JP5697699B2 - ラマン散乱計測装置およびラマン散乱計測方法 - Google Patents

ラマン散乱計測装置およびラマン散乱計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラマン散乱を利用して分子振動イメージングを行うラマン散乱計測装置に関する。ラマン散乱計測装置は、顕微鏡や内視鏡等に好適である。
ラマン散乱原理を利用した計測装置としては、例えば非特許文献1,2にて提案された誘導ラマン散乱(Stimulated Raman Scattering:SRS)計測装置がある。誘導ラマン散乱計測装置では、互いに波長が異なる2色の光パルスを試料に集光照射する。該2色の光パルスの振動数の差が試料の分子振動数と一致すると、集光点にて誘導ラマン散乱が生じ、試料を透過した2色の光パルスのうち振動数が高い方(すなわち波長が短い方)の強度が減少し、振動数が低い方(すなわち波長が長い方)の強度が増大するという現象が生じる。この強度変化を検出することで、試料の分子の振動情報を反映した分子振動イメージングが可能となる。
このような誘導ラマン散乱計測装置において、特定の波長のみを用いて特定の分子振動を検出するだけでなく、広い波長範囲の分子振動スペクトル(ラマンスペクトル)を検出することで、試料の識別能が向上すると期待される。
一方、発明者らは、非特許文献3において、広帯域ファイバーレーザーのスペクトルの一部を波長可変バンドパスフィルタにより抽出し、該抽出した光を2段の光増幅器によって増幅することで、波長を可変とした光パルスを発生させる構成を提案している。
誘導ラマン散乱顕微鏡の原理確認;嶽 文宏、小関泰之、伊東一良、Optics &Photonics Japan 2008,5pC12,2008年11月5日 Chiristian W. Freudiger, Wei Min, Brian G. Saar, Sijia Lu, Gary R. Holtom, Chengwei He, Jason C. Tsai, Jing X. Kang, X. Sunney Xie, "Label-Free Biomedical Imaging with High Sensitivity by Stimulated Raman Scattering Microscopy" SCIENCE VOL322 19 DECEMBER 2008 pp. 1857-1861 Yasuyuki. Ozaki, Wataru Umemura, Kasuhiko Sumimura, Norihiko Nishizawa, Kiichi Fukui, Kazuyoshi Itoh "Stimulated Raman hyperspectral imaging based on spectral filtering of broadband fiber laser pulses" Opt. Lett. 37, 431 (2012)
しかしながら、非特許文献3にて提案された構成では、得られる光パルスの波長の範囲が制限されるという問題がある。図9には、非特許文献3で提案されている構成における構成要素(下段)と各構成要素から射出される光(上段)とを模式的に示している。光源としてのYbファイバーレーザー(YbFL)から射出されたレーザー光(上段にFLで示す)は、波長可変ンドパスフィルタ(TBPF)に導かれる。上段の図における横軸は波長λを、縦軸は強度Iを示す。波長可変ンドパスフィルタは、入射したレーザー光のうち、光パルスとして抽出すべき特定の波長の光(以下、抽出光といい、上段にPLSで示す)を抽出する。抽出する波長を変化させる(スキャンする)ことで、光源の波長範囲に対応する波長範囲の抽出光が得られる。
波長可変ンドパスフィルタから射出した抽出光は、1段目の光増幅器(AMP1)としてのYb添加ファイバーアンプにて増幅される。ただし、この光増幅器では、抽出光が増幅されるだけでなく、該光増幅器内で発生した自然放出光も増幅される。つまり、1段目の光増幅器からの射出光には、増幅された抽出光だけでなく、増幅された自然放出光(amplified spontaneous emission light:以下、ASE光という)も含まれる。ASE光は、抽出光の波長に関係なく、広い波長範囲で発生し、そのピークは光増幅器のゲイン中心波長に現れる。このことは1段目の光増幅器からの射出光が入射する2段目の光増幅器(AMP2)としてのYb添加ファイバーアンプでも同じである。このため、2段目の増幅器からの射出光には、増幅された抽出光だけでなく、1段目の光増幅器で発生して2段目の光増幅器で増幅されたASE光と2段目の光増幅器で発生したASE光も含まれる。
図10(a)には、波長可変ンドパスフィルタで抽出する波長(以下、抽出波長という)をスキャンしたときの1段目の光増幅器(AMP1)からの射出光の強度変化を示している。横軸は抽出波長λを、縦軸は強度Iを示している。なお、抽出光の波長幅を考慮すると、正確には抽出波長λは抽出光の中心波長を意味するが、以下の説明では波長幅を問題にしないので、ここでは単に抽出波長としている。抽出光(PLS)の強度は1段目の光増幅器の波長−ゲイン特性に応じて波長により変化する。一方、ASE光は、抽出波長が変化しても、ASE光の発生波長域全体での強度として一定の強度を持つ。
図10(b)には、図10(a)に示した1段目の光増幅器(AMP1)からの射出光が入射した2段目の光増幅器(AMP2)の射出光を示している。2段目の光増幅器は、その増幅波長域内におけるできるだけ広い波長範囲で出力が一定となるようにゲインが飽和する状態で増幅を行う。ASE1は1段目の光増幅器で発生して2段目の光増幅器で増幅されたASE光の強度を示す。ASE2は2段目の光増幅器で発生したASE光の強度を示す。図10(a)に示した抽出光強度の波長に対する変化に応じて、飽和レベルに対する抽出光とASE光(ASE1,ASE2)強度の割合は図10(b)に示すように抽出波長によって変化する。
一方、前述したように、1段目の光増幅器では抽出波長によらず一定のASE光が発生している。よって、2段目の光増幅器の出力に含まれる抽出光に対するASE光の割合は、光増幅器のゲイン中心波長域と比較してゲインが低い波長域の方が大きくなる。このため、図10(c)に示すように、2段目の光増幅器(AMP2)からの射出光に含まれる抽出光の強度は、そのピークの両側の波長域において低くなる。したがって、試料に照射する有効な光パルスとして使用できる有効な抽出光の波長範囲としての有効波長範囲は、ピーク周辺の狭い波長範囲W′、すなわち2段目の光増幅器が本来有している増幅波長域よりもかなり狭い範囲となる。
本発明は、波長を変化させながら2段の増幅を行って試料に照射する光を得る場合に、該光の強度として十分な強度が得られる波長範囲を広くすることができるようにしたラマン散乱計測装置を提供する。
本発明の一側面としてのラマン散乱計測装置は、第1の光を生成する第1の光生成手段と、前記第1の光とは異なる波長を有する第2の光を生成する第2の光生成手段と、前記第1及び第2の光を試料に照射する光学系と、前記第1及び第2の光が前記試料に照射されることで生じるラマン散乱により強度変調された光を検出する検出手段と、を備え、前記第1の光生成手段は、抽出波長を含む波長範囲の光から該抽出波長を有する光を抽出する波長フィルタリングと、該波長フィルタリングにより抽出された光の増幅と、を行う波長増幅手段を有し、該波長増幅手段は、入射光に対する前記波長フィルタリングとしての第1のフィルタリングと、該第1のフィルタリングにより抽出された光に対する前記増幅としての第1の増幅と、該第1の増幅がなされた光に対する前記波長フィルタリングとしての第2のフィルタリングと、該第2のフィルタリングにより抽出された光に対する前記増幅としての第2の増幅と、を行う構成を含み、前記第1及び第2のフィルタリングを単一のバンドパスフィルタを用いて行い、前記バンドパスフィルタは、前記抽出波長を含む波長範囲の光を波長毎に分離する光分散素子と、前記抽出波長を含む波長範囲の光を前記光分散素子に導く導光光学系とを有し、前記光分散素子と前記導光光学系に含まれる光学素子との少なくとも一方を駆動して前記抽出波長を含む波長範囲の光の前記光分散素子への入射角を変化させ、前記光分散素子により分離された光の一部を抽出することにより、前記抽出波長を変化させ、前記光分散素子は、前記第1のフィルタリングにおいて光が前記光分散素子に入射するときの第1の入射位置と前記第2のフィルタリングにおいて光が前記光分散素子に入射するときの第2の入射位置との中間の位置を通る回転軸、または、前記第1及び第2の入射位置の両方を通る回転軸、を中心として回転可能であることを特徴とする。
本発明では、波長を変化させながら第1および第2の増幅(2段の増幅)を行って試料に照射するための光を得る場合に、第1の増幅において発生したASE光を第2のフィルタリングにより除去した上で第2の増幅を行う。このため、第2の増幅がなされた後の該光の強度として十分な強度が得られる波長範囲を従来の構成に比べて広くすることができる。これにより、ラマン散乱計測装置による試料の識別能をより向上させることができる。しかも、第1及び第2のフィルタリングを単一のバンドパスフィルタを用いて行うことで、第1のフィルタリングでの抽出波長と第2のフィルタリングでの抽出波長とを常に一致させることができ、簡単な構成で上記効果をより確実に実現することができる。
本発明の実施例1であるSRS計測装置の構成を示すブロック図である。 実施例1のSRS計測装置の波長可変増幅部の概略構成と該構成の各段での出力を示す図。 上記波長可変増幅部で得られる出力を示す図。 実施例1のSRS計測装置で得られる計測結果の例を示す図。 上記波長可変増幅部の具体的構成を示す図。 上記波長可変増幅部の他の具体的構成を示す図。 実施例1における波長可変増幅部に用いられる波長可変バンドパスフィルタの構成を示す図。 本発明の実施例2であるSRS計測装置における波長可変増幅部の具体的構成を示す図。 従来のSRS計測装置の波長可変増幅部の概略構成と該構成の各段での出力を示す図。 従来の波長可変増幅部で得られる出力を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の実施例1である誘導ラマン散乱計測装置(SRS計測装置)の概略構成を示している。該SRS計測装置100は、顕微鏡や内視鏡を含む観察、測定および診断その他の用途を有する装置として用いることができる。
本実施例のSRS計測装置100は、ストークス光となる第1のパルス光(第1の光)を生成する第1のパルス光生成部(第1の光生成手段)1と、ポンプ光となる第2のパルス光(第2の光)を生成する第2のパルス光生成部(第2の光生成手段)2とを有する。また、該計測装置100は、第1および第2のパルス光生成部1,2に設けられた光源(これについては後述する)の発光タイミングを制御するための2光子吸収フォトダイオード(TPA−PD)15と同期制御部16とを有する。
また、計測装置100は、ハーフミラーHMと、遅延光路3と、第1のダイクロイックミラー(合波素子)DM1と、第2のダイクロイックミラーDM2とを有する。さらに、該計測装置100は、XYスキャナ4と、照射光学系(レンズ)5と、集光光学系(レンズ)7と、色フィルタ8と、光検出素子(フォトダイオード)9と、ロックインアンプ10と、演算器18とを有する。照射光学系5と集光光学系7との間には、測定対象である試料6が配置される。
第1のパルス光生成部1は、第1の光源11と、波長可変増幅部(波長可変増幅手段)20とを有する。第1の光源11は、パルス光を第1のパルス周期で繰り返し射出(発振)する光源であり、本実施例では、Ybファイバーレーザー(YbFL)を用いている。第1の光源11から射出されるパルス光は、例えば、中心波長として1030nmを有し、繰り返し周波数νとして38MHzを有する。第1の光源11から射出されたパルス光は、第2のダイクロイックミラーDM2により反射されて2光子吸収フォトダイオード15に導かれる。
波長可変増幅部20は、少なくとも1つの波長可変バンドパスフィルタ、少なくとも1つの光増幅器とを用いて構成されている。波長可変バンドパスフィルタは、抽出する光の波長(以下、抽出波長という)、つまりは抽出する光の振動数を変化させることができる。波長可変増幅部20は、入射した光(抽出波長を含む波長範囲の光)から波長可変バンドパスフィルタの抽出波長に対応する波長を有する光(すなわち、抽出波長を有する光)を抽出するとともに該抽出波長を変化させる波長可変フィルタリングを行う。以下の説明では、この波長可変フィルタリングを、単にフィルタリングともいう。さらに、波長可変増幅部20は、光増幅器を用いて、フィルタリングにより抽出された光の増幅を行う。これにより、波長可変増幅部20(つまりは第1のパルス光生成部1)から、波長が可変であり、かつ増幅された第1のパルス光が射出される。波長可変増幅部20の構成および機能については後に詳述する。第1のパルス光生成部1から射出された第1のパルス光は、第1のダイクロイックミラーDM1に導かれる。
第2のパルス光生成部2は、第2の光源12と、図示しない光増幅器とを有する。第2の光源12は、パルス光を第2のパルス周期で繰り返し射出(発振)する光源であり、本実施例では、チタンサファイアレーザー(Ti−SAPPHL)を用いている。第2の光源12から射出されるパルス光は、第1の光源11から射出されるパルス光とは異なる中心波長として790nmを有し、繰り返し周波数2νとして76MHzを有する。不図示の増幅器は、第2の光源12から射出されたパルス光を増幅して射出する。
本実施例では、第1のパルス光の繰り返し周波数を、第2のパルス光の繰り返し周波数の二分の一としている。このため、第1のパルス光の各光パルスは、第2のパルス光の2つの光パルスに対して1つという同期したタイミングで生成される。なお、第1のパルス光の繰り返し周波数は、第2のパルス光の繰り返し周波数の二分の一に限られず、三分の一、四分の一等としてもよい。ただし、二分の一とする場合の方が、他の場合と比較して誘導ラマン散乱効果を引き起こす回数を多くすることができ、より高い精度で試料6の分子振動イメージを取得することができる。
第2のパルス光生成部2から射出された第2のパルス光の一部は、ハーフミラーHMにより反射され、第2のダイクロイックミラーDM2を透過して2光子吸収フォトダイオード15に導かれる。2光子吸収フォトダイオード15は、入射した第1のパルス光と第2のパルス光とを光電変換し、これらパルス光のタイミング差を示す電圧信号を出力する。このタイミング差を示す電圧信号は、同期制御部16に入力される。同期制御部16は、入力された電圧信号が所定値で一定となるように(つまりは上述した同期タイミングが得られるように)、第1および第2の光源11,12の発光タイミングを制御する。
なお、本実施例では、第1および第2の光源11,12として、Ybファイバーレーザー光源やチタンサファイヤレーザー光源を用いている。しかし、これら以外のレーザー光源、例えばErファイバーレーザー光源を用いることも可能である。
また、本実施例では、第1のパルス光および第2のパルス光のうち繰り返し周波数が低い第1のパルス光をストークス光として用い、繰り返し周波数が高い第2のパルス光をポンプ光として用いる場合について説明する。しかし、繰り返し周波数が低い第1のパルス光をポンプ光として用い、繰り返し周波数が高い第2のパルス光をストークス光として用いてもよい。
遅延光路3は、4つのミラーにより構成され、ミラー間の間隔を変化させることで第2の光源12から射出した第2のパルス光の光路長を変更する。この光路長の変更は、第1および第2のパルス光が試料6に同時に照射されるように行われる。第2のパルス光生成部2から射出された第2のパルス光は、第1のダイクロイックミラーDM1に導かれ、ここで第1のパルス光生成部1から射出された第1のパルス光と同軸に合波(合成)される。合波されたパルス光は、XYスキャナ4を介して照射光学系5により試料6に集光照射される。第1のダイクロイックミラーDM1、XYスキャナ4および照射光学系5により、第1のパルス光と第2のパルス光を合成して試料6に照射する光学系が構成される。
試料6に照射されるパルス光において、第1および第2のパルス光の繰り返し周波数をそれぞれν,2νとするとき、時間1/(2ν)ごとに第1および第2のパルス光の両方と、第2のパルス光のみとが交互に試料6に照射される。そして、第1および第2のパルス光の振動数の差が試料6における被測定分子の分子振動数と一致した状態で第1および第2のパルス光の双方が試料6に照射されたとき(時間1/νごと)に誘導ラマン散乱が生じる。このため、第2のパルス光には周波数νの強度変調が生じる。
試料6から射出された、第1のパルス光と誘導ラマン散乱によって強度変調された第2のパルス光は、集光光学系7によって集光される。集光光学系7で集光された第1および第2のパルス光は色フィルタ8に入射し、ここで第2のパルス光のみが透過されて光検出素子9に入射する。
光検出素子9は、入射した第2のパルス光をその光強度に応じた電気信号に変換する。光検出素子9からの出力信号は、ロックインアンプ10に入力される。ロックインアンプ10は、第1のパルス光生成部1(第1の光源11)からの第1のパルス光に同期した参照信号Refの周波数νをロックイン周波数として同期検波する。これにより、誘導ラマン散乱によって発生した光である第2のパルス光の強度変調成分のみがロックインアンプ10により検出される。光検出素子9と、ロックインアンプ10とにより検出手段が構成される。
XYスキャナ4は、第1のダイクロイックミラーDM1から射出されたパルス光の試料6に対する照射領域を2次元方向(X方向およびY方向)にスキャンする。これにより、ロックインアンプ10からの出力を取り込んだ演算器18は、試料6中の被測定分子の分子振動イメージを取得することができる。第1のパルス光の波長が変更(スキャン)されることで、第1のパルス光と第2のパルス光との振動数差を連続的に変えることができるので、連続した波長範囲でのラマンスペクトルが得られる。
次に、波長可変増幅部20の基本的な構成とその機能について、図2および図3を用いて説明する。図2には、波長可変増幅部20の基本的な構成要素(下段)と各構成要素からの射出光(上段)とを模式的に示している。
図2に示すように、第1の光源11であるYbファイバーレーザー(YbFL)から射出された光源光としてのレーザー光(上段にFLで示す)は、波長可変増幅部20にて第1のフィルタリングを行う第1の波長可変ンドパスフィルタ(TBPF1)に導かれる。図2中の上段の図における横軸は波長λを、縦軸は強度Iを示す。第1の波長可変ンドパスフィルタは、入射したレーザー光のうち、該第1の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長に対応する波長を有する光(以下、抽出光といい、図の上段にPLSで示す)を抽出する。そして、該第1の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長を変化させる(スキャンする)ことで、光源光の波長範囲に対応する波長範囲の抽出光が得られる。
次に、図2に示すように、第1のフィルタリングにて得られた抽出光は、第1の増幅(1段目の増幅)を行う第1の光増幅器(AMP1)としてのYb添加ファイバーアンプにて増幅される。この光増幅器からは、先に述べたように、増幅された抽出光が射出されるだけでなく、該光増幅器内で発生したASE光も射出される。
図3(a)には、第1の波長可変ンドパスフィルタでの抽出波長をスキャンして得られた抽出光が入射したときの第1の光増幅器からの射出光を示している。横軸は抽出波長λを、縦軸は強度Iを示している。抽出光(PLS)の強度は1段目の光増幅器の波長−ゲイン特性に応じて波長により変化する。ASE光は、抽出光の波長が変化しても、該ASE光の発生波長域全体での強度として一定の強度を持つ。
さらに、図2に示すように、第1の光増幅器からの射出光は、第2のフィルタリングを行う第2の波長可変ンドパスフィルタ(TBPF2)に導かれる。ここで、第1のフィルタリング(第1の波長可変ンドパスフィルタ)での抽出波長と第2のフィルタリング(第2の波長可変ンドパスフィルタ)での抽出波長とは互いに一致していることが重要である。これにより、第1の光増幅器からの射出光からASE光が除去され、第1のフィルタリングでの抽出波長と同じ波長を有して第1の増幅器で増幅された抽出光のみが射出される。
図3(b)には、第2の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長をスキャンして得られる第2の波長可変ンドパスフィルタからの射出光を示している。第2の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長は、そのスキャン中において常に、第1の波長可変ンドパスフィルタにてスキャンされる抽出波長と一致している。このため、図3(a)に示した第1の増幅器からの射出光に含まれていた抽出光のみが、その強度がほとんど低下することなく第2の波長可変ンドパスフィルタから出力される。
そして、図2に示すように、第2のフィルタリングにより得られた抽出光は、第2の増幅(2段目の増幅)を行う第2の光増幅器(AMP2)としてのYb添加ファイバーアンプにて増幅される。2段目の増幅では、図3(c)に示すように、その増幅波長域内の広い波長範囲で光の強度が飽和レベルとなるように入射光の増幅が行われる。この光増幅器でも、ASE光が発生するが、その強度は第1の増幅器で発生したASE光の強度と同等であり、第2の増幅がなされた抽出光の強度に比べて小さい。このため、図3(d)にも示すように、第2の光増幅器からは、その増幅波長域内の広い波長範囲Wで出力がほぼ一定であり、かつ十分な強度を有する抽出光が得られる。つまり、図10(c)に示した従来(非特許文献3)の構成にて十分な強度を有する抽出光が得られる波長範囲W′よりも広い波長範囲Wで十分な強度を有する抽出光を得ることができる。
このように、本実施例では、波長を変化させながら第1および第2の増幅(2段の増幅)を行って試料に照射するための第1のパルス光を得る場合に、第1の増幅において発生したASE光を第2のフィルタリングにより除去した上で第2の増幅を行う。このため、第2の増幅がなされた後の該第1のパルス光の十分な強度が得られる波長範囲を、従来の構成に比べて広くすることができる。
図4には、同じ試料に対して従来の構成を有するSRS計測装置によって得られるラマンスペクトルと本実施例のSRS計測装置によって得られるラマンスペクトルとの違いを模式的に示している。従来の構成を有するSRS計測装置では、ラマンスペクトルが得られる光波数(wavenumber)の範囲は図10(c)に示した抽出光の波長範囲W′に対応するSW′である。この光波数範囲SW′では、その特徴を検出可能なラマンスペクトルとしては、試料に含まれる分子M1とM2のうちM1のラマンスペクトルのみである。つまり、光波数範囲SW′外に特徴部分を有する分子M2のラマンスペクトルを検出することが難しい。
これに対して、本実施例のSRS計測装置では、ラマンスペクトルが得られる光波数範囲は、図3(d)に示した抽出光の波長範囲Wに対応してSW′よりも広いSWである。この光波数範囲SWでは、分子M1のラマンスペクトルに加えて、分子M2のラマンスペクトルの特徴も検出することが可能となる。このように、本実施例のSRS計測装置によれば、試料の識別能を従来の構成に比べてより向上させることができる。
図5には、先に説明した波長可変増幅部20の機能を実現するためのより好ましい構成を示している。図2に示した波長可変増幅部20を構成する第1の波長可変ンドパスフィルタ(TBPF1)、第1の増幅器(AMP1)、第2の波長可変ンドパスフィルタ(TBPF2)および第2の増幅器(AMP2)をそれぞれ別々の構成要素として用意してもよい。ただし、この場合、前述したように、第1の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長と第2の波長可変ンドパスフィルタの抽出波長とを常に一致させながらスキャンすることが難しい場合がある。
このため、第1の波長可変バンドパスフィルタおよび第2の波長可変バンドパスフィルタとして、同じ1つの(つまりは単一の)波長可変バンドパスフィルタを用いることが望ましい。言い換えれば、波長可変バンドパスフィルタによる第1のフィルタリングにより抽出されて第1の増幅がなされた光を、該第1のフィルタリングに用いられた波長可変バンドパスフィルタに再び導いて第2のフィルタリングを行うことが望ましい
図5において、第1の光源(YbFL)からのパルス光(直線偏光)は、λ/2板21aによりその偏方向が90度回転され、第1の偏光ビームスプリッタ22aを透過して波長可変バンドパスフィルタ(TBPF)40に入射する。波長可変バンドパスフィルタ40は、図2に示した第1および第2の波長可変バンドスフィルタ(TBPF1,TBPF2)と同様に、入射光から抽出波長に対応する波長を有する光を抽出するとともに該抽出波長を変化させるフィルタリングを行う。波長可変バンドパスフィルタ40は、第1の光源からのパルス光に対しては第1のフィルタリングを行って抽出光(以下、第1の抽出光という)を射出する。
波長可変バンドパスフィルタ40から射出した第1の抽出光は、ミラー23で反射されて第2の偏光ビームスプリッタ22bを透過し、ファイバーコリメータ24aを介してYb添加ファイバーアンプにより構成される第1の光増幅器(AMP1)25に入射する。第1の光増幅器25は、入射した第1の抽出光に対して第1の増幅を行う。第1の光増幅器25で増幅された第1の抽出光は、ファイバーコリメータ24bを介してλ/2板21bに入射する。そして、λ/2板21bにより偏方向が90度回転された第1の抽出光は、第1の偏光ビームスプリッタ22aで反射されて再び波長可変バンドパスフィルタ(TBPF)40に入射する。
波長可変バンドパスフィルタ40は、第1の増幅を経た第1の抽出光に対しては第2のフィルタリングを行って抽出光(以下、第2の抽出光という)を射出する。第2の抽出光は、ミラー23で反射されて第2の偏光ビームスプリッタ22bで反射し、ファイバーコリメータ24cを介してYb添加ファイバーアンプにより構成される第2の光増幅器(AMP2)26に入射する。第2の光増幅器26は、入射した第2の抽出光に対して第2の増幅を行う。第2の光増幅器26で増幅された第2の抽出光は、ファイバーコリメータ24dを介して図1に示した第1のダイクロイックミラーDM1に向かう。
このように、単一の波長可変バンドパスフィルタを用いて第1のフィルタリングと第2のフィルタリングを行うことで、第1のフィルタリングでの抽出波長と第2のフィルタリングでの抽出波長とを常に一致させながらスキャンすることができる。したがって、第1の波長可変バンドパスフィルタと第2の波長可変バンドパスフィルタとして別々の波長可変バンドパスフィルタを用いる場合に比べて、簡単な構成で波長可変増幅部20に求められる機能を確実に実現することができる。
さらに、図6に示すように、波長可変バンドパスフィルタを1つにするだけでなく、第1の光増幅器および第2の光増幅器として、同じ1つの(つまりは単一の)光増幅器を用いてもよい。言い換えれば、光増幅器による第1の増幅がなされた光を、該第1の増幅に用いられた光増幅器に再び導いて第2の増幅を行うようにしてもよい。
図6において、第1の光源(YbFL)からのパルス光(直線偏光)は、λ/2板21aによりその偏方向が90度回転され、偏光ビームスプリッタ22cを透過して波長可変バンドパスフィルタ(TBPF)40に入射する。波長可変バンドパスフィルタ40は、図5の構成にて説明した機能により、第1の光源からのパルス光に対しては第1のフィルタリングを行って第1の抽出光を射出する。
第1の抽出光は、ミラー23で反射されてファイバーコリメータ24aを介してYb添加ファイバーアンプにより構成される光増幅器(AMP)27に入射する。光増幅器27は、第1の抽出光に対して第1の増幅を行う。光増幅器27で増幅された第1の抽出光は、ファイバーコリメータ24bを介してλ/2板21bに入射する。そして、λ/2板21bにより偏方向が90度回転された第1の抽出光は、偏光ビームスプリッタ22cで反射されて再び波長可変バンドパスフィルタ(TBPF)40に入射する。
波長可変バンドパスフィルタ40は、第1の増幅を経た第1の抽出光に対しては第2のフィルタリングを行って第2の抽出光を射出する。第2の抽出光は、ミラー23で反射され、ファイバーコリメータ24aを介して再び光増幅器(AMP)27に入射する。光増幅器27は、第2の抽出光に対して第2の増幅を行う。そして、光増幅器26で増幅された第2の抽出光は、ファイバーコリメータ24bを介してλ/2板21bに入射し、その偏光方向が90度回転された後、偏光ビームスプリッタ22cを透過して、図1に示した第1のダイクロイックミラーDM1に向かう。
このように、単一の波長可変バンドパスフィルタと単一の光増幅器とを用いて第1のフィルタリング、第1の増幅、第2のフィルタリングおよび第2の増幅を行うことで、より簡単な構成で波長可変増幅部20に求められる機能を確実に実現することができる。
次に、これまで説明した波長可変増幅部20に用いられる波長可変バンドパスフィルタ(TBPF(1,2))の具体的な構成を、図7を用いて説明する。波長可変バンドパスフィルタは、可動光偏向素子122、第1のレンズ123および第2のレンズ124によって構成される導光光学系と、光分散素子125と、ハーフミラー121と、ファイバーコリメータ126とにより構成されている。第1および第2のレンズ123,124はそれぞれ、焦点距離f1,f2を有する。
第1の光源(YbFL)からのパルス光は、ハーフミラー121を通過して可動光偏向素子122に入射する。可動光偏向素子122は、ガルバノミラー、ポリゴンミラー、リゾナントスキャナ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等、高速で回転または揺動可能であり、射出光(反射光)の向きを変えることができる光学素子である。駆動部128は、可動光偏向素子122を回転駆動するためのアクチュエータや電気回路を含む。
可動光偏向素子122で反射されたパルス光は、第1のレンズ123および第2のレンズ124を通過して光分散素子125に導かれる。可動光偏向素子122の光偏向作用によって、図中に実線および一点鎖線で示すように、光分散素子125に入射する光の入射角が変化する。
光分散素子125は、入射光を波長に応じて異なる方向に分離する素子であり、本実施例では、回折格子を用いている。回折格子における刻線が延びる方向(刻線方向)は、図7の紙面に垂直な方向である。回折格子の分散を利用して第1のパルス光のスペクトル幅を十分に狭くすることができる。
本実施例では、可動光偏向素子122と第1のレンズ123との間および第1のレンズ123とその後側焦点位置との間の距離が焦点距離f1に一致する。また、第2のレンズ124とその前側焦点位置との間および第2のレンズ124と光分散素子125との間の距離が焦点距離f2に一致する。これにより、4f結像系が構成される。このため、可動光偏向素子122の光偏向作用にかかわらず、第1のパルス光が波長可変バンドパスフィルタを通過する時間は一定である。したがって、光分散素子125から射出するパルス光の波長が変化しても、第1のパルス光と第2のパルス光とが試料に照射されるタイミングがずれることはない。
光分散素子125から、射出したパルス光は、再び第2のレンズ124、第1のレンズ123および可動光偏向素子122を介してハーフミラー121で反射され、ファイバーコリメータ126に入射する。そして、光分散素子125にて波長に応じて異なる方向に分離された光のうち、入射方向に逆進する(リトロー反射される)成分のみがファイバーコリメータ126を介し、波長可変増幅部20内の光増幅器(AMP(1,2))に向かう。リトロー反射される光の成分(波長成分)は、光分散素子125へ入射する光の入射角によって変化するので、可動光偏向素子122を動かすことで抽出光の波長を変えることができる。
なお、波長可変増幅部20内の光増幅器において、パルス光の波長に応じて群遅延の変動が問題となる場合には、第2のレンズ124と光分散素子125との間の距離を変化させることでこれを補償することも可能である。また、光増幅器を、そのゲインが飽和する状態で使用することで、パルス光の波長がスキャンされることによる該光増幅器からの出力の変動を抑制することができる。 また、図7に示した可動光偏向素子122に代えて、向きが固定されたミラーを用いる一方、光分散素子125を回転(揺動)させてもよい。この場合にも、可動光偏向素子122を回転駆動する場合と同様に、光分散素子125の回転により波長をスキャンすることができる。
このように、波長可変バンドパスフィルタとしては、光の入射角に応じて射出光の波長を変化させる光分散素子およびこれに光を導く導光光学系に含まれる光学素子のうち少なくとも一方の素子の傾きを変えることで入射角を変化させる構成を有すればよい。また、「少なくとも一方」は、光分散素子と光学素子の両方の傾きを変化させる場合も含む意味である。
なお、上記各実施例にて説明したパルス光の波長、繰り返し周波数等のパラメータは例に過ぎず、他のパラメータを用いてもよい。
また、上記各実施例では、光分散素子として回折格子を用いた場合について説明したが、回折格子以外の素子(例えば、プリズム)であっても、光の入射角に応じて射出光の波長を変化させるものであれば光分散素子として使用することが可能である。
次に、本発明の実施例2について図8を用いて説明する。図8(a)には、波長可変増幅部20の構成として、図5および図6に示したものとは別の構成を示している。
図8(a)において、第1の光源(YbFL)からのパルス光は、図8(b)に示すようにミラー131を介さずに(ミラー131の近傍を通って)、波長可変ンドパスフィルタ(TBPF)を構成する光分散素子としての回折格子132に入射する。回折格子132は、入射光を波長に応じて異なる方向に分離する。
回折格子132は、不図示の駆動部により回転中心軸132aを中心として回転(揺動)が可能であり、その回転によって回折格子132に入射する光の入射角を変化させる。なお、回折格子132の刻線方向と回転中心軸132aが延びる方向とは平行である。また、回折格子132回転中心軸132aは、刻線方向に対して直交する方向に延びる軸回りで、ミラー131(および後述するミラー133)に対して若干倒れている。これにより、回折格子132に対する入射光と射出光のうち一方を、ミラー131,133を介さずに通過させることができる。
回折格子132は、その回転と入射光を波長に応じて異なる方向に分離する作用とにより、入射光から抽出波長に対応する波長を有する光を抽出するとともに抽出波長を変化させるフィルタリングを行う。回折格子132(波長可変ンドパスフィルタ)は、第1の光源(YbFL)からのパルス光に対して第1のフィルタリングを行う。
第1のフィルタリングにより抽出された第1の抽出光は、ミラー131で反射し、ファイバーコリメータ24aを介して第1の光増幅器(AMP1)25に入射する。第1の光増幅器25は、入射した第1の抽出光に対して第1の増幅を行う。第1の光増幅器25と後述する第2の光増幅器26はいずれも、Yb添加ファイバーアンプにより構成されている。
第1の光増幅器25で増幅された第1の抽出光は、ファイバーコリメータ24bを介してミラー133に入射し、ここで反射されて再び波長可変バンドパスフィルタの回折格子132に入射する。第1の抽出光は、第1の光源からのパルス光と平行に回折格子132に入射する。そして、回折格子132に対して第1の光源からのパルス光が入射したときと第1の抽出光が入射したときとで回折格子132の回転方向での向きが同じであることで、第1のフィルタリングと同じ抽出周波数で第1の抽出光に対して第2のフィルタリングが行われる。
第2のフィルタリングにより抽出された第2の抽出光は、ミラー131を介さずに(ミラー131の近傍を通って)、ファイバーコリメータ24cを介して第2の光増幅器(AMP2)26に入射する。第2の光増幅器26は、入射した第2の抽出光に対して第2の増幅を行う。第2の光増幅器26で増幅された第2の抽出光は、ファイバーコリメータ24dを介して図1に示した第1のダイクロイックミラーDM1に向かう。
本実施例では、回折格子132に第1の光源からのパルス光と第1の増幅後の第1の抽出光とが入射するが、それらの入射位置は互いに異なる。そして、回折格子132の回転中心軸132aは、これらの入射位置の中間(中央)の位置を通るように設定されている。これにより、回折格子132の回転方向での向きを変えても、波長可変増幅部20からの第1のパルス光の射出タイミングを変化させないようにすることできる。
なお、図8(c)に示すように、回折格子132の回転中心軸132aを、該回折格子132に対する第1の光源からのパルス光の入射位置と第1の増幅後の第1の抽出光の入射位置とを通るように設定してもよい。この構成でも、回折格子132の回転方向での向きを変えても、波長可変増幅部20からの第1のパルス光の射出タイミングを変化させないようにすることできる。
本実施例でも、同じ1つの(つまりは単一の)波長可変バンドパスフィルタを用いて第1のフィルタリングと第2のフィルタリングを行うことで、第1のフィルタリングでの抽出光周期数と第2のフィルタリングでの抽出波長とを常に一致させながらスキャンすることができる。したがって、第1の波長可変バンドパスフィルタと第2の波長可変バンドパスフィルタとを別々の波長可変バンドパスフィルタを用いる場合に比べて、容易な構成で波長可変増幅部20に求められる機能を確実に実現することができる。
上記各実施例では、2段の増幅を行う場合について説明したが、本発明は少なくとも2段の増幅(例えば、3段)を行う場合であれば適用可能である。
上記各実施例では、ラマン散乱のうち、特に誘導ラマン散乱を利用した計測装置について説明したが、誘導ラマン散乱以外のラマン散乱を利用した計測装置にも、各実施例にて説明した構成を応用することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。例えば、実施例1に係る波長可変バンドパスフィルタおいて、ハーフミラー121の代わりに全反射ミラーを用いてもよい。この場合、図8(b)に示した構成と同様に、第1の光源(YbFL)からのパルス光は全反射ミラーを介さずに通過し、光分散素子125からの抽出光は全反射ミラーで反射するようにすることで、ハーフミラーを用いる場合よりも光量損失を軽減することができる。
試料に対する良好な識別能を有するラマン散乱計測装置を提供することができる。
1 第1のパルス光生成部
2 第2のパルス光生成部
6 試料
9 光検出素子
10 ロックインアンプ
20 波長可変増幅部

Claims (7)

  1. 第1の光を生成する第1の光生成手段と、
    前記第1の光とは異なる波長を有する第2の光を生成する第2の光生成手段と、
    前記第1及び第2の光を試料に照射する光学系と、
    前記第1及び第2の光が前記試料に照射されることで生じるラマン散乱により強度変調された光を検出する検出手段と、を備え、
    前記第1の光生成手段は、抽出波長を含む波長範囲の光から該抽出波長を有する光を抽出する波長フィルタリングと、該波長フィルタリングにより抽出された光の増幅と、を行う波長増幅手段を有し、
    該波長増幅手段は、
    入射光に対する前記波長フィルタリングとしての第1のフィルタリングと、
    該第1のフィルタリングにより抽出された光に対する前記増幅としての第1の増幅と、
    該第1の増幅がなされた光に対する前記波長フィルタリングとしての第2のフィルタリングと、
    該第2のフィルタリングにより抽出された光に対する前記増幅としての第2の増幅と、を行う構成を含み、
    前記第1及び第2のフィルタリングを単一のバンドパスフィルタを用いて行い、
    前記バンドパスフィルタは、
    前記抽出波長を含む波長範囲の光を波長毎に分離する光分散素子と、前記抽出波長を含む波長範囲の光を前記光分散素子に導く導光光学系とを有し、
    前記光分散素子と前記導光光学系に含まれる光学素子との少なくとも一方を駆動して前記抽出波長を含む波長範囲の光の前記光分散素子への入射角を変化させ、前記光分散素子により分離された光の一部を抽出することにより、前記抽出波長を変化させ、
    前記光分散素子は、前記第1のフィルタリングにおいて光が前記光分散素子に入射するときの第1の入射位置と前記第2のフィルタリングにおいて光が前記光分散素子に入射するときの第2の入射位置との中間の位置を通る回転軸、または、前記第1及び第2の入射位置の両方を通る回転軸、を中心として回転可能であることを特徴とするラマン散乱計測装置。
  2. 前記波長増幅手段は、前記第2の増幅によって、前記第2のフィルタリングにより抽出された光の強度が飽和レベルに達するように増幅を行うことを特徴とする請求項1に記載のラマン散乱計測装置。
  3. 前記第1の増幅がなされた光の強度は、前記抽出波長に応じて異なることを特徴とする請求項1または2に記載のラマン散乱計測装置。
  4. 前記第1のフィルタリングにおける前記抽出波長と、前記第2のフィルタリングにおける前記抽出波長と、は互いに一致していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のラマン散乱計測装置。
  5. 前記波長増幅手段は、前記第1のフィルタリングにおける前記抽出波長と、前記第2のフィルタリングにおける前記抽出波長と、を互いに一致させながら変化させることを特徴とする請求項4に記載のラマン散乱計測装置。
  6. 前記波長増幅手段は、前記第1及び第2の増幅を単一の光増幅器を用いて行うことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のラマン散乱計測装置。
  7. 前記第1の光生成手段はファイバーレーザーを有し、前記波長増幅手段はファイバーアンプを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のラマン散乱計測装置。
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