JP4565198B2 - 高分解・高速テラヘルツ分光計測装置 - Google Patents

高分解・高速テラヘルツ分光計測装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4565198B2
JP4565198B2 JP2007505795A JP2007505795A JP4565198B2 JP 4565198 B2 JP4565198 B2 JP 4565198B2 JP 2007505795 A JP2007505795 A JP 2007505795A JP 2007505795 A JP2007505795 A JP 2007505795A JP 4565198 B2 JP4565198 B2 JP 4565198B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
frequency
terahertz
thz
time
pulse
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007505795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2006092874A1 (ja
Inventor
武史 安井
勉 荒木
永典 実吉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka University NUC
Original Assignee
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka University NUC filed Critical Osaka University NUC
Publication of JPWO2006092874A1 publication Critical patent/JPWO2006092874A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4565198B2 publication Critical patent/JP4565198B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/25Colour; Spectral properties, i.e. comparison of effect of material on the light at two or more different wavelengths or wavelength bands
    • G01N21/31Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry
    • G01N21/35Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light
    • G01N21/3581Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light using far infrared light; using Terahertz radiation
    • G01N21/3586Investigating relative effect of material at wavelengths characteristic of specific elements or molecules, e.g. atomic absorption spectrometry using infrared light using far infrared light; using Terahertz radiation by Terahertz time domain spectroscopy [THz-TDS]

Description

【技術分野】
【0001】
本技術は、テラヘルツ電磁波パルス(以下、THzパルスと称する)を用いたテラヘルツ分光計測技術に関するものであり、周波数領域上で広帯域スペクトル構造を有するTHzパルスを、理論限界周波数分解能であるレーザーモード同期周波数で高速・高分解測定する計測技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、テラヘルツ時間領域分光法(以下、THz-TDS法と称する)は、THzパルスを用いた代表的周波数計測法として知られている。THz-TDS法による典型的な周波数分光計測システム構成を図1に示す。この方法では、先ず、フェムト秒レーザーによって発生されたTHzパルスとプローブパルス光のポンプ・プローブ測定(または相互相関測定)によりTHzパルスの電場時間波形を取得する。ポンプ・プローブ測定とは、図2に示すように、THzパルスとプローブパルス光の重なるタイミングを機械式ステージによる時間遅延走査を用いて順次ずらせていき、各重なるタイミング毎にプローブパルス光のパルス幅で時間的に切り出されたTHzパルス強度をつなぎ合わせることにより、実時間測定不可能な超高速時間波形を再構築する手法である。
【0003】
また、THz-TDS法では、測定されたテラヘルツ電場(THz電場)の時間波形をコンピューターでフーリエ変換することにより得られる振幅(または位相)の周波数スペクトルを用いて分光計測を行っている。
【0004】
図3に、測定されたTHz電場の時間波形からコンピューターでフーリエ変換することにより得られるTHz電場の振幅の周波数スペクトルを示す。ここで、測定されたTHz電場の時間波形において、測定時間窓をTとすると、THz振幅スペクトルの周波数分解能は1/Tで表される。
【0005】
つまり、周波数分解能は、THz電場時間波形の測定時間窓T(時間遅延走査量)によって決まり、これは、すなわち図1の時間遅延走査(機械式ステージ)の移動ストローク長(L)によって制限される。一方、周波数レンジは時間遅延量送りのステップ時間間隔tの逆数(1/t)によって与えられる。
このため、従来の機械式時間遅延走査に基づいたTHz-TDS法では、機械式ステージが周波数分解能向上(長いステージストローク量)と測定時間短縮の両立を困難としていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のTHz-TDS法の場合、上述したように周波数分解能は、THz電場の時間波形の測定時間窓T(すなわち時間遅延走査量)の逆数によって決定される。これは実際には、周波数計測装置で設けられている機械式ステージの移動ストローク長(L)によって制限される。
【0007】
THz-TDS法の測定時間窓T (図3)に、連続したTHzパルス列(周波数=f)の内1つのTHzパルスのみが入りうる最大の測定時間窓はパルス周期(=1/f0)となる。この最大測定時間窓(=パルス周期)で達成される周波数分解能を理論限界周波数分解能と定義すると、その値はパルス周期の逆数から、フェムト秒レーザーのモード同期周波数(=f)と等しくなる。パルス周期時間遅延を実現するために必要な機械式ステージのストローク長(L)は下記数式1で定義される。ここで、cは光速を示す。
【0008】
【数1】
【0009】
一方、フェムト秒レーザーのモード同期周波数(f)は下記式で定義される。ここで、lはフェムト秒レーザー共振器長を示す。
【0010】
【数2】
【0011】
数式2を数式1に代入することにより、下記数式3が導出される。
【0012】
【数3】
[0013]
したがって、従来の機械式ステージを用いたTHz−TDS法において理論限界周波数分解能を実現するためには、レーザー共振器長(通常、約1.5〜2m)に等しいステージ走査が必要となる。
[0014]
しかし、このようなロングストロークの機械的ステージ走査は、装置と測定時間の問題から現実的でなく、実際には汎用機械式ステージのストローク長(1cm〜10cm程度)から、周波数分解能が決まり、これは理論限界周波数分解能の10〜100倍程度悪い周波数分解能である。
[0015]
また、THz−TDS法以外のフーリエ変換赤外分光計や回折型分光計を利用したとしても、モード同期周波数相当の周波数分解能を達成することは困難である。
[0016]
本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置は、THzスペクトルを理論限界周波数分解能(=モード同期周波数)で高速に分光測定できるような計測装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0017]
本発明は、上記課題を解決するため、THzスペクトルを理論限界周波数分解能(=モード同期周波数)で高速に分光測定できる高分解・高速テラヘルツ分光計測装置を提供する。
[0018]
本発明の第1の観点からは、
(a)レーザーパルスの繰り返し周波数(モード同期周波数)が異なる2台のフェムト秒レーザー手段と、
(b)2台のフェムト秒レーザー手段の各々のモード同期周波数が安定化され、かつ、モード同期周波数の差が所定の一定置に保持されるように2台のフェムト秒レーザー手段をそれぞれ独立して同時に制御するモード同期周波数制御手段と、
(c)一方のフェムト秒レーザーの出力光を励起光として用い、光伝導スイッチ若しくは非線形光学結晶を用いて、テラヘルツ電磁波パルスを放射するテラヘルツ波放射手段と、
(d)前記テラヘルツ波放射手段から放射されたテラヘルツ電磁波パルスを分光測定用試料に照射し、試料で影響を受けたテラヘルツ電磁波パルスをさらに導くためのテラヘルツ波光学系手段と、
(e)他方のフェムト秒レーザーの出力光をプローブパルス光として用い、前記テラヘルツ電磁波パルスと前記プローブパルス光とを入射し、光伝導スイッチ若しくは電気光学サンプリング法を用いて、テラヘルツ電磁波パルスの電場時間波形を検出するテラヘルツ波検出手段と、
(f)前記2台のフェムト秒レーザー手段の出力光の一部を抜き出し、時間原点信号を生成するトリガー信号生成手段と、
(g)前記テラヘルツ波検出手段から出力される微弱電気信号を増幅し、前記トリガー信号生成手段から出力される信号を時間原点信号として用い、それに同期して前記テラヘルツ電磁波パルスの信号波形を検出する信号波形測定手段と、
を備えたことを特徴とする高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
[0019]
2台のフェムト秒レーザー光源をTHzパルス発生とプローブパルス光の各々に用い、両レーザー光源の各々のモード同期周波数を安定化し、かつ、モード同期周波数の差が所定の一定値を保持するように双方のフェムト秒レーザーをそれぞれ独立して同時に制御する。これにより、THzパルスとプローブパルス光の重なるタイミングはパルス毎に自動的にずれていくため、時間遅延走査のための機械式ステージが省略でき、最大測定時間窓と測定迅速化が同時に実現できるのである。
[0020]
本発明の第2の観点からは、第1の観点の構成手段(b)において、モード同期周波数制御手段が、周波数標準器から出力される電気信号を基準信号として用い、モード同期周波数の基本波若しくは高調波成分を制御信号として用いて制御を行うことを特徴とする第1の観点の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
[0021]
本発明の第3の観点からは、周波数標準器が、ルビジウム周波数標準器もしくはセシウム周波数標準器であることを特徴とする第2の観点の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
[0022]
本発明の第4の観点からは、第1の観点の構成手段(f)において、トリガー信号発生手段が、前記2台のフェムト秒レーザー手段の出力光の一部を抜き出され、非共軸で非線形光学結晶に集光させ、発生させたSFG(和周波発生光)相互相関信号光を光電変換して出力する装置であることを特徴とする第1乃至第3のいずれかの観点の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
【0023】
本発明の第5の観点からは、第1乃至4のいずれかの観点において、
(h)前記信号波形測定手段から出力されるテラヘルツ電磁波パルス時間波形信号の時間軸スケール変換を行い、それをフーリエ変換することによって得られる高分解フーリエスペクトル(振幅と位相の周波数スペクトル)からサンプルの周波数分析情報を求める信号解析手段と、
をさらに備えたことを特徴とする高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
【0024】
本発明の第6の観点からは、第1乃至第3のいずれかの観点において、モード同期周波数制御手段が、フェムト秒レーザーの共振器長の制御手段である高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
【0025】
フェムト秒レーザーのモード同期周波数はレーザー共振器長により決定されるが、環境温度変化・空気の揺らぎ・振動などの要因によって変動する。これは、レーザーの光学的共振器長が上記要因により変動するためである。このような変動に対応してフェムト秒レーザーの機械的共振器長を超精密制御することにより、モード同期周波数を安定化制御できる。
【0026】
本発明の第7の観点からは、第1乃至3のいずれかの観点において、前記モード同期周波数制御手段により保持される周波数差の値の選択により、周波数レンジ、サンプリング時間若しくは時間スケール拡大率を任意に設定できる高分解・高速テラヘルツ分光計測装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
THzパルス発生に用いられるフェムト秒レーザー光は、時間領域ではモード同期周期(=1/f)のパルス列であるが(図4(a)を参照)、フーリエ変換の関係にある光周波数領域においては、ある周波数(例えば、フェムト秒チタン・サファイアレーザーの場合は375THz)を中心として多数の安定な光周波数モード列が、モード同期周波数(=f)の間隔で規則的に並んだスペクトル構造を有している(図4(b) を参照)。このように周波数モード列が櫛(コム)のように並んだものを周波数コムと言い、特に光領域の周波数コムを光コムと言う。
【0028】
一方、フェムト秒レーザーと光伝導スイッチ(あるいは非線形光学効果)を用いたTHzパルス発生は、光伝導スイッチを介したモード同期パルス列の広帯域復調と見なすことができる。その結果、時間領域ではフェムト秒レーザー光に同期したTHzパルス列であるが(図5(a) を参照)、周波数領域ではモード同期周波数(=f)の基本波成分と多数の高調波成分がゼロ周波数から等間隔で櫛(コム)のように並んだパワースペクトルが電波領域にタウンコンバートされて観測される(図5(b) を参照)。これをRF(Radio Frequency)コムという。
【0029】
光伝導スイッチ(あるいは非線形光学効果)の超高速応答性によりRFコムはテラヘルツ領域まで拡張され、このようなテラヘルツ領域のRFコムを、本明細書では、THzコムと定義することとする。
THzコムを構成する各周波数モード列の周波数間隔はモード同期周波数となることから、モード同期周波数に等しい周波数分解能が実現できると、THzコムを構成する周波数モード列の各単一成分ピークの包絡波(エンベロープ)を抽出し検出することが可能となる。
【0030】
このように、THzコムは、広い周波数選択性,非常に高いスペクトル純度,直接的絶対周波数校正,周波数逓倍機能,単純性といった特徴を有している。これを高度に安定化した安定化THzコムから抽出される周波数モード列は、周波数のみならず、位相や強度も安定しており、高品質なTHz波を提供できる。したがって、このような安定化THzコムをTHz領域における周波数の物差しとして利用できると、次世代情報通信,周波数標準,高分解テラヘルツ分光において非常に有用な手段になることが期待される。
【0031】
本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置は、THzコムから単一の周波数モードを任意に抽出選択し検出できる1つの計測技術であり、例えば次世代情報通信に応用すると、周波数モード数(THzスペクトル帯域1THzで10,000本以上)に等しい波長チャンネルを有するTHz帯波長多重通信の周波数アナライザー(デコーダー)として利用できるという効果がある。
【0032】
また、光波と電波を繋ぐテラヘルツ帯の周波数標準としてTHzコムを利用した場合の計量装置として利用できるという効果がある。さらに、高分解テラヘルツ分光計測による半導体等に物性評価装置として利用できるという効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明に係る高分解テラヘルツ分光計測装置について、一般的な機械式時間遅延ステージを用いるTHz-TDS計測装置と対比しつつ、図を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0034】
一般的なTHz-TDS法を用いる計測装置では、図1に示すように、1台のフェムト秒レーザー光をポンプ光(THzパルス発生)とプローブパルス光(THzパルス検出)の両方に用いる構成をとるため、両者は常に同期している。従って、THz-TDS法では機械式ステージによって時間遅延走査を行い、両パルスがTHz検出器で重なる時間タイミングを順次ずらしながら、相互相関測定を行い(ポンプ・プローブ法)、最終的にテラヘルツ時間波形を再現するものである。
【0035】
図2では、機械式ステージの移動によって2回の時間遅延走査を行い、3点を測定してTHz波形の再構築をしている様子を示している。なお、実際の計測においては、さらに多くの測定点で計測してTHz波形を再構築している。
【0036】
一方、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の構成図を図6に示す。フェムト秒レーザー1(モード同期周波数=f)とフェムト秒レーザー2(モード同期周波数=f)の各々のモード同期周波数が高度に安定化され、かつモード同期周波数の差(Δ=f)がある値で一定になるように、双方のレーザーのモード同期周波数の制御を行う。これをここではフェムト秒光サンプリング光源と呼ぶ。そして、両レーザー光をTHzパルス発生用ポンプ光とプローブパルス光の各々に用いる構成をとる。また、両レーザー光の一部をそれぞれ抽出し、トリガー信号発生手段(例えば、SFG(和周波波発生光)強度相互相関計)に用いる構成を取る。
【0037】
図7に、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置において、テラヘルツ時間波形を再現する様子を表した模式図を示す。フェムト秒光サンプリング光源によって生成されるTHzパルスとプローブパルス光の各々のパルス周期はわずかに異なるために、THzパルスとプローブパルス光の重なるタイミングはパルス毎に自動的にずれていくのである。ここで、THzパルス周期を1/f、プローブパルス周期を1/fとする。ここで、パルス毎にずれる時間間隔(サンプリング間隔SI)は下記数式4で定義される。
【0038】
【数4】
【0039】
THzパルスとプローブパルス光が重なった状態(図7の(a))から、重なるタイミングがパルス毎に自動的にずれ、再び重なった状態(図7の(b))になるまでに要する時間(サンプリング時間ST)は下記数式5で定義され、この時間によってパルス周期相当の時間遅延走査が1回なされたことになる。
【0040】
【数5】
【0041】
トリガー信号発生手段は、THzパルスとプローブパルス光が重なる毎(図7の(a), (b))に時間原点信号を発生する。これを時間原点のトリガー信号として利用することにより、タイミングジッターの影響を受けることなく信号波形を高速測定できるのである。
【0042】
このようにして得られたTHzパルスの電場時間波形は光サンプリング法の原理に基づき、時間的に拡大されて観測される。時間軸スケール拡大率(M)は下記数式6で定義される。
【0043】
【数6】
【0044】
光サンプリング測定された時間波形を上記時間軸スケール拡大率で変換することにより、実際の時間スケールのTHzパルス電場時間波形を再現することが可能になる。スケール変換された電場時間波形をフーリエ変換することにより、振幅及び位相の周波数スペクトルを得ることができる。この場合の周波数分解能は、サンプリング時間STに依存せず常にパルス周期に等しい時間遅延走査が行われるので、常に理論限界周波数分解能であるモード同期周波数が実現される。一方、周波数レンジ(FR)は、上記サンプリング間隔より、下記数式7で定義される。
【0045】
【数7】
【0046】
図8、図9及び図10は2台のフェムト秒レーザーのモード同期周波数差(Δ)と周波数レンジ、サンプリング時間及び時間スケール拡大率の相関グラフをそれぞれ示している。ここでは、f及びfは80MHzとしている。周波数差Δの選択により、周波数レンジ、サンプリング時間及び時間スケール拡大率を任意に設定できる。
【0047】
上述したように、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置は、従来のTHz-TDS計測装置とは異なり、機械式ステージが省略できるため、パルス周期の時間遅延走査すなわち理論限界周波数分解能(=モード同期周波数)と測定迅速化が同時に実現できるメリットを有するのである。また、機械式ステージの省略により光学系を簡略化でき、装置の小型化も可能となる。
【実施例1】
【0048】
以下、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の一実施例について説明する。図11に本実施例の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の全体ブロック図を示す。
フェムト秒レーザー1(モード同期チタン・サファイアレーザー、中心波長790nm、モード同期周波数82.6MHz、パルス幅100fs)とフェムト秒レーザー2(モード同期チタン・サファイアレーザー、中心波長800nm、モード同期周波数82.6MHz、パルス幅10fs)を用いて、高分解・高速テラヘルツ分光計測装置を開発した。ここで、フェムト秒レーザー1とフェムト秒レーザー2のモード同期周波数はほぼ同じである。THzパルス発生用にフェムト秒レーザー2、プローブパルス光にフェムト秒レーザー1をそれぞれ用いた。本実施例では、フェムト秒光サンプリング光源の簡略化のため、両レーザーのモード同期周波数の高安定化は行わず、両レーザーのモード同期周波数の差が常にある値(例えば、=100Hz)で一定となるようにフェムト秒レーザー1のモード同期周波数を制御した。
【0049】
図11の光サンプリング光源制御部で、高速光検出器で検出された2つのレーザー光を、電圧制御発振器とヘテロダイン検波することにより、モード同期周波数の第10次高調波成分信号(826MHz)が1MHz以下のビート信号にそれぞれビートダウンされる。さらに両信号同士をヘテロダイン検波することにより10次高調波の差周波信号を生成し、これを制御信号として用いる。これは、モード同期周波数の変動を10倍に拡大し、これを制御信号として用いることにより、安定化制御の高精度化を実現しているものである。
【0050】
図11の光サンプリング光源制御部における基準信号発生器から供給される信号を参照信号として、制御信号(10次高調波の差周波信号)がある値(=1kHz)で一定となるように、フェムト秒レーザー1の共振器ミラーに取り付けられたピエゾ素子によってレーザー共振器長制御を行うことにより、モード同期周波数(基本波)の差が常に100Hzに安定化される。
【0051】
図12は、2台のフェムト秒レーザー光源のモード同期周波数の差周波信号を示している。フリーラン状態(安定化制御を行わない状態)では差周波は時間の経過と共に変動するが、ロック状態(安定化制御を行う状態)では、ある一定の周波数(図12では97Hz)になっている様子が確認できる。このように両レーザーのモード周期周波数差が十分に安定化された状態で、高分解・高速テラヘルツ分光計測が行うことができる。
【0052】
上記のように光サンプリング安定化制御された両レーザー光の一部をトリガー信号発生手段であるSFG(和周波発生光)強度相互相関測定部に導く(図11を参照)。両レーザー光はレンズを用いて非共軸で非線形光学結晶に集光される。その結果、両レーザー光のSFG強度相互相関信号光が生成され、これを光電子増倍管で光電検出し、微弱電流信号を電流電圧変換アンプで増幅した後、高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の時間原点信号として利用する。
【0053】
ここで、図13は、本実施例1の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置によって得られた2台のフェムト秒レーザー光源のSFG(和周波発生光)相互相関波形を示している。図13から、プローブパルス光(搬送波)によって相互相関波形がバースト波形として高速サンプリングされている様子が確認できる。このSFG相互相関信号を、高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の時間原点信号として利用する。
【0054】
図11に示すように、両レーザー光の残りはTHz-TDS部に導かれ、フェムト秒レーザー2がTHz発生用ポンプ光、フェムト秒レーザー1がTHz検出用プローブ光に用いられる。THz発生及び検出にはボウタイ型光伝導スイッチを用いた。ここで、フェムト秒光サンプリング光源で生成したTHzパルスとプローブパルス光のモード同期周波数はわずかに異なるため(100Hz)、機械式時間遅延走査無しでパルス周期時間窓(12ns)のTHzパルス電場時間波形を高速サンプリング測定(測定周期10ms)することが可能となる(光サンプリング法)。
【0055】
THz検出用光伝導スイッチで高速サンプリングされた電流信号は、電流電圧変換アンプで増幅及びローパスフィルタリングされた後、SFG相互相関測定部で生成された時間原点信号を同期信号として、デジタル・オシロスコープで測定される。
【0056】
図14(a)は本実施例の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置によりパルス周期フルスケールで得たTHz時間波形で、デジタル・オシロスコープで1000回の積算(測定時間10秒、データ数25000点)を行っている。時間軸は光サンプリング法の原理により時間的に826,000倍(拡大率=モード同期周波数/周波数差)にスケール拡大されている(実際のオシロスコープ時間スケールはグラフ上側スケールを参照)。
【0057】
図14(b)は図14 (a)を拡大したものである。THz発生及び検出に狭帯域なボウタイ型光伝導スイッチを用いているためパルス幅が拡がっているが、THzパルスの電場時間波形が確認できる。
【0058】
図14(c)は従来のTHz-TDS法(時間遅延ステージ及びロックインアンプを使用)により得たTHz時間波形(測定時間5分、データ数256点)である。図14(b)と図14(c)を比較すると、両波形の特徴はほぼ一致していることからフェムト秒光サンプリング式THz-TDS法によってTHzパルス波形が正確に取得できていることが確認できる。従来法では機械式ステージを用いて時間遅延走査を行うため時間遅延量の増大に伴い測定時間も増大するが(図14 (a)と同スケールの時間波形を得るためには5分*120倍=10時間が必要)、本手法では時間遅延量に依存せず常に一定時間(この場合10秒)で測定可能であり、大幅な測定時間短縮が実現できている。
【0059】
図15は異なる測定時間(10ms, 100ms, 1s, 10s)すなわち積算回数(1回、10回、100回、1000回)におけるTHzパルスの時間波形を示しており、単一スイープの光サンプリング測定(測定時間10ms)でも信号波形取得が可能なことが分かる。また、高速積算化処理により測定SN比が向上している様子も確認できる。
【0060】
THz-TDS法では、THzパルスの電場時間波形を直接測定するため、その電場時間波形をフーリエ変換することにより、振幅及び位相の周波数スペクトル(フーリエ・スペクトル)を得ることができる。図14(a)の電場時間波形(時間窓=パルス周期=12ns)をフーリエ変換して得られた振幅スペクトルを図16(a)に示す。THz発生及び検出に狭帯域ボウタイ型光伝導スイッチを用いているためスペクトル帯域が0.5THz程度に制限されているが、非常に高い周波数分解能で測定できていることが確認できる。
【0061】
比較のため、従来法の図14(c)の電場時間波形をフーリエ変換して得た振幅スペクトルを図16(b)に示す。両者を比較すると本手法により波長分解能が大幅に向上していることが分かるが、これは両者の時間遅延量の違いに起因している。従来法でも機械式ステージにより十分に長い時間遅延走査を行えば同様の波長分解能は可能であるが、この場合には非常に長い測定時間(10時間)を必要とする。本手法では、常に一定時間(この場合10秒)で理論限界周波数分解能(=モード同期周波数)が実現可能である。
【0062】
このようにして得られた振幅スペクトルと位相スペクトルから吸収スペクトルと屈折率スペクトルをそれぞれ算出し、これを測定対象物の成分分析に使うことができる。従来から可視光や赤外光を用いた分光分析法があったが、従来は強度(吸収)の情報しか見れないが、THz-TDSでは、物質に固有の吸収と屈折率の2つのパラメータ(複素屈折率)で識別できるので物質の識別性が向上するのである。
【0063】
また、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置により理論限界周波数分解能で上記スペクトルが取得できれば、物質の識別特性が大幅に改善される。さらにサンプル位置を走査することにより分光イメージングも可能となり、成分分析イメージングに応用できる。
【0064】
ここで、THzパルスの時間波形をフーリエ変換して、振幅、位相スペクトルによる成分分析のメカニズムを以下に説明する。THzパルスの時間波形E(t)は、THzパルスの振幅と位相情報を含んでいるため、これをフーリエ変換(下記数式8を参照)することにより、振幅スペクトルE (ω) と位相スペクトルθ(ω)を求めることができる。
【0065】
【数8】
【0066】
先ず、サンプルが無い場合のTHzパルス時間波形Er (t)を測定し、コンピューターでフーリエ変換して振幅スペクトル|Er (ω) |と位相スペクトルθr (ω)を求める。次に、サンプルが有る場合の時間波形Es (t)をフーリエ変換して振幅スペクトル|Es (ω) |と位相スペクトルθs(ω)を求める。これを模式化したものを図17に示す。
そして、下記数式9〜11に示す手順にしたがって、吸収スペクトルk(ω)及び屈折率スペクトルn(ω)を算出するのである(詳細については、分光研究 第50巻第6号pp.273を参照)。
下記数式9〜11の中で、cは光速、dはサンプルの厚さを表している。また、図17では透過の場合を示しているが、下記数式は、反射の場合も同様に用いることができる。
【0067】
【数9】
【0068】
【数10】
【0069】
【数11】
【0070】
このように、THz-TDS法では広帯域スペクトルを有するTHzパルスを用いるため、電場時間波形をフーリエ変換して得た吸収または屈折率の周波数スペクトルから物質を同定できるのである。従来のTHz-TDSでは、一度の機械式時間遅延走査で広帯域スペクトルが取得可能な一方で、あまり高い周波数分解能が得られないという問題点があった。しかし、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置により周波数分解能に関する制限は解決され、理論限界周波数分解能が実現できる。
【0071】
試薬・禁止薬物・農薬・ビタミン類・糖類などの物質では、THz領域で物質識別可能な特徴的な吸収スペクトル(指紋スペクトル)を各々示す。したがって、サンプルの吸収スペクトルと各物質成分の指紋スペクトル(既知)を比較することにより、サンプル含有成分を特定することができるのである。また、サンプルが複数成分を含有しているときには、指紋スペクトルと主成分分析法を利用することにより、各成分の分析が可能となる。特に、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置により理論限界周波数分解能が実現できれば、指紋スペクトルを利用した物質の識別特性が大幅に向上される。
【実施例2】
【0072】
実施例2では、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の用途として、安定化THzコム光源と高分解・高速テラヘルツ分光計測装置を用いた超広帯域波長多重THz情報通信について説明する。図18に全体ブロック図を示す。
広帯域なTHzコムを発生させるためには、極超短パルスを発生可能なフェムト秒レーザー2(モード同期チタン・サファイアレーザー、中心波長800nm、モード同期周波数82.6MHz、パルス幅10fs)を用いる。
【0073】
レーザー光に対してパルス整形技術を適用することにより、光領域の周波数コムである光コムのスペクトルに波長多重通信情報をのせることが可能となる。パルス整形技術については、J. Y. Sohn, Y. H. Ahn, D. J. Park, E. Oh and D. S. Kim, Appl. Phys. Lett., Vol. 81, No. 1 pp.13-15 (2002).に詳しく説明されているので、ここでは省略する。
【0074】
このように波長多重変調された光コムと光伝導スイッチ(もしくは非線形光学結晶)を用いてTHz発生させると、光コムの波長多重情報がTHzコムに転写されることになる。一方、THz検出にはフェムト秒レーザー1(モード同期チタン・サファイアレーザー、中心波長790nm、モード同期周波数82.6MHz、パルス幅100fs)と光伝導スイッチ(もしくは非線形光学結晶)を用いる。
【0075】
THzコムは光伝導スイッチ(もしくは非線形光学効果)を介したフェムト秒レーザーパルス光の復調プロセスにより発生するので、フェムト秒レーザー2のモード同期周波数を安定化することにより安定化THzコム光源が実現できる。高速光検出器で検出された100次高調波成分(8.26GHz)は、ルビジウム周波数標準に同期された周波数シンセサイザーとヘテロダイン検波することにより、100kHz以下のビート信号として抽出される。ルビジウム周波数標準同期の任意波形発生器からの信号を参照信号とした安定化制御回路で共振器ミラー取付けピエゾ素子を制御することにより、モード同期周波数すなわちTHzコムの高安定化(安定化THzコム光源)を実現する。
【0076】
一方、THz検出用のフェムト秒レーザー2のモード同期周波数はフェムト秒レーザー1のモード同期周波数に対して常にある一定の周波数差を保つように安定化される必要がある。実施例1のような光サンプリング安定化制御回路(図11)では制御帯域の問題から100Hz以下での差周波で安定化することが困難であり、その結果、時間スケール拡大率が最大826,000倍に制限される。
【0077】
そこで図18の構成では、100Hz以下の差周波でも任意に安定化できるよう光サンプリング安定化制御システムを変更している。ここでは、THz検出用フェムト秒レーザー1の制御系を前記のTHzコム発生用フェムト秒レーザー2と同様な制御系に変更し、2台の独立した制御系で各々のレーザー光源のモード同期周波数を安定化する。ここで、同一のルビジウム周波数標準に同期した2台の任意波形発生器からわずかに周波数の異なる信号を生成し、これをレーザーの高安定化制御回路の参照信号としてそれぞれ用いることにより、両レーザーのモード同期周波数と差周波数の高安定化を同時に達成する。
【0078】
両レーザー光の残りはTHz-TDS部に導かれ、フェムト秒レーザー2がTHz発生用ポンプ光、フェムト秒レーザー1がTHz検出用プローブ光に用いられる。THz発生及び検出には光伝導スイッチ(もしくは非線形光学結晶)を用いる。光伝導スイッチから放射される波長多重変調THzコムは自由空間(もしくはTHz導波路、THzファイバー)を伝搬し、光伝導スイッチで検出される。ここで、フェムト秒光サンプリング光源で生成したTHzパルスとプローブパルス光のモード同期周波数はわずかに異なるため、機械式時間遅延走査無しでパルス周期時間窓のTHzパルス電場時間波形を高速サンプリング測定することが可能となる(光サンプリング法)。THz検出用光伝導スイッチで高速サンプリングされた微弱電流信号は、電流電圧変換アンプで増幅・ローパスフィルタリングされる。波長多重情報通信においてTHz振幅スペクトルのみが必要でTHz位相スペクトルが不要な場合には、トリガー信号発生手段は省略でき、スペクトラム・アナライザーによってTHz振幅スペクトルが直接測定される。その結果、THzコムに載せられた波長多重通信情報がデコードできる。
【実施例3】
【0079】
次に、実施例3では、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の用途として、高分解・高速赤外時間領域分光測定(IR-TDS)への応用を説明する。
赤外光を物質に照射すると、物質を構成している分子の振動・回転運動により、分子の固有振動と同じ周波数の赤外光のみが特異的に吸収され、分子構造を敏感に反映した吸収スペクトルが得られる。このような赤外吸収スペクトルは分子構造固有の指紋スペクトルであることから、これを利用することにより未知物質の同定が可能になる。
【0080】
代表的な赤外分光法であるフーリエ変換赤外分光計は、図19に示すような赤外光源(熱光源ほか)・マイケルソン干渉計・赤外検出器から構成されている。試料がある場合と無い場合のそれぞれにおいて、移動鏡を走査することにより赤外光の干渉縞(インターフェログラム)を赤外検出器で測定し、両者をフーリエ変換することで赤外吸収スペクトルを得る。フーリエ変換赤外分光法は、測定試料に対する制限がほとんど無い上に、赤外領域の標準指紋スペクトルのデータベースが充実しているので、物質同定手段として幅広い応用分野において利用されている。波長分解能は、従来のテラヘルツ時間領域分光法と同様、移動鏡を走査する機械式ステージのストローク長の逆数によって定義されるため、高波長分解能を得るためには長いステージ走査が必要となる。
【0081】
図20に赤外時間領域分光装置の全体ブロック図を示す。装置構成は実施例1(図11に示される構成)とほぼ同様である。実施例1の高分解・高速テラヘルツ分光装置では、テラヘルツ発生部及び検出部に光伝導スイッチもしくは非線形光学結晶を利用することにより、2THz程度のTHzスペクトルが比較的容易に得られる。
【0082】
一方、結晶厚が十分に薄くかつ赤外光発生効率(または検出効率)の良好な非線形光学結晶(もしくは電気光学結晶)を赤外光発生及び赤外光検出に利用すると、測定帯域をテラヘルツ領域から赤外領域まで拡張することが可能となる。すなわち、テラヘルツ発生及び検出部の素子の変更により、赤外時間領域分光法(IR-TDS)としても利用可能となる。測定帯域をテラヘルツ領域から赤外領域まで拡張できることについての説明は、論文(K. Liu, J. Xu, and X. C. Zhang, Appl. Phys. Lett., Vol. 85, pp. 863-865 (2004).)に記載されているので、ここでは省略する。
【0083】
フーリエ変換赤外分光法に対する本手法のメリットとして、以下の点が挙げられる。
(1)吸収と屈折率の指紋スペクトルの同時利用(フーリエ変換赤外分光法では吸収スペクトルのみ)により物質の識別性が向上。
(2)高分解能化と高速化が同時に実現可能、高分解能化による物質識別性向上。
(3)電気光学的時間ゲート検出法(電気光学結晶または光伝導アンテナ)によって信号検出を行うため、フーリエ変換型赤外分光法で一般的に利用される熱型赤外検出器特有の熱的バックグラウンドノイズの影響を受けずに高感度かつ高SN比の測定が可能。
上記(1)〜(3)の特徴と、赤外領域指紋スペクトルの豊富なデータベースにより、各応用分野での利用が期待できる。
【実施例4】
【0084】
実施例4では、周波数領域の分光測定ではなく、本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置による高速時間波形取得の特性を活かした用途として、高速・深浸透テラヘルツ断層イメージング装置(THzトモグラフィー)への応用を説明する。
内部透視法は様々な応用分野における重要計測技術であり、これまでにもX線診断や超音波診断が実用化されている。前者は侵襲性が高いため、後者は接触測定であるため、その応用が制限されている。THzトモグラフィーは、THzパルスの特徴(自由空間伝搬,良好な透過特性,低散乱性,非侵襲性,超短パルス,良好なビーム指向性など)を活かした代表的計測手法であり、非接触リモート・非侵襲・高空間分解能で2次元断層イメージを得ることが可能なため、超音波エコーを始めとした従来法に替わる内部透視手段として生体診断や非破壊検査等の分野で期待されている。
【0085】
しかしながら、従来法のTHzトモグラフィーは、基本的に走査型イメージングといった点計測であるため、イメージを得るためには複数軸の走査機構が必要となり、計測の実時間性に制限があった。例えば、サンプルの2次元断層イメージを得るためには時間遅延及びサンプル位置の2軸の走査が必要となる。走査を行いながらこれら2次元情報のシリアル測定を行うため、1枚のイメージを得るために数分から数時間の測定時間が必要となっていた。
【0086】
このような長い測定時間を短縮する手段として、本発明が有効である。図21に全体ブロック図を示す。光サンプリング光源制御部及びSFG相互相関測定部は実施例1(図11)と同様である。テラヘルツ光学系は従来の透過配置から反射配置に変更されている。テラヘルツ発生用光伝導スイッチ(もしくは非線形光学結晶)から放射されたTHzパルスは、レンズでコリメートされた後、ビームスプリッターによって一部が反射される。反射されたTHzパルスは、レンズによって集光され、サンプルに照射される。
【0087】
THzパルスの内部構造(群屈折率分布)によって時間的に分離されたTHzエコーパルス列は、レンズによって集光コリメートされた後、ビームスプリッターを透過する。最終的に、THzエコーパルス列とプローブ光をTHz検出用光伝導スイッチに入射することにより、THzエコーパルスの電場時間波形が高速サンプリング測定される。得られた時間波形から、サンプル深さ方向の内部構造情報を得る。さらに、サンプルを横方向に走査することにより、2次元断層イメージの取得が可能になる。
【0088】
従来のTHzトモグラフィーに対する本手法のメリットとして、以下の点が挙げられる。
(1)高速時間波形取得により、機械式走査機構はサンプル走査のみとなり、最終的な測定時間が大幅に短縮される。
(2)非常に広い測定時間窓(図14(a)では12ns)を利用することにより、かなり深い部位(サンプルの群屈折率を1.5とすると、可能深度1.2メートル)まで高速測定可能になる。その結果、THzパルスの優れた浸透性を有効利用できる。
(3)高速サンプリング測定の信号積算処理により(図15)、微弱なTHzパルスエコー信号でも良好な測定SNで測定が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置は、次世代情報通信でのTHz波長多重通信における周波数アナライザー(デコーダー)として利用できる。その応用例として、THzパルスの良好な指向性を利用した宇宙空間THz通信が期待される。大気中水蒸気の強いTHz吸収により地上からの盗聴が不可能であることから、セキュリティに優れた宇宙間通信手段として興味深い。
【0090】
また、光波と電波を繋ぐテラヘルツ帯の周波数標準計量装置として利用できる可能性がある。さらに、高分解テラヘルツ時間領域分光計測(あるいは高分解赤外時間領域分光)による半導体等の物性評価装置、高速・深浸透THzトモグラフィーを利用した医療診断や非破壊検査手法として利用できる可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】一般的なTHz-TDS法を用いる計測装置の構成図
【図2】THz-TDS法を用いる計測装置において、機械式ステージによって時間遅延走査を行い、テラヘルツ時間波形を再現する様子を表した模式図
【図3】測定されたTHz電場の時間波形からコンピューターでフーリエ変換することにより得られるTHz電場の振幅の周波数スペクトルを示す。
【図4】モード同期周波数(=f)の間隔で規則的に並んだ光コムのスペクトル構造の模式図を示す。
【図5】モード同期周波数(=f)の間隔で規則的に並んだTHzコムのスペクトル構造の模式図を示す。
【図6】本発明に係る高分解テラヘルツ分光計測装置の構成図を示す。
【図7】本発明に係る高分解テラヘルツ分光計測装置において、テラヘルツ時間波形を再現する様子を表した模式図を示す。
【図8】モード同期周波数差と周波数レンジの相関グラフを示す。
【図9】モード同期周波数差とサンプリング時間の相関グラフを示す。
【図10】モード同期周波数差と時間スケール拡大率の相関グラフを示す。
【図11】実施例1に係る高分解テラヘルツ分光計測装置の全体構成ブロック図を示す。
【図12】実施例1に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の両レーザーモード同期周波数の差周波のロック前後における時間的変動を示した図を示す。
【図13】実施例1に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置の両レーザーのSFG相互相関信号波形を示す。
【図14】実施例1に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置によって得られたTHz電場時間波形と従来の機械式THz-TDSによって得られたTHz電場時間波形の比較を示す。(a)高分解・高速テラヘルツ分光計測装置(12nsフルスケール)、(b)高分解・高速テラヘルツ分光計測装置(100psフルスケール)、(c)従来THz-TDS(100psフルスケール)。
【図15】実施例1に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置によって得られたTHz電場時間波の測定時間(積算回数)による変化を示す。
【図16】実施例1に係る高分解・高速テラヘルツ分光計測装置によって得られたTHz振幅スペクトルと従来の機械式THz-TDSによって得られたTHz振幅スペクトルの比較を示す。(a)高分解・高速テラヘルツ分光計測装置、(b)従来THz-TDS。
【図17】THzパルスの時間波形分布イメージをフーリエ変換して、振幅、位相スペクトルによる成分分析を行うメカニズムを説明する模式図である。
【図18】実施例2に係る超広帯域波長多重THz情報通信の全体構成ブロック図を示す。
【図19】一般的なフーリエ変換赤外分光計の全体構成ブロック図を示す。
【図20】実施例3に係る高分解・高速赤外時間領域分光法の全体構成ブロック図を示す。
【図21】実施例4に係る高速・深浸透THzトモグラフィーの全体構成ブロック図を示す。

Claims (7)

  1. (a)レーザーパルスの繰り返し周波数(モード同期周波数)が異なる2台のフェムト秒レーザー手段と、
    (b)2台のフェムト秒レーザー手段の各々のモード同期周波数が安定化され、かつ、モード同期周波数の差が所定の一定値に保持されるように2台のフェムト秒レーザー手段をそれぞれ独立して同時に制御するモード同期周波数制御手段と、
    (c)一方のフェムト秒レーザーの出力光を励起光として用い、光伝導スイッチ若しくは非線形光学結晶を用いて、テラヘルツ電磁波パルスを放射するテラヘルツ波放射手段と、
    (d)前記テラヘルツ波放射手段から放射されたテラヘルツ電磁波パルスを分光測定用試料に照射し、試料で影響を受けたテラヘルツ電磁波パルスをさらに導くためのテラヘルツ波光学系手段と、
    (e)他方のフェムト秒レーザーの出力光をプローブパルス光として用い、前記テラヘルツ電磁波パルスと前記プローブパルス光とを入射し、光伝導スイッチ若しくは電気光学サンプリング法を用いて、テラヘルツ電磁波パルスの電場時間波形を検出するテラヘルツ波検出手段と、
    (f)前記2台のフェムト秒レーザー手段の出力光の一部を抜き出し、時間原点信号を生成するトリガー信号生成手段と、
    (g)前記テラヘルツ波検出手段から出力される微弱電気信号を増幅し、前記トリガー信号生成手段から出力される信号を時間原点信号として用い、それに同期して前記テラヘルツ電磁波パルスの信号波形を検出する信号波形測定手段と、
    を備えたことを特徴とするテラヘルツ分光計測装置。
  2. 請求項1の(b)に記載のモード同期周波数制御手段が、周波数標準器から出力される電気信号を基準信号として用い、モード同期周波数の基本波若しくは高調波成分を制御信号として用いて制御を行うことを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ分光計測装置。
  3. 前記周波数標準器が、ルビジウム周波数標準器もしくはセシウム周波数標準器であることを特徴とする請求項2に記載のテラヘルツ分光計測装置。
  4. 請求項1の(f)に記載のトリガー信号発生手段が、前記2台のフェムト秒レーザー手段の出力光の一部を抜き出され、非共軸で非線形光学結晶に集光させ、発生させたSFG(和周波発生光)相互相関信号光を光電変換して出力する装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のテラヘルツ分光計測装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の高分解・高速テラヘルツ分光計測装置において、
    (h)前記信号波形測定手段から出力されるテラヘルツ電磁波パルス時間波形信号の時間軸スケール変換を行い、それをフーリエ変換することによって得られる高分解フーリエスペクトル(振幅と位相の周波数スペクトル)からサンプルの周波数分析情報を求める信号解析手段と、
    をさらに備えたことを特徴とするテラヘルツ分光計測装置。
  6. 請求項1乃至3のいずれかに記載のテラヘルツ分光計測装置において、前記モード同期周波数制御手段が、フェムト秒レーザーの共振器長の制御手段であること。
  7. 請求項1乃至3のいずれかに記載のテラヘルツ分光計測装置において、前記モード同期周波数制御手段により保持される周波数差の値の選択により、周波数レンジ、サンプリング時間若しくは時間スケール拡大率を任意に設定できること。
JP2007505795A 2005-03-01 2005-08-30 高分解・高速テラヘルツ分光計測装置 Active JP4565198B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005055367 2005-03-01
JP2005055367 2005-03-01
PCT/JP2005/015791 WO2006092874A1 (ja) 2005-03-01 2005-08-30 高分解・高速テラヘルツ分光計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2006092874A1 JPWO2006092874A1 (ja) 2008-08-14
JP4565198B2 true JP4565198B2 (ja) 2010-10-20

Family

ID=36940920

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007505795A Active JP4565198B2 (ja) 2005-03-01 2005-08-30 高分解・高速テラヘルツ分光計測装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US7605371B2 (ja)
JP (1) JP4565198B2 (ja)
WO (1) WO2006092874A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8306078B2 (en) 2010-12-21 2012-11-06 Advantest Corporation Repetition frequency control device
WO2014034085A1 (ja) * 2012-08-26 2014-03-06 国立大学法人大阪大学 スペクトル分解能とスペクトル確度を向上するフーリエ変換型分光法、分光装置および分光計測プログラム
US8718108B2 (en) 2010-12-27 2014-05-06 Advantest Corporation Repetition frequency control device

Families Citing this family (73)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7190705B2 (en) 2000-05-23 2007-03-13 Imra America. Inc. Pulsed laser sources
US7809222B2 (en) * 2005-10-17 2010-10-05 Imra America, Inc. Laser based frequency standards and their applications
US8120778B2 (en) * 2009-03-06 2012-02-21 Imra America, Inc. Optical scanning and imaging systems based on dual pulsed laser systems
US7929580B2 (en) * 2006-09-22 2011-04-19 Alcatel-Lucent Usa Inc. Inexpensive terahertz pulse wave generator
JP4895109B2 (ja) * 2006-10-10 2012-03-14 アイシン精機株式会社 形状検査方法及び形状検査装置
JP5065668B2 (ja) * 2006-12-26 2012-11-07 オリンパス株式会社 顕微鏡法および顕微鏡
CN101210874B (zh) * 2006-12-31 2010-05-19 清华大学 测量太赫兹时域光谱的方法及设备
WO2008147575A2 (en) 2007-01-11 2008-12-04 Rensselaer Polytechnic Institute Systems, methods, and devices for handling terahertz radiation
JP2008215914A (ja) * 2007-03-01 2008-09-18 National Institute Of Information & Communication Technology テラヘルツ分光による文化財の検査方法
US7817282B2 (en) * 2007-05-17 2010-10-19 Georgia Tech Research Corporation Use of crossed-beam spectral interferometry to characterize optical pulses
JP5250736B2 (ja) * 2007-06-26 2013-07-31 ユニバーシテ ラバル 光周波数コムのビートスペクトルの基準付け
CN102027345B (zh) * 2008-05-30 2012-04-25 日本电信电话株式会社 波长复用光信号测定装置及其方法
DE102008026484A1 (de) * 2008-06-03 2009-12-10 Skz - Kfe Ggmbh Kunststoff-Forschung Und -Entwicklung Verfahren zum Erzeugen zweier optischer Pulse mit variablem, zeitlichem Pulsabstand
JP5148381B2 (ja) * 2008-06-18 2013-02-20 株式会社アドバンテスト 光測定装置
JP5148382B2 (ja) * 2008-06-18 2013-02-20 株式会社アドバンテスト 光測定装置
KR100996638B1 (ko) * 2008-10-20 2010-11-26 한국표준과학연구원 테라헤르츠 펄스파 푸리에 변환 분광기 및 그 분광기를 이용한 분광방법
CN101566589B (zh) * 2008-12-15 2011-08-10 深圳先进技术研究院 太赫兹成像装置和太赫兹成像方法
JP5717335B2 (ja) * 2009-01-23 2015-05-13 キヤノン株式会社 分析装置
US8399835B2 (en) * 2009-05-25 2013-03-19 Advantest Corporation Light measurement apparatus and a trigger signal generator
JP5461079B2 (ja) * 2009-06-25 2014-04-02 株式会社アドバンテスト 光測定装置
WO2011041472A1 (en) 2009-10-02 2011-04-07 Imra America, Inc. Optical signal processing with modelocked lasers
JPWO2011062114A1 (ja) * 2009-11-19 2013-04-04 株式会社アドバンテスト 信号出力器、複数信号の信号源および複数のレーザ光パルスの出力装置
JP5836683B2 (ja) * 2010-08-24 2015-12-24 キヤノン株式会社 電磁波発生素子、電磁波検出素子、時間領域分光装置
US8378304B2 (en) 2010-08-24 2013-02-19 Honeywell Asca Inc. Continuous referencing for increasing measurement precision in time-domain spectroscopy
JP5675219B2 (ja) * 2010-08-27 2015-02-25 キヤノン株式会社 光パルス発生装置、テラヘルツ分光装置およびトモグラフィ装置
JP2012212870A (ja) * 2011-03-18 2012-11-01 Canon Inc 光伝導素子
US8638443B2 (en) 2011-05-24 2014-01-28 Honeywell International Inc. Error compensation in a spectrometer
US20120306886A1 (en) * 2011-06-02 2012-12-06 Tektronix, Inc Continuous rf signal visualization with high resolution
US20150117599A1 (en) * 2013-10-31 2015-04-30 Sigray, Inc. X-ray interferometric imaging system
JP5836479B2 (ja) * 2012-03-30 2015-12-24 株式会社日立製作所 時間領域分光装置および時間領域分光分析システム
JP6118507B2 (ja) * 2012-04-19 2017-04-19 学校法人慶應義塾 分光計測装置
EP2660585B1 (en) 2012-05-02 2023-06-28 IMEC vzw Method and system for multiplexed optical analysis
DE112013003959T5 (de) * 2012-08-07 2015-04-30 Advantest Corporation Pulslichtquelle und Verfahren zum stabilen Steuern von Phasendifferenz zwischen Pulslaserlichtern
JP6139327B2 (ja) * 2012-08-30 2017-05-31 アークレイ株式会社 テラヘルツ波分光測定装置及び方法、非線形光学結晶の検査装置及び方法
JP5510851B2 (ja) * 2012-12-28 2014-06-04 独立行政法人日本原子力研究開発機構 テラヘルツ測定法
US10297359B2 (en) 2013-09-19 2019-05-21 Sigray, Inc. X-ray illumination system with multiple target microstructures
US10269528B2 (en) 2013-09-19 2019-04-23 Sigray, Inc. Diverging X-ray sources using linear accumulation
US10295485B2 (en) 2013-12-05 2019-05-21 Sigray, Inc. X-ray transmission spectrometer system
USRE48612E1 (en) 2013-10-31 2021-06-29 Sigray, Inc. X-ray interferometric imaging system
US10304580B2 (en) 2013-10-31 2019-05-28 Sigray, Inc. Talbot X-ray microscope
CN105683739A (zh) * 2013-11-01 2016-06-15 恩特葛瑞斯-捷特隆解决方案公司 溶氧传感器
DE102013112935B3 (de) 2013-11-22 2015-01-22 Fraunhofer Institut für Physikalische Messtechnik Vorrichtung und Verfahren zur S- Parameter-Charakterisierung von optoelektronischen Bauelementen
CN104022427A (zh) * 2014-04-28 2014-09-03 中国科学院上海光学精密机械研究所 波形可控太赫兹辐射的产生装置
US10401309B2 (en) 2014-05-15 2019-09-03 Sigray, Inc. X-ray techniques using structured illumination
CN104034689A (zh) * 2014-06-04 2014-09-10 北京农业智能装备技术研究中心 基于压片法的土壤重金属含量的检测方法及装置
CN104297202B (zh) * 2014-09-28 2017-10-20 首都师范大学 利用THz‑TDS频域谱定量检测粮食中农药残留的方法
US9429473B2 (en) * 2014-10-16 2016-08-30 Joseph R. Demers Terahertz spectrometer and method for reducing photomixing interference pattern
CN104764714B (zh) * 2015-04-17 2017-09-15 西南科技大学 一种基于经验模态分解提高太赫兹频谱分辨率的方法
US10352880B2 (en) 2015-04-29 2019-07-16 Sigray, Inc. Method and apparatus for x-ray microscopy
US10295486B2 (en) 2015-08-18 2019-05-21 Sigray, Inc. Detector for X-rays with high spatial and high spectral resolution
JPWO2017119389A1 (ja) * 2016-01-08 2018-10-25 国立大学法人 東京大学 フーリエ変換型分光装置
JP6604629B2 (ja) * 2016-02-15 2019-11-13 株式会社Screenホールディングス 検査装置及び検査方法
CN105784634A (zh) * 2016-03-31 2016-07-20 电子科技大学 垂直入射同时测透射和反射的太赫兹时域光谱仪
US10386650B2 (en) 2016-10-22 2019-08-20 Massachusetts Institute Of Technology Methods and apparatus for high resolution imaging with reflectors at staggered depths beneath sample
US10247683B2 (en) 2016-12-03 2019-04-02 Sigray, Inc. Material measurement techniques using multiple X-ray micro-beams
CN106769998A (zh) * 2017-01-18 2017-05-31 上海朗研光电科技有限公司 基于主动调制脉冲非线性放大的太赫兹光谱实时分析方法
AU2018223233A1 (en) * 2017-02-27 2019-09-05 University Of South Australia An optical plural-comb generator, a method of generating an optical plural comb, and a plurality of mode locked lasers that are mechanically coupled and optically independent
WO2018175570A1 (en) * 2017-03-22 2018-09-27 Sigray, Inc. Method of performing x-ray spectroscopy and x-ray absorption spectrometer system
EP4220130A1 (en) * 2017-05-17 2023-08-02 Spogen Biotech Inc. Devices, systems, and methods for agrochemical detection and agrochemical compositions
CN109696242A (zh) * 2017-10-23 2019-04-30 首都师范大学 一种异步扫频THz时域光谱系统
US10578566B2 (en) 2018-04-03 2020-03-03 Sigray, Inc. X-ray emission spectrometer system
US10845491B2 (en) 2018-06-04 2020-11-24 Sigray, Inc. Energy-resolving x-ray detection system
GB2591630B (en) 2018-07-26 2023-05-24 Sigray Inc High brightness x-ray reflection source
US10656105B2 (en) 2018-08-06 2020-05-19 Sigray, Inc. Talbot-lau x-ray source and interferometric system
DE112019004433T5 (de) 2018-09-04 2021-05-20 Sigray, Inc. System und verfahren für röntgenstrahlfluoreszenz mit filterung
CN112823280A (zh) 2018-09-07 2021-05-18 斯格瑞公司 用于深度可选x射线分析的系统和方法
CN109459611B (zh) * 2018-12-16 2020-01-10 华中科技大学 基于干涉仪的太赫兹短脉冲信号的抗干扰频谱测量方法
US11280669B2 (en) * 2019-06-06 2022-03-22 Government Of The United States Of America, As Represented By The Secretary Of Commerce Pulsed laser interferometer and measuring vibrational amplitude and vibrational phase
CN110132851B (zh) * 2019-06-20 2021-07-30 合肥工业大学 一种基于飞秒单脉冲干涉的瞬时二维光声波测量方法
CN111896787A (zh) * 2020-06-05 2020-11-06 北京无线电计量测试研究所 一种用于太赫兹脉冲辐射器辐射波形的测量系统及测量方法
CN112326588A (zh) * 2020-10-27 2021-02-05 欧必翼太赫兹科技(北京)有限公司 一种太赫兹时域光谱仪
CN112485223B (zh) * 2020-11-18 2023-03-21 东南大学 一种时空分辨瞬态吸收显微光谱测量装置
CN112557763A (zh) * 2020-12-17 2021-03-26 北京无线电计量测试研究所 一种频率测量装置及使用方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1096610A (ja) * 1996-02-16 1998-04-14 Imra America Inc レーザパルス比較方法、高速レーザー走査方法、高速走査レーザー装置、短パルスレーザー装置、距離計測装置、電気光学サンプリング・オシロスコープ、短パルスレーザー安定制御方法および較正時間スケール発生装置
JP2002043664A (ja) * 2000-07-24 2002-02-08 Sumitomo Heavy Ind Ltd パルスレーザ発生装置及びそれを利用したx線発生装置
JP2003518617A (ja) * 1999-12-28 2003-06-10 ピコメトリックス インコーポレイテッド テラヘルツ放射により物質の状態の変化を監視するためのシステムおよび方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6414473B1 (en) * 1996-05-31 2002-07-02 Rensselaer Polytechnic Institute Electro-optic/magneto-optic measurement of electromagnetic radiation using chirped optical pulse
WO2006035780A1 (ja) * 2004-09-30 2006-04-06 Japan Science And Technology Agency 赤外光放射装置、赤外光検出装置および時系列変換パルス分光計測装置ならびに赤外光放射方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH1096610A (ja) * 1996-02-16 1998-04-14 Imra America Inc レーザパルス比較方法、高速レーザー走査方法、高速走査レーザー装置、短パルスレーザー装置、距離計測装置、電気光学サンプリング・オシロスコープ、短パルスレーザー安定制御方法および較正時間スケール発生装置
JP2003518617A (ja) * 1999-12-28 2003-06-10 ピコメトリックス インコーポレイテッド テラヘルツ放射により物質の状態の変化を監視するためのシステムおよび方法
JP2002043664A (ja) * 2000-07-24 2002-02-08 Sumitomo Heavy Ind Ltd パルスレーザ発生装置及びそれを利用したx線発生装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8306078B2 (en) 2010-12-21 2012-11-06 Advantest Corporation Repetition frequency control device
DE102011087725B4 (de) 2010-12-21 2024-03-28 Advantest Corporation Folgefrequenzregelgerät
US8718108B2 (en) 2010-12-27 2014-05-06 Advantest Corporation Repetition frequency control device
DE102011087881B4 (de) * 2010-12-27 2016-08-25 Advantest Corp. Folgefrequenzregelgerät
WO2014034085A1 (ja) * 2012-08-26 2014-03-06 国立大学法人大阪大学 スペクトル分解能とスペクトル確度を向上するフーリエ変換型分光法、分光装置および分光計測プログラム

Also Published As

Publication number Publication date
US7605371B2 (en) 2009-10-20
US20080165355A1 (en) 2008-07-10
WO2006092874A1 (ja) 2006-09-08
JPWO2006092874A1 (ja) 2008-08-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4565198B2 (ja) 高分解・高速テラヘルツ分光計測装置
US8917396B2 (en) Fourier transform spectrometer with a frequency comb light source
RU2371684C2 (ru) Способ и устройство для измерения спектра временной области импульсов терагерцевого излучения
JP5250736B2 (ja) 光周波数コムのビートスペクトルの基準付け
US9557220B2 (en) Fourier transform spectroscopy method, spectroscopic device, and spectroscopic measurement program that improve spectral resolution and spectral accuracy
JP6008299B2 (ja) 光干渉計、情報取得装置、及び情報取得方法
JP2011242180A (ja) 超高分解テラヘルツ分光計測装置
US20150192467A1 (en) Spectral-domain interferometric method and system for characterizing terahertz radiation
JP2011080860A (ja) テラヘルツレーダ装置
CN106442378A (zh) 基于太赫兹光梳提高光谱吸收率测试精准度的装置
CN110274880A (zh) 一种高精度空间分辨的光谱探测方法和系统
Roberts et al. A fast-scanning Fourier transform 2D IR interferometer
Fu et al. Terahertz dual-comb spectroscopy: A comparison between time-and frequency-domain operation modes
JP2004020352A (ja) テラヘルツパルス光計測方法及び装置
KR100926039B1 (ko) 초정밀 및 고분해능의 테라헤르츠 분광기 및 그 측정방법
JP2003279412A (ja) 単色パルス光励起によってフォトニック結晶部材から放射された白色電磁波を光源とする分光測定装置
KR100996638B1 (ko) 테라헤르츠 펄스파 푸리에 변환 분광기 및 그 분광기를 이용한 분광방법
JP2007101319A (ja) 伝達特性測定装置、方法、プログラムおよび記録媒体
JP2012208098A (ja) 物性測定装置及び物性測定方法
Deng et al. Terahertz time-resolved spectroscopy with wavelet-transform
WO2024080301A1 (ja) 高速スキャンフーリエ変換分光器及び分光方法
JP2004138524A (ja) パルス間位相差測定方法および装置
Zhang et al. Real-time Rapid-scanning Time-domain Terahertz Radiation Registration System with Single-digit Femtosecond Delay-axis Precision
Osipova et al. Performance enhancement of terahertz time-domain spectrometry
Mirando Millimeter–Wave/Terahertz Chirped Michelson Interferometer Techniques for Sub Surface Sensing

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100421

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100531

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100702

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150