JP4749156B2 - 電磁波発生装置 - Google Patents

電磁波発生装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4749156B2
JP4749156B2 JP2005517379A JP2005517379A JP4749156B2 JP 4749156 B2 JP4749156 B2 JP 4749156B2 JP 2005517379 A JP2005517379 A JP 2005517379A JP 2005517379 A JP2005517379 A JP 2005517379A JP 4749156 B2 JP4749156 B2 JP 4749156B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pump light
electromagnetic wave
angle
nonlinear optical
optical crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005517379A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2005073795A1 (ja
Inventor
潤一 西澤
建 須藤
哲朗 佐々木
匡生 田邉
智之 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tohoku University NUC
Original Assignee
Tohoku University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tohoku University NUC filed Critical Tohoku University NUC
Priority to JP2005517379A priority Critical patent/JP4749156B2/ja
Publication of JPWO2005073795A1 publication Critical patent/JPWO2005073795A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4749156B2 publication Critical patent/JP4749156B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/353Frequency conversion, i.e. wherein a light beam is generated with frequency components different from those of the incident light beams
    • G02F1/3534Three-wave interaction, e.g. sum-difference frequency generation
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F2203/00Function characteristic
    • G02F2203/13Function characteristic involving THZ radiation

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Nonlinear Science (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)

Description

本発明は、周波数可変のテラヘルツ帯の電磁波発生装置に関する。
波長可変テラヘルツ電磁波の発生装置として、図1に示すような、誘電体であるニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶内のポラリトンモードを利用したテラヘルツ電磁波発生装置が知られている。即ち、図1において、LiNbO結晶1に第1のポンプ光(第1のポンプ光を、単に「ポンプ光」と呼ぶこともある。)hν及び第2のポンプ光(第2のポンプ光を「信号光」或いは「アイドラ光」と呼ぶこともある。)hνを入射し、差周波発生によりテラヘルツ電磁波hν=hν−hνを発生する。
こうして得られるテラヘルツ電磁波hνの周波数帯域は、およそ0.7THzから2.5THzの範囲のコヒーレント光である。しかし、テラヘルツ電磁波分光スペクトルの違いを使って多様な生体物質などを識別するにはスペクトル可変範囲として上記周波数帯域は狭すぎるのである。より高周波の周波数帯域のスペクトルを測定することによって、スペクトルパターンの違いが明確となり多様な分子の識別が可能となる。
LiNbO結晶1のテラヘルツ帯での吸収係数は、3THzを超えると極めて大きくなるため、出力が著しく低下し、周波数帯が制限される一因となっている。又、2つのポンプ光hν及びhνのビームの平行方向における位相不整合度が大きいため、図1に示すようにポンプ光hν及びhνのなす交叉角度及びテラヘルツ電磁波hνの取り出し角度を大きくした角度整合法をとらざるを得ない。図1においては、テラヘルツ電磁波hνは、LiNbO結晶1の表面に配置された複数のシリコン(Si)プリズム5からなるプリズムアレイを介して取り出し、テラヘルツ電磁波hνの取り出し角度を大きくしている。そのためテラヘルツ電磁波hνとポンプ光hν及びhνのビームの重なりが悪く、周波数帯域・効率とも低下する原因となっている。
一方、LiNbO結晶に一つのポンプ光を入射し、パラメトリック発振によりテラヘルツ電磁波hνを発生することも可能である。このようなパラメトリック発振型のLiNbOテラヘルツ発生装置においては、発生したテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅は、連続波(CW)レーザダイオード(半導体レーザ)によるインジェクションシーディングを行うことにより、100MHz程度まで狭線幅にできる。
即ち、LiNbOテラヘルツ発生装置をスレーブレーザ(ホストレーザ)とし、スペクトル幅の狭いCWレーザダイオードをシードレーザ(マスター発振器)として、この2つのレーザを組み合わせ、スレーブレーザ(ホストレーザ)とシードレーザ(マスター発振器)の両方の性質を兼ね備えさせることにより、スペクトル幅の狭いテラヘルツ電磁波hνを発生することができる。シードレーザには高安定レーザ、スレーブレーザには高出力のレーザを用い、高安定且つ高出力のレーザを発振することができる。しかしながら、CWレーザダイオードのモードホッピングのため、逆に、広い範囲で連続的に周波数掃引することが困難となる。一方、インジェクションシーディングを行わないと、スペクトル線幅は極めて大きく100GHz(0.1THz)を越えるため、分解能が著しく低下し、周波数帯域が狭いことと合わせて物質同定の性能が十分でない。
本発明の目的は述上の欠点を克服した、広周波数帯域、高出力、高分解能、且つモードホップのない周波数可変のテラヘルツ帯の電磁波発生装置を提供することである。
上記目的を鑑み、本発明の第1の特徴は、(a)1.0μmより長波長の第1のポンプ光を出射する第1のポンプ光出射部と、(b)1.0μmより長波長で、第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部と、(c)第1のポンプ光と第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成する非線形光学結晶と、(d)第1のポンプ光と第2のポンプ光との外部交叉角度を、差周波数1THzにおいて0.5°以内に調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶に入射させる光学系とを備え、第2のポンプ光の周波数と外部交叉角度を連動して変えることにより、非線形光学結晶から可変波長のテラヘルツ電磁波を発生させる電磁波発生装置であることを要旨とする。
本発明の第2の特徴は、(a)第1のポンプ光を出射する第1のポンプ光出射部と、(b)第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部と、(c)第1のポンプ光と第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成する光学異方性結晶とを備え、第2のポンプ光の周波数を変えることにより、光学異方性結晶から可変波長のテラヘルツ電磁波を発生させる電磁波発生装置であることを要旨とする。
本発明の第3の特徴は、(a)第1のポンプ光を出射する第1のポンプ光出射部と、(b)第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部と、(c)第1のポンプ光と第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成する非線形光学結晶と、(d)第1のポンプ光と第2のポンプ光との外部交叉角度を調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶に入射させる光学系と、(e)第1のポンプ光のパルス及び第2のポンプ光のパルスの非線形光学結晶に到達するタイミングを制御するタイミング制御機構とを備え、第2のポンプ光の周波数と外部交叉角度を連動して変えることにより、非線形光学結晶から可変波長のテラヘルツ電磁波を発生させる電磁波発生装置であることを要旨とする。
本発明の第4の特徴は、(a)第1のポンプ光を出射する第1のポンプ光出射部と、(b)第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部と、(c)第1のポンプ光と第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成し、この電磁波を電磁波出射面から出射する非線形光学結晶と、(d)第1のポンプ光と第2のポンプ光との外部交叉角度を調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶に入射させる光学系と、(e)第1のポンプ光の光軸に対する電磁波出射面の角度を制御する角度制御機構とを備え、第2のポンプ光の周波数、外部交叉角度及び電磁波出射面の角度を連動して変えることにより、電磁波出射面から可変波長のテラヘルツ電磁波を出射させる電磁波発生装置であることを要旨とする。
図1は、従来のテラヘルツ帯の電磁波発生装置を示す図である。 図2は、本発明の第1実施例〜第8実施例に係る電磁波発生装置における第1、第2のポンプ光及びテラヘルツ電磁波の波数ベクトルの方向を示す図である。 図3は、本発明の第1実施例に係る電磁波発生装置における第1、第2のポンプ光及びテラヘルツ電磁波の結晶内伝播光路を示す図である。 図4は、本発明の第1実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。 図5は、非線形光学結晶としてGaP結晶を用いた場合の外部交叉角度の周波数依存性を示す図である。 図6は、本発明の第2実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。 図7は、本発明の第3実施例に係る電磁波発生装置における非線形光学結晶の形状とビーム方向を示す図である。 図8は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。 図9は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置におけるポンプ光間の外部交叉角度制御法を示す図である。 図10は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置におけるポンプ光間の外部交叉角度制御法の他の例を示す図である。 図11は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置における発生テラヘルツ電磁波の出射方向の制御法を示す図である。 図12は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置による、テラヘルツ電磁波出力特性の1例である。 図13は、本発明の第5実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。 図14は、本発明の第5実施例に係る電磁波発生装置における非線形光学結晶の回転角制御法を示す図である。 図15は、本発明の第6実施例に係る電磁波発生装置における発生テラヘルツ電磁波の出射方向の制御法を示す図である。 図16は、本発明の第7実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。 図17は、本発明の第8実施例に係る電磁波発生装置の構成を示す図である。
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第8実施例を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1〜第8実施例は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本発明の第1〜第8実施例に係る電磁波発生装置においては、テラヘルツ電磁波(テラヘルツ光)を発生する非線形光学結晶としてGaP結晶を使う場合に付いて、主に例示する。GaP結晶はLiNbO結晶よりラマン効率が高いことを我々は明らかにしている。更に、GaP結晶では、フォノンポラリトンを構成する横波の純粋な振動周波数が11THzと極めて高いので広周波数帯域のポラリトンモードが得られる。更にLiNbO結晶よりテラヘルツ帯吸収係数が小さいことは既に知られている。2つのポンプ光hν,hνの波長がおよそ1.0μmより小さい範囲においては、平行方向配置(コリニア)にて差周波光と非線形分極との位相整合関係が得られる。但し、非線形光学結晶は、GaP結晶に限定されるものではなく、ZnGeP結晶やGaSe結晶等のように、テラヘルツ帯で透明で、且つラマン効率が高い半導体結晶や誘電体結晶であれば、非線形光学結晶として使用可能である。非線形光学結晶として、GaP結晶の場合は、角度による位相整合を行うが、ZnGeP結晶やGaSe結晶のような光学異方性結晶では、結晶異方性を利用したコリニアな位相整合を行うことが可能で、極めて安価な波長可変テラヘルツ電磁波発生装置を得ることができる。
光学異方性結晶を用いる場合は例外であるが、以下に示す第1〜第8実施例に係る電磁波発生装置では、コリニア位相整合条件を満たす波長範囲とは逆に、2つのポンプ光hν,hνの波長を1.0μmより僅かに大きくする。その結果、平行方向では位相整合は得られないが、2つのポンプ光hν,hν間に微小な交叉角度を持たせることにより、角度位相整合が得られる。LiNbO結晶においても角度位相整合が行われているが、大きな交叉角度を与えなければならず、2つのポンプ光hν,hν、テラヘルツ電磁波hνの重なりが悪く、効率が低い。非線形光学結晶としてGaP結晶を用いた場合においては、ポンプ光が1.0μmより僅かに長波長であれば位相整合角度が微小であるためこのような欠点を克服でき、周波数帯域を広げる効果が大きい。テラヘルツ電磁波の周波数を掃引するには非線形光学結晶に接近したミラーやビームスプリッタの回転角を微小に変化し、同時に第2のポンプ光(信号光)の周波数を掃引する。微小な交叉角度の精密制御は回転ステージにより容易に達成できるのでテラヘルツ周波数の精密制御が可能となる。
非線形光学結晶がGaP結晶の場合について、フォノンポラリトンの微小角度整合の原理を、図2を使って説明する。以下の式の展開では、第1のポンプ光hνの源となるフォノンポラリトンの波数ベクトルk,第2のポンプ光hνの源となるフォノンポラリトンの波数ベクトルk及びテラヘルツ電磁波hνの源となるフォノンポラリトンの波数ベクトルqとし、ν,ν及びνはそれぞれの周波数とする。
非線形光学結晶においてはポンプ光hν,hνの波長が1.0μm以下で平行方向での位相整合(Δq=0)が得られるが、1.0μmより長波長では位相不整合Δqを発生する。nをテラヘルツ電磁波hνの周波数での非線形光学結晶の屈折率、nをポンプ光hν,hνの周波数での非線形光学結晶の屈折率とすると、2つのポンプ光hν,hνが結晶内でなす内部交叉角度θinが十分に小さいときは、図2の波数ベクトルの幾何学的な関係から、次の式が得られる。
θin=(2Δq/q)1/2(n/n)(ν/ν) ・・・・・(1)
但し、Δqはポンプ光hν,hνの波長を1.0μmより長波長にしたため平行方向では位相整合が得られなくなったため生じた波数の不一致の大きさであり、
Δq=k−k−q ・・・・・(2)
である。平行方向の位相整合はおよそ1.0μmが限界波長であると計算され、実験的にもほぼこれに近いことが確認できている。ポンプ光hν,hνの波長をYAGレーザの波長1.064μmとした場合、限界波長より6.4%長波長であるが、テラヘルツ電磁波の分散関係からは位相不整合度Δq/qは約3%と計算される。したがって、式(1)から、内部交叉角度θinは,ν=1THzでは3.2’(分)=0.054°という小さな値を有することが計算できる。
一方、テラヘルツ電磁波の進行方向(出射角)θは、図2から次の式が得られる。
sinθ=k/q sinθin ・・・・・(3)
更に、式(1)及び(3)から次の式が得られる。
sinθ=(2Δq/q)1/2 ・・・・・(4)
即ち、出射角θはk/q倍されるため、内部交叉角度θinよりは相当大きいが0.5THzから4THzにおいて、出射角θは約10°から14°である。tan14°=0.25であるため、テラヘルツ電磁波hνの光路Φとポンプ光hν,hνの光路Φ,Φの重なりは、図3に示すように、およそ80%以上となり、実効的な相互作用距離は結晶長に近くなり高出力を広い範囲の周波数にわたって得ることができる。
テラヘルツ電磁波hνの周波数νを7THzに増大させると、テラヘルツ電磁波hνの分散が大きくなるため2Δq/qが増大する。分散特性の計算によれば7THzではΔq/q=12%まで増大するが、この場合でも、Δqは未だ小さいといってよい範囲にある。即ち式(1)より内部交叉角度θin=46’(分)と計算され1°以下の微少角度である。結晶外においては約142’、即ち、2.4°となる。このときテラヘルツ電磁波hνの方向、出射角θは式(4)から約30°であり、図3のようにビーム径3mm、結晶長5mmの場合、約50%以上のビーム重なりを得ることができる。このため7THzにおいても効率低下は著しくない。しかし、出射角θは結晶内の全反射臨界角17°を超えているため図3のように垂直入射に近い場合は全反射のため出力面から外部に取り出せなくなる。その場合は、ポンプ光の入射角を0°ではなく、13°以上にかたむければ臨界角17°以下にすることができる。
尚、非線形光学結晶として、ZnGeP結晶やGaSe結晶のような光学異方性結晶を用いる場合は、結晶異方性を利用したコリニアな位相整合を行うことが可能であるので、式(1)で示す内部交叉角度θinの制約を考慮する必要がない。即ち、非線形光学結晶として、光学異方性結晶を用いる場合は、ポンプ光hν,hνを互いに平行に入射させ(内部交叉角度θin=0°)、光学異方性結晶の結晶方位を回転させることにより、位相整合を行うことが可能である。
(第1実施例)
図4に示すように、本発明の第1実施例に係る電磁波発生装置は、1.0μmより長波長の第1のポンプ光hνを出射する第1のポンプ光出射部2と、1.0μmより長波長で、第1のポンプ光hνとは異なる波長の第2のポンプ光hνを、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部25と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数の電磁波hνを生成する非線形光学結晶19と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数ν=1THzにおける外部交叉角度θin extを0.5°以内に調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系(M,M,18)とを備える。ここで、外部交叉角度θin extは結晶外における第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの交叉角度であって内部交叉角度θinとは、ほぼ:
θin ext=nθin ・・・・・(5)
なる関係を有する。nはポンプ光周波数での非線形光学結晶19の屈折率であるから、非線形光学結晶19が、GaPの場合は、屈折率n=3.1程度である。
式(1)からは、外部交叉角度θin extは、非線形光学結晶19の横波格子振動周波数より十分小さい領域では、差周波数νに比例して増大する。差周波数νが横波格子振動周波数に近くなると、外部交叉角度θin extは式(1)が示す比例関係からずれ初め、図5に示すような周波数分散を示す曲線(カーブ)に沿って変化する。
図5は、非線形光学結晶としてGaP結晶を用いた場合の外部交叉角度θin extの差周波数ν依存性を示す図であるが、黒マルで示した実測値は式(1)で計算される値よりも、低周波側では小さな外部交叉角度θin extとなる。例えば差周波数νが1THzのときは外部交叉角度θin ext=5’=0.083°、内部交叉角度θin=1.6’=0.027°の微少角度となる。差周波数νが2THzのときは外部交叉角度θin ext=17’=0.28°、内部交叉角度θin=5.5’=0.09°の微少角度となる。差周波数νが6THzのときは外部交叉角度θin ext=100’=1.7°、内部交叉角度θin=32’=0.55°の微少角度となる。差周波数νが7THzのときは外部交叉角度θin ext=180’=3°、内部交叉角度θin=57.8’=0.96°の微少角度となる。
これに対して、冒頭で図1を用いて説明したLiNbO結晶の場合は、差周波数νが1THzのときは外部交叉角度θin ext=0.95°(内部交叉角度θin=0.44°)、差周波数νが2THzのときは外部交叉角度θin ext=1.85°(内部交叉角度θin=0.86°)となり、GaPの場合に比してかなり大きな角度となる。以後の説明では、主に、直接制御の対象となる外部交叉角度θin extを用いて説明するが、式(5)から等価な内部交叉角度θinに容易に換算可能なことは勿論である。
外部交叉角度θin extを調整し、第1及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系(M,M,18)は、第1ミラーM、第2ミラーM及び偏光ビームスプリッタ18からなる。第1ミラーMは、第1のポンプ光出射部2から出射した第1のポンプ光hνを反射し、第1のポンプ光hνを第2のポンプ光出射部25に入射させるミラーである。第2ミラーMは、第1のポンプ光出射部2から出射した第1のポンプ光hνを反射し、第1のポンプ光hνを偏光ビームスプリッタ18に入射する角度を調整するように回転可能なミラーである。図4に示す光学系(M,M,18)の配置により、第2のポンプ光出射部25から出射した信号光(第2のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させる。又、第1のポンプ光出射部2から出射したポンプ光(第1のポンプ光)hνは、第2ミラーMを介して垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、ポンプ光(第1のポンプ光)hν及び信号光(第2のポンプ光)hνを非線形光学結晶19内で結合させる光学系を構成している。
但し、ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近く重ねれば良いので、第4実施例の図9に示すように、ポンプ光(第1のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させ、ポンプ光(第1のポンプ光)hνに対し偏波面の直交する信号光(第2のポンプ光)hνを垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19内で結合させる光学系を構成しても良い。そして、第2のポンプ光hνの周波数の変化とともに、光学系(M,M,18)を駆動し、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνの外部交叉角度θin extを連動して変えることにより、非線形光学結晶19から可変波長のテラヘルツ電磁波hνを発生させる。
尚、図4に示した光学系(M,M,18)は、例示であり、第1ミラーM、第2ミラーM及び偏光ビームスプリッタ18の他に、他のミラー等の光学素子を加えても良く、第1ミラーM、第2ミラーMの代わりに、プリズム等の第1ミラーMや第2ミラーMと等価な機能を有する光学素子に置き換えても、外部交叉角度θin extを調整して、第1及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させることができることは勿論である。
具体的には、第1のポンプ光出射部2として波長1.064μmのパルスを発振するYAGレーザ16を使用する。第2のポンプ光出射部25として、波長可変パラメトリックオッシレータ(OPO)17を用いる。波長可変OPO17は、励起光源16としてのYAGレーザからのポンプ光(第1のポンプ光)hνの基本波を3逓倍した355nmの光で励起される。
テラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅を狭くかつ、広い周波数にわたってモードホップなしで動作させるために、波長可変OPO17は、インジェクションシーディング機構(手段)を備える。インジェクションシーディング機構(手段)として、波長可変OPO17内にシードレーザ(マスター発振器)を具備する。シードレーザ(マスター発振器)としては、例えば、Q値の高い共振器を硼酸バリウム(BaB)結晶に用い、スペクトル幅を狭くすれば良い。即ち、シードレーザ(マスター発振器)及びスレーブレーザ(ホストレーザ)共に、BaB結晶のパラメトリック効果を用いる。そして、スレーブレーザ(ホストレーザ)である波長可変OPO17の共振器長を、シードレーザとスレーブレーザの縦モードが一致するように制御すれば良い。スレーブレーザの共振器長を制御する共振器ロックには、少なくとも(波長)/(共振器のフィネス)オーダー以上の正確な制御が必要になるので、例えば、ピエゾドライバで共振器長を制御することが好ましい。即ち、波長可変OPO17の出力をフォトディテクターで検出し、その信号をブランキング回路を経てロックインアンプに入力する。更に、このロックインアンプの出力信号を、ピエゾドライバでファンクションジェネレーターからの変調信号と加算し、ピエゾ駆動電圧に変換し、変調ミラーを動かすようにすれば良い。このとき、ファンクションジェネレーターの同調信号をロックインアンプの参照信号とするようにしても良い。このような波長可変OPO17は励起光源(YAGレーザ)16の第3高調波即ち波長355nm光で励起されることによりスペクトル線幅を広げる原因となる波長縮退を避け、更にインジェクションシーディングを行うことにより、波長可変OPO17のスペクトル線幅を狭くできるので、差周波として発生するテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅も同様に狭くなる。
波長可変OPO17の出力光波長を1.038μmから1.0635μmの範囲に選べば差周波数νは0.15THzから7THzの範囲になる。又、波長可変OPO17の波長を1.0646μmから1.091μmの範囲に選んでも良い。
尚、励起光源(YAGレーザ)16も、同様に、Q値の高い共振器のYAGレーザをシードレーザ(マスター発振器)として用い、スペクトル幅を狭くし、インジェクションシーディングすることにより、狭線幅の励起光源とすることが好ましい。
ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは直交した偏波方向を持ち、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近い微小な外部交叉角度θin extに重ねる。ビームスプリッタ18、又は、第2ミラーMを微小回転させ、テラヘルツ電磁波hνの周波数νに応じて極く小さい外部交叉角度θin extとなるようにポンプ光(第1のポンプ光)hν或いは信号光(第2のポンプ光)hνのビーム方向を調整する。
非線形光学結晶19としてGaP結晶を用いる場合は、GaP結晶の光軸方向を[110]方向にすれば、非線形光学結晶19の出力面からテラヘルツ電磁波hν、ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hν共に取り出される。テラヘルツ電磁波hνが0.15THzから5THzにおいてはθが約10−17°、7THzにおいても30°以下と小さいのでポンプ光(第1のポンプ光)hν、信号光(第2のポンプ光)hνとテラヘルツ電磁波hνの重なりが大きく、長距離の相互作用が行われる。その結果、0.15−7THzの広い周波数にわたって100mW以上のテラヘルツ電磁波hνのパルス出力が得られる。
尚、第4及び第5実施例で後述するように、偏光ビームスプリッタ18を搭載した回転ステージの回転、ビームスプリッタ用線形ステージの位置を、コンピュータ制御するようにし、波長可変OPO17の波長を波長コントローラ等を用いて自動で掃引し、波長コントローラと連動して、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin extを自動的に制御するように自動位相制御装置(コンピュータシステム)を構成すれば、それぞれの周波数νで最高出力を非線形光学結晶19から発生させることができる。
第1のポンプ光出射部2である励起光源(YAGレーザ)16のスペクトル線幅は十分狭いので、差周波であるテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅は第2のポンプ光出射部25のOPO17のスペクトル線幅で決まることになる。OPO17はインジェクションシーディングされているためスペクトル線幅約4GHzであり、差周波であるテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅もほぼ4GHzである。テラヘルツ帯における固体、液体状物質のスペクトル線幅は一般的に50GHz以上なので第1実施例に係る電磁波発生装置は十分に高分解能の分光測定を可能にする。
(第2実施例)
図6に示すように、本発明の第2実施例に係る電磁波発生装置は、1.0μmより長波長の第1のポンプ光hνを出射する第1のポンプ光出射部24と、1.0μmより長波長で、第1のポンプ光hνとは異なる波長の第2のポンプ光hνを、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部25と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数の電磁波hνを生成する非線形光学結晶19と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数1THzにおける外部交叉角度θin extを0.5°以内に調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系(M,M,M,18)とを備える。
光学系(M,M,M,18)は、ハーフミラーM、第1ミラーM、第2ミラーM及び偏光ビームスプリッタ18からなる。ハーフミラーMは、励起光源16としてのYAGレーザから出射した励起光の一部を透過し第1のポンプ光出射部24に入射させ、励起光源(YAGレーザ)16から出射した励起光の他の一部を反射し、第2のポンプ光出射部25に入射させるミラーである。第1ミラーMは、ハーフミラーMで反射した励起光を更に反射し、励起光源(YAGレーザ)16から出射した励起光の他の一部を第2のポンプ光出射部25に入射させるミラーである。第2ミラーMは、第1のポンプ光出射部24から出射した第1のポンプ光hνを反射し、第1のポンプ光hνを偏光ビームスプリッタ18に入射する角度を調整するように回転可能なミラーである。図6に示す光学系(M,M,M,18)の配置により、第2のポンプ光出射部25から出射した信号光(第2のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させる。又、第1のポンプ光出射部24から出射したポンプ光(第1のポンプ光)hνは、第2ミラーMを用いて、垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、ポンプ光(第1のポンプ光)hν及び信号光(第2のポンプ光)hνを、非線形光学結晶19内で結合させる光学系を構成している。
但し、ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近く重ねれば良いので、第4実施例の図9に示すように、ポンプ光(第1のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させ、ポンプ光(第1のポンプ光)hνに対し偏波面の直交する信号光(第2のポンプ光)hνを垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19内で結合させる光学系を構成しても良い。そして、第2のポンプ光hνの周波数の変化とともに、光学系(M,M,M,18)を駆動し、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνの外部交叉角度θin extを連動して変えることにより、非線形光学結晶19から可変波長のテラヘルツ電磁波hνを発生させる。
尚、図6に示した光学系(M,M,M,18)は、例示であり、ハーフミラーM、第1ミラーM、第2ミラーM及び偏光ビームスプリッタ18の他に、他のミラー等の光学素子を加えても良く、第1ミラーM、第2ミラーM等の代わりに、プリズム等の第1ミラーMや第2ミラーM等と等価な機能を有する光学素子に置き換えても良いことは勿論である。
第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25にそれぞれ備えられる第1及び第2のポンプ光源として、励起光源(YAGレーザ)16で励起されるクロム(Cr)添加フォルステライトレーザを使う。このCr添加フォルステライトレーザは、かんらん石の主成分であるフォルステライト(SiO・2MgO=MgSiO)中のCrの準位を用いているため、インジェクションシーディングなしのOPOに比べてスペクトル線幅が極めて狭い。Cr添加フォルステライトレーザは、波長1.064μmの励起光源(YAGレーザ)16を用いて励起され、OPOのようにYAG第3高調波を用いないので効率が高い。
即ち、第2実施例に係る電磁波発生装置では、2つのCr添加フォルステライトレーザを第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25にそれぞれ備えられる第1及び第2のポンプ光源として用い、第1のポンプ光出射部24を固定波長で、第2のポンプ光出射部25を波長可変ポンプ光源とし、インジェクションシーディングなしで差周波としてのテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅を狭くすることができる。
ポンプ光(第1のポンプ光)hνの波長を、例えば、1.20μmに固定する。第1のポンプ光出射部24に備えられる第1のポンプ光源は、内部にエタロンを設置することにより、固定波長でスペクトル線幅を1GHz程度に狭くすることができる。第2のポンプ光出射部25に備えられる第2のポンプ光源には同種のCr添加フォルステライトレーザを使い、波長を掃引する。第2のポンプ光出射部25は連続波長掃引のため、エタロンを挿入しないのでスペクトル線幅は10GHzから15GHzである。更に、Cr添加フォルステライトレーザは、OPOのようにYAGの高調波を使う必要がないため、基本波1.064μmによって励起でき、高出力且つ安価であることが特徴である。
この結果、差周波として発生するテラヘルツ電磁波hνのスペクトル線幅はほぼ10GHzから15GHzを得ることができる。第2のポンプ光出射部25のCr添加フォルステライトレーザ(第2のポンプ光源)から出射する信号光(第2のポンプ光)hνの波長を、1.2024μmから1.2346μmまで変えることにより、発生するテラヘルツ電磁波hνの周波数範囲は第1実施例に係る電磁波発生装置と同様、0.5THzから7THzの間である。出力も第1実施例に係る電磁波発生装置と同様である。
このとき、第4及び第5実施例で後述するように、偏光ビームスプリッタ18を搭載した回転ステージの回転やビームスプリッタ用線形ステージの位置を、コンピュータ制御するようにし、第2のポンプ光出射部25のCr添加フォルステライトレーザ(第2のポンプ光源)の波長を波長コントローラ等を用いて自動で掃引し、この波長コントローラと連動して、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin extを自動的に制御するように自動位相制御装置(コンピュータシステム)を構成すれば、それぞれの周波数νで最高出力を非線形光学結晶19から発生させることができる。
外部交叉角度θin extは、図5に示すように差周波数νに依存するが、ポンプ光hν,hνが波長1.25mm帯のCr添加フォルステライトレーザであるときは、1THz、2THzにおいて外部交叉角度θin extは、式(1)からそれぞれおよそ12’、24’と計算される。
尚、第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25に用いる第1及び第2のポンプ光源としてのCr添加フォルステライトレーザを、イッテルビウム(Yb)を添加したYLF(イットリウム・リチウム・フルオライド)レーザやYbを添加したファイバレーザで置き換えることもできる。Yb添加YLFレーザやYb添加ファイバレーザを用いる場合も、インジェクションシーディングなしで比較的狭線幅を得られるので、極めて安価である利点を有する。但し、Yb添加YLFレーザやYb添加ファイバレーザの場合は、YAGレーザ16の波長1.064μmより、僅かに波長が短いので、YAGレーザ16の2倍波(波長530nm)で励起する必要がある。
(第3実施例)
第3実施例に係る電磁波発生装置は、第1実施例及び第2実施例に係る電磁波発生装置とほぼ同様な構成であるが、非線形光学結晶19の形状が、図6に示すような断面が直角3角形となる3角柱構造である点が異なる。図6のように非線形光学結晶19の断面形状を約30°、60°の直角3角形となし、最長辺の入力面Sからポンプ光hν,hνを入射するようにすれば、テラヘルツ電磁波hνは、電磁波出射面(出力端面)Sからほぼ垂直に取り出すことができる。
例えば、テラヘルツ電磁波hνの周波数νが7THzの場合、テラヘルツ電磁波hνの進行方向θはほぼ30°となるが、テラヘルツ電磁波hνは、電磁波出射面(出力端面)Sからほぼ垂直に取り出されるので、テラヘルツ電磁波hνの検出光学系の配置が容易になり、又、結晶配置が1−2°ずれても問題を生じない。一方、ポンプ光は電磁波出射面(出力端面)Sでは全反射されるが、端面Sから外部に放出される。
このように、第3実施例に係る電磁波発生装置は第1及び第2実施例に係る電磁波発生装置と違って、テラヘルツ電磁波hνの周波数が7THz以上になってもテラヘルツ電磁波hνは全反射せずに出力を取り出せる。
(第4実施例)
第4実施例に係る電磁波発生装置は、図8に示すように、第1のポンプ光hνを出射する第1のポンプ光出射部24と、第1のポンプ光hνとは異なる波長の第2のポンプ光hνを、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部25と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数の電磁波hνを生成する非線形光学結晶19と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの外部交叉角度θin extを調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系18とを備える。そして、第2のポンプ光hνの周波数と外部交叉角度θin extを連動して変えることにより、非線形光学結晶19から可変波長のテラヘルツ電磁波hνを発生させる。第1実施例に係る電磁波発生装置と同様に、第1のポンプ光出射部24を機能させるための励起光源16として、1.064μmのパルスを発振するYAGレーザを用い、第2のポンプ光出射部25を機能させる光源として、励起光源(YAGレーザ)16の3倍波で励起する可変波長OPO54を用いる。即ち、図8に示す第4実施例に係る電磁波発生装置においては、第1アッテネータ52とにより第1のポンプ光出射部24が構成され、可変波長OPO54と第2アッテネータ53とにより、第2のポンプ光出射部25が構成されている。
更に、図8に示すように、第4実施例に係る電磁波発生装置は励起光源(YAGレーザ)16と第1のポンプ光出射部24との間に、タイミング制御機構(手段)26を挿入している。タイミング制御機構(手段)26は、ポンプ光(第1のポンプ光)hνのパルス及び信号光(第2のポンプ光)hνのパルスの非線形光学結晶19に到達するタイミングを制御する機能を有する。
既に述べたように、非線形光学結晶19としてGaP結晶を用いた場合においては、2つのポンプ光hν,hνの波長を1.0μmより大きい波長にして、ポンプ光hν,hν間に微小な角度を持たせることにより角度位相整合が達成されるので、非線形光学結晶19内でポンプ光hν,hν、テラヘルツ電磁波hνの重なりが大きくなり、効率良く広い周波数帯域でテラヘルツ電磁波hνが得られる。微小な外部交叉角度θin extでテラヘルツ電磁波hνを発生する非線形光学結晶である非線形光学結晶19に導入するために、2つのポンプ光hν,hνは、偏光ビームスプリッタ18を用いて結合される。
図9に示すように、ポンプ光(第1のポンプ光)hνは偏光ビームスプリッタ18を透過させ、ポンプ光(第1のポンプ光)hνに対し偏波面の直交する信号光(第2のポンプ光)hνは垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで結合させる。ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近く重ねれば良いので、図10に示すように、信号光(第2のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させ、ポンプ光(第1のポンプ光)hνは垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで結合させるような光学系でも構わない。図9の光学系であろうと、図10の光学系であろうと、2つのポンプ光hν,hνが同時に非線形光学結晶19に到達するように、第1のポンプ光出射部24側の光路には、タイミング制御機構(手段)26として、遅延線路51を挿入させている。励起光源(YAGレーザ)16の出力光を遅延線路51を経由した後、第1のポンプ光出射部24に到達するように光路を構成することにより、ポンプ光(第1のポンプ光)hνのパルス及び信号光(第2のポンプ光)hνのパルスが非線形光学結晶19に同時に到達するように、タイミングを制御することができる。
遅延線路51は、反射鏡を複数枚用いて構成すれば良い。例えば、複数枚の反射鏡で1mずつ折り返し、2〜3m程度の光路を形成すれば良い。そして、遅延時間を変えるには、いずれか反射鏡を光路上で移動させ、光路長を変えれば良い。可変波長OPO54を用いる場合は、可変波長OPO54の光出力パルスの励起光源(YAGレーザ)16に対する遅れは、数ナノ秒(ns)程度である。光路長1mに付き、3.3ナノ秒の遅れであるから、複数枚の反射鏡で2〜3m程度の光路を形成すれば、十分な遅延時間を得ることができる。
第2のポンプ光出射部25において、可変波長OPO54の波長を1.038〜1.0635μmの範囲、或いは1.0646〜1.091μmの範囲で選べば、差周波数νは0.15〜7THzとなる。ポンプ光(第1のポンプ光)hν及び信号光(第2のポンプ光)hνの強度は、第1アッテネータ52及び第2アッテネータ53により、それぞれ0.1〜50mJの範囲で調節される。第1アッテネータ52及び第2アッテネータ53は、それぞれ1/2波長板と偏光子からなる。
非線形光学結晶としてGaP結晶を用いた場合は、外部交叉角度θin extは、図5に示すような周波数依存性を示すので、差周波数νの増加に伴い、2つのポンプ光hν,hν間で0°から4°程度の任意の微小な外部交叉角度θin extを得るために、図9及び図10に示すように偏光ビームスプリッタ18は回転ステージ55により外部交叉角度θin extを制御する。2つのポンプ光hν,hνを、偏光ビームスプリッタ18と約60mm離れて配置されている非線形光学結晶19の表面で任意の微小な外部交叉角度θin extにおいて常に同じ点で重ね合わせるために、偏光ビームスプリッタ18は更に、回転ステージ55による回転に連動してビームスプリッタ用線形ステージ56上を動く。このビームスプリッタ用線形ステージ56の移動量は0から6.3mm程度である。
任意の周波数を即時に得る、或いは任意の速度で周波数掃引することは、2つのポンプ光hν,hνの少なくとも一方の波長を任意に制御するとともに、連動して非線形光学結晶19に近接したミラーやビームスプリッタの回転角度を瞬時に設定することにより可能となる。例えば第2のポンプ光出射部25として、可変波長OPO54を用いた場合、可変波長OPO54の波長は波長コントローラ3aを用い、GPIB通信等によってパーソナルコンピュータ11から高速に設定可能となる。第2のポンプ光出射部25に用いる波長可変レーザとしての可変波長OPO54は、例えば、Spectra Physics社可変波長MOPO54−SLが使用可能である。
図2を用いて既に説明したように、非線形光学結晶19より出射されるテラヘルツ電磁波hνはその周波数νにより出射角度(ポンプ光hν,hνとテラヘルツ電磁波hνのなす角)θが変化する。周波数ν=0.4〜6THzでこの出射角度θは30〜60°となる。出射角度θを周波数νによらず、一定位置或いは一定線上を通過するようにするには、図11のように一対の非軸放物面鏡7a,7bを用いる。第1の非軸放物面鏡7aは非線形光学結晶19直近において、上記周波数範囲のテラヘルツ電磁波hνを捕獲できるよう配置する。この際、第1の非軸放物面鏡7aの焦点の位置に非線形光学結晶19のテラヘルツ電磁波hνの出射点が来るような光学配置にすれば、テラヘルツ電磁波hνの出射方向に関わらず、テラヘルツ電磁波hνのビームを同一光路にすることができる。即ち、第1の非軸放物面鏡7aの反射光は、周波数νによらず必ず特定の平行線上を通過する。
第2の非軸放物面鏡7bは第1の非軸放物面鏡7aに相対して配置し、第1の非軸放物面鏡7aで反射されるテラヘルツ電磁波hνの光軸に垂直な軸に沿って、放物面鏡用線形ステージ(図示省略)上を移動する。第1の非軸放物面鏡7aの位置を固定し、第2の非軸放物面鏡7bが必ず鏡上の同じ点でテラヘルツ電磁波hνを受け、垂直方向に反射するようにすれば、いずれの周波数νにおいても、テラヘルツ電磁波hνは同一線上を通過することになる。結局テラヘルツ電磁波hνの焦点はこの線上を移動することになるが、シリコンボロメータやDTGS赤外光検出器のようなテラヘルツ帯の電磁波検出器では、直前にホーン形状の集光系を用いれば、焦点が移動しても問題にならない。
入射ポンプ光hν,hνの微小な外部交叉角度θin extを制御するための偏光ビームスプリッタ18を搭載した回転ステージ55、ビームスプリッタ用線形ステージ56は、例えばステッピングモータとこのステッピングモータ用のモータコントローラ4を用いれば、GPIB通信やUSB通信、RS−232C通信等によりパーソナルコンピュータ11から容易に高速に制御可能である。即ち、波長コントローラ3aを用いて自動で連続的に周波数νを掃引し、更に、モータコントローラ4を波長コントローラ3aと連動して駆動し、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin extを自動的に制御するように自動位相制御装置を構成すれば、それぞれの周波数νで最高出力を非線形光学結晶19から発生させることができる。
同様に、図示を省略した放物面鏡用線形ステージを、モータコントローラ4を用いて、例えばステッピングモータを駆動すれば、GPIB通信やUSB通信、RS−232C通信等によりパーソナルコンピュータ11から容易に高速に、第2の非軸放物面鏡7bの位置を制御することが可能である。こうすれば、自動で連続的に周波数νを掃引し、且つそれぞれの周波数νで最高出力を得るために、可変波長OPO54の波長、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin ext、第2の非軸放物面鏡7bの位置を同時に制御できる。図12に、このシステムを用いたテラヘルツ電磁波発生装置の出力特性例を示す。
尚、図示を省略しているが、図8の構成で、波長コントローラ3aを用いて自動で可変波長OPO54の周波数νを掃引し、モータコントローラ4により遅延線路51を波長コントローラ3aと連動して駆動し、可変波長OPO54の発振遅れ時間を、可変波長OPO54の波長と連動して制御することができる。即ち、複数枚の反射鏡で折り返した光路を構成し、ステップモータやピエゾドライバ等を用いて、いずれか反射鏡を光路上で移動させれば、発振遅れ時間の自動調整が可能になる。
(第5実施例)
第5実施例に係る電磁波発生装置は、図13に示すように、第1のポンプ光hνを出射する第1のポンプ光出射部24と、第1のポンプ光hνとは異なる波長の第2のポンプ光hνを、波長可変で出射する第2のポンプ光出射部25と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの差周波数の電磁波hνを生成する非線形光学結晶19と、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの外部交叉角度θin extを調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系18とを備える。そして、第2のポンプ光hνの周波数と外部交叉角度θin extを連動して変えることにより、非線形光学結晶19から可変波長のテラヘルツ電磁波hνを発生させる。更に、図13に示すように、第4実施例に係る電磁波発生装置は第2のポンプ光出射部25と光学系18との間に、タイミング制御機構(手段)27を挿入している。タイミング制御機構(手段)27は、ポンプ光(第1のポンプ光)hνのパルス及び信号光(第2のポンプ光)hνのパルスの非線形光学結晶19に到達するタイミングを制御する機能を有する。
第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25には、それぞれ第1及び第2のポンプ光源として、1.15〜1.35μmの範囲で波長可変なCr添加フォルステライトレーザ55a及びCr添加フォルステライトレーザ55bが用いられている。
2つのポンプ光hν,hνが同時に非線形光学結晶19に到達するように、第2のポンプ光出射部25側の光路には、タイミング制御機構(手段)27として、可変遅延線路56を挿入させている。第2のポンプ光出射部25の出力光を可変遅延線路56を経由した後、非線形光学結晶19に到達するように光路を構成することにより、ポンプ光(第1のポンプ光)hνのパルス及び信号光(第2のポンプ光)hνのパルスが非線形光学結晶19に同時に到達するように、タイミングを制御することができる。可変遅延線路56は、第4実施例の遅延線路51と同様に、反射鏡を複数枚用いて構成すれば良い。例えば、そして、遅延時間を変えるには、ステップモータやピエゾドライバ等で、いずれか反射鏡を光路上で移動させ、光路長を変えれば良い。
2つのポンプ光hν,hνは第4実施例に係る電磁波発生装置と同様に、互いに直交する偏波面を持って、微小な外部交叉角度θin extで非線形光学結晶19に入射される。例えば第1のポンプ光出射部24に備えられる第1のポンプ光源から出射されるポンプ光hνの波長を1.20μmに固定し、第2のポンプ光出射部25に備えられる第2のポンプ光源から出射されるポンプ光hνの波長を1.2024〜1.2346μmの範囲で選べば、差周波数νは0.5〜7THzとなる。第1のポンプ光出射部24或いは第2のポンプ光出射部25に用いる第1及び第2のポンプ光源としてのCr添加フォルステライトレーザ55a,55bを、Yb添加したYLFレーザやYb添加ファイバレーザで置き換えることもできることは、第2実施例と同様である。
既に第2実施例に係る電磁波発生装置で説明したように、Cr添加フォルステライトレーザ55a,55bは、フォルステライト結晶内のCr準位エネルギーを利用しているので高出力が得られ、且つインジェクションシーディング等の特別の機構(手段)なしでスペクトル線幅を10〜15GHzとすることが可能である。又、OPOレーザと同様に励起光源16としてのYAGレーザで励起できるが、OPOレーザのようにYAGレーザの高調波を用いる必要がないので、簡易且つ安価にすることができる。但し、Cr添加フォルステライトレーザ55a,55bは発振波長により、発振開始までの遅れ時間が異なることがあるので、2つのポンプ光hν,hνが同時に非線形光学結晶19に照射されるようにタイミング制御機構(手段)27により、遅延時間を調節している。
図13においては、第2のポンプ光出射部25の出力側にタイミング制御機構(手段)27としての可変遅延線路56を挿入し、その線路長を可変させる場合を例示したが、逆に、第1のポンプ光出射部24側にタイミング制御機構(手段)として機能する可変遅延線路を挿入しても良い。或いは、タイミング制御機構(手段)として、第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25がそれぞれ有する2台のCr添加フォルステライトレーザ55a,55bをそれぞれ独立に励起する励起光源(YAGレーザ)を1台ずつ用意し、2台の励起光源間の発振開始時間を調節しても良い。2台のCr添加フォルステライトレーザ55a,55bは発振波長により、発振開始までの遅れ時間が10ナノ秒以上になることがある。このような場合、反射鏡を複数枚用いて構成した可変遅延線路56では、光路が長くなり、装置の構成が大きくなりすぎる場合がある。したがって、調整すべき遅延時間が長くなる場合は、独立に励起する2台の励起光源を用いる方法が、電磁波発生装置の小型化に有効である。
第5実施例に係る電磁波発生装置においても、第4実施例に係る電磁波発生装置とほぼ同様の非線形光学結晶19に対する入射ビーム光学系が可能である。しかしながら入射光の波長、つまりエネルギーが異なるために入射ポンプ光hν,hν間の微小な外部交叉角度θin extは、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置と若干異なる。2つのポンプ光hν,hν間の微小な外部交叉角度θin ext=0〜3°に伴い、出射するテラヘルツ電磁波hνも周波数ν=0.4〜3THzで出射角度θ=50〜80°と第4実施例に係る電磁波発生装置より大きな出射角度θとなる。出射テラヘルツ電磁波hνの周波数νが3〜4THz程度を超えて、更に高周波になると非線形光学結晶19の裏面つまり電磁波出射面で全反射する可能性がある。これを避けるためには、図14に示すように非線形光学結晶19を結晶用回転ステージ57上に載せ、必要に応じて回転させれば、より高周波でも電磁波出射面での全反射が防げる。結晶用回転ステージ57は、第1のポンプ光hνの光軸に対する電磁波出射面の角度を制御する「角度制御機構(手段)」として機能する。第1のポンプ光hνの光軸に対し角度を定義するか、第2のポンプ光hνの光軸に対する角度を定義するかは任意であり、第5実施例に係る角度制御機構(手段)は、第2のポンプ光hνの光軸に対する非線形光学結晶19の裏面(電磁波出射面)の角度を制御しても構わない。非線形光学結晶19から出射されたテラヘルツ電磁波hνの集光系は、本発明の第4実施例に係る電磁波発生装置とほぼ同様な設計が可能である。
第4実施例に係る電磁波発生装置で説明したように、偏光ビームスプリッタ18を搭載した回転ステージ55、ビームスプリッタ用線形ステージ56を、例えばステッピングモータとこのステッピングモータ用のモータコントローラ4を駆動するように、GPIB通信やUSB通信、RS−232C通信等によりパーソナルコンピュータ11制御すれば、入射ポンプ光hν,hνの微小な外部交叉角度θin extを自動的に制御可能である。2台のCr添加フォルステライトレーザ55a,55bの内、例えば第1のCr添加フォルステライトレーザ55aのレーザ波長を固定し、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bのレーザ波長を、波長コントローラ3aを用いて自動で連続的に周波数νを掃引し、更に、モータコントローラ4を波長コントローラ3aと連動して駆動し、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin extを自動的に制御するように自動位相制御装置を構成すれば、それぞれの周波数νで最高出力を非線形光学結晶19から発生させることができる。
更に、波長コントローラ3aを用いて自動で第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの周波数νを掃引し、モータコントローラ4により可変遅延線路56を波長コントローラ3aと連動して駆動し、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの発振遅れ時間を、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの波長と連動して制御することができる。即ち、可変遅延線路56を複数枚の反射鏡で光路を折り返した構造にしておき、モータコントローラ4によりステップモータを駆動し、いずれか反射鏡を光路上で移動させれば、発振遅れ時間の自動調整が可能になる。
更に、波長コントローラ3aを用いて自動で第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの周波数νを掃引し、モータコントローラ4を波長コントローラ3aと連動して駆動し、角度制御機構(手段)を構成する結晶用回転ステージ57の回転を制御すれば、非線形光学結晶19の裏面(電磁波出射面)の光軸に対する角度を、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの波長と連動して制御することができる。同様に、図示を省略した放物面鏡用線形ステージを、モータコントローラ4を用いて、例えばステッピングモータを駆動すれば、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bの波長と連動して制御することができる。
このように、波長コントローラ3aを用いて、第2のCr添加フォルステライトレーザ55bのレーザ波長を掃引すると同時に、モータコントローラ4を用いて、発振遅れ時間、2つのポンプ光hν,hν間の外部交叉角度θin ext、非線形光学結晶19の裏面(電磁波出射面)の光軸に対する角度、第2の非軸放物面鏡7bの位置を連動して自動的に制御し、それぞれの周波数で最高出力を得ることができる。
図9に示した波長コントローラ3aやステッピングモータ用のモータコントローラ4は、GPIB通信やUSB通信、RS−232C通信等によりパーソナルコンピュータ11を用いて、容易に高速に制御可能である。
(第6実施例)
第1実施例〜第5実施例に係る電磁波発生装置と同様に、第6実施例に係る電磁波発生装置においても、差周波発生のために2つのポンプ光hν,hνを非線形光学結晶19に入射する。但し、第6実施例に係る電磁波発生装置は、図15のように、非線形光学結晶19とともに、第1入射ミラーM21と,第2入射ミラーM22とを搭載するテラヘルツ発生部回転ステージ58を備える。第1入射ミラーM21は、第1のポンプ光hνを反射し、第1のポンプ光hνを非線形光学結晶19に入射する角度を調整するように回転可能なミラーである。第2入射ミラーM22は、第2のポンプ光hνを反射し、第2のポンプ光hνを非線形光学結晶19に入射する角度を調整するように回転可能なミラーである。このテラヘルツ発生部回転ステージ58は、図15に示すように、非線形光学結晶19の電磁波出射面上の出射点33を中心軸として回転する。このテラヘルツ発生部回転ステージ58の回転角を制御することにより、電磁波出射面に対してある出射角度を持って出射したテラヘルツ電磁波hνを、任意の周波数において、その出射角度によらず任意の点に集光することが可能である。
第1入射ミラーM21には、第1中間ミラーM11を介して、第1のポンプ光hνが入射する。第1中間ミラーM11は、第1のポンプ光hνを反射し第1のポンプ光hνを第1入射ミラーM21に入射する角度を調整するように回転可能である。第2入射ミラーM22には、第2中間ミラーM12を介して、第2のポンプ光hνが入射する。第2中間ミラーM12は、第2のポンプ光hνを反射し第2のポンプ光hνを第2入射ミラーM22に入射する角度を調整するように回転可能である。即ち、第6実施例に係る電磁波発生装置は、ポンプ光入射角度を制御するためにミラーM11,M12の回転角度を調整すると同時に、テラヘルツ発生部回転ステージ58を回転し、ミラーM21,M22の位置の移動をすると同時に、ミラーM21,M22の回転角度も制御する。
図15に示すように、テラヘルツ電磁波出射方向にスリット35を開口した遮蔽板36を用意しておけば、テラヘルツ周波数によらず、常にスリット35を介して、テラヘルツ電磁波hνが出射(供給)できる。
同様の構成は、ミラーM21,M22の代わりにプリズムを用い、非線形光学結晶19とプリズムとをテラヘルツ発生部回転ステージ58上に搭載しても得られる。
(第7実施例)
第2実施例に係る電磁波発生装置等で説明した第1及び第2のポンプ光源としてのCr添加フォルステライトは、Crの励起準位の寿命が長いため、励起光源16としてのYAGレーザのパルスで励起されてから出力パルスを発生するまで相当の遅れ時間を生じる。この遅れ時間は各種の要因によって異なるので2つのCr添加フォルステライトレーザを図6のように同時に励起光源(YAGレーザ)16で励起しても同時に出力を発生しない場合がある。このタイミングのずれは出力光のパルス幅、数ナノ秒よりも大きくなりえるので、その場合はポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνの時間的重なりがないからテラヘルツ電磁波hνを得ることができない。少しタイミングがずれていればテラヘルツ電磁波出力が小さくなる。このため、第5実施例に係る電磁波発生装置では、図13に示すように、第2のポンプ光出射部25側にタイミング制御機構(手段)27として可変遅延線路56を挿入し、その線路長を可変させ、タイミングを調整した。
第7実施例に係る電磁波発生装置においては、第1及び第2のポンプ光源としての2つのCr添加フォルステライトレーザから、信号光(第2のポンプ光)のパルスとポンプ光(第1のポンプ光)のパルスとをほぼ同時に非線形光学結晶19に到達させるタイミングを制御するタイミング制御機構(手段)(6,10)を備えることによって、効率の高い周波数可変テラヘルツ電磁波を発生する。第5実施例に係る電磁波発生装置において説明した、第1のポンプ光出射部24及び第2のポンプ光出射部25がそれぞれ有する2台のCr添加フォルステライトレーザ55a,55bをそれぞれ独立に励起する励起光源を1台ずつ用意し、2台の励起光源間の発振開始時間を調節する構成も、タイミング制御機構(手段)として機能するが、第7実施例に係るタイミング制御機構(手段)は、ダブルパルスYAGレーザ6を用いることにより、第1及び第2のポンプ光源としての2つのCr添加フォルステライトレーザをそれぞれ励起する励起光パルスの間の時間差を調整する。
即ち、第2実施例の図6のような1個の励起光源(YAGレーザ)16の出力をビームスプリッタによって2つのビームに分ける方式に代わり、第7実施例に係る電磁波発生装置においては、図16に示すように、1個のフラッシュランプ61で第1YAGロッド62及び第2YAGロッド63を励起するYAGレーザ6即ち「ダブルパルスYAGレーザ6」を励起光源として用い、ダブルパルスYAGレーザ6をタイミング制御機構(手段)として機能させることによって2つのCr添加フォルステライトレーザを励起する。ダブルパルスYAGレーザ6は、一つのフラッシュランプ61で第1YAGロッド62及び第2YAGロッド63を励起し、2つの1064nmの波長の出力パルス光hν,hνを得る。
フラッシュランプ61で第1YAGロッド62及び第2YAGロッド63を励起してから相当遅れてQ−スイッチパルスによってYAGレーザの発振を生じるので、第1YAGロッド62及び第2YAGロッド63のQスイッチパルスのタイミングを1ナノ秒の精度でそれぞれ変えることができる。この結果、第7実施例に係るタイミング制御機構(手段)では、第1YAGロッド62からの励起光パルスが第1のポンプ光源(Cr添加フォルステライトレーザ)を励起する時間と、第2YAGロッド63からの励起光パルスが第2のポンプ光源(Cr添加フォルステライトレーザ)を励起する時間との間の時間差を調整することにより、第1のポンプ光源からのポンプ光(第1のポンプ光)のパルスと第2のポンプ光源からの信号光(第2のポンプ光)のパルスとが、ほぼ同時に非線形光学結晶19に到達するようにタイミングを制御する。「ほぼ同時に」とは、「Cr添加フォルステライトレーザの出力光のパルス幅よりも、十分に短い時間で」という意味であり、例えば、Cr添加フォルステライトレーザのパルス幅は、一般に20〜30ナノ秒程度であり、このような場合は、1ナノ秒或いはそれ以下の時間差にすれば良い。
本発明の第2実施例に係る電磁波発生装置と同様に、図16に示す本発明の第7実施例に係る電磁波発生装置は、第1のポンプ光hνと第2のポンプ光hνとの外部交叉角度θin extを調整し、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19に入射させる光学系(M,18)を備える。光学系(M,18)は、反射鏡(ミラー)M及び偏光ビームスプリッタ18からなる。反射鏡(ミラー)Mは、第1のポンプ光出射部24から出射した第1のポンプ光hνを反射し、第1のポンプ光hνを偏光ビームスプリッタ18に入射する角度を調整するように回転可能なミラーである。図16に示す光学系(M,18)の配置により、第2のポンプ光出射部25から出射した信号光(第2のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させる。又、第1のポンプ光出射部24から出射したポンプ光(第1のポンプ光)hνは、反射鏡(ミラー)Mを用いて、垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、ポンプ光(第1のポンプ光)hν及び信号光(第2のポンプ光)hνを、非線形光学結晶19結合させる光学系を構成している。但し、ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近く重ねれば良いので、第4実施例の図9に示すように、ポンプ光(第1のポンプ光)hνを偏光ビームスプリッタ18を透過させ、ポンプ光(第1のポンプ光)hνに対し偏波面の直交する信号光(第2のポンプ光)hνを垂直方向から入射させて偏光ビームスプリッタ18の偏光面で反射させ、平行に近い微小な外部交叉角度θin extで、第1のポンプ光及び第2のポンプ光を非線形光学結晶19内で結合させる光学系を構成しても良い。そして、第2のポンプ光hνの周波数の変化とともに、光学系(M,18)を駆動し、外部交叉角度θin extを連動して変えることにより、非線形光学結晶19から可変波長のテラヘルツ電磁波hνを発生させる。
尚、図16に示した光学系(M,18)は、例示であり、反射鏡(ミラー)M及び偏光ビームスプリッタ18の他に、他のミラー等の光学素子を加えても良く、反射鏡(ミラー)Mの代わりに、プリズム等の反射鏡(ミラー)Mと等価な機能を有する光学素子に置き換えても良いことは勿論である。
第1のポンプ光源からのポンプ光(第1のポンプ光)のパルスと第2のポンプ光源からの信号光(第2のポンプ光)のパルスとが、ほぼ同時に非線形光学結晶19に到達するということは、第1及び第2のポンプ光源からの出力(パルス)をほぼ同時にすることである。第1及び第2のポンプ光源としての2つのCr添加フォルステライトレーザの出力(パルス)がほぼ同時になるようにするには、ダブルパルスYAGレーザ6のQスイッチパルスのタイミングを変化させるようにあらかじめプログラムしておけば良い。或いは、テラヘルツ電磁波出力が最大になるようにQスイッチパルス発生のタイミングをフィードバック制御するループを形成することにより、第1のポンプ光源からのポンプ光(第1のポンプ光)と第2のポンプ光源からの信号光(第2のポンプ光)のタイミングを一致させることができる。
ダブルパルスYAGレーザ6は、図16に示すトリガパルス発生回路10により駆動される。即ち、トリガパルス発生回路10は、フラッシュランプ励起用パルスP、YAGレーザQ−スイッチパルスP,Pを発生し、トリガパルス発生回路10とダブルパルスYAGレーザ6とによって、信号光(第2のポンプ光)のパルスとポンプ光(第1のポンプ光)のパルスとをほぼ同時に非線形光学結晶19に到達させるタイミング制御機構(手段)(6,10)を構成している。
図16において、第1のポンプ光出射部24の第1のポンプ光源、第2のポンプ光出射部25の第2のポンプ光源として、それぞれCr添加フォルステライトレーザを用いる。Cr添加フォルステライトレーザの遅れ時間は、主に、ダブルパルスYAGレーザ6からの励起光強度とCr添加フォルステライトレーザの出力波長によって決まるので、第1及び第2のポンプ光源としての2つのCr添加フォルステライトレーザは、必ずしも同一のタイミングで出力を発生しない。テラヘルツ電磁波hνの周波数νを掃引するには、例えば、第1のポンプ光出射部24を構成する一方のCr添加フォルステライトレーザ(第1のポンプ光源)の波長を固定し、第2のポンプ光出射部25を構成する他方のCr添加フォルステライトレーザ(第2のポンプ光源)の波長を掃引する(逆に、第2のポンプ光出射部25を構成するCr添加フォルステライトレーザ(第2のポンプ光源)の波長を固定し、第1のポンプ光出射部24を構成するCr添加フォルステライトレーザ(第1のポンプ光源)の波長を掃引するようにしても良い。)。
第2のポンプ光出射部25を構成するCr添加フォルステライトレーザ(第2のポンプ光源)の波長と強度が掃引に伴って変化するから、この2つのパラメータの関数として、2つのCr添加フォルステライトレーザの出力が同時となるための2つのQ−スイッチパルスP,Pのタイミング差tをあらかじめプログラムしておき、プログラムに従って2つのQ−スイッチパルスP,Pを発生すれば良い。Cr添加フォルステライトレーザの出力パルス幅は約10ナノ秒であるからQ−スイッチパルスP,Pのタイミング差tは、1ナノ秒の精度で制御すれば十分である。
第1のポンプ光出射部24と第2のポンプ光出射部25からそれぞれ出射したポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνは、偏光ビームスプリッタ18よってビームを平行に近い微小な外部交叉角度θin extで重ねられ、非線形光学結晶19に入射する。非線形光学結晶19から、ポンプ光(第1のポンプ光)hνと信号光(第2のポンプ光)hνの差の周波数を有するテラヘルツ電磁波hνが出力する。
第5実施例で説明したように、2台のCr添加フォルステライトレーザ55a,55bを用いる場合は、発振波長により遅れ時間が10ナノ秒以上になることがある。このような場合、反射鏡を複数枚用いて構成した可変遅延線路56では、光路が長くなり、装置の構成が大きくなりすぎる場合がある。したがって、調整すべき遅延時間が長くなる場合は、第7実施例に係る電磁波発生装置のように、ダブルパルスYAGレーザ6を用いる方法が、電磁波発生装置の小型化に有効である。尚、第1のポンプ光出射部24或いは第2のポンプ光出射部25に用いる第1及び第2のポンプ光源としてのCr添加フォルステライトレーザを、Yb添加したYLFレーザやYb添加ファイバレーザで置き換えても良いこともできることは、第2実施例や第5実施例と同様である。
(第8実施例)
第8実施例に係る電磁波発生装置においては、図17に示すようにテラヘルツ電磁波出力をビームスプリッタ9で分割し、検知器8でテラヘルツ強度を検知する。検知器8が出力する検知出力Doutをトリガパルス発生回路10とダブルパルスYAGレーザ6とから構成されるタイミング制御機構(手段)(6,10)に、フィードバックしている。即ち、検知出力Doutを、トリガパルス発生回路10に入力することによりフィードバックループが構成され、最大のテラヘルツ出力が得られるQ−スイッチパルスP,Pのタイミング差tの最適値を自動的に見出すことができる。他は、第7実施例に係る電磁波発生装置と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
尚、フィードバックの初期設定値として第7実施例に係る電磁波発生装置で述べたプログラム値を使えば高速で最適値に達することができる。
(その他の実施例)
上記のように、本発明は第1〜第8実施例によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施例、実施例及び運用技術が明らかとなろう。即ち、本発明はここでは記載していない様々な実施例等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
本発明のテラヘルツ電磁波発生装置によれば、0.5THzから7THz程度の範囲で、任意の周波数のテラヘルツ電磁波を瞬時に、一定の場所に大出力で発生できるので、テラヘルツ電磁波照射装置やテラヘルツ分光計測装置などの産業の分野に利用できる。更に、本発明のテラヘルツ電磁波発生装置によれば、小型で安定度の高い、周波数可変テラヘルツ電磁波源が得られので、生体分子のテラヘルツ共振スペクトルの測定や医療用テラヘルツ画像スペクトルなどの産業の分野に、幅広い応用が可能となる。特に、生体物質、癌細胞など、大きな分子や高分子を識別するための波長可変テラヘルツ電磁波を用いた分光光源として利用可能である。

Claims (12)

  1. 1.0μmより長波長の第1のポンプ光を出射する第1のクロム添加フォルステライトレーザからなる第1のポンプ光出射部と、
    1.0μmより長波長で、前記第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のクロム添加フォルステライトレーザからなる第2のポンプ光出射部と、
    電磁波出射面を有し、前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成し、該電磁波を前記電磁波出射面から出射する非線形光学結晶と、
    前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との外部交叉角度を、差周波数1THzにおいて0.5°以内に調整し、前記第1のポンプ光及び前記第2のポンプ光を前記非線形光学結晶に入射させる光学系と、
    前記非線形光学結晶を回転し、前記第1のポンプ光の光軸に対する前記電磁波出射面の角度を制御する角度制御機構
    とを備え、前記角度制御機構が、前記第2のポンプ光の周波数と前記外部交叉角度の変化及び前記電磁波出射面の角度の変化とが自動で連動するように、前記非線形光学結晶を回転させることにより、3THzを越える周波数における前記電磁波出射面におけるテラヘルツ電磁波の全反射を防ぎ、3THzを越える周波数範囲を含み、前記電磁波出射面から0.5THzから7THzの間で周波数掃引可能な、可変波長の前記テラヘルツ電磁波を出射させることを特徴とする電磁波発生装置。
  2. 前記非線形光学結晶は、GaP結晶、ZnGeP結晶及びGaSe結晶のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の電磁波発生装置。
  3. 前記第1及び第2のポンプ光源をそれぞれ励起し、前記第1及び第2のポンプ光源から前記第1及び第2のポンプ光を出射させる励起光源を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の電磁波発生装置。
  4. 前記第1のポンプ光のパルス及び前記第2のポンプ光のパルスの前記非線形光学結晶に到達するタイミングを制御するタイミング制御機構を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の電磁波発生装置。
  5. 第1のポンプ光を出射する第1のクロム添加フォルステライトレーザからなる第1のポンプ光出射部と、
    前記第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のクロム添加フォルステライトレーザからなる第2のポンプ光出射部と、
    電磁波出射面を有し、前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成し、該電磁波を前記電磁波出射面から出射する非線形光学結晶と、
    前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との外部交叉角度を調整し、前記第1のポンプ光及び前記第2のポンプ光を前記非線形光学結晶に入射させる光学系と、
    前記非線形光学結晶を回転し、前記第1のポンプ光の光軸に対する前記電磁波出射面の角度を制御する角度制御機構と、
    前記第1のポンプ光のパルス及び前記第2のポンプ光のパルスの前記非線形光学結晶に到達するタイミングを制御するタイミング制御機構
    とを備え、前記角度制御機構が、前記第2のポンプ光の周波数と前記外部交叉角度の変化及び前記電磁波出射面の角度の変化とが自動で連動するように、前記非線形光学結晶を回転させることにより、3THzを越える周波数における前記電磁波出射面におけるテラヘルツ電磁波の全反射を防ぎ、3THzを越える周波数範囲を含み、前記電磁波出射面から0.5THzから7THzの間で周波数掃引可能な、可変波長の前記テラヘルツ電磁波を出射させることを特徴とする電磁波発生装置。
  6. 前記タイミング制御機構は、前記第1及び第2のポンプ光源をそれぞれ励起する励起光パルスの間の時間差を調整することによりタイミングを制御することを特徴とする請求項5に記載の電磁波発生装置。
  7. 前記タイミング制御機構は、前記第1のポンプ光源を励起する第1YAGロッドと、前記第2のポンプ光源を励起する第2YAGロッドとを有するダブルパルスYAGレーザを備え、前記第1YAGロッドからの励起光パルスと、前記第2YAGロッドからの励起光パルスとの間の時間差を調整することによりタイミングを制御することを特徴とする請求項5に記載の電磁波発生装置。
  8. 前記非線形光学結晶から出射した前記テラヘルツ電磁波のビームを分割するビームスプリッタと、
    分割された前記ビームの強度を検知し、検知出力を前記タイミング制御機構にフィードバックする検知器
    とを更に有し、前記タイミング制御機構は、前記検知出力が最大となるように前記タイミングを制御することを特徴とする請求項5に記載の電磁波発生装置。
  9. 第1のポンプ光を出射する第1のクロム添加フォルステライトレーザからなる第1のポンプ光出射部と、
    前記第1のポンプ光とは異なる波長の第2のポンプ光を、波長可変で出射する第2のクロム添加フォルステライトレーザからなる第2のポンプ光出射部と、
    電磁波出射面を有し、前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との差周波数の電磁波を生成し、該電磁波を前記電磁波出射面から出射する非線形光学結晶と、
    前記第1のポンプ光と前記第2のポンプ光との外部交叉角度を調整し、前記第1のポンプ光及び前記第2のポンプ光を前記非線形光学結晶に入射させる光学系と、
    前記非線形光学結晶を回転し、前記第1のポンプ光の光軸に対する前記電磁波出射面の角度を制御する角度制御機構
    とを備え、前記角度制御機構が、前記第2のポンプ光の周波数、前記外部交叉角度及び前記電磁波出射面の角度が自動で連動して変わるように、前記非線形光学結晶を回転させることにより、3THzを越える周波数における前記電磁波出射面におけるテラヘルツ電磁波の全反射を防ぎ、3THzを越える周波数範囲を含み、前記電磁波出射面から0.5THzから7THzの間で周波数掃引可能な、可変波長の前記テラヘルツ電磁波を出射させることを特徴とする電磁波発生装置。
  10. 前記電磁波出射面から出射した前記電磁波を反射する第1の非軸放物面鏡と、
    該第1の非軸放物面鏡で反射した前記電磁波を反射し、前記第1の非軸放物面鏡に対して線形ステージ上を移動する第2の非軸放物面鏡と、
    前記電磁波出射面に対してある出射角度を持って出射した前記電磁波を、その出射角度によらず任意の点に集光するように前記第2の非軸放物面鏡の位置を制御する位置制御装置とを更に備えることを特徴とする請求項9に記載の電磁波発生装置。
  11. 前記第1のポンプ光を反射し前記第1のポンプ光を前記非線形光学結晶に入射する角度を調整するように回転可能な第1入射ミラーと、前記第2のポンプ光を反射し前記第2のポンプ光を前記非線形光学結晶に入射する角度を調整するように回転可能な第2入射ミラーとを、前記非線形光学結晶とともに搭載し、前記電磁波出射面上の出射点を中心軸として回転するテラヘルツ発生部回転ステージを備え、
    該テラヘルツ発生部回転ステージを回転することにより、前記電磁波出射面に対してある出射角度を持って出射した前記電磁波を、その出射角度によらず任意の点に集光することを特徴とする請求項9に記載の電磁波発生装置。
  12. 前記非線形光学結晶は、GaP結晶、ZnGeP結晶及びGaSe結晶のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載の電磁波発生装置。
JP2005517379A 2004-01-29 2004-10-29 電磁波発生装置 Expired - Fee Related JP4749156B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005517379A JP4749156B2 (ja) 2004-01-29 2004-10-29 電磁波発生装置

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004055131 2004-01-29
JP2004055134 2004-01-29
JP2004055131 2004-01-29
JP2004055134 2004-01-29
PCT/JP2004/016165 WO2005073795A1 (ja) 2004-01-29 2004-10-29 電磁波発生装置
JP2005517379A JP4749156B2 (ja) 2004-01-29 2004-10-29 電磁波発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2005073795A1 JPWO2005073795A1 (ja) 2008-01-10
JP4749156B2 true JP4749156B2 (ja) 2011-08-17

Family

ID=34829484

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005517379A Expired - Fee Related JP4749156B2 (ja) 2004-01-29 2004-10-29 電磁波発生装置

Country Status (4)

Country Link
US (1) US7599409B2 (ja)
EP (1) EP1715377A4 (ja)
JP (1) JP4749156B2 (ja)
WO (1) WO2005073795A1 (ja)

Families Citing this family (36)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7606274B2 (en) * 2001-09-20 2009-10-20 The Uab Research Foundation Mid-IR instrument for analyzing a gaseous sample and method for using the same
JP2007133339A (ja) * 2005-11-09 2007-05-31 Semiconductor Res Found フォノンポラリトン励起テラヘルツ波発生方法及び装置
JP2007139828A (ja) * 2005-11-14 2007-06-07 Kawasaki Heavy Ind Ltd 固体レーザの波長調整方法および装置
EP1879269A1 (en) * 2006-07-12 2008-01-16 Danmarks Tekniske Universitet Pumped laser system using feedback to pump means
US8242450B2 (en) * 2007-12-26 2012-08-14 Richard Graziano Stimulated emission and enhanced detection of chemicals and chemical compounds
DE102008015397A1 (de) * 2008-03-20 2009-09-24 Deutsche Telekom Ag Verfahren zur Erzeugung elektromagnetischer Terahertz-Trägerwellen
JP5388166B2 (ja) * 2008-09-02 2014-01-15 国立大学法人東北大学 テラヘルツ波の発生装置及び発生方法
US7835066B2 (en) * 2008-12-22 2010-11-16 Northrop Grumman Systems Corporation Systems and methods for generating electromagnetic radiation
DE102009006729B4 (de) * 2009-01-29 2021-12-23 Carl Zeiss Microscopy Gmbh Laser-Scanning-Mikroskop
EP2287980A1 (de) * 2009-08-21 2011-02-23 Karlsruher Institut für Technologie Durchstimmbare Laserlichtquelle auf Basis variabler optischer Pulsanregung und Verfahren zum Betreiben derselben
DE102010042469A1 (de) * 2010-02-11 2011-08-11 Electronics And Telecommunications Research Institute Terahertzwellen-Vorrichtung
CN102419485B (zh) * 2011-10-10 2013-08-28 天津大学 基于周期极化晶体光学整流太赫兹频率梳装置及调制方法
US8797639B2 (en) * 2011-12-19 2014-08-05 Alcatel Lucent Method and system for regenerating and reshaping of optical signals
WO2013112608A1 (en) 2012-01-23 2013-08-01 The Regents Of The University Of Michigan Photoconductive device with plasmonic electrodes
CN102879971B (zh) * 2012-10-22 2015-07-22 上海理工大学 一种连续调节太赫兹波中心频率和频谱宽度的方法
JP6456078B2 (ja) * 2013-10-09 2019-01-23 キヤノン株式会社 テラヘルツ波発生素子、及び、テラヘルツ波検出素子
JP2015099319A (ja) * 2013-11-20 2015-05-28 有限会社岡本光学加工所 サブミリ波・ミリ波発生装置
US9450673B2 (en) 2014-01-24 2016-09-20 California Institute Of Technology Stabilized microwave-frequency source
US10120263B2 (en) * 2014-06-13 2018-11-06 The Regents Of The University Of California Low-duty-cycle continuous-wave photoconductive terahertz imaging and spectroscopy systems
GB2528958B (en) * 2014-08-07 2021-08-04 Univ Bristol Spectroscopy apparatus and method
JP2016075864A (ja) * 2014-10-09 2016-05-12 国立大学法人 千葉大学 テラヘルツ光発生装置及びテラヘルツ分光装置
WO2016138291A1 (en) 2015-02-26 2016-09-01 California Institute Of Technology Optical frequency divider based on an electro-optical-modulator frequency comb
GB2556249B (en) 2015-07-22 2021-08-18 Hitachi High Tech Corp Far-infrared spectroscopy device
JP2018077427A (ja) * 2016-11-11 2018-05-17 澁谷工業株式会社 テラヘルツ光発生装置
JP2018091931A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 澁谷工業株式会社 テラヘルツ光発生装置
JP2018091930A (ja) * 2016-11-30 2018-06-14 澁谷工業株式会社 テラヘルツ光発生装置
FR3061367B1 (fr) * 2016-12-22 2019-06-28 Centre National De La Recherche Scientifique - Cnrs Source laser terahertz et procede d'emission de radiations terahertz
US10944232B2 (en) * 2017-03-24 2021-03-09 Macquarie University Terahertz lasers and terahertz extraction
US20180292633A1 (en) * 2017-04-07 2018-10-11 Archit Lens Technology Inc. Terahertz-gigahertz illuminator
EP3612812A4 (en) 2017-04-20 2021-01-06 The Regents of the University of California SYSTEMS AND PROCEDURES FOR HIGH FREQUENCY NANOSCOPY
JP6966872B2 (ja) * 2017-05-22 2021-11-17 株式会社リコー テラヘルツ波発生装置、検査装置
DE112017007750T5 (de) * 2017-08-22 2020-04-02 Hitachi High-Technologies Corporation Ferninfrarot-Spektralvorrichtung und Ferninfrarot-Spektralverfahren
JP7012098B2 (ja) 2017-12-13 2022-02-10 株式会社日立ハイテク 遠赤外光源、遠赤外分光装置
ES2909137T3 (es) * 2018-06-18 2022-05-05 Advalight Aps Sistema láser médico
JP7012045B2 (ja) * 2019-04-25 2022-01-27 株式会社日立ハイテク 遠赤外分光装置
WO2021067635A1 (en) 2019-10-01 2021-04-08 The Regents Of The University Of California Method for identifying chemical and structural variations through terahertz time-domain spectroscopy

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05110179A (ja) * 1991-10-14 1993-04-30 Hamamatsu Photonics Kk 短波長短パルス光源
JPH10213828A (ja) * 1997-01-31 1998-08-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 光パラメトリック発振レーザ装置
JP2002287190A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Inst Of Physical & Chemical Res 赤外光発生装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE502625C2 (sv) * 1993-09-02 1995-11-27 Ellemtel Utvecklings Ab Avstämbar förstärkningskopplad laseranordning
JP2004108905A (ja) * 2002-09-18 2004-04-08 Inst Of Physical & Chemical Res テラヘルツ波を用いた差分イメージング方法及び装置
US7248364B2 (en) * 2003-12-19 2007-07-24 N&K Technology, Inc. Apparatus and method for optical characterization of a sample over a broadband of wavelengths with a small spot size

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05110179A (ja) * 1991-10-14 1993-04-30 Hamamatsu Photonics Kk 短波長短パルス光源
JPH10213828A (ja) * 1997-01-31 1998-08-11 Mitsubishi Heavy Ind Ltd 光パラメトリック発振レーザ装置
JP2002287190A (ja) * 2001-03-27 2002-10-03 Inst Of Physical & Chemical Res 赤外光発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
WO2005073795A1 (ja) 2005-08-11
EP1715377A4 (en) 2011-04-27
JPWO2005073795A1 (ja) 2008-01-10
EP1715377A1 (en) 2006-10-25
US7599409B2 (en) 2009-10-06
US20070160093A1 (en) 2007-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4749156B2 (ja) 電磁波発生装置
JP3909867B2 (ja) レーザ装置
CN108183387B (zh) 一种用于激光器的光学参量振荡器系统
JP3421184B2 (ja) 波長可変レーザーにおける波長選択方法および波長可変レーザーにおける波長選択可能なレーザー発振装置
EP2319141B1 (en) Optical arrangement and method
JP4530348B2 (ja) 受動qスイッチレーザ装置
Velarde et al. Generation of tunable narrow bandwidth nanosecond pulses in the deep ultraviolet for efficient optical pumping and high resolution spectroscopy
US20050243876A1 (en) Narrow bandwidth high repetition rate optical parametric oscillator
JP2006091802A (ja) テラヘルツ電磁波発生装置及び方法
US5953154A (en) Optically parametric oscillator and wavelength-tunable laser system
JP2016218373A (ja) 多波長発振型光パラメトリック発振装置および多波長発振型光パラメトリック発振方法
KR100809271B1 (ko) 파장가변 레이저 장치
JP4676279B2 (ja) 光生成装置および該装置を備えたテラヘルツ光生成装置
JP4402901B2 (ja) テラヘルツ波発生装置
JP2012203013A (ja) 電磁波発生装置
JP2006171624A (ja) テラヘルツ波発生システム
JP4276323B2 (ja) テラヘルツ波発生装置
JP2010066381A (ja) 波長可変テラヘルツ波発生装置
JP4960040B2 (ja) 光生成装置および該装置を備えたテラヘルツ光生成装置
JP2010066380A (ja) 波長可変テラヘルツ波発生装置
JP4676280B2 (ja) 光生成装置および該装置を備えたテラヘルツ光生成装置
JP2001051312A (ja) 光パラメトリック発振器
US9170470B1 (en) Non-planer, image rotating optical parametric oscillator
JP4142316B2 (ja) 分光分析方法および分光分析システム
KR20090004685A (ko) 레이저 광 제2 고조파 발생 장치

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20080331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080408

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100216

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100419

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100720

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101020

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20101029

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110118

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110322

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110419

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4749156

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140527

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees