JP3588040B2 - 通信端末装置および基地局装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル移動体通信システムにおいて用いられる適応変調システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディジタル移動体通信システムにおいて、HDR(High Data Rate)等の適応変調システムが提案されている。以下、従来のHDRを用いた通信について、図8を参照して説明する。図8は、HDRを用いた通信に用いられる下り回線のスロットフォーマットを示す模式図である。
【0003】
まず、通信端末装置は、受信信号におけるパイロット(PL1およびPL2)部を復調してSIRを検出する。さらに、通信端末装置は、検出したSIRに基づいて、データ部の受信品質が所望品質を満たすことのできる変調方式が何であるのかを判断し、基地局装置に対して要求する変調方式を決定する。
【0004】
変調方式の決定方法の具体例について、図9を参照して説明する。図9は、従来のHDRを用いた通信における変調方式の決定方法を示す模式図である。図9において、パイロット部のSIRが閾値1よりも低い場合には、通信端末装置において、16QAMや64QAMが適用されたデータを受信しても、データ部の受信品質が所望のBER(10−3)を満たさない。よって、通信端末装置は、基地局装置に対して要求する変調方式として、QPSKを選択する。
【0005】
また、パイロット部のSIRが閾値1と閾値2の間にある場合には、通信端末装置において、16QAMが適用されたデータを受信しても、データ部の受信品質が所望のBERを満たすことができる。よって、通信端末装置は、基地局装置に対して要求する変調方式として、16QAMを選択する。さらに、パイロット部のSIRが閾値2より高い場合には、通信端末装置において、64QAMが適用されたデータを受信しても、データ部の受信品質が所望のBERを満たすことができる。よって、通信端末装置は、基地局装置に対して要求する変調方式として、64QAMを選択する。以上が変調方式の決定方法の具体例である。
この後、通信端末装置は、決定した変調方式を基地局装置に対して通知する。
【0006】
一方、基地局装置は、各通信端末装置から通知された変調方式に基づいてスケジューリングを行い、スケジューリングにより決定された通信端末装置に対して、この通信端末装置から通知された変調方式を適用したデータを送信していく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、移動体通信システムにおいては、通信端末装置が移動することにより、フェージングが発生する。フェージング環境下においては、パイロット部(パイロット信号)の受信品質に変化がなくとも、フェージングのドップラ周波数(fd)によって、データ部(受信データ)の受信品質が劣化する現象が発生する。よって、パイロット部の受信品質とデータ部の受信品質とが大きく異なる。
【0008】
具体的には、図8から明らかなように、パイロット部がスロット中において占める時間は短いので、フェージング環境下であっても、通信端末装置におけるパイロット部の受信品質は良好なものとなる。ところが、データ部がスロット中において占める時間は長いので、フェージング環境下では、通信端末装置により受信されたデータ部にフェージングによる位相回転が生ずる。このため、通信端末装置におけるデータ部の受信品質が劣化する。よって、フェージング環境下においては、通信端末装置におけるパイロット部の受信品質とデータ部の受信品質とが大きく異なる(すなわち、データ部の受信品質は、パイロット部の受信品質を下回る)。
【0009】
この結果、通信端末装置が、パイロット部で測定した受信品質に基づいて、基地局装置に対して要求する変調方式を決定すると、通信端末装置におけるデータ部の受信品質が所望品質を満たせなくなる。
【0010】
以上のように、従来の適応変調システムにおいては、フェージング環境下では、通信端末装置における受信データの品質が所望品質を下回り、高効率かつ高品質なデータ通信を行うことが困難となる問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、フェージング環境下においても受信品質を良好に保つ通信端末装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の通信端末装置は、無線信号を基地局装置から受信する受信手段と、受信された信号の受信品質を検出する受信品質検出手段と、検出された前記受信品質と受信品質の閾値との大小関係に基づいて、伝送レートが互いに異なる複数の変調方式の中から前記無線信号に適用される変調方式を選択する選択手段と、選択された変調方式を要求するためのコマンドを前記基地局装置へ送信する送信手段と、前記受信された信号を用いてドップラ周波数を検出するドップラ周波数検出手段と、を具備し、前記選択手段は、検出された前記ドップラ周波数が大きいほど前記閾値をより大きく設定する構成を採る。
【0012】
この構成によれば、フェージング環境下においても、最も高速な変調方式であり、かつ、通信端末装置における情報信号の品質が所望品質を満たす変調方式を確実に決定することができるので、高品質かつ高効率なデータ通信を行うことができる。
【0013】
本発明の基地局装置は、パイロット部とデータ部とが時間多重された無線信号を基地局装置から受信し、前記パイロット部の受信品質を検出し、検出した前記受信品質に応じて、伝送レートが互いに異なる複数の変調方式の中から前記データ部に適用される変調方式を選択し、選択した変調方式を要求するためのコマンドを前記基地局装置へ送信する通信端末装置、に対して前記無線信号を送信する基地局装置であって、前記コマンドを受信する受信手段と、前記コマンドで要求された変調方式を他の変調方式に変更する変更手段と、前記他の変調方式で前記無線信号を変調する変調手段と、変調された前記無線信号を前記通信端末装置へ送信する送信手段と、受信信号のパイロット部を用いてドップラ周波数を検出する検出手段と、を具備し、前記変更手段は、検出された前記ドップラ周波数が大きいほど伝送レートがより遅い他の変調方式に変更し、フェージングに起因する前記パイロット部と前記データ部との間の特性差を考慮した変調方式の変更を行う構成を採る。
【0014】
この構成によれば、フェージング環境下においても、最も高速な変調方式であり、かつ、通信端末装置における情報信号の品質が所望品質を満たす変調方式を確実に決定することができるので、高品質かつ高効率なデータ通信を行うことができる。さらに、通信端末装置においてドップラ周波数の算出を行う回路が不要となるので、通信端末装置の回路構成が簡単になる。この結果、通信端末装置における消費電力を少なくし、また、通信端末装置を小型化することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、既知参照信号の受信品質とドップラ周波数とに基づいて、情報信号に適用する変調方式を決定することである。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0028】
(実施の形態1)
本実施の形態では、通信端末装置が検出したドップラー周波数に基づいて変調方式を決定する場合について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる基地局装置の構成を示すブロック図である。なお、図1に示す基地局装置は、例えば図8に示したスロットフォーマットを用いて、通信端末装置に対して送信を行うものとする。
【0029】
図1において、受信RF部102は、アンテナ101を介して受信された信号(受信信号)に対して、周波数変換等の所定の無線受信処理を行う。コマンド復調部103は、無線受信処理された受信信号に対して復調処理を行うことにより、通信端末装置により送信されたコマンドを復調する。適応変調部104は、コマンド復調部103により復調されたコマンドに従って決定された変調方式を用いて、送信データに対して適応変調を行う。送信RF部105は、所定の変調がなされたパイロット信号(パイロット信号1「PL1」およびパイロット信号2「PL2」)と、適応変調がなされた送信データとを時間多重することにより送信信号を生成し、生成された送信信号に対して周波数変換等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理された送信信号をアンテナ101を介して送信する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態1にかかる通信端末装置の構成を示すブロック図である。図2において、受信RF部202は、アンテナ201を介して受信された信号(受信信号)に対して、周波数変換等の所定の無線受信処理を行う。
【0031】
適応復調部204は、無線受信処理された受信信号を用いてデータ部の復調を行う。PL復調部203は、無線受信処理された受信信号を用いてパイロット信号の復調を行う。SIR検出部205は、PL復調部203により復調されたパイロット信号を用いて受信品質(例えばSIR等)を検出する。fd検出部206は、PL復調部203により復調されたパイロット信号を用いてfd(ドップラ周波数)を検出する。
【0032】
要求変調方式決定部207は、SIR検出部205により検出されたパイロット信号の受信品質と、fd検出部206により検出されたfdとを用いて、基地局装置に対して要求する変調方式(例えば、QPSK、16QAM、64QAM等)を決定する。なお、変調方式の決定方法については後述する。
【0033】
コマンド生成部208は、要求変調方式決定部207により決定された変調方式に対応するコマンドを生成する。変調部209は、コマンド生成部208により生成されたコマンドを変調する。送信RF部210は、変調部209により変調されたコマンドに対して周波数変換等の所定の無線送信処理を行い、無線送信処理されたコマンドをアンテナ201を介して送信する。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態1にかかる通信端末装置におけるfd検出部206の構成を示すブロック図である。図3において、図2におけるPL復調部203により復調されたパイロット信号のうち、「PL1」がPL1チャネル推定部301に出力され、「PL2」がPL2チャネル推定部302に出力される。
【0035】
PL1チャネル推定部301は、復調された「PL1」のチャネル推定を行う。PL2チャネル推定部302は、復調された「PL2」のチャネル推定を行う。
【0036】
角度差検出部303は、PL1チャネル推定部301からのチャネル推定結果と、PL2チャネル推定部302からのチャネル推定結果とを用いて、両チャネル推定結果の間の角度差θを算出する。
【0037】
fd算出部304には、図8に示すスロットフレームにおける「PL1」と「PL2」との時間差を示す情報(以下「時間差情報」という。)が入力されている。このfd算出部304は、時間差情報と、角度差検出部303からの角度差θとを用いて、ドップラ周波数を検出する。
【0038】
次いで、上記構成を有する通信端末装置および基地局装置の動作を説明する。まず、図1に示す基地局装置において、送信RF部105では、所定の変調がなされたパイロット信号(「PL1」および「PL2」)と、適応変調がなされた送信データとが、図8に示すように、時間多重されることにより、送信信号が生成される。なお、適応変調がなされた送信データの詳細については後述する。生成された送信信号は、所定の無線送信処理がなされた後、アンテナ101を介して送信される。
【0039】
基地局装置により送信された信号は、アンテナ201を介して図2に示す通信端末装置に受信される。図2において、アンテナ201を介して受信された信号(受信信号)は、受信RF部202により、所定の無線受信処理がなされる。無線受信処理された受信信号のうちデータ部(図8参照)に対応する信号は、適応復調部204に出力され、また、無線受信処理された受信信号のうちパイロット信号に対応する信号は、PL復調部203に出力される。
【0040】
PL復調部203では、受信RF部202からの受信信号に対する復調処理が行われる。これにより、パイロット信号1「PL1」およびパイロット信号2「PL2」が復調される。復調された「PL1」および「PL2」は、SIR検出部205およびfd検出部206に出力される。
【0041】
SIR検出部205では、PL復調部203により復調された「PL1」および「PL2」を用いて、受信品質が検出される。検出された受信品質は、要求変調方式決定部207に出力される。
【0042】
fd検出部206では、PL復調部203により復調された「PL1」および「PL2」を用いて、fd(ドップラ周波数)が検出される。fd検出の具体例について、図3に加えて図4を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態1にかかる通信端末装置におけるfd検出部206によるfd検出方法の様子を示す模式図である。
【0043】
図3を参照するに、PL復調部203により復調された「PL1」は、PL1チャネル推定部301に入力され、また、PL復調部203により復調された「PL2」は、PL2チャネル推定部302に入力される。
【0044】
PL1チャネル推定部301では、復調された「PL1」のチャネル推定がなされる。PL2チャネル推定部302では、復調された「PL2」のチャネル推定がなされる。PL1チャネル推定部301およびPL2チャネル推定部302によるチャネル推定の結果は、角度差検出部303に出力される。
【0045】
角度差検出部303では、図4に示すように、「PL1」のチャネル推定結果と「PL2」のチャネル推定結果との間の角度差θが算出される。算出された角度差θはfd算出部304に出力される。
【0046】
fd算出部304では、角度差検出部303により算出された角度差θと、時間差情報とを用いて、フェージング変動が検出され、ドップラ周波数(fd)が算出される。算出されたfdは要求変調方式決定部207に出力される。
【0047】
要求変調方式決定部207では、SIR検出部205により検出されたパイロット信号の受信品質と、fd検出部206により検出されたfdとを用いて、基地局装置に対して要求する変調方式が決定される。変調方式としては、本通信端末装置におけるデータ部の受信品質が所望品質を満たし、かつ、最も高速な変調方式が決定される。以下、要求する変調方式の具体的な決定方法について、さらに図5を参照して説明する。
【0048】
図5は、本発明の実施の形態1にかかる通信端末装置における要求変調方式決定部207における変調方式の決定方法の一例を示す模式図である。図5においては、基地局装置が送信データに例えばQPSK方式、16QAM方式および64QAM方式のそれぞれを適用したときに、例えばfdが高い場合とfdが低い場合のそれぞれについて、通信端末装置におけるパイロット信号の受信品質(SIR)に対する受信データの品質(誤り率特性:BER)の関係が示されている。
【0049】
図5から明かなように、fdが低い場合とfdが高い場合とでは、通信端末装置がパイロット信号を同じ品質で受信しても、受信データの特性に差がみられる。すなわち、fdが高い場合の受信データの特性は、fdが低い場合の受信データの特性よりも劣化する。このように、fdが変化すると、パイロット信号の受信品質が同じであっても、受信データの特性が大きく変化する。
【0050】
そこで、本実施の形態では、fdの大きさに応じて用意した閾値を用いて、変調性式を決定する。すなわち、例えばfdが高い場合とfdが低い場合のそれぞれに対して、閾値1および閾値2を用意する。
【0051】
fdが高い場合においては、パイロット信号の受信品質が閾値1(fd高)よりも低いときには、QPSK変調方式を選択し、パイロット信号の受信品質が閾値1(fd高)と閾値2(fd高)の間にあるときには、16QAM変調方式を選択し、また、パイロット信号の受信品質が閾値2(fd高)より高いときには、64QAM変調方式を選択する。逆に、fdが低い場合においては、パイロット信号の受信品質が閾値1(fd低)よりも低いときには、QPSK変調方式を選択し、パイロット信号の受信品質が閾値1(fd低)と閾値2(fd低)の間にあるときには、16QAM変調方式を選択し、また、パイロット信号の受信品質が閾値2(fd低)より高いときには、64QAM変調方式を選択する。
【0052】
ここで、上記閾値は、次のようにして設定することが可能である。すなわち、まず、fdが高い場合とfdが低い場合のそれぞれについて、パイロット信号の受信品質に対する受信データ(QPSK、16QAMや64QAM等が適用された際の受信データ)の特性を求める。さらに、fdが高い場合とfdが低い場合のそれぞれにおいて、16QAM変調方式が適用された際における受信データの特性が、所望品質を満たすのに最低限必要なパイロット信号の受信品質を閾値1とし、64QAM変調方式が適用された際における受信データの特性が、所望品質を満たすのに最低限必要なパイロット信号の受信品質を閾値2とする。
【0053】
なお、本実施の形態では、fdが低い場合とfdが高い場合のそれぞれに応じて、変調方式を決定する場合について説明したが、本発明は、3種類以上のfdに応じて、変調方式を決定する場合についても適用可能なものである。この場合においても、上述したような方法で閾値を設定することが可能である。
【0054】
このように変調方式を選択することは、検出したドップラ周波数を用いて、パイロット信号と受信データとの間における特性差を推定し、この特性差を考慮して変調方式を選択することに相当する。以上が、要求変調方式決定部207による変調方式の具体的な決定方法である。
【0055】
以上のようにして決定された変調方式は、コマンド生成部208に通知される。コマンド生成部208では、要求変調方式決定部207により決定された変調方式に対応するコマンドが生成される。コマンド生成部208により生成されたコマンドは、変調部209により変調され、送信RF部210により所定の無線送信処理がなされた後、アンテナ201を介して送信される。なお、適応変調部204における動作については後述する。
【0056】
通信端末装置により送信された信号は、アンテナ101を介して図1に示す基地局装置により受信される。図1において、アンテナ101を介して受信された信号(受信信号)は、受信RF部102により、所定の無線受信処理がなされる。無線受信処理された受信信号は、コマンド復調部103により復調される。これにより、通信端末装置により送信されたコマンドが復調される。復調されたコマンドは、適応変調部104に出力される。
【0057】
適応変調部104では、コマンド復調部103からのコマンドに従って決定された変調方式を用いて、通信端末装置への送信データに対する適応変調がなされる。適応変調された送信データは、送信RF部105に出力される。以後、上述したように、送信RF部105において、所定の変調がなされたパイロット信号と適応変調された送信データとが時間多重されることにより、送信信号が生成されて、生成された送信信号は、所定の無線送信処理されてアンテナ101を介して送信される。
【0058】
基地局装置により送信された信号は、上述したように、アンテナ201を介して図2に示す通信端末装置により受信される。上述したように、受信RF部202により無線受信処理された受信信号のうちデータ部(図8参照)に対応する信号は、適応復調部204に出力され、また、無線受信処理された受信信号のうちパイロット信号に対応する信号は、PL復調部203に出力される。PL復調部203における動作については、上述した通りである。
【0059】
適応復調部204では、受信RF部202により無線受信処理された受信信号に対して、図1に示した基地局装置における適応変調部104で用いられた変調方式に対応する復調方式による復調処理がなされる。これにより受信データが得られる。
【0060】
このように、本実施の形態においては、パイロット信号を用いてドップラ周波数を検出し、検出したドップラ周波数およびパイロット信号の受信品質を用いて、フェージング環境下における受信データの受信品質を推定し、さらに、推定した受信データの受信品質に基づいて、基地局装置に要求する変調方式を決定している。すなわち、検出したドップラ周波数を用いて、パイロット信号と受信データとの間における特性差を推定し、この特性差を考慮して、基地局装置に要求する変調方式を決定している。
【0061】
これにより、フェージング環境下においても、最も高速な変調方式であり、かつ、通信端末装置における受信データの品質が所望品質を満たす変調方式を確実に決定することができるので、高品質かつ高効率なデータ通信を行うことができる。
【0062】
なお、本実施の形態では、説明の簡略化のために、1つの通信端末装置が、ドップラ周波数に基づいて変調方式を決定して、決定した変調方式を基地局装置に報知し、また、基地局装置が、この通信端末装置に報知された変調方式を適用した送信データを、この通信端末装置に送信する場合を例にとり説明したが、本発明は、複数の通信端末装置に対して送信データを送信する場合においても適用可能なものである。
【0063】
すなわち、本発明は、複数の通信端末装置が同様に変調方式を決定し、決定した変調方式を基地局装置に報知し、また、基地局装置が、各通信端末装置から報知された変調方式に基づいて、いずれの通信端末装置から送信データを送信するかを決定(スケジューリング)し、スケジューリングに従って通信端末装置に対して送信データを送信する場合においても適用可能なものである。この場合、基地局装置は、ある通信端末装置に対して送信データを送信する際には、この通信端末装置に報知された変調方式を送信データに適用することはいうまでもない。
【0064】
また、本実施の形態では、下り回線のスロットフォーマットとして図8に示したものを用いる場合を例にとり説明したが、本発明は、これに限定されず、図8に示したもの以外のスロットフォーマットを適用することが可能であることは、いうまでもない。具体的には、適用可能なスロットフォーマットとは、データ部(情報信号を送信するための部分)と、パイロット部(既知参照信号を送信するための部分)と、が時間多重されたスロットフォーマットに相当する。なお、fdを検出することが可能である限り、各パイロット部間の時間差、さらには1スロットにおけるパイロット部の数については特別な限定はない。
【0065】
(実施の形態2)
本実施の形態では、基地局装置が受信信号を用いてドップラ周波数を検出し、検出したドップラ周波数、および、通信端末装置により報知された変調方式に基づいて、通信端末装置に対する送信データに適用する変調方式を決定する場合について説明する。
【0066】
上記実施の形態1では、通信端末装置がfdを検出している。しかし、fdというのは、通信端末装置の移動速度によってのみ決まるものであるので、基地局装置は、上り信号のfdを検出することにより、下り信号のfdを検出することが可能である。そこで、本実施の形態では、通信端末装置ではなく基地局装置がfdの検出を行う。
【0067】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる基地局装置の構成を示すブロック図である。なお、図6における実施の形態1(図1)と同様の構成については、図1におけるものと同一の符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0068】
図6において、fd検出部601は、受信RF部102により無線受信処理された受信信号を用いて、fdを検出する。なお、fd検出部601は、fdを検出するための受信信号として、通信端末装置により送信されたいかなる信号を用いることが可能である。
【0069】
補正部602は、コマンド復調部103により復調されたコマンドを用いて、通信端末装置により報知された変調方式を認識し、また、認識した変調方式およびfd検出部601により検出されたfdを用いて、通信端末装置に対する送信データに適用する変調方式を決定する。適応変調部603は、補正部602により決定された変調方式を用いて、送信データに対して適応変調を行う。
【0070】
図7は、本発明の実施の形態2にかかる通信端末装置の構成を示すブロック図である。なお、図7における実施の形態1(図2)と同様の構成については、図2におけるものと同様の符号を付して、詳しい説明を省略する。
【0071】
図7において、要求変調方式決定部701は、SIR検出部205により検出されたパイロット信号の受信品質を用いて、基地局装置に対して要求する変調方式を決定する。
【0072】
適応復調部702は、図6における適応変調部603に用いられた変調方式に対応する復調方式を用いて復調処理を行う点を除いて、実施の形態1(図2)における適応復調部204と同様の構成を有する。
【0073】
次いで、上記構成を有する通信端末装置および基地局装置の動作を説明する。なお、本実施の形態における実施の形態1と同様の動作については省略する。まず、図7に示す通信端末装置において、要求変調方式決定部701では、SIR検出部205により検出されたパイロット信号の受信品質を用いて、基地局装置に対して要求する変調方式が決定される。変調方式としては、本通信端末装置におけるデータ部の受信品質が所望品質を満たし、かつ、最も高速な変調方式が決定される。決定された変調方式は、上述したように、コマンド生成部208に報知される。
【0074】
次に、図6に示す基地局装置において、受信RF部102により無線受信処理された受信信号は、コマンド復調部103およびfd検出部601に出力される。コマンド復調部103では、実施の形態1で説明したような処理がなされて、通信端末装置により送信されたコマンドが復調される。
【0075】
fd検出部601では、無線受信処理された受信信号を用いて、fdが検出される。具体的なfdの検出方法としては、実施の形態1におけるfd検出部206におけるものと同様のものを用いることが可能である。検出されたfdは、補正部602に通知される。
【0076】
補正部602では、検出されたfdに基づいて、コマンド復調部103により復調されたコマンド(すなわち、通信端末装置により報知された変調方式)に対する補正がなされる。具体的には、例えば、fdが高い場合には、通信端末装置により報知された変調方式が16QAMであったとしても、この通信端末装置に対する送信データに適用する変調方式として、16QAMよりも1段階伝送レートの遅い変調方式が設定される。なお、fdの大きさに応じて、通信端末装置により報知された変調方式よりも2段階以上遅い変調方式を設定するようにしてもよい。補正部602により設定された変調方式は、適応変調部603に通知される。
【0077】
適応変調部603では、補正部602により設定された変調方式を用いて、通信端末装置への送信データに対する適応変調がなされる。適応変調された送信データは、実施の形態1で説明したように、送信RF部105に出力される。
【0078】
この後、図7に示す通信端末装置において、適応復調部702では、受信RF部202により無線受信処理された受信信号に対して、図6に示した基地局装置における適応変調部603で用いられた変調方式に対応する復調方式による復調処理がなされる。これにより受信データが得られる。
【0079】
このように、本実施の形態においては、基地局装置は、通信端末装置により送信された信号を用いてドップラ周波数を検出し、検出したドップラ周波数に応じて、パイロット信号の受信品質のみに基づいて通信端末装置により決定された変調方式(の候補)を(伝送レートのより遅い変調方式に)変更し、変更した変調方式を適用した送信データを通信端末装置に送信する。すなわち、基地局装置は、検出したドップラ周波数を用いて、通信端末装置におけるパイロット信号と受信データとの間における特性差を推定し、この推定差を考慮して、通信端末装置への送信データに適用する変調方式を決定している。
【0080】
これにより、フェージング環境下においても、最も高速な変調方式であり、かつ、通信端末装置における受信データの品質が所望品質を満たす変調方式を確実に決定することができるので、高品質かつ高効率なデータ通信を行うことができる。さらに、通信端末装置においてドップラ周波数の算出を行う回路が不要となるので、通信端末装置の回路構成が簡単になる。この結果、通信端末装置における消費電力を少なくし、また、通信端末装置を小型化することができる。
【0081】
なお、上記実施の形態1では、通信端末装置が、一例として、基地局装置により送信データに時間多重された送信された2つのパイロット信号を用いて、fdを検出する場合について説明したが、通信端末装置は、基地局装置により送信されたいかなる信号(パイロット信号以外の信号でもよい)を用いてもfdを検出することが可能である。例えば、通信端末装置は、基地局装置により送信データに符号多重または時間多重されて送信されたパイロット信号(1つであっても複数であってもよい)を用いても、fdを検出することが可能である。
【0082】
同様に、上記実施の形態2では、基地局装置が、通信端末装置により送信された信号を用いて、fdを検出する場合について説明したが、上記と同様に、基地局装置は、通信端末装置により送信データ等に符号多重または時間多重されて送信されたいかなる信号を用いても、fdを検出することが可能である。
【0083】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、既知参照信号の受信品質とドップラ周波数とに基づいて、情報信号に適用する変調方式を決定するするので、フェージング環境下においても受信品質を良好に保つ通信端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる基地局装置の構成を示すブロック図
【図2】上記実施の形態1にかかる通信端末装置の構成を示すブロック図
【図3】上記実施の形態1にかかる通信端末装置におけるfd検出部の構成を示すブロック図
【図4】上記実施の形態1にかかる通信端末装置におけるfd検出部によるfd検出方法の様子を示す模式図
【図5】上記実施の形態1にかかる通信端末装置における要求変調方式決定部における変調方式の決定方法の一例を示す模式図
【図6】本発明の実施の形態2にかかる基地局装置の構成を示すブロック図
【図7】上記実施の形態2にかかる通信端末装置の構成を示すブロック図
【図8】HDRを用いた通信に用いられる下り回線のスロットフォーマットを示す模式図
【図9】従来のHDRを用いた通信における変調方式の決定方法を示す模式図
【符号の説明】
103 コマンド復調部
104,603 適応変調部
105,210 送信RF部
102,202 受信RF部
203 PL復調部
204,702 適応復調部
205 SIR検出部
206,601 fd検出部
207,701 要求変調方式決定部
208 コマンド生成部
602 補正部
Claims (3)
- 無線信号を基地局装置から受信する受信手段と、
受信された信号の受信品質を検出する受信品質検出手段と、
検出された前記受信品質と受信品質の閾値との大小関係に基づいて、伝送レートが互いに異なる複数の変調方式の中から前記無線信号に適用される変調方式を選択する選択手段と、
選択された変調方式を要求するためのコマンドを前記基地局装置へ送信する送信手段と、
前記受信された信号を用いてドップラ周波数を検出するドップラ周波数検出手段と、を具備し、
前記選択手段は、検出された前記ドップラ周波数が大きいほど前記閾値をより大きく設定する、
ことを特徴とする通信端末装置。 - 前記無線信号は、パイロット部とデータ部とが時間多重された信号であり、
前記受信品質検出手段は、前記パイロット部の受信品質を検出し、
前記ドップラ周波数検出手段は、前記パイロット部を用いてドップラ周波数を検出し、
前記選択手段は、検出された前記ドップラ周波数が大きいほど前記閾値をより大きく設定し、フェージングに起因する前記パイロット部と前記データ部との間の特性差を考慮して前記データ部に適用される変調方式を選択する、
ことを特徴とする請求項1記載の通信端末装置。 - パイロット部とデータ部とが時間多重された無線信号を基地局装置から受信し、前記パイロット部の受信品質を検出し、検出した前記受信品質に応じて、伝送レートが互いに異なる複数の変調方式の中から前記データ部に適用される変調方式を選択し、選択した変調方式を要求するためのコマンドを前記基地局装置へ送信する通信端末装置、に対して前記無線信号を送信する基地局装置であって、
前記コマンドを受信する受信手段と、
前記コマンドで要求された変調方式を他の変調方式に変更する変更手段と、
前記他の変調方式で前記無線信号を変調する変調手段と、
変調された前記無線信号を前記通信端末装置へ送信する送信手段と、
受信信号のパイロット部を用いてドップラ周波数を検出する検出手段と、を具備し、
前記変更手段は、検出された前記ドップラ周波数が大きいほど伝送レートがより遅い他の変調方式に変更し、フェージングに起因する前記パイロット部と前記データ部との間の特性差を考慮した変調方式の変更を行う、
ことを特徴とする基地局装置。
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