JP4491268B2 - 分散補償量設定方法,受信端局および波長多重光伝送システム - Google Patents
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Description
(i)伝送容量の拡大
よく知られているように、伝送容量の拡大方法は、特定の波長帯域内における伝送光の波長数を増加させるもの(波長数の高密度化)と、波長帯域を広くして波長数を増加するもの(波長帯域の広範化)とがある。波長数の高密度化は、波長が近接する複数の伝送光の干渉を招き、また、光ファイバの非線形光学効果が顕著になる。従って、伝送容量が拡大する半面、波形歪みが生じ、長距離伝送が困難になる。
(ii)長距離伝送
一般に、光増幅器を用いたWDM伝送システムにおいては、伝送路中の非線形光学効果のために伝送するチャネル自身の強度変化に応じた位相変調を受ける自己位相変調(Self Phase Modulation:以下、自己位相変調SPMと称する。)による波形劣化と同時に、波長の異なるチャネルの強度変化に応じて位相変調を受ける相互位相変調(Cross Phase Modulation:以下、相互位相変調XPMと称する。)による波形劣化を生じる。各位相変調成分は分散とあいまって波形歪みに変換される。従って、分散と非線形光学効果とを抑制することにより、光信号の伝送距離が長くなる。
分散を抑制するために、分散補償器が光ファイバ伝送路に設けられており、また、分散量の不均一を考慮して中継ノード(中継器,中継局,中継装置又は光増幅中継装置)の内部又は光ファイバ伝送路に設けられている。そして、「どの位置に、どの程度の補償をするか」は、分散補償マネジメントと呼ばれ、分散補償器の配置等が、種々検討される。
(iv)線形中継伝送システム
WDM伝送システムにおいて分散補償を行なう場合、管理者は、光ファイバ伝送路条件(例えば光ファイバの分散および光ファイバ伝送路にて発生する非線形型光学効果の影響)を考慮して分散補償器の配置およびその分散補償量を決定する。一般的には、与えられた光ファイバ伝送路の各種の特性に応じて、中継伝送のシミュレーションを行なって分散補償器の配置およびその分散補償量を決定する。
特許文献1記載の伝送システムは、有意な相互位相変調XPMが生じる振幅変調されたトラヒックを伝達するWDM伝送システムにおいて、個別のチャネル毎に送信器側で、他の各チャネルに適用された振幅変調のレプリカ又はローパスフィルタを通されたレプリカを用いてプレチャープされる。自己位相変調SPMの補償を行なうため、付加的又は代替的に、個別のチャネル毎にそのチャネルに適用された振幅変調のレプリカを用いたプレチャープを使用してもよい。これにより、相互位相変調および/又は自己位相変調SPMの悪影響の少なくとも一部を打ち消すため補償が設けられた伝送システムが提供される。
さらに、クロストーク(異なるチャネル間のXPM)の発生を抑圧するために、事前に上記シミュレーション等を行なう等して分散補償器の配置を決定するが十分に最適化するためには、精度が高い詳細な検討を要し、また、実際の伝送環境が設計時に想定した条件と異なる場合、設計時のそれよりも伝送品質が劣化するという課題がある。
一方、上記の特許文献1は、送信器の後で第1のスパンに導入されたXPMを補償することができるが、関連した増幅器によって昇圧された光の強度の結果として第2以降のスパンにおける非線形光学効果によって発生されたXPMを補償しない。さらに、分散補償量を可変設定することができない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、WDM伝送システムにおいて、
効果的に分散量を補償し、伝送品質および信頼性を向上させ、自己位相変調SPMによる波形歪みと相互位相変調XPMによる波形歪みとを分離評価でき、部品コストの低廉化を促進でき、また、伝送性能又はパフォーマンスを維持するために要する波長数又は距離等についての検討労力を軽減可能な、分散補償量設定方法,受信端局および波長多重光伝送システムを提供することを目的とする。
また、本発明の波長多重光伝送システムは、波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムであって、強度一定光と、強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する第1の伝送局と、受信分散補償量を変化させて、第1の伝送局から送信された強度一定光の強度の変動量を検出し、受信分散補償量を、強度一定光の強度の変動量が最も小さくなる受信分散補償量に設定する第2の伝送局とをそなえて構成されたことを特徴としている。
本発明の分散補償量設定方法によれば、相互位相変調XPMの発生量を直接評価した上で分散補償量を設定することが可能になるため、相互位相変調XPMの影響を回避する最適な分散補償構成を実現できる。
そして、変調光をモニタすることで自己位相変調SPMによる波形歪みと相互位相変調XPMによる波形歪みを分離して評価することが可能となる。
さらに、本発明の波長多重光伝送システムによれば、波形歪みを抑制することにより、光増幅器のNF(Noise Figure:雑音指数)あるいは送受信器の特性を設計上緩和することができる。この結果、光増幅器および送受信器を構成するデバイスおよび部品の仕様上の制限を緩和でき、部品コストの低廉化を促進できる。さらに、管理者は、波長多重光の波長数の減少又は距離の短縮等を考慮することなく伝送性能又はパフォーマンスを維持できる。
(A)本発明の第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態に係るWDM伝送システムの概略的な構成図である。この図1に示すWDM伝送システム100は、送信ターミナルノード(送信端局,送信ノード又は送信端局装置)12と受信ターミナルノード(受信端局,受信ノード又は受信端局装置)14とをそなえ例えばnチャネル(nは自然数を表す。)の異なる波長が多重された波長多重光(波長多重信号光)を伝送するものである。
(1−1)WDM伝送システム100の概略的な構成
本発明のWDM伝送システム100の一例は、基幹系ネットワークシステムとしてのものである。例えば東京,ハワイおよびロサンゼルス等の広範な地域にそれぞれ設けられた各ノード間が、光ファイバを介して接続され、高速かつ大容量のパケットが送受信されている。WDM伝送システム100は、送信ターミナルノード12と、受信ターミナルノード14と、例えば4個の中継ノード(中継器,中継局,中継装置又は光増幅中継装置)13とが設けられ、これらの各ノード(送信ターミナルノード12,受信ターミナルノード14および4個の中継ノード13)が、それぞれ、光ファイバ伝送路50を介して接続されて構成されている。
光ファイバ伝送路50は、各ノードの装置状態を通知する監視制御信号(OSC[Optical Service Channel])と、音声,画像およびテキスト等の情報データを含む主信号により変調された主信号光を波長多重伝送させる伝送路である。一般に、波長多重光を構成する各チャネル光は伝搬するときに、分散(波長分散)と非線形光学効果とに起因する位相変調を受け、波形歪みが発生する。
(1−3)全体分散量に対する総補償量
このため、管理者は、その全体分散量に対する総補償量を予め各ノードに配分(割り当て)し、各ノードは、配分された補償量を補償するようになっている。また、各分散補償器の設置間隔,分散補償器から出力される伝送光の強度等についても、詳細に決められている。
(1−4)分散補償量設定フェーズと主信号伝送フェーズ
WDM伝送システム100は、送信ターミナルノード12が受信ターミナルノード14に対して主信号を含む波長多重光を伝送する主信号伝送フェーズと、この主信号伝送フェーズよりも前に、光ファイバ伝送路50において発生する非線形光学効果のうちの自己位相変調SPMと相互位相変調XPMとの各量を測定しその各量を補償する分散補償量設定フェーズとの両フェーズで動作する。
主信号伝送フェーズにおいては、各ノードは、主信号を含む波長多重光を送受信する。なお、各ノードにおける主信号の送受信機能については、一般的に知られた方法が用いられる。
図2は本発明の第1実施形態に係るCW光および変調光を説明するための図である。この図2に示すn個の送信部10(#1〜#nと付したもの)からの出力光の波長λ1〜λnは、相互に異なり、光周波数(光波長の逆数)軸上において一定間隔になるように配置されている。そして、送信ターミナルノード12は、強度一定のCW光(Continuous Wave Light:連続波光)を発生させる。このCW光は、比較的簡素な回路を用いて生成でき、また、CW光は他の信号光に与える影響が小さい。さらに、送信ターミナルノード12は、CW光と、周期Tの強度変調を加えた変調光とを生成して送信する。この周期Tの強度変調は例えば「1010」の交番パターン(交番パターン信号)等を用いる。
上述したように、送信ターミナルノード12は、送信にあたり(送信ステップ)、CW光又はCW光を低周波変調信号で変調した低周波変調光を送信する。WDM伝送システム100においては、CW光(又は低周波変調光)を波長λ1(チャネル#1)とし、変調光を波長λ1と隣接する波長λ2(チャネル#2)とする。これらのチャネル#1,#2の各光が波長多重伝送されると、変調光には、変調光自身の強度変化に比例した自己位相変調SPMが発生し、また、CW光については、変調光の強度変調に比例した相互位相変調XPMが発生する。
以上をまとめると、本分散補償量設定方法は、まず、送信ターミナルノード12が、CW光と、変調パターン信号で変調したCW光の波長と異なる波長を有する変調光とを送信する(送信ステップ)。
そして、受信ターミナルノード14が、検出ステップにて検出された物理量の変動量に基づいて、受信分散補償量を設定する(分散補償量設定ステップ)。
ここで、送信されるCW光,変調光は、それぞれ、強度一定光,強度変調光であるので、上記の本分散補償量設定方法は、送信ターミナルノード12が、強度一定光と、強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信し(送信ステップ)、受信ターミナルノード14が、送信ステップにて送信された強度一定光の振幅変動に起因する物理量を検出し(検出ステップ)、この検出ステップにて検出された物理量に基づいて、受信分散補償量を設定する(分散補償量設定ステップ)。
以下、各ノードの構成について詳述する。
(2)送信ターミナルノード12
図1に示す送信ターミナルノード12は、n個の送信部(光送信器)10と、合波部(MUX:Multiplexing)11aと、EDFA(光増幅器)12aと、送信用分散補償器(DCT:Dispersion Compensator for Transmitting)9aと、制御部(分散補償量設定部)88とをそなえて構成されている。
図3は本発明の第1実施形態に係る送信部10のブロック図である。この図3に示すn個の送信部10は、波長λ1〜λn(チャネル#1〜#n)のCW光と、1波以上の変調パターン信号で変調した波長λ1〜λnのうちのいずれかの波長λkを有する変調光とを出力するものである。送信部10は、具体的には、波長λ1〜λnのCW光を出力可能な出力波長固定型の発光デバイスを設け、n個の送信部10間で相異なる波長λ1〜λnを有するCW光を出力可能になっている。なお、上述したとおり、CW光の代わりに、十分に低い周波数で変調された変調光を用いてもよい。
以下、波長λk(kは1からnの値の自然数を表す。)を出力する送信部10を送信部#kと称する。例えば「#1」と付された送信部10はチャネル#1(すなわち、波長λ1)を出力するもの(送信部#1)であり、「#2」と付された送信部10はチャネル#2(波長λ2)のCW光を出力するもの(送信部#2)である。制御部88は、後述する図14に示すように、各送信部10の出力波長λkを、受信側における強度変調量の測定結果に基づいて決定することにより割り当て処理を行なう。
ここで、チューナブルレーザーダイオード60bは、波長λ1〜λnのCW光を出力する光源であって、発振波長を変化させて出力可能なチューナブルレーザーダイオード(チューナブルレーザーダイオードモジュール)を用いることができる。起動後の発振波長は、所望の値を設定することができ、例えば、CW光および変調光は、それぞれチャネル#1,#2に設定される。
また、上述したように、変調器60cとしての外部変調器が出力するCW光に低周波信号が変調される場合があるので、本分散補償量設定方法は、低周波変調光を用いてもよい。すなわち、分散補償量設定方法は、CW光を送信する場合と、低周波変調光を送信する場合とのいずれの方法を用いることができる。
モニタ信号出力部63bは、パターン発生器60dからの変調パターン信号の例えばタイミング等を整えるものであり、主信号出力部63aは、音声,画像およびテキスト等の情報データをパケット化した主信号を例えば他の光ネットワーク(図示省略)から受信して変調回路63dに出力するものである。
また、変調切替制御部63eは、通常時は、主信号を出力し、また、本発明の適用時は、必要に応じて、CW光又は変調光を出力するように制御するものである。
次に、パターン発生器60dが出力する1波以上の変調パターン信号と変調光とについて詳述する。
図4(a)〜図4(g)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る変調パターン信号の一例を示す図である。この図4(a)に示す波形は、平坦な変調パターン信号であり、変調器60cにおいて、この変調パターン信号が波長λkのCW光に変調され、波長λkの変調光が出力される。すなわち、変調光は、1波の変調パターン信号で変調されている。また、変調パターン信号は、図4(c)に示す矩形パルス(又はNRZ[Non Return to Zero]非ゼロ復帰)のようなパターンを用いることもできる。
さらに、変調パターン信号は、図4(e),図4(f),図4(g)にそれぞれ示すように、「1010」を繰り返す交番パターン,PNパターン,約5GHzの正弦波パターン等を用いることができる。なお、「1010」の交番パターンのビットレートは、主信号光の伝送ビットレートBと同程度の値又は伝送ビットレートBの約半分の値が好ましく、例えば10Gbps(ギガビット毎秒)が用いられる。
従って、送信ターミナルノード12(図1)は、送信にあたり(送信ステップ)、CW光と変調光とのうちの変調光について、例えば交番パターン信号又はPNパターン信号で変調した変調光を、受信ターミナルノード14に対して送信する。そして、各変調パターン信号は、変調器60cにおいて、CW光に変調され、変調光が光ファイバ伝送路50に出力されるのである。従って、送信ターミナルノード12は、1又は波長の異なるk本の変調パターン信号で変調した変調光を送信している。
また、合波部11aは、全ての波長λ1〜λnのCW光を合波して波長多重光を出力するものである。
これにより、送受信ターミナルノード12,14間において、チャネル#1について、分散補償量のモニタリングが行なわれ、受信ターミナルノード14にてチャネル#1について所望の補償量が起動前に設定される。続いて、チャネル#2,#3,…,#nについて、それぞれ、分散補償量が起動前に設定される。
(2−4)EDFA12aとDCT9a(図1)
さらに、EDFA12aは、入力された波長多重光を増幅するものである。また、DCT9aは、EDFA12aから出力される波長多重光に所定の分散量を補償するものである。このDCT9aの機能は、例えば図5(b)に示す固定のものにより実現される。この図5(b)に示すDCT9aは、DCF(Dispersion Compensator Fiber:分散補償ファイバ)34aが、入力光を増幅する光増幅器34bを介して複数段(例えば3段)接続されて構成されている。そして、各DCF34aの補償量は、それぞれ(図中下方のものから)、例えば−100,−200,−400(ps/nm)であり、入力光は、これらの3段のDCF34aを通過すると、−700(ps/nm)の補償量を受けるようになっている。
図5(a)はEDFA12aを用いた増幅処理の一例を説明するための図である。この図5(a)に示すEDFA12aは、前段EDFA112a,DCT9a,後段EDFA112bをそなえ、前段EDFA112aのEDF(エルビウム添加光ファイバ)32aにレーザーダイオード(LD:励起光源)32bからの励起光が入力され、その入力された励起光がエルビウムを励起させ、その励起エネルギがEDF32aを通過する信号光を増幅する。この増幅された信号光は、DCT9aに入力されて、DCT9a自体を伝送後、分散補償された信号光が出力され、後段EDFA112bにて増幅されてから出力される。
次に、受信ターミナルノード14について説明する。
(3)受信ターミナルノード14
図1に示す受信ターミナルノード14は、光ファイバ伝送路50からのCW光および変調光(情報データの伝送時には主信号光も含む。)を受信し復調するものであって、EDFA(光増幅器)12aと、受信用分散補償器(DCR)9bと、分波部11bと、n個の受信部(光受信器)30と、制御部(分散補償量設定部)89とをそなえて構成されている。ここで、受信部#1〜#nと表示したものは、いずれも、同一構成の受信部30を表す。
分波部11bは、波長多重光を各単波長光に分波するものである。
(3−2)制御部89
制御部89(図1)は、パワー検出回路(検出部)61d(後述する図6)にて検出された物理量に基づいて、受信分散補償量を設定するものであって、分散補償量設定部として機能する。この制御部89(図1)は、受光処理部(図6に示す直流成分除去部61b,パワー検出回路61d,直流成分抽出部61c)において検出されるCW光(連続波光)の強度揺らぎと、変調光から抽出される変調成分とを検出し、強度揺らぎと変調成分との変動量に基づいて受信分散補償量を計算する。
DCR9bは、受信分散補償量を設定され受信光の分散を補償する分散補償器である。このDCR9bは、前段のEDFA12aから出力される波長多重光に所定の分散量を付加して出力するものであり、外部からの設定により分散量を調整および変更可能なデバイスである。DCR9bの調整方法は、管理者による手動調整や、外部からの制御信号による自動調整等を用いることができる。このDCR9bの機能は、エタロンタイプ,VIPA(Virtually Imaged Phased Array)型又はFBG(Fiber Bragg Grating)等の分散補償器等によって発揮される。ここで、エタロンタイプは、エタロン型のフィルタを用いたものである。また、FBGは、石英等に屈折率が周期的に異なる光導波路を形成し光を制御する光導波路である。
ここで、図9はVIPAの構成例を示す図である。この図9に示すVIPA型の分散補償器65は、幅薄のVIPAガラス板65dの両面に、反射率100%の光反射膜65gをコーティングした波長分散デバイスの一種であって、入射光を一方向に通過させる集光レンズ65b,65c,65eと、光反射膜65gを入力側の上部半面にコーティングし下部半面は透過率100%に加工されたVIPAガラス板65dと、3次元ミラー(反射ミラー)65fとを設けている。入射されたWDM光がVIPAガラス板65dの内部媒質中の内側壁に反射を繰り返すことにより各単波長光を分離する。この分離された各単波長光について、正の分散補償量および負の分散補償量をそれぞれ与える場合、集光レンズ65eからの単波長光をX軸の正方向,負方向にそれぞれ集光するようになっている。
これにより、受信ターミナルノード12(図1等)の受信部#1〜#nは、それぞれ、CW光および変調光を同時にモニタし、CW光の強度変調量を測定することにより、相互位相変調XPMによる波形歪みを取得し、相互位相変調XPMの影響を最小にするように分散補償量を決定する。
図6は本発明の第1実施形態に係る受信部#1〜#nのブロック図である。この図6に示す受信部#1〜#nは、それぞれ、主信号の受信処理を行なうとともに、WDM伝送システム100における送信ターミナルノード12から出力された波長λ1のCW光と1波以上の変調パターン信号で変調した波長λkの変調光とを受信処理するものであって、受光デバイスとしてのフォトダイオード(PD)61aと、直流成分除去部(直流カット部)61bと、スイッチ63cと、パワー検出回路(パワー検出部)61dと、直流成分抽出部61cと、主信号復調部(主信号復調回路)61eとをそなえて構成されている。
(4−1)フォトダイオード61a
フォトダイオード61aは、受信光の強度(パワー)に応じた電気信号を出力するものであって、出力する電気信号の電流値は、各単波長光の帯域とは無関係であって、受光強度に依存する。
(4−2)直流成分除去部61b
直流成分除去部61bは、フォトダイオード61aからの電気信号に含まれる直流成分をカットした電気信号を出力するものであって、その出力波形は、直流成分のみが除去され、相互位相変調XPMによる強度揺らぎ成分だけが出力されるようになっている。すなわち、直流成分除去部61bは、隣接チャネルの強度変調成分によって発生した変調成分を切り出し、変調成分のみを検出するようになっている。これにより、送信ターミナルノード12にて生成された変調パターンが復調され、例えば「1010」等の交番パターンや、PNパターン又は約5GHzの正弦波パターン等が復調される。
そして、パワー検出回路61dは、受信部#1〜#nにて受信されたCW光と変調光とに基づいて、送信ターミナルノード12と受信ターミナルノード14との間における相互位相変調XPMに起因する物理量を検出するものである。換言すれば、パワー検出回路61dは、受光処理部(直流成分除去部61b,直流成分抽出部61c,パワー検出回路61d)として機能している。
(4−4)直流成分抽出部61c
さらに、直流成分抽出部61cは、フォトダイオード61aにて受光されて得られた電気信号に含まれる直流成分を抽出するものである(例えばE点参照)。
(4−5)主信号復調部61e
主信号復調部61eは、主信号伝送フェーズの場合に、波長多重光に含まれる主信号を復調するものである。
スイッチ63cは、送信されたCW光の波長に対応する受信部#kにおいて、フォトダイオード61aからの信号を、直流成分除去部61b,直流成分抽出部61cに切り替えるとともに、対応する波長チャネルが、主信号の伝送用の場合は、主信号復調部61e側に切り替えるものである。
これにより、図6において、波長λ1のCW光は直流成分除去部61bにおいて直流成分が除去され、揺らぎ成分がパワー検出回路61dに入力され、パワーの変動成分が測定される。また、変調パターン信号で変調された変調光は、直流成分抽出部61cにて直流成分が抽出され、直流成分のパワーが測定される。
受信ターミナルノード14は、DCR9bの分散補償量を変化させて、チャネル#mの光パワー変動量を測定する。これにより、相互位相変調XPMが小さくなるので受信ターミナルノード14における符号間干渉の発生が防止される。
また、受信部#2〜#nは、それぞれ、送信ターミナルノード12から出力された波長λ1のCW光と1波以上の変調パターン信号で変調した波長λ2〜λnの変調光とを受信処理するものである。この受信強度として利用可能なパラメータは、受光された信号の強度変調度を用いることができ、このようにすれば、一層、高精度の受信強度を得られる。
(4−9)ピーク/ボトム検出部
ここで、ピーク/ボトム検出について説明する。
これにより、チャネル#1の発振波長成分のみを有するCW光は、受信部30aのフォトダイオード61aにて受光され、電気信号が出力され、直流成分除去部61bにて、その電気信号の直流成分がカットされ、変動成分のみがパワー検出回路61dに入力される。
(5)中継ノード13
図1に示す各中継ノード13は、それぞれ、受信光を増幅するとともに、WDM伝送システム100全体の総分散量のうちの予め配分された適切な分散補償量を補償するものであって、この機能は、ILA(In Line Amplifier:インラインアンプ,光増幅器)13aと、DCL(Dispersion Compensator for Lines:線路側分散補償器,伝送路分散補償器)13bとによって発揮される。このDCL13bは、光ファイバ伝送路50における波長多重光の分散を補償するものである。
このように、分散補償量の設定を、送信ターミナルノード12および受信ターミナルノード14間に設けられたILA13aが行なうことにより、一層適切な分散量が補償される。
以下、図10〜図15を参照して本発明の第1実施形態に係る波長多重光の分散補償方法および分散補償値の設定方法の一例について詳述する。
(6−1)分散マップ
図10は本発明の第1実施形態に係る分散マップの一例を示す図である。この図10に示す分散マップは、各スパン(中継ノード13)に入力されたときの入力光の分散量と、各スパンから出力されるときの出力光の分散量とを表すものである。ここで、円で囲んだ部分は、中継ノード13を表し、伝送光が、図1に示す4個の中継ノード13を含む多数の中継ノード13を介して伝送するときの分散量の変動が示されている。この分散量は、光ファイバ伝送路50の単位長さにおける時間遅延によって表され、波長多重光が使用する帯域のうちの中心部分の波長(中心波長)を用いて表される。これにより、WDM伝送システム100についての分散マップが作成される。
なお、分散量の増加と分散量の補償とが繰り返され、伝送距離の増加にともなって、中継ノード13の入力光の分散量も徐々に大きくなっている。一般に、波長多重光の波形歪みは、総分散量によって異なる。具体的には、受信ターミナルノード14が、例えば伝送距離約500kmに設けられた場合と、伝送距離約1100kmに設けられた場合とにおける各波形歪み量は異なる。
図11(a)は本発明の第1実施形態に係る受光波形の一例を示す図であり、受信分散補償量を−900ps/nmから+300ps/nmまで変化させたときの相互位相変調XPMの変化が表示されている。この図11(a)に示す5本の波形は、受信ターミナルノード14における「波形そのもの」を表し、図10に示す分散マップにおける中心波長付近にチャネル#1を設定した場合のものである。また、5本の波形は、受信ターミナルノード14の受信分散補償量が、−900,−600,−300,0および+300ps/nmの各場合を表す。そして、5本の波形のうちの受信分散補償量が−900,+300ps/nmのものは、振幅変動が大きく強度変動が大きい。一方、分散補償量が−300ps/nmのものは、振幅変動が小さく強度変動が小さい。
これに対して、本分散補償量設定方法は、送信ターミナルノード12側が、以下に述べる受信分散補償量をパラメータとして種々の量に変化させ、受信ターミナルノード14側が、受信分散補償量ごとに、受信光の物理量を測定し、そして、測定した複数の受信分散補償量のうちの最小となる受信分散補償量を決定するようになっている。WDM伝送システム100は、システム構築前において、振幅変動の大小に関するデータを取得することができない。例えば、図11(a)に示す5種類の受信分散補償量のうちの受信分散補償量が−300ps/nmのものが最も振幅変動が小さいというデータが得られない。
次に、この受信分散補償量をパラメータとして振幅変動を表示したものを図11(b)に示す。制御部89は、受信分散補償量を、−900(ps/nm)から+300(ps/nm)までインクリメントすることにより、図11(b)に示す各データを測定し、相互位相変調XPMによる波形歪みの特性を取得する。これにより、制御部89は、受信分散補償量が−300(ps/nm)の分散補償を行なった場合に強度変化が最小になることを知る。従って、相互位相変調XPMに起因する物理量のスイープにより、相互位相変調XPMによる波形歪みの変動幅が最小になる条件が得られる。
なお、このスイープの具体例については後述する図14を用いて説明する。
図11(a),図11(b)に示すものは、いずれも、相互位相変調XPMによる最適条件をサーチして調整する方法を説明するためのものである。
次に、相互位相変調XPMとあわせて自己位相変調SPMによる最適条件を、受信分散補償量をパラメータとしてサーチする方法について説明する。
制御部89とパワー検出回路61dとが協働することにより、n本のチャネル#1〜#nのうちの最短波長側と最長波長側とにおいて、それぞれ、相互位相変調XPMによる波形歪みを測定する。そして、制御部89は、最短波長側および最長波長側においてそれぞれ測定された波形歪みのうちの波形歪みが大きい方の波形歪みが小さくなるように、最適な条件をサーチする。また、伝送後波形としては、最小側が0に近いほうのものが優先される。
また、このように、図12(a),図12(b)においても、制御部89は、受信分散補償量を、−900(ps/nm)から+300(ps/nm)までインクリメントすることにより、図12(b)に示すデータが得られる。
相互位相変調XPMによる波形歪みの影響をモニタするためには、変調を加えるチャネル#k側の受信波形をモニタすることにより可能である。送信ターミナルノード12は、消光比を十分高く設定する必要があるので、チャネル#kに、WDM伝送システム100が用いるビットレートに相当する「1010」の交番パターン、又は正弦波の強度変調パターン信号を変調する。これらの交番パターン又は正弦波の強度変調パターン信号は、チャネル#kに隣接するチャネル#を伝送するCW光に対してクロストークを発生させ、また、これと同時に、強度変調信号自身も自己位相変調SPMによって波形歪みを生じる。
また、受信部#1〜#nの機能は、特定の受信機能を試験,維持,管理又は測定等に特化された治具(工具,装置)により実現される。
(6−5)送信ターミナルノード12と受信ターミナルノード14と間の残留分散量の設定方法
図13(a)〜図13(c)はそれぞれ本発明の第1実施形態に係る残留分散量の設定方法を説明するための図である。ここで、図13(a)に示す受信分散補償量は自己位相変調SPMについてのものであり、また、図13(b)に示す受信分散補償量は相互位相変調XPMについてのものであり、これにより、自己位相変調SPMの観点からの受信分散補償量と、相互位相変調XPMの観点からの受信分散補償量とが表示されている。なお、受信分散補償量のパラメータは図11(a),図11(b)に示すものと同一のものである。
伝送により、n本の信号光は、それぞれ、自分自身により自己位相変調されるとともに、他の(n−1)本の信号光により相互位相変調される。具体的にチャネル#1を例にして詳述すると、チャネル#1について、光ファイバ伝送路50の非線形光学効果に起因して、チャネル#1自身の強度変化に応じた自己位相変調SPMが発生する。
SPM発生量Δφnl=γ*P1(t)*Le …(1)
ここで、γ=2π*n2/(λ*Ae) …(2)
そして、チャネル#1は、チャネル#1の波長と異なる波長のチャネル#2〜nの強度変化に応じた相互位相変調XPMを受ける。この相互位相変調XPMの発生量は、チャネル#kが受けるXPMによる位相変調量に相当し、式(3)および式(4)を用いて計算される。
また、式(3)は、分散によるウォークオフを考慮すると、
Δφnl=2γεT/(DΔλ)*P1(t) …(4)
ここで、式(4)のεT,DおよびΔλは、それぞれ、光強度が変化する時間,分散係数およびチャネル間隔を表す。
また、この位相変化量はP1(t)の変化に比例するので、時間(時刻)について波長が変化する。この波長変化は、チャーピング(波長変動)とも呼ばれ、送信側が、パルスをそのパルス幅時間Tについて直線的な掃引周波数で変調して送信し、そして、受信側が、受信パルスを高周波数領域にて遅延時間が比例的に少なくなるようなフィルタを通して受信する。
B=Δφ DL/Δt …(5)
このように、相互位相変調XPMによる波形歪みは、相互位相変調XPMが発生した箇所(ネットワークにおける位置)と受信ターミナルノード14との間における分散量に大きく依存している。
ここで、DCR9(図1等)の分散補償量を変化させると、CW光を用いて入力されたチャネル#kの信号光が分散補償量に依存して強度変調量が変化する。
(8)受信分散補償量の起動前の設定方法の動作説明
このような構成によって、第1実施形態に係る分散補償量設定方法について、図14を参照して分散補償量の設定動作について説明し、また、図15を参照して受信分散補償量の設定方法を説明する。
(9)従来の技術と本発明との比較
従来の技術と本発明とを比較すると、従来の技術においては、中継ノード13の分散補償量が、通常、スパン毎に補償されるので、補償量を大きく調整することは困難である。また、分散マップの作成は、DCR9bのみならず、DCT9aと中継ノード13のDCL13bとの各分散補償器の個別な補償量にも関連するので、伝送条件に応じて適応的に補償量を設定することが困難である。加えて、光ファイバ伝送路50の波長分散値は、温度や圧力等の敷設環境の変化に伴い経時的に変化する。
このように、本発明によれば、相互位相変調XPMについて非線形歪みをピンポイントに補償するとともに、相互位相変調XPMおよび他の劣化要因を考慮して補償するので、補償量の設定値の変動幅に自由度が付されている。
このようにして、効果的に分散量を補償し、伝送品質および信頼性を向上させ、自己位相変調SPMによる波形歪みと相互位相変調XPMによる波形歪みとを分離評価でき、部品コストの低廉化を促進でき、また、伝送性能又はパフォーマンスを維持するために要する波長数又は距離等についての検討労力を軽減できる。
(A1)第1変形例
第1実施形態においては、WDM伝送システム100が構築された状態又は運用状態又は運用開始の直前の状態において分散補償量を設定するものであった。
なお、モニタチャネルの切り替えは、チューナブルレーザーダイオード60bを用いない構成によっても可能であって、固定波長のCW光を出力するレーザーダイオードと、クロスコネクト部とをセットにして、モニタチャネルを切り替えることもできる。
いずれか1種類の波長λk(kは1からnの値をとる自然数を表す。)を選択して出力し、又は波長λ1〜λnのCW光の全てを出力するものである。具体的には、クロスコネクト部33aは、分散補償量設定フェーズのときは、1種類の波長λkのCW光を出力し、主信号伝送フェーズのときは、全ての波長λ1〜λnのCW光を出力する。ここで、伝送光を出力しない送信部#2,#4〜#nの動作は、予め管理者が送信部#2,#4〜#nの各動作を停止しておくように構成してもよく、あるいは、送信部#1〜#nの全てを動作させて伝送光を出力させ、クロスコネクト部33aが送信部#1および送信部#2〜#nのうちの所望のものを選択出力する。
さらに、このように、分散補償設定フェーズにおいては、主信号が入出力されずに分散補償機能が発揮される。
このようにして、本発明によれば、伝送環境が、シミュレーションによって想定した条件と異なる場合や、光ファイバ,光増幅器等の性能が想定したものよりも低い場合においても、直接クロストークを評価するのでクロストークを最適化でき、伝送光の出力強度を抑制でき、伝送光の非線形光学効果を排除でき、かつ事前のシミュレーションに不要にでき、管理者,設計者の労力が大幅に軽減し、コストパフォーマンスに優れる。
モニタチャネルの切り替えは、管理者が送信部の機能を有する治具を半手動で動作させて、分散補償量を自動に、測定,設定を行なうようにもできる。
図19は本発明の第1実施形態の第2変形例に係る半自動方法によるチャネルモニタ方法を説明するための図であり、この図19に示す送信ターミナルノード72aの合波部11aと、受信ターミナルノード74aの分波部11bとは、いずれも、治具を脱着するための端子62が形成されている。この図19に示す符号で上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものを表す。
管理者は、送信治具を用いてチャネル#1に、周波数fm(Hz)の強度変調を加え、チャネル#2に、CW光を入射する。一方、管理者は、受信治具を用いてチャネル#2における周波数fmの変調量(又は変調度)をモニタし、その強度変調された値をIm(チャネル#1)と決定してその内容を保持する。
すなわち、管理者は、チャネル#1の伝送光を出力するレーザーダイオード#1を合波部11aの端子62に接続し、また、他の管理者は、チャネル#1についてのフォトダイオードを合波部11aに形成される。そして、チャネル#1についてのモニタが完了すると、管理者は、LD#1をはずしてLD#2を、合波部11aの端子62に接続し、また、受信側においても、他の管理者がフォトダイオードを付け替えて、チャネル#2について分散補償量を自動設定する。以後、接続および取り外しを繰り返す。これにより、精度の高い分散補償が可能となる。
従って、管理者は、最も強度変動量が少なくなるように受信分散補償器を設けることにより、手動の作業を不要にでき伝送効率が向上する。
(A3)第3変形例
なお、分散補償機能だけを、WDM伝送システムの各ノード(送信ターミナルノード12,受信ターミナルノード14および4個の中継ノード13)等と異なる位置,ノード又は装置に設けることもできる。一例として、分散補償を行なう分散補償装置51(図16)を、受信ターミナルノード74よりも前段側の光ファイバ伝送路50に設ける。また、この分散補償装置51には、上記のパワー検出回路61dと、制御部(分散補償量設定部)89とが設けられるようにし、そして、分散量の補償配分を決定するにあたり、図10〜図15に示す分散補償量設定方法と同一の分散補償量設定方法を用いて適切な分散補償を行なう。
次に、分散補償装置(第2の局)51は、送信ステップにて送信された無変調光の強度と変調光の強度との各変動量に基づいて、送信ターミナルノード12と分散補償装置51との間における相互位相変調XPMに起因する物理量を検出し(検出ステップ)、そして、分散補償装置51が、検出ステップにて検出された物理量の変動量に基づいて、分散補償量を設定する(分散補償量設定ステップ)。
(B)本発明の第2実施形態の説明
各ノード(送信ターミナルノード12,受信ターミナルノード14および中継ノード13)は、いずれも、双方向に波長多重光を伝送し、また、双方向について分散を補償することもできる。第2実施形態においては、送信ターミナルノード12および受信ターミナルノード14が、ともに、受信用分散補償器(DCR)と送信用分散補償器(DCT)とをそなえて構成するのである。
ここで、制御部90は、受信部30のパワー検出回路にて検出された物理量の変動量に基づいてDCT9aおよびDCR9bの各分散補償量を設定するものであって、分散補償量設定部として機能する。また、制御部90は、検出部と分散補償量設定部(図示省略)とをそなえ、受信部30において検出されるCW光の強度揺らぎと、変調光から抽出される変調成分とを検出し、強度揺らぎと変調成分との変動量に基づいて受信分散補償量を計算するようになっている。従って、第2実施形態における分散補償量の設定は、受信側のみならず送信側の分散補償器によって行なわれる。なお、図20に示すもので、上述したものと同一符号を有するものはそれらと同一のものである。
また、送受信ターミナルノード22,24の各モニタチャネルの切り替え機能は、いずれも、チューナブルレーザーダイオード(図示省略)からの制御信号(例えばopt in等)を用いて実現する。また、DCT9a,DCR9bは、いずれも、可変分散補償器なので適切な分散補償量を設定できる。
図20,図21を参照して、可変分散補償器の設定方法について説明する。
図20に示す制御部90は、DCT9aの送信分散補償値を初期値に設定し、設定したことを下りOSC1を介して送受信ターミナルノード24の制御部90に通知する。そして、送受信ターミナルノード24の制御部90は、DCR9bの受信分散補償値を初期値に設定する。
また、適切値の取得は、送受信ターミナルノード24の制御部90が計算によって行なわれる。
そして、WDM伝送システム100bの起動前(分散補償量設定フェーズ)において、送受信ターミナルノード22は、送信部#1からチャネル#1のCW光(又は低周波変調光)を出力し、また、送信部#3からチャネル#3のCW光に周期Tの強度変調を加えた変調光を出力する。そして、光ファイバ伝送路50において、チャネル#1について、自己位相変調SPMが発生し、チャネル#2について、チャネル#1の強度変調に比例した相互位相変調XPMが発生する。送受信ターミナルノード24は、第1実施形態における分散補償量処理と同一処理を行ない、ターミナルノード間の残留分散の目標値が最小になるように分散補償量を設定する。
一方、WDM伝送システム100bの起動後の主信号伝送フェーズにおいて、送受信ターミナルノード22,24は、いずれも、送信部#1〜#nから伝送光を出力する。
また、各モニタチャネルの切り替え機能は、図示を省略する固定波長のCW光を出力するレーザーダイオードと、クロスコネクト部とをセットにした状態で発揮することもできる。あるいは、各チャネルについてモニタが完了する度に、管理者が送信側ノードのレーザーダイオードを別個のチャネル用のレーザーダイオードに取り替え、さらに、受信側ノードのフォトダイオードを別個のフォトダイオードに選択することもできる。
図22は本発明の第2実施形態に係る受信分散補償量の設定方法を説明するためのフローチャートである。制御部90は、起動後、ステップB1にて、CW光および変調光をそれぞれチャネル#i,チャネル#(i+1)に設定する。ここで、i,jは自然数を表す。なお、起動後、最初の分散補償量は、CW光および変調光をそれぞれチャネル#1,チャネル#2に設定される。そして、制御部90は、受信分散補償量をDCjに設定する(ステップB2)。
そして、制御部90は、ステップB10にて、以下の図23(a)および図23(b)に示すように、受信分散補償量をDCJに設定する。
また、ステップB9における処理について図23(a),図23(b)を参照してさらに詳述する。
制御部90は、図23(a)に示す相互位相変調XPMについて分散を補償し、図23(b)に示す自己位相変調SPMについて分散を補償する。具体的には、制御部90は、全チャネル#1〜#nのうちの3種類のチャネルについて、「受信分散補償量」対「強度変調量」の曲線を計算し、各チャネルに対応する各曲線および各チャネルについての強度変調量ΔP(i,j)を保持する。また、制御部90は、最小の強度変調量ΔP(i,j)を、受信分散補償量としてDCjに設定する。
さらに、このように、変調光のモニタによって自己位相変調SPMによる波形歪みと相互位相変調XPMによる波形歪みを分離して評価できる。
このようにして、第2実施形態に係る本発明によれば、第1実施形態における効果のほかに、伝送品質,信頼性の向上、自己位相変調SPMおよび相互位相変調XPMに起因する波形歪みを分離評価でき、さらに、部品コストの低廉化を促進できる。
本発明は、上述した実施態様およびその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
また、WDM伝送システム100,100a,100bは、光アド・ドロップ多重システムを接続して構成することができる。この光アド・ドロップ多重システムは、送信ターミナルノード12および受信ターミナルノード14間の光ファイバ伝送路50の途中に設けられたネットワークシステムであって、伝送光のアドおよびドロップを行なう。
(D)付記
(付記1) 送信端局と受信端局とをそなえ波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムにおける分散補償量設定方法であって、
該送信端局が、連続波光と、変調パターン信号で変調した該連続波光の波長と異なる波長を有する変調光とを送信する送信ステップと、
該受信端局が、該送信ステップにて送信された該連続波光の強度の変動量に基づいて、該送信端局と該受信端局との間における相互位相変調に起因する物理量を検出する検出ステップと、
該受信端局が、該検出ステップにて検出された該物理量の変動量に基づいて、受信分散補償量を設定する分散補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償量設定方法。
該連続波光の振幅変動によって該送信端局と該受信端局との間において発生する該変調光の相互位相変調に関する量を該物理量として検出することを特徴とする、付記1記載の分散補償量設定方法。
(付記3) 該分散補償量設定ステップが、
該受信端局が、該受信端局に設けられた分散補償器の分散補償量を変化させて、複数の受信分散補償量ごとの該振幅変動に起因する各物理量を測定する測定ステップと、
該受信端局が、該測定ステップにて測定した複数の物理量のうちの最小の物理量に対応する該受信分散補償量を該分散補償器に設定する最小分散補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、付記1又は付記2記載の分散補償量設定方法。
該変調パターン信号として交番パターン信号又は擬似雑音パターン信号で変調した変調光を、該送信端局が送信することを特徴とする、付記1〜付記3のいずれか一に記載の分散補償量設定方法。
(付記5) 該送信ステップが、
該連続波光を低周波変調信号で変調した低周波変調光を、該送信端局が送信することを特徴とする、付記1〜付記4のいずれか一に記載の分散補償量設定方法。
該送信端局が、強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する送信ステップと、
該受信端局が、該送信ステップにて送信された該強度一定光の振幅変動に起因する物理量を検出する検出ステップと、
該受信端局が、該検出ステップにて検出された該物理量に基づいて、受信分散補償量を設定する分散補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償量設定方法。
該送信端局が送信した強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを受光処理する受光処理部と、
該受光処理部にて受光された該強度一定光と該強度変調光とのうちの該強度一定光の振幅変動に起因する物理量を検出する検出部と、
該検出部にて検出された該物理量に基づいて、受信分散補償量を設定する分散補償量設定部とをそなえたことを特徴とする、受信端局。
該検出部において該物理量として検出された相互位相変調に関する量が小さくなるように該受信分散補償量を設定するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の受信端局。
(付記9) 該検出部が、
該振幅変動を、該波長多重光伝送システムの特定スパンにおける入力残留分散量と出力残留分散量との差に基づいて、相互位相変調を検出するように構成されたことを特徴とする、付記7記載の受信端局。
該分散補償量設定部が、複数の受信分散補償量ごとに測定した該振幅変動に起因する複数の物理量のうちの最小の物理量に対応する該受信分散補償量を該分散補償器に設定するように構成されたことを特徴とする、付記9記載の受信端局。
該受光処理部にて受光された該強度一定光を低周波変調信号で変調した低周波変調光の振幅変動について、該低周波変調光自身の強度変化に比例して発生する該変調光の自己位相変調による振幅変動と、該低周波変調光の強度変調に比例して発生する該低周波変調光の相互位相変調による振幅変動とを、それぞれ、独立して検出するように構成されたことを特徴とする、付記7〜付記10のいずれか一に記載の受信端局。
強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する送信端局と、
該送信端局から送信された該強度一定光の振幅変動に起因する物理量を検出し該物理量に基づいて受信分散補償量を設定する受信端局とをそなえて構成されたことを特徴とする、波長多重光伝送システム。
(付記14) 波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムであって、
強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する第1の伝送局と、
該第1の伝送局から送信された該強度一定光の振幅変動に起因する物理量を検出し該物理量に基づいて受信分散補償量を設定する第2の伝送局とをそなえて構成されたことを特徴とする、波長多重光伝送システム。
また変調光をモニタすることで自己位相変調SPMによる波形歪みと相互位相変調XPMによる波形歪みを分離して評価できるので、WDM伝送システムを起動する前の設定作業負担が大幅に低減する。
9b 受信用分散補償器(DCR)
10 送信部
11a 合波部
11b 分波部
12,72,72a 送信ターミナルノード(送信端局)
12a,14a EDFA(光増幅器)
13 中継ノード(中継器,中継局,中継装置又は光増幅中継装置)
13a インラインアンプ(ILA)
13b 伝送路分散補償器(DCL)
14,74,74a 受信ターミナルノード(受信端局)
22,24 送受信ターミナルノード(送受信端局)
25 送受信部
30,30a 受信部
31a 分波器
31b 合波器
32a EDF(エルビウム添加光ファイバ)
32b,60e レーザーダイオード
33a,33b クロスコネクト部
34a 分散補償ファイバ(DCF)
34b 光増幅器
50 光ファイバ伝送路
51 分散補償装置
60b チューナブルレーザーダイオード(波長可変レーザーダイオード)
60c 変調器
60d パターン発生器
61a,61g フォトダイオード
61b 直流成分除去部(受光処理部)
61c 直流成分抽出部(受光処理部)
61d パワー検出回路(パワー検出部:受光処理部)
61e 主信号復調部(主信号復調回路)
61f ピーク/ボトム検出部
62 端子
63a 主信号出力部
63b モニタ信号出力部
63c スイッチ
63d 変調部(変調回路)
63e 変調切替制御部
65 VIPA型の分散補償器
65b,65c,65e 集光レンズ
65d VIPAガラス板
65g 光反射膜
65f 反射ミラー
88,89,90 制御部(分散補償量設定部)
100,100a,100b 波長多重光伝送システム(WDM伝送システム)
112a 前段EDFA
112b 後段EDFA
Claims (5)
- 送信端局と受信端局とをそなえ波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムにおける分散補償量設定方法であって、
該送信端局が、連続波光と、変調パターン信号で変調した該連続波光の波長と異なる波長を有する変調光とを送信する送信ステップと、
該受信端局が、受信分散補償量を変化させて、該送信ステップにて送信された該連続波光の強度の変動量を検出する検出ステップと、
該受信端局が、該検出ステップにて検出された該連続波光の強度の変動量が最も小さくなる受信分散補償量に当該受信端局での受信分散補償量を設定する分散補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償量設定方法。 - 送信端局と受信端局とをそなえ波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムにおける分散補償量設定方法であって、
該送信端局が、強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する送信ステップと、
該受信端局が、受信分散補償量を変化させて、該送信ステップにて送信された該強度一定光の強度の変動量を検出する検出ステップと、
該受信端局が、該検出ステップにて検出された該強度一定光の強度の変動量が最も小さくなる受信分散補償量に当該受信端局での受信分散補償量を設定する分散補償量設定ステップとをそなえたことを特徴とする、分散補償量設定方法。 - 送信端局と受信端局とをそなえ波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムにおける受信端局であって、
該送信端局が送信した強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを受信する受信部と、
該受信部にて受信された該強度一定光と該強度変調光とのうちの該強度一定光の強度の変動量を検出する検出部と、
該検出部にて検出された該強度一定光の強度の変動量が最も小さくなる受信分散補償量に当該受信端局での受信分散補償量を設定する分散補償量設定部とをそなえたことを特徴とする、受信端局。 - 該受信分散補償量を設定され受信光の分散を補償する分散補償器をそなえ、
該分散補償量設定部が、複数の受信分散補償量ごとに測定した該強度一定光の強度の変動量のうちの最小の変動量に対応する受信分散補償量を該分散補償器に設定するように構成されたことを特徴とする、請求項3記載の受信端局。 - 波長多重光を伝送する波長多重光伝送システムであって、
強度一定光と、該強度一定光の波長と異なる波長を有する強度変調光とを送信する第1の伝送局と、
受信分散補償量を変化させて、該第1の伝送局から送信された該強度一定光の強度の変動量を検出し、受信分散補償量を、該強度一定光の強度の変動量が最も小さくなる受信分散補償量に設定する第2の伝送局とをそなえて構成されたことを特徴とする、波長多重光伝送システム。
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