JP6467146B2 - 隔膜式センサ、液体分析計 - Google Patents

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本発明は、試料溶液に含まれる特定物質を検知するために用いられる隔膜式センサ、及び該隔膜式センサを用いた液体分析計に関する。
隔膜式センサとして、例えば特許文献1に記載されたようなものがある。
特許文献1記載の隔膜式センサは、過酸化水素透過性筒体と、筒体の両端を密閉するゴム栓と、筒体内に保持される電極(作用極及び対極)及び内部液と、筒体の外側に配設される酵素固定化膜とを具備する。
この特許文献1記載の隔膜式センサは、試料溶液中の過酸化水素が内部液に溶解し、この溶解した過酸化水素が電極表面で酸化還元反応する場合に生じる電流値を用いて過酸化水素を検知するものである。そして、特許文献1記載の隔膜式センサでは、過酸化水素透過性筒体に柔軟性、弾力性に優れるシリコンゴムが用いられている。
特開平04−343065号公報
ここで、上述した隔膜式センサでは、隔膜と電極(作用極)との距離を近づけるほど、隔膜を透過した特定物質が作用極表面に到達する時間を短くしてセンサの応答性を向上することができる。そのため、上述した隔膜式センサにおいて、作用極と隔膜とは接触するように配置することが望ましい。
しかしながら、作用極と接触させる隔膜を、特許文献1記載の隔膜式センサのようにシリコンゴム等の柔軟性に優れた材料で構成すると、作用極表面に隔膜が隙間無く密着してしまうので、作用極表面に内部液を供給しにくくなり、内部液に溶解した特定物質(特許文献1では過酸化水素)が作用極表面で反応することを阻害してセンサの感度が悪くなるという問題が生じる。
本発明は、上述した問題を鑑みてなされたものであって、センサの感度を悪化させることなく、センサの応答性を向上することができる隔膜式センサを提供することをその主たる課題とするものである。
本発明の隔膜式センサは、試料溶液中の特定物質を検知するために用いられる隔膜式センサであって、試料溶液中の特定物質が透過する隔膜と、前記隔膜を透過した特定物質が溶解する内部液と、前記内部液に浸漬する作用極及び対極とを具備し、前記作用極が、内部液に対してぬれ性を有する中間膜を介して前記隔膜と接触していることを特徴とする。
上述の構成によれば、作用極が中間膜を介して隔膜と接触しているので、作用極と隔膜との距離を近づけながら、中間膜によって作用極と隔膜とが隙間なく密着することを防ぐことができる。また、この中間膜は内部液に対してぬれ性を有し、中間膜表面には内部液による液層が形成されるので、この液層から作用極表面に内部液に溶解した特定物質を供給することができる。そのため、隔膜と作用極との距離を近づけてセンサの応答性を向上しながら、作用極表面での反応が阻害されることを防止して、センサの感度が悪化することを防ぐことができる。
本発明にかかる隔膜式センサの具体的な一態様としては、前記中間膜が、前記隔膜よりも弾性率が大きいものを挙げることができる。
このように構成すれば、中間膜が隔膜に比べて変形し難いものであるので、中間膜自体が作用極に密着することを確実に防ぐことができ、より効果的にセンサの感度の悪化を防止することができる。
本発明の隔膜式センサは、前記中間膜の膜厚が、1μm〜100μmであるものを挙げることができる。
このように構成すれば、内部液が中間膜を通りぬける時間を短縮して、作用極に内部液を供給するスピードを早くすることができるので、作用極の応答性を早くすることができる。なお、中間膜の膜厚を100μmのものとすると、作用極の応答性が遅くなってしまい、中間膜の膜厚を1μm未満のものとすると、中間膜の取り扱いが難しいものとなる。
本発明の隔膜式センサは、前記中間膜が、細孔を有するものを挙げることができる。
このように構成すれば、特定物質が溶解した内部液が、中間膜に設けられた細孔を通過して作用極表面に供給されるので、特定物質が作用極表面に到達するまでの距離をさらに縮めることができ、センサの応答性をより向上させることができる。また、細孔を通じて内部液を作用極表面に供給することができるので、作用極表面に内部液を安定して供給することができ、センサを安定化させることができる。なお、中間膜が細孔を有するものとしては、例えば多孔質膜、微孔質膜、微多孔質膜等を挙げることができる。
本発明にかかる隔膜式センサの別の具体的な一態様としては、前記多孔質膜の細孔の孔径が、0.05μm〜100μmであるものを挙げることができる。
ここで、従来の隔膜式センサでは、試料溶液中に含まれる気泡やセンサに付着した気泡が、ガス透過性を有する隔膜を透過してセンサ内に侵入したり、又は作用極表面の酸化還元反応によって気泡が生じたりするので、この気泡が作用極と隔膜との間に残存して、作用極表面での反応を阻害し、センサの感度を悪化させるという問題を生じさせている。
しかし、本発明の隔膜式センサは、作用極と隔膜との間に配置する中間膜が多孔質膜であって、その細孔の孔径が0.05μm〜100μmであるので、細孔の孔径が気泡(500μm以上の大きさを有する)よりも十分小さく、気泡が細孔内に残留することがない。そのため、例え気泡が発生しても、作用極表面に細孔を通じて内部液を供給することができるので、作用極表面での反応が阻害されることなく、センサの感度の悪化を防止することができる。
本発明にかかる隔膜式センサの別の具体的な一態様としては、前記中間膜が、ポリマーからなるものを挙げることができ、前記隔膜が、シリコン、フッ素樹脂又はポリエチレンを含む材料からなるものを挙げることができる。
本発明にかかる隔膜式センサの別の具体的な一態様としては、前記作用極が、前記中間膜を介して前記隔膜に押圧接触しているものを挙げることができる。
このように構成すれば、作用極と隔膜との距離をより縮めることができるので、作用極表面での応答性をより向上することができる。
また上述した隔膜式センサを用いた液体分析計も本発明の1つである。
本発明によれば、センサの感度を悪化させることなく、センサの応答性を向上することができる。
本発明の一実施形態における隔膜式センサの概略図。 本発明の一実施形態における隔膜式センサの概略図。 本発明の一実施形態における隔膜式センサの概略断面図。 本発明の一実施形態において図3のA部分を拡大した拡大断面図。 隔膜式センサAを用いて過酢酸濃度を測定したグラフ。 隔膜式センサBを用いて過酢酸濃度を測定したグラフ。 隔膜式センサCの電流値と応答時間を示すグラフ。 隔膜式センサDの電流値と応答時間を示すグラフ。 隔膜式センサEの電流値と応答時間を示すグラフ。
以下、本発明の隔膜式センサについて図面を参照しながら説明する。
本実施形態における隔膜式センサ1は、試料溶液に含まれる過酢酸、過酸化水素、溶存酸素、残留塩素等の特定物質を検知するために用いられるものであって、この隔膜式センサ1を試料溶液に浸漬させて濃度測定を行うものである。そして、この隔膜式センサ1は、図1及び図2に示すように、内部液13を収容するため容器1aと、容器1aを密閉するための蓋部1bとを備える。
容器1aは、一端面が開口するとともに他端面が閉塞された中空の円筒形状をなすものであって、開口端を塞ぐように蓋部1bを取り付けると、その内部に内部液13を収容するための空間が形成されるものである。また、その開口端付近の内壁には、蓋部1bを取り付けるための図示しないねじ山が形成される。
そして、他端面の一部には、試料溶液に含まれる特定物質を透過させて、容器1a内に侵入させる隔膜11が設けられている。
隔膜11は、試料溶液中の過酢酸、過酸化水素、溶存酸素、残留塩素等を透過させるものであって、例えばシリコン、フッ素樹脂又はポリエチレンを含む材料から構成されるものである。なお、フッ素樹脂としては、例えばテフロン(登録商標)等を用いることができる。また、隔膜11の膜厚としては、例えば10μm〜200μmのものを用いることができる。
蓋部1bは、容器1aを密閉するものであって、容器1a側の略中央部には、作用極4及び対極5を保持する保持部材16が突出するように設けられている。この保持部材16は、蓋部1bが容器1aに取り付けられた状態で、容器1aと蓋部1bとの間に形成される空間に収容されるものである。また、容器1a側の反対側には、外部機器を接続するためのケーブルが取り付けられるコネクタ部6が設けられている。
保持部材16は、絶縁性材料から構成されるものであって、図3に示すように、作用極4の周囲を囲んで作用極4を保持するとともに、対極5を周囲に巻回して保持するものである。また、保持部材16には、蓋部1bを容器1aに取り付けるための螺旋状の溝が設けられており、容器1a側に設けられた図示しないねじ山と嵌合させることで、蓋部1bを容器1aに取り付けることができる。さらに、保持部材16には、外部へ気体を排出するための空気孔7が設けられている。なお、この空気孔7の開口一端には、気液を分離するフィルタが設けられている。
作用極4は、例えば金や白金等の導電性材料から構成されるものであって、本実施形態では、図2及び図3に示すように、棒形状をなし、その一端が図4に示すように、保持部材16の先端面10よりもわずかに突出するように配置されている。また、この作用極4の表面には図示しない微小な凹凸が設けられている。
対極5は、例えば白金や銀−塩化銀(Ag/AgCl)等の導電性材料から構成されるものであって、本実施形態では、線形状をなすように構成されている。
作用極4及び対極5は、図3に示すように、導線8を介して接続されており、該導線8を介して外部に設けられた図示しない電力供給手段から電圧が印加される。また、導線8には、導線8を流れる電流を検知する電流計9が設けられている。なお、導線8や電流計9は蓋部1bの外部に設けられたものであってもよい。
そして、図1及び図3に示すように、蓋部1bを容器1aに取り付けた状態で、蓋部1bと容器1aとの間に形成される空間には内部液13が収容される。本実施形態において、この内部液13に、例え塩化カリウム等の電解質や、リン酸緩衝液や酢酸緩衝液、トリス、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液を用いることができる。
しかして、容器1aの内側に配置する隔膜11には、内部液13に対してぬれ性を有する中間膜12が積層されている。この中間膜12は、容器1aを蓋部1bに取り付けた状態で隔膜11と作用極4との間に配置されて、作用極4をこの中間膜12を介して隔膜11に接触させるものである。ここで、ぬれ性とは、中間膜12と内部液13との間に親和性があり、中間膜12に内部液13が留まり、中間膜12を濡れさせて、中間膜12の表面に内部液13による液層を形成する性質を有することを示す。この中間膜12の膜厚としては、1μm〜100μmのものを用いることができる。
また、中間膜12に用いられる材料としては、隔膜11の弾性率よりも大きい弾性率を有する材料を用いることができ、例えばポリマー等から構成されたもの、特にポリカーボネイト、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンとポリイミドを混合した混合樹脂、ポリイミド、セルロース等を用いることができる。
そして、この中間膜12は酸素等の気泡の大きさ(500μm以上)よりも十分小さい孔径0.05μm〜100μmの細孔12aが無数に設けられ多孔質膜で構成されている。
また、容器1aの外側に配置する隔膜11には、隔膜11が中間膜12と接触する領域をさけて図示しない保護膜17が積層されている。この保護膜17を構成する材料としては特に限定されず、例えばポリプロピレン、PFA、PET等を用いることができる。なお、この保護膜17は、比較的硬度が高いことが望ましい。
上述した構成を備える本発明の隔膜式センサ1の動作について以下説明する。
容器1aに蓋部1bを取り付けると、作用極4は、図4に示すように、中間膜12を介して隔膜11に接触する。具体的には、作用極4は先端面10から突出するように配置されているので、作用極4は、中間膜12を介して隔膜11と押圧接触する。
また、容器1aと蓋部1bとの間には、内部液13が封入される。この封入された内部液13は、図4に示すように、隔膜11と中間膜12との微小な隙間及び中間膜12と作用極4との微小な隙間に侵入する。ここで、中間膜12は、内部液13に対してぬれ性を有するので、中間膜12の表面には内部液13の液層が形成される。また、中間膜12は多孔質膜であるので、中間膜12に設けられた細孔12aから中間膜12の内部に内部液13が侵入する。そのため、作用極4はこの液層を介して中間膜12に接触するとともに、中間膜12も液層を介して隔膜11と接触するが、上述した液層は非常に薄い層であるので、作用極4は、実質的に中間膜12を介して隔膜11に接触しているものとみなすことができる。
そして、作用極4も内部液13に浸漬されるとともに、対極5も内部液13に浸漬されるので、内部液13を介して作用極4と対極5とが電気的に接続される。
上述した隔膜式センサ1を、試料溶液に浸漬すると、試料溶液中に含まれる過酢酸、過酸化水素、溶存酸素、残留塩素等の特定物質が隔膜11を透過し、該特定物質は、容器1aと蓋部1bとの間に形成された空間に収容された内部液13に溶解する。そして、作用極4と対極5との間に図示しない電力供給手段から導線8を介して電圧が印加されると、作用極4の表面で特定物質が酸化還元反応するとともに、対極5の表面で酸化還元反応が生じる。これらの反応によって、導線8に電流が流れるので、この電流値を電流計9で測定すれば、特定物質を検知することができる。
なお、例えば、隔膜式センサ1のコネクタ部6をケーブル等を介して外部機器に接続して、外部機器に電流計9で測定された電流値を示す出力信号を送信して、外部機器で特定物質の濃度を算出することもできる。
上述したように構成した本実施形態における隔膜式センサ1は、以下のような格別の効果を有する。
つまり、作用極4が中間膜12を介して隔膜11と接触するので、作用極4と隔膜11との距離を近づけながら、中間膜12によって作用極4と隔膜11とが隙間なく密着することを防ぐことができる。また、この中間膜12は内部液13に対してぬれ性を有し、中間膜12の表面には内部液13による液層が形成されるので、この液層から作用極4の表面に内部液13に溶解した特定物質を供給することができる。そのため、隔膜11と作用極4との距離を近づけてセンサの応答性を向上しながら、作用極4の表面での反応が阻害されることを防止して、センサの感度が悪化することを防ぐことができる。
また、本実施形態では作用極4の表面に微小な凹凸が設けられており、この微小な凹凸によって内部液13と接触する比表面積が大きくなるので、作用極4表面での反応の応答性をより向上させることができる。
さらに、特定物質が溶解した内部液13が、中間膜12に設けられた細孔12aを通過して作用極4の表面に供給されるので、特定物質が作用極4の表面に到達するまでの距離をさらに縮めることができ、作用極4の表面での応答性をより向上させることができる。また、細孔12aを通じて内部液13を作用極4の表面に供給することができるので、安定的に特定物質を検知することができる。
また、多孔質膜の細孔12aの孔径が、0.05μm〜100μmであるので、センサ内に気泡が生じた場合であっても、この気泡は細孔12aよりも十分大きく、細孔12a内に残存することがない。そのため、気泡によって阻害されることなく、作用極4の表面に細孔12aを通じて内部液13を供給することができるので、センサの感度の悪化を防止することができる。
上述した効果について、以下具体的に説明する。
従来の隔膜式センサでは、試料溶液中に含まれる気泡やセンサに付着した気泡がガス透過性を有する隔膜11を透過してセンサ内に侵入したり、又は作用極4の表面の酸化還元反応によって気泡が生じたりする場合がある。この気泡は作用極4と隔膜11との間に残存して、作用極4の表面での反応を阻害し、センサの感度を悪化させるという問題を生じさせる。
特に試料溶液に含まれる過酸化水素を検知する場合、過酸化水素が、作用極4の表面で酸化還元反応して酸素を発生する。また、試料溶液に含まれる過酢酸を測定する場合にも、過酢酸は自然に分解して酸素を発生するとともに、酸化還元反応によっても酸素を発生するので、センサ内には必ず気泡が発生し、センサの感度を悪化させてしまう。
しかし、本実施形態の隔膜式センサ1では多孔質膜で構成される中間膜12を具備し、この多孔質膜の細孔12aの孔径は、酸素等の気泡の大きさ(500μm以上)よりも十分小さいので、気泡は中間膜12に残存することがない。そのため、気泡によって作用極4表面での反応が阻害されないので、気泡の発生によるセンサ感度の悪化を防止することができる。
また、本実施形態における隔膜式センサ1では、中間膜12の弾性率(体積弾性率)が隔膜11の弾性率よりも大きいものであるので、隔膜11に比べて変形し難く、中間膜12自体が、作用極4の表面に密着することを確実に防いで、作用極4での応答性を向上することができる。
さらに、作用極4が、中間膜12を介して隔膜11に押圧接触しているので、作用極4と隔膜11との距離をより縮めることができ、作用極4表面での応答性をより向上することができる。
加えて、保持部材16に空気孔7が設けられているので、容器1aに蓋部1bを取り付けた際にかかる内圧をこの空気孔7から逃がすことができるとともに、上述したように、センサ内に気泡(ガス)が生じた場合であっても、この気泡をこの空気孔7から逃がすことができ、センサの故障を防ぐことができる。
また、隔膜11が中間膜12と接触する領域を除くように、隔膜11の試料溶液と接触する面に保護膜17が設けられているので、保護膜17によって隔膜11が破損することを防ぎ、内部液13が試料溶液側に漏出することを防ぐことができる。そして、保護膜17が比較的硬度が大きいものを用いているので、隔膜11の破損をより確実に防ぐことができる。また、試料溶液中の不純物等が隔膜11を介して内部液13内に侵入することを防ぐことができ、検知精度を高めることができる。
さらに、中間膜12をポリマー等で構成する、特にポリカーボネイトを用いることで、作用極4の応答性をより向上させることができる。
上述した表1は、中間膜にそれぞれの素材を用いた場合の90%応答時間を示したものである。
表1に示すように、ポリカーボネイトは他の素材に比べて90%応答時間が早いことが分かる。これは、ポリカーボネイトの膜厚が、他の素材に比べて薄く、内部液が膜を通りぬける時間を短縮させることができるので、他の素材に比べて応答時間を早くしてセンサの応答性を向上することができたと考えられる。
また、逆にポリプロピレンとポリエチレンを用いた混合樹脂(PP+PE)では、90%応答時間が他の素材に比べて遅いことが分かる。これは、その細孔の孔径が他の素材に比べて小さいことに加えて、ポリカーボネイト、PTFE、ポリイミドに設けられた細孔は比較的規則正しく配列されているのに対し、上記混合樹脂の細孔はランダムに配列されているので、内部液が通過する時間が、他の素材のものよりも時間がかかったためと考えられる。
この結果から、センサの応答性を向上するためには、中間膜の膜厚を薄くすることや、その細孔の孔径を気泡が入り込まない程度に大きくすること、中間膜に設けられた細孔の配列を規則的に並べたものを用いればよいことが分かる。
但し、中間膜の膜厚を薄くしすぎると中間膜が破損するおそれがあり、その取り扱いが難しいものとなってしまうので、中間膜の膜厚は1μm〜100μmであることが望ましい。また、細孔の大きさは、中間膜の材質や膜厚にもよるが、0.05μm〜100μmであることが望ましい。
なお、上述の結果から、隔膜11の膜厚についても薄く構成した方が、センサの応答性を向上することができることが分かる。
本発明は、その趣旨に反しない範囲で様々な変形が可能である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
試験に供する試料溶液として過酢酸溶液を用いた。
また、試験に供するサンプルとして、過酢酸が透過する隔膜と、隔膜を透過した過酢酸が溶解する内部液と、内部液に浸漬される作用極及び対極と、を備える隔膜式センサを2つ用意した。
隔膜式センサAは、隔膜にはシリコン、内部液にはリン酸緩衝溶液、作用極には金、対極には白金が用いられたものである。
隔膜式センサBは、作用極が中間膜を介して隔膜と接触するものであって、孔径が0.05μm〜100μmの細孔が無数に設けられたポリカーボネイトからなる多孔質中間膜を用いた。そして、隔膜、内部液、作用極及び対極については隔膜式センサAと同様のものを用いた。
上述した隔膜式センサA、Bを用いて以下の試験を行った。
<過酢酸濃度測定試験>
上述した隔膜式センサA、Bを試料溶液に浸漬し、隔膜式センサA及びBがそれぞれ検知した電流値から、予め定められた変換式あるいは変換表を参照して試料溶液に含まれる過酢酸濃度を算出した。図5及び6は、その算出結果を示すグラフであって、縦軸に過酢酸濃度、横軸に時間を示すものである。
<加圧試験>
隔膜を透過する試料溶液の流量を一定にするとともに、隔膜にかかる圧力を0KPaとした状態で、隔膜に100KPaの圧力を負荷、つまり作用極へ隔膜が押し付けられた状態を再現した。
隔膜式センサAを用いた場合の試験結果を図5に示す。図5に示すように、加圧試験が行われるまで、隔膜式センサAは過酢酸濃度を安定的に測定した。
しかしながら、加圧試験が実施されると、隔膜式センサAが測定する過酢酸濃度は大幅に減少した。そして、加圧試験が終了すると、過酢酸濃度が大幅に増加して、隔膜式センサAは加圧試験前の同様に安定的に過酢酸濃度を測定した。
次に、隔膜式センサBを用いた場合の試験結果を図6に示す。図6に示すように、隔膜式センサBは、加圧試験の実施に関わらず、過酢酸濃度を安定的に測定した。
以上の結果より、中間膜を有さない隔膜式センサAは、隔膜に圧力がかかると過酢酸を測定することができなくなる一方で、隔膜式センサBは、隔膜にかかる圧力に関わらず安定的に過酢酸濃度を測定することができた。
これは、隔膜式センサAは中間膜を有さないので、隔膜に圧力がかかると、隔膜と作用極とが隙間無く接触してしまい、内部液を供給して酸化還元反応を起こすことが可能な作用極表面の有効面積が減って、作用極表面での反応が阻害されることで作用極の応答性が悪くなったためと考えられる。
一方、隔膜式センサBは作用極と隔膜との間に中間膜を有し、この中間膜が内部液に対してぬれ性を有するとともに多孔質なものであるので、隔膜に圧力が加えられたとしても中間膜の表面に設けられた内部液の液層や中間膜に設けられた無数の細孔から、作用極表面に安定して内部液に溶解した過酢酸を供給することができ、過酢酸濃度を安定的に測定することができたと考えられる。
さらに、図5と図6を比較すると、明らかに図6のグラフの立ち上がり方が、図5のグラフに比べて早く、隔膜式センサBの方が隔膜式センサAよりもセンサの応答性が早いことが分かる。
これは、作用極と隔膜との間に中間膜を介さない隔膜式センサAでは、所々で作用極と隔膜とが密着して作用極の表面に内部液を供給し難くなる部位が発生して作用極表面の有効面積が減少するのに対し、作用極と隔膜との間に中間膜を介する隔膜式センサBでは、作用極の表面に内部液が供給し難くなる部位が生じないので、作用極表面の有効面積が減少することなく、安定的に反応が生じたためと考えられる。
そのため、作用極を中間膜を介して隔膜と接触させることで、センサの応答性を向上することができるとともに、センサを安定化することができる。
試験に供する試料溶液として過酢酸溶液及び純水を用いた。
また、試験に供するサンプルとして、隔膜と、隔膜を透過した過酢酸が溶解する内部液と、内部液に浸漬される作用極及び対極とを備える隔膜式センサを3つ用意した。
各サンプルについて、以下に詳述する。
隔膜式センサCは、隔膜にポリブチレンテレフタラート(PBT)からなる多孔質膜を用いるとともに、内部液にはリン酸緩衝溶液、作用極には金、対極には白金を用いたものである。
隔膜式センサDは、隔膜にシリコンからなる多孔質膜を用いたものである。内部液、作用極、対極、中間膜の構成は隔膜式センサCと同様であるので説明を省略する。
隔膜式センサEは、隔膜にPE系熱可塑性エラストマー樹脂を用いたものである。内部液、作用極、対極、中間膜の構成は隔膜式センサCと同様であるので説明を省略する。
そして、上述した隔膜式センサC〜Eを用いて、試料溶液に浸漬させたときの電流値と電流が流れた時間を調べた。この結果を図7〜9に示す。
隔膜式センサCの試験結果を図7に示す。図7に示すように、隔膜式センサCでは、過酢酸溶液に浸漬させた場合も純水に浸漬させた場合も電流値を計測することはできなかった。
これは、隔膜式センサCでは、過酢酸溶液中の過酢酸が隔膜をほとんど透過することができず、そのため電流値を計測することができなかったと考えられる。
隔膜式センサDの試験結果を図8に示す。図8に示すように、隔膜式センサDでは、純水に浸漬させても何も検知しないが、過酢酸溶液に浸漬させると約−100nAの電流が流れ、この電流が所定時間流れ続けた。そして、過酢酸溶液に過酢酸を追加すると、これを受けて電流値が約−200nAに変わり、この電流値が所定時間流れ続けた。さらに、過酢酸溶液に過酢酸を追加すると、これを受けて電流値が約−350nAに変わり、この電流値が所定時間流れ続けた。
これは、隔膜式センサDでは、過酢酸溶液中の過酢酸が隔膜を透過して隔膜を透過した過酢酸が内部液に溶解することで、作用極及び対極表面で酸化還元反応が継続的に生じたので、一定の電流値が所定時間持続したと考えられる。そのため、隔膜式センサDでは、電流値を安定的に計測することができ、過酢酸を精度よく測定可能であることが分かる。
隔膜式センサEの試験結果を図9に示す。図9に示すように、隔膜式センサEでは、純水に浸漬させても何も検知しないが、過酢酸溶液に浸漬させると電流値が約−100nAで安定化し、この値が所定時間持続した。また、過酢酸溶液に過酢酸を追加すると、これを受けて電流値が約−500nAに変わり、この電流値が所定時間持続する。さらに、過酢酸溶液に過酢酸を追加すると、これを受けて電流値が約−750nAに変わり、この電流値が所定時間持続した。
これは、隔膜式センサEでは、隔膜式センサDと同様に過酢酸溶液中の過酢酸が隔膜を透過して、酸化還元反応が作用極及び対極で生じたためと考えられる。
以上の結果から、隔膜をシリコン、フッ素樹脂又はポリエチレンを含む材料で構成すれば、過酢酸濃度を好適に測定することができる。
なお、上述した試験結果は中間膜を含まないものであったが、中間膜を含むものであっても同様の結果が生じた。
1・・・隔膜式センサ
4・・・作用極
5・・・対極
11・・隔膜
12・・中間膜
13・・内部液

Claims (7)

  1. 試料溶液中の特定物質を検知するために用いられる隔膜式センサであって、
    前記特定物質が透過する隔膜と、
    前記隔膜を透過した特定物質が溶解する内部液と、
    前記内部液に浸漬する作用極及び対極とを具備し、
    前記作用極が、内部液に対してぬれ性を有する中間膜を介して前記隔膜と接触しており、
    前記中間膜が、孔径が0.01μm〜100μmの細孔を有しており、前記作用極の表面における酸化還元反応によって発生した気泡を前記作用極と前記隔膜との間に留まらせないように構成されていることを特徴とする隔膜式センサ。
  2. 前記中間膜が、前記隔膜よりも弾性率が大きいものであることを特徴とする請求項1記載の隔膜式センサ。
  3. 前記中間膜の膜厚が、1μm〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の隔膜式センサ。
  4. 前記中間膜が、ポリマーからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の隔膜式センサ。
  5. 前記隔膜が、シリコン、フッ素樹脂又はポリエチレンを含む材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の隔膜式センサ。
  6. 前記作用極が、前記中間膜を介して前記隔膜に押圧接触していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の隔膜式センサ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の隔膜式センサを用いた液体分析計。
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