JP6457338B2 - 液体還流容器、細胞濃縮装置及び細胞濃縮システム - Google Patents
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Description
ンルームの中で、GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠して行わなければならない。ここでの課題は、細胞培養は技術者の手作業によって行われるため、患者1名分の細胞の調製に対して労力とコストが非常にかかるという点と、手動で実施することによる生物学的汚染リスクがあるという点、加えて作業ミスが生じる可能性がある点である。
よる膜濃縮法が広く使用されるようになってきた。TFF膜濃縮法は処理時間が長くなることや閉鎖系流路及び膜モジュールの設置など作業準備工程が必要であるが、制御機構が簡素で自動化が容易である。このようなTFF膜を用いた細胞濃縮装置の例が、以下の特許文献1および2に開示されている。
庫内で保持することにより、培地に接する気相との接触で培養中のpH値が大きく変動し
ないように制御するということが通常行われているが、それでも、大気(一般値としてCO20.04%、O220%、N278%ほか)との接触機会が多ければ、pH値が変化しやすい。実際、閉鎖系流路でTFF膜濃縮法を行うときには、細胞懸濁液を送液するためのチューブ内や保持するための容器内での大気と接触するため、液体培地のpH値が変化しやすい。(なお、本明細書では、大気は前記の濃度と同じかほぼ同じ濃度の気体を指し、ガスは大気とは異なる気体組成を有する気体を指すものとする。)
また、TFF膜濃縮法を行う閉鎖系流路においては、細胞懸濁液を送液する際、液体の落下や衝撃で生じる気泡等が発生しやすい。細胞懸濁液が泡立つと、培地と大気の接触が多くなって培地のpH値が変化しやすくなるだけではなく、泡立つ際の培地と大気との間の急激な圧力の変化によって、細胞が死にやすくなる。そこで、特許文献2では、細胞濃縮液中の泡を検知して送液の供給停止を行うことで、泡の発生を止める手段を開示している。
本発明の液体還流容器は、第1の管と第2の管を備える、密閉された液体還流容器であって、第1の管と第2の管は、送液管によって液体還流容器外部で接続されていて、送液管は、内部の液体を両方向に送液することができる送液ポンプを備え、第1の管と第2の管は、液体還流容器内の液体中に開口端を有し、第1の管は、液体還流容器内の気体中に開口部を有する、液体還流容器である。なお、本明細書中で、還流容器または液体還流容器の「還流」とは、容器内の液体が容器から流出し、流出した液体の一部または全部が、容器に戻ることをいうものとする。
らに開口は大きいほうが好ましい。また、液体還流容器内の気体中に開く開口部は1つであっても複数であってもよい。
図1(A)は、一実施態様における細胞濃縮装置1の構成を示す図である。
22μmのフィルター5を介して気体バッグ6に接続されている。気体バッグ6には予め細胞懸濁液の質的変化を抑制するガスを必要量保持している。ガスは5−10%CO2であることが好ましい。この気体バッグ6の形状としては特に限定されないが、袋状のものが好ましい。それによって、ガスの充填の際は事前に押しつぶして内部の気体を排出し、その後に所望のガスを充填すれば、所望のガス濃度でその容積内にガスを保持することが容易である。気体バッグの素材としては樹脂材が好適であり、さらに内部をガス保持させ
る必要から、ガス透過性が低いものがよく、エチルビニルアルコールやポリエステル、ポリ塩化ビニルなどが用いられる。
濃縮モジュール12の排出口16より流入管8から還流容器2に戻るように構成された、還流流路となっている。圧力調整弁21はこの還流流路内の圧力を調整する。そして、コントローラー22は、ポンプ10、開閉弁18、圧力調整弁21をタイミングよく制御する。
こうした細胞濃縮装置を用いた細胞濃縮方法を以下に説明する。
図2は従来の一般的な還流容器2の形状である細胞濃縮装置29を示す従来例である。還流容器2内の流入管8に図1の開口部9が存在せず、流入管8の開口端が気体中に開いているときは、液体は流入管8の開口端から細胞懸濁液に落下する。その際、落下の衝撃で液体より飛沫が発生し、また底部の細胞懸濁液の液面付近の気体を巻き込んだ気泡が生じることとなる。また、還流容器2内の流入管8の開口部9が細胞懸濁液近傍、あるいは細胞懸濁液内にあるときは、ポンプ10を送液方向24に送液した際、還流容器2内の細胞濃縮液を吸引して再度還流してしまう可能性がある。
図3は、他の実施態様として示す細胞濃縮装置32である。流入管8は開口部を有さず、その開口端を還流容器2内に保持されている細胞懸濁液中に開口するようにし、かつ送液管11を分岐して、開閉弁33とフィルター34を構成している。さらに接続チューブと気体バッグ6と接続し、気体バッグ6内部のガスは還流容器2の気圧調節と、ポンプ10を送液方向24に送液した際の気相の吸気に使用される。この方法により流入管8での泡防止機能と還流容器2内の気相の流入を制限できる。しかしながら、実施例1に比べ流路構成が複雑化しかつ開閉弁33が増えたことにより制御すべき要件が増加している。
本発明の細胞濃縮装置を利用した細胞濃縮システムを説明する。図4は細胞濃縮装置1を組み込んで、細胞濃縮工程を全自動で行う細胞濃縮システム40の構成を示したものである。本装置は、第1工程として、液体の質的変化が抑制されるガスを充填する工程、第2工程として洗浄バッファーを送液して細胞濃縮前に細胞濃縮モジュールを馴化し洗浄する工程、第3工程として、細胞懸濁液を細胞濃縮モジュールで濃縮し、細胞濃縮液を製造する工程、第4工程として他の緩衝液を送液して、細胞濃縮液を他の緩衝液で希釈するする工程、第5工程として、細胞濃縮液回収容器で細胞濃縮液を回収する工程、を全自動で実施する。
程を停止して処理の継続の可否など適切な処理へ移行させることができる。細胞濃縮工程では、過剰な濃縮は細胞へのダメージが飛躍的に上昇するが、これを防止するためには、このような流路内圧力の監視は必須であり、たとえば還流容器2の液体が少なくなって気体交じりの細胞濃縮液が流れ出るようにあっては、細胞濃縮モジュールでは気体はろ過ポートを通過できず、細胞濃縮モジュールに堆積する結果圧力センサーPf、Ppは直ぐに高値を示すようになる。
図5に、細胞濃縮システム40によって細胞懸濁液を濃縮する際の作業工程を示す。本システムにおいては、作業の準備工程として、細胞濃縮システム40に細胞濃縮装置を設置し(S01)、無菌的に、細胞濃縮装置における無菌接続部50に洗浄バッファー42と希釈バッファーボトル43とサンプルボトル46を接続し(S02)、接続チューブにフィルター5、51、52、53、49を設置する(S03)。
されており、内部の液体は移動しない。次いでポンプ41を所定時間(排出時間)稼動させると、フィルター49より順次ガス導入がされるとともに接続チューブ内に一時的にとどまった洗浄バッファー(体積A)が還流容器2に移動し、目標の液量Vに相当する液量の送液が完了する。重量センサー31は、完了時の液体重量を検知して記録することができる上に、送液量と送液時間などの細胞濃縮条件をすべて記録することができるように構成してもよい。
図6は細胞濃縮液に不要な成分の持込みをさらに低減することを目的とした、複数の細胞濃縮装置を有する細胞濃縮システム60の実施態様である。本実施態様では、第1細胞濃縮装置61が、ポンプ10と細胞濃縮モジュールの間の接続チューブ11から分岐した接続チューブに開閉弁62を介して、第2細胞濃縮装置63と接続している。同様に第2細胞濃縮装置63は開閉弁64を介して、第3細胞濃縮装置65と接続している。各細胞濃縮装置として、これまでに詳述した細胞濃縮装置を用いることができる。
本実施態様は、細胞濃縮液に不要な成分の持込をさらに低減することを目的とした、複数の細胞濃縮モジュールを備える細胞濃縮システム70を示す。細胞濃縮モジュール71は、上述の細胞濃縮装置1と同様の細胞濃縮モジュールを用いる。細胞濃縮装置の基本的な構成は図1を基礎とするが、本実施態様の細胞濃縮装置では、細胞濃縮モジュールを複数設けるものとする。以下、図7を参考に、細胞濃縮モジュールを三つ設けた態様を以下に説明するが、細胞濃縮モジュールは二つ以上であればよく、図7と同様にして四つ以上設けてもよい。
閉弁18、第2細胞濃縮モジュールにおけるろ過管を制御する開閉弁75、第3細胞濃縮
モジュールにおけるろ過管を制御する開閉弁78が設けられ、それぞれのろ過管は排液バッグに接続されている。
。その際の細胞懸濁液の濃縮は、最終目標の液量にならないようにとどめておく(例えば、減量予定量の1/3程度の減量にとどめる)。次いで、開閉弁72を閉じ開閉弁73と
75を開けて、第2細胞濃縮モジュール74のみを使用してさらに細胞懸濁液を濃縮する。その際の細胞懸濁液の濃縮は、再度、最終目標の液量にならないようにとどめておく(減量予定量の2/3程度の減量にとどめる)。次いで、開閉弁73を閉じ開閉弁76と7
8を開けて、第3細胞濃縮モジュール77のみを使用してさらに細胞懸濁液を濃縮する。そして、細胞懸濁液が目標の液量に濃縮されたとき、細胞濃縮工程を終了する。
細胞濃縮モジュール12として、中空糸膜によるSpectrum社製TFF細胞濃縮モジュール、ミディクロスモジュールシリーズ 型番D02−S500−05−P、膜面積190cm2、分子量500kDa)を用いた。
電磁弁に対応する接続チューブにはエストラマチューブ(内径1/16インチ、外径1/8インチ サンゴバン社、型番AY242002)を使用した。各ポンプにはチューブポンプ(吐出/吸入圧力 +/−0.1MPa、ウェルコ社、型番WP1000−P3.2
DM4−C)としごき用チューブとしてエストラマチューブ(内径1/8インチ、外径1/4インチ サンゴバン社、型番AY242007)を組み合わせて使用した。本品はローラー部が本体のモータ部から着脱可能であるので、エストラマゴムチューブ(20.5cm長)をローラー部に巻きつけた状態で滅菌操作が可能である。本ポンプの流量は、DC12V入力において、実測結果より1mL/秒であった。電磁弁の閉止部位およびポン
プ部のしごき部位以外のチューブには材質が塩化ビニルであるタイゴンND−100(内径1/16インチ、外径1/8インチ、サンゴバン社、型番 #ADF00002)を使用した。チューブの分岐、および接合部にはSMCカップリング(CPC社)シリーズを使用した。詳細には2分岐接合にY Fitting(接合径1/16インチ、型番#HY291)、直線連結にはStraight Fitting(接合径1/16インチ、型番#HS291)を使用した。
00JP)を使用し、排出バッグ19にはFlexboyバッグ(EVA、EVOH2重構造、容量3L、ザルトリウス社、型番#FFB102812)を使用した。
5kPa)を使用した。
圧力センサー27、28、29における圧力感応部には、圧力変換器(Spectrum社、型名ACPM−799−01N)およびロードセルアンプ(M−SYSTEM社、型番M2LCS−155−R/K/N)を接続して、圧力計測を行った。重量センサー20には、台秤タイプのロードセル(A&D社、型番LC4101−K1.5)とアンプ表示器(A&D社、型番AD−4513B)を使用し、重量センサー31には、上皿電子天秤(A&D社、型番EJ−610)を使用し、またコントローラーには、制御コントローラー(Keyence社、KV−5000シリーズ)を用いて自動制御を行った。
2.0×107個のがん細胞(HepG2細胞株)を、500ml(細胞濃度4.0×104個/ml)の増殖用培地(ウシ胎児血清10%及びペニシリン・ストレプトマイシ
ン各1%含有DMEM)に分散させ、細胞懸濁液とした。
滅菌処理した細胞濃縮装置を設置して細胞濃縮システムを構成し、各々の電磁弁と指定部位の接続チューブ、およびポンプにおけるカセット部を接続した。それぞれ500mLのPBSバッファー(シグマアルドリッチ社、型名D8537)が入った洗浄バッファーボトルと希釈バッファーボトルを、各々所定の無菌接続部に接続し自動細胞濃縮操作を開始した。なお比較対象として従来の循環ボトル(図2の形状に相当)についても、同様に比較実験を行った。気体バッグ6に保持するガス濃度は5%CO2、20%O2、78%N2とし、充填時送気量は送気流量0.5L/分である。
送液して、細胞濃縮モジュール12を通過させ、モジュール孔径を平均化する目的でモジュール馴化を行った。
対照実験として、手技による遠心操作によって細胞濃縮を行った。細胞濃縮装置を用いた場合と同じ細胞懸濁液を、250ml遠沈管(コーニング社、型番430776)2本に分注して、遠心機(日立工機社、CR21F、ロータNo.RPR12−2)により1、000rpm(150G)で5分間遠心分離したのち、約1ml残して上清を除去した。
濃縮した細胞は、15mlチューブ1本で再度遠心分離して細胞のペレットを得た後、これを2mlの培地に再分散し、トリパンブルー(ナカライテスク社、型番35525−02)で定法により染色した後、血球計数盤により計数した。
図8にがん細胞の懸濁液について濃縮の結果をまとめた。「相対回収率」とはそれぞれの濃縮方法について回収率(=濃縮後回収された生細胞数/投入生細胞数)を求め、対照実験の手技(遠心分離)の回収率を1として標準化したものである。投入生細胞数は、いずれの場合でも1×107cellsである。「生細胞比率」は、回収された生細胞数/回収された全細胞数×100 (%)として求めた。図8には、各々「試行回数」の元での平均値と標準偏差値を示している。その結果、従来の循環ボトルに対し、本発明の循環ボトルを用いた場合、回収率及び生細胞比率のいずれもが改善した。これは細胞懸濁液の濃縮の際における泡の発生を抑制したために、細胞へのダメージが低下して生細胞の回収率が高まったことによるものと考えられる。
体バッグ、7…吸引管、8…流入管、9…開口部、10…ポンプ、11…送液管、12…細胞濃縮モジュール、13…分離膜、14…導入口、15…ろ過ポート、16…排出口、17…ろ過管、18…弁、19…排出バッグ、20…重量センサー、21…圧力調整弁、22…コントローラー、23…送液方向(濃縮時)、24…送液方向(回収時)、25…回収ボトル、26…開閉弁、27…圧力センサーPr、28…圧力センサーPp、29…細胞濃縮装置(従来例)30…疎水性フィルター、31…重量センサー、32…細胞濃縮装置、33…開閉弁、34…フィルター、39…分岐点、40…細胞濃縮システム、41…ポンプ、42…洗浄ボトル、43…開閉弁、44…希釈バッファーボトル、45…開閉弁、46…サンプルボトル、47…開閉弁、48…開閉弁、49…フィルター、50…無菌接続部品、51、52、53…フィルター、54…ガス供給源、55…開閉弁、56…逆止弁、60…細胞濃縮システム、61…第1細胞濃縮装置、62…開閉弁、63…第2
細胞濃縮装置、64…開閉弁、65…第3細胞濃縮装置、70…細胞濃縮システム、71…第1細胞濃縮モジュール、72…開閉弁、73…開閉弁、74…第2細胞濃縮モジュー
ル、75…開閉弁、76…開閉弁、77…第3細胞濃縮モジュール、78…開閉弁
Claims (13)
- 第1の管と第2の管を備える、密閉された液体還流容器であって、
第1の管と第2の管は、送液管によって前記液体還流容器外部で接続されていて、
前記送液管は、内部の液体を両方向に送液することができる送液ポンプを備え、
第1の管と第2の管は、前記液体還流容器内の液体中に開口端を有し、
第1の管は、前記液体還流容器内の気体中に開口部を有する、液体還流容器。 - 気体バッグと接続した第3の管を備える、請求項1に記載の液体還流容器。
- 前記開口部の開口面積が第1の管の断面積より大きい、請求項1又は2に記載の液体還流容器。
- 前記液体が細胞を含む、請求項1〜3のいずれ下に記載の液体還流容器。
- 液体還流容器を備える細胞濃縮装置であって、
前記液体還流容器は、送液管によって前記液体還流容器外部で接続されている第1の管と第2の管を備え、
前記送液管は、内部の液体を両方向に送液することができる送液ポンプおよび細胞濃縮モジュールを備え、
第1の管と第2の管は、前記液体還流容器内の液体中に開口端を有し、
第1の管は、前記液体還流容器内の気体中に開口部を有し、
前記液体が、細胞の懸濁液である、細胞濃縮装置。 - 気体バッグと接続した第3の管を備える、請求項5に記載の細胞濃縮装置。
- 前記気体バッグが5〜10%炭酸ガスを含有する気体を含み、前記細胞の懸濁液が炭酸バッファーを含む、請求項5又は6に記載の細胞濃縮装置。
- 前記開口部の開口面積が第1の管の断面積より大きい、請求項5〜7のいずれか1項に記載の細胞濃縮装置。
- 前記細胞濃縮モジュールに開閉弁または逆止弁を介して接続され、前記細胞濃縮モジュールから排出された排出液を保持する排出バッグをさらに備える、請求項5〜8のいずれか1項に記載の細胞濃縮装置。
- 請求項5〜9のいずれか1項に記載の細胞濃縮装置を着脱可能に有する、細胞濃縮システム。
- 圧力センサー及び/又は重量センサーをさらに有する、請求項10に記載の細胞濃縮システム。
- 前記圧力センサーが、前記細胞濃縮モジュールの上流の圧力を検出する圧力センサー、前記細胞濃縮モジュール下流の圧力を検出する圧力センサー、及び細胞濃縮モジュールのろ液の圧力を検出する圧力センサーからなる群から選択される少なくとも1つの圧力センサーである、請求項11に記載の細胞濃縮システム。
- 細胞懸濁液を前記液体還流容器に供給するための試料容器と、
濃縮された前記細胞懸濁液を回収するための回収容器と、
をさらに備える、請求項10〜12のいずれか1項に記載の細胞濃縮システム。
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