JP5524381B2 - パルス幅変換装置および光増幅システム - Google Patents

パルス幅変換装置および光増幅システム Download PDF

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本発明は、入力光パルスのパルス幅と異なるパルス幅を有する出力光パルスを生成するパルス幅変換装置、ならびに、光増幅装置およびパルス幅変換装置を備える光増幅システムに関するものである。
高強度超短パルスレーザ装置を安定に動作させるためには、非特許文献1に記載されているように、光増幅前にパルス幅変換装置(パルス伸展装置)により光パルスのパルス幅を伸展してチャープパルスとし、光増幅装置内においては光パルスの瞬時的な強度を低く抑え、光増幅後にパルス幅変換装置(パルス圧縮装置)により光パルスのパルス幅を圧縮して光パルスの尖頭値(ピーク値)を大きくすることが重要である。このような手法はチャープパルス増幅法と呼ばれている。
チャープパルスとは、光パルスに含まれる各波長成分によって到達時間が異なるという特性を有する光パルスのことである。光パルスを構成する波長帯域の帯域幅によって、その光パルスのパルス幅の下限が決まる。これはフーリエ限界パルス幅とよばれる。チャープパルスのパルス幅は、フーリエ限界パルス幅に比べて長い。しかし、チャープパルスは、構成する各波長成分の光路長を所定の長さに調整した装置を通過させることで、フーリエ限界パルス幅程度までパルス幅を圧縮することが可能である。
パルス圧縮装置は、一般に、上記チャープパルスをフーリエ限界パルス幅程度まで圧縮することを可能とする装置である。高強度超短パルスレーザ装置の最終段にパルス圧縮装置を配置することで、増幅された高エネルギーチャープパルスのパルス幅を圧縮し、パルス幅を可能な限り短くすることで光パルスの尖頭値を大きくすることができる。ここで、調整次第では、フーリエ限界パルス幅より長い時間幅を有する光パルスを出力することも可能である。
一方、このようなパルス圧縮装置は、光パルスのパルス幅を伸展してチャープパルスとするパルス伸展装置としても作用することができる。このような光パルスのパルス幅を変換するパルス幅変換装置(パルス圧縮装置、パルス伸展装置)は、何らかの分光素子を必須の構成要素として備える。分光素子としては、プリズムなど物質に固有の分散を利用するものや、回折格子など素子構造による回折効果を利用するものが主にある。
分光素子としてプリズムを備えるパルス幅変換装置は、光パルスのパルス幅の可変範囲が小さく、チャープパルス増幅法に適用することは困難である。そこで、分光素子として回折格子を備えるパルス幅変換装置が広く用いられている。図12〜図15は、分光素子として回折格子を備えるパルス幅変換装置の構成例を示す図である。
図12に示されるパルス幅変換装置2Aは、4個の反射型回折格子31〜34を備える。このパルス幅変換装置2Aでは、入力光パルスPiは、反射型回折格子31により回折されて分光され、反射型回折格子32により回折されて平行光束とされ、反射型回折格子33により回折されて収斂され、反射型回折格子34により回折されて合波され出力光パルスPoとして出力される。
図13に示されるパルス幅変換装置2Bは、4個の透過型回折格子21〜24を備える。このパルス幅変換装置2Bでは、入力光パルスPiは、透過型回折格子21により回折されて分光され、透過型回折格子22により回折されて平行光束とされ、透過型回折格子23により回折されて収斂され、透過型回折格子24により回折されて合波され出力光パルスPoとして出力される。
従来では、主に、図12に示されるような4個の反射型回折格子31〜34を備えるパルス幅変換装置2Aの構成が用いられてきた。しかし、反射型回折格子と比較して、透過型回折格子は、光吸収が少ないことに起因する熱的な優位性を有し、また、製造工程に起因する価格的な優位性を有している。このことから、近年では、図13に示されるような4個の透過型回折格子21〜24を備えるパルス幅変換装置2Bの構成が用いられてきている。また、図14,図15に示されるように、2個の透過型回折格子を備えるパルス幅変換装置2C,2Dの構成もある。
図14に示されるパルス幅変換装置2Cは、2個の透過型回折格子21,22を備える。このパルス幅変換装置2Cでは、入力光パルスPiは、透過型回折格子21により回折されて分光され、透過型回折格子22により回折されて平行光束とされ、直角プリズム40により光路が折り返される。直角プリズム40により光路が折り返された光パルスは、透過型回折格子22により回折されて収斂され、透過型回折格子21により回折されて合波され出力光パルスPoとして出力される。
図15に示されるパルス幅変換装置2Dも、2個の透過型回折格子21,22を備える。このパルス幅変換装置2Dでは、入力光パルスPiは、透過型回折格子21により回折されて分光され、反射鏡41,42により順次に反射され、透過型回折格子22により回折されて平行光束とされ、直角プリズム40により光路が折り返される。直角プリズム40により光路が折り返された光パルスは、透過型回折格子22により回折されて収斂され、反射鏡42,41により順次に反射され、透過型回折格子21により回折されて合波され出力光パルスPoとして出力される。
図12〜図15において、各回折格子の格子が延在する方向は紙面に垂直な方向であり、直角プリズム40による光路折り返しのときを除いて光パルスは紙面に平行に進む。直角プリズム40は、2つの反射面により順次に光パルスを反射させることで、往路の光パルスの光路に対して復路の光パルスの光路を紙面に垂直な方向に平行移動させる。
図12〜図15に示されるように、一般に、パルス幅変換装置は、分光素子への複数回の光パルス入射を必要とする。分光素子への光パルス入射回数は最も少ない場合で4回である。図12,図13に示されるパルス幅変換装置2A,2Bに対し、図14,図15に示されるパルス幅変換装置2C,2Dは、各々の回折格子に光パルスを2回入射させることにして、回折格子の個数を削減している。また、図15に示されるパルス幅変換装置2Dは、回折格子21,22を一体化した長尺の1個の回折格子を用いて構成することもできる。
Xiangyu Zhou, et al., "Generationof 28-fs pulses from a mode-locked ytterbium fiber oscillator", OPTICSEXPRESS, Vol.16, No.10, pp.7055-7059 (2008).
しかしながら、上記のようなパルス幅変換装置の構成では、少なくとも2個の回折格子または長尺の1個の回折格子が必要である。図15に示されるパルス幅変換装置2Dの構成では、長尺の回折格子を用いれば回折格子が1個でよいものの、入力光パルスPiおよび出力光パルスPoと直角プリズム40との間の幾何学的な干渉に因り、小型化が困難である。特に、回折角が大きい回折格子を用いるとき、この問題が顕著となる。
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、小型化が容易なパルス幅変換装置を提供することを目的とする。また、このようなパルス幅変換装置を備えて小型化が容易な光増幅システムを提供することを目的とする。
本発明に係るパルス幅変換装置は、入力光パルスのパルス幅と異なるパルス幅を有する出力光パルスを生成するパルス幅変換装置であって、(1) 第1光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力した各波長成分の主光線が一致している入力光パルスを分光して第2光路に沿って波長に応じた出射角で出力し、第3光路に沿って波長に応じた入射角で入力した光束を第4光路に沿って波長によらず一定の出射角で出力し、第5光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力した光束を第6光路に沿って波長に応じた出射角で出力し、第7光路に沿って波長に応じた入射角で入力した光束を合波して第8光路に沿って波長によらず出射角が一定でありかつ各波長成分の主光線が一致している出力光パルスとして出力する分光素子と、(2) 分光素子から第2光路に沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、分光素子へ第3光路に沿って波長に応じた入射角で入力させる第1光学系と、(3) 分光素子から第4光路に沿って波長によらず一定の出射角で出力された光束を、分光素子へ第5光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力させる第2光学系と、(4) 分光素子から第6光路に沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、分光素子へ第7光路に沿って波長に応じた入射角で入力させる第3光学系と、を備えることを特徴とする。さらに、第2光学系において、分光素子へ第5光路に沿って光束が入力されるときの入射角が、分光素子から第4光路に沿って光束が出力されるときの出射角と等しく、分光素子における光束の入出射方向に関して、第3光路および第4光路の組み合わせによる入出射方向が、第1光路および第2光路の組み合わせによる入出射方向と異なり、第1光路および第3光路それぞれに沿って光束が分光素子に入射する際の分光素子上における光入射領域が互いに重なり、第5光路および第7光路それぞれに沿って光束が分光素子に入射する際の分光素子上における光入射領域が互いに重なることを特徴とする。
本発明に係るパルス幅変換装置は、分光素子が透過型回折格子であるのが好適であり、また、分光素子が反射型回折格子であるのも好適である。
本発明に係るパルス幅変換装置は、第1光学系および第3光学系が一体化されているのが好適であり、分光素子,第1光学系および第3光学系が一体化されているのが好適であり、また、分光素子,第1光学系,第2光学系および第3光学系が一体化されているのが好適である。
本発明に係るパルス幅変換装置は、第1光学系および第3光学系の双方または何れか一方が、分光素子からの光出力から分光素子への光入力までの光路長を調整する光路長調整部を含むのが好適である。
本発明に係る光増幅システムは、(1) 光パルスを光増幅する光増幅装置と、(2) 光増幅装置により光増幅された光パルスを入力し、その入力した光パルスの分散を補償して該光パルスを出力する上記の本発明に係るパルス幅変換装置と、を備えることを特徴とする。
本発明に係るパルス幅変換装置または光増幅システムは小型化が容易である。
本実施形態に係るパルス幅変換装置1の構成を概念的に示す図である。 パルス幅変換装置1Aの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Aに含まれる透過型回折格子20の分光作用を説明する図である。 パルス幅変換装置1Bの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Cの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Dの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Eの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Fの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Gの構成を示す図である。 パルス幅変換装置1Gに含まれる反射型回折格子30の分光作用を説明する図である。 本実施形態に係る光増幅システム3の構成を示す図である。 分光素子として反射型回折格子を備えるパルス幅変換装置の構成例を示す図である。 分光素子として透過型回折格子を備えるパルス幅変換装置の構成例を示す図である。 分光素子として透過型回折格子を備えるパルス幅変換装置の構成例を示す図である。 分光素子として透過型回折格子を備えるパルス幅変換装置の構成例を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態に係るパルス幅変換装置1の構成を概念的に示す図である。本実施形態に係るパルス幅変換装置1は、分光素子10,第1光学系11,第2光学系12および第3光学系13を備える。なお、第1光学系11と第3光学系13とは一部また全部の光学部品を共有していてもよい。図1では、第1光学系11と第3光学系13とが全部の光学部品を共有するとして、第1光学系11と第3光学系13とを共通のものとして表している。
分光素子10は、一定の入射角で入力した光束を波長毎に分光して、各波長成分の光を当該波長に応じた出射角で出力することができる。また、分光素子10は、各波長成分の光を当該波長に応じた入射角で入力すると、これら各波長成分の光を一定の出射角で出力することができる。分光素子10は例えば透過型回折格子または反射型回折格子である。
分光素子10は、第1光路Pに沿って入力した入力光パルスPiを分光して第2光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力する。分光素子10は、第3光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力した光束を第4光路Pに沿って一定の出射角で出力する。分光素子10は、第5光路Pに沿って一定の入射角で入力した光束を第6光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力する。また、分光素子10は、第7光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力した光束を合波して第8光路Pに沿って出力光パルスPoとして出力する。
なお、分光素子10は、第4光路Pに沿って一定の入射角で光束が入射した場合、その光束を分光して第3光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力することができ、また、第8光路Pに沿って一定の入射角で光束が入射した場合、その光束を分光して第7光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力することができる。分光素子10は、第1光路P,第4光路P,第5光路Pおよび第8光路Pそれぞれ沿って一定の入射角で光束が入力した場合、同一の分光特性を有する。
第1光学系11は、分光素子10から第2光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、分光素子10へ第3光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力させる。第2光学系12は、分光素子10から第4光路Pに沿って一定の出射角で出力された光束を、分光素子10へ第5光路Pに沿って一定の入射角で入力させる。また、第3光学系13は、分光素子10から第6光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、分光素子10へ第7光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力させる。
分光素子10における光束の入出射方向に関して、第3光路Pおよび第4光路Pの組み合わせによる入出射方向は、第1光路Pおよび第2光路Pの組み合わせによる入出射方向と異なる。分光素子10における光束の入出射方向に関して、第5光路Pおよび第6光路Pの組み合わせによる入出射方向は、第1光路Pおよび第2光路Pの組み合わせによる入出射方向と一致していてもよいし、第3光路Pおよび第4光路Pの組み合わせによる入出射方向と一致していてもよい。
また、分光素子10における光束の入出射方向に関して、第7光路Pおよび第8光路Pの組み合わせによる入出射方向は、第1光路Pおよび第2光路Pの組み合わせによる入出射方向と一致していてもよいし、第3光路Pおよび第4光路Pの組み合わせによる入出射方向と一致していてもよいし、第5光路Pおよび第6光路Pの組み合わせによる入出射方向と一致していてもよい。
分光素子10へ第5光路Pに沿って光束が入力されるときの入射角は、分光素子10から第4光路Pに沿って光束が出力されるときの出射角と等しくてもよい。このとき、分光素子10から第6光路Pに沿って光束が出力されるときの各波長成分の出射角は、分光素子10へ第3光路Pに沿って光束が入力されるときの各波長成分の入射角と等しい。このように、分光素子10における光束の入出射方向に関して、第4光路Pと第5光路Pとが互いに逆向きであって、第3光路Pと第6光路Pとが互いに逆向きである場合、これらの光路は、互いに光束が重ならないように設定される。
また、分光素子10へ第7光路Pに沿って光束が入力されるときの各波長成分の入射角は、分光素子10から第2光路Pに沿って光束が出力されるときの各波長成分の出射角と等しくてもよい。このとき、分光素子10から第8光路Pに沿って出力光パルスPoが出力されるときの出射角は、分光素子10へ第1光路Pに沿って入力光パルスPiが入力されるときの入射角と等しい。このように、分光素子10における光束の入出射方向に関して、第2光路Pと第7光路Pとが互いに逆向きであって、第1光路Pと第8光路Pとが互いに逆向きである場合、これらの光路は、互いに光束が重ならないように設定される。
本実施形態に係るパルス幅変換装置1では、入力光パルスPiは、分光素子10へ第1光路Pに沿って一定の入射角で入力されて、分光素子10により波長毎に分光される。分光素子10により分光された各波長成分の光は、分光素子10から第2光路Pに沿って当該波長に応じた出射角で出力され、第1光学系11を経て、分光素子10へ第3光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力されて、分光素子10から第4光路Pに沿って一定の出射角で出力される。分光素子10から第4光路Pに沿って出力される各波長成分の光は、一定の出射角であるものの、分光素子10上の当該波長に応じた位置から出力され、空間的に分離されている。
分光素子10から第4光路Pに沿って一定の出射角で出力された各波長成分の光は、第2光学系12を経て、分光素子10へ第5光路Pに沿って一定の入射角で入力されて、分光素子10から第6光路Pに沿って波長に応じた出射角で出力され、第3光学系13を経て、分光素子10へ第7光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力される。分光素子10へ第7光路Pに沿って波長に応じた入射角で入力された光は、分光素子10により合波されて、分光素子10から第8光路Pに沿って出力光パルスPoとして出力される。第5光路P,第6光路P,第7光路Pおよび第8光路Pは、第1光路P,第2光路P,第3光路Pおよび第4光路Pに対して逆方向であってもよい。
分光素子10から第8光路Pに沿って出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。本実施形態に係るパルス幅変換装置1は、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散を付与して出力光パルスPoを出力することができる。すなわち、本実施形態に係るパルス幅変換装置1は、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する出力光パルスPoを生成することができる。
以下では、図2〜図10を用いて、本実施形態に係るパルス幅変換装置1の具体的な構成例について説明する。これらの図に示されるように、第1光路Pおよび第3光路Pそれぞれに沿って光束が分光素子10に入射する際の分光素子10上における光入射領域は互いに重なる。また、第5光路Pおよび第7光路Pそれぞれに沿って光束が分光素子10に入射する際の分光素子10上における光入射領域は互いに重なる。
図2は、パルス幅変換装置1Aの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Aは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての反射鏡41〜43を備える。
透過型回折格子20は、図3に示されるように、第1の側から一定の入射角で入射した光Piを分光して、第2の側へ波長に応じた出射角で各波長成分の光Poを出力することができ、また、第2の側から一定の入射角で入射した光Piを分光して、第1の側へ波長に応じた出射角で各波長成分の光Poを出力することができる。また、透過型回折格子20は、入射角と出射角(回折角)とが互いに等しいリトロー配置をとることができる。
なお、図2および図3において、透過型回折格子20の格子が延在する方向は紙面に垂直な方向であり、直角プリズム40による光路折り返しのときを除いて光パルスは紙面に平行に進む。直角プリズム40は、2つの反射面により順次に光パルスを反射させることで、往路の光パルスの光路に対して復路の光パルスの光路を紙面に垂直な方向に平行移動させる。直角プリズム40の光入出射面には反射低減膜が形成されているのが好適である。以降に説明する図でも同様である。
図2に示されるパルス幅変換装置1Aでは、入力光パルスPiは、透過型回折格子20へ一定の入射角で入力されて、透過型回折格子20により波長毎に分光される。透過型回折格子20により分光された各波長成分の光は、透過型回折格子20から当該波長に応じた出射角で出力され、反射鏡41,42,43により順次に反射された後、透過型回折格子20へ波長に応じた入射角で入力されて、透過型回折格子20から一定の出射角で出力される。透過型回折格子20から出力される各波長成分の光は、一定の出射角であるものの、透過型回折格子20上の当該波長に応じた位置から出力され、空間的に分離されている。
透過型回折格子20から一定の出射角で出力された各波長成分の光は、直角プリズム40により光路が折り返され、透過型回折格子20へ一定の入射角で入力されて、透過型回折格子20から波長に応じた出射角で出力され、反射鏡43,42,41により順次に反射された後、透過型回折格子20へ波長に応じた入射角で入力される。透過型回折格子20へ波長に応じた入射角で入力された光は、透過型回折格子20により合波されて、透過型回折格子20から出力光パルスPoとして出力される。
透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
このようなパルス幅変換装置1Aは、高強度超短パルスレーザ装置の最終段において光パルスのパルス幅を圧縮するパルス圧縮装置として好適に用いられる。高強度超短パルスレーザ装置は、前述したチャープパルス増幅法を用いて光パルスを光増幅する構成とされる。実際に、Yb:YAGセラミックを光増幅媒体として用いた再生増幅システムにより繰り返し周波数20kHzで生成したチャープ光パルス(中心波長1030nm、エネルギー0.2mJ、パルス幅30ps)に対して、パルス幅変換装置1Aによりパルス幅を圧縮した。透過型回折格子20は、刻線本数が1370本/mmであり、入射角45°で入射した波長1030nmの光を回折角45°で出射する構成とした。反射鏡41から反射鏡42を経由して反射鏡43に至るまでの光路長を30cmとした。上記再生増幅システムから出力された光パルスをパルス幅変換装置1Aに入力させてパルス幅の圧縮を行ったところ、出力光パルスのパルス幅は1psとなった。このように、パルス幅変換装置1Aを用いることで、パルス幅を30psから1psへ実際に圧縮することができた。
図4は、パルス幅変換装置1Bの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Bは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての反射鏡41,直角プリズム44および可動ステージ45を備える。
図2に示されたパルス幅変換装置1Aの構成と比較すると、この図4に示されるパルス幅変換装置1Bは、反射鏡42,43に替えて直角プリズム44を備える点で相違し、また、可動ステージ45を更に備える点で相違する。
直角プリズム44は、2つの反射面により順次に光パルスを反射させることで、往路および復路それぞれの光パルスの進行方向を変更する。直角プリズム44の光入出射面には反射低減膜が形成されているのが好適である。可動ステージ45は、直角プリズム44を平行移動させることで、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおける透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長を調整する光路長調整部として作用する。
このパルス幅変換装置1Bにおいても、透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
特に、このパルス幅変換装置1Bでは、光路長調整部としての可動ステージ45が設けられていることにより、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長が調整される。これにより、入力光パルスPiに対して付与される周波数領域における分散量が調整されて、入力光パルスPiに対する出力光パルスPoのパルス幅の圧縮または伸展の量が調整される。
図5は、パルス幅変換装置1Cの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Cは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての反射鏡41,43および機能化ブロック46を備える。図2に示されたパルス幅変換装置1Aの構成と比較すると、この図5に示されるパルス幅変換装置1Cは、反射鏡42に替えて機能化ブロック46を備える点で相違する。
機能化ブロック46は、反射鏡41から入出射面46aに到達した光を内部に入力して、その光を内壁面で複数回全反射させた後、入出射面46bから反射鏡43へ出力する。また、機能化ブロック46は、反射鏡43から入出射面46bに到達した光を内部に入力して、その光を内壁面で複数回全反射させた後、入出射面46aから反射鏡41へ出力する。機能化ブロック46は、入力される光の波長において透過率が高い材料からなるのが好適であり、例えば石英ガラスからなる。機能化ブロック46の入出射面46a,46bには反射低減膜が形成されているのが好適である。
このパルス幅変換装置1Cにおいても、透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
特に、このパルス幅変換装置1Cでは、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて機能化ブロック46が設けられていることにより、小さい設置面積であるにも拘わらず、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長を長くすることができる。これにより、入力光パルスPiに対して付与される周波数領域における分散量を大きくすることができて、入力光パルスPiに対する出力光パルスPoのパルス幅の圧縮または伸展の量を大きくすることができる。例えば、5cm×4.4cmの設置面積の機能化ブロック46に入射した光束を内部全反射で3回半ほど周回させることで、その光を50cmの距離だけ伝播させた後に出射することが可能である。
図6は、パルス幅変換装置1Dの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Dは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての機能化ブロック47を備える。図2に示されたパルス幅変換装置1Aの構成と比較すると、この図6に示されるパルス幅変換装置1Dは、反射鏡41〜43に替えて機能化ブロック47を備える点で相違する。
機能化ブロック47は、透過型回折格子20から入出射面47aに到達した光を内部に入力して、その光を内壁面で複数回全反射させた後、入出射面47bから透過型回折格子20へ出力する。また、機能化ブロック47は、透過型回折格子20から入出射面47bに到達した光を内部に入力して、その光を内壁面で複数回全反射させた後、入出射面47aから透過型回折格子20へ出力する。機能化ブロック47は、入力される光の波長において透過率が高い材料からなるのが好適であり、例えば石英ガラスからなる。機能化ブロック47の入出射面47a,47bには反射低減膜が形成されているのが好適である。
このパルス幅変換装置1Dにおいても、透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
また、このパルス幅変換装置1Dでも、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて機能化ブロック47が設けられていることにより、小さい設置面積であるにも拘わらず、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長を長くすることができる。これにより、入力光パルスPiに対して付与される周波数領域における分散量を大きくすることができて、入力光パルスPiに対する出力光パルスPoのパルス幅の圧縮または伸展の量を大きくすることができる。
さらに、このパルス幅変換装置1Dは、第1光学系11および第3光学系13が一体化されていることにより、小型化が容易であり、また、取り扱いも容易である。
図7は、パルス幅変換装置1Eの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Eは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての機能化ブロック48を備える。図2に示されたパルス幅変換装置1Aの構成と比較すると、この図7に示されるパルス幅変換装置1Eは、反射鏡41〜43に替えて機能化ブロック48を備える点で相違する。
機能化ブロック48は、透過型回折格子20に対してオプティカルコンタクトにより接合されていて、透過型回折格子20とともに一体化されている。機能化ブロック48は、透過型回折格子20から出力された光を内部に入力して、その光を内壁面で複数回全反射させた後、透過型回折格子20へ出力する。機能化ブロック48は、入力される光の波長において透過率が高い材料からなるのが好適であり、例えば石英ガラスからなる。機能化ブロック48の内壁面における反射の際に、光束の入射角が全反射角以下である場合には、対象となる面に適切な反射膜が形成されているのが好適である。
このパルス幅変換装置1Eにおいても、透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
また、このパルス幅変換装置1Eでも、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて機能化ブロック48が設けられていることにより、小さい設置面積であるにも拘わらず、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長を長くすることができる。これにより、入力光パルスPiに対して付与される周波数領域における分散量を大きくすることができて、入力光パルスPiに対する出力光パルスPoのパルス幅の圧縮または伸展の量を大きくすることができる。
さらに、このパルス幅変換装置1Eは、分光素子10(透過型回折格子20),第1光学系11および第3光学系13が一体化されていることにより、小型化が容易であり、また、取り扱いも容易である。
図8は、パルス幅変換装置1Fの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Fは、分光素子10としての透過型回折格子20、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40およびプリズム49、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての機能化ブロック48を備える。図7に示されたパルス幅変換装置1Eの構成と比較すると、この図8に示されるパルス幅変換装置1Fは、プリズム40を更に備える点で相違する。
プリズム40は、透過型回折格子20に対してオプティカルコンタクトにより接合され、また、直角プリズム40に対してもオプティカルコンタクトにより接合されている。プリズム40は、入力される光の波長において透過率が高い材料からなるのが好適であり、例えば石英ガラスからなる。これにより、直角プリズム40の入出射面の反射低減膜は省略しても好適に動作可能となる。ただし、直角プリズム49における入力光パルスPiおよび出力光パルスPoの入出射面には反射低減膜が形成されているのが好適である。
このパルス幅変換装置1Fにおいても、透過型回折格子20から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
また、このパルス幅変換装置1Fでも、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて機能化ブロック48が設けられていることにより、小さい設置面積であるにも拘わらず、第1光学系11および第3光学系13それぞれにおいて透過型回折格子20からの光出力から透過型回折格子20への光入力までの光路長を長くすることができる。これにより、入力光パルスPiに対して付与される周波数領域における分散量を大きくすることができて、入力光パルスPiに対する出力光パルスPoのパルス幅の圧縮または伸展の量を大きくすることができる。
さらに、このパルス幅変換装置1Eは、分光素子10(透過型回折格子20),第1光学系11,第2光学系12および第3光学系13が一体化されていることにより、小型化が容易であり、また、取り扱いも容易である。
図9は、パルス幅変換装置1Gの構成を示す図である。この図に示されるパルス幅変換装置1Gは、分光素子10としての反射型回折格子30、第2光学系12の構成要素としての直角プリズム40、ならびに、第1光学系11および第3光学系13それぞれの構成要素としての反射鏡41〜43を備える。図2に示されたパルス幅変換装置1Aの構成と比較すると、この図9に示されるパルス幅変換装置1Gは、透過型回折格子20に替えて反射型回折格子30を備える点で相違する。
反射型回折格子30は、図10に示されるように、第1の側から一定の入射角で入射した光Piを分光して、第1の側へ波長に応じた出射角で各波長成分の光Poを出力することができ、また、第2の側から一定の入射角(回折面の法線に対して光Piの入射方向と対称関係にある)で入射した光Piを分光して、第2の側へ波長に応じた出射角で各波長成分の光Poを出力することができる。例えば、光の中心波長が1030nmであるとする。反射型回折格子30の刻線本数が1250本/mmであるとする。このとき、入射角50°で入射した波長1030nmの光を回折角31°で出射することができる。ただし、反射型回折格子30は、入射角と出射角(回折角)とが互いに等しいリトロー配置をとることができない。
図9に示されるパルス幅変換装置1Gでは、入力光パルスPiは、反射型回折格子30へ一定の入射角で入力されて、反射型回折格子30により波長毎に分光される。反射型回折格子30により分光された各波長成分の光は、反射型回折格子30から当該波長に応じた出射角で出力され、反射鏡41,42,43により順次に反射された後、反射型回折格子30へ波長に応じた入射角で入力されて、反射型回折格子30から一定の出射角で出力される。反射型回折格子30から出力される各波長成分の光は、一定の出射角であるものの、反射型回折格子30上の当該波長に応じた位置から出力され、空間的に分離されている。
反射型回折格子30から一定の出射角で出力された各波長成分の光は、直角プリズム40により光路が折り返され、反射型回折格子30へ一定の入射角で入力されて、反射型回折格子30から波長に応じた出射角で出力され、反射鏡43,42,41により順次に反射された後、反射型回折格子30へ波長に応じた入射角で入力される。反射型回折格子30へ波長に応じた入射角で入力された光は、反射型回折格子30により合波されて、反射型回折格子30から出力光パルスPoとして出力される。
反射型回折格子30から出力される出力光パルスPoは、波長によらず出射角が一定であり、各波長成分の主光線が一致している。出力光パルスPoは、入力光パルスPiに対して周波数領域で2次以上の分散が付与されたものであり、入力光パルスPiのパルス幅と異なるパルス幅を有する。
次に、本実施形態に係るパルス幅変換装置および光増幅装置を備える光増幅システムの実施形態について説明する。本実施形態に係る光増幅システムは、光パルスを光増幅する光増幅装置と、この光増幅装置により光増幅された光パルスのパルス幅を圧縮して該光パルスを出力するパルス幅変換装置と、を備えるものであって、例えば、超短パルスレーザ光源やMOPA(Master Oscillator Power Amplifier)等においてパルス幅変換装置をも備える構成のものである。本実施形態に係るパルス幅変換装置1,1A〜1Gは、小型化が容易であるので、超短パルスレーザ光の分散を補償する装置としての使用が有用である。特に、図11に示されるような超短パルスファイバレーザ装置への適用が有効である。
図11は、本実施形態に係る光増幅システム3の構成を示す図である。この図に示される光増幅システム3は、励起LD50、LD導光ファイバ51、光カプラ52、Ybドープ光ファイバ53、コリメートレンズ54、λ/4板55、λ/2板56、偏光ビームスプリッタ57、ファラデー回転子58、λ/2板59、偏光ビームスプリッタ60、反射鏡61、λ/4板62、集光レンズ63、単一モード光ファイバ64、および、図8に示されたパルス幅変換装置1Fを備える。
この光増幅システム3は、励起LD(Laser Diode)50から出力される励起光によりYbドープ光ファイバ53を励起することで、モードロックパルス発振する。励起LD50の前端面とLD導光ファイバ51とは互いに光学的に結合されている。LD導光ファイバ51は、長さが3.2mであり、ファイバブラッググレーティング構造を有している。LD導光ファイバ51のブラッググレーティングと励起LD50の後端面とにより外部共振器が形成されていて、ブラッググレーティングの周期に応じた波長976nmの励起光が連続波として400mWで出力される。
この励起光は、光カプラ52を経て、長さ0.8mの単一モードのYbドープ光ファイバ53に供給され、添加されているYbイオンを励起する。この励起により、Ybドープ光ファイバ53において放出光が発生する。この放出光は、Ybドープ光ファイバ53から出射された後、コリメートレンズ54によって平行光として空間へ取り出され、λ/4板55およびλ/2板56により所定の偏光状態に変換されて、偏光ビームスプリッタ57に入射される。
偏光ビームスプリッタ57に入射された光の一部は、偏光ビームスプリッタ57により反射されて分岐され取り出される。偏光ビームスプリッタ57を透過して光共振器内に留まった光は、ファラデー回転子58、λ/2板59および偏光ビームスプリッタ60によって形成されるファラデーアイソレータを通過した後、パルス幅変換装置1Fによりパルス幅を変換される。
パルス幅変換装置1Fによりパルス幅を変換されて出力された光は、反射鏡61により反射され、λ/4板62により所定の偏光状態へ変換され、集光レンズ63により集光されて、長さ1.2mの単一モード光ファイバ64へ入射される。単一モード光ファイバ64へ入射された光は、光カプラ52を経て、Ybドープ光ファイバ53に入力される。
このように、本実施形態に係る光増幅システム3は、リング型の光共振器を有していて、その光共振器内のYbドープ光ファイバ53において誘導放出を起こさせ、その誘導放出光の一部を偏光ビームスプリッタ57から外部へ出力する。また、本実施形態に係る光増幅システム3は、本実施形態に係るパルス幅変換装置(特にパルス幅変換装置1F)をも光共振器内に備えている。
本実施形態に係る光増幅システム3において、モードロック発振を実現するためには、レーザ共振器の分散を調整する必要がある。一般に、光ファイバを通過する光には大きな分散が与えられるので、このような大きな分散を補償するための素子が必要となる。特に、1300nm以下の波長域では、透過率の高い光学材料の全てが正分散を示すため、1300nm以下の波長の超短光パルスをファイバレーザで生成する場合には、特別に設計された負分散光学系が必要となる。
従来、このような負分散光学系は、プリズム対や回折格子対にもとづくパルス圧縮装置が用いられていたが、ファイバレーザ全体に占める大きさの割合が高く、小型化の妨げとなっていた。また、近年、フォトニック結晶ファイバを用いた負分散光学系も用いられるようになってきたが、設計が困難であり、条件に対する柔軟性に乏しく、高額で、調整が困難である、という問題があった。
本実施形態に係る光増幅システム3は、光共振器内に負分散光学系として本実施形態に係るパルス幅変換装置(特にパルス幅変換装置1F)を備えている。パルス幅変換装置1Fは、通常の回折光学を用いて設計を行うことが可能で、条件の変化に対しては、例えば機能化ブロック48の大きさを変更することで対応し、小型化可能であって安価であり、入射光に対する調整を容易に行うことができる。
例えば、機能化ブロック48の一辺が2.8mmであるので、パルス幅変換装置1Fは、センチメートル大に収まり、光増幅システム3全体に占める大きさの割合が問題にならないほど小型である。この構成により、光増幅システム3は、モードロック動作により、波長帯域1010nm〜1050nm、パルス幅1.3psの光パルスを平均出力130mW、繰り返し40MHzで出射することができる。さらに、偏光ビームスプリッタ57からの出射光は正チャープしたパルスであるので、この出射光のパルス幅を本実施形態に係るパルス幅変換装置により圧縮することで、50fsまで短パルス化された出射光を得ることができる。
以上で詳細に説明した本実施形態に係るパルス幅変換装置は、以下のような効果を奏することができる。従来のものと比較すると、本実施形態に係るパルス幅変換装置は、回折格子の必要個数が削減され、また、回折格子の小型化が可能である。
図15に示されたパルス幅変換装置2Dでは、直角プリズム40により光路を折り返すことにより、光路が近接して平行となる部分が多数出現するので、光学素子の幾何学的な干渉に因り小型化することが困難である。これに対し、本実施形態に係るパルス幅変換装置は、近接した光路が平行でないので、光学素子やマウントの幾何学的な干渉が緩和される。
回折格子の必要個数の削減および幾何学的な干渉の低減により、パルス幅変換装置を構成するために必要とされる設置面積を小さくできる。これにより、パルス幅変換装置のコンパクトな配置が実現できる。
パルス幅変換装置は、何らかの形で、高強度超短パルスレーザ装置の最終段に配置することが不可避な装置である。よって、パルス幅変換装置の小型化は、高強度超短パルスレーザ装置全体の小型化に寄与することができる。
パルス幅の変化量を調整するためには、分光された部分の光軸長を変化させる機構が必要となる。本実施形態では、回折格子への光の入射角を複数利用しているので、光路長変化機構の向きも複数の選択が可能となり、設計の自由度が増す。
また、本実施形態に係るパルス幅変換装置は、透過型回折格子および反射型回折格子の何れを用いてもよいが、透過型回折格子を用いる場合には以下のような効果を奏することができる。
透過型回折格子は、入射角(入射光と回折格子面の法線とがなす角)と回折角(回折光が回折格子面の法線とがなす角)とが互いに等しくなるような構成(リトロー配置)をとることができる。他方、反射型回折格子は、入射光および回折光それぞれの光路が互いに重なってしまうので、リトロー配置が不可能となる。このことから、一般に、透過型回折格子は、反射型回折格子と比較して、高い回折効率を有する設計が可能となる。
例えば、波長1030nmの光に対して、96%の回折効率を有する透過型回折格子が製作可能である。一方で、金属蒸着型の反射型回折格子の回折効率は、市場における高品質な素子の典型値で92%程度である。本実施形態においては、回折格子に光が4回入射するので、パルス幅変換装置全体の光利用効率は、回折効率の4乗に比例する。上記96%、92%をそれぞれ4乗すると、85%、72%となる。このことから、透過型回折格子を用いた構成のほうが有効であることがわかる。
反射型回折格子に入射した光のうち、回折しなかった成分(光損失)の一部は、回折格子の金属蒸着面で吸収され、発熱の原因となる。この発熱は、平均出力が大きい高繰り返し超短パルスレーザ増幅器のパルス幅変換器に用いる際に、大きな問題となる。特に、一般的な価格で入手可能で通常使用される反射型回折格子は、金属蒸着膜の下地面が樹脂で作成されており、熱的な影響が大きい。熱的な影響は、回折面の歪みを引き起こし、回折効率の減少や、回折光の波面歪み等、レーザ光の品質低下を招く。これに対し、透過型回折格子は、光損失の大部分が基板に吸収されることなく、透過または散乱光となるので、基板の発熱が抑制される。また、透過型回折格子の場合は、全石英ガラス製の基板も安価に入手可能であり、発熱に対する基板の歪みも小さい。
石英ガラス製の透過型回折格子は、金属蒸着の反射型回折格子に比べ、損傷閾値が数桁高い。よって、透過型回折格子を用いる場合、超短パルスレーザ増幅器の出射光の尖頭出力(ピークパワー)が大きいものに対して、有効なパルス幅変換装置を構成できる。
図3に示されるように、透過型回折格子は、基板の両側の空間に光路を設定できる。他方、図10に示されるように、反射型回折格子は、基板に対して、一方の空間しか利用できない。このことから、反射型回折格子を用いて実際の光学系を構成すると、光学素子やマウントの幾何学的な干渉により、系の小型化が制限される。本実施形態に係るパルス幅変換装置の小型化を図る上でも、透過型回折格子を用いるほうが、より有効である。さらに、石英ガラス製の透過型回折格子の損傷閾値が高いという性質を用いると、パルス幅変換器に入射させるレーザビームの断面を小さくすることが可能となる。よって、小型光学素子を選定できるので、系の小型化をさらに推進できる。
1,1A〜1G,2A〜2D…パルス幅変換装置、3…光増幅システム、10…分光素子、11…第1光学系、12…第2光学系、13…第3光学系、20〜24…透過型回折格子、30〜34…反射型回折格子、40…直角プリズム、41〜43…反射鏡、44…直角プリズム、45…可動ステージ、46〜48…機能化ブロック、49…プリズム、50…励起LD、51…LD導光ファイバ、52…光カプラ、53…Ybドープ光ファイバ、54…コリメートレンズ、55…λ/4板、56…λ/2板、57…偏光ビームスプリッタ、58…ファラデー回転子、59…λ/2板、60…偏光ビームスプリッタ、61…反射鏡、62…λ/4板、63…集光レンズ、64…単一モード光ファイバ、P…第1光路、P…第2光路、P…第3光路、P…第4光路、P…第5光路、P…第6光路、P…第7光路、P…第8光路、Pi…入力光パルス、Po…出力光パルス。

Claims (8)

  1. 入力光パルスのパルス幅と異なるパルス幅を有する出力光パルスを生成するパルス幅変換装置であって、
    第1光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力した各波長成分の主光線が一致している前記入力光パルスを分光して第2光路に沿って波長に応じた出射角で出力し、第3光路に沿って波長に応じた入射角で入力した光束を第4光路に沿って波長によらず一定の出射角で出力し、第5光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力した光束を第6光路に沿って波長に応じた出射角で出力し、第7光路に沿って波長に応じた入射角で入力した光束を合波して第8光路に沿って波長によらず出射角が一定でありかつ各波長成分の主光線が一致している前記出力光パルスとして出力する分光素子と、
    前記分光素子から前記第2光路に沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、前記分光素子へ前記第3光路に沿って波長に応じた入射角で入力させる第1光学系と、
    前記分光素子から前記第4光路に沿って波長によらず一定の出射角で出力された光束を、前記分光素子へ前記第5光路に沿って波長によらず一定の入射角で入力させる第2光学系と、
    前記分光素子から前記第6光路に沿って波長に応じた出射角で出力された光束を、前記分光素子へ前記第7光路に沿って波長に応じた入射角で入力させる第3光学系と、
    を備え、
    前記第2光学系において、前記分光素子へ前記第5光路に沿って光束が入力されるときの入射角が、前記分光素子から前記第4光路に沿って光束が出力されるときの出射角と等しく、
    前記分光素子における光束の入出射方向に関して、前記第3光路および前記第4光路の組み合わせによる入出射方向が、前記第1光路および前記第2光路の組み合わせによる入出射方向と異なり、
    前記第1光路および前記第3光路それぞれに沿って光束が前記分光素子に入射する際の前記分光素子上における光入射領域が互いに重なり、
    前記第5光路および前記第7光路それぞれに沿って光束が前記分光素子に入射する際の前記分光素子上における光入射領域が互いに重なる、
    ことを特徴とするパルス幅変換装置。
  2. 前記分光素子が透過型回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  3. 前記分光素子が反射型回折格子であることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  4. 前記第1光学系および前記第3光学系が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  5. 前記分光素子,前記第1光学系および前記第3光学系が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  6. 前記分光素子,前記第1光学系,前記第2光学系および前記第3光学系が一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  7. 前記第1光学系および前記第3光学系の双方または何れか一方が、前記分光素子からの光出力から前記分光素子への光入力までの光路長を調整する光路長調整部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のパルス幅変換装置。
  8. 光パルスを光増幅する光増幅装置と、
    前記光増幅装置により光増幅された光パルスを入力し、その入力した光パルスの分散を補償して該光パルスを出力する請求項1〜の何れか1項に記載のパルス幅変換装置と、
    を備えることを特徴とする光増幅システム。
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