JP2022129276A - 分光偏光特性測定装置及び分光偏光特性測定方法 - Google Patents

分光偏光特性測定装置及び分光偏光特性測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測定対象の偏光状態及びその波長分散を、偏光変調を必要とせず、高速かつ高精度に取得可能な分光偏光特性測定装置を提供する。【解決手段】第一離散スペクトル光源12からの離散スペクトル光を分割する分割部14と、分割された離散スペクトル光の偏光をそれぞれ異なる状態に制御する偏光制御部15,16、及び時間遅延をそれぞれ異なる状態に制御する時間遅延制御部17,18と、複数の離散スペクトル光を重ね合わせる第一重ね合わせ部19と、偏光状態と時間遅延が異なる複数の離散スペクトル光からなる偏光制御離散スペクトル光列を試料100に照射する照射部と、第二離散スペクトル光源13からの離散スペクトル光を試料の情報を含む偏光制御離散スペクトル光列と重ね合わせ干渉信号を生成する第二重ね合わせ部21と、試料の情報を含む干渉信号の直交偏光成分の光振幅と位相に関するモード分解スペクトルを取得する検出部40とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象の偏光特性を測定する分光偏光特性測定装置及び分光偏光特性測定方法に関する。
従来、分析対象光について楕円率などの偏光状態を測定する方法として、回転検光子法や回転位相子法が用いられてきた(特許文献1)。しかし、回転検光子法では、楕円率が余弦関数で与えられるため、試料の複屈折位相差が0°及び180°付近の場合、測定精度が悪くなる。また、複屈折や旋光は波長依存性を有するため、波長毎の評価が必要であるが、回転位相子法では、波長毎に位相子を取り替えて偏光状態を測定する必要があるため、偏光状態の波長分散を効率よく測定することができない。
位相子と検光子とを回転させる2重回転法では、波長毎に位相子を取り替えることなく、偏光状態の波長分散を測定することができる(特許文献2)。しかし、いずれの測定法も、位相子や検光子の回転機構としてモータ等の駆動部を必要とするために装置が大型化し、位相子や検光子を機械的に回転するために測定時間が長くなる。また、電気光学変調器や光弾性変調器(PEM)などの光学材料を用いて偏光変調を行う場合には、高い電圧及び消費電力が必要である。
回転する位相子や検光子の代わりに液晶可変位相子を用いて偏光変調を行う装置及び方法が知られている(特許文献3及び特許文献4)。しかし、特許文献3の装置及び方法では、試料の光学特性を測定することはできるが、任意の測定対象の偏光状態を測定することはできない。また、特許文献4の装置及び方法では、波長毎に偏光状態を測定する必要があるため、偏光状態の波長分散を効率よく測定することができない。
特開2005-292028号公報 特開2009-085853号公報 特開2010-145332号公報 米国特許第6,744,509号明細書
上記の手法では、時系列な偏光変調を必要とするため、実時間での測定を行うことができず、測定対象が時系列に変化する場合に適さないといった問題点があった。
また、上記の手法では、偏光特性の波長依存性(分光偏光特性)を高精度に計測することができず、測定対象が複雑な分光偏光特性を有する場合に適さないといった問題点があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、測定対象の偏光状態及びその波長分散(分光偏光特性)を、偏光変調を必要とすること無く、高速かつ高精度に取得可能な分光偏光特性測定装置及び分光偏光特性測定方法を提供する。
本発明は、測定対象の分光偏光特性を測定する分光偏光特性測定装置において、互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する第一離散スペクトル光源(第一の光コム光源)と、前記第一離散スペクトル光源から発せられた離散スペクトル光(パルス光)を空間的に分割する分割部と、前記分割部によって分割された複数の前記離散スペクトル光の偏光状態を独立に制御しそれぞれ異なる偏光状態を持つ複数の偏光制御部と、前記偏光制御部によって偏光制御されたされた複数の前記離散スペクトル光の時間遅延を独立に制御しそれぞれ異なる時間遅延を持つ複数の時間遅延制御部と、前記時間遅延制御部によって時間遅延が制御された複数の前記離散スペクトル光を空間的に重ね合わせる第一重ね合わせ部と、前記重ね合わせ部によって重ね合わされた偏光状態と時間遅延が異なる複数の前記離散スペクトル光からなる偏光制御離散スペクトル光列を試料に照射する照射部と、互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する第二離散スペクトル光源(第二の光コム光源)と、前記第二離散スペクトル光源から発せられた離散スペクトル光(パルス光)を前記照射部によって前記試料の情報を含む偏光制御離散スペクトル光列と空間的に重ね合わし干渉信号(インターフェログラム列)を生成する第二重ね合わせ部と、前記第二重ね合わせ部によって生成された干渉信号(インターフェログラム列)から前記試料の情報を含む個々のインターフェログラムの直交偏光成分の光振幅と位相に関するモード分解スペクトルを取得する検出部と、を備えていることを特徴とする。
本明細書において、「モード分解スペクトル」とは、離散スペクトル光から個別に分離され得るスペクトルのことを示す。本発明に係る分光偏光特性測定装置は、振幅と位相のモード分解スペクトル(以下、モード分解振幅スペクトル及びモード分解位相スペクトル)とを取得できる。なお、以下では、モード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルを区別する必要のない場合には、単に「モード分解スペクトル」と記載することがある。
また、本発明に係る分光偏光特性測定は、測定対象の分光偏光特性を測定する分光偏光特性測定方法であって、離散スペクトル光を複数に分割する工程と空間的に分割された離散スペクトル光の偏光状態を個々に制御する工程と偏光制御された離散スペクトル光の時間遅延を個々に制御する工程と偏光と時間遅延が制御された複数の離散スペクトル光を重ね合わせる行程と個々の偏光制御離散スペクトル光を時間分割して分光偏光計測する行程とを含む。
上記の構成によれば、偏光状態が異なり時間的に分離された複数の離散スペクトル光からなる偏光制御離散スペクトル光列が生成され、試料に照射される。ゆえに、偏光制御離散スペクトル光列を構成する個々の偏光制御離散スペクトル光に、試料の分光偏光特性が付加される。このように試料の分光偏光特性が付加された偏光制御離散スペクトル光を、前記検出部によって検出することができる。
上記の分光偏光特性測定装置では、前記離散スペクトル光源が、前記離散スペクトル光として、周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔である第一隣接周波数間隔が互いに一致している第一の光周波数コムスペクトルを発する第一のコム光源であってもよい。
上記の構成では、前記周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致している第二の光周波数コムスペクトルを発する第二のコム光源を備え、前記検出部は、前記第一の光周波数コムスペクトルと前記第二の光周波数コムスペクトルとを干渉させて生じる干渉信号(干渉スペクトルもしくはインターフェログラム)に基づいて前記モード分解スペクトルを取得してもよい(デュアル光コム分光法)。この場合、干渉スペクトルは第一の光周波数コムスペクトルが周波数ダウンスケーリングされてなる第一及び第二の光周波数コムスペクトルの光ビートスペクトルである。また、デュアル光コム分光法を用いると、モード分解振幅スペクトル以外に、モード分解位相スペクトルも取得できる。
また、上記の分光偏光特性測定装置では、前記分割部が、入射する光を空間的に分割する分割素子を備え、前記第一離散スペクトル光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記分割素子によって複数の離散スペクトル光に空間分割させてもよい。
一方、前記第一重ね合わせ部は、前記偏光制御部と前記時間遅延制御部を透過した複数の離散スペクトル光を空間的に重ね合わせてもよい。
上記の構成によれば、前記偏光制御部が、入射する光の偏光を調整する偏光制御光学系を備え、前記分割部で分割された離散スペクトル光を任意の偏光状態に制御させてもよい。前記偏光制御光学系は、3軸偏光コントローラーで構成されてもよい。
一方、前記時間遅延制御部は、入射する光の時間遅延を調整する時間遅延制御光学系を備え、前記偏光制御部で偏光制御された離散スペクトル光に任意の時間遅延を付加させてもよい。前記時間遅延制御部は、時間遅延ステージで構成されてもよい。
また、上記の分光偏光特性測定装置では、前記第一重ね合わせ部によって、空間的に重ね合わされた2つの離散スペクトル光の偏光状態が、試料の偏光特性が算出できるように設定されてもよい。
一方、前記第一重ね合わせ部によって、空間的に重ね合わされた2つの離散スペクトル光の時間遅延が、試料の分光特性を高分解能計測できるように設定されてもよい。
本発明の分光偏光特性測定装置では、偏光変調を行うことなく、偏光制御離散スペクトル光列の一回の照射で、互いに異なる偏光制御離散スペクトル光に付加された試料の情報(分光偏光特性)を同時取得することが出来る。また、偏光制御離散スペクトル光の直交偏光成分の光振幅と位相に関するモード分解スペクトルを取得することにより、測定対象の偏光特性及びその波長分散を広帯域・高感度・高分解・高速に取得することが出来る。
従って、本発明によれば、測定対象の偏光特性及びその波長分散を、偏光変調を必要とすること無く、高い精度を保ちつつ、高速に取得可能な分光偏光特性測定装置を提供することができる。
本発明を適用した実施形態の分光偏光特性測定装置の模式図である。 本発明における離散スペクトル光について説明するための模式図である。 本発明の実施形態の分光偏光特性測定装置における離散スペクトル光源の第一構成例を示す概略図である。 本発明の実施形態の分光偏光特性測定装置における離散スペクトル光源の第二構成例を示す概略図である。 本発明の実施形態の分光偏光特性測定装置における離散スペクトル光源の第三構成例を示す概略図である。 本発明の実施形態の分光偏光特性測定装置における離散スペクトル光源の第四構成例を示す概略図である。 本発明を適用した実施形態の分光偏光特性測定装置における干渉スペクトルの発生過程を説明するための模式図である。 本発明の実施形態の分光偏光特性測定装置における第一離散スペクトル光源、分割部、偏光制御部、時間遅延制御部、第一重ね合わせ部で行われる光の操作(2連偏光制御離散スペクトル光列の生成)を説明するための模式図である。 実施例1で用いた高次1/4波長板に関するインターフェログラム列の時間波形を示すグラフである。 実施例1で用いた高次1/4波長板に関する第一インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いた高次1/4波長板に関する第一インターフェログラムのモード分解位相差(Δ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いた高次1/4波長板に関する第二インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いた高次1/4波長板に関する第二インターフェログラムのモード分解位相差(Δ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いたファラデーローテーターに関するインターフェログラム列の時間波形を示すグラフである。 実施例1で用いたファラデーローテーターに関する第一インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いたファラデーローテーターに関する第一インターフェログラムのモード分解位相差(Δ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いたファラデーローテーターに関する第二インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルを示すグラフである。 実施例1で用いたファラデーローテーターに関する第二インターフェログラムのモード分解位相差(Δ)スペクトルを示すグラフである。
以下、本発明を適用した分光偏光特性測定装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更できる。
(実施形態)
始めに、本発明を適用した透過配置でジョーンズ行列を計測するための分光偏光特性測定装置の実施形態を図1から図18及び表1から表2に基づいて説明する。図1は本実施形態の分光偏光特性測定装置10Aの模式図である。
[分光偏光特性測定装置10Aの構成]
図1に示すように、分光偏光特性測定装置10Aは試料100の偏光特性やその波長依存性といった光学的な情報を取得可能な分光偏光特性測定装置であり、第一離散スペクトル光源(第一の光コム光源)12と、分割部14と、複数の偏光制御部15および16と、複数の時間遅延制御部17および18と、第一重ね合わせ部19と、照射部20と、第二重ね合わせ部21と、第二離散スペクトル光源(第二の光コム光源)13と、離散スペクトル制御部45と、第三の偏光制御部36と、検出部40と、を備えている。
第一離散スペクトル光源12は、離散スペクトル光LAを発する光源である。
図2は離散スペクトル光LAについて説明するための模式図である。図2に示すように、離散スペクトル光LAは互いに異なる周波数で分布しているスペクトルMAを二以上含んでいる。このような離散スペクトル光LAとしては、光周波数コムスペクトルLX0が挙げられる。光周波数コムスペクトルLX0は、例えば周波数軸(図2に示すf軸)上で互いに周波数間隔frをあけて分布するスペクトルMAを二以上含んでいる。以降では、スペクトルMAの数をnとする。言い換えれば、周波数軸で周波数の位置が隣り合うスペクトルMA,MAの周波数の間隔が周波数間隔frである。周波数特性で見ると、n個のスペクトルMAがキャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0(以下、オフセット周波数f0と記載する)、及び所定の光強度|E(f)|の分布を有するスペクトル・エンベロープNAを備え、周波数軸上に分布している。
光周波数コムスペクトルLX0の時間特性を見ると、パルスΦ1,Φ2,…,Φmが複数分布している。隣接したパルスΦ1,Φ2,…,Φmの間の互いに中心の時間間隔が1/frである。複数のパルスΦ1,Φ2,…,Φmの光搬送波電界CAは、複数のスペクトルMAを逆フーリエ変換して得られる時間分布を有する。複数のパルスΦ1,Φ2,…,Φnのパルス包絡線WAはスペクトル・エンベロープNAを逆フーリエ変換して得られる時間分布を有する。
キャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0と、キャリア・エンベロープ・オフセット周波数f0を有するスペクトルMAに対する順番を決めれば、所定の順番のスペクトルMAの周波数が決まる。例えば、オフセット周波数f0を有するスペクトルMAに対してn番目のスペクトルMAの周波数νnは、下記の(1)式のように決められる。
Figure 2022129276000002
光周波数コムスペクトルLX0では、周波数間隔fr及びオフセット周波数f0が周波数標準器を基準に安定化されてスペクトルMAの周波数が周波数軸上で殆ど変化せず、固定されている。更に、全てのスペクトルMAが、等間隔を保ったまま、位相が同期している。
離散スペクトル光源12としては、上記説明した光周波数コムスペクトルLX0を発することが可能な公知のコム光源を用いることができる。
以下では、離散スペクトル光源12の構成例について説明する。各例において公知の構成要素については、その詳細な説明を省略する。
なお、離散スペクトル光源12の構成は下記の各例に限定されるものではない。
図3は離散スペクトル光源12の第一構成例であるコム光源の概略図である。図3に示すように、コム光源はモード同期ファイバレーザー77と、増幅器78と、を備えている。モード同期ファイバレーザー77は励起用半導体レーザー82と、光アイソレータ87Aを備えた光ファイバ80Gと、光カプラ84Aと、イッテルビウム(Yb)等のドープファイバ86Aを備えた光ファイバ80Aと、光ファイバ80B,80Cと、光アイソレータ85Aと、を備えている。増幅器78は光ファイバ80B,80Cの間に配置された光カプラ84Dを介してモード同期ファイバレーザー77に接続されている。増幅器78は、光カプラ84Dの出力側に接続された光ファイバ80Dと、光アイソレータ85Bと、励起用半導体レーザー83と、光アイソレータ87Bを備えた光ファイバ80Fと、光カプラ84Cと、イッテルビウム(Yb)等のドープファイバ86Bを備えた光ファイバ80Hと、光アイソレータ85Cと、を備えている。
図3に示す構成では、モード同期ファイバレーザー77から周波数安定度の高いパルスが光アイソレータ85Aから光カプラ84Aに向かって発振される。発振されたパルスの一部が光カプラ84Dから取り出され、一部のパルスは光ファイバ80D内を進み、増幅器78でその強度を増幅させる。一方、残りのパルスは光ファイバ80C内を進み、モード同期ファイバレーザー77の内部をループする。このような動作原理によって、光アイソレータ85Cから、高出力の光周波数コムスペクトルLX0が出射される。
図4は離散スペクトル光源12の第二構成例であるコム光源の概略図である。図4に示すように、コム光源は光変調器90と、マイクロ波発振器93と、を備えている。光変調器90は所定距離だけ離間させて配置された鏡92A,92Bと、二枚の鏡92A,92Bの間に配置された電気光学結晶94から構成されている。電気光学結晶94には、例えばニオブ酸リチウム(LiNbO)が用いられている。
図4に示す構成では、光変調器90に入射した単一スペクトル光はマイクロ波発振器93によって外部位相変調される。一方、電気光学結晶94が上記のように二枚の鏡92A,92Bからなるファブリ・ペロー共振器内に配置されていることで深い変調がかけられ、約1000本以上のスペクトルMAが発生する。スペクトルMAの周波数間隔frはマイクロ波発振器93の変調周波数に一致する。また、光変調器90はパッシブな構成要素で構成されているため、周波数軸上で非常に安定したスペクトルMAを二以上含む光周波数コムスペクトルLX0が発生する。スペクトル・エンベロープNAの中心周波数は、不図示の入力光源で決定される。
図5は離散スペクトル光源12の第三構成例であるコム光源の概略図である。図5に示すように、コム光源は導波路型のマッハツェンダ変調器(MZM)型超平坦光コム発生器(MZ-FCG)95を備えている。MZ-FCG95には、入力導波路96Aと、二つの分岐導波路96B,96Cと、出力導波路96Dと、が形成されている。二つの分岐導波路96B,96Cのそれぞれには、高周波(RF)信号と位相変調信号を入力可能とする導波路が結合されている。
図5に示す構成では、RF信号が所定の条件で二つの分岐導波路96B,96Cに入力されると、単一スペクトルから分岐導波路96B,96Cのそれぞれで二つの光周波数コムスペクトルが発生する。二つの分岐導波路96B,96Cの結合位置において、二つの光周波数コムスペクトルは互いにそれぞれの光強度のアンバランスを補い合う。従って、スペクトル・エンベロープNAの平坦性に優れた光周波数コムスペクトルLX0が発生し、出力導波路96Dから取り出される。
図6は離散スペクトル光源12の第四構成例であるコム光源の概略図である。コム光源はコム光源22CのMZ-FCG95を用いた広帯域コム/超短パルス光源である。図6に示すように、コム光源22Dは、励起用半導体レーザー98と、偏波コントローラ(PC)99と、MZM100と、シングルモードファイバ(SMF)108と、エルビウム添加ファイバ増幅器109と、分散フラット・分散減少ファイバ(DF-DDF)110と、を備えている。
図6に示す構成では、MZ-FCG95によって発生した光コム信号は標準的なSMF108に入力された後にDF-DDFに入力することで、約20THzに及ぶ光周波数コムスペクトルLX0が発生する。
なお上記以外にも、マイクロ光コムや量子カスケードレーザーに基づいた光コム光源も利用可能である。
上記説明した第一離散スペクトル光源12の出射方向には、図1に示すように、分割部14が配置されている。分割部14は、第一離散スペクトル光源12から発せられた離散スペクトル光LAを第一光路11Aと第二光路11Bの2つの光路に空間分離させる光学素子である。従って、分割部14の各種パラメータは、スペクトルMAの周波数νやパワー|E(ν)|2等を勘案して設定され、特に限定されない。分割部14には、プレート型ビームスプリッターやキューブ型ビームスプリッターなどが使用可能である。
第一光路11Aは、分割部14と第一重ね合わせ部19の間に配置され、分割部14を透過した第一離散スペクトル光LAの偏光と時間遅延を制御するための構成である。本実施形態の第一光路11Aは、第一偏光制御光学部15と第一時間遅延制御部17を備えている。図1では、第一偏光制御部15は、偏光子22、1/2波長板23、1/4波長板24から構成されている。第一偏光制御部15は、第一離散スペクトル光LAを既知の偏光状態を任意に制御する機能を有する。このような機能を有する第一偏光制御部15として、例えば3軸偏光コントローラー、バビネ・ソレイユ補償板等が挙げられる。
図1では、第一時間遅延制御部17は、ルーフミラー30、時間遅延ステージ31、コーナーリフレクター32から構成されている。時間遅延ステージ31は、第一離散スペクトル光LAの時間遅延を任意に制御する機能を有する。このような機能を有する第一時間遅延制御部30として、例えば時間遅延ステージ、時間遅延ファイバー等が挙げられる。
なお、第一偏光制御部15と第一時間遅延制御部30が第一光路11Aの中において順番が逆でも問題は無い。また、第一光路11Aは、第一離散スペクトル光LAの偏光と時間遅延を任意制御することができるのであれば、上記の構成に限定されない。
第二光路11Bは、分割部14と重ね合わせ部19の間に配置され、分割部14を反射した第一離散スペクトル光LAの偏光と時間遅延を制御するための構成である。本実施形態の第二光路11Bは、第二偏光制御部16と第二時間遅延制御部18を備えている。図1では、第一偏光制御部16は、偏光子25、1/2波長板26、1/4波長板27をから構成されている。また、第二時間遅延制御部18は、ルーフミラー33、時間遅延ステージ34、コーナーリフレクター35から構成されている。第一光路11Aと同様、第二偏光制御部16と第二時間遅延制御部18は、第一離散スペクトル光LAを第一光路11Aとは異なりかつ既知の偏光と時間遅延に任意制御する機能を有する。
第一重ね合わせ部19は、分割部14と照射部20の間に配置され、第一光路11Aにおいて偏光と時間遅延が制御された第一偏光制御離散スペクトル光11Cと、第二光路11Bにおいて偏光と時間遅延が制御された第二偏光制御離散スペクトル光11Dを、空間的に重ね合わせるための構成である。空間的に重ね合わされた第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光Dは、時間的に多重化され、偏光状態の異なる2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを構成する。2連偏光制御離散スペクトル光列11Eの各離散スペクトル光の偏光状態は、後述のジョーンズ行列を算出可能な関係性を有している必要がある。また、2連偏光制御離散スペクトル光列11Eの第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光11Dは、第一離散スペクトル光源の繰り返し周期の1/2ほど時間的に分離しているのが望ましい。第一重ね合わせ部19には、プレート型ビームスプリッターやキューブ型ビームスプリッターなどが使用可能である。
照射部20は、第一重ね合わせ部19と試料100の間に配置され、第一重ね合わせ部19によって生成された2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを、試料100に照射させるための構成である。図1では、透過配置を用いた場合を示しており、透過性の高い試料の計測に適している。また、薄膜試料などでは、透過配置の代わりに、斜入射反射配置を利用することも可能である。
試料100は、照射部20と第二重ね合わせ部21の間に配置されている。試料100は、透過配置では、例えば光学素子のように2連偏光制御離散スペクトル光列を透過させ、且つ個々の偏光制御離散スペクトル光に振幅や位相の変調等によってその情報を付加し得る物体であればよく、特に制限されない。また、斜入射反射配置では、例えば薄膜材料のように2連偏光制御離散スペクトル光列を膜内で多重反射させ、且つ個々の偏光制御離散スペクトル光に振幅や位相の変調等によってその情報を付加し得る物体であればよく、特に制限されない。
第二重ね合わせ部21は、照射部20と検出部40との間に配置されている。第二重ね合わせ部21のミラー面は光軸に対して所定の角度で傾斜している。第二重ね合わせ部21には、プレート型ビームスプリッターやキューブ型ビームスプリッターなどが使用可能である。
第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13は、離散スペクトル光LBを発する光源である。離散スペクトル光LBは互いに異なる周波数で分布しているスペクトルMA2を二以上含んでいる(図7参照)。このような離散スペクトル光LBとしては、光周波数コムスペクトル(第二の光周波数コムスペクトル)LX2が挙げられる。
第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13の周波数間隔fr2は、上記説明した第一離散スペクトル光源12の周波数間隔fr1に対して、離散スペクトル制御部45によって、あるオフセット周波数(Δfr=fr2―fr1)を維持するように制御されていることが望ましい。
上記説明した第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13の出射方向には、図1に示すように、第三偏光制御部36が配置されている。図1では、第三偏光制御部36は、偏光子37、1/2波長板38、1/4波長板39をから構成されている。
第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13は、離散スペクトル光LBを所定の角度で第二重ね合わせ部21に入射させるように配置されている。
図7は、試料100の偏光特性やその波長依存性といった光学的な情報を含む第一偏光制御離散スペクトル光11C(もしくは第二偏光制御離散スペクトル光11D)の離散スペクトル光と第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13から発せられた離散スペクトル光LBとの干渉スペクトルの発生過程(即ち、デュアル光コム分光法)を説明するための模式図である。
図7に示すように、試料100の情報を含む離散スペクトル光に関しては、光領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うモード分解スペクトルMA1,MA1の周波数の間隔が第一隣接周波数間隔fr1である。第一隣接周波数間隔fr1は互いに一致している。
一方、離散スペクトル光LBに関しては、光領域の周波数軸で周波数の位置が隣り合うモード分解スペクトルMA2,MA2の周波数の間隔が、第一隣接周波数間隔fr1とは異なる第二隣接周波数間隔fr2である。第二隣接周波数間隔fr2も互いに一致している。
即ち、離散スペクトル光11C,LBはそれぞれ、周波数軸で等間隔に分布するn個のスペクトルMA1,MA2のそれぞれを備えると共に、第一隣接周波数間隔fr1と第二隣接周波数間隔fr2とを互いに異ならせている。
前記第一偏光制御離散スペクトル光11Cの離散スペクトル光と第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13から発せられた離散スペクトル光LBとの干渉による第一インターフェログラムと、前記第二偏光制御離散スペクトル光11Dの離散スペクトル光と第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13から発せられた離散スペクトル光LBとの干渉による第二インターフェログラムと、から構成される2連インターフェログラム列が生成される。
検出部40は、分光偏光特性測定装置10Aの最後方に配置されている。検出部40は、2連インターフェログラム列を直交偏光成分(水平偏光成分、垂直偏光成分)に分離して、光振幅と位相に関するモード分解スペクトルを取得するための構成である。検出部40はバンドパスフィルター41と、偏光プリズム42と、第一検出器43aと、第二検出器43bと、信号処理部44と、を備えている。
バンドパスフィルター41は、デュアル光コム分光法において、エイリアシングを避けるために、生成された2連インターフェログラム列の光スペクトル帯域を制限する。
偏光プリズム42は、2連インターフェログラム列を水平偏光成分と垂直偏光成分に分離する光学素子である。偏光プリズム42の各種パラメータは、インターフェログラムの光周波数(波長)と、試料100の情報を取得するための所望の消光比等を勘案して設定され、特に限定されない。例えば、偏光プリズム以外に、偏光ビームスプリッター等も利用可能である。
第一検出器43aと第二検出器43bは、2連インターフェログラム列の水平偏光成分と垂直偏光成分の時間波形を電気信号に変換して取得する。
信号処理部44は、取得された2連インターフェログラム列を、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムに分割し、個々のインターフェログラムを別々にフーリエ変換することにより、周波数(波長)毎のモード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルを得る。
なお、本実施形態では、2連偏光制御離散スペクトル光列を用いたジョーンズ行列の算出を示したが、4連偏光制御離散スペクトル光列を用いれば、ミュラー行列の算出も可能である。
[分光偏光特性測定装置10Aを用いた計測]
次いで、図1に示す分光偏光特性測定装置10Aを用いた計測の原理について説明する。
第一離散スペクトル光源(第一のコム光源)12から発せられた第一離散スペクトル光LAは、分割部14に入射され、第一光路11Aの透過された第一離散スペクトル光と、第二光路11Bの反射された第一離散スペクトル光に分割される。
透過された第一離散スペクトル光LAは、第一偏光制御部15によって、既知の偏光状態に設定される。その後、第一時間遅延制御部17によって、既知の時間遅延が設定される(第一偏光制御離散スペクトル光11C)。
さらに、反射された第一離散スペクトル光LAは、第二偏光制御部16によって、第一偏光制御離散スペクトル光11Cと異なる既知の偏光状態に設定される。その後、第二時間遅延制御部18によって、第一偏光制御離散スペクトル光11Cと異なる既知の時間遅延が設定される(第二偏光制御離散スペクトル光11D)。
第一光路11Aの第一偏光制御離散スペクトル光11Cと、第二光路11Bの第二偏光制御離散スペクトル光11Dは、第一重ね合わせ部19によって空間的に重ね合わされる。これにより、時間的に分離され、偏光状態の異なる2連偏光制御離散スペクトル光列11Eが生成される。
2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを、照射部18で試料100に照射することにより、試料100の分光偏光特性が、第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光11Dに付加される。
試料100の情報を含む2連偏光制御離散スペクトル光列11Eと、第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13から発せられた離散スペクトル光LBとは、第二重ね合わせ部21によって空間的に重ね合わされ、干渉信号(2連インターフェログラム列)が生成される。生成された2連インターフェログラム列は、第一偏光制御離散スペクトル光11Cに対応した第一インターフェログラムと、第二偏光制御離散スペクトル光11Dに対応した第二インターフェログラムと、から構成されている。
生成された2連インターフェログラム列は、バンドパスフィルター41によって光スペクトル帯域を制限した後、偏光プリズム42によって、垂直偏光成分と水平偏光成分に分離される。
2連インターフェログラム列の水平偏光成分は第一検出器43aによって、また垂直偏光成分は第二検出器43bによって、電気信号として取得される。
第一検出器43aによって取得された2連インターフェログラム列の水平偏光成分の時間波形は、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムの2つに分割された後、各々をフーリエ変換することにより、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムの水平偏光成分に関するモード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルを得る。あるいは、モード分解振幅比スペクトルとモード分解位相差スペクトルを算出する。
また、第二検出器43bによって取得された2連インターフェログラム列の垂直偏光成分の時間波形は、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムによって分割された後、各々をフーリエ変換することにより、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムの垂直偏光成分に関するモード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルを得る。あるいは、モード分解振幅比スペクトルとモード分解位相差スペクトルを算出する。
これらにより、試料100を透過後の第一偏光制御離散スペクトル光11Cの偏光状態を決定できる。また、第二偏光制御離散スペクトル光11Dの偏光状態も同様に決定できる。
試料100を透過後の第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光11Dの偏光状態から、試料100のジョーンズ行列を算出できる。
次に、試料100のジョーンズ行列を算出する方法を、数式を用いて説明する。ジョーンズ計算法では、偏光状態はジョーンズベクトルJを用いて記述され、分析対象光の各波長におけるジョーンズベクトルは次式で表される。
Figure 2022129276000003
ここで ExおよびEyは水平偏光成分(x成分)と垂直偏光成分(y成分)の電場振幅、δxおよびδyは水平偏光成分(x成分)と垂直偏光成分(y成分)の位相を示している。これを振幅比Ψ(=Ex/Ey)と位相差Δ(=δx- δy)を用いて一般化すると、以下のようになる。
Figure 2022129276000004
例えば、水平偏光、垂直偏光、θ偏光、+45°直線偏光、 -45°直線偏光、右回り円偏光、左回り円偏光に関するジョーンズマトリックスは、以下のようになる。
Figure 2022129276000005
一方、試料100の偏光特性は、ジョーンズ行列JMで記述される。
Figure 2022129276000006
ここで、rijおよびθijはそれぞれ振幅と位相を示している。
旋光性サンプルのジョーンズ行列JORは旋光度θrを用いて
Figure 2022129276000007
と表される。また、複屈折性サンプルのジョーンズ行列JBRは結晶光学軸の角度θbとリターダンスΔbを用いて
Figure 2022129276000008
と表される。
入射偏光のジョーンズベクトルJIN、ジョーンズ行列JM、出射偏光のジョーンズベクトルJOUTの関係は、次式のようになる。
Figure 2022129276000009
ここで、JoutおよびJinは出射偏光と入射偏光のジョーンズベクトル、Jout_xおよびJout_yは出射偏光のジョーンズベクトルの水平偏光成分(x成分)と垂直偏光成分(y成分)、Jin_xおよびJin_yは入射偏光のジョーンズベクトルの水平偏光成分(x成分)と垂直偏光成分(y成分)を示している。
試料100のジョーンズ行列JMは、4つの未知行列成分(J00, J01, J10, J11)を含むので、それを決定するためには、2つの異なる入射偏光1と入射偏光2と、それぞれに対応した出射偏光1と出射偏光2のジョーンズベクトルが必要である。入射偏光1と入射偏光2に対するサンプル透過後の出射偏光1と出射偏光2は、以下のように記述できる。
Figure 2022129276000010
ここで、Jout1_xとJout1_yは出射偏光1ジョーンズベクトルのx成分とy成分、Jin1_xとJin1_yは入射偏光1ジョーンズベクトルのx成分とy成分、Jout2_xとJout2_yは出射偏光2ジョーンズベクトルのx成分とy成分、Jin2_xとJin2_yは入射偏光2ジョーンズベクトルのx成分とy成分である。
上式を展開して変形すると、以下のようになる。
Figure 2022129276000011
これら2つの連立方程式から、試料100のジョーンズ行列JMの各要素は、以下のように算出できる。
Figure 2022129276000012
上述の2つの連立方程式を解くために、行列Aの逆行列が存在する必要がある。
Figure 2022129276000013
行列Aの逆行列が存在する条件は、以下の通りである。
Figure 2022129276000014
行列Aの逆行列が存在するように、適切な入射偏光1と入射偏光2を設定する必要がある。例えば、入射偏光1を+45度直線偏光、入射偏光2を-45度直線偏光に設定すれば、上式は以下のようになり、行列Aの逆行列が存在する。
Figure 2022129276000015
上記の手順に従って、第一偏光制御離散スペクトル光と第二偏光制御離散スペクトル光の偏光状態を設定し、試料100を透過後の第一偏光制御離散スペクトル光と第二偏光制御離散スペクトル光の偏光状態を計測することにより、試料100のジョーンズ行列を算出できる。
[分光偏光特性測定装置10Aの作用効果]
次いで、本実施形態の分光偏光特性測定装置10Aの作用効果について、図8を参照して説明する。図8は、第一離散スペクトル光源12、分割部14、偏光制御部15および16、時間遅延制御部17および18、第一重ね合わせ部19で行われる光の操作(2連偏光制御離散スペクトル光列11Eの生成)を説明するための模式図である。ここでは、例として、第一離散スペクトル光源12から出射された、周波数軸上で互いに独立しているスペクトルMAを二以上含む離散スペクトル光LAの偏光を0°直線偏光(水平方向直線偏光)とし、+45°直線偏光と-45°直線偏光の2連偏光制御離散スペクトル光列を生成する場合を述べる。
図8に示すように、上記説明した分光偏光特性測定装置10Aによれば、第一離散スペクトル光源12から出射された離散スペクトル光LAを分割部14に入射させると、第一光路11Aの透過された第一離散スペクトル光と、第二光路11Bの反射された第一離散スペクトル光に分割される。これにより、分割された第一離散スペクトル光の偏光と時間遅延を独立に制御することが可能になる。
透過された第一離散スペクトル光LAの0°直線偏光は、第一偏光制御部15によって、+45°直線偏光に変換される。一方、反射された第一離散スペクトル光LAの0°直線偏光は、第二偏光制御部16によって、-45°直線偏光に変換される。
続いて、+45°直線偏光に変換された第一離散スペクトル光LAは、第一時間遅延制御部17によって、既知量の時間遅延が付加される(第一偏光制御離散スペクトル光11C)。一方、-45°直線偏光に変換された第一離散スペクトル光LAは、第二時間遅延制御部18によって、既知量の時間遅延が付加される(第二偏光制御離散スペクトル光11D)。ここで、第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光11Dの時間遅延差は、第一離散スペクトル光源12の繰り返し周期の半分となるように設定する。
偏光と時間遅延が独立に制御された第一偏光制御離散スペクトル光11Cと第二偏光制御離散スペクトル光11Dを、第一重ね合わせ部19で空間的に重ね合わせることにより、+45°直線偏光と45°直線偏光が時間領域で多重化された2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを生成できる。従って、数式(22)の行列Aに対応した2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを生成することができる。
また、本実施形態の分光偏光特性測定装置10Aによれば、試料100の情報が付加された2連偏光制御離散スペクトル光列11Eと第二離散スペクトル光源(第二のコム光源)13から発せられた離散スペクトル光LBを、第二重ね合わせ部19によって空間的に重ね合わされ、干渉信号(2連インターフェログラム列)が生成される。
検出部40を用いて、2連インターフェログラム列を構成する第一インターフェログラムと第二インターフェログラムの水平偏光成分と垂直偏光成分のモード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルを計測することにより、数式(20)と数式(21)における出射偏光のジョーンズベクトルを各波長成分毎に一括取得することが出来る。
以上のように、本実施形態の分光偏光特性測定装置10Aによれば、高い精度を保ちつつ、試料100の分光偏光情報を高速に取得することができる。
上述の作用効果を奏する分光偏光特性測定装置10Aでは、従来の分光偏光特性測定装置に比べて高速性と高分解能性が大幅に向上し、2連偏光制御離散スペクトル光列の1ショットで多様な偏光情報(複屈折、旋光性、二色性、円二色性など)やそれらの波長依存性を取得することができる。その結果、動的光学特性評価等の工業分野や生命機能解析等のバイオ分野に関する新たな知見を取得することができると考えられる。
本発明を適用した分光偏光特性測定装置によれば、高い精度を保ちつつ、多様な分光偏光情報を超高速で得ることができ、光応用工業製品、光機能性材料、ナノ構造体、医薬品、タンパク質構造などのへの応用が可能になる。従って、本発明を適用した分光偏光特性測定装置は、工業分野、製薬分野、バイオ分野をはじめ広い分野で利用することができる。
次いで、本発明を適用した各実施形態の分光偏光特性測定装置10Aの効果を裏付けるために行った実施例について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
第一偏光制御部15の特性を+45°直線偏光、第二偏光制御部の特性を+135°直線偏光とし、第一時間遅延制御部17と、第二時間遅延制御部18の時間遅延差が7.5ナノ秒となるように、時間領域で多重化した2連偏光制御離散スペクトル光列11Eを生成し、試料100に照射した。試料100には、複屈折を有する高次1/4波長板(波長1550nm用、複屈折量=λ/4)を用いた。ここで、高次1/4波長板は、光学軸が90°となるように設定して、配置した。
図9は、取得されたインターフェログラム列の時間波形(A)を示しており、(B)は+45°直線偏光入射に対応した第一インターフェログラム、(C)は+135°直線偏光入射に対応した第二インターフェログラムがそれぞれ時間的に分離されて観測できることが分かる。
第一インターフェログラムと第二インターフェログラムを時間的に分離し、フーリエ変換を行った後、垂直偏光成分と水平偏光成分のモード分解振幅スペクトルとモード分解位相スペクトルから、第一インターフェログラムと第二インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルを算出した。
第一インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルを図10と図11、第二インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルを図12と図13にそれぞれ示す。高次1/4波長板の光学軸を、第一偏光制御部15の偏光角度と第二偏光制御部16の偏光角度の中間に設定しているので、両者間において同様なモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルが得られている。
図10、図11、図12、図13の測定結果から、高次1/4波長板のジョーンズ行列の波長スペクトル(分光偏光特性)を算出した。表1は、波長1550nmにおけるジョーンズ行列の実験値と理論値の比較を示している。実験値と理論値は、よく一致を示していることが確認できる。
Figure 2022129276000016
次いで、試料100として、旋光性を有するファラデーローテーター(波長=1500~600 nm, 旋光度45±1°)を用いた。ファラデーローテーターは、光学軸を有さないので、任意の角度に設定して配置した。第一偏光制御部15の特性を+67.5°直線偏光、第二偏光制御部16の特性を-22.5°直線偏光とし、第一離散スペクトル光LAと、第二離散スペクトル光LAの時間遅延差が4ナノ秒となるように、時間領域で多重化した2連偏光制御離散スペクトル光列を生成し、試料100に照射した。
図14は、取得されたインターフェログラム列の時間波形(A)を示しており、(B)は+67.5°直線偏光入射に対応した第一インターフェログラム、(C)は-22.5°直線偏光入射に対応した第二インターフェログラムがそれぞれ時間的に分離されて観測できることが分かる。
第一インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルを図15と図16、第二インターフェログラムのモード分解振幅比(φ)スペクトルとモード分解位相差(Δ)スペクトルを図17と図18にそれぞれ示す。いずれにおいても、ファラデーローテーターの旋光性を反映した結果が得られている。
図15、図16、図17、図18の測定結果から、ファラデーローテーターのジョーンズ行列の波長スペクトル(分光偏光特性)を算出した。表2は、波長1550nmにおけるジョーンズ行列の実験値と理論値の比較を示している。実験値と理論値は、おおよそ一致を示していることが確認できる。
Figure 2022129276000017
上記の実施例で示したように、本発明によれば、時間的に多重化された複数の偏光制御離散スペクトル光列から、偏光変調を行うこと無く、試料の光学応答を反映した情報が同時に得られ、高い精度を保ちつつ、試料の分光偏光特性を高速に取得することができる。
10A…分光偏光特性測定装置
12…第一離散スペクトラム光源(第一の光コム光源)
13…第二離散スペクトラム光源(第二の光コム光源)
14…分割部
15…第一偏光制御部
16…第二偏光制御部
17…第一時間遅延制御部
18…第二時間遅延制御部
19…第一重ね合わせ部
21…第二重ね合わせ部
36…第三偏光制御部
40…検出部
100…試料
11A…第一光路
11B…第二光路
11C…第一偏光制御離散スペクトル光
11D…第二偏光制御離散スペクトル光
11E…2連偏光制御離散スペクトル光列
11F…光ビートスペクトル

Claims (10)

  1. 互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する第一離散スペクトル光源(第一の光コム光源)と、前記第一離散スペクトル光源から発せられた離散スペクトル光(パルス光)を空間的に分割する分割部と、前記分割部によって分割された前記離散スペクトル光の偏光状態を独立に制御しそれぞれ異なる偏光状態を持つ複数の偏光制御部と、
    前記偏光制御部によって偏光制御された前記離散スペクトル光の時間遅延を独立に制御しそれぞれ異なる時間遅延を持つ複数の時間遅延制御部と、前記時間遅延制御部によって時間遅延が制御された複数の前記離散スペクトル光を空間的に重ね合わせる第一重ね合わせ部と、前記重ね合わせ部によって重ね合わされた偏光状態と時間遅延が異なる複数の前記離散スペクトル光からなる偏光制御離散スペクトル光列を試料に照射する照射部と、互いに異なる周波数で分布しているスペクトルを二以上含む離散スペクトル光を発する第二離散スペクトル光源(第二の光コム光源)と、前記第二離散スペクトル光源から発せられた離散スペクトル光(パルス光)を前記照射部によって前記試料の情報を含む偏光制御離散スペクトル光列と空間的に重ね合わし干渉信号(インターフェログラム列)を生成する第二重ね合わせ部と、前記試料の情報を含む個々の干渉信号(インターフェログラム列)の直交偏光成分の光振幅と位相に関するモード分解スペクトルを取得する検出部と、を備えていることを特徴とする分光偏光特性測定装置。
  2. 前記第一離散スペクトル光源は、周波数軸で周波数の位置が隣り合う前記スペクトルの周波数の間隔である隣接周波数間隔が互いに一致している第一光周波数コムスペクトルを発する第一のコム光源であることを特徴とする請求項1に記載の分光偏光特性測定装置。
  3. 前記第二離散スペクトル光源は、前記スペクトルの周波数の間隔が前記第一隣接周波数間隔とは異なる第二隣接周波数間隔であり、且つ前記第二隣接周波数間隔が互いに一致している第二の光周波数コムスペクトルを発する第二のコム光源であることを特徴とする請求項2に記載の分光偏光特性測定装置。
  4. 前記分割部は、入射する光を空間的に分割する分割素子を備え、前記第一離散スペクトル光源から発せられた前記離散スペクトル光を前記分割素子によって複数の離散スペクトル光に空間分割させ、前記第一重ね合わせ部は、前記偏光制御部と前記時間遅延制御部を透過した複数の離散スペクトル光を空間的に重ね合わせることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の分光偏光特性測定装置。
  5. 前記偏光制御部は、入射する光の偏光を調整する偏光制御光学系を備え、前記分割部で分割された離散スペクトル光を任意の偏光状態に制御させ、前記時間遅延制御部は、入射する光の時間遅延を調整する時間遅延制御光学系を備え、前記偏光制御部で偏光制御された離散スペクトル光に任意の時間遅延を付加することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の分光偏光特性測定装置。
  6. 前記偏光制御光学系は、偏光子と1/2波長板と1/4波長板で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の分光偏光特性測定装置。
  7. 前記時間遅延制御光学系は、ルーフミラーと時間遅延ステージとコーナーリフレクターで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の分光偏光特性測定装置。
  8. 空間的に重ね合わされた複数の離散スペクトル光において、ジョーンズ行列やミュラー行列が逆行列計算によって算出可能となるように偏光状態が設定され、試料の分光偏光特性が計測できることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の分光偏光特性測定装置。
  9. 空間的に重ね合わされた複数の離散スペクトル光において、第一離散スペクトル光源の繰り返し周期内で等時間間隔となるように時間遅延が制御され、試料の分光偏光特性が計測できることを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の分光偏光特性測定装置。
  10. 前記検出部によって取得されたモード分解スペクトルから、前記試料の分光偏光特性を算出することを特徴とする請求項1から請求項9の何れか一項に記載の分光偏光特性測定装置。
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