JP2001051312A - 光パラメトリック発振器 - Google Patents

光パラメトリック発振器

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JP2001051312A JP22406399A JP22406399A JP2001051312A JP 2001051312 A JP2001051312 A JP 2001051312A JP 22406399 A JP22406399 A JP 22406399A JP 22406399 A JP22406399 A JP 22406399A JP 2001051312 A JP2001051312 A JP 2001051312A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光パラメトリック発振器において、高い波長
選択性を得る。 【解決手段】 本発明の光パラメトリック発振器は、励
起光の照射により光パラメトリック発振し、シグナル光
およびアイドラ光を発するタイプ−1の非線形光学媒質
11とタイプ−2の非線形光学媒質12が、同等あるい
は同じ波長のシグナル光λs(1),λs(2)およびア
イドラ光λi(1),λi(2)を発するように個別に位
相整合条件を調節され、更に、非線形光学媒質11,1
2のどちらか一つがシグナル光とアイドラ光の偏光方向
が同じになるように、且つ、もう一方がシグナル光とア
イドラ光の偏光方向が異なるように位相整合されてお
り、これにより、発振強度が強く、バンド幅の狭帯化さ
れた発振光を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光パラメトリック発
振器に係り、特に高い波長選択性を得るのに好適なもの
に関する。
【0002】
【従来の技術】光パラメトリック発振では、励起光、シ
グナル光およびアイドラ光の3つの光が非線形光学媒質
内で相互作用する。通常は、励起光を非線形光学媒質に
入射してシグナル光とアイドラ光を発生させ、レーザ発
振させる。非線形光学媒質において、シグナル光あるい
はアイドラ光の偏光方向が、励起光の進行方向と非線形
光学媒質の結晶軸とで形成される面に対して垂直であれ
ばその光を常光(Ordinary ray;oで表す)、平行であ
れば異常光(Extraordinary ray;eで表す)と呼ぶ。
ここで、ある励起光がある位相整合条件で非線形光学媒
質に入射したとき、シグナル光とアイドラ光の偏光方向
が同じ場合をタイプ−1、互いに異なる場合をタイプ−
2と呼んでいる。
【0003】光パラメトリック効果において、非線形光
学媒質に波長λpの励起光を入射することにより、波長
λsのシグナル光と波長λiのアイドラ光が発生するが、
このれら3つの光には次の関係が成り立っている。
【0004】
【数1】 ここで、λsとλiが一致する点を縮退点と呼ぶ。
【0005】ところで、シグナル光とアイドラ光の偏光
方向が同じであるタイプ−1の場合、縮退点近傍ではい
くつもの波長で位相整合条件が成立し、その結果、光パ
ラメトリック発振における発振波長のバンド幅が大きく
広がる傾向にある。これに対し、偏光方向が異なるタイ
プ−2の場合では、縮退点近傍でも位相整合する条件は
限られており、バンド幅が広がることはない。
【0006】ところが、非線形光学媒質の種類によって
は、その特性上タイプ−1と比較してタイプ−2の光パ
ラメトリックゲインが小さいものがある。そのため、縮
退点付近で高エネルギーの発振光を得るためには、光パ
ラメトリック発振器の非線形光学媒質としてタイプ−1
を選択せざるを得ない場合(例えばβ-BBO(β-phaseBa
B2O4)結晶)がある。しかし、前述したようにタイプ−
1の非線形光学媒質は縮退点付近でのバンド幅が大きく
広がる傾向がある。そのため、タイプ−1の非線形光学
媒質を用いる場合、バンド幅を狭帯化するために、光パ
ラメトリック共振器内にグレーティングを配置し波長選
択を行うことによって、発振バンド幅を狭帯化する手法
が「J. Opt. Soc. Am. B Vol. 12 (1995), 2117」で提
案されている。
【0007】この様に、グレーティングを用いた場合、
光パラメトリック発振器の発振しきい値は極めて大きく
なり、また、発振光のエネルギーは小さくなる。このた
め、「J. Opt. Soc. Am. B Vol. 12 (1995), 2122」で
は、発振光を再度第2の光パラメトリック発振器あるい
は光パラメトリック増幅器によって増幅する手法が提案
されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、グレーティン
グを用いた場合、光パラメトリック発振のしきい値が大
きいため、高エネルギーの励起光を用いなければなら
ず、非線形光学媒質、ミラーおよびレンズ等の損傷が危
惧される等の問題が生じる。
【0009】また、発振光を再度第2のパラメトリック
発振器で増幅する場合、各非線形光学媒質や発振光の光
路を変える反射ミラー等の角度を、それぞれ微妙に調節
する装置を具備せねばならず、波長選択の制御が複雑に
なるという問題点がある。
【0010】そこで本発明は、縮退点付近でもグレーテ
ィングや第2のパラメトリック発振器を用いることな
く、簡易に発振バンド幅を狭帯化することが可能な、光
パラメトリック発振器を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光パラメト
リック発振器は、励起光を出力する励起光源と、励起光
の光路上に配置され、励起光の照射により光パラメトリ
ック発振し、シグナル光およびアイドラ光を発する複数
の非線形光学媒質と、これら複数の非線形光学媒質が同
等あるいは同じ波長のシグナル光とアイドラ光を発する
ように位相整合条件を個別に調節する位相整合調節手段
と、複数の非線形光学媒質を挟むように配置され、励起
光、シグナル光およびアイドラ光に対して共振器を構成
する光学系とを備え、位相整合調節手段は、複数の非線
形光学媒質の少なくとも1つがシグナル光とアイドラ光
の偏光方向が同じになるように、且つ、少なくとも一つ
がシグナル光とアイドラ光の偏光方向が異なるように位
相整合することを特徴とする。
【0012】本発明によれば、シグナル光とアイドラ光
の偏光方向が同じになるように位相整合された非線形光
学媒質の光パラメトリックゲインにより、シグナル光お
よびアイドラ光は増幅され、更にシグナル光とアイドラ
光の偏光方向が互いに異なるように位相整合された非線
形光学媒質により、更なるシグナル光とアイドラ光の増
幅がなされると共に、発振光のバンド幅が狭帯化できる
光パラメトリック発振器を得ることができる。
【0013】また、本発明に係る光パラメトリック発振
器の位相整合調節手段は、励起光の非線形光学媒質への
入射角、非線形光学媒質の温度あるいは非線形光学媒質
への印加電圧のいずれか一つ以上を変化させることによ
って、位相整合条件を調節するように構成されているこ
とを特徴としてもよい。本発明によれば、複数の非線形
光学媒質の位相整合手段を適宜選択できることができ
る。場合によっては、複数の非線形光学媒質の位相整合
手段が同一である必要はなく、励起光の非線形光学媒質
への入射角、非線形光学媒質の温度あるいは非線形光学
媒質への印加電圧のいずれかを変化させる手法を組み合
わせて用いることによって、非線形光学媒質の位相整合
を行うことが可能である。
【0014】また、本発明に係る光パラメトリック発振
器は、シグナル光およびアイドラ光の波長若しくは光強
度に基づいて、位相整合調節手段を制御する制御手段を
更に備えることを特徴としても良い。本発明によれば、
それぞれの非線形光学媒質の位相整合を的確に制御する
ことが可能であり、縮退点付近でも精度よくシグナル光
とアイドラ光を同調させることが可能な光パラメトリッ
ク発振器を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一
の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略す
る。
【0016】図1を参照して、本発明の実施形態に係る
光パラメトリック発振器の構成について説明する。図1
は光パラメトリック発振器の構成概念図であり、この光
パラメトリック発振器は非線形光学媒質を励起する励起
光源10と、励起光源10の光路上に配置され、ファブ
リーペロー発振器を構成するミラーM1,M2と、ミラ
ーM1,M2に挟まれ、カスケード配置されたタイプ−
1の非線形光学媒質11およびタイプ−2の非線形光学
媒質12とを備えて構成されている。
【0017】更に、非線形光学媒質11,12の位相整
合条件をそれぞれ調節する位相整合調節手段13,14
と、ミラーM2を透過した発振光の光路上に配置され、
一部の発振光を反射するミラーM3と、ミラーM3で反
射された発振光の光波長および光強度を確認する確認装
置16と、確認装置16で検出した発振光に基づき、位
相整合調節手段13,14を制御する制御装置15とを
備えて構成されている。
【0018】ここで、励起光λpの入射によりタイプ−
1の非線形光学媒質11で発生するシグナル光λ
s(1)およびアイドラ光λi(1)と、タイプ−2の非
線形光学媒質12で発生するシグナル光λs(2)の偏
光方向は同じであり、これに対し、タイプ−2の非線形
光学媒質12において発生するアイドラ光λi(2)の
偏光方向は、他の光の偏光方向と直交していると仮定し
ている。
【0019】図1に示すように、励起光源10から発せ
られた励起光λpは、ミラーM1を透過し、タイプ−1
の非線形光学媒質11に入射され、シグナル光λ
s(1)およびアイドラ光λi(1)を発生させる。発生
されたシグナル光λs(1)およびアイドラ光λi(1)
と変換されずに残った励起光λpは、タイプ−2の非線
形光学媒質12に入射する。なお、双方の非線形光学媒
質11,12の位相整合波長が大きく異なっている場合
には、タイプ−2の非線形光学媒質12では、励起光λ
pの入射によりシグナル光λs(2)とアイドラ光λ
i(2)が発生するのみである。そのため、ミラーM
1,M2で構成されたファブリペロー発振器内では、そ
れぞれ独立にシグナル光λs(1),λs(2)とアイド
ラ光λi(1),λi(2)が発振する。
【0020】ここで、ミラーM1は励起光源10からの
励起光λpは透過するが、非線形光学媒質11から励起
光源へ戻る方向の励起光λp、シグナル光λs(1),λ
s(2)およびアイドラ光λi(1),λi(2)は反射
するようになっている。ミラーM2は非線形光学媒質1
2からの励起光λpをほとんど反射するが、シグナル光
λs(1),λs(2)およびアイドラ光λi(1),λi
(2)の一部を反射し一部を透過する。この共振器によ
って励起光λp、シグナル光λs(1),λs(2)およ
びアイドラ光λi(1),λi(2)は閉じこめられ、発
振する。
【0021】図1に示すように、ミラーM2を透過した
励起光λp、シグナル光λs(1),λs(2)およびア
イドラ光λi(1),λi(2)は、励起光カットフィル
タF1を通ることにより、残っていた励起光成分がカッ
トされる。そして、シグナル光λs(1),λs(2)お
よびアイドラ光λi(1),λi(2)の一部はミラーM
3により反射され、確認装置16に入射される。
【0022】確認装置16はシグナル光λs(1),λs
(2)およびアイドラ光λi(1),λi(2)の重畳し
た光を検出し、その波長と強度に基づいて、非線形光学
媒質11と非線形光学媒質12とが同等あるいは同じ波
長のシグナル光とアイドラ光を発するような位相整合の
条件を満たしているか否かを判定する。この判定結果を
もとに、制御装置15は位相整合調節手段13,14を
制御することにより、非線形光学媒質11,12の位相
整合条件を調節する。これにより、発振器内では同等あ
るいは同じ波長のシグナル光λs(1),λs(2)およ
びアイドラ光λi(1),λi(2)が発振させられる。
このとき、シグナル光λs(1)とλs(2)は重畳さ
れ、且つ、アイドラ光λi(1)とλi(2)は重畳さ
れ、それぞれシグナルλs光とアイドラ光λiとなりミラ
ーM2から出射される。
【0023】なお、位相整合調節手段13,14は、励
起光の非線形光学媒質11,12への入射角、非線形光
学媒質11,12の温度あるいは非線形光学媒質11,
12への印加電圧のいずれか一つ以上を変化させること
によって位相整合条件を調節しており、いずれかに限定
されない。
【0024】具体的には、励起光の非線形光学媒質1
1,12への入射角を変化させ位相整合条件を調節した
い場合、回転テーブルなどに非線形光学媒質11,12
を載置しテーブルを回転させればよい。非線形光学媒質
11,12の温度を変化させ位相整合条件を調節したい
場合は、図2に示すように、非線形光学媒質11,12
の角度は変えずに非線形光学媒質11,12をそれぞれ
温度調節容器T1およびT2に入れ、温度制御素子によ
ってヒータに加える電圧V1およびV2を変化させるこ
とにより非線形光学媒質11,12の温度を変化させれ
ばよい。非線形光学媒質11,12への印加電圧を変化
させ位相整合条件を調節したい場合、図3に示すよう
に、非線形光学媒質11,12の角度は変えずにそれぞ
れ電極E1およびE2を取り付け、電圧V1およびV2
を印加することにより生じる電気光学効果によって位相
整合条件を調節すればよい。
【0025】ミラーM2から出射したシグナル光λs
アイドラ光λiは、励起光カットフィルタF1を透過
し、更にその大部分はミラーM3を透過する。その後、
カットフィルタF2によりシグナル光λsまたはアイド
ラ光λiのみが透過させられ、所望の波長のレーザー光
を得ることができる。
【0026】次に、図4を参照して、励起光λp、シグ
ナル光λs(1),λs(2)およびアイドラ光λ
i(1),λi(2)の相互作用について説明する。図4
は図1の光パラメトリック発振器部分を側面から見た拡
大図である。なお、位相整合は非線形光学媒質11、1
2の結晶軸に対する励起光λpの入射角の変化によって
行われているものとする。また、図2において、励起光
λpの非線形光学媒質11,12への入射角はそれぞれ
θ1,θ2で示し、励起光λpの光路の延長線を破線、発
振光である励起光λp、シグナル光λs(1),λ
s(2)およびアイドラ光λi(1),λi(2)の光路
を実線で示している。
【0027】まず、励起光λpがタイプ−1の非線形光
学媒質11に入射することにより、偏光方向が同じシグ
ナル光λs(1)とアイドラ光λi(1)を発生する。タ
イプ−1の非線形光学媒質11で発生したシグナル光λ
s(1)とアイドラ光λi(1)および変換されずに残っ
た励起光λpは、タイプ−2の非線形光学媒質12に入
射する。このとき、非線形光学媒質11,12の位相整
合波長が大きく異なっている場合には、前述したよう
に、タイプ−2の非線形光学媒質12では励起光λp
入射によりシグナル光λs(2)とアイドラ光λi(2)
が発生するのみで、位相整合条件の異なるシグナル光λ
s(1)とアイドラ光λi(1)とは相互反応を示さな
い。
【0028】ただし、タイプ−1の非線形光学媒質11
とタイプ−2の非線形光学媒質12の光パラメトリック
ゲインが異なる場合には、光パラメトリックゲインが大
きなタイプの非線形光学媒質の発振特性が優勢となり、
優勢となった非線形光学媒質で発生したシグナル光λs
およびアイドラ光λiがミラーM1、M2間で発振す
る。
【0029】一方、非線形光学媒質11,12のシグナ
ル光λs(1)とλs(2)の波長およびアイドラ光λi
(1)とλi(2)の波長が同等あるいは同じ場合に
は、それぞれの非線形光学媒質11,12中でシグナル
光λs(1)とλs(2)が励起光λpとパラメトリック
相互作用を起こすことにより増幅され、シグナル光λs
(1),λs(2)とが重畳したシグナル光λsとして発
振する。
【0030】これに対し、アイドラ光λi(1),λ
i(2)はそれぞれタイプ−2の非線形光学媒質12、
タイプ−1の非線形光学媒質11の位相整合条件に合致
しないため相互作用は起こさないが、励起光λpとシグ
ナル光λsの非線形光学媒質11,12におけるパラメ
トリック相互作用によって、アイドラ光λi(1)とλi
(2)も発生・増幅され、アイドラ光λi(1),λ
i(2)の重畳したアイドラ光λ iとして発振する。
【0031】ここで、発生したシグナル光λsおよびア
イドラ光λiは、2個の非線形光学媒質11、12の光
パラメトリックゲインによって、非線形光学媒質が1個
の光パラメトリック発振器の場合よりも、更に大きく光
パラメトリック発振させられる。また、タイプ−1の非
線形光学媒質11における発振光のバンド幅の広がり
は、タイプ−2の非線形光学媒質12によって狭帯化さ
れる。
【0032】以上の様に、タイプ−1の非線形光学媒質
11とタイプ−2の非線形光学媒質12を用い、同等あ
るいは同じ波長のシグナル光とアイドラ光を発生するよ
うにその位相整合条件を調節することにより、バンド幅
が狭帯化されたシグナル光およびアイドラ光を増幅、発
振させることが可能である。
【0033】なお、図1および図4の光パラメトリック
発振器では、タイプ−1とタイプ−2の2個の非線形光
学媒質を用いているが、非線形光学媒質の個数は3個以
上の複数個でもよい。ただし、複数の非線形光学媒質に
は少なくとも一つのタイプ−1の非線形光学媒質と、少
なくとも一つのタイプ−2の非線形光学媒質が含まれて
いなければならない。
【0034】次に、図5を参照して本発明の第2の実施
形態について説明する。図5の光パラメトリック発振器
は、励起光λpを発する励起光源(図示せず)と、励起
光λpの光路を適宜変更するミラーM41,M42と、
励起光λpの光路上に配置されたタイプ−1の非線形光
学媒質111、タイプ−2の非線形光学媒質121およ
びタイプ−1の非線形光学媒質112、タイプ−2の非
線形光学媒質122と、励起光λpの光路上でこれら非
線形光学媒質111,121,112,122を挟むよ
うに配置された共振器を構成する光学系M1,M2とを
備えて構成されている。
【0035】ここで、タイプ−1の非線形光学媒質11
1とタイプ−2の非線形光学媒質121を第一のペア、
タイプ−1の非線形光学媒質112とタイプ−2の非線
形光学媒質122を第二のペアとして考える。
【0036】いま、タイプ−1の非線形光学媒質111
とタイプ−2の非線形光学媒質121からなる第一のペ
アは、同等あるいは同じ波長を発するように、非線形光
学媒質111,121の結晶軸に対する励起光λpの入
射角θ11,θ21を調節することによって位相整合されて
いる。このペアのみに注目すると、図4の光パラメトリ
ック発振器と同様に考えることができ、励起光λpの入
射によりタイプ−1の非線形光学媒質111で発生した
シグナル光λs(11)およびアイドラ光λi(11)
と、同じく励起光λpの入射によりタイプ−2の非線形
光学媒質121で発生したシグナル光λs(21)およ
びアイドラ光λi(21)とは、非線形光学媒質11
1,121内で励起光λpと光パラメトリック相互作用
する。これにより、シグナル光λs(11)とシグナル
光λs(21)の重畳したシグナル光λs(10)と、ア
イドラ光λi(11)とアイドラ光λi(21)の重畳し
たアイドラ光λi(10)を得ることができるが、これ
らシグナル光とアイドラ光は発振強度が大きく、且つ、
バンド幅が狭帯化されている。
【0037】タイプ−1の非線形光学媒質112とタイ
プ−2の非線形光学媒質122からなる第二のペアは、
同等あるいは同じ波長を発するように、非線形光学媒質
112,122の結晶軸に対する励起光λpの入射角θ
12,θ22を調節することによって位相整合されている。
このペアのみに注目すると、前述の第一のペアと同じ
く、図4の光パラメトリック発振器と同様に考えること
ができ、励起光λpの入射によりタイプ−1の非線形光
学媒質112で発生したシグナル光λs(12)および
アイドラ光λi(12)と、同じく励起光λpの入射によ
りタイプ−2の非線形光学媒質122で発生したシグナ
ル光λs(22)およびアイドラ光λi(22)とは、非
線形光学媒質112,122内で励起光λpと光パラメ
トリック相互作用する。これにより、シグナル光λ
s(12)とシグナル光λs(22)の重畳したシグナル
光λs(20)と、アイドラ光λi(12)とアイドラ光
λi(22)の重畳したアイドラ光λi(20)を得るこ
とができるが、これらシグナル光とアイドラ光は発振強
度が大きく、且つ、バンド幅が狭帯化されている。
【0038】なお、第一のペアの非線形光学結晶11
1,121と第2のペアの非線形光学結晶112,12
2で発生するシグナル光λs(10),λs(20)およ
びアイドラ光λi(10),λi(20)は同等あるいは
一致していなくともよい。
【0039】これらをふまえて、図5の光パラメトリッ
ク発振器について考えると、これには同じ光学系M1,
M2内に二つの光パラメトリック発振器が共存している
ことになる。そして、図5の光パラメトリック発振器内
では第一のペアの光パラメトリック発振器による発振光
であるシグナル光λs(10),アイドラ光λi(10)
と、第二の光パラメトリック発振器による発振光である
シグナル光λs(20),アイドラ光λi(20)が発振
することになる。
【0040】以上の様に、本実施形態による光パラメト
リック発振器では同時に複数の光パラメトリック発振器
を有することができ、それぞれの光パラメトリック発振
器による発振光を得ることが可能である。なお、それぞ
れの光パラメトリック発振器の非線形光学媒質は2個に
限られず、3個以上でもよいことはいうまでもない。
【0041】次に、図6を参照して本発明の第3の実施
形態について説明する。図6の光パラメトリック発振器
は、ミラーM1〜M4によって閉ループの共振器が構成さ
れており、励起光λpを発する励起光源(図示せず)
と、励起光λpの光路上に配置されると共に、ミラーM1
とミラーM2の間に配置されたタイプ−1の非線形光学
媒質11と、励起光λpの光路上に配置されると共に、
ミラーM3とミラーM4の間に配置されたタイプ−2の非
線形光学媒質12とを備えて構成されている。
【0042】まず、励起光λpがミラーM1を介してタイ
プ−1の非線形光学媒質11に入射し、シグナル光λs
(1)およびアイドラ光λi(1)を発生させる。これ
らの光は、ミラーM2およびミラーM3によって反射さ
れ、励起光λpとともにタイプ−2の非線形光学媒質1
2に入射する。ここで、励起光λpおよびシグナル光λs
(1)の入射によりタイプ−2の非線形光学媒質12で
は更なるパラメトリック発振が生じ、シグナル光λ
s(2)およびアイドラ光λi(2)が発生する。ここ
で、シグナル光λs(1),λs(2)およびアイドラ光
λi(1),λi(2)は重畳され、シグナル光λsおよ
びアイドラ光λiとなり、それぞれのバンド幅は狭帯化
される。狭帯化されたシグナル光λsおよびアイドラ光
λiの一部はミラーM4を透過し、出力光として取り出さ
れる。残りのシグナル光λsおよびアイドラ光λiは、更
にミラーM4およびM1で反射され、タイプ−1の非線形
光学媒質11に入射し、更なるパラメトリック発振を生
じさせる。ここで、ミラーM1は励起光λpを透過する様
になっているため、閉ループを通った励起光λpはミラ
ーM1から出力される。
【0043】このように、本発明に係る実施形態は閉ル
ープによる光パラメトリック発振器も構成することが可
能である。また、閉ループ内に複数の非線形光学媒質を
配置することや、複数の対のタイプ−1およびタイプ−
2の非線形光学媒質を配置し、前述した第2の実施形態
を閉ループの共振器で実現できることはいうまでもな
い。
【0044】ところで、光パラメトリック発振における
位相整合条件は、励起光、シグナル光およびアイドラ光
の波数ベクトルkp、ks、kiの保存条件
【数2】 で決まる。通常、光パラメトリック発振において、3つ
の光は同軸上に進行するので、波数はスカラー量kp
s、kiで表すことができる。
【0045】波数kx(x=p,s,i)はそれぞれの
光の偏光方向(常光;o、あるいは異常光;e)におけ
る屈折率nx (y)(λx、θ)を用いて、次式のように表
すことができる(但しy=o,e)。ここで、屈折率n
x (y)(λx、θ)は波長λxと非線形光学媒質の結晶軸に
対する励起光の入射角θの関数である。
【0046】
【数3】 ただし、
【数4】
【数5】 である。ここで、θは非線形光学媒質の結晶軸に対する
励起光の入射角である。
【0047】式(1)〜(5)より、タイプ−1および
タイプ−2についてのθに対する位相整合波長の関係で
ある位相整合曲線が求められる。図7は非線形光学媒質
にBBO、励起光レーザにNd:YAGレーザの第3高
調波:波長354.7nmを用いた場合の光パラメトリ
ック発振の位相整合曲線を示している(以下、特に表記
がない限り、非線形光学媒質にはBBO結晶を、励起光
レーザにはNd:YAGレーザの第3高調波:波長35
4.7nmを用いることとする)。この図7より、励起
光の入射角θの調節により、タイプ−1とタイプ−2の
BBO結晶で同じ波長の発振光を得たい場合、タイプ−
2の非線形光学媒質に対する励起光の入射角θはタイプ
−1と比較して大きくなっており、特に縮退点付近では
タイプ−1の場合、励起光の入射角θの微妙な変化によ
って、発振光の波長が大きく左右されることが理解でき
る。
【0048】また、このときの光パラメトリックゲイン
Gに関連する性能指数(Figure ofMerit;FOM)は次
式で表される。
【0049】
【数6】
【0050】
【数7】 ここで、C0は光速度、ε0は真空の誘電率である。d
effは有効非線形定数と呼ばれ、ある位相整合条件での
非線形光学媒質における2次の非線形光学定数の値であ
る。これより、結晶の長さをLとすると、光パラメトリ
ックゲインGは次式のように求められる。
【0051】
【数8】 ここで、Ipは励起光のパワー密度である。
【0052】タイプ−1とタイプ−2でL、Ipがほぼ
同じであれば、光パラメトリック発振における発振のし
易さはFOMで比較できる。図8はBBO結晶における
タイプ−1とタイプ−2のFOMを示しており、FOM
(1)はタイプ−1でのFOM、FOM(2)はタイプ
−2でのFOMである。BBO結晶の場合、FOM
(1)はcos2θに、FOM(2)はcos4θに比例するの
で、位相整合角の大きいタイプ−2では縮退点に近づく
につれ光パラメトリックゲインの減少が著しくなる。こ
れに対し、FOM(1)は縮退点に近づくにつれ、大き
くなっていくことが理解できる。
【0053】ところで、図9はタイプ−1の非線形光学
媒質110のみ、図10はタイプ−2の非線形光学媒質
120のみを用いた場合の典型的な光パラメトリック発
振器の構成例を示している。両図において、(a)が非
線形光学媒質を1つ用いた場合、(b)が2個の同じ種
類の非線形光学媒質を用いた場合を示しており、(b)
では、それぞれの非線形光学媒質を互いに結晶軸が反対
になるようにカスケード配置している。この様にカスケ
ード配置とするのは、励起光、シグナル光およびアイド
ラ光の屈折率の違いによるエネルギー伝搬方向のずれ
(Walk-off;ウォークオフ)を補正することによって、
光パラメトリック発振器の効率を向上させるためであ
る。従来技術では、前述のように同じ種類、同じタイプ
の非線形光学媒質を使用したパラメトリック発振器が用
いられていた。そこで、本発明者は、まず、従来技術で
ある図8(a)のタイプ−1の非線形光学媒質110を
一つ用いた場合の光パラメトリック発振器の発振光スペ
クトルを測定した。
【0054】図11は図9(a)の光パラメトリック発
振器における、各発振波長に対するバンド幅(半値幅;
FWHM)の関係を示している。図11(a)は発振波
長に対する半値幅の大きさの関係を示しており、図11
(b)は発振波長に対する半値幅の関係をカイザーで示
したものである。図11より発振波長が縮退点である7
09.4nmに近づくにしたがって、バンド幅が急激に
大きくなっていくこと、発振光のエネルギーが大きくな
ることが理解できる。
【0055】タイプ−2については、タイプ−1と比較
して縮退点付近でもバンド幅は広がらないことが、文献
「Appl. Phys. Lett. Vol. 56 (1990), 1819」のFi
g.2によって示されている。この様に、タイプ−1の
非線形光学媒質ではバンド幅が大きく広がる傾向がある
が、タイプ−2の非線形光学媒質は発振バンド幅が広が
らないことが理解できる。
【0056】次に、図12を参照して、タイプ−1の非
線形光学媒質とタイプ−2の非線形光学媒質を組み合わ
せることにより、発振強度が大きく、且つ、バンド幅が
狭帯化された発振光が得られる様子を説明する。図12
(a)はタイプ−1とタイプ−2の非線形光学媒質をシ
グナル光の波長が703.0nm、アイドラ光の波長が
715.9nmで位相整合させている場合における、タ
イプ−1の非線形光学媒質のみの光パラメトリック発振
器の発振光スペクトル、タイプ−2の非線形光学媒質の
みの光パラメトリック発振器の発振光スペクトルおよび
タイプ−1とタイプ−2の非線形光学媒質を組み合わせ
た光パラメトリック発振器の発振光スペクトルをそれぞ
れ示している。
【0057】図12(a)に示すように、タイプ−1で
は発振光のバンド幅がそれぞれの発振波長において広帯
化しており、発振強度は大きい。これに対し、タイプ−
2ではバンド幅は狭帯化されているが発振強度が極めて
小さい。これらタイプ−1とタイプ−2の非線形光学媒
質を組み合わせた場合、タイプ−1の非線形光学媒質に
おける発振強度の強さと、タイプ−2のバンド幅の狭帯
化が発振光に反映され、図示のように発振強度が強く、
バンド幅の狭い発振光を得ることができる。
【0058】図12(b)は、タイプ−1の非線形光学
媒質を縮退点で位相整合させ、タイプ−2の非線形光学
媒質をシグナル光の波長が703.0nm、アイドラ光
の波長が715.9nmで位相整合させている場合にお
ける、タイプ−1のみの光パラメトリック発振器の発振
光スペクトル、タイプ−2のみの光パラメトリック発振
器の発振光スペクトルおよびタイプ−1とタイプ−2を
組み合わせた光パラメトリック発振器の発振光スペクト
ルをそれぞれ示している。
【0059】図12(b)に示すように、タイプ−1で
は縮退点付近で発振光のバンド幅が広帯化しており、発
振強度は大きい。これに対し、タイプ−2ではバンド幅
は狭帯化されているが発振強度が極めて小さい。図12
(b)の場合、タイプ−1とタイプ−2は同じ波長の発
振光を発していないが、タイプ−2の各発振波長におけ
るタイプ−1の発振光の強度が十分大きいため、タイプ
−1とタイプ−2の非線形光学媒質を組み合わせた場
合、タイプ−1の非線形光学媒質の発振強度がタイプ−
2の発振波長において維持されているため、その発振強
度とタイプ−2のバンド幅の狭帯化が発振光に反映さ
れ、図12(a)と同様、図示のように発振強度が強
く、バンド幅の狭い発振光を得ることができる。
【0060】次に、図13から図16を参照して、実際
に光パラメトリック発振器を発振させた時の発振光のス
ペクトル分布について説明する。図13は光パラメトリ
ック発振器内にタイプ−1の非線形光学媒質を配置し、
縮退点で位相整合させた場合のスペクトル分布を示す。
つまり、図9(a)の光パラメトリック発振器におい
て、縮退点で位相整合させた場合のスペクトル分布であ
る。図13より、発振光に約40nm程度のスペクトル
の広がりがあることが理解できる。この様に、タイプ−
1の非線形光学媒質のみの光パラメトリック発振器の場
合、発振スペクトルの広がりが大きいことが理解でき
る。
【0061】次に、図13における光パラメトリック発
振状態を維持したまま、タイプ−2の非線形光学媒質を
共振器内に挿入して縮退点で位相整合させた場合、つま
り、図1および図2の光パラメトリック発振器におい
て、非線形光学媒質11,12を縮退点で位相整合させ
た場合の発振光のスペクトル分布を図14に示す。図1
3と比較して、図14の場合には発振強度が増加してい
るにもかかわらず、スペクトル幅は大幅に狭帯化されて
いることがわかる。この様に、光パラメトリック発振器
にタイプ−1とタイプ−2の非線形光学媒質を組み合わ
せて用いることにより、発振強度の増加と発振バンド幅
の狭帯化が可能であることが理解できる。
【0062】次に、図14の状態から、タイプ−2の非
線形光学媒質の位相整合条件を少し変化させると、図1
5に示すように、シグナル光とアイドラ光が分離され
る。更に、図15の状態からタイプ−2の非線形光学媒
質の位相整合条件を変化させると、図16に示すよう
に、更にシグナル光とアイドラ光が分離される。これは
シグナル光とアイドラ光が精度良く同調できていること
を意味している。
【0063】以上のように、本実施形態における光パラ
メトリック発振器では、タイプ−1の非線形光学媒質と
タイプ−2の非線形光学媒質を組み合わせて用いること
によって、縮退点付近でも発振強度が強く、バンド幅の
広がらない発振光が得られる。
【0064】なお、本実施形態では、励起光にNd:Y
AGレーザの基本波および第3高調波を用いたが、励起
光にはNd:YAGレーザの第2高調波やその他のレー
ザ光を用いてもよい。また、本発明は発振光の波長選択
にグレーティングを用いていないため、LD励起のN
d:YAGレーザのような、エネルギー密度が小さい励
起光源を用いる光パラメトリック発振器に対して非常に
有用である。
【0065】また、本実施形態では、非線形光学媒質に
BBO結晶のタイプ−1とタイプ−2を用いたが、用い
る非線形光学媒質もBBO結晶に限られず、LBO、K
TPあるいはLNなど他の種類の非線形光学媒質を用い
てもよい。また、複数個の非線形光学媒質を用いてもよ
いが、全てが同種類の非線形光学媒質である必要はな
く、例えば、タイプ−1のLBOとタイプ−2のBB
O、タイプ−1のBBOとタイプ−2のKTPなど、色
々な種類の非線形光学媒質を組み合わせて用いてもよ
い。更に、これらの非線形光学媒質はバルクではなく疑
似位相整合の周期構造型のものでもよい。
【0066】次に、本発明に係る光パラメトリック発振
器の具体的応用例について図17を参照して述べる。以
下の内容の基本的部分は文献「応用物理第65巻第1号
(1996)p.31で解説されているものである。
【0067】近年、ガンの診断と治療において、光線力
学的治療法(photodynamic therapy;PDT)が注目を
集めている。これはガン細胞にレーザ光を照射し、活性
酸素の一種である一重項酸素を発生させ、ガン細胞を死
滅させる治療法である。一重項酸素は正常細胞にも有害
であるため、ガン細胞と正常細胞の部位の診断が必要不
可欠となるが、体内に光感受性物質を注入し、その光感
受性物質の蓄積状態がガン細胞と正常細胞で異なること
を利用してガン細胞の部位の診断を行う方法が提案され
ている。そして、その光感受性物質にME2906とい
う物質を用いることが検討されている。
【0068】ME2906は、波長664nmの光を照
射すると励起され、正常細胞からは波長670nm付近
の自家蛍光が発せられ、ガン細胞からは蛍光がないとい
う特性を持っている。そこで、図17に示すように、体
内にME2960が蓄積されsた状態で、光ファイバー
などで664nmのレーザ光を患部まで導光し、波長6
70nmの蛍光を検出することにより、正常細胞とガン
細胞の部位を診断する事が可能である。また、レーザ光
照射によるガン細胞の死滅の確認も波長670nm付近
の自家蛍光を検出することによって確認することが可能
となる。
【0069】しかし、診断に使用する波長664nmの
波長と、正常細胞からの蛍光波長670nmは非常に近
接しており、従来のレーザ光では波長幅が広かったこと
から波長664nmと670nmの判別ができなかっ
た。そこで、波長選択性がよく、しかも波長幅が1nm
好ましくは0.5nm以下のレーザ光の必要性が高まっ
ていた。波長幅に関しては、レーザダイオードでも0.
5nm程度のレーザが得られるが、本実施形態の光パラ
メトリック発振器で得られるパルス光の方が、ガン細胞
への浸透度が大きいため、診断および治療の光源として
用いやすく、格別の効果が得られる。
【0070】そこで、本発明にかかる光パラメトリック
発振器では、発振光の波長の選択性がよく、その波長幅
が0.5nm以下であるレーザ光が得られるため、PD
Tへの応用が可能で、その期待も高まっている。以上の
ことから、PDTへの応用に対して本発明の光パラメト
リック発振器は大きく貢献することが期待できる。
【0071】
【発明の効果】以上、詳細に述べたように、本発明の光
パラメトリック発振器では、少なくとも一つのタイプ−
1の非線形光学媒質と少なくとも一つのタイプ−2の非
線形光学媒質を含む複数の非線形光学媒質を用い、それ
ぞれの非線形光学媒質の位相整合条件を個別に調節する
ことによって、縮退点付近でも光パラメトリック発振光
のバンド幅が狭帯化され、且つ、発振強度の大きい発振
光を得ることが可能である。このとき、波長選択の制御
は非線形光学媒質の位相整合条件の調節だけで済むの
で、簡便に制御することが可能である。
【0072】また、励起光源にエネルギー密度の低いレ
ーザを用いることができるので、非線形光学媒質や光学
系のレーザによる損傷を回避しやすい。
【0073】また、複数の非線形光学媒質の内、一つの
非線形光学媒質の位相整合条件を変化させることよっ
て、シグナル光とアイドラ光が精度よく分離できるの
で、所望の波長の発振光を簡易に得ることが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る、光パラメトリック発
振器の構成概念図である。
【図2】非線形光学媒質の温度調節による位相整合調節
手段を示す図である。
【図3】非線形光学媒質の印加電圧による位相整合調節
手段を示す図である。
【図4】図1における光パラメトリック発振器の拡大図
を示す図である。
【図5】本発明に係る光パラメトリック発振器の第2の
実施形態を示す図である。
【図6】本発明に係る光パラメトリック発振器の第3の
実施形態を示す図である。
【図7】BBO結晶の場合の位相整合曲線を示す図であ
る。
【図8】BBO結晶のFOMを示す図である。
【図9】タイプ−1のBBO結晶を用いた場合の光パラ
メトリック発振器の実施形態を示す図である。
【図10】タイプ−2のBBO結晶を用いた場合の光パ
ラメトリック発振器の実施形態を示す図である。
【図11】図6(a)のパラメトリック発振器におけ
る、各発振波長に対するスペクトル幅の関係を示す図で
ある。
【図12】本発明の実施形態に係る、タイプ−1、タイ
プ−2、およびタイプ−1とタイプ−2の非線形光学媒
質を組み合わせた場合における、発振波長のスペクトル
分布を示す図である。
【図13】図6(a)の光パラメトリック発振器におけ
る、縮退点で位相整合した場合の発振スペクトルを示す
図である。
【図14】図1の光パラメトリック発振器における縮退
点で位相整合させた場合の発振スペクトルを示す図であ
る。
【図15】図11からタイプ−2の非線形光学媒質の位
相整合条件を少し変化させた場合の発振スペクトルを示
す図である。
【図16】図12から更にタイプ−2の非線形光学媒質
の位相整合条件を変化させた場合の発振スペクトルを示
す図である。
【図17】本発明の実施形態にかかる光パラメトリック
発振器の応用例を示した図である。
【符号の説明】
10…励起光源、11…タイプ−1の非線形光学媒質、
12…タイプ−2の非線形光学媒質、13、14…位相
整合手段、15…制御装置、16…光波長および光強度
確認装置、M1〜M3…ミラー、F1、F2…フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高 新 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 高坂 正臣 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 Fターム(参考) 2K002 AB12 AB27 BA06 BA13 CA02 CA03 EB15 GA04 HA21 5F072 AB02 JJ20 KK11 MM20 QQ03 YY01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光を出力する励起光源と、 前記励起光の光路上に配置され、前記励起光の照射によ
    り光パラメトリック発振し、シグナル光およびアイドラ
    光を発する複数の非線形光学媒質と、 前記複数の非線形光学媒質それぞれが、同等あるいは同
    じ波長の前記シグナル光と前記アイドラ光を発生するよ
    うに位相整合条件を調節する位相整合調節手段と、 前記励起光、前記シグナル光および前記アイドラ光に対
    して共振器を構成する光学系とを備え、 前記位相整合調節手段は、前記非線形光学媒質の少なく
    とも一つを前記シグナル光と前記アイドラ光の偏光方向
    が同じになるように、且つ、少なくとも一つを前記シグ
    ナル光と前記アイドラ光の偏光方向が異なるように位相
    整合条件を調節することを特徴とする光パラメトリック
    発振器。
  2. 【請求項2】 前記位相整合調節手段は、前記励起光の
    前記非線形光学媒質への入射角、前記非線形光学媒質の
    温度あるいは前記非線形光学媒質への印加電圧のいずれ
    か一つ以上を変化させることによって、位相整合条件を
    調節するように構成されていることを特徴とする請求項
    1記載の光パラメトリック共振器。
  3. 【請求項3】 前記シグナル光および前記アイドラ光の
    波長と光強度に基づいて、前記位相整合調節手段を制御
    する制御手段を更に備える請求項1または2記載の光パ
    ラメトリック発振器。
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