本発明のプラスチックラベルは、粒径0.01〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子(A)、粒径1.5〜10μmのポリテトラフルオロエチレン粒子(B)、及びアクリル系樹脂(C)を含むコーティング層と、プラスチックフィルムとを有し、上記ポリテトラフルオロエチレン粒子(A)の含有量が、上記コーティング層の全重量に対して、0.3〜5重量%、上記ポリテトラフルオロエチレン粒子(B)の含有量が、上記コーティング層の全重量に対して、1〜15重量%、上記アクリル系樹脂(C)の含有量が、上記コーティング層の全重量に対して、80重量%以上であり、上記コーティング層中の、粒径が10μmを超える粒子の含有量が、上記コーティング層の全重量に対して、3重量%未満であるプラスチックラベルである。本明細書においては、上記コーティング層を、「本発明のコーティング層」と称する場合がある。
本明細書において、上記「粒径0.01〜1.0μmのポリテトラフルオロエチレン粒子(A)」を「PTFE粒子(A)」、上記「粒径1.5〜10μmのポリテトラフルオロエチレン粒子(B)」を「PTFE粒子(B)」とそれぞれ称する場合がある。また、本明細書において、「ポリテトラフルオロエチレン粒子」を「PTFE粒子」と称する場合がある。
上記PTFE粒子とは、ポリテトラフルオロエチレンを少なくとも含む粒子である。PTFE粒子に含まれるポリテトラフルオロエチレンの含有量は、特に限定されないが、例えば、上記PTFE粒子の全重量(100重量%)に対して50重量%以上(50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)である。
上記ポリテトラフルオロエチレンとしては、特に限定されないが、テトラフルオロエチレンを必須のモノマー成分として構成された重合体、即ち、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位を少なくとも有する重合体(共重合体)が挙げられる。上記ポリテトラフルオロエチレンを構成するモノマー成分にはテトラフルオロエチレン以外のモノマー成分が含まれていてもよいが、ポリテトラフルオロエチレンを構成するモノマー成分はテトラフルオロエチレンのみからなることが好ましい。即ち、ポリテトラフルオロエチレンに含まれる、テトラフルオロエチレンに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、例えば、上記ポリテトラフルオロエチレンの全重量(100重量%)に対して50重量%以上(50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは70重量%以上(70〜100重量%)である。
[本発明のコーティング層]
本発明のコーティング層は、本発明のプラスチックラベルにおける必須のコーティング層である。本発明のコーティング層は、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)を必須の構成成分として含有する。また、本発明のコーティング層は、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)以外にも、シリコーン系化合物を含有することが好ましい。さらに、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。
(PTFE粒子(A))
PTFE粒子(A)は、粒径0.01〜1.0μmのPTFE粒子である。PTFE粒子(A)の粒径は、好ましくは0.03〜0.95μm、さらに好ましくは0.05〜0.9μmである。
なお、上記PTFE粒子(A)の粒径とは、個々の粒子の粒径(粒子1個の粒径)を表す。上記PTFE粒子(A)の粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。より具体的には、例えば、Honeywell社製「Microtrac(マイクロトラック) HRA9320−X100」、日機装(株)製「Microtrac(マイクロトラック) MT3000」等により測定することができる。
上記PTFE粒子(A)は、特に限定されないが、PTFEワックスが好ましい。PTFE粒子(A)(即ち、粒径0.01〜1.0μmであるPTFE粒子)を含むPTFE粒子は、市販品を用いることも可能である。例えば、Shamrock Technologies社製「nanoFLON P47A」、「nanoFLON P39B」、「Fluoro A」、(株)喜多村製「KTL−500F」などが市場で入手可能である。
本発明のコーティング層中の、PTFE粒子(A)の含有量は、本発明のコーティング層の全重量(100重量%)に対して、0.3〜5重量%であり、好ましくは0.4〜4.5重量%、より好ましくは0.7〜4重量%である。上記PTFE粒子(A)の含有量が0.3重量%未満であると、耐摩耗性が低下し、5重量%を超えると、透明性、光沢性が低下する。
(PTFE粒子(B))
PTFE粒子(B)は、粒径1.5〜10μmのPTFE粒子である。PTFE粒子(B)の粒径は、好ましくは1.5〜8μm、さらに好ましくは1.5〜6μmである。
なお、上記PTFE粒子(B)の粒径とは、個々の粒子の粒径(粒子1個の粒径)を表す。上記PTFE粒子(B)の粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。上記粒径は、特に限定されないが、具体的には、例えば、上記のPTFE(A)の粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
上記PTFE粒子(B)は、特に限定されないが、PTFEワックスが好ましい。PTFE粒子(B)(即ち、粒径1.5〜10μmであるPTFE粒子)を含むPTFE粒子は、市販品を用いることも可能である。例えば、BYK−Chemie社製「CERAFLOUR 980」、「CERAFLOUR 981」、Shamrock Technologies社製「SST−3」、「SST−3D」、「SST−4」、「SST−1MG」、「SST−4MG」、(株)喜多村製「KTL−8N」、「KTL−4N」、「KTL−2N」、「KTL−1N」、Lubrizol社製「PINNACLE 9000」、「PINNACLE 9001」、「PINNACLE 9500」、「LANCO 1792」、「LANCO 1796」などが市場で入手可能である。
本発明のコーティング層中の、PTFE粒子(B)の含有量は、本発明のコーティング層の全重量(100重量%)に対して、1〜15重量%であり、好ましくは2〜13重量%、より好ましくは3〜8重量%である。上記PTFE粒子(B)の含有量が1重量%未満であると、耐摩耗性が低下し、15重量%を超えると、透明性、光沢性が低下し、粒子がラベルから脱落してラインを汚染する。
上記PTFE粒子(A)の含有量及び上記PTFE粒子(B)の含有量は、特に限定されないが、例えば、レーザー回折法などにより粒度分布を測定し、所定の粒径の範囲内の積算量から求めることができる。
PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)の形状は、特に限定されないが、例えば、略球形状、略方形状、略偏平状、略針状などの定形状;断面が一定でない不定形状などが挙げられる。中でも、略球形状が好ましい。PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)は、特に限定されないが、例えば、尖状部、凹状部、凸状部、糸状部、繊維状部、球状部、偏平状部、孔部等を有していてもよい。
(アクリル系樹脂(C))
上記アクリル系樹脂(C)は、特に限定されず、公知乃至慣用のコーティング剤用のアクリル系樹脂を用いることができる。上記アクリル系樹脂(C)は、特に限定されないが、本発明のコーティング層を形成する主たる樹脂成分としての役割を担う。アクリル系樹脂(C)としては、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として構成された重合体、即ち、アクリル系モノマーに由来する構成単位を少なくとも有する重合体(共重合体)が挙げられる。上記アクリル系樹脂(C)を構成するモノマー成分にはアクリル系モノマー以外のモノマー成分が含まれていてもよいが、アクリル系樹脂(C)を構成するモノマー成分はアクリル系モノマーのみからなることが好ましい。なお、シリコーングラフトアクリル系樹脂は、アクリル系樹脂(C)には含まれない。
上記アクリル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸;カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-8アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類などが挙げられる。上記アクリル系モノマーは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
上記アクリル系モノマー以外のアクリル系樹脂(C)を構成するモノマー成分としては、特に限定されないが、例えば、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;エチレン、プロピレンなどが挙げられる。
上記アクリル系樹脂(C)を構成するモノマー成分全量(100重量%)中のアクリル系モノマーの含有量、即ち、アクリル系樹脂(C)(100重量%)中のアクリル系モノマーに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、本発明のコーティング層とプラスチックフィルム(特にポリエステル系フィルム)との密着性の観点から、80重量%以上(80〜100重量%)が好ましく、より好ましくは90重量%以上(90〜100重量%)である。
上記アクリル系樹脂(C)としては、上記の中でも、メタクリル酸メチルに由来する構成単位を主たる構成単位とするアクリル系樹脂が特に好ましい。上記アクリル系樹脂(C)を構成するモノマー成分全量(100重量%)中のメタクリル酸メチルに由来する構成単位の含有量、即ち、アクリル系樹脂(C)(100重量%)中の、メタクリル酸メチルに由来する構成単位の含有量は、特に限定されないが、50重量%以上(50〜100重量%)が好ましく、より好ましくは60重量%以上(60〜100重量%)である。
上記アクリル系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、本発明のコーティング層とプラスチックフィルムとの密着性、ブロッキング防止の観点から、20,000〜250,000が好ましく、より好ましくは30,000〜200,000、さらに好ましくは40,000〜170,000である。
上記アクリル系樹脂(C)のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、本発明のコーティング層の耐摩耗性、耐熱性向上の観点から、40〜120℃が好ましく、より好ましくは50〜100℃である。
上記アクリル系樹脂(C)の酸価は、特に限定されないが、本発明のコーティング層を形成するコーティング剤の保存安定性の観点から、0〜20mgKOH/gが好ましく、より好ましくは0〜15mgKOH/gである。
上記アクリル系樹脂(C)は、市販品を用いることも可能である。例えば、東亞合成(株)製「ARUFONシリーズ」、三菱レイヨン(株)製「ダイヤナールシリーズ(BRシリーズ、LRシリーズ等)」などが市場で入手可能である。
本発明のコーティング層中の、アクリル系樹脂(C)の含有量は、本発明のコーティング層の全重量(100重量%)に対して、80重量%以上であり、好ましくは83重量%以上、より好ましくは85重量%以上である。上記含有量の上限は、特に限定されないが、例えば、97重量%であり、好ましくは95重量%、より好ましくは93重量%である。上記アクリル系樹脂(C)の含有量が80重量%未満であると、密着性、透明性が低下する。
(粒径が10μmを超える粒子)
本発明のコーティング層中の、粒径が10μmを超える粒子の含有量は、本発明のコーティング層の全重量(100重量%)に対して、3重量%未満(3〜0重量%)であり、好ましくは2重量%未満(2〜0重量%)、より好ましくは0重量%である。即ち、本発明のコーティング層中には、粒径が10μmを超える粒子を含まないことが特に好ましく、又は、含むとしても少量であることが好ましい。粒径が10μmを超える粒子の含有量が3重量%以上であると、粒子がラベルから脱落してラインを汚染したり、透明性が低下したりする。
なお、粒径が10μmを超える粒子の粒径とは、個々の粒子の粒径(粒子1個の粒径)を表す。上記粒径は、例えば、レーザー回折法により測定することができる。上記粒径は、特に限定されないが、具体的には、例えば、上記のPTFE(A)の粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
上記粒径が10μmを超える粒子の含有量は、特に限定されないが、例えば、レーザー回折法などにより粒度分布を測定し、所定の粒径の範囲内の積算量から求めることができる。
上記の粒径が10μmを超える粒子としては、公知乃至慣用の粒子が挙げられ、特に限定されないが、例えば、PTFE粒子(A)やPTFE粒子(B)以外のPTFE粒子;シリカ、タルク、雲母、カオリン、ベントナイト、クレー、黒鉛、フッ化黒鉛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、チタン酸カルシウム、リン酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ガラス粉、アルミナ、金属粉などの無機粒子;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸の塩(金属石けん)、ポリアセタール、ポリ(メタ)アクリル酸金属塩、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸アミド、アクリルビーズ、中空アクリルビーズ、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂などの有機粒子;マイクロクリスタリンワックス、酸化マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、酸化パラフィン、モンタンワックスなどの鉱物系ワックス;ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素変性ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス、塩素化ポリプロピレンワックス、エチレン−アクリル酸共重合体ワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体ワックス、ポリカーボネートワックスなどの合成ワックス;ワセリン、ラノリン、カルナバワックスなどの天然ワックスなどが挙げられる。
(シリコーン系化合物)
本発明のコーティング層は、滑り性、耐摩耗性、耐熱性等を向上させる観点から、シリコーン系化合物を含有することが好ましい。なお、本明細書においては、分子中にオルガノポリシロキサン構造を含む化合物を「シリコーン系化合物」と称する。上記シリコーン系化合物としては、主鎖にオルガノポリシロキサン構造を含む化合物、側鎖にオルガノポリシロキサン構造を含む化合物、シロキサン結合からなる主鎖を有するオルガノポリシロキサン(シリコーンオイル等)などが挙げられ、中でも、シリコーンオイルが好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、具体的には、例えば、メチル基、フェニル基以外の置換基を有しない、いわゆるストレートシリコーンオイル(ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンなど)や、側鎖及び/又は末端にメチル基、フェニル基以外の置換基を有する、いわゆる変性シリコーンオイルなどが挙げられる。上記変性シリコーンオイルにおける置換基(メチル基、フェニル基以外の置換基)としては、例えば、エポキシ基、フッ素原子、アミノ基、カルボキシル基、脂肪族ヒドロキシル基(アルコール性水酸基)、芳香族ヒドロキシル基(フェノール性水酸基)、(メタ)アクリロイル基含有の置換基、ポリエーテル鎖を含有する置換基などが挙げられる。上記変性シリコーンオイルとしては、例えば、エポキシ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、(メタ)アクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、ジオール変性シリコーンオイルなどが例示される。
上記シリコーン系化合物としては、さらに、オルガノポリシロキサン構造を含む共重合体(例えば、グラフト共重合体など)が挙げられる。さらに具体的には、オルガノポリシロキサン構造を含むアクリル系樹脂が挙げられ、例えば、シリコーングラフトアクリル系樹脂などが挙げられる。上記シリコーングラフトアクリル系樹脂(「アクリルシリコーン」とも称する)としては、(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンオイルとアクリル系モノマー((メタ)アクリル酸エステルなど)を必須のモノマー成分とする共重合体などが挙げられる。
上記の中でも、シリコーンオイルとしては、アクリル系樹脂(C)との親和性の観点から、オルガノポリシロキサン構造を含むアクリル系樹脂が好ましく、シリコーングラフトアクリル系樹脂が特に好ましい。
上記シリコーン系化合物としては、例えば、国際公開2007/007803号パンフレット、国際公開2007/074684号パンフレット、特開2008−170822号公報、特開2008−170697号公報、特開2009−244691号公報に記載の化合物(シリコーン化合物、シリコーングラフトアクリル系樹脂等)や商品などを用いることが可能である。
上記シリコーン系化合物は、市販品を用いることも可能である。例えば、信越化学工業(株)製「KP−541」などが市場で入手可能である。
本発明のコーティング層中の、上記シリコーン系化合物の含有量は、特に限定されないが、本発明のコーティング層の全重量(100重量%)に対して、1〜5重量%が好ましく、より好ましくは1〜4重量%である。上記シリコーン系化合物の含有量が1重量%未満では滑り性が不足する場合があり、5重量%を超えるとはじき(コーティング不良)が起こる場合がある。
(添加剤)
本発明のコーティング層は、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)、粒径が10μmを超える粒子及びシリコーン系化合物以外の成分(添加剤)を、本発明の効果を損なわない範囲内で含有していてもよい。上記添加剤としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂(C)以外の樹脂、顔料、染料、可塑剤、滑剤、沈降防止剤、分散剤、安定剤、硬化剤、消泡剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、色別れ防止剤、香料、消臭剤等が挙げられる。上記添加剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
本発明のコーティング層は、必要に応じて、アンカーコート層を介してプラスチックフィルム上に設けられていてもよい。また、本発明のコーティング層は、単層であってもよいし、多層構造であってもよい。
本発明のコーティング層の厚みは、特に限定されないが、0.2〜3μmが好ましく、より好ましくは0.5〜2.5μm、さらに好ましくは0.7〜2μmである。本発明のコーティング層が0.2μm未満では耐摩耗性、表面光沢(グロス)が低下する場合があり、3μmを超えると透明性が低下する場合がある。
[プラスチックフィルム]
上記プラスチックフィルムは、本発明のコーティング層の支持体となり、ラベルの強度、剛性や収縮特性に主たる影響を及ぼす。上記プラスチックフィルムの種類は、プラスチックラベルの種類等に応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、プラスチックラベルがシュリンクラベル(熱収縮性ラベル)の場合には、プラスチックフィルムはシュリンクフィルム(熱収縮性フィルム)である。
上記プラスチックフィルムを形成する樹脂の種類は、要求物性、用途、コストなどに応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、アクリル系樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの樹脂は1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。さらに、同種又は異種の樹脂を積層して積層フィルムとして用いてもよい。中でも、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が好ましい。即ち、上記プラスチックフィルムは、ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系フィルム、ポリスチレン系樹脂からなるポリスチレン系フィルム、ポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又はポリスチレン系樹脂を内層とした異種積層フィルムが好ましい。上記の中でも、透明性の観点から、特にポリエステル系フィルムが好ましい。上記のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂としては、例えば、特開2008−170822号公報、特開2008−170697号公報、特開2008−163215号公報、特開2008−163231号公報に記載のポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などを用いることができる。
上記ポリエステル系フィルムに用いられるポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂やポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができ、中でも好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂である。上記PET系樹脂としては、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを用いたポリエチレンテレフタレート(PET);ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(CHDM共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ネオペンチルグリコール(NPG)を共重合成分として用いた共重合ポリエステル(NPG共重合PET)、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用い、ジオール成分としてエチレングリコールを主成分、ジエチレングリコールを共重合成分として用いた共重合ポリエステルなどのジオール変性PET;ジカルボン酸変性PET(ジカルボン酸成分において、テレフタル酸を主成分にイソフタル酸及び/又はアジピン酸で変性)などが挙げられる。
上記ポリスチレン系フィルムに用いられるポリスチレン系樹脂としては、構成モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−イソブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系単量体を1種又は2種以上含む樹脂が挙げられる。具体的には、例えば、汎用ポリスチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン・イソプレン−スチレン共重合体(SBIS)、スチレン−アクリル酸エステル共重合体等が好ましく例示される。
上記ポリオレフィン系フィルムに用いられるポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、メタロセン触媒系LLDPE(mLLDPE)などのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。特に、ポリオレフィン系フィルムとしては、環状オレフィン樹脂を外層とするものが好ましい。例えば、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層(中心層)とするものが好ましい。
上記プラスチックフィルムは単層構成であってもよいし、積層構成を有していてもよい。即ち、上記プラスチックフィルムは、単層フィルムであってもよいし、要求物性、用途などに応じて、複数のフィルム層を積層した積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合、同種の樹脂からなるフィルム層を積層していてもよいし、異なる樹脂からなるフィルム層を積層していてもよい。積層フィルムの場合、ポリエステル系樹脂を外層とした積層フィルムや、環状オレフィン樹脂を外層とした積層フィルムが好ましく、より好ましくは、ポリエステル系樹脂を外層とし、ポリオレフィン系樹脂又はポリスチレン系樹脂を内層とした積層フィルムや、環状オレフィン樹脂を外層とし、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂を内層とした積層フィルムである。
上記プラスチックフィルムは、無配向フィルムであってもよいし、配向フィルムであってもよい。中でも、プラスチックフィルムがシュリンクフィルムである場合には、シュリンク特性(熱収縮特性)を発揮する観点から、少なくとも1軸方向に配向したフィルム(例えば、1軸、2軸又は多軸に配向したフィルム)であることが好ましい。上記シュリンクフィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が配向していることが好ましく、全てのフィルム層が少なくとも1軸方向に配向したフィルムであることが好ましい。全てのフィルム層が無配向の場合には、十分なシュリンク特性を発揮できない場合がある。上記プラスチックフィルム(特にシュリンクフィルム)としては、特に1軸方向に配向したフィルム(1軸配向フィルム)または2軸方向に配向したフィルム(2軸配向フィルム)が好ましく、中でも、1軸配向フィルム(実質的に1軸延伸されたフィルム)がより好ましい。特に幅方向に1軸延伸されたフィルムが好ましい。
上記少なくとも1軸方向に配向したフィルムは、未延伸フィルムを、少なくとも1軸方向に延伸することで得られる。例えば、上記少なくとも1軸方向に配向したフィルムが1軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを1軸方向に延伸することで得られ、2軸配向フィルムである場合は未延伸フィルムを2軸方向に延伸することで得られる。なお、シュリンクラベルは、シュリンクフィルムの配向方向に主に熱収縮できる。
上記プラスチックフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。表面処理を施された上記プラスチックフィルムとしては、特に限定されないが、表面処理を施されたポリオレフィン系フィルムが好ましい。
即ち、上記プラスチックフィルムとしては、特に限定されないが、中でも、ポリエステル系樹脂からなるポリエステル系フィルム、ポリエステル系樹脂を外層とした積層フィルム、表面処理を施されたポリオレフィン系フィルムが特に好ましい。
上記プラスチックフィルムは、溶融製膜または溶液製膜などの慣用の方法によって作製することができる。また、市販のプラスチックフィルム(シュリンクフィルムなど)を用いることも可能である。積層構成のプラスチックフィルムを作製する場合、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法、ドライラミネート法などを用いることが可能である。プラスチックフィルムに配向を施す方法としては、例えば、長手方向(フィルムの製造ライン方向。縦方向又はMD方向とも称する)および幅方向(長手方向と直交する方向。横方向又はTD方向とも称する)の2軸延伸、長手方向又は幅方向の1軸延伸等を用いることができる。延伸方式は、例えば、ロール方式、テンター方式、チューブ方式等を用いることができる。例えば、幅方向に実質的に1軸延伸されたフィルムの延伸処理は、70〜100℃程度の温度で、必要に応じて長手方向に例えば1.01〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍程度に延伸した後、幅方向に3〜6倍、好ましくは4〜5.5倍程度延伸することにより行うことができる。
上記プラスチックフィルムがシュリンクフィルムである場合、シュリンクフィルムの主配向方向の、90℃、10秒における熱収縮率(「熱収縮率(90℃、10秒)」と称する場合がある)は、特に限定されないが、15〜90%が好ましく、より好ましくは20〜85%である。上記シュリンクフィルムの、主配向方向と直交する方向の熱収縮率(90℃、10秒)は、特に限定されないが、−3〜10%が好ましい。なお、上記「主配向方向」とは主に延伸処理が施された方向(最も熱収縮率が大きい方向)であり、一般的には長手方向又は幅方向であり、例えば、幅方向に実質的に1軸延伸されたフィルムの場合には幅方向である。
上記プラスチックフィルムは、透明又は不透明の何れでもよい。上記プラスチックフィルムが透明フィルムの場合、プラスチックフィルムのヘイズ(ヘーズ)値[JIS K 7105準拠、厚み40μm換算、単位:%]は、10%未満が好ましく、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは2.0%未満である。ヘイズ値が10%以上の場合には、プラスチックフィルムを通して印刷を見せる場合に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。ただし、ヘイズ値が10%以上の場合であっても、いわゆる表印刷ラベル(ラベルを容器の装着したとき、プラスチックフィルムの外側に印刷を有するラベル)用途においては十分に使用可能である。上記透明フィルムは、無色であることが好ましいが、透明性を損なわない範囲で着色されていてもよい。また、不透明のプラスチックフィルムとしては、特に限定されないが、例えば、乳白フィルムなどを用いることができる。なお、上記ヘイズ値は、上記プラスチックフィルムがシュリンクフィルムの場合は、熱収縮前のヘイズ値である。
上記プラスチックフィルムの厚みは、特に限定されないが、耐突き刺し性、耐摩耗性の観点から、10〜100μmが好ましく、より好ましくは12〜80μm、さらに好ましくは15〜60μmである。
上記プラスチックフィルム(例えば、シュリンクフィルム)は、市販品を用いることも可能である。例えば、シュリンクフィルムの市販品としては、東洋紡績(株)製「スペースクリーン S7042」、「スペースクリーン S7020」、「スペースクリーン S8028」、「SV−808」、三菱樹脂(株)製「LX−10S」、「LX−61S」(以上、ポリエステル系フィルム);シーアイ化成(株)製「ボンセット」、グンゼ(株)製「GMLS」(以上、ポリスチレン系フィルム);グンゼ(株)製「ファンシーラップ FL1」、「ファンシーラップ FL2」、(以上、ポリオレフィン系フィルム);三菱樹脂(株)製「エコロージュ」(ポリ乳酸系フィルム);三菱樹脂(株)製「DL」、グンゼ(株)製「HGS」(以上、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂の積層フィルム)等が挙げられる。
[プラスチックラベル]
本発明のプラスチックラベルは、本発明のコーティング層及び上記プラスチックフィルムを少なくとも有する。本発明のコーティング層は、プラスチックフィルムの表面の全面に設けられてもよいし、部分的に設けられてもよいが、筒状シュリンクラベルとする際にシール部となる部分以外の全面に設けられていることがより好ましい。なお、本発明のコーティング層は、滑り性、耐摩耗性に優れる観点から、プラスチックラベルの最表面(外側の表層)として設けられることが好ましい。即ち、本発明のプラスチックラベルは、本発明の透明コーティング層を最表面に有することが好ましい。なお、本明細書において、プラスチックラベルの「外側」とは、プラスチックラベル容器に装着したときに容器とは接しない側、即ち、容器とは反対側になる方向をいう。
さらに、本発明のプラスチックラベルには、プラスチックフィルム、本発明のコーティング層の他にも、印刷層、接着剤層、紫外線防止層、アンカーコート層、プライマーコート層、本発明のコーティング層以外のコーティング層、不織布、紙等の層を必要に応じて設けてもよい。上記の層は、プラスチックフィルムと本発明のコーティング層の間に設けてもよいし、本発明のコーティング層を有さない側のプラスチックフィルム上に設けても良い。
上記印刷層としては、例えば、商品名、イラスト、取り扱い注意事項等の図やデザインなどの意匠印刷層(カラー印刷層等)、白などの単一色で形成された背景印刷層、フィルムと印刷層の密着性を高めるために設けられるプライマー印刷層などが挙げられる。
本発明のプラスチックラベルは、特に限定されないが、透明又は不透明のプラスチックフィルムの一方の面に印刷層(例えば、意匠印刷層)が設けられ、その印刷層を覆うように本発明のコーティング層が設けられている積層構成([透明又は不透明のプラスチックフィルム/印刷層/本発明のコーティング層]の積層構成)、又は、透明のプラスチックフィルムの一方の面に印刷層(例えば、意匠印刷層)が設けられ、上記プラスチックフィルムの他方の面に本発明のコーティング層が設けられている積層構成([印刷層/透明のプラスチックフィルム/本発明のコーティング層]の積層構成)を有することが好ましい。本発明のプラスチックラベルは、上記積層構成を有することにより、本発明のコーティング層を介して印刷層のデザインを視認することができる。
本発明のプラスチックラベルとしては、特に限定されないが、例えば、ストレッチラベル、シュリンクラベル、ストレッチシュリンクラベル、インモールドラベル、タックラベル、ロールラベル(巻き付け方式の糊付ラベル)、感熱接着ラベル等が挙げられる。中でも、シュリンクラベルが特に好ましい。上記シュリンクラベルは、筒状ラベル、巻き付けラベル等、特に限定されないが、筒状のシュリンクラベル(筒状シュリンクラベル)が好ましい。
本発明のプラスチックラベルは、ラベルの種類に応じた方法で容器に装着し、ラベル付き容器として用いられる。例えば、シュリンクラベルの場合には、一般的に、ラベルを、本発明のコーティング層側が容器と反対側にくるように配置させ熱収縮させることにより容器に装着し、プラスチックラベル付き容器を作製する。なお、本発明のプラスチックラベルは、容器以外の被着体に用いられてもよい。
[本発明のプラスチックラベルの製造方法、加工方法]
本発明のプラスチックラベルの製造方法及び加工方法(筒状シュリンクラベルの加工方法)の例を下記に示す。
本発明のコーティング層を形成するためのコーティング剤は、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)、必要に応じて、上記シリコーン系化合物及びその他添加剤を溶剤に混合することにより製造される。混合は、公知慣用の混合方法により行うことができ、特に限定されないが、例えば、ペイントシェイカー、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパーなどのミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミルなどのミル、ニーダーなどが用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は、特に限定されないが、10〜120分が好ましい。得られたコーティング剤は、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。
本発明のコーティング層中の、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)、上記シリコーン系化合物等の成分の含有量を制御するためには、上記コーティング剤の不揮発成分中のそれぞれの成分の含有量が、コーティング層中の所望の含有量になるようにコーティング剤を調製すればよい。なお、一般的に、コーティング剤の全不揮発成分中の各成分(不揮発成分)の含有量(重量%)は、プラスチックラベルの本発明のコーティング層中の各成分の含有量(重量%)と等しくなる。
上記溶剤としては、コーティング剤に通常用いられる有機溶剤等を用いることができ、例えば、酢酸エステル(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル)などのエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルエステル類などが例示される。これらの中でも、溶解性、安全性の観点から、エステル類、アルコール類が好ましい。有機溶媒は単独で又は2種以上を混合して使用できる。上記有機溶剤は、コーティング剤を上記プラスチックフィルムに塗布した後、乾燥により除去することができる。
上記コーティング剤の粘度(23±2℃)は、特に限定されないが、例えば、グラビア印刷により塗工される場合には、10〜1000mPa・sが好ましく、より好ましくは20〜500mPa・sである。コーティング剤の粘度は、アクリル系樹脂(C)やその他の各成分の種類や配合量(含有量)、増粘剤、減粘剤等によって制御することが可能である。なお、本明細書中、「粘度」とは、特に限定しない限り、E型粘度計(円錐平板形回転粘度計)を用い、23±2℃、円筒の回転数50回転の条件下、JIS Z 8803に準じて測定した値を意味している。
次いで、上記コーティング剤を、上記プラスチックフィルムの表面上に、塗布、乾燥することにより本発明のコーティング層を設け、本発明のプラスチックラベルを作製することができる。上記の塗布、乾燥工程は、上記プラスチックフィルムの製造工程中に行われてもよいし(インラインコート)、フィルム製膜後に行われてもよい(オフラインコート)が、生産性や加工性の観点から、オフラインコートが好ましい。また、必要に応じて、本発明のコーティング層以外の層等を設けてもよい。
上記コーティング剤を塗布する方法としては、コストや生産性などの観点から、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、凸版輪転印刷方式が好ましく、中でも、グラビア印刷方式が特に好ましい。また、塗布されたコーティング剤を加熱等により、乾燥する際には、印刷装置上で加熱が可能な、一般的な加熱装置を好ましく用いることができる。安全性の観点から、好ましくは、熱風ヒーターなどを用いることができる。
本発明のプラスチックラベルがシュリンクラベルである場合、上記シュリンクラベルは筒状ラベルに加工してもよい。例えば、シュリンクラベル(本発明のプラスチックラベル)の主配向方向が周方向となるように円筒状に成形する。具体的には、主配向方向に所定幅を有するシュリンクラベルを、シュリンクラベルの主配向方向の両端を重ね合わせて筒状に形成し、ラベルの一方の側縁部に、帯状に約2〜4mm幅で、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤や接着剤(以下、「接着剤等」と称する場合がある)を内面に塗布し、該接着剤等塗布部を、他方の側縁部の外面に接着し、筒状のシュリンクラベルを得る。なお、上記の接着剤等を塗工する部分及び接着する部分(シール部)には、コーティング層が設けられていないことが好ましい。
なお、筒状シュリンクラベルにラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を周方向と直交する方向に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程段階は、コーティング剤の塗布工程の後や、筒状加工工程の前後など、適宜選択ことができる。
筒状シュリンクラベルは容器に装着してプラスチックラベル付き容器とすることができる。例えば、筒状シュリンクラベルを、所定の容器に外嵌した後、加熱処理によって、ラベルを熱収縮させ、容器に追従密着させることによってラベル付き容器を作製する。上記加熱処理としては、例えば、80〜100℃のスチームで処理する(スチームおよび湯気が充満した加熱トンネルを通過させる)ことなどが例示される。
[プラスチックラベル付き容器]
上記のプラスチックラベル付き容器は、本発明のプラスチックラベルと容器を少なくとも有する。上記容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳容器、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器、トイレタリー用の容器、カップ麺容器などが含まれる。また、上記容器の材質としては、特に限定されないが、例えば、PETなどのプラスチック、ガラス、金属などが挙げられる。
上記のプラスチックラベル付き容器における本発明のプラスチックラベルにおいては、特に限定されないが、本発明のコーティング層がプラスチックラベル付き容器の最外層であることが好ましい。即ち、本発明のプラスチックラベルが容器に装着された際に、本発明のプラスチックラベルにおいて本発明のコーティング層が容器とは接しない側(容器とは反対側、例えば円筒の外側)の最表面となるように装着されることが好ましい。本発明のコーティング層がプラスチックラベル付き容器の最外層であることにより、優れた耐摩耗性、光沢性を有するプラスチックラベル付き容器を得ることができる。
容器へのプラスチックラベルの装着は公知乃至慣用の方法で行うことができる。例えば、プラスチックラベル付きプラスチック製ボトルは、筒状に形成された本発明のプラスチックラベル(例えば、シュリンクラベル)を自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断した後、通常内容物を充填したプラスチック製ボトルに、ボトル本体側面のほぼ全面又は所定部位を覆うように連続的に被嵌し、加熱により熱収縮させて装着することにより製造することができる。
本発明のプラスチックラベルにおいて、本発明のコーティング層は、粒径の異なるポリテトラフルオロエチレン粒子(PTFE粒子(A)及びPTFE粒子(B))をそれぞれ特定量含む。また、本発明のプラスチックラベルにおけるコーティング層中の、粒径が10μmを超える粒子の含有量は、コーティング層の全重量(100重量%)に対して3重量%未満である。このため、本発明のコーティング層は、光沢性、透明性、及び耐摩耗性に優れる。
従って、本発明のプラスチックラベルは、本発明のコーティング層を有することにより、透明性、光沢性、及び耐摩耗性に優れ、見栄えが良いプラスチックラベルとすることができる。このため、ボトル缶用途、乳白なプラスチックフィルムに印刷層を表刷りしたプラスチックラベル用途に好適に使用することができる。従って、本発明のコーティング層を印刷層の上に塗工しても、印刷層の色目がくすまないため、印刷層がきれいに発色したプラスチックラベルを得ることが可能となる。
さらに、本発明のプラスチックラベルを容器に装着することで、外観が良好であり、耐摩耗性に優れるプラスチックラベルを有するプラスチックラベル付き容器を得ることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
表1には、コーティング層中のPTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)、シリコーン系化合物、及び粒径が10μmを超える粒子の含有量(含有割合);及び、得られたプラスチックラベルの評価結果等を示した。
また、表2にはプラスチックラベルのコーティング層を形成するために用いた材料の詳細(商品名、メーカー名、体積基準のメジアン径D50等の物性など)を示した。
実施例1
(コーティング剤)
PTFE粒子(A)を含むPTFE粒子として、PTFEワックス(Shamrock Technologies社製、商品名「nanoFLON P47A」、不揮発分:100重量%)0.1重量部を用いた。
PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子として、PTFEワックス(BYK−Chemie社製、商品名「CERAFLOUR 981」、不揮発分:100重量%)1.0重量部を用いた。
アクリル系樹脂(C)として、アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名「ダイヤナール BR−64」、不揮発分:100重量%)20.0重量部を用いた。
シリコーン系化合物として、シリコーングラフトアクリル系樹脂のイソプロパノール溶液(信越化学工業(株)製、商品名「KP−541」、不揮発分:60重量%)0.5重量部を用いた。
上記のPTFE粒子(A)を含むPTFE粒子、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子、アクリル系樹脂(C)、シリコーン系化合物に、酢酸エチル39.2重量部、酢酸n−プロピル39.2重量部を加えて、コーティング剤(100重量部)を作製した。
上記コーティング剤中の不揮発成分の総重量(100重量%)に対する、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)、粒径が10μmを超える粒子、シリコーン系化合物のそれぞれの含有量は、表1に示す、プラスチックラベルのコーティング層中の各粒子、アクリル系樹脂、及びシリコーン系化合物の含有量と等しい。
(プラスチックラベル)
上記コーティング剤を、ポリエステル(PET)系プラスチックフィルム(熱収縮性フィルム)(東洋紡(株)製、商品名「スペースクリーン S7020」、厚み:40μm)の片面に、卓上グラビア印刷機((株)日商グラビア製、商品名「GRAVO PROOF MINI」)およびグラビア版(彫刻70線、角度0)を用いて、グラビア印刷により、印刷速度50m/minで、塗布、乾燥した。上記塗布、乾燥をそれぞれ2回行い、フィルム全面に表1に示す組成を有するコーティング層を形成した。
上記のようにして、[プラスチックフィルム(厚み:40μm)/コーティング層(厚み:1.2μm)]の積層構成を有するプラスチックラベルを得た。
実施例2〜5、比較例1〜4
表1に示すように、PTFE粒子(A)、PTFE粒子(B)、アクリル系樹脂(C)の配合量などを変更して、実施例1と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
実施例6
PTFE粒子(A)を含む粒子として、PTFEワックス((株)喜多村製、商品名「KTL−500F」、不揮発分:100重量%)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
実施例7
PTFE粒子(B)を含む粒子として、PTFEワックス(Shamrock Technologies社製、商品名「SST−4MG」、不揮発分:100重量%)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
実施例8
PTFE粒子(B)を含む粒子として、PTFEワックス((株)喜多村製、商品名「KTL−8N」、不揮発分:100重量%)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
比較例5、比較例9
表1に示すように、PTFE粒子として、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子を用いず、PTFE粒子(A)を含むPTFE粒子のみを用いて、含有量などを変更して、実施例1と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
比較例6、比較例10
表1に示すように、PTFE粒子として、PTFE粒子(A)を含むPTFE粒子を用いず、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子のみを用いて、含有量などを変更して、実施例1と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
比較例7
表1に示すように、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子を用いず、粒径が10μmを超える粒子を多量に含むように、粒径が10μmを超える粒子を含む粒子としてPTFEワックス((株)喜多村製、商品名「KTL−20N」、不揮発分:100重量%)用いたこと以外は、実施例2と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
比較例8
表1に示すように、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子を用いず、粒径が10μmを超える粒子を多量に含むように、粒径が10μmを超える粒子を含む粒子としてPTFEワックス(BYK−Chemie社製、商品名「CERAFLOUR 965」、不揮発分:100重量%)用いたこと以外は、実施例2と同様にして、コーティング剤、プラスチックラベルを作製した。
(評価)
実施例および比較例で得られたプラスチックラベルを用いて、コーティング層又はプラスチックラベルの透明性、光沢性、耐摩耗性について、以下の方法で評価、試験を行った。
(1)透明性(ヘイズ値)
実施例および比較例で得られたプラスチックラベルを評価サンプルとし、(株)東洋精機製作所製「ヘイズ−ガード II」を用いて、JIS K 7136に準拠してヘイズ値を測定した。コーティング層のヘイズ値は、上記で測定したプラスチックラベルのヘイズ値からプラスチックフィルムのヘイズ値を差し引くことで算出した。コーティング層の透明性を、上記で得られたコーティング層のヘイズ値(単位:%)より、以下の基準で評価した。
ヘイズ値が8.0未満 : 良好(○)
ヘイズ値が8.0以上 : 不良(×)
(2)光沢性(鏡面光沢度)
実施例および比較例で得られたプラスチックラベルを評価サンプルとし、BYK−Gardmer社製のグロス計「micro−TRI−gloss」を用いて、JIS Z 8741に準拠して、入射角60°/反射角60°の条件で、上記評価サンプルのコーティング層部分の鏡面光沢度を測定した。プラスチックラベルの光沢性を、上記で得られたコーティング層の鏡面光沢度より、以下の基準で評価した。
鏡面光沢度が130以上 : 良好(○)
鏡面光沢度が130未満 : 不良(×)
(3)耐摩耗性
実施例および比較例で得られたプラスチックラベルを評価サンプルとし、(株)東洋精機製作所製の染色堅牢度用摩擦試験器を用いて耐摩耗性評価を行った。評価サンプルと同一のプラスチックラベルを摩擦子とし、1000gの荷重をかけて、プラスチックラベルのコーティング層同士が接するように擦り合わせた。擦り合わせたプラスチックラベルのうち、評価サンプルであるプラスチックラベルのコーティング層に存在するスジ傷の数を測定し、以下の基準で評価した。
擦り合わせ回数が往復500回でスジ傷が10本未満 : 良好(○)
擦り合わせ回数が往復200回でスジ傷が10本未満、かつ、擦り合わせ回数が往復500回でスジ傷が10本以上 : 使用可能(△)
擦り合わせ回数が往復200回でスジ傷が10本以上 : 不良(×)
評価結果からわかるとおり、本発明のプラスチックラベル(実施例)は、透明性、光沢性、及び耐摩擦性に優れるコーティング層を有しており、外観に優れていた。
一方、コーティング層中のPTFE粒子(A)の含有量が少ない(又は存在しない)場合(比較例1、比較例6、比較例10)には、プラスチックラベルの耐摩耗性が劣っていた。また、コーティング層中のPTFE粒子(A)の含有量が過剰である場合(比較例2)には、コーティング層の透明性及び光沢性が劣っていた。また、コーティング層中のPTFE粒子(B)の含有量が少ない(又は存在しない)場合(比較例3、比較例5)には、プラスチックラベルの耐摩耗性が劣っていた。また、コーティング層中のPTFE粒子(B)の含有量が過剰である場合(比較例4)には、コーティング層の透明性及び光沢性が劣っていた。また、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子の代わりに、粒径が10μmを超えるPTFE粒子を含む粒子を用いた場合(比較例7、比較例8)には、透明性に優れるが、耐摩耗性が劣っていた。さらに、PTFE粒子として、PTFE粒子(B)を含むPTFE粒子を用いず、PTFE粒子(A)を含むPTFE粒子のみを過剰に用いた場合(比較例9)には、コーティング層の光沢性が劣っていた。