JP2023084807A - 光源、光源装置、光源の駆動方法、ラマン増幅器、およびラマン増幅システム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、光源、光源装置、光源の駆動方法、ラマン増幅器、およびラマン増幅システムに関する。
これまで光ファイバ通信において、エルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)を用いて、伝送距離、伝送容量の拡大が成されてきた。しかし現在では、EDFAだけでなくラマン増幅を活用し、両者を有効に組み合せることが必要不可欠な技術となっている。現在、ラマン増幅として主に用いられているのは、ラマン増幅用の光ファイバに対して、信号光の伝搬方向と反対の方向に伝搬するように励起光を入射する後方励起ラマン増幅である。しかし、次世代に向けた更なる高速化(800Gb/s)、長距離化(1000km伝送)、広帯域化(L、S-bandの活用)のためには、前方励起ラマン増幅と呼ばれる、ラマン増幅用の光ファイバに対して信号光の伝搬方向と同一方向に伝搬するように励起光を入射する方式を、後方励起ラマン増幅と同時に用いることが鍵となっている。この方式は、双方向励起ラマン増幅と呼ばれる。なお、波長多重励起方式を用いることにより後方励起ラマン増幅のみでもラマン利得の平坦化、広帯域化は達成できるが、双方向励起ラマン増幅を利用しないと雑音指数(NF)の平坦化が達成できないことが報告されている(非特許文献13、14)。
前方励起においては、相対強度雑音(Relative Intensity Noise:RIN)が小さい励起光源が必要である。その理由を以下に示す。
RINとは、レーザ光の微小な強度変動成分を全光出力で規格化した指標である。ラマン増幅という現象は、利得を生み出す励起準位の寿命が短い(≒数fsec)ため、励起光源に強度雑音があるとそのまま増幅過程を通じて信号光の雑音となってしまう。EDFAでは励起準位の寿命が長い(≒10msec)ためこのようなおそれはなかった。ラマン増幅は、単位長さ当たりの利得がEDFAに比べて非常に小さいが、前方励起ラマン増幅では、信号光と励起光とが長距離にわたって光ファイバ中を一緒に伝播することにより、徐々に励起光の雑音が信号光の雑音として乗り移る。これをRINトランスファーと呼ぶ。後方励起ラマン増幅では、信号光と励起光が対向しているので、ある雑音成分を持った励起光と信号光が交差する時間が短く、励起光の雑音が信号光に与える影響は少ない。また、励起光の雑音はランダムであるため、信号光が影響を受けたとしても対向して進むうちに平均化される。以上のことから分かるように、前方励起ラマン増幅では、RINトランスファーが低いという特性が要求され、特に信号光と励起光の群速度差が小さく、平行して光ファイバ内を伝送する時間が長くなる分散シフトファイバ(DSF)やノンゼロ分散シフトファイバ(NZDSF)などでは、このRINトランスファーの低減は重要である(非特許文献1、3、4)。NZDSFは、たとえば国際通信連合(ITU)のITU-T G.655規格に準拠する光ファイバである。
RINとは、レーザ光の微小な強度変動成分を全光出力で規格化した指標である。ラマン増幅という現象は、利得を生み出す励起準位の寿命が短い(≒数fsec)ため、励起光源に強度雑音があるとそのまま増幅過程を通じて信号光の雑音となってしまう。EDFAでは励起準位の寿命が長い(≒10msec)ためこのようなおそれはなかった。ラマン増幅は、単位長さ当たりの利得がEDFAに比べて非常に小さいが、前方励起ラマン増幅では、信号光と励起光とが長距離にわたって光ファイバ中を一緒に伝播することにより、徐々に励起光の雑音が信号光の雑音として乗り移る。これをRINトランスファーと呼ぶ。後方励起ラマン増幅では、信号光と励起光が対向しているので、ある雑音成分を持った励起光と信号光が交差する時間が短く、励起光の雑音が信号光に与える影響は少ない。また、励起光の雑音はランダムであるため、信号光が影響を受けたとしても対向して進むうちに平均化される。以上のことから分かるように、前方励起ラマン増幅では、RINトランスファーが低いという特性が要求され、特に信号光と励起光の群速度差が小さく、平行して光ファイバ内を伝送する時間が長くなる分散シフトファイバ(DSF)やノンゼロ分散シフトファイバ(NZDSF)などでは、このRINトランスファーの低減は重要である(非特許文献1、3、4)。NZDSFは、たとえば国際通信連合(ITU)のITU-T G.655規格に準拠する光ファイバである。
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ラマン増幅は、EDFAによる光増幅と比べると励起効率に劣るので、十分な利得を得るためには高出力な励起光源が必要である。そのため、出力が数百mW以上のファブリぺロー(FP)型のレーザが広く実用化されてきたが、FP型のレーザはRINトランスファーが大きく、前方励起には不向きであるとされている(非特許文献3、4、5)。
これに対して、RINトランスファーを抑えるため、前方励起ラマン増幅の励起光源としては、インコヒーレント光である、半導体光増幅器(Semiconductor Optical AmplifierSOA)のASE(Amplified Spontaneous Emission)光を用いることが有効であるとされている(特許文献2、3、非特許文献3、5)。
今後の800Gbpsを超える超高速・大容量伝送では、システム全体のOSNR(Optical Signal to Noise Ratio)を大きく改善するため、前方励起によるラマン利得が、たとえば7dB以上、さらには10dB以上であることが望ましい。そこで、たとえば、縦続接続されたSOAを偏波多重、波長多重した構成で高出力を実現した事例が報告されている(非特許文献5)。
小型で低コストなSOAのASE光は、確かに有力候補であるが、高出力を実現しようとすると、SOAの両端面での光の反射に起因するリップル(ripple)が発生することが知られている(特許文献4、5、6)。
非特許文献3によれば、広帯域なインコヒーレント光を前方励起ラマン増幅に用いた場合、平均化効果によりRINトランスファーは抑制される。ここで、非特許文献3では、留意すべき点として、当該平均化効果を得るためには、ファブリーペロー発振による多数の縦モード(すなわちリップル)が存在してはならない、という点を挙げている。したがって、前方励起ラマン増幅におけるインコヒーレント光励起の優位性を活かすためには、当該インコヒーレント光において、高出力で、かつリップルが抑制されていることが好ましい。
ここで、SOAにおいては、リップルは、両端面間でファブリーペロー共振器が形成されることにより発生する。したがって、両端面での反射率がゼロであればリップルは発生しない。しかし、SOAの両端面の反射率をゼロにすることは実用上不可能である。そこで、いかにリップルを抑制するかは重要な課題である。従来は、(1)無反射コート、(2)斜め導波路構造、(3)窓構造などが、リップルの抑制のために用いられてきた。しかし、好ましいラマン増幅用励起光源は、数百mW以上の高出力であるため、わずかな反射があってもリップルが発生し得る。また、ASE光はスペクトル幅が約数十nmと広いが、この広いスペクトル幅に渡って低い反射率の無反射処理を実現するのは容易では無い。これに対して、たとえば、特許文献5では、SOA後端面後方にミラーを設け、無反射コート端面反射率の要求条件を緩和する手法が示されている。
一方、半導体レーザを、発振閾値より十分に大きな駆動電流領域、すなわち飽和状態で定電流駆動すると、低周波側の雑音を抑制できることが知られている(非特許文献2)。同様に、大きなインコヒーレント光が入力し飽和状態にあるSOAから出力されるASE光では、低周波側のRINが抑制されることが知られている(特許文献1、非特許文献6、7、8)。
また、非特許文献3、4によると、RINトランスファーは低周波側で起こりやすく、高周波側はカットされる。すなわちRINトランスファーにはカットオフ周波数が存在する。したがって、飽和状態にあるSOAのASE光において低周波側のRINが抑制されるという特性は、RINトランスファーによる伝送特性劣化を抑える観点から極めて有益である。
非特許文献8のFig.2、Fig.3には、飽和状態のSOAにおいて駆動電流(seed電流、booster電流)を増やすことによってRIN抑制が大きくなることが示されている。しかしながら、SOAの駆動電流を大きくすると、光出力は大きくなるが、リップルも大きくなる。また、実際のラマン増幅システムでは、励起光源出力を変化させてラマン増幅利得を制御する。したがって、SOAの光出力を変化させても、RIN抑制に影響を与えず、リップルを小さく抑えることのできる手法、手段が望まれる。
以上をまとめると、ラマン増幅用インコヒーレント励起光源としては、小型、低コストの観点からSOAのASE光が有力候補であるが、以下の相反する課題を同時に解決するものが望ましい。
(1)高出力。
(2)励起光源の広い動作範囲、出力範囲においてSOA端面反射に起因するリップルが抑制されている。
(3)励起光源の広い動作範囲、出力範囲において、RINが抑制されている。
(4)低消費電力。
(1)高出力。
(2)励起光源の広い動作範囲、出力範囲においてSOA端面反射に起因するリップルが抑制されている。
(3)励起光源の広い動作範囲、出力範囲において、RINが抑制されている。
(4)低消費電力。
これらの課題を同時に解決する手段としては、比較的低出力のSOAのASE光をFP発振型のラマン増幅用励起レーザで2次増幅する方法が提案されている(特許文献7、非特許文献9、10、11、12)。当該方法は、より高利得が必要な長距離大容量ラマン増幅伝送システムでは有効な手段である。しかしながら、メトロ伝送システムように比較的短距離のシステムで場合は、システムの簡素化、低コスト化、低消費電力化の観点から2次励起を必要としないSOAのASE光による直接励起が望まれるところである。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、RINとリップルとが同時に抑制される光源、光源装置、光源の駆動方法、ならびにこれを用いたラマン増幅器およびラマン増幅システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、所定の帯域を有するインコヒーレントなシード光を出力するシード光源と、第1端面から入力された前記シード光を光増幅し、増幅光として第2端面から出力する半導体光増幅器であるブースター増幅器と、を備え、前記ブースター増幅器は、前記増幅光において、相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制されるように、屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが設定されている光源である。
前記チップ長Lが1mm以上であるものでもよい。
前記チップ長Lが1.5mm以上であるものでもよい。
前記チップ長Lが2mm以上であるものでもよい。
前記増幅光において前記相対強度雑音(RIN)および前記リップルが同時に抑制される駆動電流にて、前記シード光源と前記ブースター増幅器とが駆動されるものでもよい。
利得飽和状態で動作するように前記ブースター増幅器が駆動されるものでもよい。
前記増幅光のパワーが最大に近くなる程度のパワーの前記シード光を出力する駆動電流にて、前記シード光源が駆動されるものでもよい。
前記シード光源は、SLD(Super Luminescent Diode)、半導体光増幅器および希土類添加光ファイバを備えたASE(Amplified Spontaneous Emission)光源の少なくとも一つを含むものでもよい。
前記ブースター増幅器が出力する前記増幅光のパワーは100mW以上であるものでもよい。
前記ブースター増幅器の前記第1端面の端面反射率および前記第2端面の端面反射率が10-3と10-5との間の範囲であるものでもよい。
本発明の一態様は、前記光源と、前記光源を駆動する駆動装置と、を備える光源装置である。
本発明の一態様は、所定の帯域を有するインコヒーレントなシード光を出力するシード光源と、第1端面から入力された前記シード光を光増幅し、増幅光として第2端面から出力する半導体光増幅器であるブースター増幅器と、を備える光源の駆動方法であって、前記ブースター増幅器は、前記増幅光において相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制されるように、屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが設定されており、前記増幅光において相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制される駆動電流にて、前記シード光源と前記ブースター増幅器とを駆動させる光源の駆動方法である。
本発明の一態様は、前記光源と、前記増幅光が励起光として入力されるラマン増幅用光ファイバと、を備えるラマン増幅器である。
本発明の一態様は、前記光源と、前記増幅光が励起光として入力されるラマン増幅用光ファイバと、を備えるラマン増幅システムである。
本発明によれば、RINとリップルとが同時に抑制される光源、光源装置、光源の駆動方法、ならびにこれを用いたラマン増幅器およびラマン増幅システムが提供される。
以下に、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には適宜同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略している。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る光源装置の模式図である。この光源装置100は、光源モジュール10と、駆動装置101、102とを備えている。光源モジュール10は光源の一例である。
図1は、実施形態1に係る光源装置の模式図である。この光源装置100は、光源モジュール10と、駆動装置101、102とを備えている。光源モジュール10は光源の一例である。
光源モジュール10は、SOAであるシード光源11と、光アイソレータ12と、SOAであるブースター増幅器13と、光アイソレータ14と、出力光ファイバ15を備える。シード光源11と、光アイソレータ12と、ブースター増幅器13と、光アイソレータ14とは、光ファイバや光学素子などによってこの順番で光学的に縦続接続している。
シード光源11は、所定の帯域を有するインコヒーレントなシード光L1を出力する。インコヒーレント光とは、単一または複数の離散的なモード(縦モード)で発振するレーザ光源ではなく、連続的なスペクトルを持った無相関な光子の集合からなる光を意味する。所定の帯域は特に限定されないが、たとえば波長帯域として25nm以上などの広帯域が好ましい。光アイソレータ12は、シード光L1を透過してブースター増幅器13に入力させるとともに、ブースター増幅器13側から進行してきた戻り光がシード光源11に入力するのを阻止する。光アイソレータ12は、戻り光の入力によってシード光源11の動作が不安定になることを防止または低減する。
ブースター増幅器13は、入力されたシード光L1を光増幅し、増幅光L2として出力する。光アイソレータ14は、増幅光L2を透過して出力光ファイバ15に入力させるとともに、出力光ファイバ15側から進行してきた光がブースター増幅器13に入力するのを阻止する。光アイソレータ14は、戻り光の入力によってブースター増幅器13の動作が不安定になることを防止または低減する。
出力光ファイバ15は、増幅光L2を光源モジュール10の外部に導く光ファイバである。増幅光L2は、たとえばラマン増幅用の励起光として使用される。
駆動装置101、102は、公知のSOA用の駆動装置である。駆動装置101はシード光源11に駆動電流C1を供給する。駆動装置102はブースター増幅器13に駆動電流C2を供給する。
図2は、図1に示す光源モジュール10の一部を示す図である。ブースター増幅器13は、互いに対向する第1端面13aと第2端面13bとを有する。ブースター増幅器13は、第1端面13aからシード光L1を入力され、第2端面13bから増幅光L2を外部へ出力する。
第1端面13a、第2端面13bは、AR(Ant-Reflection)コーティングなどの反射低減処理がされている。また、第1端面13a、第2端面13bは、ブースター増幅器13が備える光増幅導波路の光軸に対して傾斜していることによって反射低減処理がされていてもよい。このような構造は、斜め導波路構造とも呼ばれる。
第1端面13aの端面反射率をR1、第2端面13bの端面反射率をR2とすると、R1およびR2は、たとえば10-3と10-5との間の範囲である。または、(R1×R2)1/2は、たとえば10-3と10-5との間の範囲である。10-3と10-5との間の範囲という値は、低反射率という観点で、十分実用的かつ実施可能な数値範囲の一例である。ここで、10-3と10-5との間の範囲とは、上限である10-3と下限である10-5とを含む範囲である。
<光源モジュール10の特性>
光源モジュール10の特性について説明する。図3は、ブースター増幅器の出力光(増幅光)のパワースペクトルの一例を示す図である。図3は、シード光源11に供給する駆動電流C1をIs、ブースター増幅器13に供給する駆動電流C2をIbとすると、Isを50mAに設定し、Ibを800mAに設定した場合を示している。図3の出力光のパワースペクトルは、おおむねガウス型のスペクトル形状をしており、そのFWHM(Full Width Half Maximum)は25nmから30nm程度である。
光源モジュール10の特性について説明する。図3は、ブースター増幅器の出力光(増幅光)のパワースペクトルの一例を示す図である。図3は、シード光源11に供給する駆動電流C1をIs、ブースター増幅器13に供給する駆動電流C2をIbとすると、Isを50mAに設定し、Ibを800mAに設定した場合を示している。図3の出力光のパワースペクトルは、おおむねガウス型のスペクトル形状をしており、そのFWHM(Full Width Half Maximum)は25nmから30nm程度である。
図4は、Ibに対する、ブースター増幅器からの出力光(増幅光)のパワー(Pf)の一例を示す図である。図4では、Isを50mAに設定している。図4の場合、Ibが100mAではPfは20mW程度であり、Ibが800mAではPfは120mW程度であることが分かる。なお、図3、4は、シード光源およびブースター増幅器のそれぞれとして、略同様の特性を有する半導体光増幅器を使用して作製した光源モジュールの例である。
ここで、本発明者らは、図1に示すような光源モジュール10において、ブースター増幅器13の屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが好適に設定されることによって、RINおよびリップルが同時に抑制されている状態を実現できることを発見した。ブースター増幅器13の屈折率nとは、ブースター増幅器13に入力されたシード光が増幅光として出力されるまでに、ブースター増幅器13の中で当該シード光に作用する屈折率のことであって、ブースター増幅器13の活性層の屈折率である。以下では、まずRINの抑制について説明し、つぎにリップルの抑制について説明し、さらにRINの抑制とリップルの抑制との関係について説明する。
<RINの抑制>
図5は、出力光のRINスペクトルの例を示す図である。具体的には、図5は、光源モジュール10の実施例として作製したNo.1~3の光源モジュールからの出力光のRINを測定した結果を示している。なお、No.1~3の光源モジュールは、シード光源およびブースター増幅器のそれぞれとして、略同様の特性を有する半導体光増幅器を使用して作製したものであり、図3、4に示す特性と同等の出力特性を有する。また、No.1~3の光源モジュールについて、端面反射率は、(R1×R2)1/2が10-3と10-5との間の範囲となっていることを確認した。また、図5において、Tsはシード光源のケース温度(25℃)を示し、Tbはブースター増幅器のケース温度(25℃)を示している。
図5は、出力光のRINスペクトルの例を示す図である。具体的には、図5は、光源モジュール10の実施例として作製したNo.1~3の光源モジュールからの出力光のRINを測定した結果を示している。なお、No.1~3の光源モジュールは、シード光源およびブースター増幅器のそれぞれとして、略同様の特性を有する半導体光増幅器を使用して作製したものであり、図3、4に示す特性と同等の出力特性を有する。また、No.1~3の光源モジュールについて、端面反射率は、(R1×R2)1/2が10-3と10-5との間の範囲となっていることを確認した。また、図5において、Tsはシード光源のケース温度(25℃)を示し、Tbはブースター増幅器のケース温度(25℃)を示している。
図5において、「only Ib」とは、ブースター増幅器のみに100mAの駆動電流を供給し、シード光源には駆動電流を供給しない(つまり供給する駆動電流が0mA)の場合を示している。この場合、ブースター増幅器には増幅すべきシード光源が入力されていないので、単なるASE光源として動作している。一方、「Is+Ib」とは、ブースター増幅器に100mAの駆動電流を供給し、シード光源に200mAの駆動電流を供給している場合を示している。
図5から分かるように、「only Ib」の場合は、No.1~3の光源モジュールのいずれにおいても、周波数に対して比較的フラットなRINスペクトルが得られた。このRINは、ASE光源としてのブースター増幅器から出力された出力光(ASE)光におけるASE-ASE間ビート雑音に由来すると考えられる。
これに対して、「Is+Ib」の場合は、No.1~3の光源モジュールのいずれにおいても、特定の周波数fcから低周波数側において、RINが抑制されていることが分かる。なお、「Is+Ib」の場合、シード光源が出力するシード光(ASE光)がブースター増幅器に入力されるために内部の光子数が増加し、ブースター増幅器は利得飽和状態で動作していると考えられる。ここで、注目すべきは、図5では、Ibが100mAという比較的少ない電流であり、ブースター増幅器からの出力光のパワーが比較的小さい駆動状態にもかかわらず、すでにRIN抑制の状態となっていることである。この点については後に詳述する。
図6は、RINが抑制されているスペクトルを模式的に示す図である。
ここで、実施形態における光源モジュールなどの光源から出力される出力光は、SOAのASE光であるから、そのRINはASE-ASE間ビート雑音の大きさで決まるはずである。図6において、線210のレベルがASE-ASE間ビート雑音のレベルである。
ここで、実施形態における光源モジュールなどの光源から出力される出力光は、SOAのASE光であるから、そのRINはASE-ASE間ビート雑音の大きさで決まるはずである。図6において、線210のレベルがASE-ASE間ビート雑音のレベルである。
通常のSOAのASE光のパワースペクトル幅は数十nmであり、周波数で表現すると数THzである。RINの測定帯域は数十GHzと十分に小さいので、RINは以下の式(1)で計算される(非特許文献15)。
RIN=0.66/ΔνASE[Hz-1] ・・・ (1)
ここで、0.66はASE光のパワースペクトルがガウス型である場合の係数であり、ΔνASEは当該パワースペクトルのFWHMである。
RIN=0.66/ΔνASE[Hz-1] ・・・ (1)
ここで、0.66はASE光のパワースペクトルがガウス型である場合の係数であり、ΔνASEは当該パワースペクトルのFWHMである。
たとえば、図3に示した出力光のパワースペクトルはガウス型でそのFWHMは約30nmあるので、上記式(1)を用いるとRINは約-127dB/Hzと計算される。この数値は、図5に示す結果と概ね一致している。
これに対して、利得飽和状態で動作しているSOAのRINは、コーナー周波数(corner frequency)213とも呼ばれるfcよりも低周波数領域211において抑制される。たとえば、線210のレベルから10dBから20dB程度のRIN抑制が報告されている(特許文献1、非特許文献6、8)。なお、線212はショット雑音のレベルである。
本明細書において、RINが抑制されるとは、上記式(1)で計算されるRINよりも10dB以上抑制されることを意味する。RINの抑制の程度は、さらには16dB以下でもよく、またさらには20dB以下でもよい。
<リップルの抑制>
つぎに、リップルの抑制について説明する。具体的には、No.1の光源モジュールと出力特性が同等の光源モジュール(No.4の光源モジュールとする)からの出力光のパワースペクトルを、シード光源とブースター増幅器との駆動条件を変えながら測定した。
つぎに、リップルの抑制について説明する。具体的には、No.1の光源モジュールと出力特性が同等の光源モジュール(No.4の光源モジュールとする)からの出力光のパワースペクトルを、シード光源とブースター増幅器との駆動条件を変えながら測定した。
図7は、Isを0mAとし、Ibを変えたときの出力光のパワースペクトルの例を示す図である。図8は、Isを変えたときの出力光のパワースペクトルの例を示す図である。
図7では、Ibが200mA、800mAのいずれの場合もリップルが発生している。特に、Ibが200mAの場合は、出力光のパワーは約18mW程度と比較的小さいにも関わらずリップルが発生している。また、Isを0mAとした場合には、特にリップルが発生しやすかった。このリップルは、上述したように、SOAの両端面での光の反射に起因するが、ブースター増幅器の端面反射率は、(R1×R2)1/2が10-3と10-5との間の範囲という十分小さい範囲にも関わらずリップルが発生している。このような低駆動電流(低パワー)かつ低反射率にも関わらずリップルが発生しているということは、光出力が場合によっては数百mWにもおよぶラマン増幅用励起光源におけるリップル抑制が、如何に困難であるかを示す一例であるといえる。なお、リップルには、異なる複数の周期の成分が含まれていた。
これに対して、図8に示すように、Ibを800mAに固定しながら、Isを25mAに増加するとリップルが抑制され、Isが50mAではさらに抑制される。しかし、Isをさらに400mAまで増加させると再びリップルが増加する。
図8に示すように、ブースター増幅器にシード光が入力されると、利得飽和状態となり、リップルが抑制される領域がある。このことは、リップルが抑制される程度までブースター増幅器の端面反射率を低くしなくても、ブースター増幅器へ入力するシード光のパワーを制御することによってリップルを抑制できることを示している。なお、SOAのASE光スペクトルは数nmから数十nmと広いので、このような広い帯域をカバーするように端面反射率を低下させる処理(たとえば無反射処理)を施すことは容易ではない。したがって、シード光のパワーを制御することによってリップルを抑制する技術は、ブースター増幅器の端面反射率の設定条件や作製の困難さを緩和することができる技術であり、実用上きわめて有効な技術である。
リップルの抑制は、リップルを小さくするほど好ましい。リップルの大きさは、所定の波長(たとえば1510nm付近)での、パワースペクトル上に現れるリップルの幅(ピークトゥーボトム)の最大値で示される。この場合、リップルは、たとえばリップルの幅がピークトゥーボトムで5dB以下になるように、3dB以下になるように、1dB以下になるように、または0.5dB以下になるように抑制することが好ましい。
したがって、光源としての光源モジュールの駆動方法は、増幅光においてRINおよびリップルが同時に抑制される駆動電流(Is、Ib)にて、シード光源とブースター増幅器とを駆動させることが好ましい。
<RINスペクトルのIs依存性>
つぎに、図7、8にリップル特性を示したNo.4の光源モジュールについて、Is依存性を説明する。
つぎに、図7、8にリップル特性を示したNo.4の光源モジュールについて、Is依存性を説明する。
図9は、Ibに対する出力光のパワー(Pf)のIs依存性の例を示す図である。図9のIs=0mAでの曲線と、図7とを比較すると、Ib=200mAでは、Pfが最大出力である約60mWの約1/3である18mW程度と小さいにもかかわらず、図7のようにリップルが発生していることがわかる。また、Ib=800mAでは、Pfが最大出力に近いが、図7のようにリップルの幅がピークトゥーボトムで10dB以上になっていることがわかる。
一方、図10は、Isを変えたときの出力光のRINスペクトルの例を示す図である。なお、Ibは1000mAに固定した。図10から分かるように、Isが大きくなるほどRINが抑制されている。これは、Isが大きいほどブースター増幅器の利得飽和の度合いが高くなるためと考えられる。
図10において、上記の式(1)に基づいて、ASE-ASE間ビート雑音のレベル(RINASE-ASE beat)を計算すると、-127dB/Hzであった。そこで、Is=40mAのグラフの線を、破線のように高周波側に延長して、その延長線とRINASE-ASE beatのレベル(破線)との交点からコーナー周波数fcを調べたところ、約30GHzであった。なお、Isがその他の値の場合のグラフの線も同様に用いてfcを調べたところ、約30GHzであった。このことから、No.4の光源モジュールでは、少なくとも約30GHzから低周波側でRINが抑制されていることが確認された。
<RINの抑制とリップルの抑制との関係>
本発明者は、RINの抑制とリップルの抑制との関係について、以下のように考察した。図11は、RINの抑制とリップルの抑制との関係の説明図である。図11では、ブースター増幅器13を構成するSOAのチップを示している。SOAのチップ長はLである。SOAの第1端面から入力されたパワーP0のシード光は、当該SOAを伝搬しながら増幅され、利得Gを受けてパワーがGP0の増幅光となり、時間ΔTの経過後に第2端面に到達する。すると、増幅光の一部は第2端面にて反射して、パワーΔP1の第1反射光が第1端面に向かって伝搬する。パワーΔP1の第1反射光は、当該SOAを伝搬しながら増幅され、時間ΔTの経過後に第1端面に到達する。すると、第1反射光の一部は第1端面にて反射して、パワーΔP2の第2反射光として、さらに第2端面に向かって伝搬する。このようにして端面で一部の光が反射して伝搬することにより、反射に起因する光パワーの揺らぎが発生する。この揺らぎがリップルの要因となる。
本発明者は、RINの抑制とリップルの抑制との関係について、以下のように考察した。図11は、RINの抑制とリップルの抑制との関係の説明図である。図11では、ブースター増幅器13を構成するSOAのチップを示している。SOAのチップ長はLである。SOAの第1端面から入力されたパワーP0のシード光は、当該SOAを伝搬しながら増幅され、利得Gを受けてパワーがGP0の増幅光となり、時間ΔTの経過後に第2端面に到達する。すると、増幅光の一部は第2端面にて反射して、パワーΔP1の第1反射光が第1端面に向かって伝搬する。パワーΔP1の第1反射光は、当該SOAを伝搬しながら増幅され、時間ΔTの経過後に第1端面に到達する。すると、第1反射光の一部は第1端面にて反射して、パワーΔP2の第2反射光として、さらに第2端面に向かって伝搬する。このようにして端面で一部の光が反射して伝搬することにより、反射に起因する光パワーの揺らぎが発生する。この揺らぎがリップルの要因となる。
当該光パワーの揺らぎがブースター増幅器13を構成するSOAを往復する時間をτRT(Round Trip Time)と呼ぶこととする。このτRTを周波数で表現すれば、fRT=1/τRTである。以降、fRTをラウンドトリップ周波数と記載する場合がある。
τRTはSOAのチップの長さLと、屈折率nとによって、以下の式(2)で規定される。また、式(2)から式(3)が成り立つ。
τRT=(2nL/c) ・・・ (2)
fRT=1/τRT=(c/2nL) ・・・ (3)
τRT=(2nL/c) ・・・ (2)
fRT=1/τRT=(c/2nL) ・・・ (3)
図12は、ラウンドトリップ周波数がRIN抑制帯域内である場合に、Rippleが抑制されることを示した図である。本発明者は、揺らぎの周波数であるラウンドトリップ周波数fRTがRINの抑圧周波数帯域(RIN suppression area)内であれば、当該揺らぎは抑圧され、リップルの発生が抑えられることを見出した。式(2)、(3)から分かるように、fRTは屈折率nとチップ長Lとに依存する。したがって、ブースター増幅器13は、増幅光においてRINおよびリップルが同時に抑制されるように、屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが設定されていることが好適である。
ここで、No.4の光源モジュールでは、チップ長Lを1.8mmであり、屈折率nは3.5と仮定できる。この場合、fRTは23.8GHzであり、図10に示すようにRINの抑圧周波数帯域の範囲内、すなわちfcより低い周波数である。つまり、nL=3.5×1.8=6.3は、nLの好ましい一例である。
また、屈折率nを3.5とした場合、チップ長LとfRTとの関係の例を表1に示す。チップ長Lは、1mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましく、2mm以上がさらに好ましい。なお、屈折率nは、発振波長や活性層の組成比に依存するので、表1は一例であることに留意すべきである。
RIN抑圧周波数帯域はブースター増幅器13のIbや飽和状態で決まる(非特許文献8)。また、ブースター増幅器13の屈折率はシード光の波長や活性層の組成比などに依存するが、概ね3.2から3.6の範囲にあり、具体的な好適なチップ長Lは、当該RIN抑圧周波数帯域、およびブースター増幅器13の屈折率で決まる。リップル抑制の観点からはLの値に上限は無いが、SOAチップの内部損失や、光源モジュール10全体の大きさも考慮すると、5mm程度以下が好ましい。
このように、リップルはRINの抑圧現象によって抑圧されるが、RINの抑圧によってリップル抑制効果が得られる程度にブースター増幅器13の第1端面13a、第2端面13bの反射率が低いことが当然の前提となる。なお、上記のNo.1~4の光源モジュールにおける当該第1端面、第2端面の反射率は、(R1×R2)1/2が10-3と10-5との間の範囲程度であり、実用上十分に低く処理されている。にもかかわらず、一般にラマン増幅用励起光源は数百mW以上の大きな出力が必要であり、リップルは容易に発生し得る。しかるに、本開示のように、チップ長Lと屈折率nとの積であるnLから導かれるラウンドトリップ周波数をRIN抑圧周波数帯域内にすれば、広く実用化されている端面反射率の範囲内であっても、リップルは抑制される。
つづいて、No.4の光源モジュールと出力特性が同等の光源モジュール(No.11~31の光源モジュールとする)のリップル特性について説明する。図13は、No.11~31の光源モジュールの出力光のパワースペクトルの中心波長を示す図である。なお、中心波長はRMS法を用いて測定したものである。
No.11~31の光源モジュールでは、いずれもブースター増幅器のチップ長が1.8mmである。しかし、図13に示すように、No.25、26の光源モジュールでは、ピーク波長が他の光源モジュールに比べて長い。その理由は、No.25、26の光源モジュールでは、ブースター増幅器の屈折率が比較的低いためである。
図14は、No.11~31の光源モジュールのIsに対するリップルの幅を示す図である。なお、Ibは所定の値に固定している。図14に示すように、No.25、26の光源モジュールでは、リップルの幅が他の光源モジュールに比べて大きい。その理由は、No.25、26の光源モジュールの発振波長は他の光源モジュールの発振波長と比較して長いが、InP系の半導体材料の屈折率は波長と負の相関があるので、ブースター増幅器のnLが他の光源モジュールにおけるnLと比較して小さくなるためと考えられる。
以上に説明したように、実施形態に係る光源装置および光源モジュールは、ブースター増幅器の屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが好適に設定されることによって増幅光においてRINおよびリップルが同時に抑制されているので、ラマン増幅用の励起光源、特に前方励起用の励起光源に適するものであり、特にRINを抑制し、かつRINトランスファーを抑制する点で優れている。
(実施形態2)
図15は、実施形態2に係るラマン増幅器の模式図である。ラマン増幅器1000は、実施形態1の光源モジュール10を励起光源として備える、前方励起型の集中型光増幅器として構成されている。ラマン増幅器1000は、光源モジュール10を備える光源装置100と、信号光入力部1001と、光合波器1002と、高非線形性光ファイバなどのラマン増幅用光ファイバ1003と、ラマン増幅光出力部1004とを備えている。
図15は、実施形態2に係るラマン増幅器の模式図である。ラマン増幅器1000は、実施形態1の光源モジュール10を励起光源として備える、前方励起型の集中型光増幅器として構成されている。ラマン増幅器1000は、光源モジュール10を備える光源装置100と、信号光入力部1001と、光合波器1002と、高非線形性光ファイバなどのラマン増幅用光ファイバ1003と、ラマン増幅光出力部1004とを備えている。
信号光入力部1001は、信号光L11が入力される。光合波器1002は、信号光L11と、光源モジュール10の出力光ファイバ15から出力された、励起光としての増幅光L2と、を合波して、ラマン増幅用光ファイバ1003に入力させる。ラマン増幅用光ファイバ1003は、増幅光L2を励起光として信号光L11をラマン増幅する。ラマン増幅光出力部1004は、信号光L11がラマン増幅された光であるラマン増幅光L12を出力する。
光源モジュール10からの増幅光L2は、ラマン増幅用光ファイバ1003にて信号光L11をラマン増幅できる波長に設定されている。
ラマン増幅器1000は、特にRINを抑制し、かつRINトランスファーを抑制する点で優れている。
(実施形態3)
図16は、実施形態3に係るラマン増幅システムの模式図である。ラマン増幅システム2000は、実施形態1の光源モジュール10を励起光源として備える、前方励起型の分布型光増幅システムとして構成されている。ラマン増幅システム2000は、光源モジュール10を備える光源装置200と、信号光入力部2001と、標準シングルモードファイバ、分散シフトファイバ、ノンゼロ分散シフトファイバなどのラマン増幅用光ファイバ2003と、ラマン増幅光出力部2004とを備えている。標準シングルモードファイバは、たとえばITU-T G.652規格に準拠する光ファイバである。
図16は、実施形態3に係るラマン増幅システムの模式図である。ラマン増幅システム2000は、実施形態1の光源モジュール10を励起光源として備える、前方励起型の分布型光増幅システムとして構成されている。ラマン増幅システム2000は、光源モジュール10を備える光源装置200と、信号光入力部2001と、標準シングルモードファイバ、分散シフトファイバ、ノンゼロ分散シフトファイバなどのラマン増幅用光ファイバ2003と、ラマン増幅光出力部2004とを備えている。標準シングルモードファイバは、たとえばITU-T G.652規格に準拠する光ファイバである。
光源装置200は、光源装置100に、光合波器201を追加した構成を有する。また、ラマン増幅用光ファイバ2003としては、たとえばフィールドに敷設された光通信用の光ファイバを利用することができる。
信号光入力部2001は、信号光L21が入力される。光合波器201は、信号光L11と、光源モジュール10の出力光ファイバ15から出力された、励起光としての増幅光L2と、を合波して、ラマン増幅用光ファイバ2003に入力させる。ラマン増幅用光ファイバ2003は、増幅光L2を励起光として信号光L21をラマン増幅する。ラマン増幅光出力部2004は、信号光L21がラマン増幅された光であるラマン増幅光L22を出力する。
光源モジュール10からの増幅光L2は、ラマン増幅用光ファイバ2003にて信号光L21をラマン増幅できる波長に設定されている。
ラマン増幅システム2000は、特にRINを抑制し、かつRINトランスファーを抑制する点で優れている。
上記実施形態のラマン増幅器やラマン増幅システムは、前方励起型として構成されているが、本発明の実施形態はこれに限られず、後方励起型や双方向励起型として構成されてもよい。
また、上記実施形態の光源モジュール、光源装置は、ラマン増幅用の励起光源に限らず、RINとリップルが同時に抑制された光源として、幅広く利用できる。
また、上記実施形態では、シード光は、ASE光であるが、自然放出光(SE)のようなインコヒーレント光でもよい。
また、上記実施形態では、シード光源は半導体光増幅器であるが、SLD(Super Luminescent Diode)、SOAおよび希土類添加光ファイバを備えたASE光源の少なくとも一つを含むものであってもよい。このようなSLD、SOAおよびASE光源は、インコヒーレント光源として好適である。
また、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
10 :光源モジュール
11 :シード光源
12 、14 :光アイソレータ
13 :ブースター増幅器
13a :第1端面
13b :第2端面
15 :出力光ファイバ
100、200 :光源装置
101、102 :駆動装置
1000 :ラマン増幅器
1001、2001 :信号光入力部
1002、201 :光合波器
1003、2003 :ラマン増幅用光ファイバ
1004、2004 :ラマン増幅光出力部
2000 :ラマン増幅システム
C1、C2 :駆動電流
L1 :シード光
L11、L21 :信号光
L12、L22 :ラマン増幅光
L2 :増幅光
11 :シード光源
12 、14 :光アイソレータ
13 :ブースター増幅器
13a :第1端面
13b :第2端面
15 :出力光ファイバ
100、200 :光源装置
101、102 :駆動装置
1000 :ラマン増幅器
1001、2001 :信号光入力部
1002、201 :光合波器
1003、2003 :ラマン増幅用光ファイバ
1004、2004 :ラマン増幅光出力部
2000 :ラマン増幅システム
C1、C2 :駆動電流
L1 :シード光
L11、L21 :信号光
L12、L22 :ラマン増幅光
L2 :増幅光
Claims (14)
- 所定の帯域を有するインコヒーレントなシード光を出力するシード光源と、
第1端面から入力された前記シード光を光増幅し、増幅光として第2端面から出力する半導体光増幅器であるブースター増幅器と、
を備え、
前記ブースター増幅器は、前記増幅光において相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制されるように、屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが設定されている
光源。 - 前記チップ長Lが1mm以上である
請求項1に記載の光源。 - 前記チップ長Lが1.5mm以上である
請求項1に記載の光源。 - 前記チップ長Lが2mm以上である
請求項1に記載の光源。 - 前記増幅光において前記相対強度雑音(RIN)および前記リップルが同時に抑制される駆動電流にて、前記シード光源と前記ブースター増幅器とが駆動される
請求項1~4のいずれか一つに記載の光源。 - 利得飽和状態で動作するように前記ブースター増幅器が駆動される
請求項1~5のいずれか一つに記載の光源。 - 前記増幅光のパワーが最大に近くなる程度のパワーの前記シード光を出力する駆動電流にて、前記シード光源が駆動される
請求項1~6のいずれか一つに記載の光源。 - 前記シード光源は、SLD(Super Luminescent Diode)、半導体光増幅器および希土類添加光ファイバを備えたASE(Amplified Spontaneous Emission)光源の少なくとも一つを含む
請求項1~7のいずれか一つに記載の光源。 - 前記ブースター増幅器が出力する前記増幅光のパワーは100mW以上である
請求項1~8のいずれか一つに記載の光源。 - 前記ブースター増幅器の前記第1端面の端面反射率および前記第2端面の端面反射率が10-3と10-5との間の範囲である
請求項1~9のいずれか一つに記載の光源。 - 請求項1~10のいずれか一つに記載の光源と、
前記光源を駆動する駆動装置と、
を備える光源装置。 - 所定の帯域を有するインコヒーレントなシード光を出力するシード光源と、
第1端面から入力された前記シード光を光増幅し、増幅光として第2端面から出力する半導体光増幅器であるブースター増幅器と、
を備える光源の駆動方法であって、
前記ブースター増幅器は、前記増幅光において相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制されるように、屈折率nとチップ長Lとの積であるnLが設定されており、
前記増幅光において相対強度雑音(RIN)およびリップルが同時に抑制される駆動電流にて、前記シード光源と前記ブースター増幅器とを駆動させる
光源の駆動方法。 - 請求項1~10のいずれか一つに記載の光源と、
前記増幅光が励起光として入力されるラマン増幅用光ファイバと、
を備えるラマン増幅器。 - 請求項1~10のいずれか一つに記載の光源と、
前記増幅光が励起光として入力されるラマン増幅用光ファイバと、
を備えるラマン増幅システム。
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