JP2015112923A - 移動車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者の搭乗部を有する車体が左右いずれかの一方側に傾く角度を適切に制御しつつ、運転者が自身の体重移動により車体の傾きを変化させることを容易に行うことができる移動車両を提供する。
【解決手段】移動車両1は、車体3の後部側に2つの車輪5,5を有し、ロール駆動機構23のアクチュエータ33により車体3にロール駆動モーメントを作用させることができる。制御装置70は、アクチュエータ33の制御によって実現されるロール駆動モーメントの車体ロール角(車体3のロール方向の傾斜角)に対する関数特性が図6に示すような特性となるようにアクチュエータ33を制御する。
【選択図】図6

Description

本発明は、車体を傾動させることで旋回挙動を変化させることが可能な移動車両に関する。
運転者の搭乗部を有する車体を、運転者の体重移動またはアクチュエータにより左右に(ロール方向に)傾動させることが可能であると共に、前輪及び後輪の少なくとも一方側の車輪として、左右に間隔を存して配置された2つの車輪を備える移動車両が従来より知られている。
例えば、特許文献1,2には、前輪として1つの車輪を有すると共に後輪として2つの車輪(左右一対の車輪)を有し、車体が前輪と共に左右に傾動し得るように構成された3輪の移動車両が記載されている。
そして、特許文献1には、車両の停車時、あるいは、低車速走行時に、操舵輪である前輪の操舵角に応じたトルク(ロール方向のトルク)をアクチューエータにより車体に作用させる技術が提案されている。
また、特許文献2には、0〜5km/h(停車時又は低車速走行時)の車速状態において、重力と遠心力との合力の傾斜角度(傾動する車体フレーム側の中心面に対する傾斜角度)を傾斜センサで検出し、この傾斜角度の検出値に応じて、該傾斜角度をゼロにする(重心移動による倒れ方向モーメントと遠心力による起き方向モーメントとをバランスさせる)ように、アクチュエータを有するトルク付加機構により、車体フレーム側にロール方向のトルクを付与する技術が提案されている。
特開昭59−149878号公報 特開2005−88742号公報
しかしながら、前記特許文献1に見られる技術では、前輪(操舵輪)を操舵することで、傾動可能な車体に、ロール方向のトルクをアクチェータから作用させるようにしているため、車両の停車時等において車体が傾いた場合には、重力に起因して該車体に作用するモーメントに抗して該車体のさらなる傾きを防止し、あるいは、該車体の傾きを解消するためには、運転者が意図的に操舵輪を操舵しない限り、運転者自身が、該車体を支持しなければならない。
さらに、車体が傾いた場合に、運転者が誤って、車体の傾き側(右側又は左側)と逆向きに操舵輪を操舵してしまうと、車体の傾きをさらに増大させるトルクがアクチュエータから車体に作用するおそれがある。
また、前記特許文献2に見られる技術では、停車時又は低車速走行時に、車体の傾きが、常に、重心移動による倒れ方向モーメントと遠心力による起き方向モーメントとがバランスする傾きになるように、トルク付加機構による車体にトルクを付与するようにしているため、運転者が意識的に自身の体重移動により車体の傾きを変化させることを行い難くなる。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、運転者の搭乗部を有する車体が左右いずれかの一方側に傾く角度を適切に制御しつつ、運転者が自身の体重移動により車体の傾きを変化させることを容易に行うことができる移動車両を提供することを目的とする。
本発明の移動車両は、かかる目的を達成するために、運転者の搭乗部を有し、路面に対してロール方向に傾動自在な車体と、
該車体の前部側及び後部側の少なくともいずれか一方側に左右方向に間隔を存して配置された2つの車輪と、
アクチュエータを含み、該アクチュエータが出力する駆動力に応じて、ロール方向の路面反力モーメントであるロール駆動モーメントを前記車体に作用させるロール駆動機構とを備え、
走行中に、前記搭乗部に搭乗した運転者の左右方向への体重移動に応じて旋回挙動が変化する特性を有すると共に、停車中に、前記ロール駆動機構により前記車体に作用させる前記ロール駆動モーメントがゼロとなる状態では、前記車体をロール方向に傾斜させた場合に、重力に起因して前記車体に作用するロール方向のモーメントである重力モーメントによって該車体の傾斜がさらに増大する特性を有する移動車両であって、
少なくとも前記車体のロール方向の傾斜角である車体ロール角の観測値に応じて、前記ロール駆動モーメントを変化させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御する制御装置を備えており、
前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第1所定車速よりも大きい車速である場合に、前記制御装置による前記ロール駆動機構のアクチュエータの制御によって実現される前記ロール駆動モーメントの前記車体ロール角に対する関数特性が次の性質A、B及びCを有するように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
性質A:前記関数特性により規定されるロール駆動モーメント感度の大きさを大小に区分可能であり、前記車体ロール角の1つの範囲である第1車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさが小となり、該第1車体ロール角領域の上限値よりも大きい前記車体ロール角の範囲である第2車体ロール角領域と該第1車体ロール角領域の下限値よりも小さい前記車体ロール角の範囲である第3車体ロール角領域とにおけるロール駆動モーメント感度の大きさが大となる。
性質B:前記第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域における前記ロール駆動モーメントは、前記車体ロール角の観測値を前記第1車体ロール角領域内に近づける向きのモーメントである。
性質C:前記第1車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさは、重力モーメント感度の大きさよりも小さく、且つ、前記第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさは、重力モーメント感度の大きさよりも大きい。
ここで、本発明においては、前記車体ロール角の極性については、例えば、当該移動車両の直進走行状態での前記車体ロール角をゼロ、前記車体が右側及び左側の一方側に傾斜した状態での前記車体ロール角を正の角度、前記車体が右側及び左側の他方側に傾斜した状態での前記車体ロール角を負の角度と定義することができる。
また、本発明における「ロール駆動モーメント感度」は、前記車体ロール角の変化に対する前記ロール駆動モーメントの変化の感度を意味し、「重量モーメント感度」は、前記車体ロール角の変化に対する前記重力モーメントの変化の感度を意味する。
また、本明細書においては、移動車両に関する任意の状態量(前記車体ロール角等)の「観測値」は、該状態量の実際の値の検出値又は推定値を意味する。この場合、「検出値」は、当該状態量の実際の値を適宜のセンサにより検出してなる値を意味する。また、「推定値」は、当該状態量と相関性を有する他の1つ以上の状態量の検出値を用いて該相関性に基づいて推定した値、あるいは、当該状態量の実際の値に一致もしくはほぼ一致するとみなすことができる擬似的な推定値(例えば目標値)を意味する。
上記第1発明によれば、前記ロール駆動機構のアクチュエータの制御によって実現される前記ロール駆動モーメントの前記車体ロール角に対する関数特性が前記性質A、B及びCを有する。このため、前記車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域内に収まっている状態では、前記搭乗部に搭乗している運転者は、左右方向への体重移動により、実際の車体ロール角を容易に所望の向きに変化させることができる。
一方、前記車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域から逸脱している状態(換言すれば、前記車体ロール角の観測値が第2車体ロール角領域又は第3車体ロール角領域に存在する状態)では、車体ロール角の観測値が第1車体ロール角領域から遠ざかるに伴い、実際の車体ロール角を、前記第1車体ロール角領域内に戻すように機能するロール駆動モーメントが速やかに発生する。
このため、実際の車体ロール角が、第1車体ロール角領域内の傾斜角度からさらに乖離していく(車体が右側又は左側にさらに傾いていく)のが比較的強固に防止される。
従って、第1発明によれば、車体が左右いずれかの一方側に傾く角度を適切に制御しつつ、運転者が自身の体重移動により車体の傾きを変化させることを容易に行うことができる。
補足すると、第1発明では、当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速以下よりも大きいか否かによらずに、前記制御装置による前記ロール駆動機構のアクチュエータの制御によって実現される前記ロール駆動モーメントの前記車体ロール角に対する関数特性が前記性質A、B及びCを有するように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていてもよい。
前記第1発明では、前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第1所定車速よりも大きい車速である場合に、前記関数特性がさらに次の性質Dを有するように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第2発明)。
性質D:前記ロール駆動モーメントは、車体ロール角に対して単調に変化する。
ここで、第2発明において、前記ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して「単調に変化する」というのは、前記ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して、単調増加、又は単調減少することを意味する。
より詳しくは、例えば前記ロール駆動モーメントの正方向を車体ロール角の正方向と定義したとき、第2発明において、前記ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して「単調に変化する」というのは、ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して単調減少することを意味する。また、前記ロール駆動モーメントの正方向を車体ロール角の負方向と定義したとき、第2発明において、前記ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して「単調に変化する」というのは、ロール駆動モーメントが車体ロール角に対して単調増加することを意味する。
なお、上記単調減少又は単調増加は、広義の単調減少又は単調増加を意味している。従って、第2発明において、前記関数特性は、車体ロール角の一部の範囲(例えば前記第1車体ロール角領域)でのロール駆動モーメントが一定に維持されるような特性であってもよい。
かかる第2発明によれば、ロール駆動機構のアクチュエータの制御によって実現されるロール駆動モーメントを、車体ロール角の変化に対して連続的に変化させることができる。
前記第1発明又は第2発明では、前記制御装置は、当該移動車両の車速が小さいほど、前記関数特性における第1車体ロール角領域の幅が狭くなるように、前記車体ロール角の観測値と前記車速の観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第3発明)。
この第3発明によれば、移動車両の車速が小さいほど、第1車体ロール角領域の幅が狭くなるので、移動車両の車速が小さいほど、運転者自身が意識的に車体のロール方向の姿勢のバランスをとることを必要とすることなく、車体ロール角が一定もしくはほぼ一定に維持されやすくなるように、ロール駆動モーメントをロール駆動機構により発生させることができる。
そして、移動車両の車速が大きいほど、第1車体ロール角領域の幅が広くなるので、運転者は、自身の意識的な体重移動により車体ロール角を変化させ易くなって、移動車両の走行中の操縦性を高めることができる。
なお、第2発明では、前記制御装置は、当該移動車両の車速の変化に対して前記第1車体ロール角領域の幅が連続的に変化するように、前記車体ロール角の観測値と前記車速の観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい。
上記第3発明では、移動車両の車速が前記第1所定車速よりも大きい場合だけでなく、移動車両の車速が前記第1所定車速以下である状況でも、前記第1車体ロール角領域がゼロでない幅を有していてもよい。
ただし、第3発明では、前記制御装置は、当該移動車両の車速の観測値が前記第1所定車速以下となる状態において、前記第1車体ロール角領域の上限値及び下限値が互いに同一の値になり、且つ、当該同一の値よりも大きい車体ロール角の範囲と当該同一の値よりも小さい車体ロール角の範囲とをそれぞれ前記第2車体ロール角領域、第3車体ロール角領域となり、且つ、該第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域に関する前記性質B及びCを前記関数特性が有するように、前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第4発明)。
この第4発明によれば、移動車両の車速の観測値が前記第1所定車速以下となる状態、すなわち、移動車両の停車状態、もしくは、微小車速の状態において、車体ロール角を強固に一定に保つように、ロール駆動モーメントをロール駆動機構により発生させることができる。
また、前記第1〜第4発明では、前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合に、当該移動車両の直進走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値がゼロとなり、当該移動車両の旋回走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値が当該移動車両の旋回方向と同じ側に前記車体が傾斜した状態での車体ロール角の値となると共に当該移動車両に備えられた操舵輪の中立状態からの操舵角の大きさが大きいほど、前記第1車体ロール角領域の中心値の大きさが大きくなるように、前記車体ロール角の観測値と前記操舵角の観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第5発明)。
あるいは、前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合に、当該移動車両の直進走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値がゼロとなり、当該移動車両の旋回走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値が当該移動車両の旋回方向と同じ側に前記車体が傾斜した状態での車体ロール角の値となると共に当該移動車両のヨーレートの大きさが大きいほど、前記第1車体ロール角領域の中心値の大きさが大きくなるように、前記車体ロール角の観測値と前記ヨーレートの観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第6発明)。
ここで、移動車両の旋回走行状態では、車体及び運転者に作用する遠心力に抗するために、車体を旋回方向と同じ側(右側又は左側)に傾ける必要がある。
なお、第5発明又は第6発明において、移動車両の旋回方向と同じ側というのは、移動車両の右側への旋回走行時(上方から見て時計周り方向の旋回走行時)には、右側を意味し、移動車両の左側への旋回走行時(上方から見て反時計周り方向の旋回走行時)には、左側を意味する。
そして、第5発明又は第6発明によれば、移動車両の旋回方向と逆側に車体が傾き難くなると共に、車体が旋回方向と同じ側に傾く角度を適切に制限できる。また、実際の車体ロール角が前記第1車体ロール角領域内にある状態では、運転者は意識的な体重移動により車体ロール角を所望の角度に容易に操作することができる。ひいては、移動車両の旋回挙動を運転者が意識的に変化させることができる。
上記第5発明又は第6発明では、前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合における当該移動車両の旋回走行時に、前記第1車体ロール角領域の上限値及び下限値のうち、当該移動車両の旋回方向と同じ側の限界値が、該旋回方向と反対側の限界値よりも基準車体ロール角により近い値となるように、前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第7発明)。
ここで、上記「基準車体ロール角」は、当該移動車両の旋回走行時における遠心力に起因して前記車体に作用するロール方向のモーメントである遠心力モーメントと前記重力モーメントとが釣り合う前記車体ロール角の値を意味する。
かかる第7発明によれば、移動車両の旋回走行時に、旋回方向と同じ側への車体の傾きが、前記基準車体ロール角よりもさらに増大しようとすると、該車体のさらなる傾きを防止するように機能するロール駆動モーメントを速やかに発生させることができる。
このため、移動車両の旋回走行時に、車体が旋回方向と同じ側に傾く角度を好適に制限できる。
また、前記第1〜第7発明では、前記制御装置は、前記車体ロール角の観測値が、前記第1車体ロール角領域内にある状態で、例えば、前記ロール駆動モーメントをゼロとするように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていてもよい。
ただし、前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第2所定車速よりも大きい車速である場合に、前記車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域内の値となる状況で、前記車体ロール角の観測値を前記基準車体ロール角に近づけるように、前記車体ロール角の観測値と前記基準車体ロール角との偏差に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第8発明)。
ここで、第8発明における「基準車体ロール角」の意味は、前記第7発明における「基準車体ロール角」と同じである。また、第8発明では、当該移動車両の直進走行時の前記基準車体ロール角がゼロと定義される。
この第8発明によれば、実際の車体ロール角が前記第1車体ロール角領域内に収まっている状況で、実際の車体ロール角が基準車体ロール角からずれていると、実際の車体ロール角を基準車体ロール角に近づけるように機能するロール駆動モーメントを、運転者の体重移動による車体の傾動を行い得る状態で、弱めに発生させることができる。
このため、この場合、実際の車体ロール角が前記第1車体ロール角領域内に収まっている状況で、実際の車体のロール角が、基準車体ロール角付近の傾斜角度に保たれやすくなる。
上記第8発明では、当該移動車両の実際の車速が第2所定車速よりも大きい車速である場合だけでなく、該実際の車速が第2所定車速以下である場合でも、前記車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域内の値となる状況で、前記車体ロール角の観測値を前記基準車体ロール角に近づけるように、前記車体ロール角の観測値と前記基準車体ロール角との偏差に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように前記制御装置を構成することもできる。
ただし、前記制御装置は、当該移動車両の実際の車速が前記第2所定車速以下の車速である場合に、前記基準車体ロール角が当該移動車両に備えられた操舵輪の中立状態からの操舵角と同じ側への車体ロール角の値となるように、該操舵角の観測値に応じて前記基準車体ロール角を設定し、該基準車体ロール角に前記車体ロール角の観測値を近づけるように該基準車体ロール角と前記車体ロール角の観測値との偏差に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることが好ましい(第9発明)。
なお、第9発明において、操舵輪の中立状態からの操舵角と同じ側への車体ロール角というのは、操舵輪が中立状態から右側又は左側に操舵されることに応じた当該移動車両の旋回方向と同じ側に車体が傾いた状態の車体ロール角を意味する。
この第9発明によれば、例えば、移動車両の発進直後に該移動車両の旋回走行を行うために、該移動車両の発進前から前記操舵輪を中立状態から操舵した状況で、該移動車両の発進を行った場合に、車体が旋回方向と同じ側に傾き易くなる。従って、移動車両の発進直後に車体が旋回方向と逆側に傾くの予防することができる。
前記第1〜第7発明では、前記制御装置は、より具体的には、例えば次のような構成を採用することができる。
すなわち、前記制御装置は、例えば、前記第1車体ロール角領域を設定する車体ロール角領域設定手段と、前記設定された第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱状態を示す逸脱状態量を算出する車体ロール角逸脱状態量算出手段と、前記車体ロール角の観測値の逸脱を低減する前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第1操作量を、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角の時間的変化率である車体ロール角速度の観測値とに応じて決定する第1操作量決定手段とを備えており、少なくとも前記決定された第1操作量に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成される(第10発明)。
なお、上記逸脱状態は、第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱の有無、該逸脱の度合、該逸脱の方向等の状態である。
この第10発明によれば、前記制御装置は、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と車体ロール角速度の観測値とに応じて前記第1操作量を決定して、該第1操作量に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御する。
これにより、少なくとも車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域から逸脱した場合に、該車体ロール角の観測値を第1車体ロール角領域内に戻すように機能するロール駆動モーメントを、フィードバック制御手法により適切に発生させることができる。
また、前記算出された逸脱状態量と車体ロール角速度の観測値とに応じて前記第1操作量を決定する場合には、車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域から逸脱した場合等に、実際の車体ロール角の変化を素早く制動することが可能となる。
また、前記第8発明又は第9発明では、前記制御装置は、より具体的には、例えば次のような構成を採用することができる。
すなわち、前記制御装置は、例えば、前記第1車体ロール角領域を設定する車体ロール角領域設定手段と、前記設定された第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱状態を示す逸脱状態量を算出する車体ロール角逸脱状態量算出手段と、前記車体ロール角の観測値の逸脱を低減する前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第1操作量を、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角の時間的変化率である車体ロール角速度の観測値とに応じて決定する第1操作量決定手段と、前記基準車体ロール角を設定する基準車体ロール角設定手段と、前記設定された基準車体ロール角と前記車体ロール角の観測値との偏差をゼロに近づける前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第2操作量を、少なくとも前記偏差に応じて決定する第2操作量決定手段とを備えており、少なくとも前記決定された第1操作量及び第2操作量の合成値に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成される(第11発明)。
なお、上記逸脱状態は、第10発明における「逸脱状態」と同様に、第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱の有無、該逸脱の度合、該逸脱の方向等の状態である。
この第11発明によれば、前記制御装置は、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と車体ロール角速度の観測値とに応じて前記第1操作量を決定すると共に、前記設定された基準車体ロール角と前記車体ロール角の観測値との偏差に応じて前記第2操作量を決定し、これらの第1操作量及び第2操作量の合成値に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御する。
これにより、少なくとも車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域から逸脱した場合に、該車体ロール角の観測値を第1車体ロール角領域内に戻すように機能するロール駆動モーメントを、フィードバック制御手法により適切に発生させることができる。
さらに、車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域内に収まっている場合に、該車体ロール角の観測値を基準車体ロール角に近づける(前記偏差をゼロに近づける)ように機能するロール駆動モーメントを、フィードバック制御手法により適切に発生させることができる。
また、前記第10発明又は第11発明では、前記第1操作量決定手段は、前記第1操作量を、前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角速度の観測値とに応じて決定するように構成されていると共に、前記車体ロール角の観測値が前記設定された第1車体ロール角領域内で該第1車体ロール角領域の上限値寄りの値又は下限値寄り値となっている場合に、前記車体ロール角速度をゼロに近づけるように該車体ロール角速度の観測値に応じて前記第1操作量を決定するように構成されていることが好ましい(第12発明)。
この第12発明によれば、前記車体ロール角の観測値が第1車体ロール角領域内から上限値側又は下限値側に逸脱しそうな状況で、車体ロール角の変化を制動するロール駆動モーメントを発生させることができる。
このため、実際の車体ロール角が第1車体ロール角領域から逸脱しそうな場合に、その逸脱を予防することができる。
本発明の実施形態の移動車両の構造を示す図。 図1の移動車両に備えたロール駆動機構の構成を示す斜視図。 図1の移動車両の制御に関する構成を示すブロック図。 図3に示す目標ロール駆動モーメント決定部の処理を説明するためのブロック線図。 (a)〜(c)は第1実施形態において、図4に示す許容車体ロール角領域決定部及び基準車体ロール角決定部の処理を説明するためのグラフ。 (a),(b)は車体ロール角に対するロール駆動モーメントの関数特性の例を示すグラフ。 図3に示すモータ指令決定部の処理を説明するためのブロック線図。 (a)〜(c)は第2実施形態において、図4に示す許容車体ロール角領域決定部及び基準車体ロール角決定部の処理を説明するためのグラフ。 (a),(b)は第3実施形態を説明するためのグラフ。 (a)〜(c)は変形態様を説明するためのグラフ。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。
まず、本実施形態の移動車両の構造を図1及び図2を参照して説明する。
本実施形態の移動車両1は、図1に示すように、運転者の搭乗部2を有するフレーム構造の車体3と、車体3の前部側に前輪として配置された1つの車輪4(以降、前輪4という)と、車体3の後部側に後輪として配置された2つの車輪5,5(以降、後輪5,5という)とを備える3輪の車両である。
2つの後輪5,5は、車体3の左右方向(図1の紙面に垂直な方向)に間隔を存して配置されている。
本実施形態の移動車両1では、前輪4が操舵輪である。さらに、後輪5,5が駆動輪である。
なお、図1は、前輪4の車軸中心線(回転軸心)と、後輪5,5の車軸中心線(回転軸心)とが互いに平行となり、且つ、前輪4及び後輪5,5が直立姿勢で路面上に起立している状態の移動車両1(換言すれば、直進走行時の姿勢状態の移動車両1。以降、この姿勢状態を基本姿勢状態という)を側面視で示す図である。このため、図1では、2つの後輪5,5のうちの左側の車輪5は、右側の車輪5の背後に隠れている。
搭乗部2は、運転者が着座するシートとして構成され、車体3の前端部と後端部との間の中間部に組付けられている。そして、搭乗部2に着座した運転者は、その左右の足平部を搭乗部2と車体3の前端部との間の箇所で、車体3(又は車体3に組付けられたステップ)に載せることが可能となっている。
また、車体3の後端部には、各種運搬物等を搭載するボックス状の荷物搭載部6が装着されている。なお、荷物搭載部6は、露出した荷台であってもよい。
車体3の前端部には、前輪4の操舵軸線としての斜め上下方向の軸心を有するヘッドパイプ11が形成されている。該ヘッドパイプ11は、前輪4の後側上方に配置されている。そして、前輪4をその車軸中心線周りに回転自在に支持する前輪支持機構12がヘッドパイプ11に組付けられている。
前輪支持機構12は、例えばダンパー等のサスペンション機構を含むフロントフォーク機構により構成され、前輪4と共にヘッドパイプ11の軸心周り(操舵軸線周り)に回転し得るようにヘッドパイプ11に組付けられている。前輪支持機構12が前輪4と共にヘッドパイプ11の軸心周り(操舵軸線周り)に回転することで、前輪4の操舵がなされる。従って、前輪4は、前輪支持機構12を介して操舵可能に車体3に取り付けられている。
なお、前輪支持機構12の具体的な構造としては、例えば通常の自動二輪車の一般的な前輪支持機構と同様の構造を採用できる。
また、ヘッドパイプ11の上側には、運転者が把持するバー状のハンドル13が配置されている。そして、ハンドル13が、前輪支持機構12と一体に操舵軸線周りに回転し得るようにヘッドパイプ11に組み付けられている。
詳細な図示は省略するが、ハンドル13には、アクセルグリップ、ブレーキレバー、方向指示器スイッチ等が組み付けられている。
なお、前輪支持機構12の回転角とハンドル13の回転角との比率が1以外の比率となるように、前輪支持機構12とハンドル13との間に減速機等の回転伝達機構が介在されていてもよい。
車体3の後端部の下方に、左右の後輪5,5が配置されている。そして、該後輪5,5の間の箇所に、移動車両1の動力源たる原動機ユニット21が配置されている。この原動機ユニット21には、該原動機ユニット21の上側を覆うようにカバー部材22が装着されている。
詳細な図示は省略するが、原動機ユニット21は、エンジンあるいは電動モータ等により構成される原動機から、駆動輪としての後輪5,5に、その車軸中心線周りの回転駆動力が伝達されるように該後輪5,5に接続されている。
かかる原動機ユニット21及び後輪5,5の具体的な接続構造としては、例えば前記特許文献2等に記載された構造のものを採用することができる。
原動機ユニット21は、ロール駆動機構23を介して車体3に連結されている。従って、後輪5,5は、これを回転自在に支持する後輪支持機構として機能する原動機ユニット21と、ロール駆動機構23とを介して車体3に取り付けられている。
ロール駆動機構23は、路面に対して車体3がロール方向(車体3の前後方向の軸であるロール軸周りの方向)に傾動自在となるように原動機ユニット21を車体3に連結すると共に、アクチュエータの駆動力によって、該車体3にロール方向の路面反力モーメントを作用させる機構である。
このロール駆動機構23は、本実施形態では次のように構成されている。図2を参照して、ロール駆動機構23は、原動機ユニット21に固定される後輪側固定ユニット31と、後輪側固定ユニット31に対してロール方向に回転可能に組付けられた回転ユニット32と、アクチュエータとしての電動モータ33と、電動モータ33が出力する駆動力(回転駆動力)を回転ユニット32に伝達する動力伝達機構34とを主要構成として備える。
後輪側固定ユニット31は、左右方向に間隔を存して原動機ユニット21にネジ等により固定される一対の板部材35,35と、該板部材35,35の間に、軸心C1を前後方向に向けた状態で配置された軸部材36とを備える。軸部材36は、その外周部が板部材35,35に固定されている。
そして、軸部材36の前端側に配置された回転ユニット32が、軸部材36の軸心C1周りに回転し得るように、ベアリング等を介して軸部材36に連結されている。
回転ユニット32は、軸部材36側から前方に向かって延在し、その先端側の部分が、左右方向に間隔を有する二股状に形成されている。さらに、その二股状の部分の先端には、回転ユニット32を車体3に連結するための取付穴37,37が左右方向の軸心を有するように形成されている。そして、回転ユニット32は、車体3に対して取付穴37,37の軸心周りにピッチ方向に揺動し得るように、取付穴37,37を介して車体3(詳しくは、車体3の前後方向の中間部分)に取り付けられている(図1を参照)。
このため、車体3は、後輪5,5に対して(ひいては後輪5,5が接地する路面に対して)、前記軸部材36の軸心C1周りにロール方向に傾動可能となっていると共に、前記取付穴37,37の軸心周りにピッチ方向に揺動可能となっている。
さらに、回転ユニット32の上面部には、図1に示すダンパー38を連結するための取付穴39が左右方向の軸心を有するように形成されている。ダンパー38は、図1に示すように、その下端部が取付穴39を介して回転ユニット32に軸支されると共に、上端部が車体3に軸支されている。これにより、後輪5,5に対する車体3のピッチ方向の揺動がダンパー38により制動されるようになっている。
電動モータ33は、その軸心(ロータの回転軸心)を前記軸部材36の軸心C1と同方向に向けた状態で、前記板部材35,35の一方側、例えば右側の板部材35の側方に配置されている。そして、電動モータ33のハウジングは、該電動モータ33の出力側の端部に装着された減速機41のハウジングを介して右側の板部材35に固定されている。
動力伝達機構34は、上記減速機41を有する共に、カップリング44、駆動側クランクアーム45、連結ロッド46、及び被動側クランクアーム47を有し、該減速機41に電動モータ33から入力される回転駆動力を、カップリング44、駆動側クランクアーム45、連結ロッド46、及び被動側クランクアーム47を介して回転ユニット32に伝達するように構成されている。
さらに詳細には、減速機41から前方側に突出された出力軸42の先端側の部分に、カップリング44の入力部となる環状プレート43が固定されている。さらに環状プレート43の後方側に、該環状プレート43と出力軸42の軸心方向に間隔を存して、カップリング44の出力部となる板状の駆動側クランクアーム45が配置されている。この駆動側クランクアーム45は、出力軸42に対して相対回転し得るように、ベアリング等を介して該出力軸42の外周に支承されている。
そして、環状プレート43と駆動側クランクアーム45との間にカップリング44が介装されている。このカップリング44は、駆動側クランクアーム45と環状プレート43とのそれぞれの対向面に形成した凹凸をゴム等の複数の弾性部材43aを介して噛み合わせた構造のものである。従って、カップリング44は、環状プレート43と駆動側クランクアーム45との間の回転駆動力の伝達を、弾性部材43aの弾性力を介して行うように構成されている。
被動側クランクアーム47は、駆動側クランクアーム45と左右方向に間隔を存して並ぶようにして前記回転ユニット32の上面部に突設されている。そして、被動側クランクアーム47は、連結ロッド46を介して駆動側クランクアーム45に連結されている。
この場合、連結ロッド46の駆動側クランクアーム45側の端部は、出力軸42の軸心と偏心した軸心周りに回転可能に駆動側クランクアーム45に軸支され、連結ロッド46の被動側クランクアーム47側の端部は、前記軸部材36の軸心C1と偏心した軸心周りに回転可能に被動側クランクアーム47に軸支されている。
動力伝達機構34は、以上の如く構成されているので、電動モータ33から減速機41を介して出力軸42に出力する回転駆動力を、環状プレート43、カップリング44、駆動側クランクアーム45、連結ロッド46、及び被動側クランクアーム47を介して回転ユニット32に伝達し、さらに該回転ユニット32を介して車体3に伝達するように構成されている。
この場合、電動モータ33のハウジング(該ハウジングには電動モータ33のステータが固定されている)が、後輪5,5が接続されている原動機ユニット21に、後輪側固定ユニット31を介して固定されているので、電動モータ33から車体3への回転駆動力の伝達によって、車体3にロール方向の路面反力モーメントが作用することとなる。
補足すると、ロール駆動機構23のアクチュエータとして、回転駆動力を出力する電動モータ33の代わりに、油圧式のロータリアクチュエータを使用したり、あるいは、電動式もしくは油圧式の直動型のアクチュエータを使用してもよい。
また、ロール駆動機構23は、上記と異なる構成で、車体3にロール方向の回転駆動力を付与し得るように構成されていてもよい。例えば、動力伝達機構34として、複数のギヤを備える機構、あるいは、回転伝達をベルトもしくはチェーンを介して行う機構等を採用してもよい。
移動車両1は、以上説明した機構的な構成の他、車体3のロール方向の姿勢(傾斜)の制御及び電動モータ33の動作制御のための構成として次のような構成を備えている。
すなわち、移動車両1は、該移動車両1の運動状態を観測(検出又は推定)するためのセンサとして、図3に示す如く、前輪4の操舵角を観測するための操舵角センサ61と、移動車両1の車速を観測するための車速センサ62と、車体3のロール方向の傾斜角(重力方向に対する傾斜角)である車体ロール角を観測するための車体ロール角センサ63と、車体3のヨーレートを観測するためのヨーレートセンサ64とを備える。
さらに移動車両1は、前記カップリング44の入力側の環状プレート43と出力側の駆動側クランクアーム45との間の相対回転角度(以降、カップリング捩れ角という)を観測するためのカップリング捩れ角センサ65と、電動モータ33のロータの回転速度(又は前記出力軸42の回転速度)を観測するためのモータ側回転速度センサ66とを備える。
また、移動車両1は、電動モータ33を制御することで、車体3のロール方向の姿勢制御を行う制御装置70を備え、この制御装置70に上記の各センサ61〜66の出力信号が入力される。該制御装置70は、CPU、RAM、ROM等を含む電子回路ユニットにより構成されており、各センサ61〜66の出力信号から、それぞれに対応する状態量(操舵角、車速等)の観測値を認識して取得する機能を有する。
操舵角センサ61は、例えばロータリエンコーダ、ポテンショメータ等により構成され、図1に示す如く、前輪4の操舵角(前輪支持機構12又はハンドル13の回転角)に応じた信号を出力するように、車体3の前端部のヘッドパイプ11に組み付けられている。
なお、以降の説明では、操舵角センサ61の出力信号から認識される操舵角の値及びその極性については、移動車両1の前記基本姿勢状態(直進走行時の姿勢状態)での前輪4の操舵角(中立操舵角)をゼロ、前輪4を中立操舵角から右向き(上方から見て時計周りの向き)に操舵した場合の操舵角を正の操舵角、前輪4を中立操舵角から左向き(上方から見て反時計周りの向き)に操舵した場合の操舵角を負の操舵角と定義する。
車速センサ62は、例えばロータリエンコーダにより構成され、図1に示す如く前輪4の回転速度に応じた信号を出力するように移動車両1に搭載されている。本実施形態の例では、前輪4の回転に連動して回転するように該前輪4の上面に接触されたローラ51が前輪支持機構12に取り付けられている。そして、車速センサ62は、該ローラ51の回転速度(これは前輪4の回転速度に比例する)に応じた信号を出力するように、該ローラ51の回転軸部に装着されている。
この場合、制御装置70は、車速センサ62の信号により示されるローラ51の回転速度をあらかじめ定められた演算式又はマップにより車速に換算することで、該車速の観測値を取得する。
なお、車速センサ62を構成するロータリエンコーダは、例えば前輪4の車軸に装着されていてよい。あるいは、該ロータリエンコーダは、例えば後輪5の回転速度に応じた検出信号を出力するように移動車両1に搭載されていてもよい。さらには、車速センサ62は、ロータリエンコーダ以外のセンサにより構成されていてもよい。
車体ロール角センサ63は、例えば加速度センサとジャイロセンサ(角速度センサ)とから構成されており、図1に示すように、前輪4と後輪5,5との間で車体3の下部に組み付けられている。この場合、制御装置70は、これらの加速度センサ及びジャイロセンサの出力から所定の演算処理を行うことで、車体ロール角の観測値を取得する。この場合の具体的な演算処理の手法としては、例えば特許4181113号にて本願出願人が提案した手法を採用することができる。
なお、以降の説明では、車体ロール角センサ63の出力信号から認識される車体ロール角の値及びその極性については、移動車両1の前記基本姿勢状態(直進走行時の姿勢状態)での車体ロール角をゼロ、車体3が基本姿勢状態から右側(移動車両1を後方から見て右側)に傾斜した場合した車体ロール角を正の車体ロール角、車体3が基本姿勢状態から左側(移動車両1を後方から見て左側)に傾斜した場合した車体ロール角を負の車体ロール角と定義する。
補足すると、本実施形態では、車体ロール角センサ63は、車体ロール角の時間的変化率である車体ロール角速度を検出するためのセンサとしても利用される。車体ロール角速度の観測値は、車体ロール角センサ63の出力から車体ロール角速度の観測値を算出する演算処理により、あるいは、車体ロール角の観測値の時間的変化率を算出する処理(微分演算処理)により取得することができる。
ヨーレートセンサ64は、ジャイロセンサ等により構成されており、図1に示すように、前輪4と後輪5,5との間で車体3の下部に組み付けられている。なお、車体ロール角センサ63がその構成要素としてヨー方向の角速度に応じた信号を出力を発生するジャイロセンサを備える場合には、ヨーレートセンサ64を省略し、車体ロール角センサ63の出力信号から、ヨーレートの観測値を制御装置70で取得するようにしてもよい。
なお、以降の説明では、ヨーレートセンサ64の出力信号から認識されるヨーレートのの極性については、移動車両1の右側への旋回走行時(上方から見て時計周り方向の旋回走行時)に発生するヨーレートを正のヨーレート、移動車両1の左側への旋回走行時(上方から見て反時計周り方向の旋回走行時)に発生するヨーレートを負のヨーレートと定義する。
カップリング捩れ角センサ65は、例えばロータリーエンコーダ、ポテンショメータ等により構成され、図2に示すように、カップリング捩れ角に応じた信号を出力するように、ロール駆動機構23の動力伝達機構34の環状プレート43にカップリング44と反対側で装着されている。
なお、カップリング捩れ角センサ65は、例えば、出力軸42又は環状プレート43の回転角度に応じた信号を出力するセンサと、駆動側クランクアーム45の回転角度に応じた信号を出力するセンサとで構成されていてもよい。
モータ側回転速度センサ66は、例えばロータリーエンコーダ等により構成され、図2に示すように、電動モータ33のロータの回転速度(これは出力軸42の回転速度に比例する)に応じた信号を出力するように、電動モータ33に装着されている。
制御装置70は、移動車両1の適所に搭載されている。例えば、図1に示すように、制御装置70は、前記荷物搭載部6に搭載されている。この制御装置70は、実装されるプログラムにより実現される機能、又はハードウェア構成により実現される機能として、操舵角等の状態量の観測値を取得する機能の他、車体3に作用させるロール方向の路面反力モーメントの目標値である目標ロール駆動モーメントを逐次決定する目標ロール駆動モーメント決定部71と、目標ロール駆動モーメントに応じて電動モータ33の制御指令であるモータ指令を逐次決定するモータ指令決定部72とを備える。該モータ指令は、例えば電動モータ33のトルク指令値(出力トルクの目標値)である。
なお、図示は省略するが、移動車両1には、制御装置70及び電動モータ33等の電源となるバッテリも搭載されている。
次に、制御装置70の制御処理を中心に本実施形態の移動車両1の作動を説明する。
なお、以降の説明では、車体ロール角等の状態量を示す参照符号のうち、“_act”という添え字を付したものは、該状態量の実際の値又はその観測値(検出値又は推定値)を意味する参照符号として使用する。また、“_cmd”という添え字を付した参照符号は、目標値を示す参照符号として使用する。
移動車両1の図示しない起動スイッチを投入することで、原動機ユニット21と制御装置70とが起動する。
この起動状態で、搭乗部2に着座した運転者がハンドル13のアクセルグリップを操作することで、原動機ユニット21により後輪5,5が回転駆動される。これにより移動車両1の走行が行われる。
また、起動した制御装置70は、前記各センサ61〜66の出力を取得しつつ、目標ロール駆動モーメント決定部71の処理を実行することで、目標ロール駆動モーメントを所定の制御処理周期で逐次決定する。さらに、制御装置70は、目標ロール駆動モーメントに応じてモータ指令決定部72の処理を実行することで、モータ指令を所定の制御処理周期で逐次決定する。
そして、制御装置70は、モータ指令に応じて、電動モータ33の通電電流を図示しないモータ駆動回路を介してフィードバック制御することで、電動モータ33の出力トルクを、モータ指令により示されるトルク指令値に追従させるように制御する。これにより、車体3に実際に作用するロール方向の路面反力モーメントが目標ロール駆動モーメントに追従するように制御される。
制御装置70の目標ロール駆動モーメント決定部71及びモータ指令決定部72の処理は、以下に説明するように実行される。
まず、目標ロール駆動モーメント決定部71の処理を説明する。目標ロール駆動モーメント決定部71の処理を概略的に説明すると、目標ロール駆動モーメント決定部71は、実際の車体ロール角が適切な範囲から逸脱した状況、もしくはその逸脱が発生する虞がある状況で、当該逸脱を防止する(詳しくは、実際の車体ロール角を適切な範囲内に復元させ、もしくは、該車体ロール角を適切な範囲内に留まらせる)ように目標ロール駆動モーメントMd_cmdを決定する。
上記適切な範囲は、移動車両1の理想的(最適)と考えられる挙動特性もしくは設計的な目標とする挙動特性を実現し得る車体ロール角(以降、基準車体ロール角という)の近辺の角度範囲(基準車体ロール角から乖離し過ぎない角度範囲)である。該基準車体ロール角は、本実施形態では、例えば重力モーメントと遠心力モーメントとが釣り合って、それらの合成モーメントがゼロとなるような車体ロール角もしくはそれに近い車体ロール角である。
ここで、上記重力モーメントは、より詳しくは、移動車両1及びこれに搭乗している運転者の全体の重心に作用する重力に起因して車体3に作用するロール方向のモーメントである。また、上記遠心力モーンメントは、より詳しくは、移動車両1の旋回走行時に移動車両1及びこれに搭乗している運転者の全体の重心に作用する遠心力に起因して車体3に作用するロール方向のモーメントである。
補足すると、移動車両1の直進走行時の遠心力モーメントはゼロであるので、上記合成モーメントは重力モーメントに一致する。
また、目標ロール駆動モーメント決定部71は、実際の車体ロール角が上記適切な範囲に収まっている状況では、運転者の体重移動(移動車両1及び運転者の全体の重心の左右方向への移動)による車体3のロール方向の傾動を抑制しないか、もしくはその抑制力が十分に小さなものとなるように、目標ロール駆動モーメントを決定する。
かかる目標ロール駆動モーメント決定部71は、図4のブロック線図で示す処理によって、目標ロール駆動モーメントMd_cmdを逐次決定する。
この場合、目標ロール駆動モーメント決定部71には、図4に示すように、車体ロール角センサ63の出力から制御装置70が認識する車体ロール角θbの値θb_act(観測値)及び車体ロール角速度θb_dotの値θb_dot_act(観測値)と、車速センサ62の出力から制御装置70が認識する移動車両1の車速Vの値V_act(観測値)と、操舵角センサ61の出力から制御装置70が認識する前輪4の操舵角δの値δ_act(観測値)とが逐次入力される。
なお、図4において、目標ロール駆動モーメント決定部71への入力値として括弧付きで記載されているヨーレートωzの値ωz_act(観測値)は、後述の実施形態に関するものである。本実施形態では、ヨーレートωz_actは目標ロール駆動モーメント決定部71の処理で使用されないので、前記ヨーレートセンサ64は省略されていてもよい。
そして、目標ロール駆動モーメント決定部71は、車体ロール角の適切な範囲としての許容車体ロール角領域を決定する許容車体ロール角領域決定部81の処理と、前記基準車体ロール角を決定する基準車体ロール角決定部82の処理と、目標ロール駆動モーメントMd_cmdの主成分Md1として、車体ロール角θb_actの許容車体ロール角領域からの逸脱を防止するように機能するロール駆動モーメントMd1(以降、ロール駆動主成分モーメントMd1という)を決定する第1ロール駆動モーメント算出部83の処理と、目標ロール駆動モーメントMd_cmdの付加的な副成分として、車体ロール角θb_actを基準車体ロール角に近づけるように機能するロール駆動モーメントMd2(以降、ロール駆動副成分モーメントMd2という)を決定する第2ロール駆動モーメント算出部84の処理と、ロール駆動主成分モーメントMd1とロール駆動副成分モーメントMd2とを合成する(加え合わせる)モーメント合成部85の処理とを所定の制御処理周期で逐次実行することで、目標ロール駆動モーメントMd_cmdを逐次決定する。
さらに詳細には、目標ロール駆動モーメント決定部71は、各制御処理周期において、まず、許容車体ロール角領域決定部81及び基準車体ロール角決定部82の処理を実行する。
基準車体ロール角決定部82は、入力される車速V_act及び操舵角δ_actの現在値(最新値)の応じて、あらかじめ作成されたマップ(又は演算式)により基準車体ロール角θb_baseを決定する。
基準車体ロール角θb_baseの決定用の上記マップ(又は演算式)は、車速V及び操舵角δの任意の値と、基準車体ロール角θb_baseの値との間の関係を規定するものである。
該マップ(又は演算式)により規定される上記関係の例を、図5(a)〜(c)に示す。図5(a)〜(c)は、それぞれ、操舵角δを互いに異なる一定値とした場合の車速Vと、基準車体ロール角θb_baseとの間の関係を破線のグラフで例示している。そして、図5(a)は、δがゼロである場合の例、図5(b)は、δが正の値δx(δxは1つの代表値)である場合の例、図5(c)はδが負の値−δxである場合の例である。
なお、図5(a)〜(c)の実線のグラフは、許容車体ロール角領域決定部81で後述する如く決定される許容車体ロール角領域を示すグラフである。
基準車体ロール角θb_baseの決定用のマップ(又は演算式)は、これにより決定される基準車体ロール角θb_baseが、車速V及び操舵角δの値の組に応じて規定される遠心力モーメントと、重力モーメントとが釣り合う(該遠心力モーメントと重力モーメントとの合成モーメントがゼロになる)こととなる車体ロール角θbの値に概ね一致するように作成されている。
ここで、車速V及び操舵角δの値の組に応じて規定される遠心力モーメントというのは、車速Vと操舵角δとをそれぞれ任意の値で一定に維持して移動車両1の走行を行ったと仮定した場合に、該移動車両1と運転者との全体の重心に作用する遠心力に起因して車体3に作用するロール方向のモーメントを意味する。
そして、基準車体ロール角θb_baseの決定用のマップ(又は演算式)は、移動車両1のモデル(動力学モデル又は運動学モデル)、あるいは、実験等に基づいてあらかじめ作成される。
補足すると、基準車体ロール角θb_baseの決定用のマップ(又は演算式)は、一例として、基準車体ロール角θb_baseを、遠心力モーメントと重力モーメントとが釣り合うこととなる車体ロール角θbの値に高精度に一致させるように作成しておくことができる。ただし、移動車両1の挙動特性の設計的な指針等に応じて、基準車体ロール角θb_baseを、当該釣り合う値から乖離し過ぎない程度で、当該釣り合う値から意図的に若干ずらした値にするように、上記マップ(又は演算式)を作成しておくようにしてもよい。
かかるマップ(又は演算式)を用いて、基準車体ロール角決定部82が車速V_act及び操舵角δ_actに応じて決定する基準車体ロール角θb_baseは、移動車両1の停車状態(V_act=0)、あるいは、直進走行状態(δ_act=0)では、図5(a)に示す如くゼロとなる。
また、δ_act≠0となる移動車両1の旋回走行状態では、図5(b)又は図5(c)に示す如く、V_actが大きいほど、あるいは、δ_actの大きさ(絶対値)が大きいほど、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)が大きくなるように基準車体ロール角θb_baseが決定される。
この場合、δ_act>0である場合(前輪4が右向きに操舵された場合)には、基準車体ロール角θb_baseは、図5(b)に示す如く正の傾斜角度(車体3が右側に傾いた状態での傾斜角度)となり、δ_act<0である場合(前輪4が左向きに操舵された場合)には、基準車体ロール角θb_baseは、図5(c)に示す如く負の傾斜角度(車体3が左側に傾いた状態での傾斜角度)となる。
補足すると、基準車体ロール角決定部82は、本発明における基準車体ロール角設定手段としての機能を有する。
前記許容車体ロール角領域決定部81は、車速V_act及び操舵角δ_actの現在値(最新値)に応じて、あらかじめ作成されたマップ(又は演算式)により許容車体ロール角領域を決定する。なお、許容車体ロール角領域を決定する場合、該許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lを直接的に決定すること、あるいは、上限値lim_R及び下限値lim_Lを規定するパラメータ(例えば、許容車体ロール角領域の幅とその中央値との組等)を決定することのいずれを行うようにしてもよい。
許容車体ロール角領域の決定用の上記マップ(又は演算式)は、車速V及び操舵角δの任意の値と、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのそれぞれとの間の関係を規定するものである。
該マップ(又は演算式)により規定される上記関係の例を、図5(a)〜(c)に実線のグラフで示した。図5(a)〜(c)は、それぞれ、操舵角δを互いに異なる一定値とした場合の車速Vと、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのそれぞれとの間の関係を実線のグラフで例示している。なお、前記したように、図5(a)〜(c)はそれぞれ、δがゼロ、正の値δx、負の値−δxである場合の例である。
許容車体ロール角領域の決定用のマップ(又は演算式)は、車速V及び操舵角δの値に対して、次のような傾向で許容車体ロール角領域が許容車体ロール角領域決定部81により決定されるように作成されている。
すなわち、許容車体ロール角領域は、図5(a)〜(c)に例示する如く、車速Vの値V_actが小さいほど(ゼロに近いほど)、該許容車体ロール角領域の上限値lim_Rと下限値lim_Lとの差(=lim_R−lim_L)である該許容車体ロール角領域の幅が小さくなるように決定される。
より詳しくは、本実施形態では、車速V_actがあらかじめ定められた第1所定車速V1よりも小さい状態(移動車両1の停車状態もしくは微小車速の状態)である場合には、許容車体ロール角領域は、その幅がゼロの領域として決定される。換言すれば、該許容車体ロール角領域は、その上限値lim_Rと下限値lim_Lとが互いに同一の値となる領域として決定される。
そして、この場合の許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lは、本実施形態では、基準車体ロール角θb_baseに一致する値として決定される。
そして、許容車体ロール角領域は、車速Vの値V_actが上記第1所定車速V1以上である場合に、該車速V_actの上昇に伴い、許容車体ロール角領域の幅がゼロから大きくなっていくように(換言すれば、車速V_actの低下に伴い、許容車体ロール角領域の幅がゼロでない大きさからゼロに近づいていくように)決定される。
さらに、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、移動車両1の直進走行状態(δ_act=0となる状態)では、図5(a)に示す如く、lim_R>0、且つ、lim_L<0、且つ、|lim_R|=|lim_L|となるように、換言すれば、許容車体ロール角領域の中心値(=(lim_R+lim_L)/2)が、ゼロ(=基準車体ロール角θb_base)となるように、許容車体ロール角領域が決定される。
また、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、δ_act>0又はδ_act<0となる移動車両1の旋回走行状態では、図5(b)又は(c)に示す如く、許容車体ロール角領域の中心値が、移動車両1の旋回方向と同じ側に車体3が傾く車体ロール角(δ_actと同じ極性の車体ロール角)となり、且つ、操舵角δ_actの大きさ(絶対値)が大きいほど、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)も大きくなるように、許容車体ロール角領域が決定される。
また、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、δ_act>0となる移動車両1の旋回走行状態(右側への旋回走行状態)では、図5(b)に示す如く、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのうち、右側の限界値(旋回方向と同じ側の限界値)である上限値lim_Rが左側の限界値である下限値lim_Lよりも基準車体ロール角θb_baseにより近づくように(換言すれば、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)が、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)よりも小さくなるように)、許容車体ロール角領域が決定される。
また、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、δ_act<0となる移動車両1の旋回走行状態(左側への旋回走行状態)では、図5(c)に示す如く、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのうち、左側の限界値(旋回方向と同じ側の限界値)である下限値lim_Lが右側の限界値である上限値lim_Rよりも基準車体ロール角θb_baseにより近づくように(換言すれば、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)が、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)よりも小さくなるように)、許容車体ロール角領域が決定される。
なお、本実施形態では、前輪4を最大限(機構的な最大限)に左側に操舵した状態で移動車両1の左側への旋回走行を行った場合に遠心力モーメンと重力モーメントとが釣り合うこととなる車体ロール角θbの値(<0)と、前輪4を最大限(機構的な最大限)に右側に操舵した状態で移動車両1の右側への旋回走行を行った場合に遠心力モーメンと重力モーメントとが釣り合うこととなる車体ロール角θbの値(>0)との間に許容車体ロール角領域が収まるように、該許容車体ロール角領域の決定用のマップ(又は演算式)が作成されている。
これは、車体3が不必要に右側又は左側に傾くのを防止するためである。
補足すると、許容車体ロール角領域決定部81は、本発明における車体ロール角領域設定手段としての機能を有する。この場合、許容車体ロール角領域決定部81が決定する許容車体ロール角領域が本発明における第1車体ロール角領域に相当する。
なお、許容車体ロール角領域は、基準車体ロール角θb_baseが部分的に(車速V又は操舵角δの部分的な範囲内で)、許容車体ロール角領域から若干逸脱するような形態で設定されていてもよい。例えば、図5(b)あるいは図5(c)に示す許容車体ロール角領域は、車速V_actが大きなものとなる範囲で、基準車体ロール角θb_baseが許容車体ロール角領域から若干逸脱するように該許容車体ロール角領域が設定されている。
ただし、基準車体ロール角θb_baseが常に許容車体ロール角領域内に収まるように許容車体ロール角領域を設定してもよい。
目標ロール駆動モーメント決定部71は、次に、第1ロール駆動モーメント算出部83及び第2ロール駆動モーメント算出部84の処理を実行する。
第1ロール駆動モーメント算出部83には、現在の(最新)の車体ロール角θb_act(観測値)と車体ロール角速度θb_dot_act(観測値)とが入力されると共に、許容車体ロール角領域決定部81で決定された最新の許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lが入力される。
そして、第1ロール駆動モーメント算出部83は、ロール駆動主成分モーメントMd1の組成成分として、許容車体ロール角領域からの車体ロール角θb_actの逸脱状態に応じた第1成分Md1_1と、車体ロール角速度θb_actに応じた第2成分Md1_2とをそれぞれ処理部83a,83bにより決定する。さらに、第1ロール駆動モーメント算出部83は、算出した第1成分Md1_1及び第2成分Md1_2を演算部83cで合成する(加え合わせる)ことにより、ロール駆動主成分モーメントMd1(=Md1_1+Md1_2)を算出する。
上記第1成分Md1_1は次のように処理部83aにより決定される。まず、処理部83aの図中のグラフで示す如く、許容車体ロール角領域からの車体ロール角θb_actの逸脱状態(逸脱の有無、逸脱の度合、及び逸脱の方向)を示す逸脱状態量f1が決定される。具体的には、θb_actと、許容車体ロール角領域との比較に応じて、次式(1a)〜(1c)のいずれかにより逸脱状態量f1が決定される。

lim_L≦θb_act≦lim_Rである場合
f1=0 ……(1a)
θb_act<lim_Lである場合
f1=θb_act−lim_L ……(1b)
θb_act>lim_Rである場合
f1=θb_act−lim_R ……(1c)

このように本実施形態では、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域に収まっている場合には、逸脱状態量f1がゼロとされる一方、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱している場合には、その逸脱量(逸脱の度合)が逸脱状態量f1として決定される。この場合、車体ロール角θb_actが上限値lim_R側及び下限値lim_L側のいずれの側に逸脱しているか(逸脱の方向)が、f1の極性によって示されることとなる。
なお、逸脱状態量f1は、マップを用いて算出するようにしてもよい。
そして、処理部83aは、上記の如く決定した逸脱状態量f1に、あらかじめ定められた負の所定値のゲイン(−K1)を乗じることにより第1成分Md1_1を算出する。
すなわち、次式(2)により第1成分Md1_1が算出される。

Md1_1=−K1×f1 ……(2)

このように算出される第1成分Md1_1は、lim_L≦θb_act≦lim_Rである場合(すなわち、θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっている場合)にはゼロとなる。
一方、θb_act<lim_L又はθb_act>lim_Rである場合(すなわち、θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱した場合)には、算出される第1成分Md1_1は、逸脱状態量f1と逆極性のロール方向のモーメント、すなわち、車体ロール角θb_actを許容車体ロール角領域内に戻す向きのロール方向のモーメントとなる。また、この場合の第1成分Md1_1の大きさは、逸脱状態量f1の大きさ(絶対値)が大きいほど、大きくなる。
ここで、本実施形態では、前記ゲインK1の大きさは、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱した状況において、車体ロール角θb_actの変化に対する第1成分Md1_1の変化の感度(θb_actの単位変化量当たりのMd1_1の変化量)に相当するものである。そして、本実施形態では、ゲインK1の大きさは、車体ロール角θb_actの変化に対する前記重力モーメントの変化の感度よりも十分に大きなものとなるようにあらかじめ設定されている。
このため、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱した場合には、その逸脱量の大きさがある程度増加すると、第1成分Md1_1が、重力モーメントに抗して車体ロール角θb_actを許容車体ロール角領域に戻し得るモーメントとなる。
また、前記第2成分Md1_2は次のように処理部83bにより決定される。まず、処理部83bの図中のグラフで示す如く、車体ロール角速度θb_dot_actに乗じる調整係数C1(≦1)が車体ロール角θb_actに応じて決定される。具体的には、θb_actと、許容車体ロール角領域との比較に応じて、次式(3a)〜(3d)のいずれかにより調整係数C1が決定される。なお、dthは、あらかじめ定められた正の所定値である。

θb_act>lim_Rである場合、又はθb_act<lim_Lである場合
C1=1 ……(3a)
lim_R−lim_L>2×dth、且つ、lim_L+dth≦θb_act≦lim_R−dthである場合
C1=0 ……(3b)
lim_R−lim_L>2×dth、且つ、lim_L≦θb_act<lim_L+dthである場合、又は、lim_R−lim_L≦2×dth、且つ、lim_L≦θb_act<(lim_L+lim_R)/2である場合
C1=1−(θb_act−lim_L)/dth ……(3c)
lim_R−lim_L>2×dth、且つ、lim_R−dth<θb_act≦lim_Rである場合、又は、lim_R−lim_L≦2×dth、且つ、(lim_L+lim_R)/2≦θb_act≦lim_Rである場合
C1=1−(lim_R−θb_act)/dth ……(3d)

このように調整係数C1を決定することで、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱している場合には、“1”に決定される。車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっており、且つ、上限値lim_R又は下限値lim_Lに比較的近い値となっている場合(lim_R又はlim_Lとの差の絶対値が所定値dth以下である場合)には、調整係数C1は、上限値lim_R又は下限値lim_Lにさらに近づくに伴い、ゼロ又はゼロ寄りの値から“1”に近づいていくように決定される。
なお、調整係数C1は、マップを用いて決定するようにしてもよい。
そして、処理部83bは、上記の如く決定した調整係数C1を車体ロール角速度θb_dot_actに乗じてなる値に、さらに、あらかじめ定められた負の所定値のゲイン(−D1)を乗じることによって、第2成分Md1_2を算出する。
すなわち、次式(4)により第2成分Md1_2が算出される。

Md1_2=−D1×C1×θb_dot_act ……(4)

このように算出される第2成分Md1_2は、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱している場合、あるいは、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっていると共に、上限値lim_R又は下限値lim_Lに比較的近い値となっている(より詳しくはlim_R又はlim_Lとの差の絶対値が所定値dth以下となっている)場合には、車体ロール角速度θb_dot_actをゼロに近づける(減速する)ように機能するロール方向の制動モーメントとなる。
また、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内で、上限値lim_R及び下限値lim_Lにさほど近づいていない状況では、第2成分Md1_2はゼロとなる。
第1ロール駆動モーメント算出部83は、以上の如く算出した第1成分Md1_1及び第2成分Md1_2を、次式(5)で示す如く加え合わせることにより、ロール駆動主成分モーメントMd1を算出する。

Md1=Md1_1+Md1_2 ……(5)

補足すると、第1ロール駆動モーメント算出部83は、本発明における第1操作量決定手段及び車体ロール角逸脱状態量算出手段としての機能を有する。この場合、第1ロール駆動モーメント算出部83の処理のうち、逸脱状態量f1を算出する処理が、車体ロール角逸脱状態量算出手段としての機能に相当する。また、第1ロール駆動モーメント算出部83が決定するロール駆動主成分モーメントMd1が、本発明における第1操作量に相当する。
次に、第2ロール駆動モーメント算出部84の処理を説明する。第2ロール駆動モーメント算出部84には、現在の(最新)の車体ロール角θb_act(観測値)が入力されると共に、基準車体ロール角決定部82で決定された最新の基準車体ロール角θb_baseが入力される。
そして、第2ロール駆動モーメント算出部84は、図4に示す如く、基準車体ロール角θb_baseと車体ロール角θb_actとの偏差に、あらかじめ定められた正の所定値のゲインK2を乗じることによりロール駆動副成分モーメントMd2を算出する。
すなわち、次式(6)によりロール駆動副成分モーメントMd2が算出される。

Md2=K2×(θb_base−θb_act) ……(6)

このようにロール駆動副成分モーメントMd2を算出することで、該Md2は、車体ロール角θb_actを基準車体ロール角θb_baseに近づけるように機能するロール方向のモーメントとなる。
ここで、本実施形態では、式(6)におけるゲインK2の大きさは、車体ロール角θb_actの変化に対するロール駆動副成分モーメントMd2の変化の感度(θb_actの単位変化量当たりのMd2の変化量)に相当するものである。そして、本実施形態では、ゲインK2の大きさは、車体ロール角θb_actの変化に対する前記重力モーメントの変化の感度よりも小さなものとなるようにあらかじめ設定されている。
補足すると、第2ロール駆動モーメント算出部84は、本発明における第2操作量決定手段としての機能を有する。この場合、第2ロール駆動モーメント算出部84が決定するロール駆動副成分モーメントMd2が、本発明における第2操作量に相当する。
目標ロール駆動モーメント決定部71は、以上の如く、ロール駆動主成分モーメントMd1とロール駆動副成分モーメントMd2とを算出した後、モーメント合成部85の処理を実行する。
該モーメント合成部85は、次式(7)で示す如く、算出されたMd1とMd2とを加え合わせることにより目標ロール駆動モーメントMd_cmdを決定する。

Md_cmd=Md1+Md2 ……(7)

以上が目標ロール駆動モーメント決定部71の処理の詳細である。
かかる処理により決定される目標ロール駆動モーメントMd_cmdと車体ロール角θbとの間の関係(θbに対するMd_cmdの関数特性)は、概ね図6(a)又は図6(b)に実線のグラフで示す如き特性を有するものとなる。
なお、図6(a)は、移動車両1の直進走行状態での特性の一例を示し、図6(b)は移動車両1の旋回走行状態(右側への旋回走行状態)での特性の一例を示している。また、これらの図6(a),(b)では、説明の便宜上、車体ロール角速度θb_dot_actは、ゼロもしくはほぼゼロ(ひいては、Md1_2≒0)であるとしている。
また、図6(a),(b)中の二点鎖線のグラフは重力モーメントと車体ロール角θbとの関係を例示している。該重力モーメントは、概ね車体ロール角θbの正弦値sin(θb)に比例する。従って、θbの大きさが十分に小さい場合には、重力モーメントは近似的にθbに比例するものとなる。
図6(a),(b)に例示されるように、目標ロール駆動モーメントMd_cmdは、車体ロール角θbに対して単調変化(本実施形態では単調減少)する関数となるように決定される。
また、車体ロール角θbの変化に対するMd_cmdの変化の感度(ロール駆動モーメント感度という)は、前記ゲインK1,K2が前述した如く設定されていることによって、車体ロール角θbの値θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっている場合には、車体ロール角θbの変化に対する重力モーメントの変化の感度(重力モーメント感度)に比して小さい大きさの感度となり、車体ロール角θbの値θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱している場合には、重力モーメント感度に比して大きい大きさの感度となる。
従って、車体ロール角θbに対する目標ロール駆動モーメントMd_cmdの関数特性は、本発明における前記性質A〜Dを有するものとなっている。
なお、この場合、許容車体ロール角領域と、該許容車体ロール角領域の上限値lim_Rよりも大きい車体ロール角θbの範囲と、該許容車体ロール角領域の下限値lim_Lよりも小さい車体ロール角θbの範囲とがそれぞれ本発明における第1車体ロール角領域、第2車体ロール角領域、第3車体ロール角領域に相当する。
次に、前記モータ指令決定部72の処理を説明する。モータ指令決定部72は、図7のブロック線図で示す処理によって、電動モータ33のトルク指令値Tm_cmdを逐次決定する。
この場合、モータ指令決定部72には、図7に示すように、目標ロール駆動モーメント決定部71により決定された目標ロール駆動モーメントMd_cmdと、前記カップリング捩れ角センサ65の出力から制御装置70が認識するカップリング捩れ角dφ_actの値(観測値)と、前記モータ側回転速度センサ66の出力から制御装置70が認識する電動モータ33のロータの回転速度ωm__actの値(観測値)とが逐次入力される。
そして、モータ指令決定部72は、各制御処理周期において、図7に示す如く、目標ロール駆動モーメントMd_cmdに所定値Keの逆数値を乗じることにより、カップリング捩れ角dφの目標値dφ_cmdを算出する。すなわち、モータ指令決定部72は、次式(8a)により、目標ロール駆動モーメントMd_cmdを、カップリング捩れ角dφの目標値dφ_cmdに変換する。

dφ_cmd=(1/Ke)×Md_cmd ……(8a)

上記Keは、カップリング44の入力側と出力側との間の弾性変形係数(所謂、ばね定数)の値としてあらかじめ設定された所定値である。
そして、モータ指令決定部72は、図7に示す如く、目標値dφ_cmdとカップリング捩れ角dφの観測値dφ_actとの偏差に、あらかじめ定められた所定値のゲインKpを乗じることにより、電動モータ33のロータの回転速度の目標値ωm_cmdを算出する。すなわち、モータ指令決定部72は、次式(8b)により電動モータ33のロータの回転速度の目標値ωm_cmdを算出する。

ωm_cmd=Kp×(dφ_cmd−dφ_act) ……(8b)

さらに、モータ指令決定部72は、図7に示す如く、目標値ωm_cmdと、電動モータ33のロータの回転速度ωmの観測値ωm_actとの偏差に、あらかじめ定められた所定値のゲインKvと、電動モータ33のロータのあらかじめ定められた慣性モーメントJmとを乗じることにより、電動モータ33のトルク指令値Tm_cmdを算出する。すなわち、モータ指令決定部72は、次式(8c)により、トルク指令値Tm_cmdを算出する。

Tm_cmd=Jm×Kv×(ωm_cmd−ωm_act) ……(8c)

以上がモータ指令決定部72の処理の詳細である。
以上説明した本実施形態によれば、移動車両1の走行中(直進走行時又は旋回走行時)に、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっている状態では、ロール駆動主成分モーメントMd1の第2成分Md1_2(車体ロール角速度θb_actに応じた成分)がゼロもしくはそれに近い値に維持されている限り、目標ロール駆動モーメントMd_cmdが、ロール駆動副成分モーメントMd2に一致もしくはほぼ一致する。
この場合、ロール駆動副成分モーメントMd2は、ゼロもしくは弱いモーメントとなるので、運転者は自身の体重移動により比較的容易に車体ロール角θb_actを所望の傾斜角度に変化させることができる。
そして、運転者が意図的に体重移動を行っていない状況では、車体ロール角θb_actが基準車体ロール角θb_baseからずれていれば、ロール駆動機構23の電動モータ33の制御によって、車体ロール角θb_actを基準車体ロール角θb_baseに近づけるようにロール駆動モーメント(≒Md2)が車体3に作用するので、車体ロール角θb_actが移動車両1の走行状態に適した基準車体ロール角θb_baseの近辺の傾斜角度に保たれやすくなる。
一方、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱した場合には、車体ロール角θb_actを許容車体ロール角領域内に戻そうとするロール駆動主成分モーメントMd1の大きさが素早く増大して、目標ロール駆動モーメントMd_cmdが、ロール駆動主成分モーメントMd1に近い値となる。
この場合、ロール駆動主成分モーメントMd1は、強めのモーメントとなるので、車体ロール角θb_actの許容車体ロール角領域からの逸脱がさらに進行するのが強固に防止される。
また、許容車体ロール角領域の幅は、車速V_actが小さいほど小さくなるので、車速V_actが小さいほど、車体ロール角θb_actが、基準車体ロール角θb_base付近の傾斜角度に強固に保たれるようにすることができる。
また、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内から逸脱しそうな状況(詳しくは、車体ロール角θb_actが、許容車体ロール角領域内の上限値lim_R又は下限値lim_Lの近くで、該上限値lim_R又は下限値lim_Lに向かって変化している状況)では、ロール駆動主成分モーメントMd1の第2成分Md1_2(車体ロール角速度θb_dot_actに応じた成分)によって、車体ロール角θb_actの変化を制動するロール駆動モーメントが車体3に作用する。このため、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域から逸脱する直前から、その逸脱を予防することができる。
また、移動車両1の右側への旋回走行時は、許容車体ロール角領域の右側の限界値たる上限値lim_Rが下限値lim_Lよりも基準車体ロール角θb_baseに近いものとなり、移動車両1の左側への旋回走行時は、許容車体ロール角領域の左側の限界値たる下限値lim_Rが上限値lim_Rよりも基準車体ロール角θb_baseに近いものとなる。
このため、移動車両1の旋回走行時に、車体3が旋回方向を同じ側に必要以上に傾くのを防止することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、本実施形態は、許容車体ロール角領域及び基準車体ロール角の決定処理だけが第1実施形態と相違するものである。このため、本実施形態の説明は、その相違点を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
本実施形態では、目標ロール駆動モーメント決定部71の許容車体ロール角領域決定部81及び基準車体ロール角決定部82には、前輪4の操舵角δ_actの代わりに、ヨーレートセンサ64の出力から制御装置70が認識するヨーレートωz_actの値(観測値)が逐次入力される(図4の括弧付きのωz_actを参照)。
そして、基準車体ロール角決定部82は、各制御処理周期において、入力される車速V_act及びヨーレートωz_actの現在値(最新値)に応じて、あらかじめ作成されたマップ(又は演算式)により基準車体ロール角θb_baseを決定する。
このマップ(又は演算式)は、車速V及びヨーレートωzの任意の値と、基準車体ロール角θb_baseの値との間の関係を規定するものである。
該マップ(又は演算式)により規定される上記関係の例を、図8(a)〜(c)に示す。図8(a)〜(c)は、ヨーレートωzがゼロに維持される場合、ωzが正の値ωza(ωzaは1つの代表値)に維持される場合、ωzが負の値−ωzaに維持される場合のそれぞれの場合における車速Vと、基準車体ロール角θb_baseとの間の関係を破線のグラフで例示している。
基準車体ロール角θb_baseの決定用の当該マップ(又は演算式)は、これにより決定される基準車体ロール角θb_baseが、車速V及びヨーレートωzの値の組に応じて規定される遠心力モーメントと、重力モーメントとが釣り合う(該遠心力モーメントと重力モーメントとの合成モーメントがゼロもしくはほぼゼロになる)こととなる車体ロール角θbの値に一致するように作成されている。
かかるマップ(又は演算式)を用いて、基準車体ロール角決定部82が車速V_act及びヨーレートωz_actに応じて決定する基準車体ロール角θb_baseは、第1実形態と同様に、移動車両1の停車状態(V_act=0)、あるいは、直進走行状態(ωz_act=0)では、図8(a)に示す如くゼロとなる。
また、ωz_act≠0となる移動車両1の旋回走行状態では、図8(b)又は図8(c)に示す如く、V_actが大きいほど、あるいは、ωz_actの大きさ(絶対値)が大きいほど、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)が大きくなるように基準車体ロール角θb_baseが決定される。この場合、ωz_act>0である場合(右側への旋回走行が行われている場合)には、基準車体ロール角θb_baseは、図8(b)に示す如く正の傾斜角度(車体3が右側に傾いた状態での傾斜角度)となり、ωz_act<0である場合(左側への旋回走行が行われている場合)には、基準車体ロール角θb_baseは、図8(c)に示す如く負の傾斜角度(車体3が左側に傾いた状態での傾斜角度)となる。
また、本実施形態では、前記許容車体ロール角領域決定部81は、車速V_act及びヨーレートωz_actの現在値(最新値)に応じて、あらかじめ作成されたマップ(又は演算式)により許容車体ロール角領域を決定する。
このマップ(又は演算式)は、車速V及びヨーレートωzの任意の値と、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのそれぞれとの間の関係を規定するものである。
該マップ(又は演算式)により規定される上記関係の例(ヨーレートωzがゼロ、正の値ωza、負の値−ωzaにそれぞれ維持される場合における例)を、図8(a)〜(c)に実線のグラフで示した。
かかるマップ(又は演算式)により決定される許容車体ロール各領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lの、車速Vに対する変化の特性は、第1実施形態と同じである。
また、許容車体ロール各領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lの、ヨーレートωzに対する変化の特性については、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、ωz_act>0又はωz_act<0となる移動車両1の旋回走行状態では、図8(b)又は(c)に示す如く、許容車体ロール角領域の中心値が、移動車両1の旋回方向と同じ側に車体3が傾く車体ロール角(ωz_actと同じ極性の車体ロール角)となり、且つ、ヨーレートωz_actの大きさ(絶対値)が大きいほど、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)も大きくなるように、許容車体ロール角領域が決定される。
また、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、ωz_act>0となる移動車両1の旋回走行状態(右側への旋回走行状態)では、図8(b)に示す如く、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのうち、右側の限界値(旋回方向と同じ側の限界値)である上限値lim_Rが左側の限界値である下限値lim_Lよりも基準車体ロール角θb_baseにより近づくように(換言すれば、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)が、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)よりも小さくなるように)、許容車体ロール角領域が決定される。
また、車速V_actが上記第1所定車速V1よりも大きい場合において、ωz_act<0となる移動車両1の旋回走行状態(左側への旋回走行状態)では、図8(c)に示す如く、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのうち、左側の限界値(旋回方向と同じ側の限界値)である下限値lim_Lが右側の限界値である上限値lim_Rよりも基準車体ロール角θb_baseにより近づくように、(換言すれば、許容車体ロール角領域の中心値の大きさ(絶対値)が、基準車体ロール角θb_baseの大きさ(絶対値)よりも小さくなるように)、許容車体ロール角領域が決定される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
かかる本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
なお、本実施形態では、図8(a)〜(c)に例示した如く、基準車体ロール角θb_baseが常に許容車体ロール角領域内に収まるように許容車体ロール角領域が設定される。ただし、許容車体ロール角領域は、基準車体ロール角θb_baseが部分的に(車速V又はヨーレートωzの部分的な範囲内で)、許容車体ロール角領域から若干逸脱するような形態で設定されていてもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。なお、本実施形態は、基準車体ロール角θb_baseの決定処理だけが第1実施形態と相違するものである。このため、本実施形態の説明は、その相違点を中心に行い、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
前記第1実施形態では、基準車体ロール角θb_baseは、前輪4の操舵角δ_actがゼロである場合には、車速V_actによらずに、基準車体ロール角θb_baseがゼロに決定される。
これに対して、本実施形態では、図9(a)又は(b)に例示する如く、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態としての、移動車両1の停車状態もしくは微小車速の状態において、前輪4の操舵角δf_actに応じて基準車体ロール角θb_baseが可変的に決定される。
図9(a)は、前輪4の操舵角δが、ある1つの正の値δxである場合の基準車体ロール角θb_baseを破線のグラフで示し、図9(b)は、前輪4の操舵角δが、ある1つの負の値−δxである場合の基準車体ロール角θb_baseを破線のグラフで示している。
なお、上記第2所定車速V2は、図5に示した前記第1所定車速V1と同一の値、あるいは、異なる値のいずれでもよい。
図示の如く、本実施形態では、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態(V_act=0となる停車状態を含む)で、前輪4の操舵角δ_actが正の値である場合(前輪4が右側に操舵されている場合)には、基準車体ロール角θb_baseが正の値θb(δx)、すなわち、車体3が前輪4の操舵方向と同じ側(ここでは右側)に傾く傾斜角度に決定される。
また、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態で、前輪4の操舵角δ_actが負の値である場合(前輪4が左側に操舵されている場合)には、基準車体ロール角θb_baseが負の値θb(−δx)、すなわち、車体3が前輪4の操舵方向と同じ側(ここでは左側)に傾く傾斜角度に決定される。
そして、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態での基準車体ロール角θb_baseの大きさは、前輪4の操舵角δ_actの大きさが大きいほど、大きくなるように決定される。
なお、車速V_actが、第2所定車速V2以上の車速となる状態では、基準車体ロール角θb_baseは、遠心力モーメントと重力モーメントとが釣り合う(遠心力モーメントと重力モーメントとの合成モーメントがゼロもしくはほぼゼロなる)ような車体ロール角θbの値に決定される。
本実施形態は、以上説明した事項以外は、第1実施形態と同じである。
かかる本実施形態によれば、次のような効果が得られる。すなわち、移動車両1を発進させるときに、その発進直後から右側又は左側に移動車両1を旋回させようとする場合には、移動車両1の運転者は、移動車両1の発進前から、該移動車両1を旋回させようとする方向と同じ側に前輪4を操舵しておくことが多々ある。
この場合、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態での基準車体ロール角θb_baseを上記の如く決定することで、移動車両1の発進直後の旋回時に、車体3を旋回方向と同じ側に傾けることを円滑に行うことができる。
なお、車速V_actが第2所定車速V2よりも小さい状態で、上記の如く基準車体ロール角θb_baseを前輪4の操舵角δ_actに応じて決定することを、前記第2実施形態に適用してもよい。
[変形態様]
次に、以上説明した実施形態に係る変形態様をいくつか説明する。
前記各実施形態では、図6(a),(b)に例示したように、車体ロール角θbの変化に対する目標ロール駆動モーメントMd_cmdの変化の感度(換言すれば、Md_cmdをθbにより偏微分してなる値)が、許容車体ロール角領域内とその外側の領域とで不連続的に変化するよう、目標ロール駆動モーメントMd_cmdが決定される。
ただし、上記感度が、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lの前後で、例えば、連続的に変化するように、目標ロール駆動モーメントMd_cmdを決定する構成を採用してもよい。
例えば、前記ロール駆動主成分モーメントMd1の第1成分Md1_1を求める処理(処理部83aの処理)において、図10(a)又は図10(b)又は図10(c)のグラフで例示する如く、車体ロール角θbに応じて前記逸脱状態量f1を決定する。
この場合、図10(a)又は図10(b)又は図10(c)に示す例では、θbの変化に対するf1の変化の感度が、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lのそれぞれの前後で、連続的に変化するように、逸脱状態量f1が決定される。
なお、図10(a)では、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lは、それぞれ、θbの変化に対するf1の変化の感度が変化しているθbの範囲の中間の値に設定されている。また、図10(b)では、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lは、該領域内で、θbの変化に対するf1の変化の感度が一定値(ここではゼロ)となるように設定されている。また、図10(c)では、許容車体ロール角領域の上限値lim_R及び下限値lim_Lは、該領域の外側で、θbの変化に対するf1の変化の感度が一定値となるように設定されている。
上記の如く逸脱状態量f1を車体ロール角θbに応じて決定することで、車体ロール角θbの変化に対する目標ロール駆動モーメントMd_cmdの変化の感度を連続的に変化させるようにすることができる。
また、前記各実施形態では、ロール駆動主成分モーメントMd1とロール駆動副成分モーメントMd2とを合成することで、目標ロール駆動モーメントMd_cmdを決定するようにした。ただし、例えば、ロール駆動主成分モーメントMd1をそのまま目標ロール駆動モーメントMd_cmdとして決定するようにしてもよい。
この場合には、基準車体ロール角決定部82の処理、第2ロール駆動モーメント算出部84の処理、及びモーメント合成部85の処理は不要である。
また、前記各実施形態では、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっている場合に、ロール駆動主成分モーメントMd1の第1成分Md1_1だけでなく、第2成分Md1_2もゼロするように、該第2成分Md1_2を決定するようにしてもよい。換言すれば、車体ロール角θb_actが許容車体ロール角領域内に収まっている場合に、ロール駆動主成分モーメントMd1を常にゼロとするように、該ロール駆動主成分モーメントMd1を決定するようにしてもよい。
また、前記各実施形態では、本発明における第1操作量、第2操作量に相当するものとして、ロール駆動主成分モーメントMd1、ロール駆動副成分モーメントMd2を決定するようにしたが、ロール駆動機構23の電動モータ33等のアクチュエータの駆動力の目標値等の他の種類の制御用操作量を第1操作量、第2操作量として決定するようにすることも可能である。
また、以上説明した各実施形態では、前輪4が1輪、後輪5,5が2輪の移動車両を例にとって説明したが、本発明の移動車両は、例えば、前輪及び後輪の両方が左右方向に間隔を存する2つの車輪により構成されている移動車両、あるいは、前輪が2輪、後輪が1輪の移動車両であってもよい。
1…移動車両、2…搭乗部、3…車体、5…後輪(車輪)、23…ロール駆動機構、33…電動モータ(アクチュエータ)、70…制御装置、第1ロール駆動、81…許容車体ロール角領域決定部(車体ロール角領域設定手段)、82…基準車体ロール角決定部(基準車体ロール角設定手段)、83…第1ロール駆動モーメント算出部(第1操作量決定手段、車体ロール角逸脱状態量算出手段)、84…第2ロール駆動モーメント算出部(第2操作量決定手段)。

Claims (12)

  1. 運転者の搭乗部を有し、路面に対してロール方向に傾動自在な車体と、
    該車体の前部側及び後部側の少なくともいずれか一方側に左右方向に間隔を存して配置された2つの車輪と、
    アクチュエータを含み、該アクチュエータが出力する駆動力に応じて、ロール方向の路面反力モーメントであるロール駆動モーメントを前記車体に作用させるロール駆動機構とを備え、
    走行中に、前記搭乗部に搭乗した運転者の左右方向への体重移動に応じて旋回挙動が変化する特性を有すると共に、停車中に、前記ロール駆動機構により前記車体に作用させる前記ロール駆動モーメントがゼロとなる状態では、前記車体をロール方向に傾斜させた場合に、重力に起因して前記車体に作用するロール方向のモーメントである重力モーメントによって該車体の傾斜がさらに増大する特性を有する移動車両であって、
    少なくとも前記車体のロール方向の傾斜角である車体ロール角の観測値に応じて、前記ロール駆動モーメントを変化させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御する制御装置を備えており、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第1所定車速よりも大きい車速である場合に、前記制御装置による前記ロール駆動機構のアクチュエータの制御によって実現される前記ロール駆動モーメントの前記車体ロール角に対する関数特性が次の性質A、B及びCを有するように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
    性質A:前記関数特性により規定されるロール駆動モーメント感度の大きさを大小に区分可能であり、前記車体ロール角の1つの範囲である第1車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさが小となり、該第1車体ロール角領域の上限値よりも大きい前記車体ロール角の範囲である第2車体ロール角領域と該第1車体ロール角領域の下限値よりも小さい前記車体ロール角の範囲である第3車体ロール角領域とにおけるロール駆動モーメント感度の大きさが大となる。
    性質B:前記第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域における前記ロール駆動モーメントは、前記車体ロール角の観測値を前記第1車体ロール角領域内に近づける向きのモーメントである。
    性質C:前記第1車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさは、重力モーメント感度の大きさよりも小さく、且つ、前記第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域におけるロール駆動モーメント感度の大きさは、重力モーメント感度の大きさよりも大きい。
  2. 請求項1記載の移動車両において、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第1所定車速よりも大きい車速である場合に、前記関数特性がさらに次の性質Dを有するように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
    性質D:前記ロール駆動モーメントは、車体ロール角に対して単調に変化する。
  3. 請求項1又は2記載の移動車両において、
    前記制御装置は、当該移動車両の車速が小さいほど、前記関数特性における第1車体ロール角領域の幅が狭くなるように、前記車体ロール角の観測値と前記車速の観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  4. 請求項3記載の移動車両において、
    前記制御装置は、当該移動車両の車速の観測値が前記第1所定車速以下となる状態において、前記第1車体ロール角領域の上限値及び下限値が互いに同一の値になり、且つ、当該同一の値よりも大きい車体ロール角の範囲と当該同一の値よりも小さい車体ロール角の範囲とをそれぞれ前記第2車体ロール角領域、第3車体ロール角領域となり、且つ、該第2車体ロール角領域及び第3車体ロール角領域に関する前記性質B及びCを前記関数特性が有するように、前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動車両において、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合に、当該移動車両の直進走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値がゼロとなり、当該移動車両の旋回走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値が当該移動車両の旋回方向と同じ側に前記車体が傾斜した状態での車体ロール角の値となると共に当該移動車両に備えられた操舵輪の中立状態からの操舵角の大きさが大きいほど、前記第1車体ロール角領域の中心値の大きさが大きくなるように、前記車体ロール角の観測値と前記操舵角の観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の移動車両において、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合に、当該移動車両の直進走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値がゼロとなり、当該移動車両の旋回走行時には、前記第1車体ロール角領域の中心値が当該移動車両の旋回方向と同じ側に前記車体が傾斜した状態での車体ロール角の値となると共に当該移動車両のヨーレートの大きさが大きいほど、前記第1車体ロール角領域の中心値の大きさが大きくなるように、前記車体ロール角の観測値と前記ヨーレートの観測値とに応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  7. 請求項5又は6記載の移動車両において、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が前記第1所定車速よりも大きい車速である場合における当該移動車両の旋回走行時に、前記第1車体ロール角領域の上限値及び下限値のうち、当該移動車両の旋回方向と同じ側の限界値が、該旋回方向と反対側の限界値よりも基準車体ロール角により近い値となるように、前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動車両において、
    前記制御装置は、少なくとも当該移動車両の実際の車速が第2所定車速よりも大きい車速である場合に、前記車体ロール角の観測値が前記第1車体ロール角領域内の値となる状況で、前記車体ロール角の観測値を基準車体ロール角に近づけるように、前記車体ロール角の観測値と基準車体ロール角との偏差に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  9. 請求項8記載の移動車両において、
    前記制御装置は、当該移動車両の実際の車速が前記第2所定車速以下の車速である場合に、前記基準車体ロール角が当該移動車両に備えられた操舵輪の中立状態からの操舵角と同じ側への車体ロール角の値となるように、該操舵角の観測値に応じて前記基準車体ロール角を設定し、該基準車体ロール角に前記車体ロール角の観測値を近づけるように該基準車体ロール角と前記車体ロール角の観測値との偏差に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の移動車両において、
    前記制御装置は、前記第1車体ロール角領域を設定する車体ロール角領域設定手段と、前記設定された第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱状態を示す逸脱状態量を算出する車体ロール角逸脱状態量算出手段と、前記車体ロール角の観測値の逸脱を低減する前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第1操作量を、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角の時間的変化率である車体ロール角速度の観測値とに応じて決定する第1操作量決定手段とを備えており、少なくとも前記決定された第1操作量に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  11. 請求項8又は9記載の移動車両において、
    前記制御装置は、前記第1車体ロール角領域を設定する車体ロール角領域設定手段と、前記設定された第1車体ロール角領域からの前記車体ロール角の観測値の逸脱状態を示す逸脱状態量を算出する車体ロール角逸脱状態量算出手段と、前記車体ロール角の観測値の逸脱を低減する前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第1操作量を、前記算出された逸脱状態量に応じて、又は前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角の時間的変化率である車体ロール角速度の観測値とに応じて決定する第1操作量決定手段と、前記基準車体ロール角を設定する基準車体ロール角設定手段と、前記設定された基準車体ロール角と前記車体ロール角の観測値との偏差をゼロに近づける前記ロール駆動モーメントを発生させるように前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するための操作量である第2操作量を、少なくとも前記偏差に応じて決定する第2操作量決定手段とを備えており、少なくとも前記決定された第1操作量及び第2操作量の合成値に応じて前記ロール駆動機構のアクチュエータを制御するように構成されていることを特徴とする移動車両。
  12. 請求項10又は11記載の移動車両において、
    前記第1操作量決定手段は、前記第1操作量を、前記算出された逸脱状態量と前記車体ロール角速度の観測値とに応じて決定するように構成されていると共に、前記車体ロール角の観測値が前記設定された第1車体ロール角領域内で該第1車体ロール角領域の上限値寄りの値又は下限値寄り値となっている場合に、前記車体ロール角速度をゼロに近づけるように該車体ロール角速度の観測値に応じて前記第1操作量を決定するように構成されていることを特徴とする移動車両。
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