JP6480956B2 - 濾過器、腹水処理システム及び腹水処理方法 - Google Patents

濾過器、腹水処理システム及び腹水処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、腹水の濾過器、並びに腹水処理システム及び腹水処理方法に関する。
例えば難治性腹水症の治療法として、患者から腹水を採取し、当該腹水を濾過して癌細胞や細菌などの病因物質を除去し、次に、そのアルブミンなどのタンパク質の有用物質を含む濾過液を濃縮し、その後、当該濃縮液を体内に再注入する腹水濾過濃縮再静注法(Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)がある。
かかる治療法には、通常腹水処理システムが用いられ、当該腹水処理システムは、代表的な例としては、腹水バッグと、濾過器と、濃縮器と、濃縮腹水バッグとをこの順番で直列的に接続した液体回路を備えている。
ところで、腹水処理システムの濾過器は、筒状容器の内部に濾過膜としての中空糸膜束が配置されており、中空糸膜束の両端部は、筒状容器の両端部にポッティング材によりポッティング加工され、開口端面を形成している。この濾過器は、従来より、腹水を中空糸膜の内側から外側に流して濾過を行う内圧方式で用いるのが一般的であったが、近年、その逆の方式、すなわち腹水を中空糸膜の外側から内側に流して濾過を行う外圧方式で用いることが提案されている(特許文献1、2参照)。
特開2009−297242号公報 特開2011−172797号公報
腹水は、癌細胞等の比較的大きな物質を含み極めて粘度が高く、濾過器の短時間の使用でも、中空糸膜に目詰まりが生じやすい。そこで、外圧方式を用いて、腹水を相対的に表面積の大きい中空糸膜の外側から内側に流して濾過を行うことにより、中空糸膜の目詰まりを緩和させて、濾過器のライフタイムを延すことができる。
しかしながら上述の外圧方式で濾過した場合、中空糸膜束の中心部側(束中)に位置する中空糸膜は、互いに密集し、束の外周部側(束外)に位置する中空糸膜に覆われているため、腹水のように粘度が高いと、束の中心部の中空糸膜まで腹水が届かず、結果として濾過能力が低下してしまう。
本出願はかかる点に鑑みてなされたものであり、腹水などの体腔液を濾過する濾過器において、外圧方式を用いて中空糸膜の目詰まりを緩和しつつも、濾過器の濾過能力の低下を抑制することをその目的とする。
本発明者らは、上記課題について濾過器の筒状容器において中空糸膜束の中空糸膜を分散配置することにより濾過能力が上がることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の態様は以下を含む。
(1)腹水を濾過する濾過器であって、中空糸膜束を内部に備えた筒状容器を有し、当該筒状容器において腹水を前記中空糸膜束の中空糸膜の外側空間から中空糸膜の孔を通って内側空間に流入させて腹水中の特定の物質を除去する濾過器であり、前記中空糸膜は、前記筒状容器の内部横断面において前記中空糸膜束の充填率が20%以上41%以下になるように分散されて配置されており、前記中空糸膜束における平均中空糸膜間距離が、150μm以上である、濾過器。
(2)前記中空糸膜束における最大中空糸膜間距離が、300μm以上である、(1)に記載の濾過器。
(3)前記中空糸膜束の両端部は、ポッティング材により前記筒状容器の両端部にポッティング加工され、前記筒状容器の両端部には、前記中空糸膜束の開口端面が形成され、前記中空糸膜束の両開口端面間の距離は50mm以上300mm以下である、(1)又は(2)に記載の濾過器。
(4)前記中空糸膜束の有効膜面積が0.7m2以上3.0m2以下である、(1)〜(3)のいずれかに記載の濾過器。
(5)前記中空糸膜の内径が50μm以上500μm以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の濾過器。
(6)前記中空糸膜が、クリンプ形状を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の濾過器。
(7)前記中空糸膜の孔の直径が0.010μm以上10μm以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の濾過器。
(8)(1)〜(7)のいずれかに記載の濾過器と、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮する濃縮器と、を少なくとも備え、少なくとも前記濾過器において外圧方式によって腹水が処理される腹水処理システム。
(9)(1)〜(7)のいずれかに記載の濾過器を用いる腹水処理方法であって、前記濾過器において外圧方式によって腹水を処理するステップと、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮するステップとを含む、腹水処理方法。
本発明によれば、体腔液を濾過する濾過器において、外圧方式を用いて中空糸膜の目詰まりを緩和しつつも、濾過器の濾過能力の低下を抑制することができる。
腹水処理システムの構成の概略を示す説明図である。 濾過器の縦断面の説明図である。 筒状容器の横断面を示す説明図である。 中空糸膜間の距離を示す説明図である。 中空糸膜の径を示す説明図である。 中空糸膜のクリンプ形状を説明するための説明図である。 実施例の腹水処理システムを示す説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、図面の上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
図1は、本実施の形態に係る濾過器21を備えた体腔液処理システムとしての腹水処理システム1の構成の概略を示す説明図である。
図1に示すように腹水処理システム1は、例えば液体回路としての腹水処理回路10を備えている。腹水処理回路10は、体腔液貯留部としての腹水バッグ20と、濾過器21と、濃縮器22と、濃縮液貯留部としての濃縮腹水バッグ23と、腹水バッグ20と濾過器21を接続する第1の流路24と、濾過器21と濃縮器22を接続する第2の流路25と、濃縮器22と濃縮腹水バッグ23を接続する第3の流路26とを有している。
腹水バッグ20は、例えばポリ塩化ビニルなどの軟質性の樹脂からなる容器であり、患者から採取された体腔液としての腹水を収容できる。
第1の流路24は、例えばポリ塩化ビニルなどの軟質性のチューブであり、腹水バッグ20の出口から濾過器21の後述の側面部のポート45に接続されている。第1の流路24には、例えばチューブポンプ30が設けられ、腹水バッグ20の腹水を濾過器21に送ることができる。なお、チューブポンプ30を設けずに、腹水バッグ20の腹水を重力落下により濾過器21に供給するようにしてもよい。
濾過器21は、筒状容器40を有し、筒状容器40の内部には、その長手方向に沿って中空糸膜束(中空糸膜41の束)42が配置されている。中空糸膜41は、腹水から癌細胞、細菌などの所定の病因物質を除去し、それ以外のアルブミンなどのタンパク質の有用物質を含む成分を通過させることができる。筒状容器40の上部及び下部には、中空糸膜41の内側(空間)に通じるポート43、44が設けられ、筒状容器40の側面部には、中空糸膜41の外側(空間)に通じる2つのポート45、46が設けられている。濾過器21の側面部のポート45は、腹水バッグ20に通じている。濾過器21の側面部のポート46は、中空糸膜41を通過しない成分が排液される図示しない排液部に連通している。濾過器21の上部のポート43は、後述の濃縮器22に連通し、濾過器21の下部のポート44は、例えば閉鎖されている。濾過器21の筒状容器40の内容構成の詳細は後述する。
第2の流路25は、例えばポリ塩化ビニルなどの軟質性チューブであり、濾過器21の上部のポート43から濃縮器22のポート63に接続されている。第2の流路25には、例えばチューブポンプ50が設けられ、濾過器21で濾過された濾過液を濃縮器22に送ることができる。
濃縮器22は、上記濾過器21と同様に、筒状容器60を有し、筒状容器60の内部には、その長手方向に沿って濃縮膜としての中空糸膜束(中空糸膜61の束)62が配置されている。中空糸膜61は、濾過液中の水分を通過させて水分を除去し、濾過液を濃縮することができる。筒状容器60の上部及び下部には、中空糸膜61の内側空間に通じるポート63、64が設けられ、筒状容器60の側面部には、中空糸膜61の外側空間に通じる2つのポート65、66が設けられている。濃縮器22の上部のポート63は、濾過器21のポート43に連通し、濃縮器22の下部のポート64は、濃縮腹水バッグ23に連通している。濃縮器22の側面部の一つのポート65は、濾過液から排出された水分が排液される排液部に連通し、ポート66は閉鎖されている。なお、かかる濃縮器22は、内圧方式を用いるものであるが、外圧方式を用いるものであってもよい。
第3の流路26は、例えばポリ塩化ビニルなどの軟質性チューブであり、濃縮器22の下部のポート64から濃縮腹水バッグ23に接続されている。
濃縮腹水バッグ23は、例えばポリ塩化ビニルなどの軟質性の樹脂からなる容器であり、濃縮器22で濃縮された有用物質を含む濃縮液を収容できる。
次に、濾過器21の筒状容器40の内部構成について説明する。図2は、濾過器21の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
濾過器21は、上述のように筒状容器40を有し、筒状容器40の内部にその長手方向に沿って中空糸膜束42が配置されている。筒状容器40は、円筒状の容器胴部40aと、容器胴部40aの両端開口を閉鎖するヘッダー40bにより構成されている。ポート43、44は、ヘッダー40bに形成され、ポート45、46は、容器胴部40aに形成されている。
中空糸膜束42の両端部は、筒状容器40の両端部において硬化性樹脂のポッティング材70によりポッティング加工されている。これにより、中空糸膜束42の両端部は、筒状容器40に固定され、筒状容器40の両端部には、中空糸膜束42の各中空糸膜41の内側が開口する開口端面71が形成される。筒状容器40の内部の中空糸膜41の外側空間は、筒状容器40の側面部のポート45に連通している。中空糸膜41の内側空間は、開口端面71を通じて、ポート43に連通している。かかる構成により、腹水がポート45から中空糸膜41の外側空間に流入し、中空糸膜41を介して中空糸膜41の内側空間に流入して、腹水から病因物質を濾過して除去できる。中空糸膜41の内側空間に流入した濾過液は、開口端面71を通じてポート43から排出できる。
中空糸膜41は、筒状容器40の内部横断面において中空糸膜束42の充填率Jが20%以上41%以下、好ましくは22%以上41%以下、さらに好ましくは25%以上41%以下になるように分散されて配置されている。また、21%、23%、24%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%でもよい。中空糸膜束42の充填率Jは、図3に示すように容器胴部40aの内部の横断面面積をS(容器胴部40aの内径Kとした場合、S=(K/2)2×π)、1本の中空糸膜41の断面積s(中空糸1本の外径をRとした場合、s=(R/2)2×π)、中空糸膜束42の総本数をNとした場合、次式(1)で表せられる。
中空糸膜束42の充填率J=s×N/S×100(%)・・・・(式1)
なお、容器胴部40aの断面積Sは、容器胴部40aの長手方向に沿って変化する場合には最小部分の面積とする。
中空糸膜41は、互いに密集しないように分散されて配置されている。ここで「分散されて配置」とは、中空糸膜同士が密着しないように配置された状態であり、例えばエアーを吹き付けるなどして、一定の範囲中に略均一に中空糸膜が配置されるよう処理された状態が挙げられる。具体的には、中空糸膜束42において、任意の中空糸膜41に対して、最も近い4つの中空糸膜との距離をD1、D2、D3、D4(図4に示す)とする。これを5つの中空糸膜について測定した際の最大値を、最大中空糸膜間距離と定義し、本発明においては、最大中空糸膜間距が300μm以上になるように分散されている。同様に、任意の5つ中空糸膜のD1〜D4を全て平均したものを平均中空糸膜間距離と定義した際、本発明においては、平均中空糸膜間距離は150μm以上になるように中空糸膜41が分散されている。尚、本発明で述べている「最大中空糸膜間距離」および「平均中空糸膜間距離」については、容器の内部横断面の中心点を中心とする半径5mmの円が示す領域内に存在する中空糸膜について少なくとも成立する。容器の内部横断面の半径が5mm以下であった場合は、すべての中空糸膜について成立する。尚、前述のD1、D2、D3、D4(図4に示す)は、容器胴部40aの断面積が長手方向に沿って変化しないモジュールの場合は、ポッティング材開口端面71上で計測できる。一方、容器胴部40aの断面積が長手方向に沿って変化する場合は、その断面積が最小となる部分のD1、D2、D3、D4を採用する。つまり、ポッティング材開口端面71上で計測したD1、D2、D3、D4の値とその断面積をもとに、断面積が最小となる部分のD1、D2、D3、D4を比例計算によって求める。具体的には、ポッティング材開口端面71の断面積と最少部分の断面積との比率を求め、ポッティング材開口端面71におけるD1、D2、D3、D4に、前記比率を乗じたものを、当該モジュールにおけるD1、D2、D3、D4と定義する。
さらに、図2に示す中空糸膜束42の両開口端面71間の距離Lは、50mm以上300mm以下、好ましくは100mm以上280mm以下、より好ましくは150mm以上240mm以下、さらに好ましくは200mm以上240mm以下に設定されている。なお、距離Lが50mmよりも小さいと、膜面積が等しくなるように設計した場合に、中空糸膜41の本数Nが大きくなり、かえって束中まで腹水が到達しなくなるので好ましくない。距離Lが300mmよりも大きいと、モジュール全体としての流路が狭くなるため、ポート45から入った腹水がポート43から出ていくまでのどこかで目詰まりを起こした際に圧力上昇しやすくなるため好ましくない。
中空糸膜束42の有効膜面積(中空糸膜41の内周(中空糸膜41の内径d(図5に示す)×π)×開口端面間距離L×中空糸膜の本数N)は、0.7m2以上3.0m2以下、好ましくは1.0m2以上2.5m2に設定されている。なお、中空糸膜束42の有効膜面積が0.7m2よりも小さいと、濾過器全体としての濾過能力が低下するので好ましくない。中空糸膜束42の有効膜面積が3.0m2よりも大きいと、少量の腹水を処理する際にロスが大きくなるので好ましくない。
中空糸膜41の内径dは、50μm以上500μm以下、好ましくは100μm以上450μm以下に設定されている。なお、内径dが50μmよりも小さいと、中空糸膜内部でタンパク質等が堆積した際に目詰まりしやすくなるので好ましくない。また、内径dが500μmよりも大きいと、中空糸製造時の収率が著しく低下するので好ましくない。
なお、中空糸膜41の本数Nは、例えば2000本以上10000本以下、好ましくは3000本以上9000本以下である。また、中空糸膜41の孔の直径は、0.010μm以上10μm以下、好ましくは、0.05μm以上5μm以下である。中空糸膜41の外径は、200μm以上600μm以下、好ましくは300μm以上500μm以下である。なお、中空糸膜41の本数Nが2000本よりも少ないと、モジュール全体としての濾過能力が低下するため好ましくない。本数Nが10000本よりも大きいと充填率が増加し目詰まりしやすくなるので好ましくない。また、中空糸膜41の孔の直径が0.010μmよりも小さいと、目詰まりしやすくなるので好ましくない。中空糸膜41の孔の直径が10μmよりも大きいと、癌細胞や細菌などのほとんどを濾過できなくなるので好ましくない。
次に、腹水処理システム1で行われる腹水処理について説明する。
先ず、患者から採取した腹水を収容した腹水バッグ20が第1の流路24に接続される。次に、チューブポンプ30、50が駆動し、腹水バッグ20の腹水が、第1の流路24を通って濾過器21のポート45から筒状容器40の中空糸膜41の外側空間に供給される。腹水は、中空糸膜41の外側空間から中空糸膜41の孔を通って内側空間に流入し、この際に、癌細胞や細菌などの所定の病因物質が除去され濾過される。中空糸膜41を通過した濾過液は、ポート43から第2の流路25に流出し、第2の流路25を通って濃縮器22のポート63から中空糸膜61の内側空間に流入する。濃縮器22では、濾過液が中空糸膜61の内側空間を通過し、濾過液中の水分が濃縮膜の中空糸膜61を通じて中空糸膜61の外側空間に排出され、濾過液が濃縮される。濃縮器22で濃縮されたアルブミンなどの有用物質を含む濃縮液は、ポート64から第3の流路26に排出され、第3の流路26を通じて濃縮腹水バッグ23に送られ収容される。こうして、腹水バッグ20内の全ての腹水が、濾過濃縮されると、腹水処理が終了する。その後、濃縮腹水バッグ23の濃縮液は、患者に再注入される。尚、中空糸膜41の外側空間に存在する癌細胞や細菌を洗浄することもできる。例えば、ポート43およびポート45を閉じ、ポート44から生理食塩水などの洗浄液を送液後、ポート46から排液することで、洗浄が可能となる。
本実施の形態によれば、濾過液21の中空糸膜41が筒状容器40の内部横断面において中空糸膜束42の充填率Jが20%以上41%以下になるように分散されて配置されているので、中空糸膜41の外側空間に流入した腹水が、中空糸膜束42の中心部側の中空糸膜41まで届き、中空糸膜束42全体で腹水を効率的に濾過できる。この結果、腹水を濾過する濾過器21において、外圧方式を用いて中空糸膜41の目詰まりを緩和しつつ、濾過器21の濾過能力の低下を抑制できる。
上記実施の形態において、濾過膜21の中空糸膜41が、クリンプ形状を有していてもよい。すなわち、中空糸膜41が、図6に示すように波状に湾曲していてもよい。クリンプの振幅は、0.2mm以上〜1.2mm以下、波長が3.0mm以上〜16mm以下が好ましい。かかる場合、中空糸膜41間に隙間ができやすく、腹水が中空糸膜束42の中心部側に侵入しやすくなる。なお、クリンプの振幅及び波長は、濾過器22内で不規則になっている方が、中空糸膜束42の中心部側に腹水が侵入しやすいので好ましい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば上記実施の形態における筒状容器40の構成は、これに限られず他の構成を有するものであってもよい。また、腹水処理システム1や腹水処理回路10の構成は、これに限られず他の構成を有するものであっても、本発明は適用できる。また、腹水以外の他の体腔液、例えば胸水を処理する胸水処理システムにも本発明は適用できる。なお、この胸水処理システムは、以上の腹水処理システムと同じ構成を有していてもよいし、異なる構成を有していてもよい。
以下の実施例において、本発明の濾過器における目詰まりの緩和、濾過能力の維持について検証した実験結果を示す。
<濾過器の作製>
高密度ポリエチレン(商品名サンテックHDJ240 旭化成ケミカルズ(株)社製)のペレットを147℃で加熱し、ポンプで押出したものに対して、22mL/minの流量で窒素を通気させ、冷却することにより中空状の原糸を得た。続いて、温度70℃〜120℃、ロール速度5〜30m/minで延伸後巻き取り、330mmに切断することで微多孔を有する中空糸膜束中間品を得た。さらに、この中空糸膜束中間品を、58%の1−プロパノール水溶液に溶解させたEVALコート液(商品名ソアレジン 日本合成化学(株)社製)に1時間浸漬後、60℃で乾燥させることで、中空糸膜束を得た。中空糸膜の内径は280μm、膜厚は50μm、外径は380μmであり、孔の直径は0.2μmであった。得られた中空糸膜束を、ポリカーボネート製(容器胴部の内径50.5mm)の筒状容器に装填し、両端をポリウレタン樹脂でポッティング加工後、25kGyの線量でγ滅菌することで、濾過器を得た。
<目詰まりまでの所要時間>
アルブミン濃度を3g/dLに調整した牛血漿3Lを擬似腹水とした。擬似腹水3Lを腹水バッグに入れ、濾過器、濃縮器、濃縮腹水バッグの順で、外圧濾過方式となるように腹水処理回路で接続した(図7)。ポンプAには、毎分50mLの流量となるように設定し、ポンプBには、毎分5mLの流量となるように設定し濾過濃縮処理を行った。濾過濃縮処理中に圧力計Cの圧力が500mmHgに達したことをもって「目詰まりした」と判断して、処理開始から目詰まりまでの時間を以下の様に判定した。
目詰まりまでの時間が20分以上 :〇
目詰まりまでの時間が20分未満 :×
<最大中空糸膜間距離、平均中空糸膜間距離の測定>
ポッティング加工面を光学顕微鏡(商品名IX70 オリンパス(株)社製)で目視観察し、視野が10mm×10mmとなるように撮影された画像をもって、任意の5つの中空糸膜の最大中空糸膜間距離および平均中空糸膜間距離を計測した。
(実施例1)
クリンプの無い中空糸本数7200本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離Lは240mm、充填率Jは41%、膜面積は1.5m2であった。また、最大中空糸膜間距離は340μm、平均中空糸膜間距離は120μmであった。
(実施例2)
クリンプの無い中空糸本数3600本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離Lは240mm、充填率Jは20%、膜面積は0.7m2であった。また、最大中空糸膜間距離は520μm、平均中空糸膜間距離は210μmであった。
(実施例3)
クリンプの無い中空糸本数7200本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離Lは200mm、充填率Jは41%、膜面積は1.3m2であった。また、最大中空糸膜間距離は330μm、平均中空糸膜間距離は110μmであった。
(実施例4)
振幅0.7mm、波長9.0mmのクリンプの有る中空糸本数7200本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離Lは240mm、充填率Jは41%、膜面積は1.5m2であった。また、最大中空糸膜間距離は350μm、平均中空糸膜間距離は140μmであった。
(比較例1)
クリンプの無い中空糸本数11000本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離は250mm、充填率は65%、膜面積は2.3m2であった。また、最大中空糸膜間距離は190μm、平均中空糸膜間距離は90μmであった。
(比較例2)
クリンプの無い中空糸本数2300本の中空糸膜束を用いて濾過器を作製した。開口端面間距離Lは250mm、充填率Jは13%、膜面積は0.5m2であった。また、最大中空糸膜間距離は610μm、平均中空糸膜間距離は280μmであった。
Figure 0006480956
本発明は、体腔液を濾過する濾過器において、外圧方式を用いて中空糸膜の目詰まりを緩和しつつも、濾過器の濾過能力の低下を抑制する際に有用である。
1 腹水処理システム
10 腹水処理回路
20 腹水バッグ
21 濾過器
22 濃縮器
23 濃縮腹水バッグ
40 筒状容器
41 中空糸膜
42 中空糸膜束

Claims (9)

  1. 腹水を濾過する濾過器であって、
    中空糸膜束を内部に備えた筒状容器を有し、当該筒状容器において腹水を前記中空糸膜束の中空糸膜の外側空間から中空糸膜の孔を通って内側空間に流入させて腹水中の特定の物質を除去する濾過器であり、
    前記中空糸膜は、前記筒状容器の内部横断面において前記中空糸膜束の充填率が20%以上41%以下になるように分散されて配置されており、
    前記中空糸膜束における平均中空糸膜間距離が、150μm以上である、濾過器。
  2. 前記中空糸膜束における最大中空糸膜間距離が、300μm以上である、請求項1に記載の濾過器。
  3. 前記中空糸膜束の両端部は、ポッティング材により前記筒状容器の両端部にポッティング加工され、前記筒状容器の両端部には、前記中空糸膜束の開口端面が形成され、
    前記中空糸膜束の両開口端面間の距離は50mm以上300mm以下である、請求項1又は2に記載の濾過器。
  4. 前記中空糸膜束の有効膜面積が0.7m2以上3.0m2以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の濾過器。
  5. 前記中空糸膜の内径が50μm以上500μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の濾過器。
  6. 前記中空糸膜が、クリンプ形状を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の濾過器。
  7. 前記中空糸膜の孔の直径が0.010μm以上10μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の濾過器。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の濾過器と、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮する濃縮器と、を少なくとも備え、少なくとも前記濾過器において外圧方式によって腹水が処理される腹水処理システム。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の濾過器を用いる腹水処理方法であって、前記濾過器において外圧方式によって腹水を処理するステップと、前記濾過器で濾過された濾過液を濃縮するステップとを含む、腹水処理方法。
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