本願の文脈での用語「オプション」は、例えばオプション又はオプション状のコンポーネントを含む任意の金融派生商品等の、オプション状の特性を有する任意の金融商品として広義に定義される。金融商品のカテゴリは、なんらかの原資産に関係する任意のタイプのオプションまたはオプション状の金融商品を含んでよい。本願で使用される資産は、例えば、株式、通貨、例えば石油、金属、又は砂糖等のコモディティ、金利、金利先渡し取引(FRA)、スワップ、先物、公社債、特定の地域での温度等の天気、電気、ガス排出、クレジット、モーゲージ、インデックス等の有形または無形、金融または非金融の価値のある何かを含む。例えば、本明細書に使用されるように、オプションは、単一の株式に対する単純なバニラオプションから、その兌換性が例えば天気等の何らかのキーに依存する複雑な転換社債まで及ぶ。
本願の文脈での用語「取引所」は、世界中の任意の1つまたは複数の取引所に関し、これらの取引所で取引されることがある全ての資産/セキュリティを含む。用語「取引所に価格を提出する」、「取引所に見積もりを提出する」等は、一般に、トレーダーが取引所での取引のためにビッド価格および/またはオファー価格の提出を実行することがあるアクションを指す。価格は、手形交換所システムを通して、および/または任意の他の所望されるシステムおよび/または方法で使用することによって、特別なネットワーク上で、例えばブローカーによって、オンライントレーディングによって、トレーダーから取引所に転送されてよい。
例えば、1または2営業日等の直渡し用のアセットの価格がスポット価格と呼ばれる。オプション契約で販売される資産の場合、権利行使価格は、オプションが行使される場合に取引が実行される合意された価格である。例えば、ストックオプションは株式を買うことまたは売ることに関与する。スポット価格は、株式がトレードされる取引所での現在の株価である。権利行使価格は、オプションが行使される場合に株式を買う/売るために合意された価格である。
オプションおよび他の金融商品のトレードを容易にするために、マーケットメーカーが特定のオプションに対するビッド価格および(アスク価格とも呼ばれる)オファー価格を提供する。ビッド価格は、マーケットメーカーがオプションを喜んで購入する価格であり、オファー価格は、マーケットメーカーが喜んでオプションを売る価格である。市場習慣として、ある特定のオプションに関心がある第1のトレーダーは、例えば第1のトレーダーがオプションを買うことに関心があるのか、それともオプションを売ることに関心があるのかを示すことなく、第2のトレーダーに見積もりを依頼することがある。第2のトレーダーは、第1のトレーダーがオプションを売ることに関心があるのか、それともオプションを買うことに関心があるのかを知らずに、ビッド価格とオファー価格の両方を見積もる。マーケットメーカーは、第1の価格でオプションを買い、例えばその第1の価格よりも高い第2の価格でオプションを売ることによってマージンを稼いでよい。オファー価格とビッド価格と差が、呼び値スプレッドと呼ばれる。
コールオプションは、例えば特定の日付等の特定の時刻に特定の価格(「ストライク)」で資産を購入する権利である。プットオプションは、例えば特定の日付等の特定のときに権利行使価格で資産を販売する権利である。あらゆるオプションは、オプションが存在するのをやめる満了時を有する。オプション満了時前に、オプションの所持者は原資産の時価に応じてオプションを行使するか否かを決定してよい。満了時のスポット価格が権利行使価格よりも低い場合、所持者はコールオプションを行使せず、オプション自体のコストだけを失うことを選ぶ。しかし、ストライクがスポットよりも低い場合、コールオプションの保持者は、権利行使価格で原資産を購入する権利を行使し、スポット価格と権利行使価格との間の差額に等しい利益を上げる。オプションのコストは、プレミアムとも呼ばれる。
先物相場は、合意された先物取引が行われる、資産の所定のレートまたは価格として定義される。先物相場は、オプションの原資産に応じて、資産の現在のレート、市場で一般的な現在の金利、予想配当金(株式の場合)、(コモディティの場合)持越し費用、および/または他のパラメータに基づいて計算されてよい。
アットザマネーフォワードオプション(AMT)は、そのストライクが資産の先物相場に等しいオプションである。いくつかの分野では、アットザマネーフォワードオプションは、コモディティおよび金利オプションでの共通した用語であるので、一般に、アットザマネーオプションと呼ばれる。アットザマネーエクイティオプションは、つまりストライクが現在のスポットレート又は価格である場合、実際には、アットザマネースポットである。
インザマネーコールオプションは、ストライクが原資産の先物相場未満であるコールオプションであり、インザマネープットオプションは、ストライクが原資産の先物相場を超えているプットオプションである。アウトオブマネーコールオプションは、ストライクが原資産の先物相場を超えているコールオプションであり、アウトオブザマネープットオプションは、ストライクが原資産の先物相場未満であるプットオプションである。
本願の文脈でのエキゾチックオプションは、標準的なバニラオプション以外の任意のタイプのオプションを指す一般名である。特定のタイプのエキゾチックオプションは、長年に渡って広範囲に且つ頻繁にトレードされ、今日でもトレードされているが、他のタイプのエキゾチックオプションは過去に使用されていたが、今日ではもはや使用されていない。現在、最も一般的なエキゾチックオプションは「バリア」オプション、「デジタル」オプション、「バイナリ」オプション、「部分バリア」オプション(「ウインドウ」オプションとしても知られる)、「アベレージ」オプション、「コンパウンド」オプション、および「クォント」オプションを含む。いくつかのエキゾチックオプションは、標準(バニラ)オプションの複雑版として説明できる。例えば、バリアオプションは支払いが、原資産の価格が、特定の時間期間中に、以降「トリガ」と呼ばれる一定のレベルに到達するかどうかに依存するエキゾチックオプションである。オプションの「支払い」は、その満了時にオプションの所持者によって実現される現金として定義される。一般的に2種類のバリアオプション、すなわちノックアウトオプションおよびノックインオプションがる。ノックアウトオプションは、スポットがトリガに到達する場合および到達するときに終了するオプションである。ノックインオプションは、原資産の価格がトリガに到達するときにだけ存在する。ともに同じ期限を有するストライクKおよびトリガBとのノックアウトオプション、およびストライクKおよびトリガBとのノックインオプションの複合効果が、ストライクKの対応するバニラオプションに同等であることが留意される。したがって、ノックインオプションは、対応するノックアウトオプションおよびバニラオプションを価格設定することによって価格設定できる。同様に、ワンタッチオプションは、2つのノックインコールオプションおよび2つのノックインプットオプションに分解することができ、ダブルノータッチオプションは2つのダブルノックアウトオプションに分解できる等である。技術で既知の多くの他のタイプのエキゾチックオプションがあることが理解される。
例えばバニラオプション等の特定のタイプのオプションは、一般的にヨーロッパまたはアメリカのどちらかとして分類される。ヨーロッパオプションは、その満了時だけに行使できる。アメリカオプションは購入後且つ満了前のいつでも行使できる。例えば、アメリカバニラオプションは、所有者がオプションの満了日を含むそれ以下のいつでもオプションを行使できるという追加の特性とともに、上述されたバニラオプションタイプの全ての特性を有している。技術で既知であるように、満了前にアメリカオプションを行使する権利は、アメリカオプションを対応するヨーロッパオプションよりもより高価にする。
本願では一般的に、用語「バニラ」はヨーロッパ式のバニラオプションを指す。ヨーロッパバニラオプションは最も一般的にトレードされているオプションである。それらは、通常、店頭で(OTC)トレードされる。アメリカバニラオプションは、取引所ではより人気があり、一般に価格設定するのがより困難である。
米国特許第5,557,517号(「第517号特許」)は、特定の取引所でのトレードのためにアメリカバニラオプションを価格設定する方法を説明している。この特許は、コールアメリカバニラオプションおよびプットアメリカバニラオプションを価格設定する方法を説明しており、オプションの価格はマーケットメーカーによって要求される一定のマージン又は手数料に依存する。
第517号特許の方法は、原資産の現行価格を除き、オプションの価格に影響を及ぼすことがあるデータを無視し、したがってこの方法は、例えばマイナスのオプション価格というばかげた結果等重大なエラーにつながることがある。この問題は、明らかに、アメリカ式バニラオプションが実物市場でどのように価格設定されるのかを模倣していない。
ブラック−ショールズ(BS)モデル(1973年に開発)は、オプションを評価するための広く認められている方法である。このモデルは、オプション価格を概算するための開始点として一般に使用される支払いの確率に基づいてオプションの理論価値(TV)を計算する。このモデルは、資産のスポット価格の変化が、技術で既知であるようにブラウン運動に続くという推測に基づいている。確率論的過程としても知られている、かかるブラウン運動モデルを使用し、分析的又は数値的のどちらかで任意のタイプの金融派生商品の理論価格を計算してよい。例えば、1977年にBoyleによって紹介されたモンテカルロ方法等のシミュレーション技法を通して複雑な金融派生商品の理論価格を計算することが一般的である。かかる技法は、使用されているコンピュータが関与する全ての計算を処理するほど十分に強力であるならば、オプションの理論価値を計算する上で有用である場合がある。シミュレーション方法では、コンピュータは原資産のための多くの伝搬経路を生成し、トレード時間に開始し、オプションの満期時に終了する。各経路は別個であり、一般にブラウン運動の確率に従っているが、原資産の各動きの間の時間経過を削減することによって、必要な程度に密に生成されてよい。したがって、オプションが経路依存型である場合、各経路がたどられ、オプションの条件を満たす経路だけが考慮される。かかる各経路の最終結果は要約され、デリバティブの理論価格につながる。
元のブラック−ショールズモデルは、オプションの価格が相対的に簡略な公式によって説明されるヨーロッパバニラオプションの理論価格を計算するために派生された。しかし、本願でのブラック−ショールズモデルへのどのような参照も、例えば、確率論的過程(ブラウン運動)を仮定すること等の原資産の挙動を評価するため、および/またはエキゾチックオプションを含む任意のタイプのオプションの価格を計算するためのブラック−ショールズモデル又は任意の他の適切なモデルの使用を指していることが理解されるべきである。さらに、本願は一般的であり、オプションの理論価値が入手される方法とは無関係である。それは、任意の種類のシミュレーション方法または使用可能な任意の他の技法を使用して、分析的に、数値的に引き出すことができる。
例えば、米国特許第6,061,662号(「第662号特許」)は、履歴データに基づいてモンテカルロ方法を使用してオプションの理論価格を評価する方法を説明する。第662号特許のシミュレーション方法は、オプションの理論価格を評価するために、所定の分散関数とともに確率論的履歴データを使用する。例は第662号特許であり、この方法が、バニラオプションにブラック−ショールズモデルを適用することによって得られる結果に非常に類似している結果を生じさせることを示すために使用される。残念なことに、履歴データだけに基づいた方法は、理論的な評価ためであっても金融市場をシミュレーションするのに関係がない。例えば、オプションの評価に使用される最も重要なパラメータの内の1つは、原資産の価格および/またはレートがどのように変動することがあるのかの基準である、原資産のボラティリティである。金融市場が、しばしば履歴データから劇的に逸脱する原資産のボラティリティに、予測された、つまり期待された値を使用することは周知である。市場用語では、期待されるボラティリティは、多くの場合、「インプライドボラティリティ」と呼ばれ、「ヒストリカルボラティリティ」と区別される。例えば、インプライドボラティリティは、戦争のリスク等の主要な事象の前、および金融危機を予想して又は金融危機の間、原資産のヒルトリカルボラティリティよりもはるかに高くなる傾向がある。
ブラックショールズモデルが実物市場の価格からかけ離れた結果を生み出すことがある限られた概算であり、したがってブラックショールズモデルに対する訂正は一般にトレーダーによって加えられなければならないことが当業者によって理解される。例えば、外国為替(FX)バニラ市場では、およびコモディティでは、市場はボラティリティベースでトレードし、オプション価格への変換はブラックショールズの公式を使用して行われる。実際、トレーダーは一般にブラックショールズモデルの使用を「正しい価格を得るために間違ったモデルとともに間違ったボラティリティを使用すること」と呼ぶ。
BS価格を調整するために、バニラ市場では、トレーダーは異なるストライクに異なるボラティリティを使用する。つまり、BSモデルによって要求されるように満期日ごとに1資産あたり1つのボラティリティを使用する代わりに、トレーダーは権利行使価格に応じて所与の資産に異なるボラティリティ値を使用してよい。この調整が、ボラティリティ「スマイル」調整として知られている。この文脈での用語「スマイル」の起源は、フラット「U」形状(微笑)に類似しているボラティリティ対ストライクの典型的な形状である。
句「オプションの市場価格」は、本書では、ブラックショールズモデル等のいくつかの既知のモデルによって生じる単一の値と、実物市場でトレードされる実際のビッド価格およびオファー価格を区別するために使用される。例えば、いくつかのオプションの場合、市場買い呼値側はブラックショールズモデル価格の2倍である場合があり、売り呼値側がブラックショールズモデル価格の3倍である場合がある。
多くのエキゾチックオプションは、配当支払いの途切れ、したがってトリガ(複数の場合がある)に近いリスクパラメータのいくつかの途切れによって特徴付けられる。この途切れが、ブラックショールズモデル等の単純化しすぎたモデルがオプションのリスク管理を行う上での難しさを考慮しないようにする。さらに、いくつかのエキゾチックオプションの特異なプロファイルのため、リスクファクタのいくつかを再ヘッジすることに関連する多大な取引コストがある場合がある。ブラックショールズモデル等の既存のモデルは、かかるリスクファクタを完全に無視する。
1973年以来、いくつかのオプション価格設定モデルが導入されてきたが、これらのモデルのどれも市場価格を普遍的におよび/または一貫して再現することができなかった。最も有名な価格設定モデルは、ボラティリティ自体が根本的なプロセスと相互に関連する別の確率論的なプロセスであると仮定する確率論的なボラティリティモデル、およびBGM等の、相互に関連付けられた確率論的なプロセスであるスワプション価格をロンドン銀行間取引金利(Libor)レートから生成するLIBORベースのモデルを含む。
オプションの価格および訂正を計算する上で多くのファクタが考慮に入れられてよい。用語「ファクタ」は主題のオプションに関係する任意の定量化できる値または計算可能な値としてここでは広義に使用される。顕著なファクタのいくつかが、以下に定義される。
ボラティリティ(「Vol」)は、例えばデイリーリターン等の、資産に対して実現される運用益の変動の測定単位である。指標の表示ボラティリティは、ヒストリカルボラティリティ、つまり過去の特定の期間の資産のデイリーリターンの標準的な派生物によって得ることができる。
しかしながら、市場は、先物の標準的な派生物の市場の期待を反映するボラティリティに基づいてトレードする。市場の期待を反映するボラティリティがインプライドボラティリティと呼ばれる。ボラティリティを買う/売るために、人は一般的にバニラオプションをトレードする。例えば、外国為替市場では、頻繁に使用されるオプション日付と通貨の組に対するATMバニラオプションのインプライドボラティリティを、ユーザは、例えばREUTERS、Bloomberg等の画面を介して、またはFXオプションブローカーからじかにリアルタイムで利用できる。
上述されたボラティリティスマイルは、ATMストライクのためのインプライドボラティリティが市場で所与のATMボラティリティである場合に、ストライクに関するインプライドボラティリティ、つまりストライクの関数としてのインプライドボラティリティの挙動に関係する。通常、ストライクの関数としてのインプライドボラティリティの図面は、微笑のように見える最小値を示す。例えば、通常エクイティオプションでは、最小のボラティリティはATMストライク未満である。
デルタは、原資産の価格の変動に対応するオプションの価格の変動率である。言い換えると、デルタはスポットに関してオプション価格の部分的なデリバティブである。例えば、25デルタのコールオプションは以下の通りに定義される。つまり、原資産の一ユニットに関してオプションを買うことことに反対して、原資産の0.25ユニットが売られると、他の全てのファクタは変更されず、オプションの価格、および資産の0.25ユニットを保持することによって生じる利益または損失での総変更はヌルである。
ベガは、ボラティリティの変化、つまりボラリティに関するオプション価格の部分的なデリバティブに応えたオプションまたは他のデリバティブの価格の変更率である。
ボラティリティコンベクシティは、ボラティリティに関して価格の第2の部分的なデリバティブ、つまりdVega/dVolと示されるボラティリティに関するベガのデリバティブである。
ストラドルは、同じ権利行使価格及び同じ満期を有するバニラコールオプションおよびプットオプションを買うことを含む戦略である。
アットザマネーデルタニュートラルストラドルは、コールオプションのデルタおよびプットオプションのデルタが反対の符号と同じ価値を有するストラドルである。アットザマネーデルタニュートラルストラドル戦略の買い手は、自動的にデルタヘッジされる(原資産の価格の小さな変更から保護される)。
リスクリバーサル(RR)は、同じ満期砂反対の符号の同じデルタのバニラコールオプションを買い、バニラプットオプションを売ることを含む戦略である。いくつかの市場では、RRは(反対方向の)同じデルタのコールオプションおよびプットオプションのインプライドボラティリティ間の差異に相当する。通過市場および/またはコモディティオプション市場のトレーダーは、一般に、25deltaコールオプションと25deltaプットオプションのインプライドボラティリティ間の差異である25delta RRを使用する。したがって、25delta RRは以下の通りに計算される。
25デルタRR=インプライドボラティリティ(25デルタコール)−インプライドボラティリティ(25デルタプット)
25delta RRは、25デルタコールオプションを買うことと、25デルタプットオプションを売ることの組み合わせに相当する。したがって、25デルタRRは、スポットに関するかかる組み合わせのベガの傾きによって特徴付けられてよい。したがって、実際には、カレントスポットでの25デルタRRのコンベクシティがゼロに近いので、25デルタRRの価格は、ベガ傾きの価格を特徴付けてよい。したがって、上記に定義された25delta RRは、傾きdVega/dspotの価格を設定するために使用され得る。
ストラングルは、同じ満期のコールオプションおよびプットオプションを購入する戦略である。いくつかの用途では、コールオプションおよびプットオプションは、反対の符号の同じデルタを有することがある。ストラングル価格は、コールオプションおよびプットオプションのインプライドボラティリティの平均である場合がある。例えば、
25デルタストラングル=0.5(インプライドボラティリティ(25デルタコール)+インプライドボラティリティ(25デルタプット)
25deltaストラングルは、カレントスポットでのスポットに関する実際的に傾きなしであるが、多くのコンベクシティ、つまりボラティリティが変化するときのベガの変化によって特徴付けられてよい。したがって、それはコンベクシティを価格設定するために使用される。
アットザマネーボラティリティは既知であることがあるので、ストラングルの1ユニットを買い、ATM 25オプションの2ユニットを売るバタフライ戦略を引用するのがより一般的である。いくつかの試算では、ストラングル/バタフライは、ボラティリティの観点で見積もられる。例えば、
25デルタバタフライ=0.5*(インプライドボラティリティ(25デルタコール+
+インプライドボラティリティ(25デルタプット)−ATMボラティリティ
ストラングルよりむしろバタフライを見積もることがより一般的である理由は、バタフライが、ほとんどベガはないがかなりのコンベクシティがある戦略を提供するためである。バタフライおよびストラングルは、既知である場合があるATMボラティリティを通して関連付けられているので、それらは交互に用いられてよい。25deltaプットおよび25deltaコールは、25deltaRRおよび25deltaストラングルに基づいて決定できる。ATMボラティリティ、25デルタリスクリバーサル、および/または25デルタバタフライは、例えば、「ボラティリティパラメータ」と呼ばれてよい。ボラティリティパラメータは、追加のおよび/または代替のパラメータ、および/またはファクタを含んでよい。
ビッド/オファースプレッドは、金融デリバティブのビッド価格とオファー価格の差異である。オプションの場合、ビッド/オファースプレッドは、例えばボラティリティに関してまたはオプションの価格を関してのどちらかで表されてよい。例えば、為替トレードオプションのビッド/アスクスプレッドは、価格用語(例えば、セント等)で見積もられる。所与のオプションの美度/オファースプレッドは、オプションの特定のパラメータに依存する。一般的に、オプションのリスクを管理することが難しいほど、そのオプションのビッド/オファースプレッドは広くなる。
価格を見積もるために、トレーダーは、通常、自分たちがオプションを買いたい価格(つまりビッド側)とオプションを売りたい価格(つまりオファー側)を計算しようとする。多くのトレーダーはビッド価格およびオファー価格を計算するための計算方法を持たないため、トレーダーは、通常、直観、ファクタが市場価格にどのような影響を及ぼすのかを確かめるためにオプションのファクタを変更することを含む経験、およびトレーダーの最も重要なツールであると見なされる過去の経験に依存する。
トレーダーが一般に直面する1つのジレンマは、ビッド/オファースプレッドはどれほど幅広くあるべきかである。広すぎるスプレッドを提供すると、オプション市場で競合する能力が弱められ、素人とみなされるが、狭すぎると、スプレッドはトレーダーに対する損失が生じることがある。どの価格を提供するのかを決定する上で、トレーダーは、ビッド/オファースプレッドが適切であることを保証する必要がある。これは価格設定プロセスの一部である。つまり、トレーダーがビッド価格およびオファー価格をどこに入れるのかを決定した後、トレーダーは、結果として生じるスプレッドが適切であるかどうかを検討する必要がある。このスプレッドが適切ではない場合、トレーダーは、適切なスプレッドを示すためにビッド価格とオファー価格のどちらかまたは両方を変更する必要がある。
為替で見積もられるオプション価格は、銀行のトレーダーが通常ブローカーを通して互いとトレードするOTC市場でのそれらのビッド/アスクスプレッドに比較して、通常、相対的に広いスプレッドを有する。さらに、為替価格は、通常、小さな名目元本のオプション(ロット)に相当する。トレーダーは、時折、相対的に少額のオプションでビッド価格またはオファー価格を提案することによってオプションの為替価格を変更することがある。これによって、為替価格が偏ってゆがめられることがある。
為替と対照的に、OTCオプション市場は、流動性に関してより大きな「深さ」を有する。さらに、OTC市場でトレードされるオプションは、為替でトレードされるオプションの特定のストライクおよび満了日に制限されない。さらに、為替でのビッド価格/オファー価格とはまったく異なるビッド価格/オファー価格を見積もる多くのマーケットメーカーがいる。
オプションの為替価格が広いスプレッドで見積もられる理由の1つは、多くの異なるストライクに対応するオプションの価格、および多くの異なる日付が、例えば原資産の価格の変化のたびに対応して等、非常に頻繁に変化することがあるという点である。その結果、為替にビッド価格およびアスク価格を提供する人は、原資産の価格が変化するたび等、同時に多数のビッド価格およびアスク価格を絶えず更新しなければならない。この退屈な活動を回避するために、頻繁に更新される必要がない、「安全な」ビッド価格およびアスク価格を使用することが最も好ましい。
いくつかの例証的な実施形態は、金融商品の価格を設定するための装置、システム、および/または方法を含む。
いくつかの実施形態が、バニラオプションの価格設定に関して本書で説明されているが、他の実施形態は、例えば対応するバニラオプションの価格設定に基づいて等、任意の他の適切なエキゾチックオプションの価格を設定するために実装されてよい。
いくつかの例証的な実施形態は、例えばリアルタイムで、実質的に全てのアセットクラスのオプションを、例えば銀行間市場でトレードされるオプションのトレードされた価格を真に再現するように、価格設定するための価格設定モデルを実装する方法、装置、および/またはシステムを含む。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、原資産に対するオプションを定める少なくとも1つのパラメータに対応する第1の入力データ、および原資産に関係する少なくとも1つの現在の市場条件に対応する第2の入力データを受け取ってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の入力データは、オプションのタイプ、オプションの満了日、オプションのトリガ、およびオプションのストライクの内の少なくとも1つの表示を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、第2の入力データは、現在価格、先物相場、金利、ボラティリティ、アットザマネーボラティリティ、デルタリスクリバーサル、デルタバタフライ、デルタストラングル、10デルタリスクリバーサル、10デルタバタフライ、10デルタストラングル、25デルタリスクリバーサル、25デルタバタフライ、25デルタストラングル、キャプレット、フロアレット、スワップレート、証券貸出利率、および為替価格の内の少なくとも1つの表示を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、第1の入力データおよび第2の入力データに基づいてオプションの価格を設定してよい。
ブラックショールズ(BS)モデルは、ストライクに関わりなく、任意の期限には単一のボラティリティがあること、および原資産の価格の変動率を反映するこの単一のボラティリティがオプションの寿命を通して一定であると仮定する。したがって、BSモデルは、トレーダーが、オプションの価格リストを排除するために、例えば原資産のデルタ量をつねに保つことによって原資産の価格をたえず再ヘッジしさえすればよいと仮定する。実際には、この過程は当てはまらない。通常、ボラティリティは、原資産の価格が変化するときに変化する。したがって、異なるストライクには異なる「ボラティリティ値」がある。BSモデルは、ボラティリティ変更を再ヘッジするコストを無視する。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、例えば互いにほぼ直交であってよい、2つの「軸」の再ヘッジを検討することがある。第1の「軸」は、ボラティリティが原資産価格の価格の変化によって影響を受けることがある、ボラティリティ「スマイル」があるという事実から生じることがある。第1の軸は、例えばリスクリバーサル戦略を使用して再ヘッジされてよい。第2の軸は、例えばボラティリティが変化するときに、ベガでヘッジされた帳簿がアンヘッジになることから生じることがある。第2の軸は、例えばストラングル戦略を使用して再ヘッジされてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、1つまたは複数の所定の基準を満たすことがあるボラティリティスマイルに従ってオプションの価格を設定してよい。
本書で使用される用語「ボラティリティスマイル」は、ATMストライクのためのインプライドボラティリティが市場で所与のATMボラティリティである場合に、ストライクに関するインプライドボラティリティ、つまりストライクの関数としてのインプライドボラティリティの挙動に関係する。ストライクの関数としてのインプライドボラティリティの図は、例えば通常、エクイティオプションでは、最小ボラティリティはATMストライク未満である等、微笑のように見える最小値を示してよい。ただし、ストライクの関数としてのインプライドボラティリティの図は、任意の他の適切な挙動および/または例えば「U」つまり「微笑」形状等の形状を有してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは、価格設定されるオプションを含む第1のオプション、および第1のオプションの位置と反対の位置を表し、第1のオプションと実質的に同じ絶対デルタ値を有する第2のオプション等、デルタニュートラル戦略を形成する1組のオプションに関して基準を満たしてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは、例えば第1のオプション、および第1のオプションの位置と反対の位置を表し、第1のオプションと実質的に同じ絶対デルタ値を有する第2のオプションを含むデルタニュートラル戦略を形成する各組のオプションに関して基準を満たしてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは第1のオプションに対応する第1の訂正および第2のオプションに対応する第2の正の合計に関係する第1の基準を満たしてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の訂正は、第1のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第1のオプションの価格との差異に関係し、第2の訂正は、第2のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第2のオプションの価格との差異に関係する。理論値は、例えばBSモデルまたは任意の他のモデル等の任意の適切なモデルに従って決定されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の基準は、第1の訂正および第2の訂正の合計が、それぞれ第1のオプションおよび第2のオプションに対応する第1のボラティリティコンベクシティおよび第2のボラティリティコンベクシティの合計に比例することを要求することがある。
いくつかの例証的な実施形態では、第1のボラティリティコンベクシティおよび第2のボラティリティコンベクシティの合計は、ボラティリティスマイルによる第1のオプションのボラティリティおよびボラティリティスマイルによる第2のオプションのボラティリティの所定の関数である。
いくつかの例証的な実施形態では、第2の基準は、第1の訂正と第2の訂正との差異が、それぞれ第1のオプションおよび第2のオプションに対応する第1のデルタコンベクシティと第2のデルタコンベクシティとの差異に比例することを要求することがある。
いくつかの例証的な実施形態では、第1のデルタコンベクシティと第2のデルタコンベクシティとの差異は、ボラティリティスマイルによる第1のオプションのボラティリティおよびボラティリティスマイルによる第2のオプションのボラティリティの第2の所定の関数である。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の基準が、第1の訂正および第2の訂正の合計が、デルタに基づく第1の比例関数による第1のボラティリティコンベクシティおよび第2のボラティリティコンベクシティの合計に比例することを要求することがある。
いくつかの例証的な実施形態では、第2の基準が、第1の訂正と第2の訂正との差異が、デルタに基づく第2の比例関数による第1のデルタコンベクシティおよび第2のデルタコンベクシティの差異に比例することを要求する。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の比例関数および第2の比例関数の内の少なくとも1つが、デルタおよび1つ又は複数の市場ベースのパラメータの所定の組み合わせを含む。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、第2の入力データに基づいて市場ベースのパラメータを決定してよい
いくつかの例証的な実施形態では、第1の比例関数および第2の比例関数はデルタの減少関数である。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の基準および第2の基準は、それぞれ以下の方程式を満たすことを要求する。
上式では、
は、Δがデルタを示す第1の訂正および第2の訂正を示し、Α(Δ)およびΒ(Δ)は、それぞれΔの第1の関数および第2の関数を示し、Vega
△は第1のオプションおよび第2のオプションのベガを示し、tは第1のオプションの満期までの時間を示し、d1は第1オプションの満期までの時間の所定の関数を示し、Sは原資産の価格を示し、
は、それぞれボラティリティスマイルによる第1のオプションのボラティリティおよびボラティリティスマイルによる第2のオプションのボラティリティを示す。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、第1の基準および第2の基準に基づいて第1のオプションのボラティリティを決定してよい。例えば、価格設定モジュールは、ボラティリティスマイルによる第1のオプションのボラティリティを決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、第1のオプションのボラティリティに基づいて第1のオプションに対応する第1の訂正を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、例えば理論価格および第1の訂正の合計に基づいて等、第1の訂正および第1のオプションの理論価格に基づいて第1のオプションの価格を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、ボラティリティスマイルに基づいて原資産に対するエキゾチックオプションの価格を決定してよい。例えば、価格設定モジュールは、例えば上述されたボラティリティスマイルに従って等、原資産のバニラオプションの価格を決定してよく、バニラオプションの価格に基づいてエキゾチックオプションの価格を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、価格設定モジュールは、例えばリアルタイムで、第1のオプションの価格に基づいて出力を提供してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュールは、通信ネットワークを介して出力を通信してよい。
いくつかの実施形態では、システムは価格設定モジュールを実装し、入力市場データに基づき、実質的に任意の適切な資産に対する実質的に任意の適切なオプションのための価格情報を提供してよい。市場データは、例えばリアルタイムで容易に入手され得る。したがって、任意の所望されるオプションのリアルタイム価格は、例えば為替および/またはOTC市場から受け取られるリアルタイム価格に基づいて決定されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格は、例えばスポット価格および/またはオプション価格に対応して、例えば即座におよび/または自動的に更新されてよい。これは、ユーザが為替でトレードするための価格を自動的に更新できるようにする。
トレーダーは、例えばそれぞれ10のオプションに対する10のビッド/オファー価格に対する等複数のオプションに対する複数のビッドおよび/またはオファー(以降「ビッド/オファー」)価格を提出したいと考える。トレーダーは、ビッド/オファーを見積もりシステムに入力するとき、例えばカレントスポット価格に関係して価格をチェックしてよく、次いでビッド/オファーを為替に提出してよい。例えば1秒後等、しばらくしてから、1つまたは複数のオプションの原資産である株式のスポット価格が変化することがある。スポット価格の変化には、例えば、ボラティリティパラメータの変化が伴われることもあれば、ボラティリティパラメータが変化していない間の単に小さなスポット変化を含むだけのこともある。スポット価格の変化に応えて、トレーダーは提出したビッド/オファー価格の内の1つまたは複数を更新したいと思う場合がある。ビッド/オファー価格を更新したいという希望は、例えばトレード時間中に頻繁に発生することがある。
いくつかの例証的な実施形態に係る価格設定モジュールを実装するシステムは、例えば任意の所望される基準に基づいてトレーダーによって入力されたビッド/オファー価格を自動的に更新してよい。例えば、システムは、例えばトレーダーがビッド/オファー価格を提出するときにシステムによって推定されてよいオプションのビッド価格およびオファー価格に対するトレーダーのビッド/オファーを評価してよい。システムは、次いで、例えばスポットが変化するたびにビッドおよび/またはオファー価格を自動的に再計算してよく、トレーダーのビッド/オファー価格を自動的に更新してよい。システムは、価格設定モジュールによって計算されたビッド/オファー価格とトレーダーのビッド/オファー価格との価格差が実質的に一定に保たれるように、例えばトレーダーのビッド/オファー価格の1つまたは複数を更新してよい。別の例に従って、システムはトレーダーのビッド/オファー価格と、価格設定モジュールによって計算されるビッド価格とオファー価格の平均との差異に基づいてトレーダーのビッド/オファー価格の1つまたは複数を更新してよい。システムは、任意の他の所望される基準に基づいてトレーダーのビッド/オファーの1つまたは複数を更新してよい。
例えばいくつかにピップのスポット価格の変化がそのスポット価格に対応するオプションのボラティリティパラメータの1つまたは複数の変化につながることがあることが留意される。いくつかの実施形態に係るシステムが上述されたように、例えばスポット価格の、ボラティリティパラメータの1つまたは複数の、および/または任意の他の所望されるパラメータの変化を考慮に入れながら、トレーダーによって提出される1つまたは複数のオプション価格を自動的に更新することを可能にしてよいことが理解される。
いくつかの例証的な実施形態では、システムは、トレーダーが、相対価格対価格設定モジュールによって決定される価格の形で、為替で1つまたは複数の見積もりを提出できるようにしてよい。例えば、トレーダーは1つまたは複数の所望されるストライクおよび/または満期日の見積もりを提出してよい。トレーダーによって提出された見積もりは、例えば価格設定モジュールによって決定される1つまたは複数の対応する価格に関係する任意の所望される形であってよい。例えば、トレーダーによって提出される見積もりは、2ベーシスポイントプラスの、価格設定モジュールによって決定されるビッド/オファー価格に関して、4ベーシスポイントマイナスの価格設定モジュールによって決定される価格に関して等であってよい。システムは、例えば為替の価格変化が記録されるたび等、例えばリアルタイムで、所望される価格を決定してよい。代わりに、システムは、例えば0.5秒ごとに等の、例えば所定の時間間隔ごとに任意の他の所望されるタイミング方式に従って所望される価格を決定してよい。
株式のスポット価格の変化は、その株式に関係する多数のオプションの価格の変化につながることがある。例えば、単一の株式に関係し異なるストライクおよび満期日を有する200以上のアクティブオプションがあるだろう。したがって、例えばリアルタイムで等スポット価格の変化に従ってオプションの為替価格を更新するためには巨大な情報量がトレーダーによって必要とされることがある。トレーダーはスポット価格、ボラティリティ、配当金および/またはキャリーレートが変化することがあるレートに従って提出した価格を更新できないことがあるため、これによって、トレーダーは、例えば「安全マージン」を含んだ価格等の「非競争的」であることがある為替価格を提出することがある。
いくつかの例証的な実施形態は、例えば上述されたように、トレーダーによって提出される1つまたは複数のビッドおよび/またはオファー価格の自動的な更新を可能にしてよい。トレーダーは、スポット価格の頻繁な変化からトレーダーを保護するために「安全マージン」を自分の価格に追加しなくてもよくなるため、これによっては、トレーダーはより攻撃的なビッド/オファー価格を提出することを奨励され得る。したがって、取引所でのトレードはより効果的になり、多数の取引を生じさせることがある。例えば、トレーダーはシステムに1つまたは複数の所望されるボラティリティパラメータおよび/またはレートを提供してよい。トレーダーは、システムに、例えばスポット価格におよび/または市場のボラティリティに多大な変化があるたびに、所望されるオプションの額に対するビッドおよび/またはオファー価格を自動的に提出および/または更新するように要求してよい。また、トレーダーは、ボラティリティパラメータのいくつかまたは全てを更新してもよい。システムは、例えば価格設定モジュールを使用していつ買うおよび/または売るのかを決定できる自動意思決定システムにリンクされてよい。
説明を簡略且つ明確にするために、図中に示される要素は必ずしも原寸に比例して描かれていない。例えば、要素のいくつかの寸法は、提示を明確にするために他の要素を基準にして誇張されることがある。さらに、参照数詞は、対応するまたは類似する要素を示すために図の中で繰り返されることがある。図は以下の通り一覧される。
以下の発明を実施するための形態では、いくつかの実施形態の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が説明される。ただし、いくつかの実施形態はこれらの具体的な詳細なくしても実践され得ることが当業者によって理解される。他の例では、説明を分かりにくくすることがないように周知の方法、手順、構成部品、装置、および/または回路は説明されていない。
以下の発明を実施するための形態のいくつかの部分は、アルゴリズム、およびコンピュータメモリ内部のデータビットまたはバイナリデジタル信号に対する動作の象徴的な表現に関して提示される。これらのアルゴリズムの説明および表現は、データ処理技術の当業者によって自らの仕事の内容を他の当業者に伝達するために使用される技法であってよい。
アルゴリズムはここにあり、一般には、所望される結果につながる行為または動作の首尾一貫したシーケンスであると見なされる。これらは物理量の物理的な操作を含む。必ずではないが通常、これらの量は記憶される、転送される、結合される、比較される、およびそれ以外の場合操作されることができる電気信号または磁気信号の形をとる。これらの信号をビット、値、要素、記号、文字、用語、番号等として参照することは、おもに共通使用のために折りにふれ便利であることが証明判明している。ただし、これらのおよび類似する用語の全てが適切な物理量と関連付けられなければならず、これらの量に適用される便利な標識にすぎないことが理解されるべきである。
例えば「処理する」、「算出する」、「計算する」、「決定する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」等の用語を活用する本書の説明は、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内部の物理的な(例えば電子的な)量として表されるデータを操作する、および/またはコンピュータのレジスタおよび/またはメモリ、もしくは動作および/またはプロセスを実行するための命令を記憶し得る他の情報記憶媒体の内部の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータ、計算プラットホーム、コンピューティングシステム、または他の電子計算装置の動作(複数の場合がある)および/またはプロセス(複数の場合がある)を指してよい。
本書で使用される用語「複数の」および「複数の」は、例えば、「複数の」つまり「2つ以上」を含む。例えば、「複数の項目」は2つ以上の項目を含む。
いくつかの実施形態は1つまたは複数の有線リンクまたは無線リンクを含んでよく、無線通信の1つまたは複数の構成要素を活用してよく、無線通信等の1つまたは複数の方法またはプロトコルを活用してよい。いくつかの実施形態は、有線通信および/または無線通信を活用してよい。
いくつかの実施形態は例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、デスクトップコンピュータ、モバイルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)デバイス、ハンドヘルドPDAデバイス、オンボードデバイス、オフボードデバイス、ハイブリッドデバイス、車両装置、非車両装置、モバイルまたはポータブルデバイス、非モバイルまたは非ポータブルデバイス、無線通信局、無線通信措置、セル式電話、無線電話、パーソナルコミュニケーションシステム(PCS)装置、無線通信装置を組み込んだPDA装置、1つまたは複数の内部アンテナおよび/または外部アンテナを有する装置、有線または無線ハンドヘルド装置(例えば、BlackBerry、Palm Treo)、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)装置等の多様な装置およびシステムと連動して使用されてよい。
本発明のいくつかの例証的な実施形態は、本書で、株式オプション等の金融商品の市場価格等の値を計算するためのモデルとの関連で説明されている。しかしながら、本発明に係るモデルは他のオプション、金融商品、および/または市場に適用されてよく、実施形態は株式オプションに制限されないことが理解されるべきである。当業者は、所与の金融商品に特有なファクタに適応させるために必要となることがある変動とともに、金利先物に関するオプション、コモディティに関するオプション、および/または天気および/または温度に関するオプション等の非資産商品に関するオプション等の他のオプションおよび/またはオプション状の金融商品に実施形態を適用してよい。
用語「金融商品」は、外国為替(FX)、金利、エクイティ、コモディティ、クレジット、天気、エネルギー、不動産、モーゲージ棒の適切な「アセットクラス」を指してよい、および/またはクロスアセット、マルチアセット等の複数のアセットクラスに関与してよい。用語「金融商品」は、1つまたは複数の金融商品の任意の適切な組み合わせも指してよい。
用語「デリバティブ金融商品」または「オプション」は、その価値を1つまたは複数の原資産の値および特性から引き出す、先渡し、スワップ、先物、為替オプションおよびOTCオプション等の任意の適切なデリバティブ商品を指してよい。
ここで、いくつかの例証的な実施形態に係るシステム100のブロック図を概略で示す図1が参照される。
いくつかの例証的な実施形態では、システム100は、以下に説明される1つまたは複数のデリバティブ金融商品の価格を設定するために価格設定モジュール(「価格設定アプリケーション」)160を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、システム100は、例えばPC、ラップトップコンピュータ、PDA装置、および/または端末等の1つまたは複数のユーザステーションまたは装置を含み、一人または複数のユーザが本書に説明されるような価格設定モジュール160を使用してその1つまたは複数の金融資産の価格を設定できるようにする。
いくつかの例証的な実施形態では、装置102は、例えばプロセッサ、コントローラ、メモリ部、記憶部、入力部、出力部、通信部、オペレーティングシステム、アプリケーション等の適切なハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を使用して実装されてよい。
装置102のユーザは、例えば、トレーダー、ビジネスアナリスト、企業構造化マネージャ、販売員、リスクマネージャ、フロントオフィスマネージャ、バックオフィス、ミドルオフィス、システム管理者等を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、システム100は、ユーザ102と、価格設定モジュール160等のシステム100の1つまたは複数の要素との間のインタフェースをとるためのインタフェース110も含んでよい。インタフェース110は、任意選択でユーザ102と1つまたは複数の金融商品(FI)システムおよび/またはサービス140との間のインタフェースをとってよい。サービス140は、例えば、1つまたは複数の市場データサービス149、1つまたは複数のトレードシステム147、1つまたは複数の取引所接続性システム148、1つまたは複数の分析サービス146、および/または1つまたは複数の他の適切なFI関連サービス、システムおよび/またはプラットホームを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えばインタフェース110および/または任意の他のインタフェースを介して、例えばFIシステム140の1つまたは複数、データベース、記憶装置、アーカイブ、HTTPサービス、FTPサービス、アプリケーション、および/または例えば価格設定モジュール160に自動的に入力を提供する、および/または例えば本書に説明されるように価格設定モジュール160によって生成される出力を受信することができる任意の適切なモジュール等の、システム100の1つまたは複数の適切なモジュールと直接的にまたは間接的に通信可能であってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、FIシステム/サービス140の一部として、例えば任意の適切なサーバの一部として等、装置102の一部としておよび/または他の適切なシステムまたはモジュールの一部として、もしくは専用サーバとして実装されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は適切なコンピューティングシステムによって実行されるローカルアプリケーションまたはリモートアプリケーションを含んでよい。例えば、コンピューティングシステム183は、その上に記憶された価格設定アプリケーション命令189を有する適切なメモリ187、および命令189を実行し、その結果価格設定モジュール160を生じさせるための適切なプロセッサ185を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、コンピューティングシステム183は、ユーザ102に価格設定モジュール160の機能性を提供するためにサーバを含んでよい、またはサーバの一部であってよい。他の実施形態では、コンピューティングシステム183はユーザステーション102の一部として実装されてよい。例えば、命令189は、別のコンピューティングシステムからユーザ102によってダウなロードされる、および/または受信されてよく、したがって価格設定モジュール160はユーザ102によってローカルで実行され得る。例えば、命令189は受け取られ、例えばユーザ装置102のプロセッサによって実行される前に、ユーザ装置102のメモリまたは任意の適切な短期メモリまたはバッファに、例えば一時的に記憶されてよい。他の実施形態では、コンピューティングシステム183は、任意の他の適切な計算装置、サーバおよび/または方式を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、コンピューティングシステム183はFIシステム/サービス140の1つまたは複数を実行してもよい。他の実施形態では、価格設定アプリケーション160は、FIシステム/サービス140の1つまたは複数とはべK.K.に実装されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110は、価格設定モジュール160、FIシステム/サービス140の一部として、および/または例えば任意の適切なサーバとして等、任意の他の適切なシステムまたはモジュールの一部として実装されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110は、装置102と関連付けられてよい、おおび/または装置102の一部として含まれてよい。一例では、インタフェース110は、例えばミドルウェアとして、任意の適切なアプリケーションの一部として、および/またはサーバの一部として実装されてよい。インタフェース110は、例えばプロセッサ、コントローラ、メモリ部、記憶部、入力部、出力部、通信部、オペレーティングシステム、アプリケーション等の任意の適切なハードウェア構成要素および/またはソフトウェア構成要素を使用して実装されてよい。いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110は、ウェブベースの価格設定アプリケーションインタフェース、ウェブサイト、ウェブページ、スタンドアロンアプリケーション、プラグイン、ActiveXコントロール、リッチコンテント構成要素(例えば、FlashまたはShockwave構成要素)等を含んでよい、または一部であってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110は、ユーザ102と1つまたは複数の金融商品(FI)システムおよび/またはサービス140のとの間のインタフェースをとってもよい。
いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110は、ユーザ102がコマンドを入力できる、価格設定モジュール160によって価格設定されるデリバティブ金融商品を定義できる、そのデリバティブ金融商品に対応するトレードを定義するおよび/または構造化することができる、価格設定モジュール160からデリバティブ金融商品の価格設定を受け取ることができる、トレードを取り引きできる、および/または任意の他の適切な動作を実行できるように構成されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、通貨、金利、コモディティ、エクイティ、エネルギー、クレジット、天気等に関するオプション等の、任意の適切な原資産に関する、例えば任意の適切なバニラオプション等のオプションを、例えば正確におよび/またはリアルタイムで価格設定できてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ヨーロッパバニラオプションの価格を考えると、時刻Tでの原資産の価格が、例えば価格設定モデルにも関わりなく S
Tであるという確率を表す、P(S
T)として示される確率関数を入手できる。例えば、以下であるので
したがって
上式ではPrice
callは、コールオプションの価格を示し、df
Rは期間通貨年次金利Rを使用して計算される時刻Tのファクタを示し、Kは権利行使価格を示す。
したがって、いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば適切なモンテカルロシミュレーション等を介して、例えばエキゾチック等の任意の適切なオプションの価格を計算するためにバニラモデルから入手できる確率関数を使用してよい。
したがって、いくつかの実施形態が、バニラオプションの価格設定に関して本書で説明されているが、他の実施形態が、例えば対応するバニラオプションの価格設定に基づいて等、任意の他の適切なエキゾチックオプションの価格を設定するために実装されてよいことが理解される。
いくつかの例証的な実施形態は、価格設定モジュール160は、例えばリアルタイムで、実質的に全てのアセットクラスのオプションを、例えば銀行間市場でトレードされるオプションのトレードされた価格を真に再現するように、価格設定するための価格設定モデルを実装してよい。
いくつかの例証的実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば各ストライクKごとに等、1つまたは複数のストライクKのために、σ = σ(Κ)で示されるボラティリティパラメータの1つまたは複数の値合を計算し、例えば以下に詳しく説明される決定されたボラティリティパラメータに、例えばブラックショールズ(BS)モデルまたは任意の他の適切なモデルを適用することによって、計算されたボラティリティパラメータに基づいてオプションの価格を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、オプションの理論価値に適用される訂正を決定してよい。理論価値は、例えばBSモデルまたは任意の他のモデル等の任意の適切なモデルに従って決定されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、1つまたは複数の所定の基準を満たすことがあるボラティリティスマイルに従ってオプションの価格を設定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは、例えばデルタニュートラル戦略を形成する1組のオプションに関して基準を満たしてよい。例えば、その1組のオプションは、例えば価格設定されるオプション等の例えば第1のオプション、および第1のオプションの位置に反対の位置および第1のオプションと実質的に同じ絶対デルタ値を表す第2のオプションを含んでよい。本書で使用される用語「絶対デルタ値」は、デルタの絶対に関係する。例えば、第1のデルタ値および第2のデルタ値は同じであってよく、符号に関わりなく、実質的に同じ絶対値を有する。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは、例えば第1のオプション、および第1のオプションの位置と反対の位置を表し、第1のオプションと実質的に同じ絶対デルタ値を有する第2のオプションを含む各組のオプションに関して基準を満たしてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティスマイルは第1のオプションに対応する第1の訂正および第2のオプションに対応する第2の正の合計に関係する第1の基準を満たしてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、以下に詳しく説明されるように、第1の訂正は、第1のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第1のオプションの価格との差異に関係し、第2の訂正は、第2のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第2のオプションの価格との差異に関係する。
いくつかの例証的な実施形態では、表記diは以下の通り定義されてよい。
上式では、Fは先物相場を示し、tはオプションの満了までの時間を示す。
バニラコールオプションおよびプットオプションのためのBSモデルは、例えば以下のように表記diを使用して表されてよい。
上式では、BS
CallはコールオプションのBS値を示し、BS
PutはプットオプションのBS値を示し、N(x)は例えば以下のようにxの累積正規分布関数を示す。
方程式4および5によるBS値BSCallおよびBSPutは、所定の満了日tに所定の権利行使価格Kで1ユニットのアセットを買うためのコールオプションおよび売るためのプットオプションのそれぞれの価格を表してよい。
それぞれ△
Callおよび△
Putと示されるコールオプションおよびプットオプションのデルタ、つまり原資産の価格の変化に対応するそれぞれコールオプションおよびプットオプションの価格の変化率は、以下のように決定されてよい。
上式では、df
LはレートLのような基本年利を使用して計算される割引係数である。例えば、株式では、Lは配当率であり、コモディティではLはキャリーレートまたはコンビニエンスレートであり、通貨ではLは基本通貨金利である。割引計数df
Lおよびdf
Rは、Sがアセットの時価(レート)である式
によって関連付けられてよい。
したがって、同じデルタを有するコールオプションおよびプットオプションは、以下の条件を満たす。
上式では、K
Callはコールオプションのストライクを示し、K
Putはプットオプションのストライクを示す。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティの変化に対応するオプションの価格の、Vegaで示される変化率は、以下のように定められてよい。
上式では、n(t)は、例えば以下の通りにtの正規確率密度関数を示す。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の戦略(「同デルタリスクリバーサル」)は、コールオプションを買うこと、および同じ値のデルタ及びコールオプションのデルタの反対の符号を有するプットオプションを売ることを含むと定義されてよく、第2の戦略(「同デルタストラングル」)はコールオプションを買うこと、および同じ値およびコールオプションのデルタの反対の符号を有するプットオプションを買うことを含むと定義されてよい。方程式9および10にしたがって、反対の符号の同じデルタを有するプットオプションおよびコールオプションは同じベガを有してよい(これ以降「同じデルタを有する」と呼ばれる)。したがって、第1の戦略および第2の戦略のベガのデリバティブは以下の条件を満たしてよい。
および
上式では、
は、同じ原資産に対する、同じデルタを有する、それぞれコールオプションおよびプットオプションのベガの値を示す。
BSモデルは、ストライクに関わりなく、任意の期限には単一のボラティリティがあること、および原資産の価格の変動率を反映するこの単一のボラティリティがオプションの寿命を通して一定であると仮定する。したがって、BSモデルは、トレーダーがオプションの価格リスクを排除するために(つねに原資産のデルタ額を保つことによって)原資産の価格を絶えず再ヘッジしさえすればよいと仮定する。実際には、この仮定が当てはまらないことは周知である。通常、ボラティリティは、原資産の価格が変化するときに変化する。したがって、異なるストライクには異なる「ボラティリティ値」がある。BSモデルは、ボラティリティ変更を再ヘッジするコストを無視する。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば本書に説明されるBSモデルのこの欠陥を少なくとも部分的に修復しうる価格設定モデル(「ガーションモデル」)を実装してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ガーションモデルは、例えば互いにほぼ直交であってよい、2つの「軸」の再ヘッジを検討することがある。第1の「軸」は、ボラティリティが原資産価格の価格の変化によって影響を受けることがある、ボラティリティ「スマイル」があるという事実から生じることがある。第1の軸は、例えばリスクリバーサル戦略を使用して再ヘッジされてよい。第2の軸は、例えばボラティリティが変化するときに、ベガでヘッジされた帳簿がアンヘッジになることから生じることがある。第2の軸は、例えばストラングル戦略を使用して再ヘッジされてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、デルタニュートラルストラドル戦略は、K
0で示される、以下での同じストライクのコールオプションおよびプットオプションを含むと定義されてよい。
したがって、
この定義によると、デルタニュートラルストラドル戦略のコールまたはプットの、△
oで示されるデルタは以下のとおりである。
σ0で示されるボラティリティはBSモデルでストライクκ0の代わりになる場合に、ストライクκ0のオプションの市場価格を生じさせるボラティリティとして定義されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ガーションモデルは、例えば、ストライクKでのガーションモデルによるオプションの値(「市場価格」)とアットザマネーデルタニュートラルストラドルのストライクのためのBSモデルで使用されるボラティリティσのBS値
0等のBSモデル(「BS値」)に従って決定されるオプションの値に追加されるζで示される補正(「ゼータ」)を実装してよい。補正ζは、例えば以下の通りに定義されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ガーションモデルは、BSC (σ0,Κ0)がストライクKgのための正しい市場価格を生成するように、σ0がBSボラティリティであると仮定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、コールオプションへの関数σ(Κ)を介した、ζαで示される訂正は以下の通りに表されてよい。
いくつかの例証的実施形態では、プットオプションへの関数σ(Κ)を介した、ξ
ρで示される訂正は以下の通りに表されてよい。
訂正ζ
cおよびζ
ρの定義によって、K
0での訂正ζαおよびζ
ρは
を満たす。同じストライクのプットオプションを売ることとともにコールオプションを買うことは、ストライクに等しい先物相場で先物取引に入ることと同等であるので、コールオプションζ
cの訂正の値は、例えば価格設定モデルに関係なく、同じストライクのプットオプションの訂正の値ζ
Ρに同一であることが留意される。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の訂正および第2の訂正の合計は、デルタに基づく第1の比例関数に従って、それぞれ第1のオプションおよび第2のオプションに対応する第1のボラティリティコンベクシティおよび第2のボラティリティコンベクシティの合計に比例してよい。
例えば、同じ原資産に対するコールオプションおよびプットオプションに対応し、同じデルタを有する訂正ζの合計であるストラングル戦略の訂正は、例えば以下の通りに方程式13に従ってボラティリティに関してベガのデリバティブの合計に比例してよい。
上式では、A(△)は例えば以下に説明される△の第1の比例関数を示す。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の訂正と第2の訂正との差異は、デルタに基づく第2の比例関数に従って、それぞれ第1のオプションおよび第2のオプションに対応する第1のデルタコンベクシティと第2のデルタコンベクシティとの差異に比例してよい。
本書に使用される用語「デルタコンベクシティ」は、スポットSに関してベガのデリバティブに関係してよい。
例えば、同じ原資産に対するコールオプションおよびプットオプションに対応し、同じデルタを有する訂正の差異であるリスクリバーサル戦略の訂正は、例えば以下の通りに方程式12に従ってSに関してベガのデリバティブの差異に比例してよい。
上式では、B(△)は例えば以下に説明される△の第2の比例関数を示す。
いくつかの例証的な実施形態では、関数Α(Δ)およびB(Δ)は△の減少関数であり、例えば以下に詳しく説明される市場条件を満たさなければならない。関数Α(Δ)およびB(Δ)は、例えば満了までの時間等の任意の適切なパラメータおよび/またはファクタに依存してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、比例関数Α(Δ) および/またはB(Δ)が、デルタおよび1つ又は複数の市場ベースのパラメータの所定の組み合わせを含む。
いくつかの例証的な実施形態では、モジュール160は、第2の入力データに基づいて市場をベースにしたパラメータを決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、比例関数Α(Δ)および/またはB(Δ)の市場ベースのパラメータは、例えばストライクdまたはボラティリティを除く満期fオプションおよび/または任意の他の適切なファクタに依存してよい。他の実施形態では、市場ベースのパラメータは任意の他の適切なファクタに依存してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、比例関数Α(Δ)および/またはB(Δ)はデルタの減少関数であってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、市場日付は複数のオプション価格に関係してよく、市場から入手されてよい。比例関数Α(Δ) および/またはB(Δ)の市場ベースのパラメータは、比例関数Α(Δ)および/またはB(Δ)を市場データに適合することによって決定されてよい。方程式19および20は、次いで例えば本書に説明される任意の適切なストライクのオプションを価格設定するために、決定された比例関数Α(Δ) aおよび/またはB(Δ)とともに使用されてよい。
一実施形態では、通貨オプション(FX)の市場では、25△リスクリバーサルおよび25△バタフライがトレードされてよい。したがって、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)は、方程式19および20が、市場のトレードされた25△リスクリバーサルおよび25△バタフライを満たすように決定されてよい。任意選択で、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)の多くの自由パラメータが追加の条件を満たすために選択されてよい。例えば、いくつかの通貨組では、例えば10△リスクリバーサルおよび/または10△バタフライ等の追加のデルタ値が市場でトレードされてよい。したがって、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)は、方程式19および20が、市場の10△リスクリバーサルおよび/または10△バタフライを満たすように決定されてよい。
別の実施形態では、エクイティの市場で、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)が、市場でトレードされるオプションの複数の権利行使価格に応じて決定されてよい。例えば、関数は、方程式19および20による価格間、および複数のストライクの為替価格間の最良適合を必要とすることによって、および/またはより流動的である適切な固定ストライクに応じて決定されてよい。
別の実施形態では、金利キャップおよびフロア市場で、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)は、キャプレットおよびフロアレットに基づいて決定され、キャップおよびフロアのための正しい市場価格を生成してよい。
別の実施形態では、スワプション市場で、関数Α(Δ)および/またはB(Δ)は、通常はベーシスポイント単位のアットザマネー先物ストライクからの差異で示されるストライク(スワップの固定レート)が異なる、同じスワップ長および同じ満了のスワプション価格の最良適合に基づいて決定されてよい。
一例では、関数Α(Δ) および B(Δ)は例えば△
0>△の場合、以下の通りに定義されてよい。
上式では、α
ι,α
2,β
ι,β
2は、例えばトレードされた市場データに基づき決定されるそれぞれ4つの市場パラメータを示す。
例えば方程式19および20は、例えば以下に示されるようにコールオプションとプットオプションの両方に同時に解決されるので、Δ0<Δの状況を処理する必要はない場合があり、したがってΔ0は処理される最大のデルタであることが留意される。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160はガーションモデルを実装し、例えば以下の方程式を解くことによって所与のストライクK
CALL>K
0に対応するボラティリティ
を決定してよい。
上式では、
は、例えば以下のように、例えば方程式19および20に基づいて決定されてよいストライクK
Pu<K
0でのプットオプションのボラティリティを示す。
上式では、ストライクK
Putは例えば以下のように、例えば方程式3および9に基づいて決定されてよい。
および上述されたように
いくつかの例証的な実施形態では、方程式23が、例えば任意の適切な数値方法またはアルゴリズムを使用して解かれ、
の値を決定してよい。
さらにまたは代わりに、方程式19および20はコールオプションおよびプットオプションに関して対称的であるので、価格設定モジュール160は、所与のストライクK
Put<K
0に対応するボラティリティ
を決定するためにガーションモデルを実装してよい。例えば、ボラティリティ
は、以下の方程式を解くことによって明示的に決定されてよい。
上式では、例えば方程式19および20に基づいて
上式では、例えば方程式3に基づいて
および上述されたように
いくつかの例証的な実施形態では、方程式27が、例えば任意の適切な数値方法またはアルゴリズムを使用して解かれ、
の値を決定してよい。
以下は、一実施形態に係る、25デルタストライクを使用して関数Α(Δ)およびB(Δ)を決定する例である。ただし、他の実施形態では、関数Α(Δ)およびB(Δ)は、例えば任意の適切なデータおよび/またはパラメータを使用して任意の他の適切な方法で決定されてよい。
例えば通貨市場および/またはコモディティ市場等のいくつかの市場では、25デルタストライクがトレードされてよい。したがって、それぞれコールオプションおよびプットオプションの
の値は、市場から受け取られてよい。25デルタストライクでの関数Α(Δ)およびB(Δ)の値は、例えば25デルタ0.25 = df
LN(d
1)であるので決定されてよく、次いで
0.25= df
LN(d
1)、
BSモデルに従ってそれぞれの25デルタコールオプションおよびプットオプションの、BS(25△call) およびBS(25△put)で示される値は、以下のように、例えば方程式31のdlを方程式4および5に代入することによって決定されてよい。
ここでは
したがって
25デルタストライクでのコールオプションおよびプットオプションに対応する訂正
は、例えば以下のように、例えば上記に一覧された方程式に基づいて決定されてよい。
25デルタでのコールオプションおよびプットオプションに対応するd
lの値は、例えば以下のように決定されてよく、
は、例えば以下のように、それぞれ値BS(25△call)およびBS(25△put)から
のBS値を差し引くことによって決定されてよい。
の関係性は、例えば等式19、20、21、22、43および44に基づいて決定されてよい。関数(Δ) および B(Δ)の1つまたは複数の追加のパラメータは、例えば
パラメータに基づいて決定されてよい。
以下は、例えば表記 diに関して方程式19および20の要素を表すことによって、方程式19および20を解く方法の、いくつかの例証的な実施形態に従った例である。ただし、他の実施形態では、方程式19および20は、例えば任意の適切な表現、表記および/または他の解法および/またはアルゴリズムを使用して任意の他の適切な方法で解かれてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、方程式19および20は、例えば方程式10に従って、例えばベガの定義を使用して以下の通りに書き直されてよい。
上式では、A(d
l) およびB(d
l) は、d
lの第1の比例関数および第2の比例関数を示す。関数A(d
l) およびB(d
l)は、例えば上述されたように市場データに基づき決定されてよい1つまたは複数の市場ベースのパラメータを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、例えば方程式45および46の合計等、方程式45および46の第1の組み合わせが、例えば以下の通りに第1の結合された方程式を生じさせてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティ
は表記d
lの関数として表されてよい。例えば、ボラティリティ
の以下の表現は、例えばコールオプションの場合
なので、例えば方程式26を配置しなおすことによって達成されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、ボラティリティ
は
およびd
lの関数として
表されてよい。例えば、ボラティリティ
は、例えば方程式48および49を使用して方程式47を配置しなおすことによって、以下のように表されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、方程式45および46の第2の組み合わせが第2の結合された方程式を生じさせてよい。例えば、方程式46は方程式45から差し引かれ、例えば以下のように配置しなおされてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、訂正
は、d
l、Kおよびσ
0の関数として表されてよい。例えば、訂正
は、例えば方程式4、5、17、18、25、48および/または49を結合し、配置しなおすことによって以下の通り表されてよい。
上式では、例えば、ボラティリティ
は方程式51に従って置換されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、dlの値は、例えば以下に説明されるように、例えば方程式52が方程式54と等しいことを要求することによって、例えば任意の適切な数値方法を使用して決定されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、dlの値を決定する方法は、dlの初期値を選択することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、d
lの値を決定する方法は、例えば方程式53に従ってd
lの値を使用して訂正
の値を決定することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、d
lの値を決定する方法は、例えば方程式51に従ってdlの値および決定された訂正
を使用してボラティリティ
の値を決定することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、d
lの値を決定する方法は、例えば方程式54に従ってd
lの値および決定されたボラティリティ
を使用して訂正
の値を決定することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、d
lの値を決定する方法は、訂正
の決定された値を方程式52に代入し、訂正
の決定された値が方程式52を満たすかどうかを決定することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、例えば訂正
の決定された値が方程式52を満たさない場合、d
lの別の値が選択され、訂正
の値を決定すること、ボラティリティ
の値を決定すること、訂正
の値を決定すること、および訂正
の決定された値が方程式52を満たすかどうかを決定することが、例えば方程式52が満たされるまで反復して繰り返されてよい。d
lの値は、任意の適切な解法アルゴリズムに従って選択されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、dlの値を決定する方法は、例えば収束および/または安全性のための二等分を含む解法等の任意の適切な解法を使用して実行されてよい。一実施形態では、解法はニュートン−ラフソン解法を含んでよい。他の実施形態では、解法は、例えばブレント解法等の任意の他の適切な解法タイプを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、方程式17および/または18は、例えば方程式23および/または24をより効率的および/またはより迅速に解くことを可能にするために、任意の適切な概算を使用して簡略化されてよい。一実施形態では、方程式17および18は、例えば以下の通りにテイラー級数概算のフォーマットを使用して書き直されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えばインタフェース110を介してユーザ102から、価格設定されるオプション(「要求オプション」)定める1つまたは複数のパラメータを含む第1の入力データを受け取ってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば市場データサービス149から、例えば要求されるオプションのアセットクラスに対応するリアルタイム市場データを含むオプションの原資産に関係する少なくとも1つの現在の市場条件に対応する第2の入力データを受け取ってよい。
例えば、FX商品の場合、価格設定モジュール160は、市場データサービス149から、スポットレート、先物相場、金利、異なる満期のアットザマネーボラティリティ、異なる満期の25デルタリスクリバーサル、異なる満期のデルタバタフライ、および任意選択で、例えば10デルタリスクリバーサルおよび/または10デルタバタフライ等の他のデルタリスクリバーサルおよび/またはバタフライの内の1つまたは複数を含む市場データを受け取ってよい。
金利商品の場合、価格設定モジュール160は、市場データサービス149から、例えば全ての利用可能な国々での全てのLiborレート等のLiborレート、全ての満期のスワップレート、通貨での利先物価格、利用可能な場合、キャップフロアボラティリティまたはいくつかのストライクのための価格、スワプションアットザマネーボラティリティ、およびアットザマネー先物ストライクで100または200ベーシスポイント以上等の他のストライクの内の1つまたは複数を含む市場データを受け取ってよい。
エクイティオプションの場合、価格設定モジュール160は、市場データサービス149から、株式およびインデックスの為替価格、株式およびインデックスのための為替価格、いくつかの満期の先物価格、および/またはっ証券貸出率、および利息等を含む市場データを受け取ってよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160が、例えば上述された方程式31から34を使用して、例えば受け取られた市場データに基づいて関数Α(Δ)および/またはB(Δ)を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160が、オプションに対応するボラティリティスマイルを決定してよい。例えば、価格設定モジュールは、例えばオプションがコールオプションであるのか、それともプットオプションであるのかに応じて、例えば方程式23および/または27に基づいて、1つまたは複数のそれぞれのストライクKを有するバニラオプションに対応する1つまたは複数のボラティリティ
を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば決定されたボラティリティ
に基づいて、要求されているオプションのストライクおよび満了時間に対応するボラティリティサーフェスを決定するために任意の適切な補外動作および/または補間動作を実行してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えばオプションがコールオプションであるのか、それともプットオプションであるのかに応じて、例えば方程式23および/または27に従ってボラティリティスマイルに従ってバニラオプションのBS値に追加される訂正ζを決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば方程式16に従ってバニラオプションの訂正ζおよびBS値に基づいてバニラオプションの価格を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、価格設定モジュール160は、例えば対応するバニラオプションの決定された価格に基づいて、要求されているオプションの価格を決定してよい。
いくつかの例証的な実施形態では、インタフェース110および価格設定モジュール160が、例えば市場データサービス149から受け取られるリアルタイムトレード情報だけではなく、例えばユーザ102から受け取られる価格設定される定義されたオプションの詳細も含むユーザ情報を処理するためにアプリケーションまたはアプリケーションサーバの一部として実装されてよい。また、システム100は、ユーザ情報および/またはトレード情報を記憶するための、例えばデータベース等の記憶装置161も含んでよい。
ユーザ情報は、例えば直接電話接続またはセキュアソケットレイヤー(SSL)接続、ローカルエリアネットワーク(LAN)を使用して等例えばインターネット等の通信ネットワークを介して、または技術で既知の任意の他の通信ネットワークを介してユーザ102から受け取られてよい。価格設定モジュール160は、例えばユーザ102に対する提示に便利なフォーマットで、インタフェース110を介してユーザ102に定められたオプションに対応する決定された価格を通信してよい。
いくつかの実施形態に係る金融デリバティブを価格設定するための、例えばシステム100等のシステムは、入力市場データに基づき、実質的に任意の適切な資産に対する実質的に任意の適切なオプションのための価格情報を提供してよい。市場データは、例えば価格設定モジュール160によって、リアルタイムで容易に入手され得る。したがって、価格設定モジュール160は、例えば為替および/またはOTC市場から受け取られるリアルタイム価格に基づいて、ユーザ102に任意の所望されるオプションのリアルタイム価格を提供してよい。価格設定モジュール160は、例えばスポット価格および/またはオプション価格の変更に対応して、例えば実質的に即座におよび/または自動的に価格を更新してよい。これは、ユーザが為替でトレードするための価格を自動的に更新できるようにする。
トレーダーは、例えばそれぞれ10のオプションに対する10のビッド/オファー価格に対する等複数のオプションに対する複数のビッドおよび/またはオファー(以降「ビッド/オファー」)価格を提出したいと考える。トレーダーは、ビッド/オファーを見積もりシステムに入力するとき、例えばカレントスポット価格に関係して価格をチェックしてよく次いでビッド/オファーを為替に提出してよい。例えば1秒後等、しばらくしてから、1つまたは複数のオプションの原資産である株式のスポット価格が変化することがある。スポット価格の変化には、例えば、ボラティリティパラメータの変化が伴われることもあれば、ボラティリティパラメータが変化していない間の単に小さなスポット変化を含むだけのこともある。スポット価格の変化に応えて、トレーダーは提出したビッド/オファー価格の内の1つまたは複数を更新したいと思う場合がある。ビッド/オファー価格を更新したいという希望は、例えばトレード時間中に頻繁に発生することがある。
例えばシステム100等のいくつかの例証的な実施形態に係るシステムは、例えば任意の所望される基準に基づいてトレーダーによって入力されたビッド/オファー価格を自動的に更新してよい。例えば、価格設定モジュール160は、例えばトレーダーがビッド/オファー価格を提出するときに価格設定モジュール160によって推定されてよいオプションのビッド価格およびオファー価格に対するトレーダーのビッド/オファーを評価してよい。価格設定モジュール160は、次いで、例えばスポットが変化するたびにビッドおよび/またはオファー価格を自動的に再計算してよく、トレーダーのビッド/オファー価格を自動的に更新してよい。価格設定モジュール160は、例えば価格設定モジュールによって計算されたビッド/オファー価格とトレーダーのビッド/オファー価格との価格差が実質的に一定に保たれるように、例えばトレーダーのビッド/オファー価格の1つまたは複数を更新してよい。別の例に従って、価格設定モジュール160はトレーダーのビッド/オファー価格と、価格設定モジュール160によって計算されるビッド価格とオファー価格の平均との差異に基づいてトレーダーのビッド/オファー価格の1つまたは複数を更新してよい。価格設定モジュール160は、任意の他の所望される基準に基づいてトレーダーのビッド/オファーの1つまたは複数を更新してよい。
例えばいくつかにピップのスポット価格の変化がそのスポット価格に対応するオプションのボラティリティパラメータの1つまたは複数の変化につながることがあることが留意される。例えば価格設定モジュール160等のいくつかの実施形態に係る価格設定モジュールが上述されたように、例えばスポット価格の、ボラティリティパラメータの1つまたは複数の、および/または任意の他の所望されるパラメータの変化を考慮に入れながら、トレーダーによって提出される1つまたは複数のオプション価格を自動的に更新することを可能にしてよいことが理解される。
いくつかの例証的な実施形態によると、価格設定モジュール160は、トレーダーが、相対価格対価格設定モジュール160によって決定される価格の形で、為替で1つまたは複数の見積もりを提出できるようにしてよい。例えば、トレーダーは1つまたは複数の所望されるストライクおよび/または満期日の見積もりを提出してよい。トレーダーによって提出された見積もりは、例えば価格設定モジュール160によって決定される1つまたは複数の対応する価格に関係する任意の所望される形であってよい。例えば、トレーダーによって提出される見積もりは、2ベーシスポイントプラスの、価格設定モジュール160によって決定されるビッド/オファー価格に関して、4ベーシスポイントマイナスの価格設定モジュールによって決定される価格に関して、および/又は任意の他の適切なフォーマットおよび/または用語であってよい。価格設定モジュール160は、例えば為替の価格変化が記録されるたび等、例えばリアルタイムで、所望される価格を決定してよい。代わりに、価格設定モジュール160は、例えば0.5秒ごとに等の、例えば所定の時間間隔ごとに任意の他の所望されるタイミング方式に従って所望される価格を決定してよい。
株式のスポット価格の変化は、その株式に関係する多数のオプションの価格の変化につながることがある。例えば、単一の株式に関係し異なるストライクおよび満期日を有する200以上のアクティブオプションがあるだろう。したがって、例えばリアルタイムで等スポット価格の変化に従ってオプションの為替価格を更新するためには巨大な情報量がトレーダーによって必要とされることがある。トレーダーはスポット価格、ボラティリティ、配当金および/またはキャリーレートが変化することがあるレートに従って提出した価格を更新できないことがあるため、これによって、トレーダーは、例えば「安全マージン」を含んだ価格等の「非競争的」であることがある為替価格を提出することがある
いくつかの例証的な実施形態によると、価格設定モジュール160は、例えば上述されたように、例えばトレーダーによって提供される1つまたは複数のビッドおよび/またはオファー価格を自動的に更新するために、例えば取引所またはトレーダーによって実装されてよい。トレーダーは、スポット価格の頻繁な変化からトレーダーを保護するために「安全マージン」を自分の価格に追加しなくてもよくなるため、これによっては、トレーダーはより攻撃的なビッド/オファー価格を提出することを奨励され得る。したがって、取引所でのトレードはより効果的になり、多数の取引を生じさせることがある。例えば、トレーダーは価格設定システム100に1つまたは複数の所望されるボラティリティパラメータおよび/またはレートを提供してよい。トレーダーは、システム100に、例えばスポット価格におよび/または市場のボラティリティに多大な変化があるたびに、所望されるオプションの額に対するビッドおよび/またはオファー価格を自動的に提出および/または更新するように要求してよい。また、トレーダーは、ボラティリティパラメータのいくつかまたは全てを更新してもよい。さらに、システム100は、例えば、価格設定モジュール160を使用してオプションをいつ買うおよび/または得るのかを決定できる自動意思決定システムにリンクされてよい。
いくつかの例証的な実施形態に従ってオプションを価格設定する方法を概略で示す図2が参照される。いくつかの例証的な実施形態では、図2の方法の1つまたは複数の動作は、例えばシステム100(図1)および/または価格設定モジュール160(図1)等の、例えば適切な計算装置および/またはシステム等の任意の適切な装置および/またはシステムによって実行されてよい、および/または実装されてよい。
ブロック202に示されるように、方法は、原資産に対する第1のオプションを定める少なくとも1つのパラメータに対応する第1の入力データを受け取ることを含んでよい。例えば、モジュール160(図1)は、例えばユーザ102(図1)から、例えば上述されたように価格設定されるオプションを定める第1の入力データを受け取ってよい。
ブロック204に示されるように、方法は、原資産に関係する少なくとも1つの現在の市況に対応する第2の入力データを受け取ることを含んでよい。例えば、モジュール160(図1)は、例えばサービス149(図1)から、例えば上述されたように原資産に対応する第2の入力データを受け取ってよい。
ブロック206に示されるように、方法は、1つまたは複数の所定の基準を満たすボラティリティスマイルに従って第1の入力データおよび第2の入力データに基づいて第1のオプションの価格を決定することを含んでよい。
ブロック208に示されるように、第1のオプションの価格を決定することは、第1のオプションに対応する第1の訂正および第1のオプションの位置に反対の位置を表し、第1のオプションと同じデルタを有する第2のオプションに対応する第2の訂正の合計に関係する第1の基準を満たすボラティリティスマイルに従って第1のオプションの価格を決定することを含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、第1の訂正は、第1のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第1のオプションの価格との差異に関係することがあり、および/または第2の訂正は、第2のオプションの理論価格と、ボラティリティスマイルによる第2のオプションの価格との差異に関係することがある。例えば、モジュール160(図1)は、例えば上述されたように等式19および等式20を満たすボラティリティスマイルに従って第1のオプションの価格を決定してよい。
ブロック210に示されるように、ボラティリティスマイルに従って第1のオプションの価格を決定することは、第2の入力データに基づいて第1の比例関数および第2の比例関数の市場ベースのパラメータを決定することを含んでよい。例えば、モジュール160(図1)は、例えば上述されたように市場データに基づいて比例関数Α(Δ) およびΒ(Δ)の市場ベースのパラメータを決定してよい。
ブロック212に示されるように、ボラティリティスマイルに従って第1のオプションの価格を決定することは、第1の基準および第2の基準に基づいて第1の訂正を決定することを含んでよい。例えば、モジュール160(図1)は、例えば上述されたように等式23および/または等式27に従って第1のオプションに対応する訂正ζを決定してよい。
ブロック214に示されるように、第1の訂正を決定することは、第1の基準および第2の基準に基づいて第1のオプションのボラティリティを決定すること、および第1のオプションのボラティリティに基づいて第1の訂正を決定することを含んでよい。例えば、モジュール160(図1)は、第1のオプションに対応するボラティリティσおよび例えば上述されたように、ボラティリティσに対応する訂正ζを決定してよい。
以下は、いくつかの例証的な実施形態に従って本書で説明されるボラティリティスマイルを使用して、多様なアセットクラスに対するオプションに関して決定されるボラティリティスマイルの例である。これらの例で使用されるトレード情報は、例証的な目的絵市場から無作為に選択され、本書に説明される実施形態の範囲をトレード情報の任意の特定の選択に制限することを意図していないことが留意されるべきである。
ボラティリティスマイルは、以下の比例関数を使用して決定された。
上式では、
は、例えばトレードされた市場データに基づき決定されるそれぞれ4つの市場パラメータを示す。
以下の例は、例えば同時に異なるアセットクラスに関してボラティリティスマイルモデルの結果を明示する。以下の例は、例えばOTC市場でトレードされるユーロ(EUR)から米ドル(USD)(EUR/USD)の為替レートに対するオプション等の通貨に対するオプション、例えばOTC市場でトレードされるEURスワップレートに対するスワプション等の金利に対するオプション、例えば為替取り引きされるウェストテキサスインターミディエート(WTI)原油に対するオプション等のコモディティに対するオプション、および例えば為替取り引きされるDAXインデックスに対するオプション等のエクイティに対するオプション等、に関する。例の全ては、非常に流動性があり、一般的にトレードされているアセットに関し、したがって市場データは正確であると仮定され得る。例は異なる満期に関する。以下の例は、2010年12月27日の市場データに基づいている。
第1の例は1年の満期のEURO/USDに対するFXオプションに関する。FXオプション市場は、デルタストライクだけではなくATMデルタニュートラルボラティリティもトレードする。市場から受け取られる入力は、表1に要約される。
デルタニュートラル ATM vol σ
0= 14.45; 先物相場=1.31408
上記市場データに基づいて、市場ベースのパラメータが、例えば上述のモデルを使用して以下の通りに決定されてよい。 cl= 0.002, c2=0.5, cl ’= 0.0042, c2’=1.6
FXオプションに対応するボラティリティスマイル(「モデルボラティリティスマイル」)は、例えば上述されたように方程式19および20に従って決定されてよい。表2は、ボラティリティスマイルに従って決定された7つのそれぞれのストライクに対応する7つのボラティリティを含む。
表3Aは、表2に基づいたモデルボラティリティスマイルを示す第1のグラフ302および表1の市場ボラティリティを示す第2のグラフ304を概略で示す。図3Aに示されるように、モデルボラティリティスマイルと市場ボラティリティとの差異は一般的にごくわずかである。
第2の例は、10年満期で、1年の期限満了のEURスワップレートに対するオプションに関する。金利市場はATM先物ストライク(ATMF、この場合ストライクは先物相場である)を取り引きし、他のストライクは先物相場からのベーシスポイント単位での差異に関して評価される。市場から受け取られる入力は、表3に要約される。
先物相場=3.671
上記の市場データに基づいて、市場ベースのパラメータは、例えば上述されたモデルを使用して以下の通りに決定されてよい。σο=24.5, cl= 0.0045, c2=1.5, cl ’= 0.0095, c2’=0.1
IRオプションに対応するモデルボラティリティスマイルは、例えば上述されたように方程式19および20に従って決定されてよい。表4は、ボラティリティスマイルに従って決定されたそれぞれのストライクに対応するボラティリティを含む。
表3Bは、表4に基づいたモデルボラティリティスマイルを示す第1のグラフ306および表3の市場ボラティリティを示す第2のグラフ308を概略で示す。図3Bに示されるように、モデルボラティリティスマイルと市場ボラティリティとの差異は一般的にごくわずかである。
第3の例は、2012年11月15日に満了の(687日)WTI原油に対するオプションに関する。これらのオプションの原資産はDecemberl2(2012年12月)のWTI先物契約である。市場データは、Nymex取引所(CME)から取られ、その対応するボラティリティがオプションプレミアムの為替価格から予想される約20のストライクを含む。市場から受け取られる入力は、表5に要約される。
先物=92.61
上記の市場データに基づいて、市場ベースのパラメータは、例えば上述されたモデルを使用して以下の通りに決定されてよい。σο=24.491, cl= 0.0105, c2=0.015, cl ’= 0.0165, c2’=0.65
WTIオプションに対応するモデルボラティリティスマイルは、例えば上述されたように方程式19および20に従って決定されてよい。表6は、ボラティリティスマイルに従って決定されたそれぞれのストライクに対応するボラティリティを含む。
図3Cは、表6に基づいたモデルボラティリティスマイルを示す第1のグラフ310および表5の市場ボラティリティを示す第2のグラフ312を概略で示す。図3Bに示されるように、モデルボラティリティスマイルと市場ボラティリティとの差異は一般的にごくわずかである。
第4の例は、2012年12月21日に満了の(725歴日)に満了のDAXインデックスに対するオプションに関する。市場ボラティリティは、2012年12月21日が有効期限の為替決済価格から取られる。市場から受け取られる入力は、表7に要約される。
先物=7187.635
上記の市場データに基づいて、市場ベースのパラメータは、例えば上述されたモデルを使用して以下の通りに決定されてよい。σο=22.00, cl= 0.005, c2=0.2, cl ’= 0.025, c2’=0.1
DAXオプションに対応するモデルボラティリティスマイルは、例えば上述されたように方程式19および20に従って決定されてよい。表8は、ボラティリティスマイルに従って決定されたそれぞれのストライクに対応するボラティリティを含む。
図3Dは、表8に基づいたモデルボラティリティスマイルを示す第1のグラフ314および表7の市場ボラティリティを示す第2のグラフ316を概略で示す。図3Dに示されるように、モデルボラティリティスマイルと市場ボラティリティとの差異は一般的にごくわずかである。
いくつかの例証的な実施形態に従って製造品400を概略で示す図4が参照される。品物400は、例えば価格設定モジュール160(図1)の機能性の少なくとも一部を実行するために、および/または本書に説明される1つまたは複数の動作を実行するために使用されてよい論理回路404を記憶するための機械可読記憶媒体402を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、品物400および/または機械可読記憶媒体402は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、リムーバブルメモリまたは非りむーまぶるメモリ、消去可能メモリまたは消去不能メモリ、書き込み可能メモリまたは書換可能メモリ等を含む、データを記憶できる1つまたは複数のタイプのコンピュータ可読記憶媒体を含んでよい。例えば、機械可読記憶媒体402は、RAM、DRAM、ダブルデータレートDRAM(DDR−DRAM)、SDRAM、スタティックRAM(SRAM)、ROM、プログラマブルROM(PROM)、消去可能ROM(EPROM)、電気的消去可能ROM(EEPROM)、コンパクトディスクROM(CCD−ROM)、コンパクトディスク書換可能(CCD−RW)、フラッシュメモリ(例えばNORまたはNANDフラッシュメモリ)、コンテントアドレッサブルメモリ(CAM)、ポリマーメモリ、相変化メモリ、強誘電メモリ、シリコン−酸化膜−窒化膜−酸化膜−シリコン(SONOS)メモリ、ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードドライブ、光ディスク、磁気ディスク、カード、磁気カード、光カード、テープ、カセット等を含んでよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えばモデム、無線、またはネットワーク接続等の通信リンクを通して搬送波または他の伝搬媒体で具体化されるデータ信号によって運ばれるコンピュータプログラムをリモートコンピュータから要求側コンピュータにダウンロードするまたは転送することに関与する任意の適切な媒体を含んでよい。
いくつかの例証的な実施形態では、論理回路404は、機械によって実行される場合、その機械に本書に説明されるような方法、プロセスおよび/または動作を実行させてよい命令、データ、および/またはコードを含んでよい。機械は、例えば任意の適切な処理プラットホーム、計算プラットホーム、計算装置、処理装置、コンピューティングシステム、処理システム、コンピュータ、プロセッサ等を含んでよく、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等の任意の適切な組み合わせを使用して実装されてよい。
いくつかの例証的な実施形態では、論理回路404は、ソフトウェア、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、プログラム、サブルーチン、命令、命令セット、計算コード、ワード、値、記号等を含んでよい、またはそれらとして実装されてよい。命令は、任意の適切なタイプのソースコード、コンパイル済みコード、解釈済みコード、動的コード等を含んでよい。命令は、特定の機能を実行するようにプロセッサに命令するために、所定のコンピュータ言語、方法またはシンタックスに従って実装されてよい。命令は、C、C++、Java(登録商標)、BASIC、Matlab、Pascal、Visual BASIC、アセンブリ言語、機械コード等の任意の適切な高水準、低水準、オブジェクト指向、ビジュアル、コンパイル済みおよび/または解釈済みのプログラミング言語を使用して実装されてよい。
本書に提示されるプロセスおよびディスプレイは、本質的にどのような特定のコンピュータまたは他の装置にも関連していない。多様な汎用システムが、本書の教示に従ったプログラムと使用されてよい、または所望された方法を実行するためにより専門家した装置を構築することが便利と判明することがある。さまざまなこれらのシステムの所望される構造は、以下の説明から明らかになるだろう。さらに、いくつかの実施形態はどのような特定のプログラミング言語も参照して説明されない。さまざまなプログラミング言語が、本書に説明される本発明の教示を実装するために使用されてよいことが理解されるだろう。
1つまたは複数の実施形態に関して本書に説明される機能、動作、構成要素および/または特長は、1つまたは複数の他の実施形態に関して本書に説明される1つまたは複数の他の機能、動作、構成要素および/または特長と結合されてよい、またはそれらと組み合わせて活用されてよい、もしくはその逆の場合がある。
本発明の特定の特長が本書に示され、説明されてきたが、多くの変型、代用、変更、および同等物が当業者に思い浮かぶ。したがって、添付特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内となる全てのかかる変型および変更をカバーすることを目的とすることが理解されるべきである。