JP4647449B2 - 試料分析装置 - Google Patents

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本発明は、試料分析装置に関し、より詳細には、試料に光を照射し、該照射による試料からの光を検出して、光情報を取得することにより、試料の特性を分析する試料分析装置に関するものである。
近年、生体等の光散乱物質に対する吸光分析技術の開発が進められている。生体などの光散乱物質に照射された光は、多重散乱を繰り返しながら拡散的に伝播し、その一部は吸収され、残りは生体の外部に出てくる。このような光散乱物質内の光の振る舞いについては光拡散理論に基づいた光拡散方程式で表される。この光拡散方程式は微分方程式の形で記述されるため、生体の外部に出射した光を計測し光拡散方程式に当てはめることにより、生体の光吸収係数の分布または光散乱係数の分布等の特性値の分布を得ることができる。このような特性値の分布から断層像を再構成する光CT(Optical Computed Tomography)の技術が注目を集めている。光CTにより得られた生体の組織内の断層像は、組織内部の病変部の検出や診断の重要な材料となる。
上記のような分析を行う装置として、試料に極短パルス光を照射する時間分解分光法(time−resolved spectroscopy)を用いたシステムや、試料に高周波の変調光を照射する周波数分解分光法(frequency−domain spectroscopy)を用いたシステムが提案されている。
時間分解分光法では、時間幅の極めて狭い、ピコ秒程度の極短パルス状の光を試料である光散乱物質へ入射させ、光散乱物質内を伝播して散乱吸収を受けた後に外部に現れる光の時間的な広がり(時間プロファイル)を計測して、光拡散方程式を適用して計算することにより、試料内の特性値の分布を知ることができる。
また、周波数分解分光法では、高い周波数で変調された変調光を試料である光散乱物質へ入射させ、光散乱物質内を伝播して散乱吸収を受けた後に外部に現れる光の強度変化および位相遅れを計測して、光拡散方程式を適用して計算することにより、試料内の特性値の分布を知ることができる。
ところで、計測手段が試料に接触する接触計測では種々の制約があるため、最近では試料と接触しない非接触計測の要望が高まっている。非特許文献1、非特許文献2には、光CTシステムにおいて、非接触計測により得られたデータから断層像を再構成する手法が記載されている。
Experimental Fluorescence Tomography of Tissues With Noncontact Measurements、 Schulz、 R.B.、 J. Ripoll and V. Ntziachristos. IEEE Trans. Med、 Imaging 23、 492−500 (2004) Time−dependent whole−body fluorescence tomography of probe bio−distributions in mice、 S. V. Patwardhan、 S. R. Bloch、 S. Achilefu、 J. P. Culver、 4 April 2005 / Vol. 13. No. 7 / OPTICS EXPRESS 2564
しかしながら、ミラー等により光を偏向して試料を走査する非接触計測では、通常、計測手段から計測点までの距離が計測点ごとに異なる。この距離を光速で除算したものが、計測手段から計測点まで光が到達するのに要した時間であるから、計測点ごとにこの時間が異なることになり、すなわち時間差が生じることになる。特に、生体内の計測に用いられる内視鏡の光学系は、視野角が非常に大きいため、光の偏向角度も大きくなり、発生する時間差も大きくなる。上述した光CTで用いられるピコ秒レベルのパルス光による時間分解分光法や高周波変調光による周波数分解分光法では、上記のような時間差は精度確保の上で看過できないものとなる。
非特許文献1、非特許文献2に記載の計測は、非接触計測ではあるが、CW(Continuous Wave)光照射での測定データをもとに断層像を再構成しており、光CT計測による断層像の再構成で一般的に使用されている時間分解分光法や周波数分解分光法とは異なる。そのため、上記文献の手法を光CT計測の時間分解分光法や周波数分解分光法に適用することはできず、上記文献からはこれらの分光法における時間差の補正を導くことはできない。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、非接触計測における時間差が補正された高精度な試料分析装置を提供することを目的とする。
本発明による試料分析装置は、光を偏向して試料を走査する走査手段を有し、前記走査による前記試料からの光を前記試料の複数の検出点から検出し、該光の光情報を取得する試料分析装置において、前記走査の走査点および前記検出点に応じて、前記光情報の時間情報を補正する補正手段と、前記補正された光情報に基づいて前記試料の特性を計算する計算手段と、を備えることを特徴とするものである。
前記走査手段が偏向する光は、短パルス光または強度変調光であるようにしてもよい。
また、前記走査手段から前記走査点および前記検出点までの距離情報を取得する距離情報取得手段をさらに備え、前記補正手段は、前記距離情報に応じて前記光情報の時間情報を補正するようにしてもよい。
その際に、前記偏向される光は励起光であり、前記検出される光は該励起光により前記試料から発せられる蛍光であり、前記励起光および前記蛍光とは波長の異なる照明光を前記試料に照射する照明光照射手段をさらに備え、前記距離情報取得手段は、前記照明光を用いて距離情報を取得するようにしてもよい。
さらに、前記走査手段から前記走査点までの距離情報に基づき、前記走査手段が偏向する光の合焦位置を調節する合焦位置調節手段をさらに備えるようにしてもよい。
前記特性が、光吸収係数、光散乱係数、遅延蛍光の発光時間、蛍光強度の少なくとも1つであるようにしてもよい。
なお、ここで「前記走査による前記試料からの光」とは、試料を走査することに起因して試料から射出される光を意味し、試料を走査した光が試料内を拡散伝播した後に試料から射出される光や、試料を走査した光により試料内に存在する蛍光物質が励起されて該蛍光物質から射出される蛍光などを含む。
また、ここで「光情報の時間情報」とは、光情報に含まれる時間情報を意味し、例えば、時間に伴う強度変化が光情報の場合には、時間の値そのものを時間情報としてもよく、この場合に「時間情報を補正する」とは時間の値そのものを変更することである。
なお、上述の「遅延蛍光」とは、三重励起子から再び一重励起子にあがり、そこから発する蛍光のことである。遅延蛍光は、発光寿命が長いのが特徴であり、組織性状によりこの発光寿命が異なることが知られている。
また、本明細書では計測に用いられる点を計測点と呼び、「走査点」、「検出点」は計測点に含まれるものとする。
本発明の試料分析装置によれば、補正手段により走査点および検出点に応じて光情報の時間情報を補正し、計算手段により補正された光情報に基づいて試料の特性を計算するようにしているため、非接触計測における時間差を補正でき、精度を確保することができる。
なお、走査手段が偏向する光を、短パルス光または強度変調光とすれば、光CT計測の時間分解計測や周波数分解計測に適用することができる。
走査手段から走査点または検出点までの距離情報を取得する距離情報取得手段をさらに備え、補正手段が、さらにこの距離情報に応じて光情報の時間情報を補正する場合には、より精度の向上を期待できる。特に、計測手段に対して傾斜した面や凹凸形状を有する試料に対し有効である。
また、励起光を偏向し、該励起光により試料から発せられる蛍光を検出し、前記励起光および前記蛍光とは波長の異なる照明光を試料に照射する照明光照射手段をさらに備え、距離情報取得手段は、照明光を用いて距離情報を取得するようにすれば、距離情報の取得とともに、照明光により励起光の照射点の特定が容易になる。
前記距離情報に基づき、走査手段が偏向する光の合焦位置を調節する合焦位置調節手段をさらに備える場合には、試料面において偏向する光の光束径を所望の径にすることができる。
前記特性を、光吸収係数や光散乱係数とすれば、試料の基本的な特性を把握することができる。試料が生体組織の場合には、病変部は正常部とは異なる光学特性を有することが多いため、これらの特性から病変部を推定することができる。前記特性を、遅延蛍光の発光時間とすれば、発光時間の長さから組織性状を推定することができる。前記特性を、蛍光強度とすれば、例えば、試料に腫瘍親和性を有する蛍光薬剤を投与した場合には、腫瘍と考えられる領域を判別することができる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の試料分析装置の具体的な実施形態である蛍光内視鏡装置1の概略構成図である。蛍光内視鏡装置1は、生体組織に光を照射し、その照射された光によって生体組織から射出される光を検出して生体組織内の光学特性値の分布を求め、これにより正常部と病変部等の組織性状の相違を推定するものである。より具体的には、本蛍光内視鏡装置1は、予め腫瘍親和性を有する蛍光薬剤が投与された試料である被計測部9へ、該蛍光薬剤を励起する波長帯域の励起光L1を照射し、被計測部9内の蛍光薬剤の分布状態を計測する時間分解分光法を用いた試料分析装置である。なお、蛍光薬剤としては、一例として、波長750nmの光で励起した場合に、770nm〜790nmの波長の蛍光を射出する蛍光薬剤を用いている。
蛍光内視鏡装置1は、図1に示すように、大別してスコープ部2と、プロセッサ部3と、モニタ部4とから構成される。さらにプロセッサ部3は、照明ユニット20と、蛍光処理ユニット30と、通常画像処理ユニット40と、制御・信号処理ユニット50と、ビデオ信号処理回路60とから構成される。なお、以下の説明では長尺のスコープ部2の被計測部9側を先端、プロセッサ部3側を後端という。
スコープ部2は、撮像素子を備えた先端が体腔内に挿入されるものである。スコープ部2はその内部に先端から後端にわたり延設された、励起光を伝送するためのライトガイド110と、照明光を伝送するためのライトガイド120と、被計測部9の蛍光画像の伝送に用いられるイメージファイバ130と、被計測部9の通常画像の伝送に用いられるケーブル140とを備えている。
ライトガイド110はシングルコアタイプのファイバからなり、ライトガイド110の先端には、オートフォーカス機構111と、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー112、114が設けられ、後端は照明ユニット20に接続されている。オートフォーカス機構111は、ライトガイド110から射出される励起光の合焦位置を調節する合焦位置調節手段であり、不図示のケーブルにより制御・信号処理ユニット50と接続されて駆動される。MEMSミラー112、114は、励起光を偏向して被計測部9を走査する走査手段であり、不図示のケーブルにより制御・信号処理ユニット50に接続されて駆動される。なお、MEMSミラー112を単なるミラーに置換した構成も可能である。
ライトガイド120はバンドルタイプのファイバからなり、先端には照明レンズ122が設けられ、後端は照明ユニット20に接続されている。イメージファイバ130の先端には蛍光画像用対物レンズ132が設けられ、後端は蛍光処理ユニット30に接続されている。ケーブル140の先端にはCCD撮像素子142が接続され、CCD撮像素子142には、光路折り曲げ用のプリズム144が取り付けられ、さらにその先端には通常画像用対物レンズ146が設けられ、ケーブル140の後端は通常画像処理ユニット40に接続されている。
また、スコープ部2の先端内部の両端にはそれぞれステレオ画像撮影系としてCCD撮像素子151、152と、それらの先端に配置された対物レンズ153、154が設けられている。CCD撮像素子151、152の出力は不図示のケーブルにより制御・信号処理ユニット50に送信される。ステレオ画像撮影系は、距離情報取得手段として機能し、被計測部9の像を対物レンズ153、154によりCCD撮像素子151、152に結像させ、公知の方法によりその視差から被計測部9までの距離を計算して求めることができる。
照明ユニット20は、励起光用電源212と、励起光を射出する励起光光源214と、励起光光源214からの光を集光してライトガイド110へ入射させるレンズ216と、白色光用電源222と、白色光を射出する白色光光源224と、白色光光源224からの光を集光してライトガイド120へ入射させるレンズ226とを備えている。白色光は励起光および蛍光とは波長の異なる照明光として用いられるものである。励起光用電源212と、白色光用電源222とは、制御・信号処理ユニット50に接続されている。
蛍光処理ユニット30は、イメージファイバ130からの光を平行光化するレンズ302と、平行光化された光を分割するハーフミラー304と、分割後の一方の光路に配置された励起光カットフィルタ306と、結像レンズ308と、高感度撮像素子310と、高感度撮像素子310からの信号をデジタル化するA/D変換器312と、A/D変換器312から出力された画像信号を保存する蛍光画像メモリ314とを備える。蛍光画像メモリ314は制御・信号処理ユニット50と、ビデオ信号処理回路60とに接続されている。
蛍光処理ユニット30のハーフミラー304の分割後の他方の光路には、さらに波長760nm未満の波長の光を反射光とし、波長760nm以上の光を透過光として分割するダイクロイックミラー320が配置されている。そして、蛍光処理ユニット30はさらに、ダイクロイックミラー320の反射光の光路に配置されたレンズ322と、PDアレイ324と、フォトンカウンティングシステム326と、ダイクロイックミラー320の透過光の光路に配置されたレンズ332と、PDアレイ334と、フォトンカウンティングシステム336とを備える。PDアレイ324、334は高速フォトディテクターが2次元上に配列されたものである。フォトンカウンティングシステム326、336はPDアレイ324、334の各高速フォトディテクターとそれぞれ接続されたTAC(time−amplitude converter)を備え、光パルスを入射したタイミングとフォトンが検出されたタイミングの時間差を測定するものである。フォトンカウンティングシステム326、336の出力は制御・信号処理ユニット50へ送信される。
通常画像処理ユニット40は、A/D変換器402と、通常画像メモリ404とを備える。通常画像メモリ404は、制御・信号処理ユニット50と、ビデオ信号処理回路60とに接続されている。
ビデオ信号処理回路60は、モニタ部4に接続され、通常画像メモリ404および蛍光画像メモリ314から出力された画像信号をビデオ信号に変換してそれぞれモニタ部4の通常画像観察用モニタ71と蛍光画像観察用モニタ72へ出力する。
制御・信号処理ユニット50は、入力された信号の処理をするとともに蛍光内視鏡装置1全体の動作を制御するものである。後に詳述するように、制御・信号処理ユニット50は、フォトンカウンティングシステム326、336からの出力に基づき光情報を取得し、この光情報に基づき、被計測部9の特性を計算する。その際に、制御・信号処理ユニット50は、被計測部9における走査点および検出点に応じて、光情報の時間情報を補正する補正手段として機能し、また、この補正された光情報に基づいて被計測部9の特性を計算する計算手段として機能する。
以下、上記蛍光内視鏡装置1の動作について説明する。撮像に先立ち、観察者はスコープ部2を、被験者の体腔内に挿入し、スコープ部2先端を被計測部9の近傍に誘導する。
まず、通常画像を取得する動作について説明する。制御・信号処理ユニット50からの信号に基づき、白色光用電源222が駆動され、白色光光源224から白色光が射出される。白色光は集光レンズ226により集光され、ライトガイド120に入射され、スコープ部2の先端まで導光された後、照明レンズ122から被計測部9へ照明光として照射される。この照明光により被計測部9の像が、通常画像用対物レンズ146によりCCD撮像素子142上に結像される。CCD撮像素子142から出力された画像信号はケーブル140を経由してA/D変換器402でデジタル信号に変換されて、通常画像メモリ404の記憶領域に記憶される。通常画像メモリ404からは画像信号が制御・信号処理ユニット50とビデオ信号処理回路60に出力され、ビデオ信号処理回路60ではこの画像信号をビデオ信号に変換して通常画像観察用モニタ71に出力する。
次に、蛍光画像を取得する動作および被計測部9内の蛍光薬剤の分布状態を調べる動作について説明する。制御・信号処理ユニット50からの信号に基づき、励起光用電源212が駆動され、励起光光源214から波長750nm、パルス幅100ps、平均パワー3mWの短パルス状の励起光が100MHzで射出される。励起光は、集光レンズ216により集光され、ライトガイド110に入射され、スコープ部2の先端まで導光された後、オートフォーカス機構111により被計測部9で所定の光束径になるよう合焦位置を調節され、MEMSミラー112、114で反射される。制御・信号処理ユニット50によりMEMSミラー114の反射面の角度が制御され、これにより励起光の偏向角度が制御されて、励起光は被計測部9を走査する。
被計測部9に照射された励起光は、被計測部9内を多重散乱を繰り返しながら拡散的に伝播し、その一部は吸収され、残りは被計測部9から射出されて散乱光となる。また、励起光により、被計測部9内の蛍光薬剤が励起されて蛍光が射出され、この蛍光もまた被計測部9内を多重散乱を繰り返しながら拡散的に伝播し、その一部は吸収され、残りは被計測部9から射出される。
散乱光と蛍光が射出されている被計測部9の像は、蛍光画像用対物レンズ132によりイメージファイバ130の入射端面に結像され、イメージファイバ130により伝送される。その後、伝送された光はレンズ302を経由した後、ハーフミラー304により分割されて、一方は励起光カットフィルタ306により散乱光がカットされて蛍光のみとなり結像レンズ308により高感度撮像素子310上に結像される。高感度撮像素子310により出力された画像信号はA/D変換器312でデジタル信号に変換されて、蛍光画像メモリ314の記憶領域に記憶される。蛍光画像メモリ314からは画像信号が制御・信号処理ユニット50とビデオ信号処理回路60に出力され、ビデオ信号処理回路60ではこの画像信号をビデオ信号に変換して蛍光画像観察用モニタ72に出力する。
ハーフミラー304で分割された他方の光はダイクロイックミラー320に入射し、この入射光のうち、散乱光は反射されてレンズ322によりPDアレイ324上に集光し、蛍光は透過してレンズ332によりPDアレイ334上に集光する。イメージファイバ130を用いて伝送しているため、被計測部9とPDアレイ324、334とが共役関係となるよう構成しておけば、被計測部9の複数の検出点とPDアレイ324、334の各高速フォトディテクターが対応し、各高速フォトディテクターにより各検出点での光を検出することができる。散乱光および蛍光がそれぞれPDアレイ324、334の各高速フォトディテクターに入射して生じる信号はそれぞれ各高速フォトディテクターが接続されたTACに入力される。TACでは、励起光の発光時の電気信号をトリガー信号としておき、このトリガー信号と高速フォトディテクターからの信号の時間差に応じた電気パルスを出力し、制御・信号処理ユニット50へ送信する。
制御・信号処理ユニット50では、上記電気パルスをマルチチャンネルアナライザー等に通して時間と頻度の分布を取ることにより、図2に示すような時間プロファイルを光情報として作成する。図2の横軸は時間、縦軸は光強度であり、Exが励起光のパルス、Iが検出された散乱光または蛍光のプロファイルを表す。時間プロファイルは、光の散乱による時間的な広がりを表すものであり、100万パルスの励起光ごとに、また、検出点ごとに作成される。例えば被計測部9における走査点および検出点の数が共に100個の場合には、以下のようになる。まず、100万パルスの励起光の照射で、散乱光の時間プロファイル100個と、蛍光の時間プロファイル100個とが作成される。そして、MEMSミラー114の駆動により、走査が行われ、走査点が移動すると、最終的には散乱光の時間プロファイル10000個と、蛍光L3の時間プロファイル10000個が作成される。
ここで、計測点の違いによる時間差について図3を参照しながら説明する。なおここでは、「計測点」は走査点、検出点の総称として用いられ、その計測点を走査しているときは走査点となり、その計測点で検出しているときは検出点となる。図3では、MEMSミラー114による光の偏向点をOとし、偏向点Oに最近接となる被計測部9の計測点をA、OAとそれぞれ30度、90度なすOB、OCとなる被計測部9の計測点をB、Cとしている。破線は線分OAを半径とする弧である。なお、簡明化のため、被計測部9の表面は平面としている。図3からわかるように、OB、OCはOAより長く、OAを10mmとした場合、その差ΔAB、ΔACはそれぞれ約3mm、約10mmとなる。
上記計測点を走査点とした場合には、光源側で励起光を発光させた時間から被計測部9の各計測点A、B、Cに励起光が到達する時間は計測点ごとに異なり、計測点Aと比べて計測点B、Cではそれぞれ約10ps、33ps余計にかかり、この分時間差が生じる。また、上記計測点を検出点とした場合も同様に、各計測点A、B、Cからイメージファイバ130に到達する時間は計測点ごとに異なり、計測点Aと比べて計測点B、Cではそれぞれ約10ps、33ps余計にかかり、この分時間差が生じる。
制御・信号処理ユニット50は、フォトンカウンティングシステム326、336の出力結果から得られた時間プロファイルに対して、走査点および検出点に応じて上記時間差を考慮して時間情報を補正したプロファイルを作成する。具体的には検出されたプロファイルIを時間軸方向に沿って時間差分シフトさせる。
また、光強度が距離の二乗に反比例することから、計測点Aの光強度に対して計測点B、Cでの光強度はそれぞれ約1/(10/13)、約1/(10/20)となり、光強度が減少する。制御・信号処理ユニット50は、フォトンカウンティングシステム326、336の出力結果から得られた時間プロファイルに対して、走査点および検出点に応じて上記光強度の減少を考慮して光強度の情報を補正したプロファイルを作成する。図2に最終的に補正されたプロファイルをIとして破線で示し、Iとの時間差、光強度の差をそれぞれΔT、ΔIで示す。
走査点の被計測部9の面内方向の位置情報は、制御・信号処理ユニット50により制御されるMEMSミラー114による偏向角の情報から得られる。検出点の被計測部9の面内方向の位置情報は、PDアレイ324、334の各高速フォトディテクターの配列情報から得られる。MEMSミラー114から被計測部9の各走査点および各検出点までの距離情報は、以下に述べる第1〜第3のものを距離情報取得手段として採用することにより得られる。第1は、スコープ部2先端に設けられたステレオ画像撮影系である。第2は、白色光により得られる通常画像の画面内の光強度分布から、被計測部9の各点までの距離を推測することができるので、これを距離情報とすることができる。特に、被計測部9の面がスコープ部2先端に対して傾斜している場合や、凹凸形状を有する場合に有効である。第3に、収束光または発散光を射出する不図示の照明光を被計測部9に照射し、被計測部9での光束径を測定することにより、被計測部9までの距離を測定することができる。
上述の時間情報の補正、光強度の情報の補正の説明では、MEMSミラー114から各計測点A、B、Cまでの具体的な距離の数値を求めているが、必ずしもこのようにする必要はなく、各計測点までの距離の比を用いて補正しても精度向上の効果は得られる。ただし、各計測点までの距離の数値を用いた方がさらに精度が向上するため、制御・信号処理ユニット50は、上記距離情報取得手段により得られた距離情報に応じて光情報の時間情報および光強度の情報を補正することが好ましい。また、得られた距離情報に基づき、制御・信号処理ユニット50はオートフォーカス機構111を制御して励起光の合焦位置を調節できる。なお、上記3つの距離情報取得手段のうち、1つだけ採用してもよく、あるいは組み合わせて採用してもよい。
補正された時間プロファイル作成後、制御・信号処理ユニット50では、まず、散乱光の時間プロファイル10000個に対して光拡散方程式に基づいた信号処理を施して、波長750nmの励起光に対する被計測部9内の光散乱係数の分布および光吸収係数の分布を計算する。ついで、この励起光に対する被計測部9内の光散乱係数の分布および光吸収係数の分布に基づいて、波長770nm〜790nmの蛍光に対する被計測部9内の光散乱係数の分布および光吸収係数の分布を求める。その後、この蛍光に対する被計測部9内の光散乱係数および吸収係数、薬剤蛍光の伝播光の時間プロファイル10000個および光拡散方程式に基づいて、薬剤蛍光の射出源の分布、すなわち蛍光薬剤の分布を計算し、最終的にはモニタ72へ断層画像として出力する。この蛍光薬剤の分布から、蛍光強度の分布を知ることができる。蛍光薬剤としては、前述したように腫瘍親和性を有する蛍光薬剤を用いているため、この断層画像は腫瘍の形状を示す断層画像となる。
なお、時間プロファイルに基づき得られる特性としては、上記の光散乱係数、光吸収係数および蛍光強度だけでなく、遅延蛍光の発光時間等、別の特性も考えられる。
上記例では時間分解分光法を用いる場合について説明したが、周波数分解分光法を用いる場合も、時間差および光強度の補正は同様である。図4に周波数分解分光法を用いて得られる光情報としてのプロファイルの一例を示す。図4の横軸は時間、縦軸は光強度であり、Exが変調された励起光のプロファイル、Iが検出された散乱光または蛍光のプロファイルを表し、補正されたプロファイルをIとして破線で示し、Iとの時間差、光強度の差をそれぞれΔT、ΔIで示す。なお、周波数分解分光法を用いる場合には、励起光は高周波強度変調光を用い、フォトンカウンティングシステムの代わりにネットワークアナライザを用いて検出する。
なお、上記例では通常のイメージファイバ130からの光をハーフミラー304により分割して、蛍光画像メモリ314とフォトンカウンティングシステム326、336に導くようにしたが、別の方法を用いてもよい。例えば、蛍光画像メモリ用のファイバfとフォトンカウンティングシステム用のファイバfとでイメージファイバを構成し、入射面側は、図5に示すような一体化した構造とし、出射面側ではファイバfとファイバfとは分離した構造として、ファイバfは蛍光画像メモリ314に接続し、ファイバfはフォトンカウンティングシステム326、336に接続するようにしてもよい。
本発明の実施形態による試料分析装置の概略構成図 時間分解分光法によるプロファイル 時間差を説明する図 周波数分解分光法によるプロファイル 本発明の別の例のイメージファイバの断面図
符号の説明
1 蛍光内視鏡装置
2 スコープ部
3 プロセッサ部
4 モニタ部
9 被計測部
20 照明ユニット
30 蛍光処理ユニット
40 通常画像処理ユニット
50 制御・信号処理ユニット
60 ビデオ信号処理回路
71 通常画像観察用モニタ
72 蛍光画像観察用モニタ
110 ライトガイド
111 オートフォーカス機構
112、114 MEMSミラー
120 ライトガイド
122 照明レンズ
130 イメージファイバ
132 蛍光画像用対物レンズ
140 ケーブル
142、151、152 CCD撮像素子
144 プリズム
146 通常画像用対物レンズ
153、154 対物レンズ
212 励起光用電源
214 励起光光源
216、226、302、322、332 レンズ
222 白色光用電源
224 白色光光源
304 ハーフミラー
306 励起光カットフィルタ
308 結像レンズ
310 高感度撮像素子
312、402 A/D変換器
314 蛍光画像メモリ
320 ダイクロイックミラー
324、334 PDアレイ
326、336 フォトンカウンティングシステム
404 通常画像メモリ

Claims (6)

  1. 光を偏向して試料を走査する走査手段を有し、前記走査による前記試料からの光を前記試料の複数の検出点から検出し、該光の光情報を取得する試料分析装置において、
    前記走査の走査点および前記検出点に応じて、前記光情報の時間情報を補正する補正手段と、
    前記補正された光情報に基づいて前記試料の特性を計算する計算手段と、を備えることを特徴とする試料分析装置。
  2. 前記走査手段が偏向する光は、短パルス光または強度変調光であることを特徴とする請求項1に記載の試料分析装置。
  3. 前記走査手段から前記走査点および前記検出点までの距離情報を取得する距離情報取得手段をさらに備え、
    前記補正手段は、前記距離情報に応じて前記光情報の時間情報を補正することを特徴とする請求項1または2に記載の試料分析装置。
  4. 前記偏向される光は励起光であり、前記検出される光は該励起光により前記試料から発せられる蛍光であり、
    前記励起光および前記蛍光とは波長の異なる照明光を前記試料に照射する照明光照射手段をさらに備え、
    前記距離情報取得手段は、前記照明光を用いて距離情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の試料分析装置。
  5. 前記走査手段から前記走査点までの距離情報に基づき、前記走査手段が偏向する光の合焦位置を調節する合焦位置調節手段をさらに備えることを特徴とする請求項3または4に記載の試料分析装置。
  6. 前記特性が、光吸収係数、光散乱係数、遅延蛍光の発光時間、蛍光強度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の試料分析装置。
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