この発明に係る光画像計測装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。この発明に係る光画像計測装置は、OCTを用いて生体の断層像や3次元画像を形成する。この明細書では、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称することがある。また、OCT画像を形成するための計測動作をOCT計測と呼ぶことがある。なお、この明細書に記載された文献の記載内容を、以下の実施形態の内容として適宜援用することが可能である。
以下の実施形態では、生体の計測対象を被検眼(眼底)とし、フーリエドメインタイプのOCTを適用して眼底のOCT計測を行う眼底観察装置について説明する。特に、実施形態に係る眼底観察装置は、特許文献5に開示された装置と同様に、スペクトラルドメインOCTの手法を用いて眼底のOCT画像及び眼底像の双方を取得可能である。なお、スペクトラルドメイン以外のタイプ、たとえばスウェプトソースOCTの手法を用いる光画像計測装置に対して、この発明に係る構成を適用することも可能である。また、この実施形態ではOCT装置と眼底カメラとを組み合わせた装置について説明するが、眼底カメラ以外の眼底撮影装置、たとえばSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)、スリットランプ、眼科手術用顕微鏡などに、この実施形態に係る構成を有するOCT装置を組み合わせることも可能である。また、この実施形態に係る構成を、単体のOCT装置に組み込むことも可能である。また、眼底以外の生体部位を計測するOCT装置に、この実施形態の構成を適用することもできる。このような生体部位は、血流状態の検査対象となる任意の部位である。
[構成]
図1に示すように、眼底観察装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含んで構成される。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、眼底のOCT画像を取得するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するコンピュータを具備している。
〔眼底カメラユニット〕
図1に示す眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、たとえば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、たとえば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、又は近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、たとえばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30が設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38。)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの信号光を眼底Efに導くとともに、眼底Efを経由した信号光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、たとえばハロゲンランプにより構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。なお、観察光源としてLED(Light Emitting Diode)を用いることも可能である。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、たとえば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、たとえばキセノンランプにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用指標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための指標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー40にて反射され、ミラー32に反射され、合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、たとえば従来の眼底カメラと同様に、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。また、固視標の表示位置を任意に変更することも可能である。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための指標(アライメント指標)を生成する。フォーカス光学系60は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるための指標(スプリット指標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過し、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に投影される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、合焦レンズ31を通過し、ミラー32により反射され、ハーフミラー40を透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント指標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス調整を行う際には、照明光学系10の光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット指標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過し、ミラー65に反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。更に、フォーカス光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに投影される。
フォーカス光の眼底反射光は、アライメント光の角膜反射光と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(スプリット指標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ31及びフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。また、スプリット指標を視認しつつ手動でピント合わせを行ってもよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT計測用の光路を分岐させている。つまり、眼底撮影用の光路とOCT計測用の光路はダイクロイックミラー46により同軸に構成され、ダイクロイックミラー46よりも被検眼E側の光路を共有している。ダイクロイックミラー46は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT計測用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、ガルバノスキャナ42と、合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT計測用の光路の長さを変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、たとえばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
ガルバノスキャナ42は、OCT計測用の光路を通過する光(信号光LS)の進行方向を変更する。それにより、眼底Efを信号光LSで走査することができる。ガルバノスキャナ42は、たとえば、信号光LSをx方向に走査するガルバノミラーと、y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、信号光LSをxy平面上の任意の方向に走査することができる。ガルバノスキャナ42は「走査部」の一例である。
〔OCTユニット〕
図2を参照しつつOCTユニット100の構成の一例を説明する。OCTユニット100には、眼底EfのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様の構成を有する。すなわち、この光学系は、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出するように構成されている。この検出結果(検出信号)は演算制御ユニット200に送られる。
なお、スウェプトソースタイプのOCT装置の場合には、低コヒーレンス光源を出力する光源の代わりに波長掃引光源が設けられるとともに、干渉光をスペクトル分解する光学部材が設けられない。一般に、OCTユニット100の構成については、光コヒーレンストモグラフィのタイプに応じた公知の技術を任意に適用することができる。
光源ユニット101は広帯域の低コヒーレンス光L0を出力する。低コヒーレンス光L0は、たとえば、近赤外領域の波長帯(約800nm〜900nm程度)を含み、数十マイクロメートル程度の時間的コヒーレンス長を有する。なお、人眼では視認できない波長帯、たとえば1040〜1060nm程度の中心波長を有する近赤外光を低コヒーレンス光L0として用いてもよい。
光源ユニット101は、スーパールミネセントダイオード(Super Luminescent Diode:SLD)や、LEDや、SOA(Semiconductor Optical Amplifier)等の光出力デバイスを含んで構成される。
光源ユニット101から出力された低コヒーレンス光L0は、光ファイバ102によりファイバカプラ103に導かれて信号光LSと参照光LRに分割される。
参照光LRは、光ファイバ104により導かれて光減衰器(アッテネータ)105に到達する。光減衰器105は、公知の技術を用いて、演算制御ユニット200の制御の下、光ファイバ104に導かれる参照光LRの光量を自動で調整する。光減衰器105により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ104により導かれて偏波調整器(偏波コントローラ)106に到達する。偏波調整器106は、たとえば、ループ状にされた光ファイバ104に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ104内を導かれる参照光LRの偏光状態を調整する装置である。なお、偏波調整器106の構成はこれに限定されるものではなく、任意の公知技術を用いることが可能である。偏波調整器106により偏光状態が調整された参照光LRは、ファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ103により生成された信号光LSは、光ファイバ107により導かれ、コリメータレンズユニット105により平行光束とされる。更に、信号光LSは、光路長変更部41、ガルバノスキャナ42、合焦レンズ43、ミラー44、及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に到達する。そして、信号光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ11により屈折されて眼底Efに照射される。信号光LSは、眼底Efの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。眼底Efによる信号光LSの後方散乱光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ103に導かれ、光ファイバ108を経由してファイバカプラ109に到達する。
ファイバカプラ109は、信号光LSの後方散乱光と、ファイバカプラ104を経由した参照光LRとを干渉させる。これにより生成された干渉光LCは、光ファイバ110により導かれて出射端111から出射される。更に、干渉光LCは、コリメータレンズ112により平行光束とされ、回折格子113により分光(スペクトル分解)され、集光レンズ114により集光されてCCDイメージセンサ115の受光面に投影される。なお、図2に示す回折格子118は透過型であるが、たとえば反射型の回折格子など、他の形態の分光素子を用いることも可能である。
CCDイメージセンサ115は、たとえばラインセンサであり、分光された干渉光LCの各スペクトル成分を検出して電荷に変換する。CCDイメージセンサ115は、この電荷を蓄積して検出信号を生成し、これを演算制御ユニット200に送る。
この実施形態ではマイケルソン型の干渉計を採用しているが、たとえばマッハツェンダー型など任意のタイプの干渉計を適宜に採用することが可能である。また、CCDイメージセンサに代えて、他の形態のイメージセンサ、たとえばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを用いることが可能である。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、CCDイメージセンサ115から入力される検出信号を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。そのための演算処理は、従来のスペクトラルドメインタイプのOCT装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。たとえば演算制御ユニット200は、眼底EfのOCT画像を表示装置3に表示させる。
また、眼底カメラユニット2の制御として、演算制御ユニット200は、観察光源11、撮影光源15及びLED51、61の動作制御、LCD39の動作制御、合焦レンズ31、43の移動制御、反射棒67の移動制御、フォーカス光学系60の移動制御、光路長変更部41の移動制御、ガルバノスキャナ42の動作制御などを行う。
また、OCTユニット100の制御として、演算制御ユニット200は、光源ユニット101の動作制御、光減衰器105の動作制御、偏波調整器106の動作制御、CCDイメージセンサ120の動作制御などを行う。
演算制御ユニット200は、たとえば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼底観察装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、たとえばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
眼底カメラユニット2、表示装置3、OCTユニット100及び演算制御ユニット200は、一体的に(つまり単一の筺体内に)構成されていてもよいし、2つ以上の筐体に別れて構成されていてもよい。
〔制御系〕
眼底観察装置1の制御系の構成について図3及び図4を参照しつつ説明する。
(制御部)
眼底観察装置1の制御系は、制御部210を中心に構成される。制御部210は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212が設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、主制御部211は、眼底カメラユニット2の合焦駆動部31A、光路長変更部41及びガルバノスキャナ42、更にOCTユニット100の光源ユニット101、光減衰器105及び偏波調整器106を制御する。
合焦駆動部80は、合焦レンズ31を光軸方向に移動させる。それにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、主制御部211は、図示しない光学系駆動部を制御して、眼底カメラユニット2に設けられた光学系を3次元的に移動させることもできる。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、装置光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
また、主制御部211は、記憶部212にデータを書き込む処理や、記憶部212からデータを読み出す処理を行う。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、たとえば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼底観察装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、CCDイメージセンサ115からの検出信号に基づいて、眼底Efの断層像の画像データと位相画像の画像データとを形成する。これらの画像については後述する。画像形成部220は、たとえば、前述の回路基板やマイクロプロセッサを含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。画像形成部220は、断層像形成部221と位相画像形成部222を有する。
この実施形態では、眼底Efに対して2種類の走査(第1走査及び第2走査)を行う。第1走査では、眼底Efの注目血管に交差する第1断面を信号光LSで反復的に走査する。第2走査では、この注目血管に交差し、かつ、第1断面の近傍に位置する第2断面を信号光LSで走査する。ここで、第1断面と第2断面は、注目血管の走行方向に対して直交するように向き付けられることが望ましい。図5の眼底像Dに示すように、この実施形態では、眼底Efの視神経乳頭Daの近傍に、1つの第1断面C0と、2つの第2断面C1、C2が所定の注目血管Dbに交差するように設定される。2つの第2断面C1、C2は、その一方が第1断面C0に対して注目血管Dbの上流側に位置し、他方が下流側に位置する。
なお、第1走査は、患者の心臓の少なくとも1心周期の間にわたって実行されることが望ましい。それにより、心臓の全ての時相における血流情報が得られる。なお、第1走査を実行する時間は、あらかじめ設定された一定の時間であってもよいし、患者ごとに又は検査毎に設定された時間であってもよい。前者の場合、一般的な心周期よりも長い時間が設定される(たとえば2秒間)。後者の場合、患者の心電図等の検査データを参照することとなる。ここで、心周期以外のファクターを考慮することも可能である。このファクターの例としては、検査に掛かる時間(患者への負担)、ガルバノスキャナ42の応答時間(走査間隔)、CCD115の応答時間(走査間隔)などがある。
(断層像形成部)
断層像形成部221は、第1走査により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、第1断面における形態の時系列変化を表す断層像(第1断層像)を形成する。この処理についてより詳しく説明する。第1走査は、上記のように第1断面C0を繰り返し走査するものである。断層像形成部221には、第1走査に応じて、OCTユニット100のCCD115から検出信号が逐次入力される。断層像形成部221は、第1断層像の各走査に対応する検出信号に基づいて、第1断面C0の1枚の断層像を形成する。断層像形成部221は、この処理を第1走査の反復回数だけ繰り返すことで、時系列に沿った一連の断層像を形成する。ここで、これら断層像を複数の群に分割し、各群の断層像を重ね合わせて画質の向上を図ってもよい。
また、断層像形成部221は、第2断面C1、C2に対する第2走査により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて、第2断面C1における形態を表す断層像(第2断層像)と、第2断面C2における形態を表す断層像(第2断層像)とを形成する。この処理は、第1断層像の場合と同様にして実行される。なお、第1断層像は時系列に沿う一連の断層像であるが、第2断層像は1枚の断層像であってもよい。また、第2断層像は、第2断面C1、C2のそれぞれを複数回走査して得られた複数の断層像を重ね合わせて画質の向上を図ったものであってもよい。
このような断層像を形成する処理は、従来のスペクトラルドメインタイプの光コヒーレンストモグラフィと同様に、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理を含んでいる。他のタイプのOCT装置の場合、断層像形成部221は、そのタイプに応じた公知の処理を実行する。
(位相画像形成部)
位相画像形成部222は、第1走査により得られる干渉光LSの検出結果に基づいて、第1断面における位相差の時系列変化を表す位相画像を形成する。この処理に用いられる検出結果は、断層像形成部221による第1断層像の形成処理に供されるものと同じである。よって、第1断層像と位相画像との間の位置合わせをすることが可能である。つまり、第1断層像の画素と位相画像の画素とを自然に対応付けることが可能である。
位相画像の形成方法の一例を説明する。この例の位相画像は、隣り合うAライン複素信号(隣接する走査点に対応する信号)の位相差を算出することにより得られるものである。換言すると、この例の位相画像は、第1断層像の各画素について、その画素の画素値(輝度値)の時系列変化に基づいて形成される。任意の画素について、位相画像形成部222は、その輝度値の時系列変化のグラフを考慮する。位相画像形成部222は、このグラフにおいて所定の時間間隔Δtだけ離れた2つの時点t1、t2(=t1+Δt)の間における位相差Δφを求める。そして、この位相差Δφを時点t1(より一般に2つの時点t1、t2の間の任意の時点)における位相差Δφ(t1)として定義する。あらかじめ設定された多数の時点のそれぞれについてこの処理を実行することで、当該画素における位相差の時系列変化が得られる。
位相画像は、各画素の各時点における位相差の値を画像として表現したものである。この画像化処理は、たとえば、位相差の値を表示色や輝度で表現することで実現できる。このとき、時系列に沿って位相が増加した場合の表示色(たとえば赤)と、減少した場合の表示色(たとえば青)とを変更することができる。また、位相の変化量の大きさを表示色の濃さで表現することもできる。このような表現方法を採用することで、血流の向きや大きさを表示色で明示することが可能となる。以上の処理を各画素について実行することにより位相画像が形成される。
なお、位相差の時系列変化は、上記の時間間隔Δtを十分に小さくして位相の相関を確保することにより得られる。このとき、信号光LSの走査において断層像の分解能に相当する時間未満の値に時間間隔Δtを設定したオーバーサンプリングが実行される。
(画像処理部)
画像処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。たとえば、画像処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の各種補正処理を実行する。また、画像処理部230は、眼底カメラユニット2により得られた画像(眼底像、前眼部像等)に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
画像処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行して、眼底Efの3次元画像の画像データを形成する。なお、3次元画像の画像データとは、3次元座標系により画素の位置が定義された画像データを意味する。3次元画像の画像データとしては、3次元的に配列されたボクセルからなる画像データがある。この画像データは、ボリュームデータ或いはボクセルデータなどと呼ばれる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、画像処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施すことで、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像の画像データを形成する。表示部240A等の表示デバイスには、この擬似的な3次元画像が表示される。
また、3次元画像の画像データとして、複数の断層像のスタックデータを形成することも可能である。スタックデータは、複数の走査線に沿って得られた複数の断層像を、走査線の位置関係に基づいて3次元的に配列させることで得られる画像データである。すなわち、スタックデータは、元々個別の2次元座標系により定義されていた複数の断層像を、1つの3次元座標系により表現する(つまり1つの3次元空間に埋め込む)ことにより得られる画像データである。
画像処理部230は、血管領域特定部231と、血流情報生成部232とを有する。血流情報生成部232には、傾き算出部233と、血流速度算出部234と、血管径算出部235と、血流量算出部236とが設けられている。更に、画像処理部230は断面設定部237を有する。以下、これら各部231〜237について説明する。
(血管領域特定部)
血管領域特定部231は、第1断層像、第2断層像、及び位相画像のそれぞれについて、注目血管Dbに対応する血管領域を特定する。この処理は、各画像の画素値を解析することによって行うことが可能である(たとえば閾値処理)。
なお、第1断層像と第2断層像は解析処理を行うのに十分な解像度を持っているが、位相画像については血管領域の境界を特定できるほどの解像度を持っていないことが考えられる。しかし、位相画像に基づいて血流情報を生成する以上、その血管領域を高精度かつ高確度で特定する必要がある。そこで、たとえば次のような処理を行うことで、位相画像の血管領域をより正確に特定することが望ましい。
前述のように、第1断層像と位相画像は同じ検出信号に基づいて形成され、互いの画素の間の対応付けが可能である。これを利用し、まず第1断層像を解析して血管領域を求め、この血管領域に含まれる画素に対応する画素からなる位相画像中の画像領域をその血管領域とする。これにより、位相画像の血管領域を高精度かつ高確度で特定することができる。
(血流情報生成部)
血流情報生成部232は、第1断面と第2断面との間の距離、血管領域の特定結果、及び位相画像の血管領域における位相差の時系列変化に基づいて、注目血管Dbに関する血流情報を生成する。ここで、第1断面と第2断面との間の距離(断面間距離)は、事前に決定される。その一例は、断面設定部237の説明において後述する。血管領域は、血管領域特定部231により得られる。位相画像の血管領域における位相差の時系列変化は、位相画像の血管領域内の画素についての位相差の時系列変化として得られる。以下、この処理を実行するための構成の一例を説明する。前述のように、血流情報生成部232には、傾き算出部233と、血流速度算出部234と、血管径算出部235と、血流量算出部236とが設けられている。
(傾き算出部)
傾き算出部233は、断面間距離と血管領域の特定結果とに基づいて、第1断面における注目血管Dbの傾きを算出する。まず、注目血管Dbの傾きを算出する理由を説明する。血流情報はドップラーOCTの手法で得られる(特許文献8、9を参照)。ドップラーシフトに寄与する血流の速度成分は、信号光LSの照射方向の成分である。したがって、たとえ血流速度が同じであっても、血流方向(つまり注目血管Dbの向き)と信号光LSとが成す角度に応じて信号光LSが受けるドップラーシフトが変化し、ひいては得られる血流情報も変わってしまう。このような不都合を避けるために、注目血管Dbの傾きを求め、これを血流速度の算出処理に反映させる必要がある。
注目血管Dbの傾きの算出方法について図6を参照しつつ説明する。符号G0、G1及びG2は、それぞれ、第1断面C0における第1断層像、第2断面における第2断層像、及び第2断面C2における第2断層像を示す。また、符号V0、V1及びV2は、それぞれ、第1断層像G0の血管領域、第2断層像G1の血管領域、及び第2断層像G2の血管領域を示す。図6において、z座標軸は紙面下方向を向いており、これは信号光LSの照射方向と実質的に一致するものとする。また、隣接する断層像の間隔をdとする。
傾き算出部233は、3つの血管領域V0、V1及びV2の位置関係に基づいて、第1断面C0における注目血管Dbの傾きAを算出する。この位置関係は、たとえば3つの血管領域V0、V1及びV2を結ぶことによって得られる。より具体的には、傾き算出部233は、3つの血管領域V0、V1及びV2のそれぞれの特徴位置を特定し、これら特徴位置を結ぶ。この特徴位置としては、中心位置、重心位置、最上部(z座標値が最小の位置)、最下部(z座標値が最大の位置)などがある。また、これら特徴位置の結び方としては、線分で結ぶ方法、近似曲線(スプライン曲線、ベジェ曲線等)で結ぶ方法などがある。
更に、傾き算出部233は、これら特徴位置を結んだ線に基づいて傾きAを算出する。線分で結んだ場合、たとえば、第1断面C0の特徴位置と第2断面C1の特徴位置とを結ぶ第1線分の傾きと、第1断面C0の特徴位置と第2断面C2の特徴位置とを結ぶ第2線分の傾きとに基づき傾きAを算出する。この算出処理の例として、2つの線分の傾きの平均値を求めることができる。また、近似曲線で結ぶ場合の例として、近似曲線と第1断面C0との交差位置における近似曲線の傾きを求めることができる。なお、断面間距離dは、線分や近似曲線を求める処理において、断層像G0〜G2をxyz座標系に埋め込むときに用いられる。
この例では、3つの断面における血管領域を考慮しているが、2つの断面を考慮して傾きを求めるように構成することも可能である。その具体例として、上記第1線分又は第2線分の傾きを目的の傾きとすることができる。また、この例では1つの傾きを求めているが、血管領域V0中の2つ以上の位置(又は領域)についてそれぞれ傾きを求めるようにしてもよい。この場合、得られた2つ以上の傾きの値を別々に用いることもできるし、これら傾きの値から統計的に得られる1つの値(たとえば平均値)を傾きAとして用いることもできる。
(血流速度算出部)
血流速度算出部234は、位相画像として得られる位相差の時系列変化に基づいて、注目血管Db内を流れる血液の第1断面C0における血流速度を算出する。この算出対象は、或る時点における血流速度でもよいし、この血流速度の時系列変化(血流速度変化情報)でもよい。前者の場合、たとえば心電図の所定の時相(たとえばR波の時相)における血流速度を選択的に取得することが可能である。また、後者における時間の範囲は、第1断面C0を走査した時間の全体又は任意の一部である。
血流速度変化情報が得られた場合、血流速度算出部234は、当該時間の範囲における血流速度の統計値を算出することができる。この統計値としては、平均値、標準偏差、分散、中央値、最大値、最小値、極大値、極小値などがある。また、血流速度の値についてのヒストグラムを作成することもできる。
血流速度算出部234は、前述のようにドップラーOCTの手法を用いて血流速度を算出する。このとき、傾き算出部233により算出された第1断面C0における注目血管Dbの傾きAが考慮される。具体的には、傾き算出部233は次式を用いる。
ここで:
Δfは、信号光LSの散乱光が受けるドップラーシフトを表す;
nは、媒質の屈折率を表す;
vは、媒質の流速(血流速度)を表す;
θは、信号光LSの照射方向と媒質の流れベクトルとが成す角度を表す;
λは、信号光LSの中心波長を表す。
この実施形態では、nとλは既知であり、Δfは位相差の時系列変化から得られ、θは傾きAから得られる(又はθは傾きAとして得られる)。これらの値を上記の式に代入することにより、血流速度vが算出される。
(血管径算出部)
血管径算出部235は、第1断面C0における注目血管Dbの径を算出する。この算出方法の例として、眼底像を用いた第1の算出方法と、断層像を用いた第2の算出方法がある。
第1の算出方法が適用される場合、第1断面C0の位置を含む眼底Efの部位の撮影があらかじめ行われる。それにより得られる眼底像は、観察画像(のフレーム)でもよいし、撮影画像でもよい。撮影画像がカラー画像である場合には、これを構成する画像(たとえばレッドフリー画像)を用いてもよい。
血管径算出部235は、撮影画角(撮影倍率)、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて、眼底像におけるスケールを設定する。このスケールは実空間における長さを表す。具体例として、このスケールは、隣接する画素の間隔と、実空間におけるスケールとを対応付けたものである(たとえば画素の間隔=10μm)。なお、上記ファクターの様々な値と、実空間でのスケールとの関係をあらかじめ算出し、この関係をテーブル形式やグラフ形式で表現した情報を記憶しておくことも可能である。この場合、血管径算出部235は、上記ファクターに対応するスケールを選択的に適用する。
更に、血管径算出部235は、このスケールと血管領域V0に含まれる画素とに基づいて、第1断面C0における注目血管Dbの径、つまり血管領域V0の径を算出する。具体例として、血管径算出部235は、血管領域V0の様々な方向の径の最大値や平均値を求める。また、血管領域235は、血管領域V0の輪郭を円近似又は楕円近似し、その円又は楕円の径を求めることができる。なお、血管径が決まれば血管領域V0の面積を(実質的に)決定することができるので(つまり両者を実質的に一対一に対応付けることができるので)、血管径を求める代わりに当該面積を算出するようにしてもよい。
第2の算出方法について説明する。第2の算出方法では、第1断面C0における眼底Efの断層像が用いられる。この断層像は、第1断層像でもよいし、これとは別個に取得されたものでもよい。
この断層像におけるスケールは、信号光LSの走査態様に応じて決定される。この実施形態では、図5に示すように第1断面C0を走査する。この第1断面の長さは、ワーキングディスタンス、眼球光学系の情報など、画像上のスケールと実空間でのスケールとの関係を決定する各種ファクターに基づいて決定される。血管径算出部235は、たとえば、この長さに基づいて隣接する画素の間隔を求め、第1の算出方法と同様にして第1断面C0における注目血管Dbの径を算出する。
(血流量算出部)
血流量算出部236は、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて、注目血管Db内を流れる血液の流量を算出する。この処理の一例を以下に説明する。
血管内における血流がハーゲン・ポアズイユ流(Hagen−Poiseuille flow)と仮定する。また、血管径をwとし、血流速度の最大値をVmとすると、血流量Qは次式で表される。
血流量算出部236は、血管径算出部235による血管径の算出結果wと、血流速度算出部234による血流速度の算出結果に基づく最大値Vmとを、この数式に代入することにより、目的の血流量Qを算出する。
(断面設定部)
主制御部211は、表示部240Aに眼底像を表示させる。この眼底像は観察画像でも撮影画像でもよい。また、この眼底像は撮影画像を構成する画像であってもよい。ユーザは、操作部240Bを操作することで、表示された眼底像に第1断面C0を指定する。断面設定部237は、指定された第1断面C0と、この眼底像とに基づいて、第2断面C1及びC2を設定する。なお、前述のように、第1断面COは所望の注目血管Dbを横切るように指定される。
第1断面C0を眼底像に指定する操作は、たとえばポインティングデバイスを用いて行われる。また、表示部240Aがタッチパネルの場合、ユーザは表示された眼底像の所望の位置に触れることで第1断面C0を指定する。この場合において、第1断面C0のパラメータ(向き、長さ等)は、手動又は自動で設定される。
手動の場合の例として、パラメータを設定するための所定のインターフェイスを用いることができる。このインターフェイスは、スイッチ等のハードウェアでもよいし、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)等のソフトウェアでもよい。
自動の場合の例として、断面設定部237は、ユーザが眼底像に指定した位置に基づいてパラメータを設定する。長さの自動設定は、あらかじめ決められた値を適用してもよいし、指定位置及びその近傍の血管の位置を考慮してもよい。前者の値は、たとえば、所定の注目血管とその近傍の血管との間の一般的な距離に基づいて指定される。この距離の情報は、臨床データに基づいて生成できる。後者の場合も同様である。いずれの場合においても、第1断面C0の長さは、注目血管Dbを横切り、かつそれ以外の血管(特に太い血管)を横切らないように設定される。
第1断面C0の向きの自動設定については、あらかじめ決められた向きを適用してもよいし、注目血管Dbの向きを考慮してもよい。前者の場合、所定の注目血管の各位置における傾きを表す情報をあらかじめ生成し、これを参照する。この情報は、臨床データに基づき生成できる。後者の場合、指定位置における注目血管Dbの走行方向を求め、この走行方向に基づいて設定される。この走行方向を求める処理は、たとえば注目血管Dbの細線化処理を用いて行われる。なお、いずれの場合においても、第1断面C0の向きは、走行方向に直交するように設定されることが望ましい。
次に第2断面C1及びC2を設定する処理について説明する。断面設定部237は、第1断面C0から所定距離だけ離れた位置に第2断面C1及びC2を設定する。この距離は、たとえば100μmに設定される。この距離の特定は、たとえば前述のようにして行われる。また、第2断面C1及びC2の長さ及び/又は向きは、第1断面C0の場合と同様にして設定される。
なお、この実施形態では、眼底像に基づいて断面C0〜C2(つまり信号光LSの走査位置)が設定される。そのためには眼底像を走査位置との間を対応付ける必要がある。この対応付けは、この実施形態のように、眼底撮影用の光学系とOCT計測用の光学系とが互いの光路の一部を共有していることが望ましい。このように同軸構成とすることにより、この光軸を基準として眼底像中の位置と走査位置とを対応付けることができる。ここで、この対応付けにおいて、眼底像の表示倍率(いわゆる光学ズームとデジタルズームの少なくとも一方を含む)を考慮してもよい。
このような同軸構成でない場合においては、眼底像と、OCT計測で得られるプロジェクション画像とに基づいて、眼底像と走査位置との対応付けを行うことができる。なお、プロジェクション画像とは、後述の3次元スキャンにより得られる3次元画像を深度方向(z方向)に積算して得られる、眼底Efの表面の形態を表す画像である。このようなプロジェクション画像を用いることにより、眼底像とプロジェクション画像との間の位置を、たとえば画像相関等を用いて対応付け、この対応付けを用いて眼底像と走査位置とを対応付けることができる。ただし、被検眼Eの眼球運動(固視微動等)の影響を考慮すると、実質的にタイムラグなく双方の撮影が行える同軸構成の方が望ましいと考えられる。
以上のように機能する画像処理部230は、たとえば、前述のマイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムが予め格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部240Aと操作部240Bとが含まれる。表示部240Aは、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部240Bは、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部240Bには、眼底観察装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。たとえば眼底カメラユニット2が従来の眼底カメラと同様の筺体を有する場合、操作部240Bは、この筺体に設けられたジョイスティックや操作パネル等を含んでいてもよい。また、表示部240Aは、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部240Aと操作部240Bは、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。たとえばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部240Bは、このタッチパネルとコンピュータプログラムとを含んで構成される。操作部240Bに対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部240Aに表示されたGUIと、操作部240Bとを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
〔信号光の走査及びOCT画像について〕
ここで、信号光LSの走査及びOCT画像について説明しておく。
眼底観察装置1による信号光LSの走査態様としては、たとえば、水平スキャン、垂直スキャン、十字スキャン、放射スキャン、円スキャン、同心円スキャン、螺旋(渦巻)スキャンなどがある。これらの走査態様は、眼底の観察部位、解析対象(網膜厚など)、走査に要する時間、走査の精密さなどを考慮して適宜に選択的に使用される。
水平スキャンは、信号光LSを水平方向(x方向)に走査させるものである。水平スキャンには、垂直方向(y方向)に配列された複数の水平方向に延びる走査線に沿って信号光LSを走査させる態様も含まれる。この態様においては、走査線の間隔を任意に設定することが可能である。また、隣接する走査線の間隔を十分に狭くすることにより、前述の3次元画像を形成することができる(3次元スキャン)。垂直スキャンについても同様である。
十字スキャンは、互いに直交する2本の直線状の軌跡(直線軌跡)からなる十字型の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。放射スキャンは、所定の角度を介して配列された複数の直線軌跡からなる放射状の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。なお、十字スキャンは放射スキャンの一例である。
円スキャンは、円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。同心円スキャンは、所定の中心位置の周りに同心円状に配列された複数の円形状の軌跡に沿って信号光LSを走査させるものである。円スキャンは同心円スキャンの一例である。螺旋スキャンは、回転半径を次第に小さく(又は大きく)させながら螺旋状(渦巻状)の軌跡に沿って信号光LSを走査するものである。
ガルバノスキャナ42は、互いに直交する方向に信号光LSを走査するように構成されているので、信号光LSをx方向及びy方向にそれぞれ独立に走査できる。更に、ガルバノスキャナ42に含まれる2つのガルバノミラーの向きを同時に制御することで、xy面上の任意の軌跡に沿って信号光LSを走査することが可能である。それにより、上記のような各種の走査態様を実現できる。
上記のような態様で信号光LSを走査することにより、走査線(走査軌跡)に沿う方向と眼底深度方向(z方向)とにより張られる面における断層像を取得することができる。また、特に走査線の間隔が狭い場合には、前述の3次元画像を取得することができる。
上記のような信号光LSの走査対象となる眼底Ef上の領域、つまりOCT計測の対象となる眼底Ef上の領域を走査領域と呼ぶ。3次元スキャンにおける走査領域は、複数の水平スキャンが配列された矩形の領域である。また、同心円スキャンにおける走査領域は、最大径の円スキャンの軌跡により囲まれる円盤状の領域である。また、放射スキャンにおける走査領域は、各スキャンラインの両端位置を結んだ円盤状(或いは多角形状)の領域である。
[動作]
眼底観察装置1の動作について説明する。図7は、眼底観察装置1の動作の一例を表す。
(S1:計測準備)
OCT計測の準備として、患者IDの入力、本実施形態の動作モード(血流計測モード)の選択指定などを行う。
(S2:アライメント、ピント合わせ)
次に、観察光源11からの照明光で眼底Efを連続照明することにより、眼底Efの近赤外動画像(観察画像)を取得する。主制御部211は、この観察画像を表示部240Aに表示させる。
このとき、LCD39による固視標と、アライメント光学系50によるアライメント指標と、フォーカス光学系60によるスプリット指標とが被検眼Eに投影される。それにより、表示される観察画像にはアライメント指標とスプリット指標とが描画される。これら指標を用いてアライメントやピント合わせを行う。なお、この実施形態では、視神経乳頭を観察するための固視標が使用される。ここで、視神経乳頭を対象とするトラッキングを開始してもよい。
(S3:計測位置の指定)
続いて、ユーザは、表示された眼底像に対して、血流を計測する位置を指定する。ここで指定されるのは第1断面である。なお、この眼底像は観察画像でも撮影画像(これを構成する画像を含む)でもよい。第1断面の指定方法については前述した。
(S4:計測位置近傍の断面の設定)
第1断面が指定されると、断面設定部237が、この第1断面に基づいて第2断面を設定する。
(S5:OCT画像の確認)
主制御部211は、光源ユニット101、ガルバノスキャナ42等を制御してOCT計測を実行する。このOCT計測は、第1断面でも第2断面でもこれら以外の断面でもよい。このOCT画像を参照し、好適な画像が得られているか確認する。この確認は、ユーザが目視で行なってもよいし、眼底観察装置1が自動で行なってもよい。
目視で行う場合、主制御部211がこのOCT画像を表示部240Aに表示させる。ユーザは、フレームにおけるOCT画像の表示位置や画質などを評価し、操作部240Bを用いて確認結果を入力する。好適な画像が得られていない場合、計測条件の調整を行う。画像の表示位置が適当でない場合、光路長変更部41により信号光LSの光路長を変更する。また、画質が適当でない場合、光減衰器105や偏波調整器106を調整する。
自動で行う場合、画像の表示位置や画質などを所定の評価基準を参照して評価し、その評価結果に基づいて手動の場合と同様にして計測条件を調整する。
(S6:血流計測の開始)
所定のトリガーに対応して血流計測を開始する。
(S7:OCT計測の実行)
血流計測においては、まず、第1断面及び第2断面に対するOCT計測を行うことで、第1断層像、第2断層像及び位相画像を形成する。
(S8:血管領域の特定)
血管領域特定部231は、第1断層像、第2断層像及び位相画像のそれぞれについて血管領域を特定する。
(S9:注目血管の傾きの算出)
傾き算出部233は、断面間距離と血管領域の特定結果とに基づいて、第1断面における注目血管の傾きを算出する。
(S10:血流速度の算出)
血流速度算出部234は、位相画像として得られる位相差の時系列変化と、注目血管の傾きとに基づいて、注目血管内を流れる血液の第1断面における血流速度を算出する。
(S11:血管径の算出)
血管径算出部235は、眼底像又は断層像(第1断層像等)に基づいて、第1断面における注目血管の径を算出する。
(S12:血流量の算出)
血流量算出部236は、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて、注目血管内を流れる血液の流量を算出する。
(S13:計測結果の表示及び保存)
主制御部211は、血流速度の算出結果、血流量の算出結果等を含む血流情報を表示部240Aに表示させる。また、主制御部211は、患者IDに関連付けて血流情報を記憶部212に記憶させる。以上で、この実施形態の血流計測に関する処理は終了となる。
[効果]
眼底観察装置1の効果について説明する。
眼底観察装置1は、OCT計測用の光学系と、ガルバノスキャナ42と、画像形成部220と、血管領域特定部231と、血流情報生成部232とを有する。
OCT計測用の光学系は、光源ユニット101からの光を信号光LSと参照光LRとに分割し、眼底Efによる信号光LSの散乱光と参照光路を経由した参照光LRとの干渉光LCを検出する。
ガルバノスキャナ42は第1走査を行う。第1走査は、眼底Efの注目血管に交差する第1断面を信号光LSで反復的に走査するものである。
画像形成部220は、第1断層像と位相画像とを形成する。第1断層像は、第1断面における形態の時系列変化を表す画像であり、第1走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。位相画像は、第1断面における位相差の時系列変化を表す画像であり、第1走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。
血管領域特定部231は、第1断層像及び位相画像のそれぞれについて、注目血管に対応する血管領域を特定する。
血流情報生成部232は、第1断層像の血管領域と位相画像の血管領域における位相差の時系列変化とに基づいて、注目血管に関する血流情報を生成する。以上が、この実施形態の基本的な作用である。
ガルバノスキャナ42は、第1走査に加えて第2走査を行ってもよい。第2走査では、注目血管に交差しかつ第1断面の近傍に位置する第2断面を信号光LSで走査する。この場合、画像形成部220は、第1断層像及び位相画像に加えて第2断層像を形成する。第2断層像は、第2断面における形態を表す画像であり、第2走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。更に、血管領域特定部231は、この第2断層像についても、注目血管に対応する血管領域の特定を行う。血流情報生成部232は、第1断面と第2断面との間の距離と、第1断層像の血管領域と、第2断層像の血管領域と、位相画像が表す位相差の時系列変化とに基づいて、血流情報の生成を行う。
血流情報生成部232は、次のように構成されていてもよい:(1)第1断面と第2断面との間の距離と、第1断層像の血管領域と、第2断層像の血管領域とに基づいて、第1断面における注目血管の傾きを算出する傾き算出部233を含む;(2)この傾きの算出結果と位相差の時系列変化とに基づいて血流情報を生成する。
第2断面は、第1断面に対して注目血管の上流側の断面と下流側の断面とを含んでいてもよい。
傾き算出部233は、第1断層像における血管領域の位置と第2断層像における血管領域の位置とに基づいて、第1断面における注目血管の傾きを算出するように構成されていてもよい。
血流情報生成部232は、傾き算出部233による注目血管の傾きの算出結果と、位相差の時系列変化とに基づいて、注目血管内を流れる血液の第1断面における血流速度を算出する血流速度算出部234を含んでいてもよい。
血流速度算出部234は、位相差の時系列変化に基づいて、血流速度の時系列変化を表す血流速度変化情報を生成するように構成されていてもよい。
血流速度算出部234は、血流速度変化情報に基づいて血流速度の統計値を算出するように構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2は、第1断面の位置を含む眼底Efの部位を撮影する。この場合、血流情報生成部232の血管径算出部235と血流量算出部236が次のように機能する。つまり、血管径算出部235は、眼底カメラユニット2による撮影画像に基づいて、第1断面における注目血管の径を算出する。また、血流量算出部236は、血流速度変化情報と径の算出結果とに基づいて、注目血管内を流れる血液の流量を算出する。
これに代えて、血流量算出部235が、第1断層像に基づいて、第1断面における注目血管の径を算出し、血流量算出部236が、血流速度変化情報と径の算出結果とに基づいて、注目血管内を流れる血液の流量を算出するように構成されていてもよい。
血管領域特定部231は、第1断層像を解析して血管領域を特定し、第1断層像における血管領域の位置に対応する位相画像の画像領域を特定し、これを位相画像の血管領域に設定するように構成されていてもよい。
患者の少なくとも1心周期の間にわたって第1走査を行うように構成することが可能である。特に、血流量の算出において上記[数2]を用いる場合、1心周期の間に得られた血流速度の最大値が用いられる。
第1断面及び第2断面を眼底の視神経乳頭の近傍に設定することができる。従来のレーザドップラーを用いた血流計測では、その特性上、視神経乳頭から乳頭径(以上の距離)だけ離れた位置で注目血管を計測していた。しかし、この実施形態のようにOCTを用いる場合には、視神経乳頭により近い位置で計測を行うことができる。それにより、より高確度、高精度での計測が可能になると考えられる。
このような実施形態に係る眼底観察装置1によれば、位相画像と同じ断面の第1断層像と位相差の時系列変化とを用いて血流計測を行うように構成されているので、高い確度の血流計測を実現することが可能である。
また、眼底観察装置1は次のような特徴を有するものである。すなわち、眼底観察装置1は、OCT計測用の光学系と、ガルバノスキャナ42と、画像形成部220と、眼底カメラユニット2と、血管領域特定部231と、血流速度算出部234と、血管径算出部235と、血流量算出部236とを有する。
OCT計測用の光学系は、光源ユニット101からの光を信号光LSと参照光LRとに分割し、眼底Efによる信号光LSの散乱光と参照光路を経由した参照光LRとの干渉光LCを検出する。
ガルバノスキャナ42は第1走査と第2走査を行う。第1走査は、眼底Efの注目血管に交差する第1断面を信号光LSで反復的に走査するものである。第2走査は、注目血管に交差しかつ第1断面の近傍に位置する第2断面を信号光LSで走査するものである。
画像形成部220は、第1断層像と位相画像と第2断層像とを形成する。第1断層像は、第1断面における形態の時系列変化を表す画像であり、第1走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。位相画像は、第1断面における位相差の時系列変化を表す画像であり、第1走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。第2断層像は、第2断面における形態を表す画像であり、第2走査において光学系により得られる干渉光LCの検出結果に基づいて形成される。
眼底カメラユニット2は、第1断面の位置を含む眼底Efの部位を撮影する。
血管領域特定部231は、第1断層像、位相画像及び第2断層像のそれぞれについて、注目血管に対応する血管領域を特定する。
血流速度算出部234は、位相差の時系列変化と、血管領域の特定結果(から得られた注目血管の傾き)とに基づいて、注目血管内を流れる血液の第1断面における血流速度を算出する。
血管径算出部235は、眼底カメラユニット2による眼底Efの撮影画像に基づいて、第1断面における注目血管の径を算出する。
血流量算出部236は、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて、注目血管内を流れる血液の流量を算出する。以上が、この実施形態の基本的な作用である。
患者の少なくとも1心周期の間にわたって第1走査を行うように構成することが可能である。特に、血流量の算出において上記[数2]を用いる場合、1心周期の間に得られた血流速度の最大値が用いられる。
第1断面及び第2断面を眼底の視神経乳頭の近傍に設定することができる。従来のレーザドップラーを用いた血流計測では、その特性上、視神経乳頭から乳頭径(以上の距離)だけ離れた位置で注目血管を計測していた。しかし、この実施形態のようにOCTを用いる場合には、視神経乳頭により近い位置で計測を行うことができる。それにより、より高確度、高精度での計測が可能になると考えられる。
眼底カメラユニット2の撮影光学系30は、OCT計測用の光学系と光路の一部を共有している。表示部240Aには、眼底カメラユニット2による撮影画像が表示される。ユーザが操作部240Bを用いて、表示された撮影画像に第1断面を指定すると、断面設定部237は、指定された第1断面と撮影画像とに基づいて第2断面を設定する。ガルバノスキャナ42は、指定された第1断面に対して第1走査を行い、設定された第2断面に対して第2走査を行う。
このような実施形態に係る眼底観察装置1によれば、位相画像と同じ断面の第1断層像と位相差の時系列変化とを用いて血流計測を行うことができる。更に、眼底観察装置1は、位相差の時系列変化と血管領域の特定結果とに基づいて血流速度を算出し、撮影画像に基づいて注目血管の径を算出し、血流速度の算出結果と血管径の算出結果とに基づいて血流量を算出するように機能する。したがって、高い確度の血流計測を実現することが可能である。
[変形例]
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
血流量の算出方法の変形例を説明する。この変形例では、血流速度算出部234は、位相画像の血管領域に含まれる各画素について、血流速度の時系列変化を表す情報(血流速度変化情報)を生成する。この処理は、たとえば、時系列に沿う複数の位相画像の画素を画素位置毎に対応付けする処理と、各画素位置に対応する時系列に沿う複数の画素に基づいて血流速度変化情報を生成する処理とを含むように構成できる。この処理により、第1断面の血管領域における血流速度を位置ごとに求めることができる。
血流量算出部236は、血管領域に含まれる各画素の血流速度変化情報を時系列に沿って積分することにより、各画素についての血流量を算出する。この処理により、第1断面の血管領域における血流量を位置ごとに求めることができる。
更に、血流量算出部236は、これら画素についての血流量を加算することにより、注目血管を流れる血液の流量を算出する。この処理により、前段の処理で求めた位置ごとの血流量が加算され、第1断面の血管領域を流れる血液の総量が得られる。
上記の実施形態においては、光路長変更部41の位置を変更することにより、信号光LSの光路と参照光LRの光路との光路長差を変更しているが、この光路長差を変更する手法はこれに限定されるものではない。たとえば、参照光の光路に反射ミラー(参照ミラー)を配置し、この参照ミラーを参照光の進行方向に移動させて参照光の光路長を変更することによって、当該光路長差を変更することが可能である。また、被検眼Eに対して眼底カメラユニット2やOCTユニット100を移動させて信号光LSの光路長を変更することにより当該光路長差を変更するようにしてもよい。また、特に被測定物体が生体部位でない場合などには、被測定物体を深度方向(z方向)に移動させることにより光路長差を変更することも可能である。
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。
また、インターネットやLAN等のネットワークを通じてこのプログラムを送受信することも可能である。