JP2014185050A - 砂代替材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ステンレス鋼の製鋼工程で生成される製鋼スラグ10からの砂代替材100の製造方法は、溶融状態で排出された製鋼スラグ10を24時間以上かけて冷却する冷却ステップと、冷却した製鋼スラグ10を湿式破砕する破砕ステップと、破砕した製鋼スラグ10を湿式分級することによって、製鋼スラグ10に含まれる粒状分を分離する分級ステップとを含む。さらに、冷却される製鋼スラグ10では、塩基度(CaO/SiO2)が、0.7〜1.7であり、組成が質量%で、フッ素が0.4%未満、CaOが35〜65%、SiO2が20〜55%、Al2O3が1〜15%である。
【選択図】図1
Description
特許文献1に記載のブラスト処理用研削材は、主成分の組成がCaO(酸化カルシウム):30〜40質量%、MgO(酸化マグネシウム):6〜15質量%、Al2O3(アルミナ):5〜17質量%、SiO2(二酸化ケイ素):20〜36質量%であるステンレス鋼の製鋼スラグを素材としている。このブラスト処理用研削材は、上記の製鋼スラグを徐冷した後に破砕し、さらに、モース硬度が7〜9であり且つ0.1〜3.0mmの粒度の砂状スラグに分級することによって、製造される。
分級ステップでは、破砕した製鋼スラグに対して、比重選鉱した後、所定の粒径以下の製鋼スラグを篩い分ける処理をし、所定の粒径以下の製鋼スラグを湿式で分級して水中に懸濁する粉状分と粒状分とを分離してもよい。
所定の粒径を超える製鋼スラグは、再び湿式破砕されてもよい。
分級ステップは、製鋼スラグに対して磁力選鉱処理をして、製鋼スラグに含まれる金属成分を分離することを含んでもよい。
製鋼工程では、ステンレス鋼の溶銑は、フッ化カルシウムを含まない脱硫剤を使用する機械攪拌式の脱硫処理を受けてもよい。
製鋼スラグは、温度が700℃以上のとき、製鋼スラグの温度が毎分1℃以下で低下するように冷却されてもよい。
図1を参照すると、砂代替材100を製造する工程は、大別すると、原料となる製鋼スラグ10が生成されるステンレス鋼の製鋼工程1、製鋼スラグ10を冷却する冷却工程2、及び、冷却後の製鋼スラグ10から粒状の砂代替材100を分級するスラグ選鉱処理工程3の3つの工程によって構成されている。
一方、製鋼スラグ10の温度が約700℃以上の時に、例えば冷却水量を増加させる、又は製鋼スラグ10に直接散水する等をして1.0℃/分を超える速度で製鋼スラグ10を降温させると、固化後に内部の密度が低く脆いスラグが得られることになる。
ジョークラッシャー破砕処理31では、製鋼スラグ10は、気中にある状態で、ジョークラッシャーにおける固定歯と固定歯に対して接近及び離脱するように可動な可動歯との間に挟まれて押圧されることによって圧縮破砕される。製鋼スラグ10は、この処理によって、大まかに乾式破砕される。このとき、製鋼スラグ10では、硬質な鉱物相の間にあるCaO等の軟質な部分の層が崩壊することによって、鉱物相が多数の塊状に分離する。
上記の2つの破砕処理を受ける過程では、製鋼スラグ10に含まれる地金13が、鉱物相やCaO等の微粉などの成分によって構成されるスラグから分離される。そして、製鋼スラグ10が冷却工程2で十分に固化していることによって、破砕処理時における地金13とスラグとの分離が容易になる。
また、篩い分級処理35では、比重選別機から取り出されて処理水中に含まれた状態の低比重の製鋼スラグ10が、振動篩い機の振動するスクリーン(篩い)上に供給され、そのうちのスクリーンの目開きの大きさ(本実施の形態では5mm)以下のものが選別される。なお、スクリーンを通過しなかった粒径5mmを超える製鋼スラグ10は、これが含まれている処理水と共に、再びロッドミル破砕処理32に戻され、湿式破砕処理を受ける。
粗粒スラグ11が除去された後の製鋼スラグ10は、その微小粉状粒子及び処理水が混在したスライム状態であり、シックナー・脱水処理37を受けて、微小粉状粒子が処理水から分離される。この処理では、処理水に含まれた状態の製鋼スラグ10が、処理水と共にシックナーに送られて分級を受け、微小粉状粒子で構成される製鋼スラグ10がスライムから分離される。さらに、水分を含んだ状態で分離された製鋼スラグ10が脱水処理を受けてパウダー状の微粉スラグ12として回収される。ここで、エーキンス分級処理36及びシックナー・脱水処理37はスラグ選鉱処理工程3を構成する。
粗粒スラグ11は、冷却処理を受ける前の製鋼スラグ10が、下記の条件を満たし且つ冷却工程2において上述の冷却処理を受けることによって、透水係数5.0×10−4〜2.0×10−2cm/sec(秒)、単位容積質量1.9〜2.1kg/L(リットル)、吸水率1.5〜3.2%を満たす特性を有するようになる。さらに、粗粒スラグ11は、フッ素(F)の水に対する溶出量が0.8mg/L未満であり、六価クロム(Cr6+)の水に対する溶出量が0.05mg/L未満の特性を有するようになる。さらにまた、下記の条件を満たす粗粒スラグ11は、0.7mm以下の微粒子も適度に含むため、路盤材料や盛土材料の品質基準を示す指標である修正CBRが20〜40%の範囲内となり、良好な締め固め性を有する。なお、(社)日本道路協会出典の「舗装施工便覧」では、下層路盤材に求められる修正CBRが20%以上とされている。
このようにして本発明による製鋼工程1での成分調整から、冷却工程2、さらにスラグ選鉱処理工程3によって得られた粗粒スラグ11は、粒度分布が例えばコンクリート用砕砂等のJIS規格に適合する。通常、粒度分布を一定の範囲内に収めるには、材料を粒度別に数段に篩い分けしたものを、適切に配合して、混合し、目標の粒度分布とするため、作業が煩雑でコストもかかるが、本発明では、その必要がなく、一連のスラグ選鉱処理によってJIS規格適合の粒度分布が得られる。
また、フッ素の水に対する溶出量0.8mg/L未満、及び六価クロムの水に対する溶出量を0.05mg未満という範囲は、土壌環境基準を満たすものである。
そして、製鋼スラグ10では、原料の配合比と、スラグ及びステンレス鋼の間の元素分配比とについての経験則に基づき、溶製する鋼種ごとにスラグ発生源の原料の種類と配合比とを調節することによって、塩基度及び組成を上述のように調節することができる。
以下、本実施の形態の製造方法を用いて製造した砂代替材100の実施例と、本実施の形態の製造方法と異なる製造方法を用いて製造した砂代替材の比較例とを比較検証する。
実施例及び比較例の砂代替材を構成する製鋼スラグの成分、製鋼時の脱硫処理方法、製鋼スラグの冷却処理方法、並びに製鋼スラグの分級処理方法を、表1に示す。さらに、表2に、実施例の砂代替材の原料であり製鋼工程で収集した段階の製鋼スラグの組成を示す。
比較例10〜12の製鋼スラグは、製鋼過程の脱硫処理の際には、KR法を採用せず、脱硫反応を促進する蛍石を含む脱硫剤を用いて生成されている。さらに、これらの製鋼スラグは、塩基度が1.9〜2.5の間であり、その組成が質量%で、CaOが55〜65%の間、SiO2が25〜35%の間、Al2O3が1〜15%の間となるように、成分が様々に調整されて生成されたものである。
比較例4〜6の製鋼スラグの冷却処理では、水砕設備を使用して高温の溶融した製鋼スラグに多量の圧力水を噴射することによって、製鋼スラグを急冷すると共に水砕した。これによって、製鋼スラグは、粒状化された。
比較例7〜9の製鋼スラグの分級処理では、製鋼スラグに対して、ジョークラッシャーによる乾式の破砕処理及びロッドミルによる乾式の破砕処理が順次行われ、さらに、製鋼スラグに対して目開きの大きさ5mmのスクリーンによる篩い分級処理が行われ、スクリーンを通過したものが砂代替材として収集された。
なお、比較例4〜6の製鋼スラグでは、冷却処理において粒状の砂代替材が形成されたため、分級処理がなされなかった。
比較例1〜3の砂代替材は、実施例1〜8の砂代替材と比較して、エーキンス分級処理がなされずに生成されたため、粗粒分と粉状分とに二極分化した粒度分布を有し、締め固め性が高くなっている。この比較例1〜3の砂代替材は、単位容積質量、並びに、フッ素及び六価クロムの溶出量の砂規格を満足しているが、コンクリート用細骨材の粒度分布条件を満たさない。さらに、比較例1〜3の砂代替材の透水係数が砂規格よりも小さく、修正CBR及び吸水率が砂規格よりも高くなっている。
比較例4〜6の砂代替材は、急冷水砕によって生成されたため、気孔が多くて脆く軽量な粒によって形成されている。このため、比較例4〜6の砂代替材は、透水係数は測定不可能なくらい大きく、吸水率は測定不可能なくらい低い。さらに、単位容積質量及び修正CBRも砂規格よりも小さくなっている。また、比較例4〜6の砂代替材は、フッ素及び六価クロムの溶出量の砂規格とコンクリート用細骨材の粒度分布条件とを満足している。
上述より、実施例1〜8の砂代替材が、比較例1〜12の砂代替材よりも砂代替材として優れた特性を有することがわかる。
また、砂代替材100の製造方法では、製鋼工程において、ステンレス鋼の溶銑は、フッ化カルシウムを含まない脱硫剤を使用する機械攪拌式の脱硫処理を受ける。これによって、砂代替材100に含まれるフッ素を低減することができる。
Claims (8)
- ステンレス鋼の製鋼工程で生成される製鋼スラグからの砂代替材の製造方法であって、
溶融状態で排出されたスラグ鍋内にある前記製鋼スラグを24時間以上かけて冷却する冷却ステップと、
冷却した前記製鋼スラグを湿式破砕する破砕ステップと、
破砕した前記製鋼スラグを湿式分級することによって、前記製鋼スラグに含まれる粒状分を分離する分級ステップとを含み、
冷却される前記製鋼スラグでは、
塩基度(CaO/SiO2)が、0.7〜1.7であり、
組成が質量%で、フッ素が0.4%未満、CaOが35〜65%、SiO2が20〜55%、Al2O3が1〜15%である砂代替材の製造方法。 - 前記冷却ステップにおいて、前記製鋼スラグの温度が700℃以上のとき、前記製鋼スラグの温度を毎分1℃以下で低下させるように冷却する請求項1に記載の砂代替材の製造方法。
- 前記分級ステップでは、破砕した前記製鋼スラグに対して、比重選鉱した後、所定の粒径以下の前記製鋼スラグを篩い分ける処理をし、前記所定の粒径以下の前記製鋼スラグを湿式で分級して水中に懸濁する粉状分と粒状分とを分離する請求項1または2に記載の砂代替材の製造方法。
- 前記所定の粒径を超える前記製鋼スラグは、再び前記湿式破砕される請求項3に記載の砂代替材の製造方法。
- 前記分級ステップは、前記製鋼スラグに対して磁力選鉱処理をして、前記製鋼スラグに含まれる金属成分を分離することを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の砂代替材の製造方法。
- 前記製鋼工程では、前記ステンレス鋼の溶銑は、フッ化カルシウムを含まない脱硫剤を使用する機械攪拌式の脱硫処理を受ける請求項1〜5のいずれか一項に記載の砂代替材の製造方法。
- ステンレス鋼の製鋼工程で生成される製鋼スラグが24時間以上かけて冷却された後、破砕及び分級されることによって生成される砂代替材であって、
透水係数が5.0×10−4〜2×10−2cm/秒であり、単位容積質量が1.9〜2.1kg/リットルであり、吸水率が1.5〜3.2%である特性を有すると共に、フッ素の水に対する溶出量が水1リットル当たり0.8mg未満であり、六価クロムの水に対する溶出量が水1リットル当たり0.05mg未満である特性を有し、
前記製鋼スラグにおける塩基度(CaO/SiO2)が、0.7〜1.7であり、前記製鋼スラグの組成が質量%で、フッ素が0.4%未満、CaOが35〜65%、SiO2が20〜55%、Al2O3が1〜15%である、砂代替材。 - 前記製鋼スラグは、温度が700℃以上のとき、前記製鋼スラグの温度が毎分1℃以下で低下するように冷却される請求項7に記載の砂代替材。
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