JP5301762B2 - キャリア位相相対測位装置 - Google Patents

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Description

本発明は移動体に固定された複数のGPSアンテナを備えたキャリア位相相対測位装置に関する。
キャリア位相差を用いて測位を行うキャリア位相相対測位装置として、例えば、移動体にリジットに固定された複数のGPSアンテナと慣性センサユニットを用いて移動体の姿勢を検出する姿勢検出装置がある。この姿勢検出装置では、アンテナ対と複数の衛星間で生成されるキャリア位相差の観測量から整数バイアス解を求め、得られた整数バイアス解から基準アンテナに対する他のアンテナ(以下、スレーブアンテナとする。)の位置ベクトル、即ち、基線ベクトルを算出し、この基線ベクトルから移動体の姿勢を決定している。
このような姿勢算出装置等のキャリア位相差を用いて測位を行うキャリア位相相対測位装置において、整数バイアス解(Integer Ambiguity)を高速にかつ正しく決定することは主要な技術課題である。
図6はこの整数バイアス解を得るための演算処理手順を説明する図である。整数バイアス解の決定は、図6に示すように整数バイアスのフロート解(Ambiguity float solution)の推定処理101、整数バイアス解の決定処理102、及び整数バイアス解の検定処理103の3つに大別できる。
整数バイアスのフロート解の推定処理101は測位用信号の位相差観測量から整数バイアスのフロート解を算出する処理であり、カルマンフィルタ等を用いて整数バイアスのフロート解を推定する(非特許文献1)。整数バイアス解の決定処理102は整数バイアスのフロート解を算出後、整数バイアスのフロート解の算出精度に応じて決定されるサーチ範囲に基づいて整数バイアス候補解を決定し、該整数バイアス候補解からp個の整数バイアス候補解セット(N,N,・・・,N)pを決定する。その後決定したp個の整数バイアス候補解セット(N,N,・・・,N)pから1個の真の整数バイアス解セットを絞り込み、整数バイアス解を決定する。整数バイアス解の決定処理102にはLAMBDA技法(非特許文献2)等の公知の技法が用いられる。整数バイアス解の検定処理103は基線長情報等の既知情報を用いて決定された整数バイアス解が正しいかどうかを検定する処理である。
一旦整数バイアス解が決まれば、整数バイアス解を既知としてカルマンフィルタ等を用いて基線ベクトルを算出することができる。この基線ベクトルから姿勢検出装置は移動体の姿勢を得ることができる。
ところで、整数バイアス解を高速にかつ正しく決定するための技法は種々提案されている。例えば、非特許文献3、4は整数バイアスのフロート解や整数バイアス解の検定に基線長等の制約(baseline length constrain)を利用した技法を提案している。
非特許文献3は、移動体外の既知位置に置かれたGPS基準局に対して 移動体に2個のGPS移動局が固定設置された構成において、2個の移動局アンテナ間の基線長を既知の制約条件として整数バイアス解を推定するものである。なお、非特許文献3は、ピッチ、heading等の制約条件の利用も提示しているが、此等の制約は整数バイアスが決定された後でないと適用できない。
非特許文献4は、整数バイアス候補解の決定において、3次元空間のサーチ範囲を低次元化することによって効率的に整数バイアス候補解を求めるために、また、整数バイアスの検定のために既知の基線長情報を利用する技法である。
これに対し、後述する本発明は、移動体上にリジットに固定された複数のアンテナから得られる位相差観測量を用いて、整数バイアスのフロート解、基線ベクトルを推定するものであり、整数バイアスのフロート解、基線ベクトルを推定する推定アルゴリズムに直接、基線長等の既知情報制約を組み込んで整数バイアスのフロート解或いは基線ベクトルを求める技法である。
Hwang ,Patrick Y.C,"Kinematic GPS For Differential Positioning Resolving Integer Ambiguities On The Fly",Navigation,Vol-31,No.1 P.J.G. Teunissen,"A New Method for carrier Phase Ambiguity Estimation ", proc. IEEE "Position Location and Navigation Symposium PLANS 94", Las Vegas,11-15 April, 1994, pp 562-573. Shawn D. Weisenburger, "Effect of Constraints and Multiple Receivers for On-The-Fly Ambiguity Resolution",UCGE Reports Number 20109,Department of Geomatics Engineering,University of Calgary,1997(http://www.geomatics.ucalgary.ca/Papers/Thesis/MEC/97.20109.SWeisenburger.pdf(2005.10.7時点)) Lu G."Development of a GPS Multi-Antenna System for Attitude Determination",UCGE Reports No. 20073, Department of Geomatics Engineering ,University of Calgary,1995 Kornfeld. R.P. Hansman, R.J. and Deyst, J.J. "Single Antenna GPS Based Aircraft Attitude Determination," Proceedings of the Institute of Navigation National Technical Meeting, Jan. 21- 23, 1998, Long Beach, CA, pp. 345-354.
しかしながら、前述の従来の技法を用いたとしても、整数バイアスのフロート解の収束に要する時間はGPSの衛星数に大きく依存するため、使用できるGPS衛星数が最小必要数の場合には整数バイアスフロート解の推定処理101を終えるのに通常20〜30分以上かかってしまう。また、推定された整数バイアスのフロート解の精度も悪くなる。整数バイアスのフロート解の精度が劣化することにより、その後の整数バイアス解の決定処理102や整数バイアス解の検定処理103に要する時間も長くなり、誤った整数バイアス解が生じることにもなる。
さらに、整数バイアス解を決定するために要する時間や整数バイアス解の決定精度は、マルチパス観測誤差の影響も受け、時には整数バイアス解が求められないか誤った整数バイアス解を生じることもある。
特に、短い基線長が要求される装置においては、整数バイアス解の僅かな誤りでも位置、速度、姿勢等に許容できない誤差を与えるので、正しい整数バイアス解を速く決定することが極めて重要となる。
また、慣性センサを利用したGPS/INS統合化装置(MA−GPS/INSシステム)も提案されているが、上述の欠点は十分に克服できていない。特に、電源ON時の整数バイアス解の決定に関してはGPSシステムの性能に依存するためINSを統合したメリットを十分に生かせていない。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、整数バイアスのフロート解の推定処理101において、整数バイアスのフロート解を高速且つ高精度に推定することを目的とする。また、同時に、本発明は整数バイアス解決定後に、決定された整数バイアス解を用いて基線ベクトルを高速且つ高精度に求めることを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明は、移動体上に固定された複数のアンテナを備えるキャリア位相相対測位装置において、前記複数のアンテナで受信した測位用信号のキャリアの位相差観測量を得る受信機と、前記位相差観測量を入力とし、かつ前記複数のアンテナの相対的な位置関係より得られる既知情報を制約条件とするラグランジェ乗数法を用いて整数バイアスのフロート解を推定する整数バイアスフロート解推定部と、前記整数バイアスフロート解推定部で推定された整数バイアスのフロート解から整数バイアス解を決定する整数バイアス決定部と、前記整数バイアス決定部によって決定された整数バイアス解が正しいかどうかを検定する整数バイアス検定部とを備えることを特徴とする。

すなわち、整数バイアスフロート解推定部は、整数バイアスのフロート解の推定アルゴリズムに基線長等の既知情報制約条件を直接組み込み、整数バイアスのフロート解を推定する。既知情報制約付きの条件下で整数バイアスのフロート解を推定する具体的な技法としては、例えば、ラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)や拡張カルマンフィルタによる方法が考えられる。
ここで、複数のアンテナの相対的な位置関係より得られる既知情報とは、複数のGPSアンテナ1が固定されていることから得られる既知の情報をいい、例えば、GPSアンテナ間の基線長情報や、各GPSアンテナ間に形成される基線の内積、外積情報がある。
また、本発明は、基線ベクトル初期値演算部が基線ベクトルの初期値を推定し、推定した基線ベクトルを前記整数バイアスフロート解推定処理時の基線ベクトルの初期値として与えることを特徴とする。これにより、整数バイアスのフロート解の推定処理をより高精度かつ高速に行うことが可能になる。なお、基線ベクトルの初期値の推定技法としては、例えば、移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する技法や慣性センサの観測量及び移動体速度を用いて基線ベクトルを推定する技法がある。
更に、本発明における既知情報制約による技法は、整数バイアスのフロート解の推定に適用できるのみならず、整数バイアス解が決定した後の基線ベクトルの算出においても同様に適用することができる。
すなわち、本発明は移動体上に固定された複数のアンテナを備えるキャリア位相相対測位装置において、前記複数のアンテナで受信した測位用信号から位相差観測量を得る受信機と、前記位相差観測量から整数バイアス解を算出する整数バイアス解算出部と、前記複数のアンテナの相対的な位置関係より得られる既知情報を制約条件として、前記位相差観測量及び前記整数バイアス解から基線ベクトルを算出する基線ベクトル算出部を備えることを特徴とする。
この基線ベクトル算出部は、整数バイアス解算出部で算出された整数バイアス解を既知量として、基線ベクトルの推定アルゴリズムに基線長等の既知情報制約条件を直接組み込み、基線ベクトルを算出する。既知情報制約付きの条件下で基線ベクトルを求める具体的な技法としては、例えば、ラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)や拡張カルマンフィルタによる方法が考えられる。
また、本発明は、基線ベクトル初期値演算部が基線ベクトルの初期値を推定し、推定した基線ベクトルを前記基線ベクトル算出処理時の基線ベクトルの初期値として与えることを特徴とする。これにより、整数バイアスのフロート解の推定処理をより高精度かつ高速に行うことが可能になる。なお、基線ベクトルの初期値の推定技法としては、例えば、移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する技法や慣性センサの観測量及び移動体速度を用いて基線ベクトルを推定する技法がある。
また、本発明は、慣性センサの観測量を基線ベクトルの初期値推定に用いる場合において該慣性センサ誤差を補正する手段をさらに備えることを特徴とする。すなわち、整数バイアス解の決定後に得られる情報を用いて前記慣性センサの観測量誤差を補正する慣性センサ誤差補正部をさらに備え、前記基線ベクトル初期値演算部は、整数バイアス解の再決定時に、前記慣性センサ誤差補正部で誤差補正された前記慣性センサの観測量を用いて基線ベクトルを推定することにより、初期値として与える基線ベクトルの値を得る。この構成により、整数バイアス解の再決定時には、より高精度かつ高速に整数バイアスのフロート解、及び基線ベクトルを求めることが可能になる。
本発明によれば、複数のアンテナの相対的な位置関係より得られる既知情報を制約条件として、前記位相差観測量から整数バイアスのフロート解を推定することにより、制約の条件のない従来の推定技法に比べて、より高精度且つ高速に整数バイアスのフロート解が推定できる。この結果、整数バイアス解も高精度かつ高速に決定できる。
また、本発明は基線ベクトル初期値演算部により基線ベクトルの初期値を正確に推定することができるため、基線ベクトルの初期値の精度が良い場合は直接、整数バイアスと見なせることができるような精度で整数バイアスのフロート解が決定できる。また、このような高精度で基線ベクトル初期値が得られない場合であったとしても、整数バイアスのフロート解の誤差共分散は従来の技法に比べて格段小さくできる。このため、整数バイアス解を決定のためのサーチ範囲を狭くすることができ、結果として、より高速且つ正確に整数バイアス解を求めることが可能になる。
更に、本発明における既知情報制約による技法は、整数バイアスのフロート解の推定に適用できるのみならず、整数バイアス解が決定した後の基線ベクトルの算出においても同様に適用することができる。
また、本発明による既知情報制約による技法は位相差観測量の観測雑音に起因する推定精度の劣化対策として寄与するのみならず、マルチパス雑音による精度の劣化対策としても効果が期待できる。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明で使用する航法座標系と移動体座標系について説明する説明図である。
図1(a)は、航法座標系と移動体座標系について示す図である。図1に示すように、基準となる航法座標系は北、東方向をそれぞれX軸、Y軸とする右手系の直交座標系(Geodetic座標系)である。また、移動体座標系は移動体の進行方向、右手方向をそれぞれX軸、Y軸とする右手系の直交座標系であり、移動体が船舶の場合には船首方向をX軸、右舷方向をY軸として設定する。なお、両座標系の原点は必ずしも一致させる必要はないが、ここでは理解を助けるために一致させている。また、本発明の説明中、右肩添え字nは航法座標系を示し、右肩添え字bは、移動体座標系(Body座標系)を示す。
図1(b)は、図1(a)の移動体座標系上にマウントされたGPSアンテナ位置を示す図である。図1(b)において、基準アンテナが移動体座標系の原点に設置され、スレーブアンテナが所定の位置に設置されている。スレーブアンテナの位置は複数の基線ベクトルの方向が異なるような既知の任意の位置に設定される。図1(b)は2個のスレーブアンテナの例を示しているが、スレーブアンテナは1個以上であればよい。
図2は、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置の構成の一例を示す図であり、移動体上にリジットに固定された3個のGPSアンテナを備えたキャリア位相相対測位装置の構成例を示している。
図2において、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置は、GPSアンテナ1と、GPS受信機2と、演算処理部3aとからなる。演算処理部3aは、整数バイアスフロート解推定部11と、整数バイアス決定部12と、整数バイアス検定部13と、基線ベクトル算出部14と、GPS姿勢演算部15とから構成されている。
GPSアンテナ1は、移動体上にリジットに固定されたアンテナであり、各アンテナは既知の位置に置かれている。なお、移動体上に固定されたGPSアンテナ1は必ずしも3個に限られず、少なくとも2個以上、また基線の内積、外積を既知情報として用いる場合には少なくとも3個以上であればよい。なお、本発明の実施形態では、GPSアンテナ1を例に挙げて説明するが、アンテナが受信する電波はGPS衛星から送信される測位用信号に限らず、GLONASS衛星、GALILEO衛星、或いは、準天頂衛星等の測位用衛星から送信される測位用信号のうち少なくとも1つ以上の信号を受信できるものであればよい。
GPS受信機2は、複数の衛星からの測位用信号をGPSアンテナ1経由で受信して位相差観測量を生成し、基準アンテナ位置及び衛星位置の情報(Ephemeris)と共に整数バイアスフロート解推定部11に出力する。ここで、位相差観測量は1重位相差、または2重位相差であっても良い。
整数バイアスフロート解推定部11は、位相差観測量と整数バイアスのフロート解とを関係づける観測方程式にGPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約を組み込んで整数バイアスのフロート解を推定する。なお、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報とは、複数のGPSアンテナ1が固定されていることから得られる既知の情報をいい、例えば、基線長情報や、各GPSアンテナ間に形成される基線の内積、外積情報がある。また、整数バイアスフロート解推定部11が既知情報制約付きの条件下で整数バイアスのフロート解を推定する具体的な技法としては、例えば、ラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)や拡張カルマンフィルタによる方法が考えられる。なお、この詳細は後述する。
整数バイアス決定部12は、公知のLAMBDA技法等を用いて整数バイアスフロート解推定部11で推定された整数バイアスのフロート解からp個の整数バイアス候補解セットを求める。その後p個の整数バイアスの整数バイアス候補解セットの中から1個の真の整数バイアス解セットを絞り込み、整数バイアス解を決定する。ところで、整数バイアス決定部12における整数バイアス候補解のサーチ範囲は、前述の整数バイアスフロート解推定部11によって得られる整数バイアスのフロート解の精度に依存する。そのため、整数バイアスのフロート解の高精度化を実現することにより、整数バイアス候補解のサーチ範囲を狭め、整数バイアスの決定処理の高速化も同時に実現することができる。また、整数バイアスフロート解推定部11による整数バイアスのフロート解の推定精度によっては、直接整数バイアスの整数解が得られるため、整数バイアス決定部12を省略し、直接、整数バイアスフロート解推定部11から整数バイアス解の検定を行うことも不可能ではない。
整数バイアス検定部13は、基線長検定や統計的検定等の公知の技法により整数バイアス決定部12によって決定された整数バイアス解が正しいかどうかを検定するものである。
基線ベクトル算出部14は、整数バイアス検定部13をパスした整数バイアス解を既知量として、基線ベクトルに対して線形化した位相差観測方程式にGPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約を組み込んで基線ベクトルを算出する。この際、基線ベクトル算出部14は、整数バイアス解を既知とした新たな位相差観測量を用いる。なお、既知情報制約付きの条件下で基線ベクトルを求める具体的な手法としては、上述と同様、ラグランジェ乗数や拡張カルマンフィルタ技法が適用できる。この詳細については後述する。
GPS姿勢演算部15は、基線ベクトル算出部14で算出された基線ベクトルからTRIAD技法やQUEST技法等の公知の技法を用いて姿勢角を求めるものである。
整数バイアス解算出部16は、位相差観測量から整数バイアス解を算出するブロックを図示したものであり、例えば、前述の整数バイアスフロート解推定部11、整数バイアス決定部12、及び整数バイアス検定部13を構成要素とする。
次に、整数バイアスフロート解推定部11が行う処理についてさらに詳細に説明する。
例えば、1重位相差観測モデル(single difference observation model )における航法座標系のキャリア位相差観測量ΔΦijは、次式〔数1〕で表わせる。ここで、右下添え字で示したi、jはそれぞれ、i番目のスレーブアンテナ、j番目の衛星を示す。
Figure 0005301762
なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、ある1個の基線ベクトルについて考える。そのために基線ベクトルにつけた右下添え字iは省略する。もし、複数の基線ベクトルで考える場合はそれに対応する式を形成すれば良く、以下で説明する技法を同様に適用することができる。
さて、観測方程式〔数1〕を線形化してマトリクス表現すると次式〔数2〕のように表現することができる。なお、右下添え字で示したt(1,2,・・・,n)は観測エポックを示す。
Figure 0005301762
整数バイアスフロート解推定部11は、観測方程式〔数2〕に基づいて基線ベクトル(x,y,z)、整数バイアス解(ΔN,ΔN,・・・,ΔN)からなるステートXtをGPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約条件下で推定する。
ここで、〔数2〕の観測方程式に基づいてステートXtを推定するためには、観測数が推定される未知数と同等以上であることが要求される。1重位相差観測モデルの場合、1基線ベクトル当り得られる観測数はn×kであり、未知数は3×n+k個であるから、必要な観測エポックはn≧k/k−3でなければならない。従って、4個以上の衛星数(k=4)で4観測エポック以上の観測量が必要となる。
そこで、必要な観測エポックにおいて形成された観測方程式を改めて次式〔数3〕のように表わす。
Figure 0005301762
整数バイアスフロート解推定部11は、この〔数3〕の観測方程式に基づいて、ラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)や拡張カルマンフィルタを用いて、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約条件の下、ステートXを推定する。
以下に、このラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)及び拡張カルマンフィルタを用いたステートXの推定手法として、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報が基線長情報である場合を例にとって説明する。
先ず、ラグランジェ乗数を用いた技法について説明する。
(1)ラグランジェ乗数を用いた技法
ラグランジェ乗数の技法では、〔数3〕の観測方程式と〔数4〕の線形制約式を考える。
Figure 0005301762
ここでは1基線ベクトルについて考えているから、Cは当該の基線長でありスカラーである。ラグランジェ乗数による制約条件下における最適問題は〔数3〕、〔数4〕より、次式〔数5〕の問題に変換できる。なお、μはラグランジェ乗数である。
Figure 0005301762
この〔数5〕のステートXの最適解は次式〔数6〕で得ることができる。なお、ステートXの最適解をより正確且つ高速に推定するためには、基線ベクトルv(x,y,z)の初期値をできるだけ正確に与えてやることが望ましい。
Figure 0005301762
この時、ラグランジェ乗数μは〔数6〕を〔数4〕に代入することにより次式〔数7〕で求めることができる。
Figure 0005301762
ところで、〔数6〕で求まるステートXの最適解は線形の制約関数に対する解であるが、制約条件として基線長情報を用いる場合には、次式〔数8〕に示すように制約関数が非線形となる。
Figure 0005301762
従って、〔数8〕をテーラーの次近似を用いて〔数9〕のように基線ベクトル推定値廻りで線形化し、反復計算でステートXの最適解を求める必要がある。
Figure 0005301762
この場合〔数4〕のBは次式〔数10〕から算出できる。
Figure 0005301762
なお、ここでは、基線長を制約条件として用いる場合について説明したが、基線長以外の既知情報を制約条件として用いる場合には、適用される既知量CとステートXとの関係式を考えることによって同様に処理することができる。
次に、拡張カルマンフィルタを用いた技法について説明する。
(2)拡張フィルタを用いた技法
公知の拡張カルマンフィルタ(extended Kalman filter)を用いて既知情報制約付きで整数バイアスのフロート解及び基線ベクトルを推定することもできる。なお、拡張カルマンフィルタとは、推定したい状態量の初期値を与えておき、それと観測量の時間履歴を元に状態量の推定値を逐次計算していく手法である。この拡張カルマンフィルタは観測エポック毎の観測量に基づいて、順次、誤差共分散(error covariance)を更新しながらステートを推定できる利点があるので実用に便利である。
拡張カルマンフィルタによる技法においては、〔数2〕のk個の観測量に、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報を擬似観測量として追加することでラグランジェ乗数に等価な既知情報制約付きの推定ができる。この際、〔数2〕のステートXの最適解をより正確且つ高速に推定するためには、基線ベクトルv(x,y,z)の初期値をできるだけ正確に与えてやることが望ましい。
この〔数2〕のk個の観測量に擬似観測量として追加する擬似観測量ycの観測モデルは次式〔数11〕で定義することができる。
Figure 0005301762
本来νcは零であるが、擬似観測量と実際の観測量とのウェートを調整するために平均値が零、分散Rcの擬似観測雑音とすることもできる。また、Bは観測マトリクスであり、制約条件とする既知情報を基線長とするときは、前述と同様に、〔数10〕で決まる観測マトリックスとなる。
このように、整数バイアスフロート解推定部11は、(1)ラグランジェ乗数或いは(2)拡張カルマンフィルタを用いて、GPSアンテナ間の相対的な位置関係から得られる既知情報の制約の下で、整数バイアスのフロート解を推定することができる。なお、上述の例では、制約条件として基線長情報のみを用いるものについて説明したが、他の既知情報を制約条件とする場合も同様のことがいえる。もちろん制約条件として課す情報が増えれば増えるほど得られる結果は良くなる。
次に、基線ベクトル算出部14が行う処理について詳細に説明する。
基線ベクトル算出部14は、整数バイアス検定部12で決定された整数バイアス解を既知量として観測方程式〔数2〕から基線ベクトルを求めるものである。具体的には、次の処理を行う。
先ず、整数バイアス検定部12をパスした整数バイアス解を観測方程式〔数2〕の整数バイアス解(ΔN,ΔN,・・・,ΔN)に代入する。そして、基線ベクトル算出部14は、整数バイアス解を既知とした新たな位相差観測量を用いてこの位相差観測方程式から基線ベクトルを求める。この際、推定アルゴリズムには、前述の整数バイアスフロート解推定部11における処理と同様、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報が制約条件として直接組み込まれる。なお、当該の既知情報制約付きでステートを推定する具体的な技法としては、例えば、ラグランジェ乗数(Lagrange multiplier)や拡張カルマンフィルタを用いた技法があり、できるだけ正確な基線ベクトルv(x,y,z)の初期値を与えることが望ましい。なお、これらの処理内容の詳細については、前述の整数バイアスフロート解推定部11における処理で説明したものと同様であるため説明を省略する。
以上のように本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置によれば、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約条件の下で整数バイアスのフロート解の推定を行うことにより、高精度且つ高速に整数バイアスの決定を行うことが可能になる。また、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置によれば、GPSアンテナ間の相対的な位置関係より得られる既知情報の制約条件の下で基線ベクトルを求めることにより、高精度且つ高速に基線ベクトルを算出することが可能になる。
なお、本発明の実施の形態1では、整数バイアスフロート解推定部11による整数バイアスのフロート解の推定処理と、基線ベクトル算出部14による基線ベクトルの算出処理をともに制約条件を課して行うものについて説明したが、何れか一方の処理のみに制約条件を課して処理してもよい。
(実施の形態2)
前述のように、ラグランジェ乗数や拡張カルマンフィルタを用いて整数バイアスのフロート解や基線ベクトルを正確且つ高速に求めるためには、正確な基線ベクトルの初期値を与えることが望ましい。
そこで、本発明の実施の形態2では整数バイアスのフロート解や基線ベクトルを算出する際に、より正確な基線ベクトルの初期値を与えるための技法を提案する。
(1)移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する技法
図3は、移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する技法を説明するための図である。
図3において、キャリア位相相対測位装置は、GPSアンテナ1と、GPS受信機2と、演算処理部3bとからなる。演算処理部3bは、整数バイアスフロート解推定部11と、整数バイアス決定部12と、整数バイアス検定部13と、基線ベクトル算出部14と、GPS姿勢演算部15と、速度検出部21と、基線ベクトル初期値演算部22とから構成されている。なお、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置と同様の構成要素については同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
速度検出部21は、航法座標系における移動体速度を検出するものであり、移動体速度は、例えばGPSアンテナ1で受信した側位用信号を用いて算出することが可能である。
基線ベクトル初期値演算部22は、移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定し、整数バイアスフロート解推定部11及び基線ベクトル算出部14に最適な基線ベクトルの初期値を与えるものである。
基線ベクトル初期値演算部22において、ある1個の基線ベクトル初期値は次式の関係に基づいて算定できる。
Figure 0005301762
ここで、3-2-1軸の回転順序(the3-2-1sequence)で定義された移動体座標系から航法座標系への回転マトリックス(rotation matrix)は次式で表わせる。なお、θr,θp,θyはそれぞれ、ロール、ピッチ、yawである。
Figure 0005301762
移動体座標系における基線ベクトルは既知の位置に複数のGPSアンテナ1を設置しているため既知情報である。そのため、θr,θp,θyを何らかの方法により算出できれば、航法座標系における基線ベクトルを算出することができる。
ここでは、非特許文献5に開示されているように、θr,θp,θyを速度検出部21で検出された速度から次式〔数14〕によって算定される擬似姿勢角(pseudo attitude)より求める。ここで、Lは速度を微分して求めた加速度と、重力(Gravity)から計算された上昇加速度(Lift acceleration )であり、Pは速度とGravityから計算された水平基準ベクトルである。またL・PはL,Pの内積を示す。
Figure 0005301762
なお、θyについては、ジャイロコンパス等の方位センサから情報を得ることも可能である。
(2)慣性センサの観測量及び移動体速度を用いて基線ベクトルを推定する技法
スレーブアンテナを移動体座標系X軸上に設置している場合には、当該基線ベクトルを求めるためのロール、ピッチを慣性センサの観測量から求めることができる。また、yawは方位検出部出力より求めることもできる。
図4は、慣性センサの観測量及び方位検出部出力を用いて基線ベクトルを推定する技法を説明するための図であり、前記実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置にINSシステムを統合したものを示す。
図4において、キャリア位相相対測位装置は、GPSアンテナ1と、GPS受信機2と、演算処理部3bと、IMU4とからなる。演算処理部3bは、整数バイアスフロート解推定部11と、整数バイアス決定部12と、整数バイアス検定部13と、基線ベクトル算出部14と、GPS姿勢演算部15と、速度検出部31と、基線ベクトル初期値演算部32と、INS航法演算部33と、INS航法誤差推定部34とから構成されている。なお、本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置と同様の構成要素については同じ符号を付し、ここでは説明を省略する。
IMU4は角速度センサ及び加速度センサから構成される慣性センサであり、GPSアンテナ1と同様、移動体上にリジットに固定されている。図5は、図1(a)の移動体座標系上にマウントされた慣性センサ及びGPSアンテナ位置を示す図である。図5に示すように、IMU4は移動体座標系の直交する3軸にそれぞれマウントされた加速度センサと角速度センサから構成され、3軸の各々の軸に対して、各センサの感度軸(sensitive axis)が一致するように、加速度センサ及び角速度センサがそれぞれ1個づつマウントされている。これにより、移動体の前後方向、左右方向、及び上下方向の加速度及び角速度は、慣性センサから得られる観測量をそのまま使用することができる。もっとも、IMU4で定義される直交3軸は移動体座標系からの回転量が既知であれば必ずしも一致させる必要はなく、慣性センサの観測量に対して軸回転のための演算処理を行うことにより、移動体の前後方向、左右方向、及び上下方向の加速度及び角速度を得ることができる。なお、慣性センサは、測定の対象となる情報或いは測定精度に応じて必要最小限のセンサが設けられていればよく、必ずしも3軸方向それぞれに加速度センサ及び角速度センサを設ける必要はない。
速度検出部31は、航法座標系における移動体速度を検出するものであり、移動体速度は、例えばGPSアンテナ1で受信した側位用信号を用いて算出することが可能である。
基線ベクトル初期値演算部32は、整数バイアスフロート解推定部11及び基線ベクトル算出部14に最適な基線ベクトルの初期値を与えるものである。前述のように移動体座標系における基線ベクトルは既知であるため、基線ベクトル初期値演算部32はθr,θp,θyを算出することにより、〔数12〕、〔数13〕の関係式から航法座標系における基線ベクトルを求めることができる。なお、移動体の速度ベクトルが移動体座標系X軸と一致する場合、この移動体座標系における基線ベクトル(x,y,zは(x,0,0)とすることができるため、〔数12〕、〔数13〕の関係式より、ピッチθ、方位θのみを用いて基線ベクトルを推定できる。
θr,θpはIMU4からの加速度及び角速度の観測量を受け、直接或いはこれらの観測量に含まれる高周波雑音成分を除去するためのLPF処理を行った後、IMU4観測量及び速度検出部31出力を用いて後述の〔数19〕から算出することができる。また、θyは速度検出部31出力を用いて後述の〔数20〕から算出することができる。なお、詳細は後述する。
INS航法演算部33はIMU4からの観測量、GPS受信機からの位置、速度出力、GPS姿勢演算部14からの姿勢角等を受け、公知の方法で位置、速度、ロール、ピッチ、方位などの航法演算を行う。
INS誤差推定部34は、慣性センサ誤差補正部に相当し、INS航法演算部33から得られた位置、速度、姿勢角とGPS受信機やGPS姿勢演算部15から得られたそれらの値との差に基づき、例えば、カルマンフィルタを用いてIMU4のセンサ誤差や航法誤差を推定し、これらの誤差を負帰還によって除去する。これにより、GPSの瞬断後の整数バイアス再決定(Ambiguity resolution)時に基線ベクトル初期値演算部21は校正された慣性センサの観測量を用いてロール、ピッチの算出を算出することができ、より高精度な演算結果を得ることができる。
次に、基線ベクトル初期値演算部21によるロールθ、ピッチθの算定処理について詳細に説明する。
地球に対する航法座標系の回転角速度及び慣性座標系に対する地球の回転角速度に関連する加速度は、重力(gravity)に比べ小さいため無視すると、移動体座標系における加速度センサ出力(specific force)Aは次式〔数15〕で近似できる。ここで、gは重力(gravity)であるから既知である。また、移動体座標系における速度成分は、移動体座標系のX軸を移動体の進行方向に設定しているため、v(v ,0,0)と設定できる。
Figure 0005301762
また、3-2-1軸の回転順序(the3-2-1sequence)で定義された航法座標系から移動体座標系への回転マトリックス(rotation matrix)は次式〔数16〕で表わせる。
Figure 0005301762
移動体が急発進や急停止のような高ダイナミックスな運動を行わない場合には運動加速度は無視することができる。もし、運動加速度が無視できない場合でも、前述のように加速度観測量に含まれる高周波雑音成分を除去するためのLPF処理を行うか、または、低周波数帯域で誤差の小さいGPS速度観測量の支援情報を用いることにより、信号処理で加速度観測量に含まれる運動加速度を低減することができる。そのため〔数15〕は次式〔数17〕のように近似できる。
Figure 0005301762
スレーブアンテナを移動体座標系X軸上に設置した場合、移動体座標系における速度ベクトルがx成分のみであること、及び航法座標系と移動体座標系における速度ベクトルの大きさが変化しないことから、v は次式〔数18〕で求めることができる。
Figure 0005301762
従って、移動体のロールθ、ピッチθは、IMU4から得られる観測量と速度検出部31で得られる移動体のX軸方向に対する速度情報から次式〔数19〕のように算出することができる。
Figure 0005301762
このように慣性センサから求めたロールθ、ピッチθは〔数14〕で求めたロールθ、ピッチθの代用して使用することもできるが、より良い精度を期待するために併用することもできる。
また、方位θは、速度検出部31出力を用いて次式で求めることができる。
Figure 0005301762
なお、θyについてはジャイロコンパス等の方位センサから情報を得ることも可能である。
このようにして上記(1)、(2)の方法で求めたロールθ、ピッチθ、方位θの誤差は約数度以内である。この場合、1mの基線長のとき、基線ベクトルの初期値の誤差は数cm以内の十分な精度で決定できる。
なお、ここでは移動体座標系における移動体の速度V を考慮してロールθを求めるものについて説明したが、移動体座標系における移動体の速度及び運動加速度を無視することによって、移動体の進行方向に対する速度情報なしで移動体のロールθを算出することもできる。
以上のように、本発明の実施の形態2によるキャリア位相相対測位装置によれば、整数バイアスフロート解推定部11及び基線ベクトル算出部14に対して基線ベクトル初期値演算部21、31から正確な基線ベクトルの初期値を与えることにより、整数バイアスフロート解推定部11及び基線ベクトル算出部14における演算処理をより正確且つ高速に行うことが可能になる。
なお、前述した実施形態1、2は最良の実施形態の一例であって、本発明の要旨を損なわない範囲で種々の変更が可能であり、本発明は前述した実施形態に限定されるものではない。
(実験結果)
以下、表1、表2に本発明のラグランジェ乗数による基線長制約付き整数バイアスフロート解と基線ベクトル推定特性のシミュレーション実験結果の一例を示す。
(1)整数バイアスフロート解推定部11の性能評価実験
外部姿勢角支援データが得られると仮定したとき、スレーブアンテナを移動体座標系X軸上に設置した場合の基線ベクトルの初期値は、ピッチθ、方位θから前述の〔数12〕より求めることができる。そこで、それぞれ3°、5°、10°のピッチ/方位誤差を持つ姿勢角から算定した基線ベクトルの初期値に基づいて実験を行った。なお、使用衛星数は5個、アンテナ間距離(基線長)は0.5mとした。
上記条件で、ラグランジェ乗数による基線長制約付技法を用いて整数バイアスのフロート解を求めた結果を表1に示す。
Figure 0005301762
表1に示すように、船の静止時はピッチ/方位誤差が3°(σ)、船の動揺時はピッチ/方位誤差が10°(σ)以内であれば、衛星数5個で30秒以内に整数バイアス解(整数Ambiguity)をほぼ100%の確立で直接、整数バイアス解を推定することができた。
また、静止時においてピッチ/方位誤差が5°、10°の時には、それぞれ、89%、74%と決定率が低下するが、整数バイアス解の真値からの差はせいぜい±1〜±2の誤りであった。
また、本実験では、船の静止時に比べて動揺時の整数バイアス解(整数Ambiguity)の決定率が高いことが確認され、実用面において大変好ましい結果が得られた。この理由は基線ベクトルの初期値が違っていても船の動揺により基線ベクトルの初期値と接近する、即ち、基線ベクトルの初期値と実際の基線ベクトル位置が一致するタイミングがあるためであると考えられる。
(2)基線ベクトル算出部14の性能評価実験
ラグランジェ乗数による基線長制約付技法を用いて基線ベクトルを求めた時の姿勢角換算誤差を表2に示す。なお、使用衛星数は5個、アンテナ間距離(基線長)は0.5mとした。
Figure 0005301762
表2から分かるように、ラグランジェ乗数による基線長制約付き基線ベクトル推定特性は制約無しに比較して、約30%程度改善できる。また、マルチパスに対しても約10%程度の改善が見られた。
なお、ここではラグランジェ乗数を用いたシミュレーション実験結果を示したが、カルマンフィルタによる特性もほぼ同様の結果が得られた。
本発明で使用する航法座標系と移動体座標系について説明するための説明図 本発明の実施の形態1によるキャリア位相相対測位装置の構成の一例を示すブロック図 本発明の移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する技法を説明するための図 本発明の慣性センサの観測量及び方位検出部出力を用いて基線ベクトルを推定する技法を説明するための図 移動体座標系上にマウントされた慣性センサ及びGPSアンテナ位置を示す図 整数バイアス解の決定処理手順を説明するための説明図
符号の説明
1 GPSアンテナ
2 GPS受信機
3a、3b、3c 演算処理部
4 IMU
11 整数バイアスフロート解推定部
12 整数バイアス決定部
13 整数バイアス検定部
14 基線ベクトル算出部
15 GPS姿勢演算部
16 整数バイアス解算出部
21、31 速度検出部
22、32 基線ベクトル初期値演算部
33 INS航法演算部
34 INS航法誤差推定部
101 整数バイアスのフロート解推定処理
102 整数バイアス解の決定処理
103 整数バイアス解の検定処理

Claims (5)

  1. 移動体上に固定された複数のアンテナを備えるキャリア位相相対測位装置において、
    前記複数のアンテナで受信した測位用信号のキャリアの位相差観測量を得る受信機と、
    前記位相差観測量を入力とし、かつ前記複数のアンテナの相対的な位置関係より得られる既知情報を制約条件とするラグランジェ乗数法を用いて整数バイアスのフロート解を推定する整数バイアスフロート解推定部と、
    前記整数バイアスフロート解推定部で推定された整数バイアスのフロート解から整数バイアス解を決定する整数バイアス決定部と、
    前記整数バイアス決定部によって決定された整数バイアス解が正しいかどうかを検定する整数バイアス検定部と、を備えることを特徴とするキャリア位相相対測位装置。
  2. 請求項1に記載のキャリア位相相対測位装置において、
    移動体速度を検出する速度検出部と、
    前記移動体速度から算出した擬似姿勢角を用いて基線ベクトルを推定する基線ベクトル初期値演算部をさらに備え、
    前記整数バイアスフロート解推定部は、基線ベクトルと整数バイアスのフロート解を推定するものであり、前記基線ベクトル初期値演算部で推定した基線ベクトルを前記整数バイアスのフロート解推定処理時の基線ベクトルの初期値として与えることを特徴とするキャリア位相相対測位装置。
  3. 請求項1に記載のキャリア位相相対測位装置において、
    移動体の加速度及び角速度を計測する慣性センサと、
    移動体速度を検出する速度検出部と、
    前記慣性センサの観測量と前記移動体速度から基線ベクトルを推定する基線ベクトル初期値演算部をさらに備え、
    前記整数バイアスフロート解推定部は、基線ベクトルと整数バイアスのフロート解を推定するものであり、前記基線ベクトル初期値演算部で推定した基線ベクトルを前記整数バイアスのフロート解推定処理時の基線ベクトルの初期値として与えることを特徴とするキャリア位相相対測位装置。
  4. 請求項3に記載のキャリア位相相対測位装置において、
    前記基線ベクトル初期値演算部は、前記慣性センサの観測量から移動体のピッチを算出するとともに前記速度検出部からの速度情報より方位を算出し、該ピッチ及び方位情報から基線ベクトルを推定することを特徴とするキャリア位相相対測位装置。
  5. 請求項3に記載のキャリア位相相対測位装置において、
    整数バイアス解の決定後に得られる情報を用いて、前記慣性センサの観測量誤差を補正する慣性センサ誤差補正部をさらに備え、
    前記基線ベクトル初期値演算部は、整数バイアス解の再決定時に、前記慣性センサ誤差補正部で誤差補正された前記慣性センサの観測量を用いて初期値として与える基線ベクトルを推定することを特徴とするキャリア位相相対測位装置。
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