JP4578920B2 - 地盤改良方法 - Google Patents
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このとき、固化材を散布する際や土壌と攪拌混合する際に当該固化材が粉塵となって飛散する場合がある。
かかる問題を解決するために、例えば、地盤改良方法に用いる固化材の粒子の大きさを調整する手法が提案されている。
特開平7−305059号公報には、焼結し、それを粉砕することによって製造されるセメント類であって、粉砕の程度を比表面積で2500cm2/g以下にした土壌改良材が開示されており、具体的には、セメントの比表面積を、セメント製造時の粉砕行程で調整して一定以下のものとし、飛散を抑制するものである。
しかし、このような固化材を製造するには、加圧成形の工程やポリアルキレングリコールを噴霧する工程など、粉塵抑制のための処理工程を更に必要とするので、一般の固化材よりも製造に手間がかかるものであり、従って、これらの固化材を用いる地盤改良方法は経済的なものではなかった。
好適には、本発明の地盤改良方法は、前記無粉塵固化材として、焼成温度が600〜1200℃で焼成したものを用いることを特徴とする。
1.本発明の地盤改良方法に用いる無粉塵固化材
本発明に用いる無粉塵固化材は、セメントクリンカ焼成用原料と石膏とを含有する粉末材料を成形して得られる成形材料体を、カルシウムアルミネートを固相反応で生成しかつ石膏が分解しない温度で焼成してなるものである。
固化材に一般的に用いられるポルトランドセメントでは、セメントクリンカを焼成した後、セメントクリンカと石膏を混合・粉砕して製造されるが、本発明に用いる無粉塵固化材においては、セメントクリンカ焼成用原料に予め石膏を添加したものを焼成しているので、焼成体(セメントクリンカ)自体に石膏が含有されるものである。
更に前記無粉塵固化材は、石膏が分解しない温度において、カルシウムアルミネートを、4CaO・Al2O3・Fe2O3等の融液相をほとんど必要とせずに、固相反応で生成させるものである。このような焼成においては、例えば普通ポルトランドセメントクリンカ焼成時のように、反応が急速に進行することはなく、巨視的に不均質な焼成体を得ることとなる。
セメントクリンカ焼成用原料の配合は、焼成により生成させようとするカルシウムアルミネートの鉱物組成に整合するようにカルシウム原料及びアルミニウム原料の比率を定めればよく、例えば特許第2872867号、特許第3179702号、特開平8−169734号等に記載されたものやアルミナセメントクリンカ、アーウィンセメントクリンカの焼成用原料配合と同様の配合とすることもできる。
このように低温で焼成するため、液相がほとんど生成しないこととなる。また、反応がゆっくり進行し、成形材料体中に含まれる炭酸カルシウムから、二酸化炭素の分解脱離や脱水による孔が生成しやすくなり、巨視的に不均質な多孔質焼成体、即ち多孔質な無粉塵固化材が得られる。これにより、得られた焼成体は、容易に解砕することが可能となる。
焼成温度が600℃未満の場合は、カルシウムアルミネート相の生成反応が不十分となり好ましくない。
また、焼成温度が1200℃を超える場合は、石膏が分解してしまい、かつ反応が進行しすぎて強固な焼結体となり解砕しにくくなるので好ましくない。
含有される上記カルシウムアルミネートは、得られる焼成体中に20重量%以上の量で含有されることが好ましく、より好ましくは24重量%以上の量で含有されることが望ましい。
20重量%以上の量とすることにより、地盤改良材として用いたときに必要な強度を確保することができるからである。
石膏が5重量%未満であると、固化材の水和反応時に生成するエトリンガイト量が少なくなるので、良好な強度発現性を得にくくなり、また、固化材の解砕性が低下するので好ましくない。
一方、50重量%を超えると地盤改良材として用いたときに十分な強度を得にくくなり好ましくない。
上記含有量で添加された石膏は、固化材使用時にカルシウムアルミネートと反応し、エトリンガイトを豊富に生成する。生成したエトリンガイトは水分捕捉効果が高いので、水分を多量に含んだ土壌を迅速に安定処理して、早期強度の発現を実現する機能を有することとなる。
12CaO・7Al2O3系カルシウムアルミネートは、12CaO・7Al2O3及びハロゲンを添加した11CaO・7Al2O3・CaX2(但し、Xは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素を示す)単独、若しくは11CaO・7Al2O3・CaX2と12CaO・7Al2O3の混合物等が好ましい。
また、融液相として4CaO・Al2O3・Fe2O3等が共存しても良い。
前記無粉塵固化材を製造するに、セメントクリンカ焼成用原料及び石膏を混合して粉末材料を調整し、次いで当該粉末材料を成形し、得られた成形体を、石膏が分解せずかつカルシウムアルミネートが固相反応で生成する温度で焼成する工程を含むものである。
具体的には、まず、前記無粉塵固化材に用いる原材料である上記セメントクリンカ焼成用原料と上記石膏とを粉砕して粉末化し、かつ、所定の混合割合で混合して粉末材料を調整する。調整の方法としては、セメントクリンカ焼成用原料と石膏を同時粉砕することにより混合粉末を得るようにしても良いし、セメントクリンカ焼成用原料と石膏を別々に粉砕してから混合しても良い。
セメントクリンカ焼成用原料と石膏を別々に粉砕する場合は、セメントクリンカ焼成用原料の粉末度をブレーン比表面積1000〜3000cm2/g(平均粉末径200μm以下、より好ましくは90μm以下)、石膏の粉末度を上記した好適条件とすることが好ましい。なお、セメントクリンカ焼成用原料の粉末度は焼成後の無粉塵固化材の解砕され易さには特に影響を及ぼすものではない。
また、その混合方法は特定されず、均一に混合できれば、公知の任意の方法を用いて混合してもかまわない。
具体的には、成形方法としては、加圧成形法を用いることができるが、これらに限定されるものではなく、公知の任意の成形方法を用いることができる。
焼成させる方式として、ロータリーキルンによる製造法の他に、赤外線加熱炉、反射炉、電気炉、トンネルキルン、ガス炉などによる製造法も使用することができる。
本発明の地盤改良方法は、原位置混合方式により地盤浅層を改良する方法であって、上述の無粉塵固化材を土壌表面に散布し、次いで混合処理機により前記固化材を解砕しながら固化材と土壌とを混合するものである。
具体的には、袋物を人力にて配置・解体してレーキにて敷き均す方法、クレーン等で吊り下げたフレコンバックの底を開口して材料を落下させてレーキにて敷き均す方法、不整地走行車に材料を積み移動先でダンプアップした後レーキにて敷き均す方法、固化材専用散布機にて敷き均す方法、タンクローリーからクレーン等で吊り下げた材料受箱やサイクロンへ材料を圧送しつつ移動しながらレーキにて敷き均す方法等が挙げられる。
混合処理機は、車輪式や履帯式等、対象土壌での作業環境に応じたタイプのベースマシンを用いることができ、混合機本体も、攪拌用アタッチメントを装備した特殊バックホウ、スタビライザ、トレンチャー式混合装置等どのような形式のものであってもよい。
以上の処理を行った後、必要に応じて公知の方法により敷均し・仮転圧・仮置を経て転圧を行えばよい。
これは、高含水土壌には、カルシウムアルミネートと石膏が反応してエトリンガイトが生成し、また、高有機質土壌には、焼成の不均質性に起因して生成する酸化カルシウムがアルカリ物質として作用して凝集機能を呈することができるからである。
実施例1
表1に示す配合で調整した原料粉末5gと二水石膏5gとを混合した後、一軸圧縮成型機を用いて、10t/cm2の圧力で成形して、直径30mmのペレット状成形体を得た。当該ペレットを1000℃で一時間焼成して、無粉塵固化材を得た。
焼成温度が1300℃であること以外は実施例1と同様の条件で焼成して、固化材を得た。
普通ポルトランドセメントクリンカ焼成用原料を、実施例1と同様の条件で焼成して、固化材を得た。
上記実施例1及び比較例1で得られた固化材を、それぞれ直径100mm、高さ100mmのめのう製容器に、直径100mmのめのう製ボール4個と共に入れ、遊星型ボールミル装置(フリッチ(Fritch)社製)を用いて200rpmで10分間粉砕した。
実施例1で得られた無粉塵固化材の場合には、得られた粉末は、1mmの目の篩の通過率が100%であった。
比較例1で得られた固化材の場合には、粉砕処理後においても、固化材はほとんど粉砕されておらず、1mmの目の篩の通過率は1%未満であった。
なお、比較例2の焼成体は非常に脆く、指でつまむと崩壊してしまうものであったので、上記試験は行わなかった。
試料土として、浚渫土(湿潤密度;1.194g/cm3、含水比;250.
4%、Ig.loss;14.9%、奈良県産)及び高有機質土(湿潤密度;1.189g/cm3、含水比;279.0%、Ig.loss;29.1%、高知県産)を使用した。
かかる試料土1m3に、上記実施例1及び比較例1で得られた固化材を300kgを添加して、混合処理し、処理土の材齢7日目における強度を測定した。その結果を表2に示す。
但し、強度は、一軸圧縮試験:JISA 1216「土の一軸圧縮試験方法」
に準拠して測定した。
Claims (2)
- 原位置混合方式により地盤浅層を改良する方法であって、セメントクリンカ焼成用原料と石膏とを含有する粉末材料を成形して得られる成形材料体を、カルシウムアルミネートを固相反応で生成しかつ石膏が分解しない温度で焼成してなる無粉塵固化材を土壌表面に散布し、次いで混合処理機により前記固化材を解砕しながら固化材と土壌とを混合することを特徴とする地盤改良方法。
- 請求項1記載の地盤改良方法において、前記無粉塵固化材として、焼成温度が600〜1200℃で焼成したものを用いることを特徴とする地盤改良方法。
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