JP3922857B2 - ナビゲーションシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に記録された地図データを用いてナビゲーションを行うナビゲーションシステムに関し、特に、地図データをそれぞれ読み出し可能な複数の記憶手段から選択的に地図データを読み出すことができるナビゲーションシステムの技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、DVD−ROMドライブやCD−ROMドライブを搭載し、記録媒体としてのDVD−ROMやCD−ROMに記録された地図データを読み出してナビゲーション動作を行うナビゲーションシステムが広く用いられている。このようなナビゲーションシステムでは、ナビゲーション動作を行う際に自車位置を検出し、車両周辺の地図データを記録媒体から読み出して、地図データに基づいて作成した地図画像を自車位置を示すマークと共に表示画面に表示する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、音楽データや映像データを記録したDVD−ROM等の記録媒体が提供されているので、このような記録媒体を運転中に再生したいというニーズがある。しかしながら、上記従来のナビゲーションシステムでは、地図データを記録した記録媒体をナビゲーション中に常にドライブに装着しておく必要があり、他の用途に利用することが困難であった。
【0004】
一方、上記記録媒体とは別に大容量で不揮発性の記憶手段として、例えばハードディスクをナビゲーションシステムに搭載することも考えられる。そして、DVD−ROM等の地図データをハードディスクにコピーし、ナビゲーション動作に際してハードディスクから地図データを読み出し可能にしておけば、DVD−ROMドライブ等を他の用途に利用することができる。また、ハードディスクはアクセス速度が高速であるため、表示画面の高速描画という点でもメリットがある。
【0005】
しかしながら、このようにDVD−ROM等とハードディスクから地図データを選択的に読み出し可能に構成した場合、両者に同一地域の地図データが存在することもある。このとき、両者で地図データのデータ内容が同一になるとは限らない。例えば、DVD−ROMは最新の地図データが収録されたものであるのに対し、ハードディスクには過去に保存された古い地図データが更新されぬまま格納されているような場合である。このような場合、ハードディスクの古い地図データを使用することにより、地図データが周囲の道路事情と異なるという事態を招き、適正なナビゲーションを行うことができなくなる。
【0006】
また、DVD−ROMとハードディスクから地図データを選択的に読み出し可能に構成した場合であっても、ユーザは、有用な情報を含む特殊な地図データを記録したDVD−ROM等を使用してナビゲーションを行いたい場合もある。
【0007】
このように、複数の記憶手段から地図データを読み出し可能であったとしても、その中から最適な記憶手段を選択して地図データを読み出すことは困難である。
【0008】
そこで、本発明はこのような問題に鑑みなされたものであり、ナビゲーションシステムに地図データを読み出し可能な複数の記憶手段を搭載し、必要な地図データの読み出しに際し最適な記憶手段にアクセスし、ユーザにとって快適なナビゲーションを実行できるナビゲーションシステムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載のナビゲーションシステムは、現在位置を検出する現在位置検出手段と、記録されている地図データをそれぞれ読み出し可能な複数の記憶手段と、地図データを用いて前記現在位置に応じたナビゲーション動作を制御するナビゲーション制御手段と、前記複数の記憶手段における地図データの管理情報を抽出して、それぞれの該管理情報を統合的に保持する管理情報記憶手段と、前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて前記複数の記憶手段の中から選択された記憶手段にアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出す地図データ読み出し手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、ナビゲーションシステムは、例えばDVD−ROM等の光ディスクやハードディスクなど様々な記憶手段を複数備えており、それぞれから地図データを読み出すことができる。複数の記憶手段はそれぞれ地図データの管理情報を有しており、複数の記憶手段の管理情報が管理情報記憶手段において統合的に管理される。そして、現在位置検出手段により検出された現在位置に応じたナビゲーション動作を行うに際し、地図データ読み出し手段が管理情報記憶手段を参照して、複数の記憶手段の中から地図データを読み出すべき記憶手段を選択し、これにアクセスして必要な地図データを読み出し、ナビゲーション動作の表示処理等に用いる。
【0011】
従って、多数の記憶手段に地図データを重複して保持するので、それぞれの記憶手段はナビゲーション動作中であっても専有して用いる必要がないことに加え、同一地域に対応する多くの地図データが保持される場合、ナビゲーション動作に最適な地図データを選択的に用いることが可能となる。よって、ユーザにとって利便性の高いナビゲーションを実行できる。また、各記憶手段に対応して、個別に管理領域を参照する必要がなく、地図データを読み出すべき記憶手段に簡易かつ迅速にアクセスすることができる。
【0012】
請求項2に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、予め設定された優先フラグによって示される特定の記憶手段を選択することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、例えばユーザによる所定の操作等により、予め優先フラグが設定され、地図データ読み出し手段が優先フラグを参照して地図データを読み出すべき特定の記憶手段を選択する。従って、特殊な用途に対応した地図データを用いたナビゲーションを行う場合などは、特定の記憶手段を固定的に読み出すことにより対応することができる。
【0020】
請求項3に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記管理情報記憶手段には、地図データの名称を示す名称情報が保持され、前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、前記名称情報に基づいて地図データの存在が確認された特定の記憶手段を選択することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、地図データ読み出し手段は、管理情報記憶手段に統合的に保持される管理情報のうち地図データに対する名称情報を参照して、これに基づき特定の記憶手段に地図データが存在するか否かを判別した上で、所望の地図データを読み出す。従って、複数の記憶手段どうしで地図データが共通しない場合であっても、所望の地図データを名称情報により探し出して利用することができる。
【0022】
請求項4に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記管理情報記憶手段には、地図データが更新された日時を示す日時情報が保持され、前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、最新の日時の前記日時情報に対応する地図データを読み出し可能な記憶手段を選択することを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、地図データ読み出し手段は、管理情報記憶手段に統合的に保持される管理情報のうち日時情報を参照して、これに基づき最新の地図データが記録されている特定の記憶手段を判別してアクセスすることができる。従って、複数の記憶手段どうしで更新日時が異なる別バージョンの地図データが存在する場合であっても、容易に最新の地図データを探し出して利用することができる。
【0024】
請求項5に記載のナビゲーションシステムは、請求項1に記載のナビゲーションシステムにおいて、各前記管理情報の間の相違を示す差分管理情報を保持する差分管理情報記憶手段を更に備え、前記地図データ読み出し手段は、前記管理情報にかえて前記差分管理情報に基づいてアクセスすべき記憶手段を選択することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、地図データ読み出し手段は、管理情報にかえて差分管理情報記憶手段に保持される差分管理情報を参照し、これに基づいて複数の記憶装置の管理情報どうしの相違を判断し、地図データを読み出すためにアクセスすべき記憶装置を選択する。従って、地図データの読み出しに際し、迅速な処理速度で、上述のように地図データを利用することができる。
【0026】
請求項6に記載のナビゲーションシステムは、現在位置を検出する現在位置検出手段と、地図データが記録された記録媒体から該地図データを読み出し可能な第1記憶手段と、地図データの書き込みと読み出しが可能な不揮発性の第2記憶手段と、地図データを用いて前記現在位置に応じたナビゲーション動作を制御するナビゲーション制御手段と、前記第1記憶手段における地図データの管理情報と前記第2記憶手段における地図データの管理情報とを抽出して、それぞれの該管理情報を統合的に保持する管理情報記憶手段と、前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて選択された地図データを所定のタイミングで前記第1記憶手段により前記記録媒体から読み出し、前記第2記憶手段に転送して格納する地図データ転送手段と、前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて前記第1記憶手段と前記第2記憶手段の一方を選択してアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出す地図データ読み出し手段と、を備えることを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、ナビゲーションシステムは、例えばDVD−ROM等の記録媒体を用いた第1記憶手段と、例えばハードディスク等の第2記憶手段を備えている。第1記憶手段と第2記憶手段がそれぞれ有する地図データの管理情報は管理情報記憶手段に統合的に保持される。そして、この管理情報を参照することにより選択された地図データが、所定のタイミングで第1記憶手段から読み出され、第2記憶手段に転送される。また、現在位置検出手段により検出された現在位置に応じたナビゲーション動作を行うに際し、管理情報を参照して、第1記憶手段と第2記憶手段の一方を選択的にアクセスして必要な地図データを読み出し、ナビゲーション動作の表示処理等に用いる。
【0028】
従って、いったん第2記憶手段に地図データが転送された場合、地図データ用の記録媒体を常に第1記憶手段にセットしておかなくてもナビゲーション動作が継続される。また、第1記憶手段と第2記憶手段のそれぞれから読み出し可能な地図データの種別や鮮度が異なる場合であっても、好適な地図データを選択的に用いることが可能となる。よって、ユーザにとって利便性の高いナビゲーションを実行できる。更に、DVD−ROMやハードディスクにおけるファイルを管理する管理領域を個別にアクセスすることなく、簡易かつ迅速に所望の地図データを利用することができる。
【0031】
請求項7に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記管理情報記憶手段には、地図データの名称を示す名称情報が保持され、前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段のそれぞれの地図データの前記名称情報を比較し、前記第2記憶手段に格納されていない地図データを転送対象として選択することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、管理情報記憶手段に統合的に保持される管理情報のうち地図データに対する名称情報を参照し、これに基づいて、地図データの転送の際は対象とすべき地図データの存在を把握して選択し、地図データの読み出しの際は第1記憶手段と第2記憶手段のいずれにアクセスするかを地図データが存在するか否かを判別した上で選択する。従って、第1記憶手段と第2記憶手段の間で地図データが共通しない場合であっても、上述のように地図データを有効に利用することができる。
【0033】
請求項8に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記管理情報記憶手段には、地図データが更新された日時を示す日時情報が保持され、前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段のそれぞれの地図データの前記日時情報を比較し、前記第1記憶手段に比べ前記第2記憶手段の方が更新された日時が古い地図データを転送対象として選択することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、管理情報記憶手段に統合的に保持される管理情報のうち日時情報を参照して、これに基づいて、地図データの転送の際は地図データの転送の際は最新の地図データを対象とし、地図データの読み出しの際は第1記憶手段と第2記憶手段のいずれアクセスするかを地図データの新旧に応じて選択する。従って、更新日時が異なる別バージョンの地図データが第1記憶手段と第2記憶手段の双方に存在する場合であっても、容易に最新の地図データを利用でき、更に第2記憶手段の地図データが古い場合、より新しい地図データに置き換えることができる。
【0035】
請求項9に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段に前記記録媒体が装着された際に地図データの転送を行うことを特徴とする。
【0036】
この発明によれば、地図データ転送手段は、地図データ用の記録媒体が第1記憶手段に装着されたことが検知されると、所定の地図データを読み出して上述のように第2記憶手段に転送して格納する。従って、過去の地図データから更新された地図データが記録されている記録媒体を用いる場合であっても、第2記憶手段の内容を新しい地図データで置き換えることができる。
【0037】
請求項10に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記第2記憶手段は、前記第1記憶手段よりも高速なアクセス速度で地図データの書き込みと読み出しが可能であることを特徴とする。
【0038】
この発明によれば、第2記憶手段は、第1記憶手段に比べてアクセス速度が高速であるため、地図データの転送後は、第2記憶手段から地図データをより短時間で読み出すことができ、高速なナビゲーション動作を行うことができる。
【0039】
請求項11に記載のナビゲーションシステムは、請求項10に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記第2記憶手段は、ハードディスク装置であることを特徴とする。
【0040】
この発明によれば、第2記憶手段としてハードディスク装置を用いるため、高速かつ大容量であると共に汎用性の高い記憶手段に地図データを転送して活用することができる。
【0041】
請求項12に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記記録媒体には、全体地図を分割した単位ブロック毎のブロック地図データが記録され、前記地図データ転送手段は、前記ブロック地図データを単位として転送を行うと共に、前記地図データ読み出し手段は、前記ブロック地図データを単位として読み出しを行うことを特徴とする。
【0042】
この発明によれば、記録媒体に記録される地図データは、全体地図を単位ブロックに分割し、各単位ブロックについてのブロック地図データが集合してなり、第1記憶手段と第2記憶手段では、ブロック地図データを転送及びアクセスの単位にしている。よって、単位ブロックのブロック地図データに対し例えば1つのファイルを割り当てて扱うことで、読み出し処理と書き込み処理を一層簡単に行うことができる。
【0043】
請求項13に記載のナビゲーションシステムは、請求項6に記載のナビゲーションシステムにおいて、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段との前記管理情報を比較して、双方の該管理情報の相違を示す差分管理情報を生成する差分管理情報生成手段と、前記差分管理情報を保持する差分管理情報記憶手段と、を更に備え、前記地図データ読み出し手段は、前記管理情報にかえて前記差分管理情報に基づいて前記第1記憶手段と前記第2記憶手段の一方を選択してアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出し、前記地図データ転送手段は、前記地図データ読み出し手段により前記第1記憶手段から読み出された地図データを前記第2記憶手段に転送して格納することを特徴とする。
【0044】
この発明によれば、差分管理情報生成手段は、第1記憶手段と第2記憶手段のそれぞれの管理情報にアクセスし、両者を比べて差分管理情報を生成し、差分管理情報記憶手段に保持する。また、地図データ読み出し手段は、管理情報にかえて差分管理情報に基づいて第1記憶手段と第2記憶手段の一方を選択してアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出し、地図データ転送手段は、地図データ読み出し手段により第1記憶手段から読み出された地図データを第2記憶手段に転送して格納する。
【0045】
従って、迅速な処理速度で上述のように地図データを利用することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0047】
図1は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。図1に示すナビゲーションシステムは、CPU11と、ROM12と、RAM13と、DVD−ROMドライブ14と、ハードディスク15と、センサ部16と、GPS受信部17と、インターフェース18と、入力装置19と、ディスプレイ20と、表示制御部21と、バッファメモリ22と、音声処理回路23と、スピーカ24とを備えて構成されている。
【0048】
図1においてCPU11は、ナビゲーションシステム全体の動作を制御する。CPU11は、ナビゲーションシステムの各構成要素と接続されており、ROM12に格納される制御プログラムを読み出し、処理中のデータを一時的にRAM13に保持しつつ、制御プログラムを実行する。なお、CPU11は、本発明における地図データ読み出し手段、ナビゲーション制御手段、地図データ転送手段として機能する。
【0049】
DVD−ROMドライブ14は、本発明の第1記憶手段として機能し、地図データを記憶するDVD−ROM1を装着して、この地図データの読み出し動作を行う。DVD−ROM1は、片面1層で4.7Gバイト、片面2層で8.5Gバイトの大記憶容量の記録媒体である。DVD−ROM1は、ディスク上に記録データに対応したピットが形成されており、DVD−ROMドライブ14のピックアップを用いて記録データが読み出される。また、DVD−ROMドライブ14は、DVD−ROM1が装着されていることを検知して、対応する検知信号を出力する。
【0050】
DVD−ROM1には、ナビゲーション動作に必要な道路形状データを含む地図データが記憶され、更に関連する施設データ、名称データなどの各種関連データが道路形状データに対応付けられて記憶されている。本実施形態では、全体地図をメッシュ状の単位領域としてのブロックに分割し、各ブロックに対応する地図データをブロック地図データとして管理し、DVD−ROM1に複数のブロック地図データを記録している。
【0051】
図2は、DVD−ROM1の地図データの分割単位であるブロックの概念を説明する図である。図2に示すように、DVD−ROM1の地図データは、地図上の全体領域を東西方向にM個、南北方向にN個、それぞれメッシュ状のブロックに分割して管理される。図2では、ブロック(i、j)を西からi番目で、かつ北からj番目のブロックとして定義し、北西端のブロック(1、1)から東南端のブロック(M、N)までの全部でM×N個の同一形状のブロックが集合して全体の地図データが構成されることになる。
【0052】
なお、図2では、地図上の全体が矩形領域であって、更に各単位のブロックも矩形領域であるものとして説明しているが、実際には、複雑な全体形状を有する地図を扱う場合があり、それぞれのブロック形状も同一形状に限られない。以下の説明では簡単のため、各ブロックが同一形状の矩形領域であるものとするが、より複雑なブロック形状となる場合でも、本発明の適用は可能である。
【0053】
また、図3は、図2に示すブロック単位の地図データをDVD−ROM1に記録する場合のデータ構造の一例を示す図である。図3において、それぞれのブロック地図データには、各ブロックの道路形状データとこれに付随する関連データが含まれるものとし、ブロック毎に特定の名称を付与され区別される。DVD−ROM1には、M×N個の各ブロックについて、ブロック地図データを順次配列して記録している。図3に示すブロック地図データのデータ順は一例であり、これと異なるデータ順で記憶しても差し支えない。また、各ブロックのデータ種別毎に異なる記憶領域に記憶してもよい。なお、各々のブロック地図データは1又は複数のファイルに対応させて取り扱うことができるが、本実施形態では簡単のため、各ブロック地図データ毎に1つのファイルを対応させる場合を説明する。
【0054】
図1に戻って、ハードディスク15は、地図データ等の各種データの読み出しや書き込みを行う不揮発性の記憶装置であり、本発明の第2記憶手段として機能する。本実施形態においては、ハードディスク15は多くの用途に利用可能であり、音楽データ、映像データ、アプリケーションプログラム等の種々のデータを格納できる。ハードディスク15の一部は地図データ記憶領域15aとして割り当てられ、DVD−ROM1の地図データを転送して格納するための領域として用いられる。例えば、ハードディスク15のうち、1〜2Gバイト程度を地図データ記憶領域15aに割り当てればよい。ハードディスク15の記憶容量が大きくなれば地図データ記憶領域15aの容量を大きくできることは言うまでもない。なお、ハードディスク15への地図データの転送の詳細については後述する。
【0055】
センサ部16は、自車位置を検出するために必要な各種センサを含んで構成されている。具体的には、車両の走行状態を検出するための車速センサ、走行距離センサ、方位センサなどを含んでいる。GPS受信部17は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信し、測位データを出力する。センサ部16とGPS受信部17は、CPU11と相まって本発明の自車位置検出手段として機能する。
【0056】
インターフェース18は、センサ部16及びGPS受信部17とCPU11との間のインターフェース動作を行い、CPU11により、センサ部16からのセンサ出力とGPS受信部17からの測位データに基づいて、自車位置データが求められる。この自車位置データは、CPU11により前述の地図データと照合されて、マップマッチング処理等を用いて補正される。
【0057】
入力装置19は、ナビゲーションシステム本体に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモコンなどからなり、ナビゲーション動作における所望の操作を行うため、キー入力に応じた信号をCPU11に供給する。
【0058】
ディスプレイ20は、ナビゲーション動作に用いる表示手段であり、例えばCRT、液晶表示素子などから構成される。ディスプレイ20には、表示制御部21の制御に従って地図データが種々の態様で表示されると共に、これに重畳して自車位置がカーマークとして表示される。また、表示制御部21は、ディスプレイ20に表示する表示データを生成し、バッファメモリ22に一時的に保存しつつ、適宜のタイミングでバッファメモリ22から表示データを読み出してディスプレイ20に表示出力する。
【0059】
音声処理回路23は、CPU11の制御の下、所定の音声信号を発生する。音声処理回路23において適切なレベルに増幅された音声信号は、スピーカ24から外部出力される。このような音声信号としては、例えば、車両の経路を誘導するための案内音声がある。
【0060】
次に、本実施形態における地図データの転送処理、読み出し処理等に対応したRAM13の構成について図4を用いて説明する。図4では、DVD−ROM1、ハードディスク15、RAM13について、地図データに関係する領域を互いに比較して示している。
【0061】
DVD−ROM1の管理領域141は、DVD−ROM1にファイルとして記録されているブロック地図データについての各種管理情報を記録する領域であり、データ領域142は、管理領域141によって示される各ファイルを記録する領域である。
【0062】
また、ハードディスク1の管理領域151は、格納ファイルについての各種管理情報を記録する領域であり、差分管理領域152は、後述のDVD管理領域132とHD管理領域133の記録内容の相違点を抽出した差分管理情報を記録する領域であり、データ領域153は、上述のように各ファイルを順次格納する領域である。なお、データ領域153のうちブロック地図データを記録する領域が、上述の地図データ記憶領域15aに対応する。
【0063】
上述の差分管理情報としては、DVD管理領域132に示される各ファイルのうち、HD管理領域133に示されるファイルに一致しないファイル、及び、HD管理領域133に示されるファイルの方がDVD管理領域132に示されるファイルよりも相対的に古い日時情報を有するファイルのファイル名などが記録される。この差分管理領域134の差分管理情報を用いた具体的な処理については後述する。
【0064】
本実施形態では、DVD−ROM1の管理領域141とハードディスク1の管理領域151は、共通のデータ構造を有するものとする。そして、各管理領域141、151の記録内容としては、各データ領域142、153に記録されるファイルのファイル名、ファイルが最後に更新された日時を示す日時情報、ファイルのデータサイズを示すファイルサイズ、ファイルの属性を示す属性情報などが含まれる。
【0065】
一方、RAM13は本発明の管理情報記憶手段及び差分管理情報記憶手段としての役割を担い、RAM13の所定アドレスには、フラグ領域131、DVD管理132、HD管理領域133、差分管理領域134が設けられている。フラグ領域131は、後述の処理において必要な各種フラグを保持する領域である。その中にはナビゲーション動作の際に必要なファイルをDVD−ROMドライブ14とハードディスク15のいずれを優先してアクセスして読み出すかを記述する優先フラグが含まれる。
【0066】
DVD管理領域132は、DVD−ROM1の管理領域141の記録内容がそのまま取り込まれた領域である。すなわち、DVD−ROM1の管理領域141を参照することと同様の役割を、DVD管理領域132を参照することにより代用することができる。本実施形態では、DVD−ROMドライブ14にDVD−ROM1を装着したタイミングで、管理領域141を読み出してRAM13のDVD管理領域132にコピーすることとしている。
【0067】
また、HD管理領域133は、ハードディスク15の管理領域151の記録内容がそのまま取り込まれた領域であり、この場合もハードディスク15の管理領域151を参照することと同様の役割を、HD管理領域133を参照することにより代用することができる。例えば、ナビゲーションシステムの電源投入時にハードディスク15の管理領域151を読み出してRAM13のHD管理領域133にコピーすればよい。なお、ハードディスク15の管理領域151のうち地図データ記憶領域15aに対応する部分のみをHD管理領域133に取り込むようにしてもよい。
【0068】
差分管理領域134は、ハードディスク15の差分管理領域152の記録内容がそのまま取り込まれた領域であり、この場合もハードディスク15の差分管理領域152を参照することと同様の役割を、差分管理領域134を参照することにより代用することができる。例えば、ナビゲーションシステムの電源投入時にハードディスク15の差分管理領域152を読み出してRAM13の差分管理領域134にコピーすればよい。なお、この差分管理領域152に記録されている差分管理情報のデータ量が大きくRAM13に格納できない場合は、RAM13に格納することをせず直接ハードディスク15上の差分管理領域152を参照するようにすることも可能である。
【0069】
次に、ナビゲーションシステムの第1の実施形態として、ハードディスク15に対する地図データの転送処理及び読み出し処理について、図5〜図8を参照して説明する。ここでは、車両においてナビゲーション動作を開始する際、地図データを記録したDVD−ROM1をDVD−ROMドライブ14に装着する場合に行われるハードディスク15への転送処理、及び、ナビゲーション動作中にDVD−ROM1又はハードディスク15からの地図データの読み出し処理について説明する。
【0070】
図5は、第1の実施形態においてDVD−ROM1装着時の転送処理の流れを説明するフローチャートである。図5の処理が開始されると、ステップS1では、DVD−ROMドライブ14からの検知信号に基づいて、DVD−ROM1が装着されたか否かを判断する。判断の結果、DVD−ROM1が未装着である場合は(ステップS1;NO)、ステップS1の判断を繰り返し実行し、DVD−ROM1が装着されている場合は(ステップS1;YES)、ステップS2に進む。
【0071】
ステップS2では、DVD−ROMドライブにアクセスし、装着されたDVD−ROM1の管理領域141の記録内容を読み出して、RAM13のDVD管理領域132に書き込んで更新する。一方、この段階では、HD管理領域133は過去におけるハードディスク1の管理領域151の記録内容に基づいて、既に書き込み済みであるものとする。
【0072】
ステップS3では、DVD−ROM1に記録されているブロック地図データの各ファイルを対象として、DVD管理領域132とHD管理領域133の双方を参照し、それぞれの対象ファイルのファイル名を比較する。すなわち、特定のブロック地図データがDVD−ROM1とハードディスク15の双方に記録されている場合には、DVD管理領域132とHD管理領域133の記録内容を比較して同一ファイル名を探し出しことができる。
【0073】
そして、ステップS4において、DVD−ROM1の対象ファイルがハードディスク15に既に格納済みであるか否かをステップS3の比較結果に基づいて判断する。つまり、HD管理領域133において対象ファイルと同一ファイル名を探し出すことができないときは、対象ファイルはハードディスク15に未格納であり(ステップS4;NO)、ステップS5に進む。一方、HD管理領域133において対象ファイルと同一ファイル名を探し出すことができたときは、対象ファイルはハードディスク15に格納済みであり(ステップS4;YES)、ステップS6に進む。
【0074】
ステップS5では、対象ファイルをDVD−ROM1から読み出し、ハードディスク15への転送処理を行う。ここで図6に示すフローチャートを用いて、ステップS5における地図データの転送処理を詳しく説明する。
【0075】
図6において、地図データ転送処理が開始されると、ステップS100では、DVD−ROMドライブ14にアクセスし、DVD−ROM1に記録されている対象ファイルの読み出し処理を行う。読み出した対象ファイルは、表示処理等のために一時的にRAM13に保持される。
【0076】
ステップS101では、対象ファイルのハードディスク15への格納に先立って、ハードディスク15の地図データ記憶領域15aに空き容量が不足しているか否かを判断する。これは、ステップS100においてDVD−ROM1から読み出した対象ファイルを、再び利用に供するためにハードディスク15に転送して格納する必要があるので、これに先立ってハードディスクの空き容量を確保するものである。つまり、地図データ記憶領域15aに割り当てられた記憶容量をオーバーし、新たな対象ファイルを書き込めなくなる場合を考慮したものである。
【0077】
ステップS101の判断の結果、空き容量が不足している場合は(ステップS101;YES)、ステップS102において、地図データ記憶領域15aの所定のファイルを削除する。例えば、日時情報が最も古いブロック地図データ、あるいは、自車位置から最も距離が離れたブロックのブロック地図データに対応するファイルを削除すればよい。これにより、新たな対象ファイルを地図データ記憶領域15aに書き込むことが可能となる。
【0078】
一方、ステップS101の判断の結果、空き容量が不足していない場合(ステップS101;NO)又はステップS102の終了後は、ステップS103において、対象ファイルをRAM13からハードディスク15に転送し、地図データ記憶領域15aに書き込む。
【0079】
次に、ステップ104にて、RAM13のHD管理領域133及びハードディスク15の管理領域151に新たな対象ファイルに関する管理情報を付加する。
【0080】
従って、ステップS100〜ステップS104の処理の結果、対象データがDVD−ROM1からハードディスク15に転送して格納されたことになる。そのため、これ以降、同一のブロック地図データが必要となる場合、ハードディスク15から対象ファイルを読み出すことが可能となる。
【0081】
図7は、DVD−ROM1からハードディスク15への対象ファイルの転送を説明する図である。図7に示すように、DVD−ROM1に記憶される対象ファイルがDVD−ROMドライブ14にアクセスして読み出された後、RAM13の転送バッファ13aに一時的に保持される。この転送バッファ13aは、転送処理用に設けられたRAM13上の記憶領域であり、少なくとも1ファイル分の記憶容量を有している。これに続いて、転送バッファ13aに保持される対象ファイルは、ハードディスク15にアクセスして地図データ記憶領域15aにおける所定の記録位置に書き込まれる。なお、CPU11は、DVD−ROMドライブ14とRAM13の間の転送、及び、RAM13とハードディスク15の間の転送を行うタイミングを制御する。
【0082】
図5に戻り、ステップS6では、対象ファイルに関しDVD管理領域132とHD管理領域133の管理情報のうち、それぞれ日時情報を比較する。すなわち、双方で同一ファイル名であったとしても、更新された日時が異なると、ブロック地図データが別バージョンであってデータ内容が異なる場合があるためである。
【0083】
そして、ステップS7において、DVD−ROM1の対象ファイルよりハードディスク15の対象ファイルの方が更新された日時が古いか否かをステップS6の比較結果に基づいて判断する。ステップS6の判断の結果、ハードディスク15の対象ファイルの方が古いと判断された場合は(ステップS7;YES)、ステップS8に進み、ハードディスク15の対象ファイルの方が古いと判断されない場合は(ステップS7;NO)、ステップS10に進む。
【0084】
ステップS8では、上述した図6に示す地図データ転送処理を行い、ステップ9にてハードディスク15の日時が古い対象ファイルを削除する。すなわち、地図データ記憶領域15aから元の古い対象ファイル削除し、新たな対象ファイルを書き込むのである。この際、ハードディスク15内の管理領域151及びHD管理領域133から削除されたファイルの管理情報も削除される。
【0085】
ステップS5、ステップ7又はステップS9に続いてステップS10では、DVD−ROM1に記録されているブロック地図データに対応する全てのファイルについて上述の処理を終えたか否かを判断する。判断の結果、処理すべき対象ファイルが残っている場合は(ステップS10;NO)、ステップS4〜ステップS9の処理を行うべくステップS4に移行する。一方、全てのファイルについて処理を終えた場合は(ステップS10;YES)、図5の処理を終了する。
【0086】
なお、図5に示したDVD−ROM1装着時の転送処理を、ユーザの設定により実行されないようにすることも可能である。例えば、地図データが一新されたDVD−ROM1が挿入された場合は、地図データのファイルの日時情報がDVD−ROM1のほうが新しいため、大量のファイルがハードディスク15に転送されることになる。この場合、転送処理を実行しない設定にすると、地図データの転送に長時間かかることを避けることができる。
【0087】
そこで、ナビゲーションの初期設定画面で、DVD−ROM1が交換されたときハードディスク15に地図データ転送するか否かを設定することも可能である。転送をしない設定にした場合は、DVD管理領域132の更新を行うだけであり、ステップ3以降の処理を中止する。この場合、後述する図8のフローチャートにしたがって、当面ナビゲーション動作に必要な地図データがDVD−ROM1からハードディスク15に転送されることになる。
【0088】
また、DVD−ROM1にハードディスク15への地図データの転送を禁止する旨の情報を記録しておき、DVD−ROM1が装着されたら自動的に転送をしない設定にするようにすることも可能である。
【0089】
次に図8は、第1の実施形態において、DVD−ROM1又はハードディスク15から必要なブロック地図データに対応するファイルを対象とする読み出し処理の流れを説明するフローチャートである。ここでは、ディスプレイ20の表示処理等のナビゲーション制御を実行する際に必要となる対象ファイルの読み出し処理を説明する。
【0090】
図8の処理が開始されると、ステップS11では、RAM13のフラグ領域131に記録されている優先フラグを参照し、ブロック地図データのファイルをDVD−ROM1から優先して読み出す設定になっているか否かを確認する。
【0091】
この優先フラグはユーザが任意に入力装置19により設定することができる。通常は同種の地図データに対し、アクセス速度の速いハードディスク15を優先する設定の方が利便性が高いが、例えば、特定地域の観光用等の特殊な用途に対応した観光情報が地図データと共に記録されたDVD−ROM1を用いるケースなど、DVD−ROM1を優先する設定の方が都合がよい場合がある。なお、このような特殊な用途に対応したDVD−ROM1の場合は、その旨をDVD−ROM1上に記録しておき、装着の際に自動的に優先フラグをDVD−ROM1優先に設定することも可能である。
【0092】
ステップS11の判断の結果、優先フラグがハードディスク15に設定されている場合は(ステップS11;NO)、ステップS13に進み、優先フラグがDVD−ROM1に設定されている場合は(ステップS11;YES)、ステップS12に進む。
【0093】
ステップS12では、DVD−ROMドライブ14にアクセスし、DVD−ROM1に記録されている対象ファイルの読み出し処理を行う。読み出した対象ファイルは表示処理等のために一時的にRAM13に保持され、適当なタイミングで、例えば表示制御部21における表示処理に用いられた後、処理を終える。
【0094】
一方、ステップS13では、RAM13のHD管理領域133にアクセスし、対象ファイルの管理情報を参照する。そして、ステップS14では、対象ファイルの管理情報のうち、該当するブロック地図データに対応するファイル名に基づいて、読み出し処理の対象ファイルがハードディスク15に格納されているか否かを判断する。判断の結果、対象ファイルがハードディスク15に格納されている場合は(ステップS14;YES)、ステップS15に進み、対象ファイルがハードディスク15に格納されていない場合は(ステップS14;NO)、ステップS17に進む。
【0095】
ステップS15では、DVD−ROM1の対象ファイルよりハードディスク15の対象ファイルの方が更新された日時が古いか否かをステップS14の比較結果に基づいて判断する。ステップS15の判断の結果、ハードディスク15の対象ファイルの方が古いと判断された場合は(ステップS15;YES)、ステップS17に進み、ハードディスク15の対象ファイルの方が古いと判断されない場合は(ステップS15;NO)、ステップS16に進む。
【0096】
ステップS16では、ハードディスク15にアクセスし、格納されている対象ファイルの読み出し処理を行う。読み出した対象ファイルは、一時的にRAM13に保持され、適当なタイミングで、例えば表示制御部21における表示処理に用いられた後、処理を終える。
【0097】
一方、ステップS17では、前述した図6における地図データ転送処理を行う。また、読み出した対象ファイルは適当なタイミングで、例えば表示制御部21における表示処理に用いられる。
【0098】
次に、ステップ18に進み、ハードディスク15の日時が古い対象ファイルを削除する。すなわち、地図データ記憶領域15aから、DVD−ROM1から転送された新たな対象ファイルと重複する元の古い対象ファイル削除するのである。この際、ハードディスク15内の管理領域151及びHD管理領域133から削除されたファイルの管理情報も削除され、処理を終了する。
【0099】
以上説明した第1の実施形態によれば、DVD−ROM1に記録された地図データがハードディスク15に転送されるので、2つの異なる記憶手段に地図データを重複して保持することができる。そのため、ナビゲーション動作に必要な地図データをDVD−ROM1とハードディスク15から選択的に読み出して用いることができ、例えば、ナビゲーション中にDVD−ROMドライブ14で他のディスク再生が可能となるなど、ユーザにとって快適なナビゲーションを実現できる。そして、DVD−ROM1とハードディスク15のどちらから地図データを読み出すかは、読み出し処理に際してファイル名や日時情報を参照して好適な方を選択したり、優先フラグを設定して一方を固定的に選択することも可能であり、一層ユーザにとっての利便性が高くなる。
【0100】
次に、ナビゲーションシステムの第2の実施形態として、DVD−ROM1を装着する際の処理と地図データの読み出し処理に関し、RAM13の差分管理領域134の差分管理情報を利用する場合について、図9及び図10を参照して説明する。
【0101】
図9は、第2の実施形態においてDVD−ROM1装着時の処理の流れを説明するフローチャートである。図9の処理が開始された後に行われる処理として、DVD−ROM1の装着の判断(ステップS21)、DVD管理領域132の更新(ステップS22)、対象ファイルのファイル名の比較(ステップS23)、対象ファイルがハードディスク15に格納済みか否かの確認(ステップS24)については、図5のステップS1〜ステップS4と同様に行われるので、その説明を省略する。
【0102】
一方、ステップS24の判断結果が「NO」となって、対象ファイルがハードディスク15に未格納であるときは、ステップS25において、差分管理領域134に対象ファイルのファイル名を登録する。すなわち、第1の実施形態では、この段階でハードディスク15に対象ファイルを転送するのに対し、第2の実施形態では、単に差分管理領域134の差分管理情報として対象ファイルを特定するのみである点が異なっている。
【0103】
また、ステップS24の判断結果が「YES」となって、対象ファイルがハードディスク15に格納済みであるときの処理として、対象ファイルの日時情報の比較(ステップS26)、及び、DVD−ROM1とハードディスク15との日時情報の新旧の判断(ステップS27)については、図5のステップS6及びステップS7と同様に行われるので、その説明を省略する。
【0104】
一方、ステップS27の判断結果が「YES」となった後、ステップS28において、差分管理領域134に対象ファイルのファイル名を登録する。ファイル名を登録する。ステップS28の場合もステップS25と同様、ハードディスク15への転送に代わり、対象ファイルを単に差分管理領域134の差分管理情報として特定するものである。
【0105】
ステップS29では、図5のステップS9と同様、DVD−ROM1に記録されているブロック地図データに対応する全てのファイルについて上述の処理を終えたか否かを判断し、未処理のファイルに対しステップS24〜ステップS28の処理を繰り返した後、最終的に図9の処理を終了する。
【0106】
図9の終了時点では、差分管理領域134においてDVD−ROM1に記録されるブロック地図データに対応する各ファイルのうち、ハードディスク15に未格納のファイル又はハードディスク15に格納されていたとしても日時が古いファイルのファイル名がリストアップされることになる。よって、この差分管理領域134に登録されているファイルについては、DVD−ROM1に記録されているファイルを用いる必要があることを判断可能となる。
【0107】
次に図10は、第2の実施形態において、DVD−ROM1又はハードディスク15から必要なブロック地図データに対応するファイルを対象とする読み出し処理の流れを説明するフローチャートである。なお、図10においては、上述の優先フラグはハードディスク15を優先する設定になっているとして、以下の説明を行う。
【0108】
図10の処理が開始されると、ステップS31では、RAM13の差分管理領域134にアクセスし、その管理情報を参照する。そして、ステップS32では、差分管理領域134の管理情報のうちファイル名を参照して対象ファイルが登録されているか否かを判別する。その結果、対象ファイルが差分管理領域134に登録されている場合は(ステップS32;YES)、ステップS33に進み、対象ファイルが差分管理領域134に未登録である場合は(ステップS32;NO)、ステップS34に進む。ステップ34では、ハードディスク15から対象ファイルを読み出し、RAM13に一時的に保存して表示制御等に用いる。その後、図10の処理を終了する。
【0109】
ステップS33では、上述した図6のフローチャートに従って対象ファイルがDVD−ROM1からハードディスク15に転送される。
【0110】
ステップS33に続いて、最後にステップS35では、ハードディスク15にDVD−ROM1と同じ対象ファイルが格納されたので、差分管理領域134及びハードディスク15内の差分管理領域152から対象ファイルのファイル名を抹消し、図9の処理を終了する。これにより、これ以降に再び図9の処理を行う場合、ステップS32の判断結果が「NO」となるので、ハードディスク15から対象ファイルが読み出されることになる。
【0111】
以上説明した第2の実施形態によれば、DVD−ROM1からハードディスク15のそれぞれの地図データを比較して、異なる管理情報をリストアップして差分管理情報を生成するので、DVD−ROM1とハードディスク15の共通部分が多い場合は、転送に要する時間を短縮すると共に管理に必要なデータ量を削減することができる。一方、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出すため、DVD−ROM1とハードディスク15から選択する際は、差分管理情報が示す地図データを対象にすればよいので、読み出し処理の迅速化を図ることができ、ユーザにとって快適なナビゲーションを実現できる。
【0112】
なお、上記実施形態においては、地図データが記録された記録媒体としてDVD−ROM1を用い、更に地図データを転送して格納する記憶手段としてハードディスクを用いた場合を説明したが、これらに限られず地図データを読み出し可能な複数の記憶手段を用いてナビゲーションシステムを構築した場合であっても本発明の適用が可能である。
【0113】
また、上記実施形態では、第1記憶手段をDVD−ROMドライブ14としたが、これに限られず、移動体の外部にある地図サーバを第1記憶手段として用いてもよい。この場合、ナビゲーションシステムには、外部の地図サーバから地図データを取得するための携帯電話などの通信手段が必要である。外部の地図サーバから得られた地図データは、ハードディスク15に保存される。
【0114】
また、上記実施形態に係るナビゲーションシステムとしては、個別のナビゲーション装置として実現する場合に限られず、例えばハードディスクを備えたパーソナルコンピュータと組み合わせて実現することが可能である。この場合、パーソナルコンピュータにおいて本発明の転送処理を実行するソフトウェアを動作させることで、上記実施形態の機能を実現できる。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、地図データを読み出し可能な複数の記憶手段のうち、統合的に管理された管理情報に基づいて選択された記憶手段にアクセスし、地図データを読み出してナビゲーション動作に利用するようにしたので、地図データの種別や更新日時が異なる場合であっても、地図データを読み出すべき記憶手段に簡易かつ迅速にアクセスし、最適な記憶手段から所望の地図データを取得してナビゲーションを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るナビゲーションシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】地図データの分割単位であるブロックの概念を説明する図である。
【図3】地図データをDVD−ROMに記録する場合のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】地図データの転送処理、読み出し処理に対応したRAMの構成を、DVD−ROM及びハードディスクと比較して示す図である。
【図5】第1の実施形態において、DVD−ROM装着時の転送処理の流れを説明するフローチャートである。
【図6】第1の実施形態において、DVD−ROMからハードディスクへの対象ファイルの転送処理を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施形態において、DVD−ROMからハードディスクへの対象ファイルの転送を説明する図である。
【図8】第1の実施形態において、DVD−ROM又はハードディスクから必要な対象ファイルの読み出し処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】第2の実施形態において、DVD−ROM装着時の処理の流れを説明するフローチャートである。
【図10】第2の実施形態において、DVD−ROM又はハードディスクから必要な対象ファイルの読み出し処理の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…DVD−ROM
11…CPU
12…ROM
13…RAM
13a…転送バッファ
14…DVD−ROMドライブ
15…ハードディスク
15a…地図データ記憶領域
16…センサ部
17…GPS受信部
18…インターフェース
19…入力装置
20…ディスプレイ
21…表示制御部
22…バッファメモリ
23…音声処理回路
24…スピーカ
131…フラグ領域
132…DVD管理領域
133…HD管理領域
134、152…差分管理領域
141、151…管理領域
142、153…データ領域
Claims (13)
- 現在位置を検出する現在位置検出手段と、
記録されている地図データをそれぞれ読み出し可能な複数の記憶手段と、
地図データを用いて前記現在位置に応じたナビゲーション動作を制御するナビゲーション制御手段と、
前記複数の記憶手段における地図データの管理情報を抽出して、それぞれの該管理情報を統合的に保持する管理情報記憶手段と、
前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて前記複数の記憶手段の中から選択された記憶手段にアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出す地図データ読み出し手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。 - 前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、予め設定された優先フラグによって示される特定の記憶手段を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
- 前記管理情報記憶手段には、地図データの名称を示す名称情報が保持され、
前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、前記名称情報に基づいて地図データの存在が確認された特定の記憶手段を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。 - 前記管理情報記憶手段には、地図データが更新された日時を示す日時情報が保持され、
前記地図データ読み出し手段は、アクセスすべき記憶手段として、最新の日時の前記日時情報に対応する地図データを読み出し可能な記憶手段を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。 - 各前記管理情報の間の相違を示す差分管理情報を保持する差分管理情報記憶手段を更に備え、
前記地図データ読み出し手段は、前記管理情報にかえて前記差分管理情報に基づいてアクセスすべき記憶手段を選択することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。 - 現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図データが記録された記録媒体から該地図データを読み出し可能な第1記憶手段と、
地図データの書き込みと読み出しが可能な不揮発性の第2記憶手段と、
地図データを用いて前記現在位置に応じたナビゲーション動作を制御するナビゲーション制御手段と、
前記第1記憶手段における地図データの管理情報と前記第2記憶手段における地図データの管理情報とを抽出して、それぞれの該管理情報を統合的に保持する管理情報記憶手段と、
前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて選択された地図データを所定のタイミングで前記第1記憶手段により前記記録媒体から読み出し、前記第2記憶手段に転送して格納する地図データ転送手段と、
前記管理情報記憶手段により保持された管理情報に基づいて前記第1記憶手段と前記第2記憶手段の一方を選択してアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出す地図データ読み出し手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。 - 前記管理情報記憶手段には、地図データの名称を示す名称情報が保持され、
前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段のそれぞれの地図データの前記名称情報を比較し、前記第2記憶手段に格納されていない地図データを転送対象として選択することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。 - 前記管理情報記憶手段には、地図データが更新された日時を示す日時情報が保持され、
前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段と前記第2記憶手段のそれぞれの地図データの前記日時情報を比較し、前記第1記憶手段に比べ前記第2記憶手段の方が更新された日時が古い地図データを転送対象として選択することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。 - 前記地図データ転送手段は、前記第1記憶手段に前記記録媒体が装着された際に地図データの転送を行うことを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
- 前記第2記憶手段は、前記第1記憶手段よりも高速なアクセス速度で地図データの書き込みと読み出しが可能であることを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
- 前記第2記憶手段は、ハードディスク装置であることを特徴とする請求項10に記載のナビゲーションシステム。
- 前記記録媒体には、全体地図を分割した単位ブロック毎のブロック地図データが記録され、前記地図データ転送手段は、前記ブロック地図データを単位として転送を行うと共に、前記地図データ読み出し手段は、前記ブロック地図データを単位として読み出しを行うことを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
- 前記第1記憶手段と前記第2記憶手段との前記管理情報を比較して、双方の該管理情報の相違を示す差分管理情報を生成する差分管理情報生成手段と、
前記差分管理情報を保持する差分管理情報記憶手段と、を更に備え、
前記地図データ読み出し手段は、前記管理情報にかえて前記差分管理情報に基づいて前記第1記憶手段と前記第2記憶手段の一方を選択してアクセスし、ナビゲーション動作に必要な地図データを読み出し、
前記地図データ転送手段は、前記地図データ読み出し手段により前記第1記憶手段から読み出された地図データを前記第2記憶手段に転送して格納することを特徴とする請求項6に記載のナビゲーションシステム。
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