそれぞれが3箇所の回転軸で回転支持されることで構成される構造の保持部材54Cとしてもよい。このような構造の保持部材54Cであっても、保持部材54Cの全長を収縮させることができる。
また、保持部材54B、54Cは、所定のタイミングで全長を収縮させる。その後、保持部材54B、54Cは、別のタイミングで伸張されるようにしてもよい。つまり、保持部材54B、54Cは伸縮可能である。例えば、受信機41aは、無線操作装置から発信された伸縮指示信号(収縮指示信号、または、伸張指示信号)を受信する。制御器41は、伸縮指示信号を受信機41aが受信したときを所定のタイミングとして、保持部材54B、54Cの全長を伸縮(伸張または収縮)させる。
[変形例3]
上記実施の形態2では、飛行体10は、実施の形態1と同様の構成とするとしたが、これに限らずに、飛行体10から排出部26を除いた構成としてもよい。また、バルーン20は、第1緩衝体20aと第2緩衝体20bとにガス空間21が分離している構成であったが、1つのガス空間を有する構成であってもよい。この場合、バルーン20には、第1ガスと同様のガスが封入されることが好ましい。また、実施の形態1では、少なくとも第1緩衝体がバルーンである必要があったが、これに限らずに、複数のロータユニット30の上下方向の高さに亘って、複数のロータユニット30の側方を覆う緩衝体であれば、どのような材料の緩衝体で構成されていてもよい。つまり、実施の形態2では、緩衝体は、スポンジ、ゴムなどの中実の材料から構成されていてもよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。
実施の形態3では、実施の形態2と同様に主に飛行体が下降したときに生じる課題を解決するためのものである。飛行体が下降する場合については、実施の形態2において説明したため、説明を省略する。
図19は、実施の形態3の飛行体10Dにおいて、変形制御が行われた時の飛行体10Dの様子を説明するための図である。図19の(a)は、変形制御が行われる前の飛行体10Dの図3に対応する断面を示す図である。図19の(b)は、変形制御が行われた後の飛行体10Dの全体の様子を示す図である。
実施の形態3の飛行体10Dは、図19に示すように、実施の形態1の飛行体と比較して、固定部材50Cの構成が異なるため、固定部材50Cについて説明する。
固定部材50Cは、実施の形態1の飛行体10の固定部材50と比較して、複数のアーム部52Cが収縮可能であることとが異なる。
複数のアーム部52Cは、先端部52aを含む可動部52bと、固定部52cとを有する。複数のアーム部52Cは、可動部52bが固定部52cの内方に収納されることで収縮する。複数のアーム部52Cは、例えば、電動シリンダなどにより構成される。複数のアーム部52Cは、可動部52bの通気孔22に露出している部分が通気孔22に固定されている。このため、複数のアーム部52Cが収縮することで、図19の(b)に示すように、バルーン20の外形が変更される。具体的には、複数のアーム部52Cが収縮する前には高さH1幅W1のバルーン20の外形が、複数のアーム部52Cが収縮することでバルーン20の幅が縮小されて幅W1から幅W1よりも小さい幅W2に変形する。そして、バルーン20の幅が縮小した分だけ、バルーン20内部の圧力がバルーン20の上下方向外側に向かって加わるため、高さH1よりも大きい高さH2の外形に変更される。
これにより、バルーン20の凹部29の下端の位置が下がることになり、カメラ44等の搭載機器が凹部29の内方に収容される。
つまり、固定部材50Cの複数のアーム部52Cは、駆動部90(後述参照)によって駆動され、所定のタイミングで緩衝体としてのバルーン20の外形を変更させる。具体的には、複数のアーム部52Cは、カメラ44等の搭載機器の一部又は全部がバルーン20の外部に突出しないようにバルーン20の外形を変更させる。複数のアーム部52Cは、バルーン20の内部における4箇所の通気孔22と接続され、当該通気孔22を近づけることによりバルーン20を変更させる。
これにより、複数のアーム部52Cは、バルーン20の外形の少なくとも一部である凹部29を下方に向けて突出させている。より具体的には、複数のアーム部52Cは、カメラ44の周囲において、バルーン20の少なくとも一部をカメラ44よりも突出させている。
なお、複数のアーム部52Cは、4本のアーム部52Cの全てが収縮するが、互いに反対方向に収縮する2本のアーム部52Cを収縮することで、バルーン20の内部における2箇所の部分を近づけることができる。このため、4本のアーム部が収縮可能であることに限らずに、互いに反対方向に収縮する2本のアーム部が収縮可能であればよい。
[飛行体の動作制御例]
本実施の形態の飛行体10Dでは、所定のタイミングで、バルーン20の外形を変更する変形制御を行う。
次に、飛行体10Dの変形制御について、図19〜図21Bを用いて、説明する。
図20は、実施の形態3の飛行体10Dの構成を示すブロック図である。図21Aは、実施の形態3の飛行体10Dにおける駆動部90の変形制御の流れの一例を示すフロー図である。図21Bは、実施の形態3の飛行体10Dにおける駆動部90の変形制御の流れの他の一例を示すフロー図である。
実施の形態3の飛行体10Dは、実施の形態2の変形例2の飛行体10Cと比較して、保持部材54Bの代わりに複数のアーム部52Cを備える点が異なる。実施の形態3の飛行体10Dのその他の構成は、実施の形態1の飛行体10と同様である。
制御器41は、複数のアーム部52Cを所定のタイミングで収縮させる。駆動部90は、複数のアーム部52Cを収縮させることにより、バルーン20の外形を変更する。
上記構成を有する飛行体10Dでは、図21Aに示す情報処理及び動作が変形制御として実行されてもよい。つまり、検出部81は、飛行体10Dの状態を検出する(S31)。制御器41は、検出部81による検出結果に応じて、バルーン20の外形を変更する(S32)。つまり、図21Aに示す変形制御では、制御器41は、検出部81が検出した距離が所定の距離未満になったときを所定のタイミングとして、バルーン20の外形を変更する。
また、上記構成を有する飛行体10Dでは、例えば、図21Bに示す情報処理及び動作が変形制御として実行されてもよい。つまり、受信機41aは、無線操作装置から発信された変形指示信号を受信する(S31a)。制御器41は、変形指示信号を受信機41aが受信したときを所定のタイミングとして、バルーン20の外形を変更する(S32)。つまり、図21Bに示す変形制御では、制御器41は、バルーン20の外形を変更することを示す変形指示信号を受信機41aが受信した時を所定のタイミングとして、バルーン20の外形を変更する。
図21A及び図21Bで説明した変形制御が行われることにより、図19に示すように、複数のアーム部52Cは、収縮し、これにより、バルーン20の外形を変更する。よって、カメラ44を所定のタイミングで、バルーン20の凹部29に収納することができる。
[実施の形態3の効果等]
本実施の形態における飛行体10Dは、プロペラ32、及び、プロペラ32を駆動するモータ33をそれぞれが有する複数のロータユニット30と、複数のロータユニット30の上下方向の高さに亘って、複数のロータユニット30の側方を覆うバルーン20と、所定のタイミングで駆動部90によって駆動されることでバルーン20の外形を変更する複数のアーム部52Cと、を備える。
この構成によれば、所定のタイミングでバルーン20の外形を変更できるため、例えば、飛行体10Dが予期せぬ飛行状態に陥ったときに、カメラ44などの搭載機器がバルーン20の外部に突出しないようにバルーン20の外形を変更でき、搭載機器が物体に衝突することを抑制することができる。また、例えば、飛行体10Dのバルーン20の外形を変更することで、演出効果を提供することができる。
また、本実施の形態において、飛行体10Dはさらに、バルーン20から突出しているカメラ44を備え、駆動部90は、カメラ44の一部又は全部がバルーン20の外部に突出しないように、バルーン20の外形を変更する。つまり、例えば飛行体10Dが予期せぬ飛行状態に陥ったときに、バルーン20から突出しているカメラ44がバルーン20の外部に突出しないようにバルーン20の外形を変更できる。このため、飛行体10Dが物体と接触する場合であっても、カメラ44が物体に直接接触することを抑制することができる。従って、飛行体10Dが例えば予期せぬ飛行状態に陥って物体に接触した場合でも、カメラ44又は物体の損傷を未然に防ぐことができる。
また、本実施の形態において、駆動部90は、カメラ44よりも、バルーン20の外形の少なくとも一部を突出させることで、バルーン20の外形を変更する。つまり、例えば飛行体10Dが予期せぬ飛行状態に陥ったときに、カメラ44がバルーン20の一部よりも突出しないようにバルーン20の外形を変更できる。このため、飛行体10Dが物体と接触する場合であっても、カメラ44よりも先にバルーン20が物体に接触することになる。よって、飛行体10Dが例えば予期せぬ飛行状態に陥って物体に接触した場合でも、カメラ44の損傷を防ぐことができる。
また、本実施の形態において、駆動部90は、カメラ44の周囲において、バルーン20の少なくとも一部をカメラ44よりも突出させることで、バルーン20の外形を変更する。つまり、例えば飛行体10Dが予期せぬ飛行状態に陥ったときに、カメラ44などの搭載機器の周囲において、搭載機器がバルーン20の一部よりも突出しないようにバルーン20の外形を変更できる。このため、どのような姿勢で飛行体10Dが物体と接触したとしても、搭載機器よりも先にバルーン20が物体に接触することになる。よって、飛行体10Dが例えば予期せぬ飛行状態に陥って物体に接触した場合でも、搭載機器又は物体の損傷を防ぐことができる。
また、本実施の形態において、飛行体10Dはさらに、飛行体10Dの下方にある物体との距離を計測する距離計測部としての検出部81を備え、所定のタイミングは、検出部81が計測した距離が所定の距離未満になった時であり、駆動部90は、検出部81が計測した距離が所定の距離未満になった時に、バルーン20の外形を変更する。
このため、制御器41は、飛行体10Dが飛行体10Dの下方にある物体との距離が所定の距離未満になった時を所定のタイミングとして、複数のアーム部52Cを自動的に収縮させることができる。これにより、飛行体10Dが物体に接触する時には、バルーン20の外形を変更完了した状態にできるため、カメラ44等の搭載機器がバルーン20の外部に突出しないように搭載機器をバルーン20の内方に収めることができる。これにより、搭載機器が物体に接触することを抑制でき、搭載機器又は物体が損傷することを防ぐことができる。
また、本実施の形態において、飛行体10Dはさらに、信号を受信する受信機41aを備え、所定のタイミングは、バルーン20の外形を変更することを示す変形指示信号を受信機41aが受信した時であり、複数のアーム部52Cは、変形指示信号を受信機41aが受信した時に、バルーン20の外形を変更する。
このため、例えば、制御器41は、操作者が無線操作装置を用いて変形指示信号を発信することで、複数のアーム部52Cを収縮させることができる。これにより、操作者は、所望のタイミングで、複数のアーム部52Cの全長を収縮させることで、飛行体10Dが飛行中であっても、搭載機器がバルーン20の外部に突出しないように搭載機器をバルーン20の内方に収めることができる。これにより、搭載機器が物体に接触することを抑制でき、搭載機器又は物体が損傷することを防ぐことができる。
また、複数のアーム部52Cは、所定のタイミングで全長を収縮させる。その後、複数のアーム部52Cは、別のタイミングで伸張されるようにしてもよい。つまり、複数のアーム部52Cは伸縮可能である。複数のアーム部52Cは、バルーン20の内部における4箇所の通気孔22と接続され、当該通気孔22を近づける、又は、遠ざけることによりバルーン20を変更させる。
[実施の形態3の変形例]
[変形例1]
上記実施の形態3の飛行体10Dでは、駆動部90が固定部材50Cの複数のアーム部52Cを収縮することによりバルーン20の外形を変更するとしたが、これに限らない。例えば、図22に示す形態としてもよい。
図22は、実施の形態3の変形例1の飛行体10Eにおいて、変形制御が行われた時の飛行体10Eの様子を説明するための図である。図22の(a)は、変形制御が行われる前の飛行体10Eの図3に対応する断面を示す図である。図22の(b)は、変形制御が行われた後の飛行体10Eの全体の様子を示す図である。
実施の形態3の変形例1の飛行体10Eは、実施の形態3の飛行体10Dと比較して、図22に示すように、外形変更部72を有している点が異なる。
外形変更部72は、接続部72aと、糸状部材72bと、バルーン20Eの外形の一部がへこんでいる凹部72cとにより構成されている。
接続部72aは、バルーン20Eの内部の中央付近に配置され、糸状部材72bの一端と接続されている。接続部72aは、制御器41からの変形指令を受けた駆動部90により駆動されることで、糸状部材72bとの接続を解除することにより糸状部材72bの一端を切り離す。
糸状部材72bは、一端が接続部72aに接続されており、他端がバルーン20Eの凹部72cの凹んだ底の部分に接続されている。つまり、糸状部材72bは、バルーン20Eの内方において、凹部72cの凹んだ底の部分と、バルーン20Eの別の部分に対して接続部72aにより接続されることで、凹部72cの形状を維持している。
このように構成された飛行体10Eにおいて、駆動部90は、所定のタイミングで、接続部72aによる接続を解除することにより、図22の(b)に示すように、凹部72cをバルーン20Eの内圧によってカメラ44よりも突出させることができる。これにより、バルーン20Eの凹部29は、カメラ44の周囲に亘る位置から突出し、カメラ44の全周囲を囲う凹部29Eとなる。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいてバルーン20Eの一部をカメラ44などの搭載機器よりも突出させることができる。
[変形例2]
また、変形例1の構成とせずに、例えば、図23に示す形態としてもよい。
図23は、実施の形態3の変形例2の飛行体10Fにおいて、変形制御が行われた時の飛行体10Fの様子を説明するための図である。図23の(a)は、変形制御が行われる前の飛行体10Fの図3に対応する断面を示す図である。図23の(b)は、変形制御が行われた後の飛行体10Fの全体の様子を示す図である。
実施の形態3の変形例2の飛行体10Fは、図23に示すように、気体供給部73を有している点が異なる。また、バルーン20Fは、膨らんでいる第1部分75としぼんでいる第2部分74とを有する点が異なる。
気体供給部73は、第2部分74にガスを供給可能である。具体的には、気体供給部73は、第1部分75と第2部分74との間に設けられ、第1部分75が形成している第1空間75aと、第2部分74が形成しうる第2空間74aとの間を連通する状態に切り替える弁である。
駆動部90は、所定のタイミングで気体供給部73を開放することで、第1空間75aのガスを第2部分74へ供給する。つまり、駆動部90は、所定のタイミングで、気体供給部73に第2部分74へガスを供給して第2部分74を膨らませることで、第2部分74をバルーン20Fから突出させる。
このように構成された飛行体10Fにおいて、駆動部90は、所定のタイミングで、気体供給部73を開放することにより、バルーン20F内部に充填されているガスを利用して、図23の(b)に示すように、第2部分74をカメラ44よりも突出させることができる。これにより、バルーン20Fの凹部29は、カメラ44の周囲に亘る位置から突出し、カメラ44の全周囲を囲う凹部29Fとなる。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいてバルーン20Fの一部を搭載機器よりも突出させることができる構成を実現できる。
[変形例3]
また、変形例2では、気体供給部73は、弁であるとしたが、図24に示すように、ガスが充填されたボンベにより構成される気体供給部73Aとしてもよい。
図24は、実施の形態3の変形例3の飛行体10Gにおいて、変形制御が行われた時の飛行体10Gの様子を説明するための図である。図24の(a)は、変形制御が行われる前の飛行体10Gの図3に対応する断面を示す図である。図24の(b)は、変形制御が行われた後の飛行体10Gの全体の様子を示す図である。
実施の形態3の変形例3の飛行体10Gは、図24に示すように気体供給部73の代わりに気体供給部73Aとした点のみが異なる。
駆動部90は、所定のタイミングで気体供給部73Aからガスを第2部分74に供給する。つまり、駆動部90は、所定のタイミングで、気体供給部73Aに第2部分74へガスを供給させて第2部分74を膨らませることで、第2部分74をバルーン20Fから突出させる。
このように構成された飛行体10Gにおいて、駆動部90は、所定のタイミングで、気体供給部73Aに充填されているガスを供給することにより、図24の(b)に示すように、第2部分74をカメラ44よりも突出させることができる。これにより、バルーン20Fの凹部29は、カメラ44の周囲に亘る位置から突出し、カメラ44の全周囲を囲う凹部29Fとなる。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいてバルーン20Fの一部を搭載機器よりも突出させることができる構成を実現できる。
[変形例4]
また、変形例1〜4の構成とせずに、例えば、図25に示す形態としてもよい。
図25は、実施の形態3の変形例4の飛行体10Hにおいて、変形制御が行われた時の飛行体10Hの様子を説明するための図である。図25の(a)は、変形制御が行われる前の飛行体10Hの図4に対応する断面を示す図である。図25の(b)は、変形制御が行われた後の飛行体10Hの全体の様子を示す図である。
実施の形態3の変形例4の飛行体10Hは、図25に示すように、外形変更部76を有している点が異なる。
外形変更部76は、接続部76aと、糸状部材76bと、バルーン20Hの外形の一部が突出している突出部77とにより構成されている。
接続部76aは、バルーン20Hの外面に配置され、糸状部材76bの一端と接続されている。接続部76aは、制御器41からの変形指令を受けた駆動部90により駆動されることで、糸状部材76bとの接続を解除することにより糸状部材72bの一端を切り離す。
糸状部材76bは、一端が接続部76aに接続されており、他端がバルーン20Hの突出部77の先端に接続されている。これにより、突出部77は、突出部77がバルーン20Hの外面に沿った形状となるように、突出部77の先端がバルーン20Hの外面の一部と接続部76aにより接続される。
このように構成された飛行体10Hにおいて、駆動部90は、所定のタイミングで、接続部76aによる接続を解除することにより、図25の(b)に示すように、突出部77をバルーン20Hの内圧によってカメラ44よりも突出した形状とすることができる。このため、簡単な構成で、所定のタイミングにおいてバルーン20Hの一部をカメラ44などの搭載機器よりも突出させることができる。
[変形例5]
また、上記実施の形態3では、複数のアーム部52Cを収縮させることで、バルーン20の外形を変更するとしたが、これに限らない。例えば、異なる2箇所の部分に紐状の部材を取り付けて、リールで紐状の部分を巻き上げることで異なる2箇所の部分を近づける構成を実現してもよい。これにより、簡単な構成で、バルーン20の外形を変更することができる。
(他の実施の形態)
また、上記実施の形態では、固定部材50、50Cを備える構成であったが、固定部材50、50Cを備えていない構成としてもよい。この場合、複数のロータユニット30は、通気孔22に直接固定される。また、バルーンには、複数の連通部28が形成されていない構成となる。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。