JP3589560B2 - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気−機械変換素子を用いてインク滴を噴出するインクジェットプリンタヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンタに使用されるプリンタヘッドのアクチュエータとして加圧室壁に設けた電気−機械変換素子の変位によって、その加圧室の体積を変化させるようにしたものが知られている。
【0003】
例えば、特開平6−40035号公報においては、加圧液室をグリーンシートにて積層形成し、一体焼成することにより、接着剤を使用せずに作製し、その後スクリーン印刷などの手法により圧電素子を配置させており、生産性に優れた圧電/電歪アクチュエータが提示されている。この関連発明として、特開平7−148921号公報においては、ノズルピッチが36dpi相当のヘッドが示されている。今後は更に高画質,印字速度の高速化の要請により、ヘッドの集積度(ノズルピッチ)の高いものが実現されて行くと予想される。具体的には、ノズルピッチが90dpi相当のもの、更には120,150dpiなどである。
【0004】
このような高密度化に際して、従来方式では、以下に記す原理上の制約により実現不可能であることが容易に類推される。即ち、加圧液室の短辺長(これはノズルピッチに反比例する長さ)をaとした場合、振動板の撓み変位量δはa2に比例する。前記の公報に記載された数値を用いて有限要素法にてδを求めると、表1の結果を得る。
【0005】
【表1】
【0006】
ノズルピッチの増加に伴い、例えば、60dpiから90dpiに集積化した場合、変位量は約1/2に減少してしまう。この程度の減少においては加圧液室の長辺長を2倍に設計して体積変化量を稼ぐことが可能と思われるが、長辺長の増加は単一基板上から取れるチップ数の減少(スループットの減少)、歩留まりの低下やヘッド自身の巨大化を招き好ましくない。
【0007】
これら高密度化の対応として振動板厚さの薄層化が考えられる。同様の計算により振動板厚さをtとした場合、変位量δはt3に反比例する。ジルコニア振動板厚さ10μmを基準とし、厚さに対する撓み変位量の値を表2に示す。
【0008】
【表2】
【0009】
すなわち、ノズルピッチ200dpiは、長辺長を約2倍にし、かつ、振動板厚さを6μmにすることで実現することができる。ここで採り上げた計算、及び各結果は、厳密な解とは若干異なるものの、概ね目安としては十分な精度である。
【0010】
しかし、このデザインをジルコニアグリーンシートの積層体で得ることは困難である。それは、第1に、加圧液室に相当する空隙をグリーンシートの打ち抜き加工で形成する際の加工性からの限界。第2に、10μm以下の振動板シートの形成とそのハンドリングの困難さである。特に、振動変位のバラツキを振動板厚さに配分すると、厚さの均一性又は中心性は中心厚さ±3%の精度が要求されるため、中心厚さの減少は飛躍的な加工精度を要求することとなる。
【0011】
本発明者らは、このような理由により120dpi以上の集積化の実現にはジルコニアシートでの作製は好ましくないという結論に至った。
本発明は、その対策として、マイクロマシン加工が可能であるSi単結晶を基体に用いることで、上記課題を解決することを基本としている。
しかし、Si単結晶基板を用いれば加圧液室の飛躍的な加工精度が実現できるものの、従来のスクリーン印刷により、その上に配置させる電気−機械変換素子の作製については以下の制約を受ける。
【0012】
スクリーン印刷によるパターン形成の加工限界は実用レベルで80μmL&Sである。また、下部電極パターンに対して圧電セラミック層を印刷するなどの下地パターンに対する位置合わせずれ(アライメントマージン)は、10μmを見込んで設計されるのが実状である。今、ノズルピッチ200dpiを想定した時、短辺長と隔壁の幅を考慮した間隔は127μmになり、下地電極幅80μm、圧電セラミック幅100μmとした場合、上電極は下電極に整合させる場合10μmのマージンを取り、70μm幅のパターンが要求され、結果として印刷限界値に達してしまい好ましくない。仮に歩留まりを下げて実現できたとしても、圧電セラミック層の有効駆動部は上下電極間でサンドイッチされている70μm幅しか撓み変位に寄与しなくなるため、効率の低下を招く。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景より、本発明の目的は、
(1)シリコン基体を用い、集積化を図り、かつ、スクリーン印刷での解像限界を克服させるものである。
さらに、本発明の第2の目的として、
(2)このようにSi基体上に形成される電気−機械変換層を良好な特性にて形成させる材料・方法を提供するものである。Si基体上にこれら加工精度を高める工夫を施し圧電素子部を形成させアクチュエータを形成した場合、Si基体を用いることで圧電素子部の形成、特に電気−機械変換特性に影響を与える。それはSi材料と鉛系圧電材料との反応に起因している。スクリーン印刷にて形成された圧電体層は一般に1200℃程の熱処理により焼結し圧電性を示す。一方、Siは比較的反応性に富む材料であり、400℃程の温度において、ほとんどの元素に対しシリサイド化(シリコン化合物の形成)してしまうことが知られている。特に、鉛系圧電体との反応は絶縁抵抗成分を減少させ、かつ圧電特性の甚だしい劣化を招く。更には、これら圧電体の基本となる結晶構造にも影響を及ぼし、Si基板上に直接圧電体印刷を施し、1200℃で熱処理した場合には、もはや結晶体ではなく非晶質材料に変貌する。
【0014】
この解決手段として、Siと圧電体層の直接的な接触部位を設けないこと、積極的には両者の反応を阻止する反応バリア層(中間層)を配置させること、並びに圧電体焼結の際のプロセス温度を低温にすることが挙げられる。焼結温度の低温化に際し、組成の抽出,微粒子化,焼結助剤の最適化がためされねばならない。また、微粒子化に関連して、その粒径分布も焼結性に影響を与える因子である。
【0023】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、液滴を噴射するノズルと、供給タンクから前記ノズルまで液体を導く流路と、各流路に設けられ電気信号が与えられるとそれに応じて流路に設けた液室の容積を変化させる電気−機械変換素子部とを備え、該電気−機械変換素子部の電気−機械変換素子は第1の電極層、該第1の電極層上に積層された電気−機械変換材料層及び該電気−機械変換材料層に積層された第2の電極から成り、該第2の電極が層間絶縁層のコンタクト孔を介して前記電気−機械変換材料層に接続され積層され、前記電気信号に応じて前記ノズルから液滴を噴射させるインクジェットヘッドにおいて、前記電気−機械変換材料層は、その主成分がPb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3で記述される三成分系圧電セラミックスであり、比表面積が7m2/g以上の値を有する仮焼粉を用い、スクリーン印刷後、700〜1050℃の温度範囲にて焼成せしめ、0.3〜5μmの粒組織からなる圧電セラミック層であるインクジェットヘッドである。
【0024】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記仮焼粉は(Ni1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望の化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより作製されたものであるインクジェットヘッドである。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1に記載されたインクジェットヘッドに用いる圧電セラミックスの製造方法であって、前記仮焼粉は(Ni1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより製造する圧電セラミックス仮焼粉製造方法である。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1に記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記圧電セラミックス主成分がPb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3で記述される三成分系圧電セラミックスであり、比表面積が7m2/g以上の値を有する仮焼粉を用い、スクリーン印刷後、700〜1050℃の温度範囲にて焼成せしめ、圧電セラミック層が0.3〜5μmの粒組織からなるインクジェットヘッドである。
【0027】
請求項5の発明は、請求項4に記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記仮焼粉は(Mg1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより得たものであるインクジェットヘッドである。
【0028】
請求項6の発明は、 請求項4に記載されたインクジェットヘッドに用いる圧電セラミックス仮焼粉作製方法であって、前記仮焼粉は(Mg1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させる圧電セラミックス仮焼粉作製方法である。
【0029】
請求項7の発明は、請求項4に記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記圧電セラミックスは、前記仮焼粉に焼結助剤としてリチウム,硼素,シリコン,ゲルマニウム,ビスマス,鉛の各種酸化物のうち少なくとも一種以上を添加し、液相焼結せしめた圧電セラミック層であるインクジェットヘッドである。
【0030】
請求項8の発明は、請求項7に記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記焼結助剤の添加量が圧電セラミックス重量に対し4wt%以下の量を添加したものであるインクジェットヘッドである。
【0031】
請求項9の発明は、請求項2,4,5,7のいずれかに記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記電気−機械変換素子の第2の電極またはダイアフラムを形成する前記第1の電極層の材料が白金、及び白金族元素とその酸化物、特にルテニウム,酸化ルテニウム,イリジウム,酸化イリジウム,ロジウム,酸化ロジウムのうち少なくとも一種類以上からなること、または白金との合金からなるインクジェットヘッドである。
【0032】
請求項10の発明は、請求項2,4,5,7のいずれかに記載されたインクジェットヘッドにおいて、前記ダイアフラム部は、第1に電気−機械変換素子部形成面側の裏面よりシリコン基体をエッチングにより加工し、第2にその反対面に全面または部分的なエッチングを施すことにより、その厚さが制御されたものであるインクジェットヘッドである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明は、加工性に優れたSi基板上に、印刷法にて電気−機械変換素子を積層させたインクジェットヘッドにおいて、高密度化の際に印刷マージンを稼げるように層間絶縁膜を配置させ実現させるものである。そのような発明の基本的な構成を図1〜図4に示す。なお、ここで図示した例では、単ビット(一つの加圧液室)である。
【0034】
図中、1はSi基体であり、強アルカリによる異方性エッチングを施した形状を示している。同図中、2はSiとその上に積層される電気−機械変換素子中の下電極3,電気−機械変換層4の中間に配置される中間層であり、この機能は主に、Si基体と鉛を含む電気−機械変換材料との反応を防止するものである。電気−機械変換材料(以下、単に圧電材料と略す)は、電極により上部/下部でサンドイッチされかつ前記電極間に電界を印加させることで歪みを生じる。ここで、層間絶縁膜5及び圧電体に上部電極をコンタクトさせるためのコンタクト孔6を形成し、上部電極7を配置させる。
【0035】
その後、Si基体の裏面に液体搬送のための孔を持つ閉塞板、並びに流体抵抗,ノズル連絡孔,共通液室を配置させた板、及びノズルプレートを順次接合することでインクジェットヘッドが構成される。
【0036】
図5及び表3に従来の構成とその重ね合わせ配分から導かれる設計値を示す。同表には、本発明による設計値も比較して記した。なお、Siの加工による液室形成工程は、圧電層形成後に堀り加工しても、または、あらかじめ堀り加工したSi上に圧電層を形成しても、2者の比較上何ら制約を受けないため、ここでのデザインルールはSi堀り加工との重ね合わせマージンは省略している。
【0037】
【表3】
【0038】
図5において、基体11上に最初の下部電極をスクリーン印刷する場合には重ね合わせマージンは必要ない。この場合は、印刷によるパターン精度のみになる。次に、下部電極に対して圧電層を同様のスクリーン印刷にて形成する場合、重ね合わせずれを考慮したマージンが要求されてくる。更に、上部電極の場合、下部電極に整合させる場合は、同様のマージンが、または、圧電層に整合させる場合、そのマージンが発生してくる。一般に、前者を選択すると、圧電層のパターン幅に過剰の余裕を持たせなくてはならなくなり、後者を選択した場合、端部において圧電層の厚さが薄い部分が形成されやすく、特に、電界集中が端部で起こるため、ブレークダウンなどの故障の原因になる。従って、ここでは前者を選択して設計値を示すこととする。
【0039】
スクリーン印刷でのパターン再現性は、4μm(±2μm)、ただし、最小寸法は80μm、一層ごとの重ね合わせマージンは10μm(±5μm)のデザインルールを用いた時、図5(A)では、以下の設計値を得る。C設=C寸+C精(ここでC設はパターンCの設計値、C寸はパターンCの寸法値、C精はパターンCを形成した時の加工精度)、A設=A寸+A精(パターンAに関して、添字は前記と同じ意味)、B設=A設+2L+M1+B精(Lは大きく取るための設計値、M1はスクリーン印刷での重ね合わせ精度)。今、C寸を80μmとし、各印刷加工精度を4μmにしたとき、A,B,C各々の設計値はC設=84μm、B設=132μm、A設=98μmになる。集積化の律速はB設であり、この場合150dpiが相当する。
【0040】
一方、図5(B)には、本発明の第1の形態に相当するパターンを示しており、同様の試算を行う。A設=A寸+A精、D設=D寸+D精、D設=A設−M2、ここでD精は半導体製造プロセスと同様なフォトリソグラフィにより形成するため、1μm、及びM2は同様に1μmの数値が妥当であり、これらを代入した結果、D設=81μm、B設=106μm、A設=86μmになる。従って、200dpiが相当する。
【0041】
図5(C)には、本発明の第2の形態に相当するパターンを示し、同条件で数値を導いた結果、A設=制約なし、B設=84μm、D設=63μm(D設=B設−2L−M2)になり、これは400dpiに相当する。
【0042】
図5(C),図5(D)において、上部電極の配置については設計上十分な余裕が与えられてくる。さらに特記すべきことは、上部下部電極で挟み込まれる領域がDパターンのマージンである2μmで作り込まれる点にある。更に付け加えるならば、電界集中による圧電体のブレークダウンは層間絶縁膜を配置させることにより、完全に回避できる点が挙げられる。
【0043】
このような層絶縁膜を配置する構成においては、確実に設計マージンが稼げるものの、以下の点が懸念される。すなわち、電界が印加された時の圧電層の歪みが層間絶縁膜の存在によりクランプされてしまい、変形量が減少してしまうことである。従って、層間絶縁膜に求められる特性として、材料の硬さを示すヤング率が適正な範囲から選ばれること。もちろん撓み量の阻害要因として膜厚も関係してくることは言うまでもない。さらに、絶縁耐圧が高いことや、後工程での熱履歴を考慮した耐熱性も要求されてくる。
【0044】
これら層間絶縁膜の一般的な材料,作製法としてはSiO2をCVD(Chemical Vapor Deposition)法により1μmほど堆積させるもの。または、TEOS(Tetra Ethoxy Silane)を用いて400℃程度の低温で作製することも可能である。さらに、プラズマや光により分解・堆積反応を促進させたCVD法により200℃で製膜してもよい。その他、スパッタリング法や有機エトキシシラン(Pheny−triethoxy silane)を用いたsol−gel法でもよい。
【0045】
また、ポリイミド,ノボラック樹脂,イソプレンゴムなどの有機物もあり、これら材料は一般的に樹脂成分と溶媒の割合を変化させ、所望する粘度にてスピンコート,ディップコートなどの手法にて塗布され、その後、乾燥,キュアにより簡便に膜形成できる。また、膜厚は粘度,コーティング条件により制御でき、1〜30μm厚が得られる。
【0046】
前記の層間絶縁膜の存在による撓み量の阻害は、これら材料のヤング率及び膜厚の適正化により十分無視できる範囲が存在する。有限要素法による一般解からは、圧電セラミックス材料の厚さを20μm、また、そのヤング率を6.5×1010Paとした時、層間絶縁膜の膜厚を同じにした場合では、ヤング率が2桁以上低ければ撓み量は変化しない。また、SiO2(ヤング率:7×1010Pa)では、その厚さを15分の1にすれば、同様に撓み量の変化は発生しない。
【0047】
コンタクト孔はこれら層間絶縁膜を膜堆積した後作製する。この手法は通常のリソグラフィ・エッチングにより実施される。SiO2膜の場合、HMDS(hexsa methylene di silasane)による表面改質後、フォトレジストをスピンコートし、プリベーク後紫外線露光,現像を行いコンタクトパターンを形成、ポストベークの後に、フッ酸系水溶液にてウェットエッチング、もしくはフロン系ガスによるドライエッチングを実施後、フォトレジストを除去することにより形成される。
【0048】
これらリソグラフィ・エッチングによりコンタクト孔を形成する他に、有機化合物からなる層間絶縁膜においては、紫外線官能基の導入により、工程を短縮することが可能になる。例えば、ノボラック系樹脂に紫外線官能基としてナフトキノンジアジトを導入させることで、紫外線照射部のみがアルカリ性水溶液にて溶解・除去可能になる。この場合、先のエッチング・フォトレジスト除去の工程が省略できる。また、このような例としては、イソプレン系ゴムを用いた場合や、または、感光性ポリイミドとして市販されている樹脂などでもよい。これら有機系材料の絶縁耐圧は一般に高く、圧電体の絶縁耐圧が100kV/cm程であるのに対して、1桁以上高い1MV/cmを有するので、この点からも好ましい。
【0049】
このような工程の後に、上部電極を配置させることで圧電素子が完成する。一般にこの上部電極はAgの焼き付け電極が専ら用いられている。これは、Ag,Ag−Pd等の微粉をペースト化し、スクリーン印刷後焼結させることででき上がる。また、焼結温度は、一般にPdを含む場合、750℃で、Agでは450℃で焼結可能なペーストもあるが、一般には650℃程がほとんどである。低温焼結型は耐候性に乏しく、本発明においては好ましくない。また、SiO2系の層間絶縁膜を用いる場合には、材料の耐熱性から見ると十分であるが、有機材料にとっては最も耐熱性のあるイミド樹脂でも400℃が限界であり、この点からも低温形成が要求されてくる。
【0050】
真空製膜法に見られる蒸着法,スパッタリング法は、室温で形成できる利点を有している。この場合の電極材料としては、実装を考慮してAuやCu/Cr等が用いられる。コンタクト孔を介して接触部位が孤立化されている本発明においては、上部電極の形成精度は隣り合う素子間の絶縁がなされていれば十分であり、例として、200dpiでのピッチは127μmであり、これ以下のパターンが形成できれば良いことになる。ただし、実際には、表面リークなどの故障を考慮してピッチ間隔マイナス10μmが限界ではある。
【0051】
前記の真空製膜法においては、メタルマスクと呼ばれる被堆積領域以外を遮断しながら電極膜の堆積を実施することができる。この手法を用いることで、予めパターン化された電極膜を形成でき、パターン化の工程が省略できる。また、メタルマスクによる堆積法の加工限界は、概ね100μmであり、これは先の200dpiでのピッチより小さいことが言える。
【0052】
Si基体を用いることで圧電素子部の形成、特に、電気−機械変換特性に影響を与える問題の解決手段として、Si基体と圧電体層の直接的な接触部位を設けないこと、積極的には両者の反応を阻止する反応バリア層(中間層)を配置させること、並びに圧電体焼結の際のプロセス温度を低温化することが挙げられる。
【0053】
中間層としては、スパッタリング法などの真空製膜法による膜形成や、印刷による膜形成でもよい。材料としては、鉛,Siに対し、遮蔽効果を有するものが好ましく、この機能の発現のために単層、もしくは複数層の堆積膜がある。具体的には、酸化ジルコニウムを主成分とし、部分安定もしくは完全安定化のために酸化イットリウム,酸化セリウム,酸化カルシウム,酸化マグネシウムなどの安定剤を添加したものや、圧電体と同じ結晶構造を有し、Siとの反応性の低いチタン酸バリウム系セラミックス,コバルト酸ランタン,ストロンチウム系セラミックスやアルミニウム酸マグネシウム等のスピネル型結晶構造を持つ複合酸化物材料が好ましい。
【0054】
電界を印加することで変位を呈する材料は、変位と電界の関係より圧電,電歪,相転移などに分類されている。これらを総称して電気−機械変換材料と記述する。その中で圧電材料には、これまでに知られている純粋な化合物は80種、非酸化物系では100種以上が発見されている。酸化物系においては、それらの混晶系、または元素の組み合わせにより天文学的な数字になると思われる。酸化物系圧電体は結晶構造で分類すると、ペロブスカイト型,イルメナイト型,タングステンブロンズ型,パイロクロア型,ビスマス層状構造型などに分類される。この中で特に圧電特性が良好なものとしては、ペロブスカイト型があり、更に鉛を含む材料が特に優れていることが知られている。その代表的な圧電セラミックスにジルコン酸チタン酸鉛(以下、PZTと略す)がある。
【0055】
本発明においては、これらPZTセラミックスをスクリーン印刷によりパターン形成した後、熱処理することで得ている。ペースト処法は、セラミックス仮焼粉をエチルセルロースをバインダーとしてテルピネオールとセロソルブ系溶剤を用い、3本ローラにて混練することで得られる。熱処理温度は、これら有機バインダーが完全に燃焼する温度700℃以上かつ、中間層を配置したSi基体が十分耐えられる温度である1300℃以下の範囲で、好ましくは800〜1050℃の温度範囲によって焼結させる。
【0056】
セラミック粉の微粒子は、仮焼粉ボディのジルコニアボールを使った粉砕(ブレークダウン法)と、主に液相から粉体を合成するビルドアップ法に大別でき、後者には水熱合成法,蓚酸塩法,金属アルコキシドや反応経過においてアルコキシド誘導体を形成後、加水分解・沈殿により粉体を得るsol−gel法等がある。後者のビルドアップ方式は、作製条件の最適化により、比表面積が15m2/gに至るほどの超微粒子(電子顕微鏡観察での粒子径は約50nm程)が得られる場合もある。例えば、Pb(Zr0.52Ti0.48)O3にNb2O5を1wt%添加したセラミックスがあり、この時、焼結温度の低温化に対する超微粒子化の寄与は250℃ほど低温の950℃までになる。ただし、これら液相法から得られた粉体には以下の共通な、かつ個々の問題がある。超微粒子化に伴いグリーンから焼結体への収縮率が極端に大きいこと。sol−gel法は出発材料に比較的高価な原料を用いる、工程が煩雑になる、収率が低い等の欠点を有し、超微粉は得られるものの量産性には不向きである。蓚酸塩法は比較的高価な材料は必要とされないものの、セラミックス構成元素の特性(共沈条件の不整合)により限られた組成のものしか作製できない。また、同様に生産性も低い。水熱合成法は簡便な方法ではあるものの、鉛濃度の制御性を始め、厳密な組成制御が困難であり、ロット間のバラツキを生じているのが現状である。特に、PLZTや、三成分系圧電セラミックスの場合、共存イオンの存在により反応速度の制御が困難であるとされている。ただし、これは鉛を含む系で問題となっており、鉛を含まない複合酸化物セラミックスを合成する場合には、一部工業的に生産されている技術でもある。
【0057】
後述の実施例に示すように、組成面の検討を行ったところ、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3系セラミックス(以下、PNN−PZT)、およびPb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3系セラミックス(以下、PMN−PZT)が比較的低温で焼結することがわかった。また、仮焼粉の粒径、及び焼結助剤の種類とその濃度にも最適値が存在する。
【0058】
これら三成分系セラミックスにおいては、相境界近傍の組成が電気−機械変換能率が高く、PNN−PZTでは0.5Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−0.5Pb(Zr0.3Ti0.7)O3近傍組成が好ましい。PMN−PZTでは、0.375Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−0.625Pb(Zr0.4Ti0.6)O3近傍組成が好ましい。
【0059】
三成分系圧電セラミックス仮焼粉は、セラミックを構成する元素に対応した酸化物を出発材料にし、混合・仮焼・粉砕の工程を経て作製できる。また、PNN−PZT、PMN−PZTにおいては、コロンバイト、すなわちNiNb2O6,MgNb2O6を経由して作製するのが好ましい。
【0060】
得られる仮焼粉の平均粒径の微粉化、並びに粒度分布の均一性を向上させるために、水熱合成法によるコロンバイトを形成し、後から鉛を固相拡散にて反応させる方法が良好である。更に、鉛との反応は鉛−元素の蓚酸塩・沈殿法を用いることで、更に良好な仮焼粉が得られる(これら作製法は前記の液相法の欠点を克服させているものであり、矛盾はないと理解されたい)。
【0061】
液相焼結のための助剤は低融点ガラス質であるB,Bi,Ge,Li,Pb,Siの酸化物が挙げられる。液相焼結とはセラミック粒間での熱エネルギによる物質移動、および焼結工程において比較的低温で液相を形成する添加物を加えておくことで、熱処理中に粒子間に液相が形成され、物質移動が容易になり焼結が進行する方法である。これらの実施にあたっては焼結助剤の液相形成温度,セラミックスが助剤により新たな化合物を形成しないこと等の性質が要求され、圧電セラミックス組成に合致した最適な組成・濃度が存在する。具体的な組み合わせは、PbO−B2O3,PbO−B2O3−SiO2,PbO−GeO2,Pb−GeO2−SiO2,Li2O−Bi2O3等がある。
【0062】
これら助剤はセラミック粉に対し0.5〜4wt%の割合で添加するのが好ましい。添加の方法は単に酸化物として混合する他に、各種金属塩を用い水溶液とし、あるいはエタノールを用いたアルコール溶液にし、含浸法にて添加してもよい。また、アルコキシド化合物やペッチーニ法等で知られている金属塩を多価アルコールに溶解させ、複数の元素からなるガラス組成に対してはこれらの複合アルコキシド、またはその誘導体とアルコキシドの化合物を合成し、セラミック粉を水に懸濁させたものに加えることで加水分解・表面坦持させてもよい。またはセラミック粉表面を表面改質させ、選択的に坦持させる方法もある。
【0063】
下電極材料の形成はスクリーン印刷法等の方法のほか、スパッタリング等も好適である。Si,鉛元素に対するバリア効果は主に白金族元素の酸化物に顕著に見られる。例えば、Irの場合、800℃の熱処理を行うことで、膜表面に酸化イリジウムを形成し、これが鉛拡散,シリコン反応を阻止する。同様に、ルテニウムもこの作用がある。更に、白金−ロジウム合金においては、ロジウムの酸化物が形成され良好に振る舞う。
【0064】
これら材料をスパッタリング法で形成する場合、下地との密着性を向上させるために、密着層を配置するのが好ましい。この密着層は同様の手法で形成され、プロセス最高温度で選択されるべきものであり、Ti,Ta,TiN,TaNや、特に、TaSiN等が好適である。
【0065】
Siダイアフラムの形成は、KOH等を用いたアルカリ異方性エッチングで形成される。または、SF6とO2の混合ガスを用いたリアクティブイオンエッチングや、プラズマエネルギ密度を高めたICPエッチングを用いてもよい。特に、バッチ性処理での量産性の高いウェットエッチングではダイアフラム膜厚にて自己整合的にエッチングが停止する機能を基板に付与させることで均一な板厚を得ることができる。この例としては、高濃度ホウ素をドーピングしたエッチストップ層の利用、PN接合を用いた電気化学的エッチングなどがある。さらに、一般的な方法として、あらかじめ所望する板厚分相当を部分的に基板堀加工させ、次に所望する形状のダイアフラムをエッチングする2段階エッチング法を用いてもよい。この場合、先の堀り加工された部分が貫通した時点でエッチングを停止すれば、ダイアフラム部では堀り加工分だけの膜厚が残っていることになるという原理に基づく。
【0066】
このようなSiウェハサイズの加工では、必ず初期ウェハの均一性が問題になる。ウェハtoウェハ、つまりウェハ毎の処理よりは、複数チップ単位でウェハを切り出し、全数検査し、再加工することが望ましい。この時のエッチングは前記の他に、CDE(化学的ドライエッチ)により等方性エッチングをしてもよい。後の印刷工程のためにハンドリングの都合上、堀り加工の反対面を全面、もしくは部分的に加工するのが望ましい。
【0067】
(実施例1)
本発明の微細パターン形成において、実際に図5(A)〜図5(C)に示す構造体の形成を行った。なお、パターン形成のみを目的としており、従って、基板にはジルコニアシートを用いた。下電極は市販の白金ペーストを使用した。版はメッシュサイズ#400のステンレスメッシュを用い、スキージ・120℃、10分の乾燥、1200℃の焼成により5μm厚の電極を得た。この時のパターン再現性は、パターン寸法80μmに対し、±2.0μmであった。次に、圧電層の印刷を行う。この時のペーストは、セラミックス粉と有機ビヒクルの割合を75:25にした。ビヒクルはテルピネオール,PVB,DBPとセロソルブ系溶媒から構成されている。この配合にてペースト粘度320Pa・s、TI値が2.4のペーストが得られた。なお、用いたセラミックス粉は後述するPNN−PZTである。同様の印刷条件にてパターンを形成した。一回のスキージ・焼成により得られる膜厚は20μmであった。この時、B設に含まれるLは10μmとした。また、パターンTEGより、パターン再現性はパターン寸法80μmに対し、±2.0μmであった。2者のパターンより重ね合わせ精度(M1)を求めたところ、+5.2、−4.9μmとなり、概ね10μmの値が妥当であることを確認した。次に、市販品のAgペーストを用い上電極の印刷性について評価した。パターン再現性は±2.0μm、重ね合わせ精度は約10μmであった。従って、表3に示した数値が概ね再現できた。
【0068】
次に、図5中の層構成図5(B)について同様の実験を行った。共通箇所は前記と同様、ここでは市販品の感光性ポリイミド樹脂を用いて工程短縮を実施した。粘度250cpのものをスピンコート(回転数1250rpm)にてコーティング,プリベーク後、超高圧水銀ランプで露光を行い、その後現像をする。今回使用したポリイミドは未露光部が溶解するネガ型である。コンタクト部形成のような場合には、ネガ型の方が解像度の面から有利であることは言うまでもない。その後、250℃30分のポストベーク処理を行った。このパターン形成法を採用したところ、条件の抽出により、パターン再現性が0.3μm以下(これは光学式評価の限界値に相当)に収めることができ、実用上寸法値=設計値として良いということが分かった。さらにハードマスクを用いた光学式アライメント装置における重ね合わせ精度は+0.4、−0.6μmになり、M2=1μmが妥当であることを確認した。
【0069】
図5(C)において、コンタクト孔の加工限界は前記の感光性ポリイミドを用いた時3μmの解像度を有していたため、B設が集積化の律速寸法に相当している。以上より、これら構成を採用することで表3に示す数値通り設計できることを明らかにした。なお、表3中の解像度は素子を2組用意し、千鳥に配列させれば、その2倍の集積度に上がることは言うまでもない。
【0070】
(実施例2)
図1〜図4に相当する構造体は以下のように作製した。工程は大きく2つに分けられ、1つはSi基体の堀り加工、もう1つは圧電体素子の形成である。図5(D)の構造についてはSi堀り加工(この堀りに閉塞板を接合することで吐出させるべきインク液体が設置されるので、単に液室加工とも呼ぶ)を先に行うことは、その上の圧電素子形成に若干の煩雑さを要求するので好ましくない。その他の構成においては、特に工程順番が制約されるものではない。
【0071】
図1に示す構成において、板厚200μmの(110)Siウェハに耐エッチング層として2μmの熱酸化膜を形成、所望する箇所をホトリソグラフィ・エッチングにより開孔させた後、梁厚さ相当のSiエッチングを行う。熱酸化膜のエッチングはフッ酸の弗化アンモニウムの水溶液からなるバッファードフッ酸にて処理を行った。本実施例においては、梁厚さを5μmとし、従って、5μmのエッチングをKOH水溶液、濃度40wt%にて実施した。次に、素子形成用の第2のリソグラフィ・エッチングを行い、開孔部を195μmエッチングする。エッチングの終点は先に5μm堀っていた箇所が貫通することで判断できる。このように加工したSi基体上に、rfマグネトロンスパッタ法により、基板温度850℃にてCe2Zr3O8を堆積する(図中2)。製膜時のスパッタ圧力:0.1Pa、スパッタガス:Ar+5%O2、投入パワー密度:3.1W/cm2にて膜厚200nmを堆積させた。次に、白金ペーストを印刷・焼結(1100℃)することで厚さ5μmの下部電極(図中3)を形成した。PNN−PZT(図中4)は実施例1と同じ処方を施し、印刷にて膜厚29μmを形成した。層間絶縁膜(図中5)は、感光性ポリイミドを用い、先述同様に形成後、上部電極(図中7)を堆積させる。この時の形成法にはステンレス箔にパターン開孔したいわゆるメタルマスクを基板と整合させ、マグネトロンスパッタ法にてCrを100nm、続いてAuを600nm堆積した。
【0072】
(実施例3)
図2に示す構成も前記の実施例1,2に示す手順で同様に作製した。この時の中間層(図中3)には下部電極が相当している。
【0073】
(実施例4)
図3に示す構成は前記の実施例1,2に示す手順で同様に作製した。この時の中間層(図中2)には、先述のCe2Zr3O8を用いた。
【0074】
(実施例5)
図4に示す構成は、基本的には前記の実施例1,2に示す手順で同様に作製している。ただし、中間層には、印刷BaTiO3膜、膜厚7μmを堆積させ、その後下部電極,圧電層,層間絶縁膜,コンタクト開孔,メタルマスクによる上部電極を形成した後に、この上部素子を保護させながら、Si液室加工を実施した。
【0075】
(実施例6)
層間絶縁膜のヤング率を用いる材料により変化させ、種々の値を取らせた。具体的には、SiO2はTEOS−CVDにより膜厚2μm〜7μmまで変化させた。同様にイソプレンゴム系,ポリイミドを各種膜厚を変化させ、振動板撓み変位の阻害影響を調べた。その結果を表4に示す。また、同表中には単純なサンドイッチ電極を配置させたテストピースをSi基体上に形成し、その容量素子の絶縁耐圧を求めた。耐圧の評価は印加電界を増加させた時の電流量、もしくは1μA流れた時の電界値と定義する。ただし、電極面積はφ1mmである。振動撓み量は図14に示すような層間絶縁膜を配置していない構成における撓み量を100%とし、図1に示す構成で同様の電界を印加し相対値として評価している。PNN−PZTは電界強度30kV/cm、室温にて10分の分極処理を行っている。減衰後の変位変位量相対値は100−80%を○、80−60%を△、それ以下を×とした。
【0076】
【表4】
【0077】
このように今回用いた材料は、圧電体の絶縁耐圧より5倍ないし1桁以高い耐圧を有するものであった。
【0078】
(実施例7)
上部電極は、メタルマスクによる遮蔽と、開孔部のスパッタリング製膜にて形成した。この時、遮断マスクと堆積基板の密着性により加工精度が左右される。この点に注意しながら成膜条件の抽出を行った。製膜の原理上、真空蒸着とスパッタリング法では、膜廻り込みは後者の方が大きいものの、安定した製膜が行われる。また、スパッタ粒子の平行性を高めるために、コリメートスパッタリングにより実施した。基板サイズを50mm×50mmとすると、また、ステンレス性メタルマスクの板厚を50μmとし、密着治具の改良により80μmの解像度で形成できた。これは図5(C),図5(D)の構成に示す300dpiに要求される解像度に相当している。
【0079】
(実施例8)
低温にて焼結させるための圧電材料の組成の抽出を行った。対象とした圧電体は、Nb2O50.5wt%添加Pb(Zr0.52Ti0.48)O3(以下、PZT(52/48))、PZTにLaを加えて変性させたPLZT(9/65/35),三成分系圧電体として、PNN−PZT,PMN−PZT、そして、0.91Pb(Zn1/3Nb2/3)O3−0.09PbTiO3(以下、PZN−PT)について検討した。セラミック仮焼粉は各酸化物を化学両論比に従って秤量し、固相反応にて作製している。図6に各種セラミックスの焼成温度に対する相対密度の関係を示す。このようにPNN−PZT,PMN−PZT、及びPZN−PTではPZT(52/48)と比較して、概ね200℃の低温化が図れることが明らかになった。ただし、PZN−PTでは、焼結密度は十分得られているものの、非強誘電性のパイロクロア相が形成されてしまい好ましくなかった。
【0080】
このパイロクロア相は三成分系セラミックスには程度の差こそあれ、形成される場合が多い。この対策として相当するセラミックスのコランバイト化合物を経由させ、仮焼粉を作製した。その結果、パイロクロア相の影響がなく、高い圧電定数を有するセラミックボディが得られた。表5には1100℃で焼成したセラミックスの電気−機械結合係数(Kp)の値を示す。
【0081】
【表5】
【0082】
また、ジルコニアボールによる仮焼粉粉砕時間を変化させ、異なる粒径の仮焼粉を用意し、仮焼粉と焼結温度の関係をPMN−PZTで行った。ボールミルはポリエチレン製容器にφ3のYTZボールと1次粉砕後の平均粒径0.7μmの仮焼粉で容器の7割を占有させ、エタノール中で湿度式ミルを行った。処理時間とSEM径(有限視野内に観察される最大粒の粒径)、比表面積の関係を求め、これら粉体を1050℃で焼結後の電気−機械結合係数を測定した。
【0083】
【表6】
【0084】
従って、比表面積7m2/g以上にて良好な特性が得られることが言える。
【0085】
(実施例9)
コランバイト経由と仮焼粉の粉砕により低温化に有利なセラミックス粉が得られてきた。しかし、好ましくは工程の簡略化が望まれる。また、先の表6に示すセラミックスボディを組織観察したところ、比較的細かい粒と3μm程度に及ぶ粒組織からなっている。この粒径分布は粉砕後の粒径分布に依存している。また、このような組織形態においては、圧電特性において若干の低下を示すものである。
【0086】
このような問題を解決するために、本発明者らは部分水熱合成法と命名した方法を開発した。その具体例を以下に示す。
また、前記の不具合点に加え、特に、PNN−PZTのコランバイトでは、NiOの反応速度が著しく遅いため、その合成には800℃、8時間を要する。これを改善する方法としては、反応中の酸素原子移動量を稼ぐ目的として、酸素雰囲気中での焼成がある。しかし、量産にあたっては、酸素ガスを使うことによるコスト高を招く。そこでこれら改善として、あらかじめコランバイトを水熱合成粉として調製した。
【0087】
(実施例10)
PNN−PZTの場合、Nb2O6、及びZrTiO4を作製する。作製法は、塩化ジルコニル8水和物(ZrOl2・8H2O),四塩化チタン(TiCl4)の水溶液からZrTiO4を、また、硝酸ニッケルNi(NO3)2,五塩化ニオブの水溶液から合成する。これら水溶液に水酸化カリウムを加え、従来の水熱合成法にて反応を進行させる。具体的には、各配合に合わせた溶液を調製させ、オートクレーブ中200気圧、320℃、8時間反応させる。これら反応物をデカンテーションにより水洗し乾燥することで、コランバイトNiNbOxde,MgNbOxideとZrTiO4を各々得る。Mgの場合は、硝酸マグネシウム(Mg(NO3)2を用いた。さらに、KOH濃度,反応レシピ等条件の最適化により比表面積7.0m2/g以上の各反応物を得た。
【0088】
これら粉体を用いてPNN−PZT仮焼粉を作製した。手順を示下に示す。PbOは100%マシコットを用いた。PNN−PZTでは0.5Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−0.5Pb(Zr0.3Ti0.7)O3になるようにPbO,ZTO,NNOを秤量し、ボールミルで粉砕・混合を8時間行った後、瞬時乾燥させ、この混合粉を800℃8時間仮焼する。更に均一性を高めるために、再度粉砕し同じ温度・時間にて仮焼を行う。その後、24時間ボールミルを行うことで仮焼粉を得た。
【0089】
PMN−PZTでは、0.37Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−0.625Pb(Zr0.4Ti0.6)O3組成になるようにして、前記同様の処理を行い仮焼粉を得た。この時の仮焼粉粒径はSEM径で0.25μm、また、比表面積は8m2/gになっていた。さらに、分光測定による粒度分布は、単分散しており、中心値が0.3μm、σ=0.1μmになっていた。一方、部分水熱合成を行わない場合、粒度分布において、2つの中心値が存在し(0.35μm、0.95μm)、この結果より、単分散仮焼粉を得るのに有効であることが示された。更に表7に示すよう低温化にも好適であった。
この部分熱合成粉を用いて、1000℃焼成にて焼結ボディを作製し、その電気−機械結合係数を測定した結果を示す。
【0090】
【表7】
【0091】
(実施例11)
このようにセラミック粉の最適化を行い、以下に示す焼結助剤を添加することで、更なる低温化がなされた。焼結助剤としてPbO−B2O3,PbO−B2O3−SiO2,PbO−GeO2,PbO−GeO2−SiO2,Li2O−Bi2O3の結果を表8に示す。表には焼結温度と焼結体密度を示す。用いたセラミックス仮焼粉は、PMN−PZT粉砕粉であり、焼成温度は700℃から1050℃である。また、先述の助剤組成は、PbO 0.875:B2O3 0.125(m.p.=493℃)、PbO 0.9:B2O3 0.075:SiO2 0.025(m.p.=460℃)、Pb5Ge3O12(m.p.=738℃)、Pb5(Ge2.4Si0.4)O11(m.p.=742℃)、Li2Bi2O4(m.p.=690℃)、添加量は1wt%である。添加の方法は各酸化物をボールミルにて混合したものである。
【0092】
【表8】
【0093】
これら助剤は、熱処理中に液相を形成し焼結に寄与するものであり、低温領域では無添加品と比較して、密度の向上品が見られる。特に、Li/Bi系ではその効果が顕著である。
【0094】
図7にPMN−PZTでの粉砕粉+Li/Bi 1wt%添加品の焼結温度に対する強誘電特性(P−Eヒステリシス曲線)を示す。また、図8には歪み特性(S−Eヒステリシス曲線)を示す。
これら図より、焼結温度の上昇により、特性の向上が認められる。また、強誘電性に関しては850℃以上でこのセラミックス本来の特性が得られている。
【0095】
図9,図10にはレファレンスとして、無添加PMN−PZT1200℃焼成品の各特性を記す。この結果及び他の関連特性値より相対密度からの特性類推は可能である。また、相対密度が94%ほどに至る試料においては、各種圧電特性(比誘電率,分極特性,電界誘起歪み特性)の良好なものが得られることがわかった。
【0096】
PNN−PZTについて同様の特性を記す。
図11は、粉砕粉+Li/Bi助剤、図12は、部分水熱粉+Li/Biのヒステリシス特性である。このように、前者では850℃の焼成で、さらに後者においては800℃の焼成にて十分な特性を示した。
これら組織観察の結果、800℃の試料は0.3μmの結晶粒からなっていた。
【0097】
(実施例12)
これら焼結助剤には、圧電性を劣化する作用もある。従って、添加方法,濃度が十分最適化されていなければならない。PNN−PZT部分水熱粉に関してLi/Bi添加濃度を変化させた時の特性劣化を電気−機械結合係数をもって評価した。添加方法は、相当する助剤化合物、すなわちLi2Co3,Bi2O3粉末をボールミルにて混合・乾燥させた場合とLiCl,Bi(NO3)3の水溶液を作り、含浸法にて粉体坦持させた2種について行った。焼成温度は850℃である。
その結果、図13に示すように、添加方法には強い依存を示さないが、若干含浸法が優れており、また、添加濃度の最適値はこの範囲においては、加減が0.5wt%、上限は4wt%であった。
【0098】
(実施例13)
下電極にはPtペーストにて、スクリーン印刷にて形成した。また、図1〜図3では、スパッタリングによる製膜も試みた。スクリーン印刷の方法は前記したので、ここではスパッタリングによる下部電極形成について記述する。白金及び白金族元素は、下地がSi及びその酸化膜の場合密着性に乏しい。従って、界面に密着層を配置させる。この時の候補として、Ti,Cr,Ta,TiN,TaNが知られている。しかし、Crにおいては450℃の熱履歴で昇華性の酸化クロムに変質し、本発明の要求に答えられない。一方、Tiではその耐熱性が600℃、また、Taでは650℃、Ti,Taの窒化物では700℃と見積もられ、印刷圧電体の形成には余裕がない。そこで、TaSiNを製膜した。この材料は800℃の耐酸化性を有している。Ta金属ターゲット上にSiチップを配置させ、Ar+N2の混合ガスにより、スパッタ圧0.2Pa、rfパワー密度2.0W/cm2、基板温度600℃にて膜厚70nm堆積した。さらにその上に、Pt−Rh合金の製膜を行い、下部電極に供した。得られた電極配置基板上に印刷PNN−PZT厚膜を形成し、比誘電率の測定を行った。レファレンスとして、ジルコニアシート上に印刷Pt膜を配置させ、同様な素子形成を行った。比誘電率と圧電体特性には相関があり、ここではその代用値として採用した。両者ともその値に遜色はなく、比誘電率が2000の値を得た。
【0099】
(実施例14)
Si基体の液室加工は前記のように実施される。この時、初期の基板板厚の変動がダイアフラム厚のバラツキに影響してくる。例えば、4インチSiウェハの中心値が200μmとした場合,数サンプル及びウェハバッチ間のバラツキを考慮すると、最大5μmの変動がある。従って、5μmのダイアフラムを形成した場合、その面内バラツキは2.5μm〜7.5μmの範囲になる。このようなことを回避するために、ウェハtoウェハ(ウェハ毎の)の処理を止め、複数のチップ集合体に切断し、この中心値を切断チップ毎に測定し、必要に応じて再度ダイアフラム加工した。ダイアフラム許容膜厚を5μm±0.5μmと定義する。その結果、4インチサイズでのチップ歩留まりは5%であったのに対し、チップ8個取り(サイズに変換すると32×34mm)では歩留まりが65%まで向上した。
【0101】
【発明の効果】
請求項1に対応する効果:層間絶縁層及びコンタクト孔を用いて電気―機械変換素子部を積層したため、接触部位が孤立化されかつ、隣合う素子間は層間絶縁層により絶縁されているから、重ね合わせ精度を飛躍的に向上させることが可能になり、ヘッドを高集積化することができる。また、電気―機械変換素子部の電気―機械変換材料層は、酸化鉛を含む圧電セラミックスにてスクリーン印刷,焼成により形成され、熱処理がシリコン基体の変形を生じることのない700〜1050℃の温度範囲にて形成させることで、電気―機械変換材料層をシリコン基体上に形成することが可能になった。さらに、圧電セラミックスは、Pb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3であるので、高い圧電性を有するセラミックスを低温で形成することができる。
請求項2,3に対応する効果:(Ni1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2の各々水熱合成法により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させる所謂、部分水熱法を用いることで、仮焼粉の粒径の均一性を高め、安定した特性及び更なる低温化を実現することができる。
【0102】
請求項4に対応する効果:Pb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3にて高い圧電性を有するセラミックスを低温で形成することができる。
請求項5,6に対応する効果:(Mg1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2の各々水熱合成法により製造し、所望する化学両論比に配合した後に酸化鉛を反応させる所謂、部分水熱合成法を用いることで、仮焼粉の粒径の均一性を高め、安定した特性及び更なる低温化を実現することができる。
請求項7に対応する効果:最適組成の焼結助剤を用いるため、より低温で液相焼結させることが可能である。
請求項8に対応する効果:その焼結助材の濃度を最適化したため、焼結を効率的に行うことができる。
請求項9に対応する効果:印刷法,スパッタ法等で安定してSi基体上に電極(層)を形成することができる。
請求項10対応する効果:ダイアフラム膜厚の制御性を向上させ、歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットヘッドの電気―機械変換部における層構成を示す断面図。
【図2】インクジェットヘッドの他の電気―機械変換部における層構成を示す断面図。
【図3】インクジェットヘッドの他の電気―機械変換部における層構成を示す断面図。
【図4】インクジェットヘッドの他の電気―機械変換部における層構成を示す断面図。
【図5】電気−機械変換部の積層構成を説明するための図であって、図5(A)は従来の構造を、図5(B)〜図5(D)は本発明の構造を示す。
【図6】各種セラミックスの焼成温度に対する相対密度の関係を表すグラフ。
【図7】PMN−PZTにおける粉砕粉+Li/Bi添加品の焼成温度に対する強誘電特性を示すグラフ。
【図8】PMN−PZTにおける粉砕粉+Li/Bi添加品の焼成温度に対する歪特性を示すグラフ。
【図9】無添加PMNーPZTにおける1200゜Cでの強誘電特性を示すグラフ。
【図10】無添加PMNーPZTにおける1200゜Cでの歪特性を示すグラフ。
【図11】PNNーPZTの粉砕粉+Li/Biの添加品の焼成温度に対する強誘電特性を示すグラフ。
【図12】PNNーPZTの部分水熱粉+Li/Biの添加品の焼成温度に対する歪特性を示すグラフ。
【図13】PNNーPZTの部分水熱粉について、Li/Biの添加濃度を変化させたときの圧電特性劣化を示すグラフ。
【図14】インクジェットヘッドの層間絶縁層を配置していない電気―機械変換部の層構成を示す断面図。
【符号の説明】
1…Si基体、2…中間層、3…下電極(下部電極層)、4…電気―機械変換層(圧電材料)、5…層間絶縁層、6…上電極(上部電極)、11…基体。
Claims (10)
- 液滴を噴射するノズルと、供給タンクから前記ノズルまで液体を導く流路と、各流路に設けられ電気信号が与えられるとそれに応じて流路に設けた液室の容積を変化させる電気−機械変換素子部とを備え、該電気−機械変換素子部の電気−機械変換素子は第1の電極層、該第1の電極層上に積層された電気−機械変換材料層及び該電気−機械変換材料層に積層された第2の電極から成り、該第2の電極が層間絶縁層のコンタクト孔を介して前記電気−機械変換材料層に接続され積層され、前記電気信号に応じて前記ノズルから液滴を噴射させるインクジェットヘッドにおいて、
前記電気−機械変換材料層は、その主成分がPb(Ni1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3で記述される三成分系圧電セラミックスであり、比表面積が7m2/g以上の値を有する仮焼粉を用い、スクリーン印刷後、700〜1050℃の温度範囲にて焼成せしめ、0.3〜5μmの粒組織からなる圧電セラミック層であることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1に記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記仮焼粉は(Ni1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望の化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより作製されたものであることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項1に記載されたインクジェットヘッドに用いる圧電セラミックスの製造方法であって、
前記仮焼粉は(Ni1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより製造することを特徴とする圧電セラミックス仮焼粉製造方法。 - 請求項1に記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電セラミックス主成分がPb(Mg1/3Nb2/3)O3−PbZrO3−PbTiO3で記述される三成分系圧電セラミックスであり、比表面積が7m2/g以上の値を有する仮焼粉を用い、スクリーン印刷後、700〜1050℃の温度範囲にて焼成せしめ、圧電セラミック層が0.3〜5μmの粒組織からなることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項4に記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記仮焼粉は(Mg1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることにより得たものであることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項4に記載されたインクジェットヘッドに用いる圧電セラミックス仮焼粉作製方法であって、
前記仮焼粉は(Mg1/3Nb2/3)O2,(ZrTi)O2複合酸化物を各々水熱合成法,シュウ酸塩法等の化学的粉体合成により製造し、所望する化学量論比に配合した後に酸化鉛を反応させることを特徴とする圧電セラミックス仮焼粉作製方法。 - 請求項4に記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電セラミックスは、前記仮焼粉に焼結助剤としてリチウム,硼素,シリコン,ゲルマニウム,ビスマス,鉛の各種酸化物のうち少なくとも一種以上を添加し、液相焼結せしめた圧電セラミック層であることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項7に記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記焼結助剤の添加量が圧電セラミックス重量に対し4wt%以下の量を添加したものであることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項2,4,5,7のいずれかに記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記電気−機械変換素子の第2の電極またはダイアフラムを形成する前記第1の電極層の材料が白金、及び白金族元素とその酸化物、特にルテニウム,酸化ルテニウム,イリジウム,酸化イリジウム,ロジウム,酸化ロジウムのうち少なくとも一種類以上からなること、または白金との合金からなることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 請求項2,4,5,7のいずれかに記載されたインクジェットヘッドにおいて、
前記ダイアフラム部は、第1に電気−機械変換素子部形成面側の裏面よりシリコン基体をエッチングにより加工し、第2にその反対面に全面または部分的なエッチングを施すことにより、その厚さが制御されたものであることを特徴するインクジェットヘッド。
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