JP4552132B2 - 多層レジスト中間層形成用塗布液及びこれを用いたパターン形成方法 - Google Patents
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Description
多層レジスト技術は、上記のように感光性レジスト層を平坦化する目的以外にも、例えば感光性レジスト層のみでは薄くて、被加工層のドライエッチング等の加工マスクとして耐えられない場合に、必要な厚さを確保する目的で使用される。
このようなエッチング特性が必要な中間層には、スパッタ法、CVD法等で形成したSiO2、Si3N4等の無機膜、或いは塗布法で形成したSiを含む有機ポリマー等を使用することができる。実際の半導体製造工場では3層レジスト工程はリソグラフィー工程で実施されることが多く、例えば感光性レジストの塗布設備がそのまま使用できる塗布法で形成するSiを含む有機ポリマー又はSiO2を主成分とする無機ポリマーが使用されることが多い。一般にSiO2を主成分とする無機ポリマーをSOG(スピン・オン・グラス)、Siを含む有機ポリマーは有機SOGと呼び分けることがあるが、ここでは以後、両者をまとめてSOGと記す。
上記のように中間層4は平坦化層3のエッチングマスクとなるので、平坦化層3のエッチングに対してマスクとなり得るエッチング特性を有することが必要である。平坦化層3は、一般には有機ポリマーであり、酸素(O2)を用いたドライエッチングでエッチングされるので、中間層4はO2ドライエッチングに対して充分なドライエッチ耐性が要求される。
また、塗布液は保管中の塗布液の安定性が重要である。
また、中間層4は平坦化層3と感光性レジスト層5に挟まれていることから、これらの層とミキシングの起きる可能性がある相溶性物質は好ましくない。
さらに、感光性レジスト層の露光に影響を及ぼさない光学的特性を有することも要求される。その表面が曇りのない鏡面であることは当然であるが、更に、感光性レジスト層が露光、現像されて所定のパターンを形成する段階でパターン精度を低下させる要因の1つである定在波、即ち、感光性レジスト層の表面の入射光と裏面での反射光が互いに干渉して発生する定在波を防ぐ必要がある。多層レジストに於いて、この定在波形成を防ぐには、感光性レジスト層の下にある中間層での反射を防ぐと共に、中間層の下層からの反射をできるだけ少なくすることであり、中間層での光吸収率が高いことが望まれる。
(1)(2)の特性は主として中間層に含まれる酸化物の種類に依存し、(3)(4)の特性は有機ポリマー、有機溶剤、添加物の組成に依存する。
SOGによる中間層にはSiO2が含まれるが、大幅に(1)(2)の特性を変えるには、SiO2に替わる酸化物が必要である。特許文献3にはTiO2が形成される塗布液が開示されている。しかし、この塗布液は3層レジストの中間層に用いることを目的としていないので、塗布液の安定性が十分でないという問題点がある。
チタンアルコキシドTi(OR) 4 における式中のRは、炭素数1〜8のアルキル基であり、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−アミル、ペンチル、ヘキシル、オクチル基などが挙げられる。
多層レジスト中間層形成用塗布液におけるチタンアルコキシドの濃度は、同時に用いる有機溶剤との関連でできるだけ高濃度にするのが好ましいが、通常5〜70重量%である。
また、チタンアルコキシドとともに、Siアルコキシド誘導体、あるいはSiを含む有機ポリマーを本発明の効果が損なわれない範囲で一部混合して用いてもよい。
塗布の方法は、特に限定するものではなく、浸漬法、回転塗布法など通常の塗布方法が用いられる。集積回路素子の製造における多層レジストでは、塗布膜の厚さを特定範囲に制御し、かつ膜厚の均一性が要求されるので、回転塗布法が一般的に使用される。
塗布の後のベークは、用いた有機溶剤の沸点より低い温度からゆっくりと昇温し、150℃〜250℃とし、この温度にて1分以上、通常1〜10分保持して行われる。特に、半導体集積回路素子を製造する多層レジスト工程の中間層として使用する場合にはクラックを防ぐため、ベークを数段階に分けて実施するのが好ましく、例えば前述の如く100〜150℃のベークと150〜250℃でベークの2段階に分ける。
中間層の厚さは、多層レジストの用途などから決められるものであるが、通常ベーク後で50〜200nmとなるようにされ、この膜厚で5μmの平坦化層のエッチングマスクとしては十分である。
図1は3層レジストを用いたパターン加工の工程を例として工程順に断面図で示している。
同図(a)に示すように、段差のある被加工層2が形成された基板1上に、平坦性の良い有機ポリマー、例えばノボラック樹脂を回転塗布し、100℃〜150℃、1分のベーク、さらに200℃〜250℃、1分〜30分のベークを行い平坦化層3を形成する。その厚さは、被加工層2の厚さ及び段差や被加工層2とその加工の際のエッチングマスクとなる平坦下層3のエッチング選択比等によって決定されるが、概ね0.5〜5μmである。
感光性レジスト層5のパターニングは、X線露光、マスクを用いない電子線直接描画等あらゆるリソグラフィー技術を用いることが可能であるが、後述するように、短波長の紫外線を用いた光リソグラフィーにおいて、本発明に係る多層レジスト中間層形成用塗布液を用いた光学的メリットが最も発揮される。
また、平坦化層3をエッチングするマスクとして用いた中間層4のパターンは、除去せずそのまま残して平坦化層3と共に被加工層2のエッチングマスクとして用いるのが好ましい。それは、前述したように本発明に係る中間層が、従来のSOG等のSiO2系膜に比べてSiO2などの絶縁膜、AlやPtなどのメタルのエッチング時に使用されるフッ素を含んだガスや塩素を含んだガスに対して、極めて高いエッチング耐性を有しているからである。
一方、中間層4のパターンを除去する必要がある場合は、フッ酸1%溶液に1分浸漬するか、フッ素を含んだガスを用いたドライエッチングを行う。
このようにして感光性レジスト層5のパターンが最終的に被加工層2に転写される。
最後に同図(f)に示すように、平坦化層3をアッシング除去する。通常、中間層4は薄く形成されており、平坦化層3と共に被加工層2のエッチングマスクとして用いる場合でも、被加工層2のエッチングの過程で消失するが、別途、中間層4を除去する工程を設けてもよい。
塗布液1;
テトラ(イソプロポキシ)チタン〔Ti[(OCH(CH3)2)4]:5.68g(0.02モル)をエタノール:22.08g(0.48モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.2g及び脱イオン水:0.26g(0.014モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO2換算で5.6重量%である。
テトラ(n−ブトキシ)チタン〔Ti(O−C4H9)4〕:10.2g(0.03モル)を1−ブタノール:33g(0.45モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.03g及び脱イオン水:0.21g(0.012モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO2換算で、5.6重量%である。
テトラ(n−ブトキシ)チタン 〔Ti(O−C4H9)4〕:3.4g(0.01モル)を乳酸エチル:11g(0.09モル)に溶解させて、50%硝酸水:0.08g及び脱イオン水:0.05g(0.003モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO2換算で5.6重量%である。
テトラ(n−ブトキシ)チタン〔Ti(O−C4H9)4〕:17g(0.05モル)をアセチルアセトン:13g(0.13モル)に溶解させて、1‐プロパノール:5g(0.08モル)、脱イオン水:0.18g(0.01モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO2換算で11.6重量%である。
テトラ(n−ブトキシ)チタン〔Ti(O−C4H9)4〕:3.4g(0.01モル)をアセチルアセトン:5.5g(0.06モル)に溶解させて、エタノール:5.5g(0.12モル)、50%硝酸水:0.1g及び脱イオン水:0.13g(0.007モル)を加えて溶液とした。この塗布液は、TiO2換算で5.6重量%である。
脱イオン水の添加重量を0.62g(0.034モル)とした以外は、塗布液1と全く同じに調整した。
比較例2;
脱イオン水の添加重量を1.8g(0.1モル)とした以外は、塗布液4と全く同じに調整した。
総水分量が1モル以下の塗布液1〜5は、いずれも調製直後は淡黄色透明であり、空気中、30日間室温にて密封保存しても沈殿生成やゲル化は生じず、高い液安定性を有することが認められた。
一方、総水分量が2モルになる比較例1、2はいずれも調整後数日間は淡黄色透明な液体であるが、30日後にはゲル化して流動性が低下した。
総水分量がチタンアルコキシド1モルに対して1モルを超えると、塗布液を調整直後は淡黄色透明であっても、長期間、例えば30日の保存後にはゲル化して不透明となり溶液の流動性が低下する。半導体の量産で使用するにあたっては、保存安定性に優れていることが好ましく、水の量を0.1〜1モルの範囲にするのが好ましい。
塗布液2を多層レジスト中間層形成用塗布液としてSiウエハー上に、回転数3000rpmで回転塗布し、150℃で1分ベーク後さらに200Cで1分ベークした。この硬化層を中間層のモデル皮膜(以下、「中間層皮膜」と記す)として以下評価を行った。
このベーク処理により、膜中から有機溶剤及び水分が除去され、縮合により耐溶剤性、耐現像液性に優れた、アモルファスTiO2膜が形成される。
図2は上記中間層皮膜の走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、S−5200型(型番))による断面写真である。ここでは回転塗布の回転数を下げて、中間層として用いる場合より厚く塗布してある。図2は中間層皮膜が平坦な表面を有し、表面曇りの原因となる凹凸や異物が無いことを示している。
中間層皮膜を乳酸エチル、N−メチルピロリドン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)のそれぞれに室温で5分間浸漬し、浸漬前後の膜厚を測定した。なお、膜厚測定は、エリプソメーター(株式会社溝尻光学工業所製 DHA−OLX)により行った。
乳酸エチル:浸漬前 98.6nm、浸漬後 98.9nm
N−メチルピロリドン:浸漬前 98.6nm、浸漬後 98.4nm
TMAH:浸漬前 99.2nm、浸漬後 99.3nm
〔塗布液1〕、〔塗布液3〕、〔塗布液4〕、〔塗布液5〕について、〔塗布液2〕と同様の浸漬実験を行った結果は以下の通りである。
〔塗布液1〕
乳酸エチル:浸漬前 119.1nm、浸漬後 119.0nm
N−メチルピロリドン:浸漬前 119.3nm、浸漬後 119.1nm
TMAH:浸漬前 119.6nm、浸漬後 119.4nm
〔塗布液3〕
乳酸エチル:浸漬前 101.4nm、浸漬後 101.2nm
N−メチルピロリドン:浸漬前 101.1nm、浸漬後 101.2nm
TMAH:浸漬前 101.5nm、浸漬後 101.6nm
〔塗布液4〕
乳酸エチル:浸漬前 211.2nm、浸漬後 211.0nm
N−メチルピロリドン:浸漬前 211.7nm、浸漬後 211.8nm
TMAH:浸漬前 211.6nm、浸漬後 211.3nm
〔塗布液5〕
乳酸エチル:浸漬前 132.3nm、浸漬後 132.2nm
N−メチルピロリドン:浸漬前 132.1nm、浸漬後 132.1nm
TMAH:浸漬前 132.5nm、浸漬後 132.6nm
この結果から、この中間層皮膜は、最近注目されている安全性の高いレジスト溶媒である乳酸エチルやN−メチルピロリドン、レジスト現像液であるTMAHに対して膜厚変化は起きないことが分かる。
即ち、この中間層皮膜は感光性レジスト層系の平坦化層と感光性レジスト層に挟まれて形成される多層レジストの中間層として、相互に溶解するミキシング等の相互干渉が起こらない安定した特性を有していることが分る。
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス:CF4(流量100sccm)とO2(流量50sccm)の混合ガス、
出力:200W、
圧力:300mtorr
<結果>
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは1nm/分であり、有機SOG被膜のエッチングレートは104.8nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス:SF6(流量100sccm)とHe(流量50sccm)の混合ガス
出力:100W、
圧力:200mtorr
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは21.1nm/分であった。有機SOGのエッチングレートは114.9nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
実施例2、3のエッチング条件はいずれもSiO2等の絶縁膜のエッチングに主として用いられる条件であり、このような膜のエッチングに対して、本発明の膜は、従来のSOGと比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
中間層皮膜、および比較として有機SOG被膜(ラサ工業株式会社製、「T−14シリーズ」(商品名)を使用した)のそれぞれを、ドライエッチング装置(東京応化(株)製、TUE1101型)を用いてエッチングした。
<条件>
ガス:Cl2(流量6sccm)とO2(流量9sccm)とAr(15sccm)の混合ガス
出力:800W
圧力:1mtorr
本発明の中間層皮膜のエッチングレートは10nm/分であった。有機SOGのエッチングレートは52nm/分であった。本発明による中間層皮膜は、従来一般に用いられている有機SOG系被膜と比べ、高いドライエッチング耐性を有していることが分かる。
このエッチングはPt等メタルをエッチングする場合に用いられる条件であり、メタルのエッチングに対してもSOGよりエッチング耐性が高いことが分かる。
光学的特性を説明する。
図3は光の吸収を測定したもので、光の波長と消衰係数κの関係を示し、図3(a)は本発明に係る中間層皮膜、図3(b)は有機SOG皮膜のものである。
測定は分光エリプソメーター(ソープラ社製 型番:SE−5−CCD−NIR)にて、Xe短アークランプ75W(浜松ホトニクス(株)製 型番:L2174−01)を光源に用いて、波長193nm〜800nmの範囲で行った。
同図に示すように、SOG膜は図の範囲の波長に対し全く光吸収がないのに対し、本発明に係る中間層皮膜は、波長が短くなると吸収があり、微細パターン露光に用いられる波長248nmのKrFレーザー光に対してはκ=0.48、波長193nmのArFレーザー光に対してはκ=0.33の吸収がある。
このように、本発明に係る中間層皮膜は微細パターン露光に用いられる光に対して吸収があり、露光に用いる光が基板で反射して生ずる定在波効果を低減することができる。
図4は本発明に係る塗布膜の定在波効果をシミュレーションした図で、図4(a)は波長365nmの紫外光、図4(b)は波長248nmのKrFレーザー光、図4(c)は波長193nmのArFレーザー光に対する定在波効果を示す。
図4のシミュレーションは、シリコンの基板上に、平坦化層を省いて直接中間層を形成した構成について行ったものである。
図4(a)に示すように、光の吸収が十分でない波長365nmの紫外光に対しては、定在波効果が現れるが、同図(b)、(c)に示すように、光の吸収が十分な波長248nm、193nmの光に対しては、中間層が50nm以上あれば、シリコンの基板上に直接中間層を形成するような厳しい条件下でも定在波効果が発生しないことが分かる。このことは、この本発明に係る中間層のモデル膜が微細パターンを露光するホトリソグラフィー工程に適した多層レジスト中間層であることを示している。
2;被加工層
3;平坦化層
4;中間層
5;感光性レジスト層
Claims (4)
- 基板の被加工層の平坦化層上に塗布され、ベークされることにより中間層を形成するための多層レジスト中間層形成用塗布液であって、
少なくとも、一般式Ti(OR)4、〔式中、Rは炭素数1〜8のアルキル基である〕で表されるチタンアルコキシドと、キレート剤または硝酸と、前記チタンアルコキシド1モルに対して0.1〜1モルの水を、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2‐ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる一種以上の有機溶剤に溶解してなることを特徴とする多層レジスト中間層形成用塗布液。 - 基板の被加工層の上に平坦化層、中間層、感光性レジスト層が順次積層されてなる多層レジスト層を形成し、前記感光性レジスト層に所定のパターンをリソグラフィー技術を用いて形成し、前記感光性レジスト層のパターンをマスクにして前記中間層をエッチングして前記中間層に前記パターンを転写し、前記中間層のパターンをマスクにして前記平坦化層をエッチングして前記平坦化層に前記パターンを転写し、前記平坦化層あるいは前記中間層と前記平坦化層からなるパターンをマスクにして前記被加工層をエッチングして前記被加工層に前記パターンを転写する工程を含む被加工層のパターン形成において、前記中間層が、請求項1に記載の多層レジスト中間層形成用塗布液が塗布された後、不活性ガス雰囲気下、100〜150℃と、さらに150℃〜250℃との2段段階でベークして形成されることを特徴とする多層レジストを用いたパターン形成方法。
- 前記中間層のエッチングが、ドライエッチング法によって行われることを特徴とする請求項2に記載の多層レジストを用いたパターン形成方法。
- 前記ドライエッチング法が、フッ素を含むガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)法であることを特徴とする請求項3に記載の多層レジストを用いたパターン形成方法。
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