JP2018518515A - フェニルアミノピリミジン化合物またはその塩の多形物 - Google Patents
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Abstract
Description
薬物の異なる結晶形および塩形態は体内での溶出、吸収に影響し、そしてある程度で薬物の臨床治療効果や安全性に影響し、特に一部の難溶性経口投与固体または半固体製剤は、結晶形の影響がより大きい。現在、式I化合物の結晶多形に対する研究はまだなく、式I化合物の多形物もまだ開発されていない。
そのため、式I化合物の多形物の研究・開発はとても必要である。
もう一つの好適な例において、前記式Iで表される化合物の塩酸塩では、式Iで表される化合物と塩酸のモル比は、約1:1または1:2である。
もう一つの好適な例において、前記溶媒和物は、式Iで表される化合物の塩酸塩の一水和物である。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、8.827±0.2°、15.537±0.2°、17.193±0.2°、19.268±0.2°、20.862±0.2°および30.282±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、基本的に図1aで示されるような粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、基本的に図1bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、7.578±0.2°、15.181±0.2°、18.515±0.2°、22.603±0.2°、25.581±0.2°および27.003±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、基本的に図2aで示されるような粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、基本的に図2bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIでは、式I化合物と塩酸と水のモル比は、約1:2:1である。
もう一つの好適な例において、前記溶多形物IIは、式Iで表される化合物の二塩酸塩の一水和物である。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、さらに、13.305±0.2°、16.204±0.2°、16.953±0.2°、18.809±0.2°、20.073±0.2°、22.937±0.2°、25.958±0.2°および31.837±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、基本的に図3aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、基本的に図3bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIでは、式I化合物と塩酸のモル比は、約1:1である。
もう一つの好適な例において、前記多形物IVは、さらに、4.422±0.2°、12.986±0.2°、17.074±0.2°、22.344±0.2°、24.396±0.2°、25.778±0.2°、28.166±0.2°、28.738±0.2°、29.607±0.2°および31.741±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IVは、基本的に図4aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IVは、基本的に図4bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IVでは、式I化合物と塩酸のモル比は、約1:1である。
もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、さらに、7.263±0.2°、17.647±0.2°、21.179±0.2°、23.509±0.2°、24.852±0.2°、25.148±0.2°、27.179±0.2°および30.181±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、基本的に図5aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、基本的に図5bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物VIは、さらに、12.277±0.2°、17.589±0.2°、20.032±0.2°、21.003±0.2°、24.870±0.2°及び27.597±0.2°から選ばれる1個または複数個の粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物VIは、基本的に図6aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物VIは、基本的に図6bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
もう一つの好適な例において、前記の薬物組成物は、癌、骨髓増殖性疾患および炎症疾患の治療と予防に使用される。
(a)本発明の第一の側面に係る多形物と、
(b)薬学的に許容される担体と、
を含む薬物組成物を提供する。
もう一つの好適な例において、前記再結晶は種晶添加または種晶無添加の条件で行われる。
もう一つの好適な例において、前記の酸は、塩酸である。
もう一つの好適な例において、前記不活性溶媒は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、酢酸、ギ酸、水、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iの製造方法は、式I化合物と塩酸をエタノールおよび/またはメタノールにおいて塩を形成して結晶させることで、本発明に係る多形物Iを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iの製造方法は、式I化合物と塩酸を酢酸とエタノールの混合溶媒において塩を形成して結晶させることで、本発明に係る多形物Iを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記エタノールとメタノールの体積比は、1:50〜50:1である。
もう一つの好適な例において、前記酢酸とエタノールの体積比は、1:5〜5:1、好ましくは1:2〜2:1である。
もう一つの好適な例において、前記ジメチルスルホキシドとエタノールの体積比は、1:5〜5:1で、前記ジメチルスルホキシドとメタノールの体積比は、1:5〜5:1で、前記ジメチルスルホキシドとアセトンの体積比は、1:5〜5:1である。
もう一つの好適な例において、前記アセトンと水の体積比は、10:1〜50:1、好ましくは20:1である。
(i)製造された多形物Iをメタノールに懸濁させ、混合物A1を形成する工程と、
(ii)前記混合物A1に塩酸を入れ、結晶析出を行うことで、前記の多形物IIを得る工程と、
を含む。
もう一つの好適な例において、工程(i)では、前記塩酸の濃度は、0.5〜3M、好ましくは0.7〜2M、より好ましくは0.8〜1.2Mである。
もう一つの好適な例において、前記結晶析出は撹拌条件で行われる。
もう一つの好適な例において、前記撹拌条件の時間は4〜48h、好ましくは6〜30h、より好ましくは10〜24hである。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIの製造方法は、
(i)式I化合物をメタノールに懸濁させ、混合物A2を形成する工程と、
(ii)前記混合物A2に塩酸を入れ、撹拌して完全に溶解させた後、すぐ種晶および水を入れることで、前記の多形物IIを形成する工程と、
を含む。
もう一つの好適な例において、前記式I化合物と塩酸のモル比は、約1:1.8〜1:3、好ましくは1:1.9〜1:2.5、より好ましくは1:2.0〜1:2.4である。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIの製造方法は、式I化合物と塩酸をN-メチルピロリドンとエタノールの混合溶媒において塩を形成して結晶させることで、本発明に係る多形物IIIを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記N-メチルピロリドンとエタノールの体積比は、1:1〜1:10である。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIの製造方法は、式I化合物、塩酸およびメタノールからなる混合物を撹拌し、結晶析出を行うことで、前記多形物IIIを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記式I化合物と塩酸のモル比は、約1:0.9〜1:1.2である。
もう一つの好適な例において、前記メタノールは、無水メタノールを含む。
もう一つの好適な例において、前記多形物IVの製造方法は、式I化合物を塩酸水溶液において塩を形成して結晶させることで、本発明に係る多形物IVを得る工程を含む。
もう一つの好適な例において、前記メタノールと水の体積比は、5:1〜1:10である。
もう一つの好適な例において、前記N,N-ジメチルホルムアミドまたはDMSOと水の体積比は、1:2〜1:10、好ましくは1:3である。
もう一つの好適な例において、前記多形物VIの製造方法は、製造された多形物IIをpH6.8のリン酸緩衝液において撹拌することで、本発明に係る多形物VIを得る工程を含む。
(1)式I化合物を第一の溶媒と混合させ、式I化合物を含有する第一の溶液を形成する工程と、
(3)前記第一の混合物を撹拌することで、固体を析出させる工程と、
(4)前の工程で析出した固体を分離してえる工程と、
(5)前記分離された固体をアセトン/水の混合溶媒と混合し、第二の混合物を形成する工程と、
(6)前記第二の混合物から析出した多形物IIを分離する工程と、
を含む方法を提供する。
もう一つの好適な例において、前記アセトン/水の混合溶媒では、アセトンと水の体積比は、8:1〜50:1、好ましくは10:1〜30:1、より好ましくは12:1〜25:1である。
もう一つの好適な例において、前記第一の溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、酢酸、またはこれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
(a)工程(3)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(b)工程(5)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(c)工程(6)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(d)工程(2)において、塩酸のアセトン溶液の形態で、塩酸およびアセトンを入れ、好ましくは前記塩酸のアセトン溶液では、HClの含有量は0.1〜20wt%、好ましくは0.5〜15wt%、より好ましくは1〜10wt%(たとえば4wt%または5wt%)であること、
からなる群から選ばれる1つまたは複数の特徴を有する。
本発明に係るN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド塩酸塩は、式I化合物の様々な塩酸塩の形態を含む。
好ましくは、式I化合物と塩酸のモル比が1:2の塩である、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩、または
式I化合物と塩酸と水のモル比が1:2:1の塩である、N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物である。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',1',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド一塩酸塩とは、式I化合物と塩酸のモル比が1:1の塩である。
固体は、無定形の形態か結晶の形態で存在する。結晶の形態の場合、分子は立体結晶格子のサイトに位置する。化合物が溶液またはスリラーから結晶すると、異なる空間格子で配列して結晶になる可能性があり(この性質が「結晶多形現象」と呼ばれる)、異なる結晶の形態を有する結晶が形成し、このような各結晶形態が「多形物」と呼ばれる。ある物質の異なる多形物は、一つ又は複数の物性(例えば溶解度および溶解速度、真比重、結晶形、堆積形態、流動性及び/又は固体安定性)で互いに異なる可能性がある。
溶液を操作し、興味のある化合物の溶解度に限界を超えさせることで、生産規模の結晶を完成させることができる。多くの方法で完成させることができるが、例えば、比較的に高い温度で化合物を溶解させた後、溶液を飽和の限界以下に冷却する方法がある。あるいは、沸騰、常圧蒸発、真空乾燥又は他の方法で液体の体積を減少させる方法もある。抗溶媒または化合物の溶解度が低い溶媒あるいはこのような溶媒の混合物を入れることで、興味のある化合物の溶解度を下げることもできる。もう一つの選べる方法は、pH値を調整して溶解度を下げるものである。結晶に関する詳細は、Crystallization, 第三版, J W Mullens, Butterworth-Heineman Ltd.,1993, ISBN 0750611294を参照する。
塩の形成と結晶を同時にさせたいなら、塩の反応媒体における溶解度が原料よりも低い場合、適切な酸または塩基を入れると、所要の塩が直接結晶する。同様に、目的の形態の溶解度が反応物よりも低い媒体において、合成反応が完成すると、最終産物が直接結晶する。
結晶の最適化は、所要の形態の結晶を種晶として結晶媒体に入れることを含む。また、多くの結晶方法は、上記策略の組み合わせを使用する。一つの実施例は、高温で興味のある化合物を溶媒に溶解させた後、制御される状態で適切な体積の抗溶媒を入れることで、体系をちょうど飽和のレベル以下にする。この時、所要の形態の種晶(種晶の完全性を保ったまま)を入れ、体系を冷却して結晶を完成させることができる。
本明細書で用いられるように、用語「室温」とは、通常、4〜30℃で、好ましくは20±5℃である。
本明細書で用いられるように、用語「本発明の多形物」は、式I化合物またはその薬学的に許容される塩(たとえば塩酸塩)、あるいはその各種の溶媒和物の多形物を含み、さらに、同じ塩酸塩または溶媒和物の異なる多形物を含む。
好適な本発明の多形物は、
式I化合物の多形物V、
式I化合物の多形物VI、
式I化合物の二塩酸塩の多形物I、
式I化合物の二塩酸塩一水和物の多形物II、
式I化合物の一塩酸塩の多形物IIIおよびIV、
を含むが、これらに限定されず、
ここで、前記多形物Iでは、式I化合物と塩酸のモル比は1:2で、前記多形物IIでは、式I化合物と塩酸と水のモル比が1:2:1で、前記多形物IIIおよびIVでは、式I化合物と塩酸のモル比が1:1である。
ここで、式I化合物の結晶形の分子構造式は図7に示される通りである。
本発明では、式I化合物の多形物を製造した後、以下の複数の方法及び装置でその性質を研究した。
結晶形の粉末X線回折を測定する方法は、本分野では既知である。例えば、Rigaku D/max 2550VB/PC型の粉末X線回折装置を使用し、2°/分の走査速度で、銅輻射ターゲットでスペクトルを得る。
本発明の式I化合物の多形物は、特定の結晶の形態を持ち、粉末X線回折(XRPD)パターンにおいて特定の特徴ピークを有する。好ましくは以下の通りである。
前記多形物Iは、5.426±0.2°、9.985±0.2°、13.424±0.2°、14.765±0.2°、25.148±0.2°および26.566±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、8.827±0.2°、15.537±0.2°、17.193±0.2°、19.268±0.2°、20.862±0.2°および30.282±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、基本的に図1aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
前記多形物IIは、17.249±0.2°、19.224±0.2°、23.885±0.2°および29.488±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、7.578±0.2°、15.181±0.2°、18.515±0.2°、22.603±0.2°、25.581±0.2°および27.003±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、基本的に図2aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
前記多形物IIIは、15.178±0.2°、20.705±0.2°、26.390±0.2°および28.088±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、13.305±0.2°、16.204±0.2°、16.953±0.2°、18.809±0.2°、20.073±0.2°、22.937±0.2°、25.958±0.2°および31.837±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、基本的に図3aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
前記多形物IVは、12.493±0.2°、14.447±0.2°、17.627±0.2°、19.519±0.2°、23.231±0.2°、23.805±0.2°および24.831±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物IVは、4.422±0.2°、12.986±0.2°、17.074±0.2°、22.344±0.2°、24.396±0.2°、25.778±0.2°、28.166±0.2°、28.738±0.2°、29.607±0.2°および31.741±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物IVは、基本的に図4aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
前記多形物Vは、13.621±0.2°、18.634±0.2°、20.331±0.2°、21.675±0.2°、22.621±0.2°および28.048±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、7.263±0.2°、17.647±0.2°、21.179±0.2°、23.509±0.2°、24.852±0.2°、25.148±0.2°、27.179±0.2°および30.181±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、基本的に図5aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
前記多形物VIは、4.084±0.2°、18.832±0.2°、19.542±0.2°、20.529±0.2°および26.468±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物VIは、12.277±0.2°、17.589±0.2°、20.032±0.2°、21.003±0.2°、24.870±0.2°及び27.597±0.2°からなる群から選ばれる粉末X線回折の特徴ピークを有する。もう一つの好適な例において、前記多形物VIは、基本的に図6aで示されるような粉末X線回折パターンを有する。
「示差走査熱量測定」(DSC)とも呼ばれ、加熱の過程において被測物質と参照物の間のエネルギー差と温度の関係を測定する技術である。DSCグラフにおけるピークの位置、形状およびピークの数は物質の性質に関連するため、定性的に物質を同定することができる。本分野では、この方法がよく物質の相転移温度、ガラス転移温度、反応熱などの複数のパラメーターの測定に用いられる。
DSCの測定方法は、本分野では既知である。たとえば、NETZSCH DSC 204 F1示差走査熱量分析装置を使用し、10℃/分の昇温速度で25℃から300℃に昇温させ、結晶形のDSC走査チャートを得る。
(1)多形物I
前記多形物Iの示差走査熱量測定グラフは、233.19℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Iは、基本的に図1bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
(2)多形物II
前記多形物IIの示差走査熱量測定グラフは、166.66℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIは、基本的に図2bで示されるような示差走査熱量測定グラフ(DSC)を有する。
前記多形物IIIの示差走査熱量測定グラフは、249.49℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物IIIは、基本的に図3bで示されるような示差走査熱量測定グラフを有する。
(4)多形物IV
前記多形物IVの示差走査熱量測定グラフは、242.73℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前述多形物IVは、基本的に図4bで示されるような示差走査熱量測定グラフを有する。
前記多形物Vの示差走査熱量測定グラフは、258.31℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前記多形物Vは、基本的に図5bで示されるような示差走査熱量測定グラフを有する。
(6)多形物VI
前記多形物VIの示差走査熱量測定グラフは、259.38℃±2℃(または±1℃、または±0.5℃)に最大ピーク値を有する。
もう一つの好適な例において、前述多形物VIは、基本的に図6bで示されるような示差走査熱量測定グラフを有する。
活性成分
本発明の多形物は、非受容体型チロシンキナーゼ、たとえばJAKキナーゼに対する優れた抑制活性を有するため、本発明の多形物および本発明の多形物を主要活性成分として含む薬物組成物は、非受容体型チロシンキナーゼ、たとえばJAKキナーゼによる疾患の治療、予防および緩和に有用である。既存技術によれば、本発明に係る多形物は、癌、骨髓増殖性疾患や炎症などの疾患の治療に有用である。
ここで、「安全有効量」とは、化合物(又は多形物)の量が病状の顕著な改善に充分で、重度な副作用が生じないことを指す。通常、薬物組成物は、本発明の多形物を1〜2000mg/製剤で、好ましくは10〜200mg/製剤で含有する。好ましくは、前記の「製剤」は、カプセルまたは錠である。
これらの不活性希釈剤の他、組成物は助剤、たとえば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、矯味剤や香料を含んでもよい。
活性成分の他、懸濁液は、懸濁剤、例えば、エトキシ化イソオクタデカノール、ポリオキシエチレンソルビトールやソルビタンエステル、微晶質セルロース、メトキシアルミニウムや寒天またはこれらの物質の混合物などを含んでもよい。
1.一連のN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩、あるいはその溶媒和物の多形物を提供する。本発明に係る多形物は、多形物I〜VIを含む。
2.さらに、いくつかの多形物の使用を提供し、非受容体型チロシンキナーゼ(たとえばJAKキナーゼ)を抑制する薬物組成物の製造に有用で、癌、骨髓増殖性疾患や炎症などの疾患の治療に使用することができる。
500 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、無水エタノール5.0 mlを入れ、室温で懸濁させて撹拌した。室温で新しく調製した塩酸のエタノール溶液2.3ml(塩化水素濃度は40mg/ml)を滴下し、滴下完了後懸濁混合液を室温で2.5h撹拌を継続した。ろ過し、無水エタノールで洗浄し、固体を40±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、512 mgで、収率は87%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 10.15(s, 1H), 9.59(t, J=4.0Hz, 1H), 8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 8.30(d, J=8.0Hz, 2H), 8.09(d, J=8.0Hz, 2H), 7.98(d, J=8.0Hz, 2H), 7.85(d, J=8.0Hz, 2H), 7.59(d, J=4.0Hz, 1H), 4.36(d, J=4.0Hz, 2H),4.10(s, 4H)。
元素分析:C:55.89% H:5.79% N:16.74%。
その粉末X線回折パターンを図1aに、各ピークのパラメーターを表1に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図1bに、1H NMRのスペクトルを図1cに示す。
1.0gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、4.0mlの氷酢酸を入れ、室温で完全に溶解するまで撹拌し、室温で新しく調製された塩酸のエタノール溶液5.2ml(塩化水素濃度は40mg/ml)を滴下し、滴下完了後2h撹拌を継続し、固体が析出し、ろ過し、無水エタノールで洗浄し、固体を55±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、1.1 gで、収率は94%であった。その粉末X線回折パターンは図1aと同様である。
1.0gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、40mlの無水メタノールを入れ、室温で撹拌し、新しく調製された塩酸のエタノール溶液4.8ml(塩化水素濃度は40mg/ml)を滴下し、滴下完了後、ろ過し、ろ液を室温で2h撹拌を継続し、固体が析出し、ろ過し、無水メタノールで洗浄し、固体を55±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、0.88 gで、収率は75%であった。その粉末X線回折パターンは図1aと同様である。
500 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、5.0mlの無水メタノールに懸濁させて撹拌し、2当量をやや過ぎた濃塩酸をいれ、撹拌しながらゆっくり溶解させ、すぐ固体が析出し、50 mgの精製水を追加し、撹拌をろ過し、無水メタノールで16時間継続し、ろ過し、乾燥して黄色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、420 mgで、収率は72%であった。その粉末X線回折パターンは図1aと同様である。
34.0 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、ジメチルスルホキシド109 mlを入れ、室温で完全に溶解するまで撹拌した。室温で新しく調製した塩酸のエタノール溶液177 ml(塩化水素濃度は40 mg/ml)を滴下し、滴下完了後、室温で2h撹拌を継続し、固体が析出した。ろ過し、無水エタノールで洗浄し、55±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、38.1 gで、収率は92%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 10.12(s, 1H), 9.55(t, J=4.0Hz, 1H), 8.66(d, J=4.0Hz, 1H), 8.30(d, J=8.0Hz, 2H), 8.09(d, J=8.0Hz, 2H), 7.98(d, J=8.0Hz, 2H), 7.82(d, J=8.0Hz, 2H), 7.58(d, J=8.0Hz, 1H), 7.0(brs, 3H), 4.36(d, J=8.0Hz, 2H),4.09(s, 4H)。
元素分析:C:54.77% H:4.64% N:16.35%。
その粉末X線回折パターンを図2aに、各ピークのパラメーターを表2に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図2bに、1H NMRのスペクトルを図2cに示す。
302.0 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩(多形物I)のサンプルを取り、すり鉢で細かく研磨した後、湿度が90%超の環境に置いて4日間保存し、黄色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、312 gで、収率は99.7%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと一致する。
880 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、ジメチルスルホキシド3.15 Lを入れ、35℃で完全に溶解するまで撹拌した。室温で新しく調製した塩酸のアセトン溶液4.14 L(塩化水素濃度は40 mg/ml)を滴下した後、25 gの多形物IIの種晶を入れ、室温で2h撹拌を継続し、固体が析出した。ろ過し、アセトンで洗浄し、55±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、885.0 gで、収率は82%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと一致する。
1.0 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩(多形物I)のサンプルを取り、10 mlのアセトンおよび0.5 mlの精製水を入れ、室温で3h撹拌し、ろ過し、アセトンで洗浄し、室温で3h高真空乾燥を行い、黄色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、950 mgで、収率は92%であった。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明された。その粉末X線回折パターンは図2aと一致する。
四口フラスコにN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(2.0 g)、ジメチルスルホキシド(5 ml)を入れ、室温で完全に溶解するまで撹拌し、室温でそれにゆっくり新しく調製された塩酸のメタノール溶液10 ml(塩化水素濃度は40 mg/ml)を滴下し、滴下完了後5h撹拌を継続し、ろ過し、ケーキを無水メタノールで素早く洗浄し、55±5℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、1.92 gで、収率は79%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと同様である。
500mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩の固体(多形物I)を取り、3.0 mlの無水メタノールに懸濁させて撹拌し、ゆっくり0.25 mlの1M希塩酸を入れ、室温で一晩撹拌し、ろ過し、固体を無水メタノール(0.5 ml×2)および1M希塩酸(0.5 ml)で洗浄し、55±5℃で8h高真空乾燥を行い、固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、326 mgで、収率は63%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと同様である。
500 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの固体を取り、5.0 mlの無水メタノールに懸濁させて撹拌し、2当量をやや過ぎた濃塩酸(0.21 ml)を入れ、撹拌して完全に溶解したらすぐ20 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物の種晶(多形物II)を入れ、さらに50 mgの精製水を追加し、室温で4h撹拌し、ろ過し、固体を無水メタノールおよび1M希塩酸(0.5 ml)で洗浄し、乾燥し、固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、462 mgで、収率は76%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと同様である。
20Lのオートクレーブに1.465 kgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド、5.640 kgのジメチルスルホキシドを入れ、温度を40度程度に維持して完全に溶解するまで撹拌し、ろ過し、母液をオートクレーブに移し、そして一括して新しく調整された塩酸のアセトン溶液5.515 kg(0.765 kgの塩酸を4.750 kgのアセトンに入れた)を入れ、室温で4.5h撹拌し、ろ過し、アセトンで洗浄し、吸引乾燥し、固体を粉砕してオートクレーブに移し、アセトン(9.240 kg)および水(0.735 kg)を入れた。室温で2.5h撹拌を継続し、ろ過し、アセトンで洗浄し、55±5℃で高真空乾燥を行い、黄色固体を得、重さを測定したところ、1.470 kgで、収率は82%であった。その粉末X線回折パターンは図2aと一致する。
300 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、1mlのN-メチルピロリドンを入れ、完全に溶解させ、4.0 mlの無水エタノールを入れ、撹拌し、室温で新しく調製された塩酸のエタノール溶液1.0 ml(塩化水素濃度は40 mg/ml)を滴下し、滴下完了後2分間撹拌し、完全に溶解させ、室温で3h撹拌を継続し、固体が析出し、ろ過し、無水エタノールで洗浄し、室温で6h高真空乾燥を行い、灰白色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、285 mgで、収率は87%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 10.05(s, 1H), 9.54(t, J=4.0Hz, 1H), 8.64(d, J=4.0Hz, 1H), 8.29(d, J=8.0Hz, 2H), 8.08(d, J=8.0Hz, 2H), 7.95(d, J=8.0Hz, 2H), 7. 72-7.55(m, 3H), 4.37(d, J=4.0Hz, 2H),4.05(s, 4H)。
元素分析:C:60.42% H:6.23% N:17.90%。
その粉末X線回折パターンを図3aに、各ピークのパラメーターを表3に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図3bに、1H NMRのスペクトルを図3cに示す。
150 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物(多形物II)を取り、6mlの無水メタノールに懸濁させ、室温で24h撹拌し、濾過し、無水メタノールで洗浄し、固体を55±5℃で6h高真空乾燥を行い、灰白色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、130 mgで、収率は97%であった。その粉末X線回折パターンは図3aと同様である。
500 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの固体を取り、5 mlの無水メタノールに懸濁させ、1当量の濃塩酸(100μl)を入れ、室温で14h撹拌し、ろ過し、無水メタノールで洗浄し、乾燥し、固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、412 mgで、収率は76%であった。その粉末X線回折パターンは図3aと同様である。
200 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩(多形物I)を取り、2 mlの精製水を入れ、室温で12h撹拌し、結晶が析出し、ろ過し、アセトンで洗浄し、固体を室温で6h高真空乾燥を行い、灰白色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、156 mgで、収率は84%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 10.0(s, 1H), 9.49(t, J=4.0Hz, 1H), 8.64(d, J=4.0Hz, 1H), 8.30(d, J=8.0Hz, 2H), 8.07(d, J=8.0Hz, 2H), 7.92(d, J=8.0Hz, 2H), 7.63-7.54(m, 3H), 4.37(d, J=4.0Hz, 2H),4.01(s, 4H)。
元素分析:C:60.96% H:6.04% N:18.36%。
その粉末X線回折パターンを図4aに、各ピークのパラメーターを表4に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図4bに、1H NMRのスペクトルを図4cに示す。
600 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物(多形物II)のサンプルを取り、24.0 mlの精製水を入れ、撹拌してサンプルが完全に溶解し、室温で3h撹拌し、白色固体が析出し、ろ過し、テトラヒドロフランで洗浄し、室温で3h乾燥し、白色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、478 mgで、収率は89%であった。その粉末X線回折パターンは図4aと同様である。
1.0 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドを取り、5.0 mlの1M塩酸を入れ、室温で一晩撹拌し、白色固体が析出し、ろ過し、テトラヒドロフランで洗浄し、室温で3h高真空乾燥を行い、白色固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、0.8 gで、収率は74%であった。その粉末X線回折パターンは図4aと同様である。
500 mgのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物(多形物II)のサンプルを取り、メタノール/水(3.5 ml/1.5 ml)混合液に懸濁させて14h撹拌し、ろ過し、無水メタノールで洗浄し、40±5℃で高真空乾燥を行い、固体、すなわち、標題の結晶形の化合物を得、重さを測定したところ、375 mgで、収率は84%であった。その粉末X線回折パターンは図4aと同様である。
反応瓶にN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(50.0 g)およびジメチルスルホキシド(150 mL)を入れ、撹拌して溶解させた。上記溶液をゆっくり純水(500 mL)に滴下し、室温で2h撹拌した後ろ過し、ケーキを純水(0.5L × 3)洗浄し、なるべく吸引乾燥した。固体を70℃で6h高真空乾燥を行い、黄色固体を得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、重さを測定したところ、45.0 gで、収率は90%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 9.50(s, 1H), 9.34(t, J=4.0Hz, 1H), 8.54(d, J=4.0Hz, 1H), 8.27(d, J=8.0Hz, 2H), 8.03(d, J=8.0Hz, 2H), 7.66(d, J=8.0Hz, 2H), 7.40(d, J=8.0Hz, 1H), 6.92(d, J=8.0Hz, 2H), 4.36(d, J=8.0Hz, 2H),3.73(s, 4H)。
元素分析:C:66.08% H:5.40% N:19.91%。
その粉末X線回折パターンを図5aに、各ピークのパラメーターを表5に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図5bに、1H NMRのスペクトルを図5cに示す。
1.5 gのN-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物(多形物II)を取り、150 mlのpH6.8のリン酸緩衝液(薬局方の方法で調製された)に入れ、16h磁気撹拌し、ろ過し、pH6.8のリン酸緩衝液(5.0 ml × 2)で固体を洗浄し、50℃で8h真空乾燥を行い、黄色固体1.1 gを得た。
サンプリングして1H NMR、粉末X線回折、DSCなどによって検出し、標題の結晶形の化合物と証明され、収率は89%であった。
1H NMR(400MHz, DMSO-d6) δ 9.50(s, 1H), 9.35(t, J=4.0Hz, 1H), 8.53(d, J=4.0Hz, 1H), 8.26(d, J=8.0Hz, 2H), 8.02(d, J=8.0Hz, 2H), 7.66(d, J=8.0Hz, 2H), 7.40(d, J=8.0Hz, 1H), 6.92(d, J=8.0Hz, 2H), 4.35(d, J=8.0Hz, 2H),3.72(s, 4H)。
元素分析:C:65.63% H:5.59% N:20.05%。
その粉末X線回折パターンを図6aに、各ピークのパラメーターを表6に、示差走査熱量分析グラフ(DSC)を図6bに、1H NMRのスペクトルを図6cに示す。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物Iの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物Iと比較すると、多形物Iの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物IIの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物IIと比較すると、多形物IIの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物IIIの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物IIIと比較すると、多形物IIIの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物IVの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物IVと比較すると、多形物IVの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物Vの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物Vと比較すると、多形物Vの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
6か月の加速試験(試験条件:40±2℃、75%±5%RH)を行った結果、多形物VIの結晶形が非常に安定し、且つ製造直後の(0月)多形物VIと比較すると、多形物VIの純度がほとんど変わらず、終始99%以上で、分解の不純物が顕著にみられなかったことが示された。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩の多形物I(実施例1〜4) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩一水和物の多形物II(実施例5〜12) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド塩酸塩の多形物III(実施例13〜15) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミド二塩酸塩の多形物IV(実施例16〜19) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの多形物V(実施例20) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
N-(シアノメチル)-4-(2-(4-(2',2',6',6'-d4-モルホリル)フェニルアミノ)ピリミジン-4-イル)ベンズアミドの多形物VI(実施例21) 120g
でん粉 180g
微晶質セルロース 40g
通常の方法で、上記物質を均一に混合した後、普通のゼラチンカプセルに入れ、1000個のカプセルを得た。
薬物の吸湿性試験のガイドライン(中国薬典2010年版二部付録XIX J)に従って行った。
1.乾燥した蓋付きのガラス秤量瓶(外径60 mm、高さ30 mm)を4つ取り、試験の前の日に25℃±1℃の恒温恒湿箱内の下部にある硫酸アンモニウム飽和溶液を入れたガラス乾燥器(「恒温恒湿乾燥器」)に置いた。
2.各空の秤量瓶を蓋と「恒温恒湿乾燥器」内に24時間置いた後、セット(秤量瓶+蓋)でそれぞれ自重を精密に測り、m1とした。
3.多形物IIのサンプルを適量に取り、重量を測ったガラス秤量瓶内に平面に敷き(サンプルの厚さ約1 mm)、蓋をし、この時の各秤量瓶(秤量瓶+蓋+サンプル)の重量を精密に測り、m2とした。
3.各サンプルを「恒温恒湿乾燥器」内に24時間置いた後、この時の各秤量瓶(秤量瓶+蓋+サンプル)の重量を精密に測り、m3とした。
4.各サンプルの吸湿増重百分率(計算式は以下の通りである)を計算し、吸湿増重百分率が0.2%未満の場合、吸湿性がない、またはほとんどないと判定した。吸湿増重百分率が0.2%以上、2.0%未満の場合、やや吸湿性があると見なした。
増重百分率=[(m3- m2)/(m2- m1)]×100%
上記工程に従い、本発明に係る多形物IIの吸湿性を測定した結果、多形物IIの増重百分率は[(35.2826- 35.2801)/(35.2801- 34.2546)]×100%=0.24%であった。多形物IIはやや吸湿性があることがわかる。
実施例34の操作を繰り返し、相違点は多形物IIの代わりに本発明に係る多形物I、III〜VIを使用した結果、本発明に係る複数種の多形物はいずれも安定性が非常に良く、基本的に吸湿性がなく、多形物Iだけはやや吸湿性があることが見出された。
もう一つの好適な例において、前記の薬物組成物は、癌、骨髓増殖性疾患および炎症疾患の治療と予防に使用される。
Claims (15)
- 前記多形物は、式Iで表される化合物の塩酸塩の多形物Iであり、前記多形物Iは、5.426±0.2°、9.985±0.2°、13.424±0.2°、14.765±0.2°、25.148±0.2°および26.566±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 前記多形物は、式Iで表される化合物塩酸塩の溶媒和物の多形物IIであり、前記多形物IIは、17.249±0.2°、19.224±0.2°、23.885±0.2°および29.488±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 前記多形物は、式Iで表される化合物塩酸塩の多形物IIIであり、前記多形物IIIは、15.178±0.2°、20.705±0.2°、26.390±0.2°および28.088±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 前記多形物は、式Iで表される化合物塩酸塩の多形物IVであり、前記多形物IVは、12.493±0.2°、14.447±0.2°、17.627±0.2°、19.519±0.2°、23.231±0.2°、23.805±0.2°および24.831±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 前記多形物は、式Iで表される化合物の多形物Vであり、前記多形物Vは、13.621±0.2°、18.634±0.2°、20.331±0.2°、21.675±0.2°、22.621±0.2°および28.048±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 前記多形物は、式Iで表される化合物の多形物VIであり、前記多形物VIは、4.084±0.2°、18.832±0.2°、19.542±0.2°、20.529±0.2°および26.468±0.2°からなる群から選ばれる3個または3個以上の粉末X線回折の特徴ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の多形物。
- 請求項1から7までのいずれか1項に記載の多形物の使用であって、非受容体型チロシンキナーゼ(たとえばJAKキナーゼ)の薬物組成物の製造に用いられることを特徴とする使用。
- (a)請求項1〜7のうちのいずれかに記載の多形物と、
(b)薬学的に許容される担体と、
を含むことを特徴とする薬物組成物。 - 請求項1から7までのいずれか1項に記載の多形物の製造方法であって、式Iで表される化合物と酸を不活性溶媒において塩を形成して結晶させるか、又は式Iで表される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又はその溶媒和物を不活性溶媒において再結晶させることで、請求項1から7までのいずれか1項に記載の多形物を得る工程を含むことを特徴とする方法。
- 前記第一の混合物では、前記式I化合物と塩酸のモル比は、約1:1.8〜1:3、好ましくは1:1.9〜1:2.5、より好ましくは1:2.0〜1:2.4であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記アセトン/水の混合溶媒では、アセトンと水の体積比は、8:1〜50:1、好ましくは10:1〜30:1、より好ましくは12:1〜25:1であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記第一の溶媒は、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸、又はこれらの組み合わせからなる群から選ばれることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 請求項11に記載の方法であって、
(a)工程(3)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(b)工程(5)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(c)工程(6)において、温度は4〜35℃、好ましくは5〜30℃、より好ましくは10〜25℃であること、
(d)工程(2)において、塩酸のアセトン溶液の形態で、塩酸およびアセトンを入れ、好ましくは前記塩酸のアセトン溶液では、HClの含有量は0.1〜20wt%、好ましくは0.5〜15wt%、より好ましくは1〜10wt%(たとえば4wt%または5wt%)であること
からなる群から選ばれる一つまたは複数の特徴を有することを特徴とする方法。
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